JP2012202314A - 蒸気タービンの湿分除去装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ダイヤフラム内輪2と、ダイヤフラム内輪2の半径方向外側に配置されたダイヤフラム外輪3と、これらダイヤフラム内輪2およびダイヤフラム外輪3に支持されるとともに、周方向に所定間隔をあけて配列された複数個のタービンノズル1と、タービンノズル1の後縁端に隣接し、周方向に所定間隔をあけて配列されるようにタービンロータ5に取り付けられた複数個の羽根4と、タービンノズル1の腹側表面1a上にその中間部から後縁端に亘る部位に設けられ、周囲のタービンノズル1の腹側表面1aと同一面で滑らかな表面を有し、電力の供給を受けて発熱する電熱部6と、から構成した。
【選択図】図1
Description
以下、本発明に係る蒸気タービン湿分除去装置の第1の実施形態について、図1(a)、(b)を用いて説明する。
図1は第1の実施形態のタービン湿分除去装置の構成を示す図であり、図1(a)は任意のタービン段落を示す図であり、図1(b)は図1(a)のタービンノズルのA−A´断面図である。
作動流体である蒸気の流れ8がタービンノズル1に流入すると、飽和蒸気の膨張に伴う蒸気温度の低下によって翼前縁端付近で蒸気が凝縮し、液滴9が発生する。この液滴9が液膜7を形成しながらタービンノズル1の腹側表面1a上をタービンノズル後縁端に向かって流れ、タービンノズル後縁端に達する再び液滴となって飛散し、回転している羽根4に衝突する。
この際、飛散した液滴は比較的大きく、羽根4の背側前縁に衝突するため、羽根の回転に制動力をかけ、制動損失を発生させる。
以上述べたように、本実施形態の蒸気タービンの湿分除去装置によれば、タービンノズル1の腹側表面1aの蒸気の流れ方向の液膜7が形成される中間部からタービンノズル後縁端に亘る部位に対して湿分除去手段としての電熱部6を設け、腹側表面1a上をタービンノズル後縁端に向かって流れる液膜7を電熱部6により加熱蒸発させるようにしたので、作動蒸気中の湿りが低減され、湿り損失の主要因となる比較的大きな液滴が生成される量を皆無または抑制することができ、タービンの効率が向上し、羽根のエロージョンも抑制することが可能となる。
以下、本発明に係る蒸気タービン湿分除去装置の第2の実施形態について、図2を用いて説明する。
図2において、本発明に係る第2の実施形態を示すタービン湿分除去装置は、第1の実施形態(図1)のタービン湿分除去装置に液膜検知センサを付加したことを特徴とするものである。
なお、電熱部6および液膜検知センサ14の表面は、周囲の腹側表面1aの部位と連続するようにかつ、表面が滑らかに加工され翼の摩擦損失が増えないようにしている。
制御装置11Aは、液膜検知センサ14からの液膜検知信号を入力したときは、電気ケーブル12を介して電熱部6に電力を供給して発熱させることにより液膜7を蒸発させ、逆に液膜検知センサ14からの液膜検知信号が入力されないときには、電熱部6への電力供給を遮断するように機能する。
以上述べたように、本実施形態の蒸気タービンの湿分除去装置によれば、電熱部6に加えて液膜検知センサ14を設け、この液膜検知センサ14が液膜を検知したとき、又は検知しないときの状況に合わせて電熱部6に供給する電力をオン又はオフさせるように制御したので、湿分除去に使用する電力の消費量を必要最小限に抑えながら、液膜7を蒸発させることによって、タービンの湿り損失を低減させ、効率の良いタービンの提供が可能となる。
以下、本発明に係る蒸気タービン湿分除去装置の第3の実施形態について、図3(a)、(b)を参照して説明する。
図3(a)、(b)において、本発明に係る第3の実施形態を示すタービン湿分除去装置は、第1の実施形態のタービン湿分除去装置に圧電素子13を付加したことを特徴とするものである。
低圧段のタービンノズル1では下流に向かって湿り度が増加し、通路部を流れる液滴9はタービンノズル1の腹側に液膜7を形成する。また、ノズル1は通路部の蒸気の流れ8によって圧力を受ける。ノズル1表面に取り付けられた圧電素子13にはノズル1の受ける蒸気の流れ8の圧力によって起電力が発生する。この圧電素子13で発生した起電力を導線12を経て電熱部6に給電することによって電熱部6にジュール熱を発生させて液膜7を蒸発させる。なお、ノズル1は通路部の蒸気流れ8によって微小振動するので、ノズル1の腹側表面1aに取り付けられた圧電素子13には、蒸気圧力による起電力と振動エネルギーによって生じた起電力とが加算された起電力が生じる。
以上述べたように、本実施形態の蒸気タービンの湿分除去装置によれば、タービンノズル1の腹側表面1aに貼り付けた圧電素子13で発生した電力によって電熱部6を発熱させるようにしたので、第1の実施形態が奏する作用効果に加え、電力量設定装置11および電気ケーブル10の省略による構成の簡素化を図ることができる。
以下、本発明に係る蒸気タービン湿分除去装置の第4の実施形態について、図4(a)、(b)を参照して説明する。
図4(a)、(b)において、本発明に係る第4の実施形態を示すタービン湿分除去装置は、タービンノズル1の腹側表面1aの液膜7が形成される中間部からタービンノズル後縁端に亘る部位に形成した段差部1bに対して、電熱部6および圧電素子13を貼り付けるほかに、タービンノズル1の腹側表面1aの液膜を感知する液膜検知センサ14を取付けるように構成したものである。
なお、本実施形態の場合も電熱部6、圧電素子13および液膜検知センサ14の表面は腹側表面1aの周囲の部位と連続するように構成されていることは言うまでもない。
低圧段のタービンノズル1では下流に向かって湿り度が増加し、通路部を流れる液滴9はタービンノズル1の腹側に液膜7を形成する。また、ノズル1は通路部の蒸気流れ8によって微小振動する。第2の実施形態と同様に、ノズル1表面に取り付けられた圧電素子13は振動エネルギーによって起電力を発生し、この起電力によってノズル1表面に取り付けた液膜検知センサ14に電力が供給される。電熱部6は、図示しない電源装置から液膜検知センサ14の信号に応じた大きさの電力を供給されて発熱し、液膜7を蒸発させる。
以上述べたように、本実施形態の蒸気タービンの湿分除去装置によれば、タービンノズル1の腹側表面1aに電熱部6、圧電素子13および液膜検知センサ14を設け、液膜検知センサ14の出力信号に応じて電熱部6を発熱させるように構成したので、第1、2の実施形態に比べて適切に液膜7を蒸発させることができる。しかも、液膜検知センサ14の動作に必要な電力は圧電素子13の発生電力で賄うように構成したので、外部回路との接続構成が簡単になる。その他は、第1の実施形態乃至第3の実施形態の奏する作用効果と同じである。
以下、本発明に係る蒸気タービン湿分除去装置の第5の実施形態について、図5(a)、(b)を参照して説明する。
図5(a)、(b)において、本発明に係る第5の実施形態を示すタービン湿分除去装置は、タービンノズル1の腹側表面1aおよびダイヤフラム外輪3の蒸気流れ8に面した位置に圧電素子13を取付け、さらに、ダイヤフラム外輪3の一部に空間部を設け、この空間部内に蓄電池15を収容し、この蓄電池15と電熱部6、圧電素子13、液膜検知センサ14を導線12により電気的に接続するようにしたものである。
低圧段のタービンノズル1では下流に向かって湿り度が増加し、通路部を流れる液滴9はタービンノズル1の腹側に液膜7を形成する。また、ノズル1は通路部の蒸気流れ8によって微小振動する。ノズル1表面およびダイヤフラム外輪3表面に取り付けられた圧電素子13は蒸気流れ8による圧力および振動エネルギーに基づいて起電力を発生し、この起電力を蓄電池15に蓄える。液膜検知センサ14および電熱部6には、蓄電池15に蓄えられた電力が供給される。
以上述べたように、本実施形態の蒸気タービンの湿分除去装置によれば、液膜検知センサ14および電熱部6には蓄電池15に蓄えられた電力を供給するようにしたので、第1の実施形態のようにタービンケーシング外部から供給する必要はなくなり、その分構成が簡素化される。その他は、第1の実施形態乃至第3の実施形態の奏する作用効果と同じである。
以下、本発明に係る蒸気タービン湿分除去装置の第6の実施形態について、図6を用いて説明する。
図6は本発明に係る第6の実施形態を示すタービン湿分除去装置を示すもので、特に翼長の長い下流側タービン段落を示す図である。
本実施形態のタービン湿分除去装置は、液滴の流れる軌跡に対応して電熱部6をダイヤフラム外輪3側(またはケーシング側)に偏って配置することを特徴とするものである。
蒸気の流れ8は図示のように、第1タービン段落(ノズル11、羽根41)から第2タービン段落(ノズル12、羽根42)さらに第3タービン段落(ノズル13、羽根43)へと進むにつれてタービンノズル1および羽根4の長さが大きくなることから、各タービン段落を通過する蒸気もダイヤフラム外輪3側(またはケーシング側)へ広がる。しかも蒸気の流れ8は、羽根4を回転させる仕事を行うため、徐々にエネルギーを失い、凝縮して液滴となる。
以上のように構成したことにより、翼高さ29のほぼ中央部からダイヤフラム外輪3側(またはケーシング側)にかけて多く存在する液膜7を集中的に加熱することができ、しかも、電熱部6の面積を小さくして必要な箇所のみに加熱することができるので、液膜蒸発のために使用する熱量すなわち電力を少なくすることが可能となる。さらに、電熱部6を広範囲に設けることが無いため、コストダウンが可能となる。
その他は、第1の実施形態の奏する作用効果と同じである。
以下、本発明に係る蒸気タービン湿分除去装置の第7の実施形態について、図7を用いて説明する。
図7において、本発明に係る第7の実施形態を示すタービン湿分除去装置は、液滴の流れる軌跡に対応して電熱部6および液膜検知センサ14をダイヤフラム外輪3側(またはケーシング側)に偏って配置することを特徴とするものである。
液膜検知センサ14から得られる情報はセンサ信号線30を介して制御装置11Aに送られる。制御装置11Aでは、液膜検知センサ14から得た情報に基づいて演算して液膜の分布を推定し、その推定結果に基づいてどの部位の加熱装置に電気を送るかを判断する。そして、その判断結果に基づいて電気ケーブル10を介して対応する加熱装置6に給電し、発熱させる。
Claims (8)
- タービンロータの外周部に間隙を介して配置されたダイヤフラム内輪と、前記ダイヤフラム内輪の半径方向外側に配置されたダイヤフラム外輪と、これらダイヤフラム内輪およびダイヤフラム外輪に支持されるとともに、周方向に所定間隔をあけて配列された複数個のタービンノズルと、前記タービンノズルの後縁端に隣接し、かつ、周方向に所定間隔をあけて配列されるように前記タービンロータに取り付けられた複数個の羽根と、からなるタービン段落を1段または複数段有する蒸気タービンの湿分除去装置において、
前記タービンノズルの腹側表面上の中間部から後縁端に亘る部位に、周囲のタービンノズルの腹側表面と同一面で滑らかな表面を有する電熱部を設けたことを特徴とする蒸気タービンのタービン湿分除去装置。 - 前記電熱部の近傍に液膜検知センサを設け、当該液膜検知センサの検出信号に基づいて前記電熱部に供給する電力を制御することを特徴とする請求項1記載の蒸気タービンのタービン湿分除去装置。
- 前記電熱部の近傍に圧電素子を取り付けたことを特徴とする請求項1記載の蒸気タービンのタービン湿分除去装置。
- 前記圧電素子で発生した電力を前記液膜検知センサに供給するようにしたことを特徴とする請求項1記載の蒸気タービンのタービン湿分除去装置。
- 前記圧電素子で発生した電力を前記電熱部に供給するようにしたことを特徴とする請求項1記載の蒸気タービンのタービン湿分除去装置。
- 前記ダイヤフラム外輪に設けた空間部に蓄電池を収容し、当該蓄電池に前記圧電素子で発生した電気を蓄積するとともに、当該蓄電池により前記電熱部および液膜検知センサに給電することを特徴とする請求項2記載の蒸気タービンのタービン湿分除去装置。
- 前記タービンノズルの表面を加熱する範囲を、翼高さのほぼ中央よりも前記ダイヤフラム外輪側としたことを特徴とする請求項1記載の蒸気タービンのタービン湿分除去装置。
- 前記液膜検知センサおよび前記電熱部を複数設け、前記液膜検知センサの検出信号に基づいて前記複数の電熱部の中から加熱すべき電熱部を選択して給電する制御装置を有することを特徴とする請求項2記載の蒸気タービンのタービン湿分除去装置。
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