JP2012206318A - 被覆金属体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、算術平均表面粗さ(Ra)が10〜50μmである金属体(M)上にエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)が直接被覆されてなり、
65℃、24時間熱水浸漬後のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)の剥離強度が1000g/15mm以上である被覆金属体。
【選択図】なし
Description
[1]算術平均表面粗さ(Ra)が10〜50μmである金属体(M)上にエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)が直接被覆されてなり、
65℃、24時間熱水浸漬後のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)の剥離強度が1000g/15mm以上である被覆金属体
[2]前記エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)上に接着性樹脂層、ポリオレフィン層がこの順に積層されている、上記[1]の被覆金属体
[3]前記金属体(M)の表面に、金属の溶射処理による溶射処理層が形成されてなる、上記[1]または[2]の被覆金属体
[4]前記溶射処理層の厚みが300μm以下である、上記[3]の被覆金属体
[5]前記溶射処理に用いられる金属がアモルファス合金である、上記[3]または[4]の被覆金属体
[6]前記金属体(M)の表面がブラスト処理されてなる、上記[1]または[2]の被覆金属体
[7]前記エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)が、炭素−炭素二重結合を有するエポキシ化合物(B)で変性して得られる、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A’)である、上記[1]〜[6]のいずれか1つの被覆金属体
[8]前記エポキシ化合物(B)による変性量が、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)のモノマー単位の全モル数に対して0.1〜10モル%である、上記[7]の被覆金属体
[9]上記[1]〜[8]のいずれか1つの被覆金属体において、金属体(M)が最内面を構成する被覆金属パイプ
[10]算術平均表面粗さ(Ra)が10〜50μmである金属体(M)上に、直接エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)の被覆を行う被覆金属体の製造方法
[11]表面が溶射処理されている金属体(M)上に、熱プレス法、溶融押出コート法および粉体塗装法からなる群より選ばれる少なくとも1つの方法によってエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)の被覆を行う上記[10]の被覆金属体の製造方法
に関する。
本発明に使用される金属体(M)の算術平均表面粗さ(Ra)はJIS B 0601:1994年に準じて10〜50μmであることが重要であり、10〜30μmであることが好ましく、10〜20μmであることがさらに好ましい。算術平均表面粗さ(Ra)が10μm未満の場合には、被膜の密着性が極端に低下するおそれがあり、一方、50μmを超える場合にも、密着性の低下が起きるとともに、樹脂被膜形成後にも金属体(M)の表面が露出するおそれがある。
このような金属体(M)を得るためには、例えば後述する方法、すなわち前駆体となる金属体(M’)の表面にブラスト処理及び/又は金属(m)を用いた溶射処理を施す方法が挙げられるが、これらの方法に限定されない。
金属体(M)とEVOH樹脂(A)との密着力を確保するためには、前駆体となる金属体(M’)の表面の汚れを除去したり、粗面化することが好ましい。その方法としては、特に限定されないが、例えば、グリットブラスト、ショットブラスト、サンドブラスト等のブラスト処理が挙げられる。ブラスト処理に用いられる研掃材の材質としては、炭素鋼、アルミニウム、ステンレスなどの合金鋼が挙げられる。このような研掃材の粒子径は特に限定されないが、ブラスト処理後の金属体(M’)の算術平均表面粗さ(Ra)が10μm以上となることが好ましい。
本発明に用いられるEVOH樹脂(A)におけるEVOHは、例えば、エチレンとビニルエステルからなる共重合体をアルカリ触媒等を用いてケン化して得られる。ビニルエステルとしては、酢酸ビニルが代表的なものとして挙げられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。また、EVOHは、共重合成分としてビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有することができる。ここで、ビニルシラン系化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシランが挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。さらに、本発明の目的が阻害されない範囲で、他の共単量体、例えば、プロピレン、ブチレン、あるいは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、もしくは(メタ)アクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸又はそのエステル、及びN−ビニルピロリドンなどのビニルピロリドンを共重合することもできる。
本発明に用いられるEVOH樹脂(A)は、熱安定性や粘度調整の観点で種々の酸や金属塩等の化合物を含有していることが好ましい。この化合物としては、アルカリ金属塩、カルボン酸、リン酸化合物及びホウ素化合物などであり、具体的な例としては次のようなものが挙げられる。
アルカリ金属塩:酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩等。
カルボン酸:シュウ酸、コハク酸、安息香酸、クエン酸、酢酸、乳酸等。
リン酸化合物:リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等。
ホウ素化合物:ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等。
酸化防止剤:2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’, 5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)等。
紫外線吸収剤:エチレン−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
可塑剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステル等。
帯電防止剤:ペンタエリスリトールモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド等。
滑剤:エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレート。
本発明においてEVOH樹脂(A)として、EVOHを炭素−炭素二重結合を有するエポキシ化合物(B)で変性して得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A’)(以下、「変性EVOH樹脂(A’)」と略記することがある。)を用いてもよい。変性EVOH樹脂(A’)は、炭素−炭素二重結合由来の疎水性及び低い結晶化度により、得られる被覆金属体の耐熱水密着性、及び高温かつ湿潤下における長期耐久性が向上するため好ましい。
本発明の被覆金属体は、特定の表面形状を有する金属体(M)に、EVOH樹脂(A)が直接被覆されてなり、65℃、24時間熱水浸漬試験後のEVOH樹脂(A)の剥離強度が1000g/15mm以上である。ここで、特定の表面形状とは、金属体(M)の算術平均粗さ(Ra)が10〜50μmであることを意味し、このような表面形状は上述の通り、例えば、金属表面をブラスト処理及び/又は金属溶射処理を施すことで形成することができる。また、本発明の被覆金属体においては、酸素バリア性を有するEVOH樹脂(A)が金属体(M)に直接被覆されているため、金属体(M)の長期にわたる優れた防食性が保たれる。
本発明の被覆金属体においては、EVOH樹脂(A)上に接着性樹脂層、ポリオレフィン層をこの順に積層することが、高温かつ湿潤環境下における長期耐久性及び耐衝撃性向上の観点から好ましい。金属体(M)を被覆するEVOH樹脂(A)層の厚みは特に限定されないが、10〜1000μmであることが好ましく、20〜500μmであることがより好ましく、30〜300μmであることがより好ましい。ここで、EVOH樹脂(A)上とは、金属体(M)と接していない方のEVOH樹脂(A)の表面を意味する。
接着性樹脂層に用いられる接着性樹脂としては、EVOH(A)との接着性およびポリオレフィン層との融着性が優れたものであれば特に限定されないが、例えば、ポリオレフィンを無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト重合した変性ポリオレフィンなどが挙げられる。また、接着性樹脂層の厚みは特に限定されないが、10〜1000μmが好ましく、20〜500μmがより好ましい。
ポリオレフィン層に用いられるポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。また、用途に応じて当該ポリオレフィン層には、カーボンブラック、着色顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤等を混合してもよい。また、ポリオレフィン層の厚みは特に限定されないが、100〜10000μmが好ましく、300〜5000μmがより好ましい。
本発明の被覆金属パイプは、上記被覆金属体において、金属体(M)が最内面を構成する被覆金属パイプである。本発明の被覆金属パイプは、少なくとも、EVOH樹脂(A)により直接被覆された金属体(M)を有するため、防食性に優れており、長期間の使用でも、腐食が発生しにくい。このような特性を活かして、本発明の被覆金属パイプは石油、天然ガス用のパイプラインとして好適に使用される。
本発明において、表面処理された金属体(M)上に直接EVOH樹脂(A)の被覆を行う、すなわちEVOH樹脂(A)の被膜を形成する方法としては熱プレス法、溶液コート法、溶融押出コート法、粉体塗装法などが挙げられる。これらの中でも産業上、溶融押出コート法、粉体塗装法が好適である。
DMSO−d6を溶媒とした1H−NMR測定(日本電子株式会社製「JNM−GX−500型」を使用)により求めた。
測定に用いる試料を粉砕し、アセトンにより低分子量成分を抽出した後、120℃で、12時間乾燥させた。乾燥後の試料をDMSO−d6を溶媒として、1H−NMR測定(日本電子株式会社製「JNM−GX−500型」を使用)を行い、得られたスペクトルの内、変性EVOHが有する、二重結合を有するエポキシ化合物に由来する二重結合のメチンプロトンのピーク(5.9ppm)又は二重結合のメチレンプロトンのピーク(5.2ppm)と、EVOHの骨格(主鎖)を形成するメチレン部位に由来するピーク(1.4ppm)との面積比、及び使用したEVOHのエチレン含有量から、使用したEVOHのモノマー単位のモル数に対する変性に使用された二重結合を有するエポキシ化合物のモル数として変性度を算出した。
メルトインデクサ(宝工業株式会社製「L244」)を用い、温度190℃、荷重2160g又は温度210℃、荷重2160gの条件下で、試料の流出速度(g/10分)を測定し求めた。
表面粗さ計(株式会社ミツトヨ製「サーフテストSJ−400」)を用い、JIS B 0601:1994年に従い、算術平均表面粗さ(Ra)を測定した。測定は、ガウシアンフィルタを使用し、カットオフ値λc=8mm、λs=25μmとし、測定速度0.5mm/sで行った。
被覆金属体を65℃の熱水に24時間浸漬させた後、金属体を室温まで冷却し、EVOH樹脂の被膜を15mm幅にカットし剥離させた。この時の180°剥離強度を精密万能試験機(株式会社島津製作所製 オートグラフAGS−100kN)を用いて測定した。
JIS K 5600−7−1に従い、被覆金属体の半分の面に対角状に交差する切込み傷(クロスカット)をつけたのち、塩水噴霧試験機(スガ試験機株式会社製「STP−90V」)を用い、35℃の雰囲気下、5%塩化ナトリウム水溶液を720時間噴霧した。試験後、試験片の平面部及びクロスカット部を目視により以下の通り評価を行った。
<基準>
(平面部)
A:被覆に変化はなく、錆も発生していない。
B:被覆に膨れがあり、一部に錆が発生している。
C:被覆に膨れがあり、大部分に錆が発生している。
(クロスカット部)
A:被覆に変化はなく、錆も発生していない。
B:切込みからわずかに被覆が剥がれ、錆が発生している。
C:切り込みから大部分の被覆が剥がれ、錆が発生している。
JIS K 5600−7−9に従い、塩乾湿複合サイクル試験機(スガ試験機株式会社製「CYP−90」)を用い、被覆金属体の半分の面に対角状に交差する切込み傷(クロスカット)をつけたのち、「5%塩水噴霧(35℃、2時間)、温風乾燥試験(60℃、4時間)、湿潤試験(50℃、95%RH、2時間)」の順で行った試験を1サイクルとし、この試験を90サイクル行った。試験後、試験片の平面部及びクロスカット部を目視により以下の通り評価を行った。
<基準>
(平面部)
A:被覆に変化はなく、錆も発生していない。
B:被覆に膨れがあり、部分的に錆が発生している。
C:被覆に膨れがあり、大部分に錆が発生している。
(クロスカット部)
A:被覆に変化はなく、錆も発生していない。
B:切込みからわずかに被覆が剥がれ、錆が発生している。
C:切り込みから大部分の被覆が剥がれ、錆が発生している。
亜鉛アセチルアセトナート一水和物28質量部を1,2−ジメトキシエタン957質量部と混合し、混合液を得た。この混合液に、攪拌しながらトリフルオロメタンスルホン酸15質量部を添加し、触媒溶液を得た。
また、押出機(東芝機械株式会社製「TEM−35BS」、37mmφ、L/D=52.5)を使用し、スクリュー、3つのベントおよび3つの圧入口を設置した。樹脂フィード口を水冷し、スクリュー回転部分の温度を200℃に設定し、スクリュー回転数300rpmで運転した。樹脂フィード口からEVOH(エチレン含有量32モル%、MFR6.0g/10分ケン化度99モル%以上)を20.0kg/hrで入れ、第1圧入口からアリルグリシジルエーテル(AGE)を2.93kg/hrの割合で、および上記触媒溶液を0.5kg/hrの割合で添加した。また、第2圧入口から酢酸ナトリウム0.82質量%水溶液を0.6kg/hrの割合で添加した。第1ベントから減圧で過剰のAGEを除去し、第3圧入口から水を1kg/hrの割合で添加し、第2および第3のベントから減圧で水およびAGEを除去した。これによりAGE変性量1.7モル%、MFR2.0g/10分(190℃、2160g荷重)、融点166℃の変性EVOH樹脂(以下、変性EVOH樹脂(A’−1)とする。)を得た。
ISO21809−1に適合するグリットブラスト処理を施した、150mm×100mm×3mmの鋼板(Fe360B、算術平均表面粗さ(Ra)16.4μm)の表面に、アモルファス合金(ARMACOR M:2Si・30Cr・2.2Mn・3.9Br・BalFe)を厚みが100μmとなるようにアーク溶射した。アーク溶射処理後の鋼板(M1)の算術平均表面粗さ(Ra)は19.4μmであった。
次に、300mm×300mmの鋼板上に鋼板(M1)を乗せ、その上に100μmのスペーサーとEVOH樹脂(A−1)(エチレン含有量44モル%、MFR5.5g/10分(190℃、2160g荷重)、ケン化度99モル%以上)からなるペレット5gを置き、さらに「テフロン」シートを被せた。続いて、熱プレス機(株式会社神藤金属工業所製「卓上テストプレス」)を用いて、230℃、80kgf/cm2の条件で1分間熱プレスすることでEVOH樹脂(A−1)により被覆された実施例1の被覆金属体(1)を作製した。なお、EVOH樹脂(A−1)層の厚みは約100μmであった。
この被覆金属体(1)について、上述の方法により、熱水浸漬試験後の剥離強度、中性塩水噴霧試験及びサイクル腐食試験に対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
EVOH樹脂(A−1)に代えて、エチレン含有量が32モル%であるEVOH樹脂(A−2)(MFR1.8g/10分(190℃、2160g荷重)、ケン化度99モル%以上)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、被覆金属体(2)を作製した。得られた被覆金属体(2)を用いて、実施例1と同様の方法により、熱水浸漬試験後の剥離強度、中性塩水噴霧試験及びサイクル腐食試験に対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
EVOH樹脂(A−1)に代えて、エチレン含有量が27モル%であるEVOH(A−3)(MFR4.0g/10分(210℃、2160g荷重)、ケン化度99モル%以上)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、被覆金属体(3)を作製した。得られた被覆金属体(3)を用いて、実施例1と同様の方法により、熱水浸漬試験後の剥離強度、中性塩水噴霧試験及びサイクル腐食試験に対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1の被覆金属体(1)を室温に冷却後、予め共押出により作製しておいた接着性樹脂(Ad)(三井化学株式会社製 Admer NF500、MFR1.8g/10分(190℃、2160g荷重))/高密度ポリエチレン(HDPE)(MPB社製 Luxene2050、MFR0.45g/10分(190℃、2160g荷重))=40μm/400μmの多層フィルムを、EVOH(A−1)被膜上に150℃、80kgf/cm2の条件で1分間熱プレスし、外側からHDPE層/Ad層/EVOH(A−1)層の順に被覆された実施例4の被覆金属体(4)を作製した。
この被覆金属体(4)を用いて、実施例1と同様の方法により、熱水浸漬試験後の剥離強度、中性塩水噴霧試験及びサイクル腐食試験に対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
EVOH樹脂(A−1)に代えて、製造例1で得られた変性EVOH樹脂(A’−1)(AGE変性量1.7モル%、MFR2.0g/10分(190℃、2160g荷重))を用いたこと以外は実施例1と同様にして、被覆金属体(5)を作製した。得られた被覆金属体(5)を用いて、実施例1と同様の方法により、熱水浸漬試験後の剥離強度、中性塩水噴霧試験及びサイクル腐食試験に対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
ISO21809−1に適合するグリットブラスト処理を施した150mm×100mm×3mmの鋼板(Fe360B、算術平均表面粗さ(Ra)16.4μm)の表面に、純鉄を厚みが100μmとなるようにアーク溶射した。アーク溶射処理後の鋼板(M2)の算術表面平均粗さ(Ra)は14.6μmであった。
次に、鋼板(M2)を用いて実施例1と同様の方法によりEVOH樹脂(A−1)に被覆された、被覆金属体(6)を作製した。
得られた被覆金属体(6)を用いて、実施例1と同様の方法により、熱水浸漬試験後の剥離強度、中性塩水噴霧試験及びサイクル腐食試験に対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例6において、鋼板のアーク処理層の厚みを200μmとし、算術平均表面粗さ(Ra)が19.0μmである鋼板(M3)を用いたこと以外は実施例6と同様にして、被覆金属体(7)を作製した。得られた被覆金属体(7)を用いて、実施例1と同様の方法により、熱水浸漬試験後の剥離強度、中性塩水噴霧試験及びサイクル腐食試験に対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例6において、鋼板のアーク処理層の厚みを300μmとし、算術平均表面粗さ(Ra)が24.1μmである鋼板(M4)を用いたこと以外は実施例6と同様にして、被覆金属体(8)を作製した。得られた被覆金属体(8)を用いて、実施例1と同様の方法により、熱水浸漬試験後の剥離強度、中性塩水噴霧試験及びサイクル腐食試験に対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例6の被覆金属体(6)について、実施例4と同様の方法により、外側からHDPE層/Ad層/EVOH層の順に被覆された実施例9の被覆金属体(9)を作製した。この被覆金属体(9)について、上述の方法により、熱水浸漬試験後の剥離強度、中性塩水噴霧試験及びサイクル腐食試験に対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
ISO21809−1に適合するグリットブラスト処理を施した150mm×100mm×3mmの鋼板(Fe360B、算術平均粗さ(Ra)16.4μm)の表面上に製造例1で得られた変性EVOH樹脂(A’−1)(AGE変性量1.7モル%、MFR2.0g/10分(190℃、2160g荷重))を230℃、80kgf/cm2の条件で1分間熱プレスし、変性EVOH樹脂(A’−1)により被覆された実施例10の被覆金属体(10)を作製した。得られた被覆金属体(10)を用いて、実施例1と同様の方法により、熱水浸漬試験後の剥離強度、中性塩水噴霧試験及びサイクル腐食試験に対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
ブラスト処理及び溶射処理を施していない鋼板(Fe360B、算術平均表面粗さ(Ra)2.1μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、被覆金属体(11)を作製した。得られた被覆金属体(11)を用いて、実施例1と同様の方法により、熱水浸漬試験後の剥離強度、中性塩水噴霧試験及びサイクル腐食試験に対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
アモルファス合金を用いたアーク溶射を施していない鋼板(Fe360B、算術平均表面粗さ(Ra)16.4μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、被覆金属体(12)を作製した。得られた被覆金属体(12)を用いて、実施例1と同様の方法により、熱水浸漬試験後の剥離強度、中性塩水噴霧試験及びサイクル腐食試験に対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例6において、アーク溶射処理時の圧縮空気圧を調整し、溶射層厚み100μm、算術平均表面粗さ(Ra)が51.3μmである鋼板(M5)を得た。鋼板(M2)に代えて鋼板(M5)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、被覆金属体(13)を作製した。得られた被覆金属体(13)を用いて、実施例1と同様の方法により、熱水浸漬試験後の剥離強度、中性塩水噴霧試験及びサイクル腐食試験に対する耐久性を評価した。結果を表1に示す。
2 ブラスト処理後の金属体
3 溶射処理層
4 溶射処理層の厚み
Claims (11)
- 算術平均表面粗さ(Ra)が10〜50μmである金属体(M)上にエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)が直接被覆されてなり、
65℃、24時間熱水浸漬後のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)の剥離強度が1000g/15mm以上である被覆金属体。 - 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)上に接着性樹脂層、ポリオレフィン層がこの順に積層されている請求項1に記載の被覆金属体。
- 前記金属体(M)の表面に、金属の溶射処理による溶射処理層が形成されてなる請求項1または2に記載の被覆金属体。
- 前記溶射処理層の厚みが300μm以下である請求項3に記載の被覆金属体。
- 前記溶射処理に用いられる金属がアモルファス合金である請求項3または4に記載の被覆金属体。
- 前記金属体(M)の表面がブラスト処理されてなる請求項1または2に記載の被覆金属体。
- 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)が、炭素−炭素二重結合を有するエポキシ化合物(B)で変性して得られる、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A’)である請求項1〜6のいずれか1項に記載の被覆金属体。
- 前記エポキシ化合物(B)による変性量が、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)のモノマー単位の全モル数に対して0.1〜10モル%である請求項7に記載の被覆金属体。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の被覆金属体において、金属体(M)が最内面を構成する被覆金属パイプ。
- 算術平均表面粗さ(Ra)が10〜50μmである金属体(M)上に、直接エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)の被覆を行う被覆金属体の製造方法。
- 表面が溶射処理されている金属体(M)上に、熱プレス法、溶融押出コート法および粉体塗装法からなる群より選ばれる少なくとも1つの方法によってエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(A)の被覆を行う請求項10に記載の被覆金属体の製造方法。
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- 2011-03-29 JP JP2011072443A patent/JP5615750B2/ja active Active
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