JP2012202964A - 浸透探傷検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】現像剤を用いずに浸透探傷検査、特に染色浸透探傷検査を簡単に行うことのできる方法を提供する。
【解決手段】本発明は、部材表面に浸透液を塗布して前記部材表面の亀裂等の欠陥を検出する浸透探傷検査方法において、前記部材表面の検査対象範囲に浸透液を付着させる浸透液適用工程と、部材表面の余剰浸透液を除去する浸透液除去工程と、前記検査対称範囲を含む部材に振動を付与する加振工程と、前記加振工程によって付与された振動によって前記浸透液を前記部材表面に浮き出させる表出工程と、前記表出工程により前記部材表面に浮き出た浸透液による指示模様を観察する観察工程と、を備えてなる。
【選択図】図6
【解決手段】本発明は、部材表面に浸透液を塗布して前記部材表面の亀裂等の欠陥を検出する浸透探傷検査方法において、前記部材表面の検査対象範囲に浸透液を付着させる浸透液適用工程と、部材表面の余剰浸透液を除去する浸透液除去工程と、前記検査対称範囲を含む部材に振動を付与する加振工程と、前記加振工程によって付与された振動によって前記浸透液を前記部材表面に浮き出させる表出工程と、前記表出工程により前記部材表面に浮き出た浸透液による指示模様を観察する観察工程と、を備えてなる。
【選択図】図6
Description
本発明は浸透探傷検査方法に関わり、詳しくは、染色浸透探傷検査用の浸透液を用いる浸透探傷検査方法に関する。
材料の非破壊検査法の一種として浸透探傷検査 (PT: penetrant testing) は公知である。浸透探傷検査には、浸透液として染色浸透液を用いる染色浸透探傷検査と、蛍光浸透液を用いる蛍光浸透探傷検査とがある。前者は、染色浸透液、洗浄液、及び現像剤さえあれば行うことができ極めて手軽である上、自然光下、すなわち屋外での検査が容易であるるという利点がある。一方、後者は、暗所環境及びブラックライト設備が必要となる反面、輝きで見る分、色で見る前者よりも欠陥検出精度が高いとも言われている。
染色浸透探傷検査は、周知の通り概ね以下の工程によりなされる。
1)準備及び前処理:検査対象部位の洗浄
2)浸透処理:浸透液の適用
3)洗浄処理:余剰浸透液の除去
4)現像処理:現像剤の適用
5)観察
6)記録
7)後処理:現像粉の除去
1)準備及び前処理:検査対象部位の洗浄
2)浸透処理:浸透液の適用
3)洗浄処理:余剰浸透液の除去
4)現像処理:現像剤の適用
5)観察
6)記録
7)後処理:現像粉の除去
染色浸透探傷検査では、現像剤は無数の隙間がある微細な粒子を含んでおり、この微細な粒子による皮膜を検査表面に作ることで、これら微細粒子間による毛細管現象を引き起こし、これにより亀裂内に染み込んだ浸透液を吸い上げる。このように現像剤に吸い上げられた浸透液が現像剤上に亀裂に沿った模様、すなわち指示模様を描き出し、これにより、亀裂の有無あるいは亀裂の状態を観察することができる。
特許文献1には、浸透探傷検査における特殊な方法が開示されている。その一つは、現像剤で現像された指示模様をセロハンテープで写し採るもの、他の一つは、浸透処理まで終了した検査表面に、現像剤を塗布または含浸させた現像帯片を押し当てて、当該現像帯片に現像指示模様を表出させるものである。
しかしながら、上記公知の染色浸透探傷検査においては以下のような不都合を生じる場合があった。
すなわち、従来の染色浸透探傷検査では現像剤を用いる。現像剤を使用する場合、まず、現像剤の塗布厚み及び現像時間等により、観察結果に個人差が出やすい。
すなわち、従来の染色浸透探傷検査では現像剤を用いる。現像剤を使用する場合、まず、現像剤の塗布厚み及び現像時間等により、観察結果に個人差が出やすい。
また、現像剤を使用する以上、現像剤の吹き付け・拭き取り作業が必須となる。この現像剤は、適用時、すなわち検査部位への吹き付けの際には液状であるが、その後は粉体状に変化する。観察・記録終了後この現像粉を除去するが、その際にこの現像粉が周囲に飛散し、周囲を汚す。さらに、例えば検査場所が放射線環境下である場合には、このような状況はさらに好ましくない。
また、このような探傷検査においては、検査部材の表面の検査部位近傍に、検査に必要な位置、寸法座標系、番号、あるいは記号といった情報を書き込む場合が多い。これは、後に検査結果の記録(例えば写真)を見るような場合に、その記録が何れの部位のものであるかなど、その記録とその実際の対象部位との対応が図れるようにするためである。
しかしながら、従来方法では、検査部位に吹き付けた現像剤によってそのように書き付けた情報が隠されてしまい、探傷結果の記録時(撮影時)には当該情報が記録されない。このため従来は、少なくとも現像剤を吹きかける前までに、そのように検査部位領域に書き付けた情報を一度撮影しておき、検査終了後に例えばPC等を用い、観察画像上に、現像剤で消えてしまった情報(例えば寸法座標系)を合成して書き入れるといった作業をしていた。言うまでもなく、これは手間のかかる作業である。
また、特許文献1に開示の方法も最終的には現像剤を使用するものに他ならず、結局のところ、現像剤を用いることによる上記問題点を払拭することはできない。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、現像剤を全く用いずに浸透探傷検査、特に染色浸透探傷検査を簡単に行うことのできる方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、部材表面に浸透液を塗布して前記部材表面のクラックを検出する浸透探傷検査方法において、前記部材表面の検査対象範囲に浸透液を塗布する塗布工程と、部材表面の余剰浸透液を除去する除去工程と、前記検査対称範囲を含む部材に振動を与える加振工程と、前記加振工程によって付与された振動によって前記浸透液を前記部材表面に浮き出させる表出工程と、前記表出工程により前記部材表面に浮き出た浸透液による指示模様を観察する観察工程と、を備えてなる。
この方法では、振動により浸透液が部材表面に表出する。
この方法では、振動により浸透液が部材表面に表出する。
従って、本発明の浸透探傷検査方法では、前記浸透液として染色浸透探傷検査用の浸透液を用いる。この場合にあっても、現像剤を用いることなく指示模様を観察することができる。
本発明は、前記除去工程と前記加振工程との間に、前記検査対象範囲にシート材を密着貼付して振動によって前記部材表面に浮き出た浸透液を該シート材に転写する転写工程を有し、前記観察工程において、前記転写工程にて前記シート材に転写された浸透液による指示模様を観察する。
この方法は、シート材に指示模様が転写されるため、指示模様の固定及び保管を可能とする。
この方法は、シート材に指示模様が転写されるため、指示模様の固定及び保管を可能とする。
前記シート材として片面を粘着面とされた粘着テープを用い、該粘着テープの前記粘着面に前記浸透液による指示模様を転写すると都合がよい。
転写シートとして粘着テープを用いることにより、粘着テープの粘着面に指示模様が転写されるので、転写は容易である。
転写シートとして粘着テープを用いることにより、粘着テープの粘着面に指示模様が転写されるので、転写は容易である。
部材表面の検査対称範囲に、検査に必要な情報を描き、又は貼付し、前記粘着テープに該情報も同時に転写することができる。
このようにすれば、検査に必要な情報を指示指標と一緒に同じテープに転写することができる。
このようにすれば、検査に必要な情報を指示指標と一緒に同じテープに転写することができる。
加振工程において部材に付与される振動の周波数は、可聴範囲のものでよい。
また、本発明は、前記観察工程を前記加振工程中及び前記表出工程中に実施し、これにより、浸透液が指示模様を表出する際の経時変化を観察するものである。
表出する指示模様の経時的変化を観ることにより、亀裂の深さの大小を推定できる。
表出する指示模様の経時的変化を観ることにより、亀裂の深さの大小を推定できる。
上記の場合に、指示模様の経時的変化前記観察工程における観察は撮影画像、例えばビデオ画像によって行うことができる。
このようにすれば、指示模様の経時的変化を試験時以外の時にも観察可能である。
このようにすれば、指示模様の経時的変化を試験時以外の時にも観察可能である。
少なくとも前記除去工程の後に、部材の前記検査対象範囲を加熱してもよい。
この場合、浸透液の表出をさらに促進できる。
この場合、浸透液の表出をさらに促進できる。
本発明によれば、浸透液を検査対象範囲に浸透液を適用後、検査対称範囲を含む部材に振動を与えることで浸透液が部材表面に表出するため、現像剤を一切用いずに指示模様を観察することができる。このため、現像剤を用いた従来の浸透探傷検査における、上述した現像剤に関する不具合、すなわち観察後の現像粉の周囲飛散、並びに現像剤適用による部材に書き付けた情報の遮蔽と言った問題を解決できる。
さらに、現像剤を用いないため、浸透液の表出の時間的変化を観察することも可能である。この場合、欠陥の亀裂の深さの大小を推定することも可能となる。
また、現像剤を用いる場合には、作業者により現像状態が異なり、欠陥の大きさの判定にバラツキが生じ易いが、本発明では加振条件を(加熱工程を含む場合には加熱条件も)定めることにより判定のバラツキを小さくすることができる。
また、部材表面の検査対象範囲に描いた検査情報を指示模様と一緒にテープに転写させるようにした場合には、試験体そのものに情報が伴うため、当該検査情報を後に符合させる必要がなく、情報の符合ミスを防止できる。
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して説明する。
図1ないし図7は本発明の第1実施形態を示す。
図において、符号1は検査対象である部材、2は部材1の表面、3は該表面2に存在する亀裂(欠陥)である。
以下、これらの図を参照しながら本発明により浸透探傷検査を行う手順について説明する。
図1ないし図7は本発明の第1実施形態を示す。
図において、符号1は検査対象である部材、2は部材1の表面、3は該表面2に存在する亀裂(欠陥)である。
以下、これらの図を参照しながら本発明により浸透探傷検査を行う手順について説明する。
<準備及び前処理>
前記部材1の表面2における検査対象範囲、すなわち亀裂3の周囲をきれいに洗浄する。洗浄は、例えば洗浄液等を拭きつけ、ウエス等により埃や汚れをよく拭き取る。
前記部材1の表面2における検査対象範囲、すなわち亀裂3の周囲をきれいに洗浄する。洗浄は、例えば洗浄液等を拭きつけ、ウエス等により埃や汚れをよく拭き取る。
<浸透液適用工程>
次に、図2に示すように、浸透液4を検査対象範囲に噴霧により付着させる。浸透液4は、従来の染色浸透探傷検査に一般に用いられる赤色の染色浸透液でよい。
図3は、検査対象範囲に浸透液4が塗布された状態を示している。
次に、図2に示すように、浸透液4を検査対象範囲に噴霧により付着させる。浸透液4は、従来の染色浸透探傷検査に一般に用いられる赤色の染色浸透液でよい。
図3は、検査対象範囲に浸透液4が塗布された状態を示している。
<浸透液除去工程>
続いて、図4に示すように、前記工程で検査対象範囲において表面2に適用された洗浄液4をきれいに洗い落とす。
ここまでの工程及び作業は、従来の染色浸透探傷検査と同じである。
続いて、図4に示すように、前記工程で検査対象範囲において表面2に適用された洗浄液4をきれいに洗い落とす。
ここまでの工程及び作業は、従来の染色浸透探傷検査と同じである。
<テープ貼着工程>
続いて、図5に示すように、上記工程によって洗浄された検査対象範囲全体を覆うように表面2にテープ(シート材)5を貼り付ける。この場合テープ5は、片面が粘着面5aとされた市販の粘着テープで構わない。また、該テープ5は透明のものでも不透明のものでもよいが、テープが透明の場合には、テープが付着した状態でも後続の観察を行える利点がある。テープ5は、検査対象範囲全体を一片のテープで(つまり、検査対象範囲でテープのつなぎ目が生じないように)覆うことができる面積のものを用いることが好ましい。
続いて、図5に示すように、上記工程によって洗浄された検査対象範囲全体を覆うように表面2にテープ(シート材)5を貼り付ける。この場合テープ5は、片面が粘着面5aとされた市販の粘着テープで構わない。また、該テープ5は透明のものでも不透明のものでもよいが、テープが透明の場合には、テープが付着した状態でも後続の観察を行える利点がある。テープ5は、検査対象範囲全体を一片のテープで(つまり、検査対象範囲でテープのつなぎ目が生じないように)覆うことができる面積のものを用いることが好ましい。
<加振工程/転写工程>
次に図6に示すように、前記テープ5が貼着された状態の該部材1の検査対象領域に振動を与える。振動は、基本的にはどのような手段により付与しても構わない。加振手段に制限があるとすれば、部材1がおかれている状態によってである。例えば、部材1が、それが本来設けられる箇所から取り外されたものであり、かつ作業環境の整備された作業場で本工程を行う場合には、加振手段に関する選択肢は拡がるであろう。一方、部材1が検査時に或る装置の一部を構成したままであるような場合には、付与する振動が他の箇所に与える影響を考慮する必要があり、加振手段の選択肢は限られてくるかも知れない。加振手段の一例は、汎用の工事用あるいは作業用のバイブレータである。また、部材1が所定の位置から取り外されて、個別の部材として作業場環境におかれているのであれば、該部材1を例えば樹脂ハンマ等によって叩くことによって振動を与えることも可能である。
次に図6に示すように、前記テープ5が貼着された状態の該部材1の検査対象領域に振動を与える。振動は、基本的にはどのような手段により付与しても構わない。加振手段に制限があるとすれば、部材1がおかれている状態によってである。例えば、部材1が、それが本来設けられる箇所から取り外されたものであり、かつ作業環境の整備された作業場で本工程を行う場合には、加振手段に関する選択肢は拡がるであろう。一方、部材1が検査時に或る装置の一部を構成したままであるような場合には、付与する振動が他の箇所に与える影響を考慮する必要があり、加振手段の選択肢は限られてくるかも知れない。加振手段の一例は、汎用の工事用あるいは作業用のバイブレータである。また、部材1が所定の位置から取り外されて、個別の部材として作業場環境におかれているのであれば、該部材1を例えば樹脂ハンマ等によって叩くことによって振動を与えることも可能である。
当該加振工程の目的は、部材1、より詳しくはその検査対象領域に振動を与えることにより、亀裂3内に入り込んだ浸透液4を表面に表出させることにある。上述したように、公知の浸透探傷検査では、現像剤に含まれる無数の微細粒子間による毛細管現象によって亀裂内に染み込んだ浸透液が現像剤に吸い上げれる。これに対し、本願発明では、亀裂3に入り込んだ浸透液4は、振動を受けることによって表面2に滲み出してくるのである。
従って、本発明により部材1に付与する振動の周波数としては、そのような浸透液4の表面2への滲出作用を生ぜしめることが出来るものであれば、特に限定されない。当該周波数は、一般には可聴範囲のものとなる。
加振時間は、振動の与え方にもよるが、10〜30分程度が良い。
<テープ剥がし工程>
部材1に十分に振動を与えたら、次いで図7に示すように、テープ5を表面2から剥がす。そうすると、テープ5の貼着面5aの前記亀裂3に対応していた箇所には浸透液4が付着している。つまり、このようにテープの貼着面5aに転写された浸透液4が指示模様Iとなる。
部材1に十分に振動を与えたら、次いで図7に示すように、テープ5を表面2から剥がす。そうすると、テープ5の貼着面5aの前記亀裂3に対応していた箇所には浸透液4が付着している。つまり、このようにテープの貼着面5aに転写された浸透液4が指示模様Iとなる。
<観察工程>
従って、この指示模様Iを目視観察することにより、亀裂3の有無の判定、及び、亀裂3がある場合のその場所の特定が可能となる。
従って、この指示模様Iを目視観察することにより、亀裂3の有無の判定、及び、亀裂3がある場合のその場所の特定が可能となる。
以上のように、本発明の上記第1実施形態によれば、現像剤を用いずに染色浸透探傷検査を行うことが可能となる。
なお、上記加振工程実施の際、検査対象領域に熱を与えてもよい。それにより、亀裂3からの浸透液4の表出はさらに促進される。加熱の手段も特に問わないが、検査対象領域に熱風を吹きつけるのが最も簡単なやり方である。
図8は、上述した本発明の第1実施形態の変形例である。当図において符号10は、或る設備の一部を構成する配管であり、符号11は該配管10の溶接部である。当図は、溶接部11の検査対象範囲に既に上記テープ5が貼着された状態、すなわち、上述のテープ貼着工程までの工程が完了された状態を示している。
但し、当図に見られるように、検査対象領域には情報12が描かれている。この情報12として、図示例においては、基準座標系、及び寸法あるいは部位といったものを表す数字・記号といったものが描かれている。これらの情報12は、検査者がその後の観察、記録、及び判定に必要なものであって、言うまでもなくこれらのものに限定されない。該情報12は、市販のフェルトペンなどで、検査すべき配管10の表面に直接書かれている。従って、該情報12は、浸透液洗浄工程の後、テープ5の貼着前に書き入れたものである。
図8に示した状態の後、検査対象領域に振動を与える。加振手段は、当該配管10の状況に応じて選択する。上述した汎用のバイブレータの使用が可能でればそれを使用しても良いが、バイブレータによる大きな振動エネルギーが他の箇所に与える影響が懸念される場合には、樹脂ハンマ等で叩いて軽い振動を起こすことを考慮する。如何なる振動も好ましくない箇所には本発明は適用すべきでない。
振動の付与が終了したならば、前記テープ5を配管10から剥がし、該テープ5の粘着面に転写された浸透液による指示模様を観察する。
図9及び図10は、以上説明した本発明の第1実施形態による方法により実施した浸透探傷検査の結果(指示模様)を、従来の染色浸透探傷検査の結果(指示模様)と比較して示した写真を示したものである。両図において、(a)の枝番が付された図は従来法により得られた指示模様Ipを、また(b)の枝番が付された図は、(a)で示した箇所と同一対象について本発明による方法を適用して得られた指示模様Iを示す。従って、図9(a)と図9(b)とは同じ対象箇所に対する検査結果であり、図10(a)と図10(b)とは同じ対象箇所に対する検査結果である。但し、図9と図10とに示した試験対象は互いに異なっている。
一例として、図9(a)と図9(b)とを比較してみると、現像剤を使用する従来法による指示模様Ip(図9(a))は、白色の現像剤とのコントラストに映えて亀裂の形状がくっきりと浮き出ているのが分かる。本発明による方法に指示模様I(図9(b))では、全体として僅かに滲みが見られ、従来法ほど鮮明な指示模様は得られないものの、指示模様の存在及びその形状は明確に観察されることが分かる。
図10に示す結果からは、検査対象すなわち欠陥の態様が異なっても上記同様のことが言えることが分かるであろう。
このように、本願発明によれば、現像剤を用いずに、染色浸透液を用いた浸透探傷検査が可能である。これにより、現像粉の除去といった、従来方法では必要であった後処理を排除することができる。このため、検査場所周囲への現像粉の飛散を全く生じさせない。これは、清掃等の観点から有利であるのみならず、特に放射能環境下において好ましい状況となる。
また、図9(b)及び図10(b)において、テープ5に現れている記号・数字及び座標線は、例えば図8において配管10の表面に書き付けた情報12の一部が、指示模様Iと同様に該テープ5の粘着面5aに転写されたものである。現像剤を使用する従来法では、このように検査対象部位に描いた情報は、現像剤の適用と同時に隠れて見えなくなってしまっていた。そのため従来では、例えば情報を書き込んだ時点で当該情報を撮影しておき、現像後の写真又は画像に、この消える前に撮影しておいた情報を書き込むなどしていた。しかし本願発明によれば、対象部位に書き込んだ情報12が指示模様Iと共にテープ5に転写されるため、そのような手間は一切不要である。
なお、上記の第1実施形態及びその変形例においては、表出浸透液を転写させるための転写材として粘着性のテープ5を用いたが、この転写材は必ずしも粘着テープである必要はなく、表出した浸透液4をある程度忠実に転写できる性質を少なくとも1面を備え、かつその面が表面2に密着するよう固定できるものであれば他のシート材であってもよい。但し、実施形態のような粘着性のテープ5を用いれば、転写材(すなわちテープ自身)の部材1への固定に手間が掛からない上に、粘着剤が好適な転写剤として作用するので、極めて好適である。
また、上記の第2実施形態において、情報12は油性インクを用いたフェルトペンで描いたものである。その場合でも、該情報12は、図に写真に示すようにテープ5の粘着面5aに転写された。これは、テープ5が、粘着面5aに溶剤を含んでいるためと考えられる。但し、本願発明においてこの点は必須ではない。部材1の表面2に描くことができ、かつシート材を押し付けた際に転写されるものの中から情報12の描画手段は選択することができる。
図11ないし図12は本発明の第2実施形態を示す。ここで、図11は、浸透液4を検査対象範囲に適用した後、部材1の表面2から余剰浸透液を除去した状態を示しており、従って第1実施形態で示した図4と同じである。従って、この状態に至るまでの工程も第1実施形態について既に説明したものと変わらない。
本第2実施形態では、図11の状態に続き、図12に示す如く部材1を加振する。先の第1実施形態においては、表面にテープ5を貼付したが、ここではテープを用いない。加振手段に関しては上記第1実施形態のものと同様である。この加振により、亀裂3内に浸透した浸透液4が表面2にまで浮き出てくることは第1実施形態において説明したとおりである。
本第2実施形態では、この表出してくる浸透液4を直接観察する。観察は、図12に示すように目視13によってよいし、またビデオカメラ装置14を用いたものであってもよい。この方法は、浸透液4による表面2への表出現象が完了した後の指示模様Iを観察することも可能ではあるが、それよりも寧ろ、その浸透液4の表出現象を経時的に観察するのが良い。と言うのは、浸透液4の表出の仕方が亀裂3の状態によって異なるからである。すなわち、振動により浸透液4が表出してくるとき、深い亀裂3に入り込んでいた浸透液は、相対的に浅い亀裂3に入り込んでいたそれよりもより長い時間にわたって表出を続ける。従って、この現現象を観察することにより、亀裂3による指示模様が存在した場合に、その中のどの部位の亀裂がより深いかを推察することが可能となる。
なお、上では、観察手段を目視13またはビデオカメラ撮影14として説明したが、指示模様Iの経時的変化が分かるのであれば、写真撮影による連続静止画像でも構わない。
上記第2実施形態による方法おいても、第1実施形態による方法同様、現像剤を用いることなく染色浸透探傷検査が可能となる。そのため、現像剤を用いることにより生ずる上述の問題点を排除できる。
なお、図示はしないが、第1実施形態と第2実施形態を合わせた第3実施形態も可能である。この第3実施形態では、テープ5を用いつつ、浸透剤4の表出状態を外側より観察する。従ってこの場合は、テープ5或いは転写シートとして透明のものを用いる必要がある。この第3実施形態では、浸透剤4の表出状態を観察と、転写シートに転写されて固定された指示模様の観察との双方が可能となる。
本発明は、浸透探傷検査、それも染色浸透探傷検査に適用して好適であり、特に、現像剤の使用が問題となる場合における染色浸透探傷検査に適用して好適である。
1 部材
2 表面
3 亀裂(欠陥)
4 浸透液
5 テープ(シート材)
5a 粘着面
12 情報
13 目視
14 ビデオカメラ装置
I 指示模様(本発明)
Ip 指示模様(従来)
2 表面
3 亀裂(欠陥)
4 浸透液
5 テープ(シート材)
5a 粘着面
12 情報
13 目視
14 ビデオカメラ装置
I 指示模様(本発明)
Ip 指示模様(従来)
Claims (8)
- 部材表面に浸透液を塗布して前記部材表面の亀裂等の欠陥を検出する浸透探傷検査方法において、
前記部材表面の検査対象範囲に浸透液を付着させる浸透液適用工程と、
部材表面の余剰浸透液を除去する浸透液除去工程と、
前記検査対称範囲を含む部材に振動を付与する加振工程と、
前記加振工程によって付与された振動によって前記浸透液を前記部材表面に浮き出させる表出工程と、
前記表出工程により前記部材表面に浮き出た浸透液による指示模様を観察する観察工程と、
を備えてなる浸透探傷検査方法。 - 請求項1記載の浸透探傷検査方法において、
前記浸透液は染色浸透探傷検査用の浸透液であることを特徴とする浸透探傷検査方法。 - 請求項2記載の浸透探傷検査方法において、
前記浸透液除去工程と前記加振工程との間に、前記検査対象範囲にシート材を密着貼付して振動によって前記部材表面に浮き出た浸透液を該シート材に転写する転写工程を有し、
前記観察工程において、前記転写工程にて前記シート材に転写された浸透液による指示模様を観察することを特徴とした浸透探傷検査方法。 - 請求項3記載の浸透探傷検査方法において、
前記シート材として片面を粘着面とされた粘着テープを用い、該粘着テープの前記粘着面に前記浸透液による指示模様を転写することを特徴とする浸透探傷検査方法。 - 請求項4記載の浸透探傷検査方法において、
前記浸透液除去工程の後に、部材表面の検査対称範囲に、検査に必要な情報を描き、前記粘着テープに該情報も同時に転写することを特徴とする浸透探傷検査方法。 - 請求項1記載の浸透探傷検査方法において、
前記観察工程が前記加振工程中及び前記表出工程中に実施され、これにより浸透液が指示模様を表出する際の経時変化を観察することを特徴とする浸透探傷検査方法。 - 請求項6記載の浸透探傷検査方法において、前記観察工程における観察は撮影画像によってなされることを特徴とする浸透探傷検査方法。
- 請求項1ないし7の何れか1項記載の浸透探傷検査方法において、少なくとも前記除去工程の後に、部材の前記検査対象範囲を加熱する工程を含むことを特徴とする浸透探傷検査方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105223205A (zh) * | 2015-09-16 | 2016-01-06 | 中广核检测技术有限公司 | 核电站蒸汽发生器分隔板远程视频检查及测量系统 |
CN113664166A (zh) * | 2021-06-30 | 2021-11-19 | 武汉钢铁有限公司 | 一种振痕深度的测定方法 |
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2011
- 2011-03-28 JP JP2011070769A patent/JP2012202964A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105223205A (zh) * | 2015-09-16 | 2016-01-06 | 中广核检测技术有限公司 | 核电站蒸汽发生器分隔板远程视频检查及测量系统 |
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