JP5173646B2 - 蒸気タービン - Google Patents
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Description
このような湿り蒸気流れでは、水滴の発生や成長に伴って熱力学的、流体力学的なエネルギー損失、いわゆる湿り損失が付加され、タービン効率を低下させる。この湿り損失は、水滴の発生に伴って生ずる潜熱移動、壁面上に形成される水膜流や飛散水滴の加速、さらに水滴の衝突による制動力など蒸気タービン特有の損失である。
また、高速で回転するタービン動翼に水滴が衝突すると、翼表面がエロージョンを受け易く、信頼性低下につながる恐れがある。
また、簡素化する意味で、たとえば、特許文献1および特許文献2に示されるように蒸気タービンの車室内にドレン分離手段を設けて、ドレンを蒸気から分離するものが提案されている。
これらは、動翼と静翼との間の外周側位置に、入口部が軸線方向に突起したドレンキャッチャを有するドレン回収用の空間を設けている。動翼の翼面に堆積した水滴は遠心力によって翼先端側に移動し、シュラウド部より飛散し、遠心力により外周側の空間に入り、外部に排出される。
このとき、シュラウドの内側面に形成される水の膜厚が厚くなっているので、シュラウド端部から飛散する水滴がその分大きくなる。また、水膜にかかる摩擦抵抗が大きいため、その飛散方向が不安定となる。
このため、大きな水滴が予期に反して下流側に飛散し、たとえば、動翼に対し大きな性動力を与える等の湿り損失が発生する恐れがある。
本発明の第一態様は、軸線方向に略平行に延在するシュラウドを先端部に有する動翼と、該動翼および次段落の静翼の間で蒸気流路よりも外周側位置に内周側が開口した溝状に形成された前記シュラウドの後縁部分から飛散するドレンを回収するドレン回収空間と、該ドレン回収空間の入口近傍における前記動翼側および前記静翼側にそれぞれ該ドレン回収空間に向けて突出した前記シュラウドの後縁部分から飛散するドレンを受けるドレンキャッチャと、を備え、前記シュラウドの後縁部分は、その内側面が後縁に向かうにしたがって徐々に外周側に位置するように形成されていることを特徴とする。
シュラウド部より飛散し、遠心力により外周側のドレン回収空間に入り、外部に排出される。
シュラウドの後縁部分は、その内側面が後縁に向かうにしたがって徐々に外周側に位置するように形成されている、言い換えると、後縁部分の内側面は外周側に向かうように傾斜されている、ので、水滴に作用する摩擦抵抗は小さくなる。水滴に対する摩擦抵抗が小さくなると、水滴が滑らかに、素早く移動するので、滞留する量が減少し、後縁に至る水の膜厚が小さくなる。このため、後縁から分離する水の量が小さくなるので、シュラウドから飛散する水滴の径を小さくすることができる。
このように、後縁からの水滴は安定して外周側に飛散するので、外周側に溝上に形成されたドレン回収空間に導入され、確実に湿分を除去することができる。また、飛散する水滴が小さいので、もし、それが下流側に飛散し動翼等に衝突しても制動力は小さくなる。
したがって、湿り損失を低減することができる。
なお、後縁部分の断面形状における内側面形状は直線的に傾斜してもよいし、曲線的に傾斜してもよい。
このようにすると、後縁に外周方向に沿う端面が存在しないので、後縁における水切りが一層滑らかに行われ、一層水滴を小さく、かつ、外周側に安定して飛散させることができる。
このようにすると、水滴をより確実にドレン回収空間へ送り込むことができる。
これにより、確実に湿分を除去することができるので、湿り損失を低減することができる。
図1は、本実施形態にかかる原子力タービンの高圧段における中間段落の一部を示す部分断面図である。
ロータに突出して円筒状に設けられた図示しないディスクの外周面には、外方に向けて放射状に突出する多数の動翼3が、軸線方向Lに沿って間隔を空けて複数段取り付けられている。
静翼9と動翼3とは、軸線方向Lに沿って交互に配置され、蒸気が通過する蒸気流路11を形成している。
隣り合う静翼9と動翼3とが組となって段落を構成している。原子力タービン等の蒸気タービンでは、この段落がロータの軸線方向Lに複数段落配置されている。
シールリング13の内周面には、リング状に突出した複数のフィン15が備えられ、シュラウド5の外側面17とでラビリンスシール構造を形成している。これは、蒸気がシュラウド5とケーシング1との間を通過するのを抑制するものである。
傾斜面25は、外側面17と後縁21において鋭角に交差している。傾斜面25と外側面17とで形成される後縁部23は、鋭い形状とされている。
シュラウド5の内側面19における前縁から後縁部23までの間は、若干外周側に向かい傾斜するようにされている。
ドレン回収空間27の入口近傍における動翼3側のケーシング1にドレン回収空間27の内側に向けて突出した動翼側ドレンキャッチャ29が設けられている。
ドレン回収空間27の入口近傍における静翼9側の仕切板外輪7にドレン回収空間27の内側に向けて突出した静翼側ドレンキャッチャ29が設けられている。
ドレン回収空間27の外周面には、ケーシング1にドレンを排出する流路35が備えられている。
このドレン回収空間27等は、原子力タービンの高圧段における中間段落の部分に備えられている。
原子力タービンは、湿り蒸気条件下で作動されているので、蒸気流路11を流れるとき、水滴が発生し、成長する。この水滴が、たとえば、動翼3の翼面に付着して堆積される。
この動翼3の翼面に堆積した水滴は遠心力によって翼先端側に移動し、かつ、蒸気流路11を流れる蒸気流によって下流側に移動する。この移動により水滴はシュラウド5の内側面19に当接し、滞留する。そして、水の膜を形成しつつシュラウド5の内側面19に案内されてシュラウド5の端部に移動する。
水膜は後縁21に至ると、シュラウド5の制約から離れるので、順次水滴として飛散することになる。
このとき、後縁21から分離する水の量が小さくなるので、シュラウド5から飛散する水滴の径を小さくすることができる。
これに後縁21で分離され、水滴となる際、遠心力が作用するので、水滴は安定してドレン回収空間27の開口部に向けて飛散させられる。
ドレン回収空間27に入った水は、流路35等から外部に排出される。
また、飛散する水滴が小さいので、もし、それが下流側に飛散し動翼3等に衝突しても制動力は小さくなる。
したがって、原子力タービンにおける湿り損失を低減することができる。
本実施形態では、本発明を原子力発電に用いられる原子力タービンの高圧段に適用しているが、火力発電に用いられる低圧タービンに適用してもよい。
さらに、本実施形態では傾斜面25は断面形状において曲線的に傾斜するようにされているが、これは、図3に示されるように曲面、すなわち、断面形状において曲線的に傾斜するようにしてもよい。
5 シュラウド
9 静翼
11 蒸気流路
17 外側面
19 内側面
21 後縁
23 後縁部分
25 傾斜面
27 ドレン回収空間
29 動翼側ドレンキャッチャ
31 静翼側ドレンキャッチャ
33 外周側端部
L 軸線方向
Claims (3)
- 軸線方向に略平行に延在するシュラウドを先端部に有する動翼と、
該動翼および次段落の静翼の間で蒸気流路よりも外周側位置に内周側が開口した溝状に形成された前記シュラウドの後縁部分から飛散するドレンを回収するドレン回収空間と、
該ドレン回収空間の入口近傍における前記動翼側および前記静翼側にそれぞれ該ドレン回収空間に向けて突出した前記シュラウドの後縁部分から飛散するドレンを受けるドレンキャッチャと、を備え、
前記シュラウドの後縁部分は、その内側面が後縁に向かうにしたがって徐々に外周側に位置するように形成されていることを特徴とする蒸気タービン。 - 前記シュラウドは、後縁において外側面と前記内側面とが交差するようにされていることを特徴とする請求項1に記載された蒸気タービン。
- 前記シュラウドの後縁における前記内側面の延長位置は、前記静翼側の前記ドレンキャッチャの外周側端部よりも外周側に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載された蒸気タービン。
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