JP2012201873A - 保護膜形成用フィルム、およびチップ用保護膜形成用シート - Google Patents

保護膜形成用フィルム、およびチップ用保護膜形成用シート Download PDF

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Abstract

【課題】均一性が高く、厳しい温度条件下に曝された場合であっても、高い信頼性を有する半導体装置を製造可能な保護膜形成用フィルムを提供する。
【解決手段】保護膜形成用フィルムは、バインダーポリマー成分(A)、硬化性成分(B)、着色剤(C)および多孔質シリカ(D)を含有する。また、前記多孔質シリカ(D)の含有量が、保護膜形成用フィルムを構成する全固形分100重量部に対して1〜80重量部である〔1〕に記載の保護膜形成用フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体チップ裏面に保護膜を形成でき、かつチップの製造効率の向上が可能な保護膜形成用シートに関する。特にいわゆるフェースダウン(face down)方式で実装される半導体チップの製造に用いられる保護膜形成用シートに関する。また、本発明は、保護膜形成用シートを用いた半導体チップの製造方法に関する。
近年、いわゆるフェースダウン(face down)方式と呼ばれる実装法を用いた半導体装置の製造が行われている。フェースダウン方式においては、回路面上にバンプなどの電極を有する半導体チップ(以下、単に「チップ」ともいう。)が用いられ、該電極が基板と接合される。このため、チップの回路面とは反対側の面(チップ裏面)は剥き出しとなることがある。
この剥き出しとなったチップ裏面は、有機膜により保護されることがある。従来、この有機膜からなる保護膜を有するチップは、液状の樹脂をスピンコート法によりウエハ裏面に塗布し、乾燥し、硬化してウエハとともに保護膜を切断して得られる。しかしながら、このようにして形成される保護膜の厚み精度は充分でないため、製品の歩留まりが低下することがあった。
上記問題を解決するため、剥離シートと、該剥離シート上に形成された、熱又はエネルギー線硬化性成分とバインダーポリマー成分とからなる保護膜形成層を有する保護膜形成用シートが開示されている(特許文献1)。
さらに、半導体チップが薄型化・高密度化しつつある現在においては、厳しい温度条件下に曝された場合であっても、保護膜付チップを実装した半導体装置には、さらに高い信頼性を有することが要求されている。
特開2002−280329号公報
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、均一性が高く、厳しい温度条件下に曝された場合であっても、高い信頼性を有する半導体装置を製造可能な保護膜形成用フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、以下の要旨を含む。
〔1〕バインダーポリマー成分(A)、硬化性成分(B)、着色剤(C)および多孔質シリカ(D)を含有する保護膜形成用フィルム。
〔2〕前記多孔質シリカ(D)の含有量が、保護膜形成用フィルムを構成する全固形分100重量部に対して1〜80重量部である〔1〕に記載の保護膜形成用フィルム。
〔3〕前記多孔質シリカ(D)がメソポーラス構造を有する〔1〕または〔2〕に記載の保護膜形成用フィルム。
〔4〕前記多孔質シリカ(D)の平均細孔直径が1〜50nmである〔3〕に記載の保護膜形成用フィルム。
〔5〕硬化後の全光線透過率が30%以下である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の保護膜形成用フィルム。
〔6〕硬化後の表面に印字可能である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の保護膜形成用フィルム。
〔7〕上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の保護膜形成用フィルムと、該フィルムの一方の面に仮着された第1の剥離シートとを有するチップ用保護膜形成用シート。
〔8〕上記〔7〕に記載のチップ用保護膜形成用シートの保護膜形成用フィルムの他方の面に、第2の剥離シートが仮着されたチップ用保護膜形成用シート。
半導体チップ裏面に保護膜を形成する際に、本発明に係る保護膜形成用フィルムあるいはチップ用保護膜形成用シートを用いることで、半導体チップ裏面に均一性の高い保護膜を形成することができる。また、該保護膜は多孔質シリカを含有するために耐熱性が高い。その結果、該保護膜付きの半導体チップを実装した半導体装置は、厳しい温度条件下において、高い信頼性を有する。
以下、本発明について、その最良の形態も含めてさらに具体的に説明する。本発明に係る保護膜形成用フィルムは、バインダーポリマー成分(A)、硬化性成分(B)、着色剤(C)および多孔質シリカ(D)を含有する。該保護膜形成用フィルムは、通常は剥離シート上に剥離可能に形成され、積層品である保護膜形成用シートとして使用される。以下、本発明の保護膜形成用フィルムおよび、剥離シートと保護膜形成用フィルムとの積層品であるチップ用保護膜形成用シート、ならびにこれらの使用方法について説明する。
(A)バインダーポリマー成分
保護膜形成用フィルムに十分な接着性および造膜性(シート加工性)を付与するためにバインダーポリマー成分(A)が用いられる。バインダーポリマー成分(A)としては、従来公知のアクリルポリマー、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系ポリマー等を用いることができる。
バインダーポリマー成分(A)の重量平均分子量(Mw)は、1万〜200万であることが好ましく、10万〜150万であることがより好ましい。バインダーポリマー成分(A)の重量平均分子量が低過ぎると保護膜形成用フィルムと剥離シートとの粘着力が高くなり、保護膜形成用フィルムの転写不良が起こることがあり、高過ぎると保護膜形成用フィルムの接着性が低下し、チップ等に転写できなくなったり、あるいは転写後にチップ等から保護膜が剥離することがある。
バインダーポリマー成分(A)として、アクリルポリマーが好ましく用いられる。アクリルポリマーのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−60〜50℃、さらに好ましくは−50〜40℃、特に好ましくは−40〜30℃の範囲にある。アクリルポリマーのガラス転移温度が低過ぎると保護膜形成用フィルムと剥離シートとの剥離力が大きくなって保護膜形成用フィルムの転写不良が起こることがあり、高過ぎると保護膜形成用フィルムの接着性が低下し、チップ等に転写できなくなったり、あるいは転写後にチップ等から保護膜が剥離することがある。
上記アクリルポリマーを構成するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体が挙げられる。例えば、アルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレート、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、環状骨格を有する(メタ)アクリレート、具体的にはシクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレートなどが挙げられる。さらに官能基を有するモノマーとして、水酸基を有するヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられ;その他、エポキシ基を有するグリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アクリルポリマーは、水酸基を有しているモノマーを含有しているアクリルポリマーが、後述する硬化性成分(B)との相溶性が良いため好ましい。また、上記アクリルポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレンなどが共重合されていてもよい。
さらに、バインダーポリマー成分(A)として、硬化後の保護膜の可とう性を保持するための熱可塑性樹脂を配合してもよい。そのような熱可塑性樹脂としては、重量平均分子量が1000〜10万のものが好ましく、3000〜1万のものがさらに好ましい。熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、好ましくは−30〜150℃、さらに好ましくは−20〜120℃のものが好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレンなどが挙げられる。上記範囲の熱可塑性樹脂を含有することにより、保護膜形成用フィルムの転写面に保護膜形成用フィルムが追従しボイドなどの発生を抑えることができる。
(B)硬化性成分
硬化性成分(B)は、熱硬化性成分および/またはエネルギー線硬化性成分が用いられる。
熱硬化性成分としては、熱硬化樹脂および熱硬化剤が用いられる。熱硬化樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂およびこれらの混合物等が挙げられ、これらの中でも、エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂としては、具体的には、多官能系エポキシ樹脂や、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルやその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂など、分子中に2官能以上有するエポキシ化合物が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
保護膜形成用フィルムには、バインダーポリマー成分(A)100重量部に対して、熱硬化樹脂が、好ましくは1〜1500重量部、より好ましくは10〜500重量部、特に好ましくは20〜200重量部含まれる。熱硬化樹脂の含有量が1重量部未満であると十分な接着性が得られないことがあり、1500重量部を超えると保護膜形成用フィルムと剥離シートとの剥離力が高くなり、保護膜形成用フィルムの転写不良が起こることがある。
熱硬化剤は、熱硬化樹脂、特にエポキシ樹脂に対する硬化剤として機能する。好ましい熱硬化剤としては、1分子中にエポキシ基と反応しうる官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。その官能基としてはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基および酸無水物などが挙げられる。これらのうち好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基、酸無水物などが挙げられ、さらに好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
フェノール系硬化剤の具体的な例としては、多官能系フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂が挙げられる。アミン系硬化剤の具体的な例としては、DICY(ジシアンジアミド)が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
熱硬化剤の含有量は、熱硬化樹脂100重量部に対して、0.1〜500重量部であることが好ましく、1〜200重量部であることがより好ましい。熱硬化剤の含有量が少ないと硬化不足で接着性が得られないことがあり、過剰であると保護膜形成用フィルムの吸湿率が高まり半導体装置の信頼性を低下させることがある。
エネルギー線硬化性成分としては、エネルギー線重合性基を含み、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する化合物(エネルギー線重合性化合物)を用いることができる。このようなエネルギー線硬化性成分として具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレート系オリゴマー、エポキシ変性アクリレート、ポリエーテルアクリレートおよびイタコン酸オリゴマーなどのアクリレート系化合物が挙げられる。このような化合物は、分子内に少なくとも1つの重合性二重結合を有し、通常は、重量平均分子量が100〜30000、好ましくは300〜10000程度である。エネルギー線硬化性成分の配合量は、バインダーポリマー成分(A)100重量部に対して、好ましくは1〜1500重量部、より好ましくは10〜500重量部、特に好ましくは20〜200重量部含まれる。
また、エネルギー線硬化性成分として、バインダーポリマー成分(A)の主鎖または側鎖に、エネルギー線重合性基が結合されてなるエネルギー線硬化型重合体を用いてもよい。このようなエネルギー線硬化型重合体は、バインダーポリマー成分(A)としての機能と、硬化性成分(B)としての機能を兼ね備える。
保護膜形成用フィルムにエネルギー線硬化性を付与することで、保護膜形成用フィルムを簡便かつ短時間で硬化でき、保護膜付チップの生産効率が向上する。従来、チップ用の保護膜は、一般にエポキシ樹脂などの熱硬化樹脂により形成されていたが、熱硬化樹脂の硬化温度は200℃を超え、また硬化時間は2時間程度を要しているため、生産効率向上の障害となっていた。しかし、エネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムは、エネルギー線照射により短時間で硬化するため、簡便に保護膜を形成でき、生産効率の向上に寄与しうる。
(C)着色剤
保護膜形成用フィルムには、着色剤(C)が配合される。着色剤を配合することで、硬化後の保護膜形成用フィルム表面の印字性が向上する。また、半導体装置を機器に組み込んだ際に、周囲の装置から発生する赤外線等による半導体装置の誤作動を防止することができる。着色剤としては、有機または無機の顔料および染料が用いられる。これらの中でも電磁波や赤外線遮蔽性の点から黒色顔料が好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が用いられるが、これらに限定されることはない。半導体装置の信頼性を高める観点からは、カーボンブラックが特に好ましい。
着色剤(C)の配合量は、保護膜形成用フィルムを構成する全固形分100重量部に対して、好ましくは0.1〜35重量部、さらに好ましくは0.5〜25重量部、特に好ましくは1〜15重量部である。
(D)多孔質シリカ
多孔質シリカ(D)を本発明の保護膜形成用フィルムに配合することにより、保護膜形成用フィルムの熱膨張係数を低下させることが可能となる。硬化後の保護膜形成用フィルム(保護膜)の熱膨張係数を、チップの熱膨張係数に近づけることができるため、保護膜形成用フィルムに耐熱性を付与することができ、耐熱信頼性を向上させることができる。この効果の原因は解明されていないが、多孔質シリカのポーラス構造、平均細孔直径等が影響していると考える。
多孔質シリカ(D)の平均細孔直径は、0.5〜500nmであることが好ましく、1〜50nmであることがさらに好ましい。
特に、多孔質シリカ(D)はメソポーラス構造を有することが好ましい。メソポーラス構造とは均一で規則的な細孔を備え、平均細孔直径が好ましくは1〜50nm、より好ましくは2〜40nmの多孔質構造である。平均細孔直径は、BJH法により求めることができる。
多孔質シリカ(D)の平均粒径は、20μm以下であることが好ましく、0.01〜5μmがさらに好ましく、0.1〜3μmが特に好ましい。平均粒径は、乾式レーザー回折式粒度分布測定により求めることができる。粒形が球状でない場合には、最長径を粒径とする。
多孔質シリカ(D)の比表面積は、400m/g以上であることが好ましく、500〜2000m/gであることがさらに好ましい。比表面積は、BET法により求めることができる。
多孔質シリカ(D)は疎水処理を施して用いることが好ましい。疎水処理の方法は特に限定されないが、例えば特開2009−190909号公報に記載の方法により行うことができる。多孔質シリカ(D)に疎水処理を施すことにより、半導体装置の耐熱信頼性を向上させることができる。
多孔質シリカ(D)の例として、PC700G−MCA、PC700G−PT、TMPS−1.5、TMPS−2.7、TMPS−4(アドマテックス社製メソポーラスシリカ)が挙げられる。
多孔質シリカ(D)の含有量は、保護膜形成用フィルムを構成する全固形分100重量部(固形分換算)に対して、1〜80重量部であることが好ましく、5〜70重量部がより好ましく、20〜60重量部がさらに好ましく、35重量部を超えて55重量部以下が特に好ましい。多孔質シリカ(D)の含有量を上記範囲とすることで、より厳しい条件での半導体装置の耐熱信頼性を向上させることができる。なお、本発明の効果を妨げない範囲で、無孔質シリカを併用することもできる。
その他の成分
保護膜形成用フィルムは、上記バインダーポリマー成分(A)、硬化性成分(B)、着色剤(C)および多孔質シリカ(D)に加えて下記成分を含むことができる。
(E)硬化促進剤
硬化促進剤(E)は、保護膜形成用フィルムの硬化速度を調整するために用いられる。硬化促進剤(E)は、特に、硬化性成分(B)において、エポキシ樹脂と熱硬化剤とを併用する場合に好ましく用いられる。
好ましい硬化促進剤としては、エポキシ基とフェノール水酸基やアミン等との反応を促進しうる化合物が挙げられ、具体的には、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
硬化促進剤(E)は、硬化性成分(B)100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部の量で含まれる。硬化促進剤(E)を上記範囲の量で含有することにより、高温度下に曝されても優れた接着特性を有し、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても高い信頼性を達成することができる。硬化促進剤(E)の含有量が少ないと硬化不足で十分な接着特性が得られず、過剰であると高い極性をもつ硬化促進剤は高温度下で保護膜形成用フィルム中を接着界面側に移動し、偏析することにより半導体装置の信頼性を低下させる。
(F)カップリング剤
カップリング剤(F)は、保護膜形成用フィルムのチップに対する接着性、密着性を向上させるために用いてもよい。また、カップリング剤(F)を使用することで、保護膜形成用フィルムを硬化して得られる保護膜の耐熱性を損なうことなく、その耐水性を向上することができる。
カップリング剤(F)としては、バインダーポリマー成分(A)、硬化性成分(B)などが有する官能基と反応する基を有する化合物が好ましく使用される。カップリング剤(F)としては、シランカップリング剤が望ましい。このようなカップリング剤としてはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシランなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
カップリング剤(F)は、バインダーポリマー成分(A)および硬化性成分(B)の合計100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部、より好ましくは0.3〜5重量部の割合で含まれる。カップリング剤(F)の含有量が0.1重量部未満だと上記の効果が得られない可能性があり、20重量部を超えるとアウトガスの原因となる可能性がある。
(G)光重合開始剤
保護膜形成用フィルムが、前述した硬化性成分(B)としてエネルギー線硬化性成分を含有する場合には、その使用に際して、紫外線等のエネルギー線を照射して、エネルギー線硬化性成分を硬化させる。この際、該フィルム中に光重合開始剤(G)を含有させることで、重合硬化時間ならびに光線照射量を少なくすることができる。
このような光重合開始剤(G)として具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、1,2−ジフェニルメタン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドおよびβ−クロールアンスラキノンなどが挙げられる。光重合開始剤(G)は1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤(G)の配合割合は、エネルギー線硬化性成分100重量部に対して0.1〜10重量部含まれることが好ましく、1〜5重量部含まれることがより好ましい。0.1重量部未満であると光重合の不足で満足な転写性が得られないことがあり、10重量部を超えると光重合に寄与しない残留物が生成し、保護膜形成用フィルムの硬化性が不十分となることがある。
(H)架橋剤
保護膜形成用フィルムの初期接着力および凝集力を調節するために、架橋剤を添加することもできる。架橋剤(H)としては有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物などが挙げられる。
上記有機多価イソシアネート化合物としては、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物およびこれらの有機多価イソシアネート化合物の三量体、ならびにこれら有機多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等を挙げることができる。
有機多価イソシアネート化合物としては、たとえば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、トリメチロールプロパンアダクトトリレンジイソシアネートおよびリジンイソシアネートが挙げられる。
上記有機多価イミン化合物としては、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネートおよびN,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等を挙げることができる。
架橋剤(H)はバインダーポリマー成分(A)100重量部に対して通常0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の比率で用いられる。
(I)汎用添加剤
保護膜形成用フィルムには、上記の他に、必要に応じて各種添加剤が配合されてもよい。各種添加剤としては、レベリング剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤などが挙げられる。
(保護膜形成用フィルム)
上記のような各成分からなる保護膜形成用フィルムは、接着性と硬化性とを有し、未硬化状態では半導体ウエハ、チップ等に押圧することで容易に接着する。そして硬化を経て最終的には耐衝撃性の高い保護膜を与えることができ、接着強度にも優れ、厳しい高温度条件下においても十分な保護機能を保持し得る。なお、保護膜形成用フィルムは単層構造であってもよく、また上記成分を含む層を1層以上含む限りにおいて多層構造であってもよい。
本発明の保護膜形成用フィルムは、硬化後の表面に印字可能であることが好ましい。印字手段としては、レーザーマーキング法などが挙げられる。また、本発明の保護膜形成用フィルムの硬化後の全光線透過率は、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である。保護膜形成用フィルムの硬化後の全光線透過率は、UV−visスペクトル検査装置((株)島津製作所製)を用いて、硬化後の保護膜形成用フィルム(厚み25μm)の190〜3100nmでの全光線透過率を測定し、透過率の最も高い値(最大透過率)とした。このような保護膜形成用フィルムを用いることで、硬化後の保護膜表面への印字が容易になる。また、印字部と非印字部との境界で充分なコントラストを得ることができるため、半導体装置の製造工程において、保護膜に印字した品番型番等のカメラによる自動認識が問題なくできるようになる。さらに、周囲の装置から発生する赤外線等が原因となる半導体装置の誤作動を防止することができる。
(チップ用保護膜形成用シート)
チップ用保護膜形成用シートは、上記の保護膜形成用フィルムと、該フィルムの一方の面に仮着された第1の剥離シートとを有する。保護膜形成用シートは、上記各成分を適宜の割合で、適当な溶媒中で混合してなる保護膜形成用フィルム用組成物を、第1の剥離シート上に塗布乾燥し、保護膜形成用フィルムを成膜して得られる。また、第1の剥離シートとは別の工程フィルム上に保護膜形成用フィルム用組成物を塗布、乾燥して保護膜形成用フィルムを成膜し、これを第1の剥離シート上に転写してもよい。保護膜形成用フィルムの厚みは、通常3〜100μm、好ましくは10〜60μmである。
本発明に係るチップ用保護膜形成用シートは、上記保護膜形成用フィルムを第1の剥離シート上に剥離可能に形成してなる。本発明に係るチップ用保護膜形成用シートの形状は、テープ状、ラベル状などあらゆる形状をとり得る。
第1の剥離シートとしては、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、液晶ポリマーフィルムなどの透明フィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。また、これらを着色したフィルム、不透明フィルムなどを用いることができる。
本発明のチップ用保護膜形成用シートにおいては、その使用に際して、第1の剥離シートを剥離し、保護膜形成用フィルムを半導体ウエハまたはチップに転写する。特に保護膜形成用フィルムの熱硬化後に第1の剥離シートを剥離する場合には、第1の剥離シートは保護膜形成用フィルムの熱硬化時の加熱に耐える必要があるため、耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリイミドフィルムが好ましく用いられる。保護膜形成用フィルムと第1の剥離シートとの間での剥離を容易にするため、剥離シートの表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは35mN/m以下である。下限値は通常25mN/m程度である。このような表面張力が低い基材は、材質を適宜に選択して得ることが可能であるし、また基材の表面に剥離剤を塗布して剥離処理を施すことで得ることもできる。
剥離処理に用いられる剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系などが用いられるが、特にアルキッド系、シリコーン系、フッ素系の剥離剤が耐熱性を有するので好ましい。
上記の剥離剤を用いてシートの表面を剥離処理するためには、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーターなどにより塗布して、常温もしくは加熱または電子線硬化させたり、ウェットラミネーションやドライラミネーション、熱溶融ラミネーション、溶融押出ラミネーション、共押出加工などで積層体を形成すればよい。
また、本発明に用いる第1の剥離シートとしては、剥離シート上に形成された保護膜形成用フィルムを半導体ウエハまたはチップに転写できればよいため、第1の剥離シートと保護膜形成用フィルムとの間で剥離性を有する弱粘着性の粘着シートまたはエネルギー線硬化性の粘着シートを用いてもよい。
第1の剥離シートの厚さは、通常は10〜500μm、好ましくは15〜300μm、特に好ましくは20〜250μm程度である。
なお、チップ用保護膜形成用シートの使用前に、保護膜形成用フィルムを保護するために、第1の剥離シートを仮着した面とは他方の面に、第1の剥離シートとは別に、第1の剥離シートより軽剥離性の第2の剥離シートを仮着しておいてもよい。第2の剥離シートとしては、上記第1の剥離シートと同様のものを例示できる。
(半導体チップの製造方法)
次に本発明に係るチップ用保護膜形成用シートの利用方法について、該シートを半導体チップの製造に適用した場合を例にとって説明する。
本発明に係るチップ用保護膜形成用シートを用いた半導体チップの製造方法は、表面に回路が形成された半導体ウエハの裏面に、上記保護膜形成用フィルムを貼付し、裏面に保護膜を有する半導体チップを得ることを特徴とする。また、本発明に係るチップ用保護膜形成用シートを用いた半導体チップの製造方法は、表面に回路が形成された半導体ウエハの裏面に、上記チップ用保護膜形成用シートの保護膜形成用フィルムを貼付し、裏面に保護膜を有する半導体チップを得ることを特徴とする。該保護膜は、半導体チップの保護膜であることが好ましい。また、本発明に係るチップ用保護膜形成用シートを用いた半導体チップの製造方法は、好ましくは、以下の工程(1)〜(3)をさらに含み、工程(1)〜(3)を任意の順で行うことを特徴としている。
工程(1):保護膜形成用フィルムと第1の剥離シートとを剥離、
工程(2):保護膜形成用フィルムを硬化、
工程(3):半導体ウエハおよび保護膜形成用フィルムをダイシング。
また、本発明に係る半導体チップの製造方法は、上記工程(1)〜(3)の他に、下記の工程(4)をさらに含み、工程(1)〜(4)を任意の順で行うこともできる。
工程(4):保護膜形成用フィルムまたは保護膜にレーザー印字。
半導体ウエハはシリコンウエハであってもよく、またガリウム・砒素などの化合物半導体ウエハであってもよい。ウエハ表面への回路の形成はエッチング法、リフトオフ法などの従来より汎用されている方法を含む様々な方法により行うことができる。次いで、半導体ウエハの回路面の反対面(裏面)を研削する。研削法は特に限定はされず、グラインダーなどを用いた公知の手段で研削してもよい。裏面研削時には、表面の回路を保護するために回路面に、表面保護シートと呼ばれる粘着シートを貼付する。裏面研削は、ウエハの回路面側(すなわち表面保護シート側)をチャックテーブル等により固定し、回路が形成されていない裏面側をグラインダーにより研削する。ウエハの研削後の厚みは特に限定はされないが、通常は20〜500μm程度である。その後、必要に応じ、裏面研削時に生じた破砕層を除去する。破砕層の除去は、ケミカルエッチングや、プラズマエッチングなどにより行われる。
次いで、半導体ウエハの裏面に、上記チップ用保護膜形成用シートの保護膜形成用フィルムを貼付する。その後、工程(1)〜(3)を任意の順で行う。このプロセスの詳細については、特開2002−280329号公報に詳述されている。一例として、工程(1)、(2)、(3)の順で行う場合について説明する。
まず、表面に回路が形成された半導体ウエハの裏面に、上記チップ用保護膜形成用シートの保護膜形成用フィルムを貼付する。次いで保護膜形成用フィルムから第1の剥離シートを剥離し、半導体ウエハと保護膜形成用フィルムとの積層体を得る。次いで保護膜形成用フィルムを硬化し、ウエハの全面に保護膜を形成する。保護膜形成用フィルムには、硬化性成分(B)が含まれているため、一般的には熱硬化またはエネルギー線照射により保護膜形成用フィルムを硬化する。なお、保護膜形成用フィルムに熱硬化性成分およびエネルギー線硬化性成分が配合されている場合には、保護膜形成用フィルムの硬化を、加熱とエネルギー線照射の両者で行うことができ、加熱およびエネルギー線照射による硬化を同時に行ってもよく、逐次的に行ってもよい。この結果、ウエハ裏面に硬化樹脂からなる保護膜が形成され、ウエハ単独の場合と比べて強度が向上するので、取扱い時の薄くなったウエハの破損を低減できる。また、ウエハやチップの裏面に直接保護膜用の塗布液を塗布・被膜化するコーティング法と比較して、保護膜の厚さの均一性に優れる。
次いで、半導体ウエハと保護膜との積層体を、ウエハ表面に形成された回路毎にダイシングする。ダイシングは、ウエハと保護膜をともに切断するように行われる。ウエハのダイシングは、ダイシングシートを用いた常法により行われる。この結果、裏面に保護膜を有する半導体チップ(保護膜付半導体チップ)が得られる。
最後に、ダイシングされたチップをコレット等の汎用手段によりピックアップすることで、裏面に保護膜を有する半導体チップが得られる。このような本発明によれば、均一性の高い保護膜を、チップ裏面に簡便に形成でき、ダイシング工程やパッケージングの後のクラックが発生しにくくなる。そして、半導体チップをフェースダウン方式で所定の基台上に実装することで半導体装置を製造することができる。また、裏面に保護膜を有する半導体チップを、ダイパッド部または別の半導体チップなどの他の部材上(チップ搭載部上)に接着することで、半導体装置を製造することもできる。
なお、硬化性成分(B)としてエネルギー線硬化性成分を用いる場合は、該化合物の種類にもよるが、酸素が存在する環境下では、重合不全を引き起こす場合がある。この場合には、保護膜形成用フィルムが直接酸素に曝されない環境下で保護膜形成用フィルムのエネルギー線硬化を行うことが好ましく、特に工程(2)、(1)、(3)の順で行うことが好ましい。この順序で工程(1)〜(3)を実施すると、保護膜形成用フィルムのエネルギー線による硬化時には、保護膜形成用フィルムは、第1の剥離シートにより覆われているため、酸素による重合不全は起こらない。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、<耐熱信頼性評価>は次のように行った。
<耐熱信頼性評価>
(1)保護膜付半導体チップの製造
#2000研磨したシリコンウエハ(200mm径, 厚さ280μm)の研磨面に、実施例および比較例の保護膜形成用シートの保護膜形成用フィルムをテープマウンター(リンテック社製 Adwill RAD-3500 F/8DBS)により70℃に加熱しながら貼付した。次いで、加熱(130℃、2時間)により保護膜形成用フィルムの硬化を行い、保護膜形成用フィルムと第1の剥離シートとを剥離した。シリコンウエハの保護膜側をダイシングテープ(リンテック社製 Adwill D-676)に貼付し、ダイシング装置(株式会社ディスコ製 DFD651)を使用して、該シリコンウエハを3mm×3mmサイズにダイシングすることで耐熱信頼性評価用の保護膜付半導体チップを得た。
(2)評価
この保護膜付半導体チップ25個を冷熱衝撃装置(ESPEC(株)製 TSE-11A)内に設置し、(i)−65℃(保持時間:10分)→(ii)150℃(保持時間:10分)を1サイクル((i)→(ii))として、1000回繰り返した。
その後、冷熱衝撃装置から取り出した保護膜付半導体チップについて、チップと保護膜との接合部での浮き・剥がれ、クラックの有無を、走査型超音波探傷装置(日立建機ファインテック(株)製 Hye-Focus)および断面観察により評価した。チップと保護膜との接合部に、0.5mm以上の幅の剥離が観察された場合を剥離している(接合部の浮き・剥がれ、クラックあり)と判断して、剥離していないチップの個数(良品数)を数えた。結果を表2に示す(良品数/試験数)。
<保護膜形成用フィルム用組成物>
保護膜形成用フィルムを構成する各成分を下記に示す。
(A)バインダーポリマー成分:n−ブチルアクリレート55重量部、メチルメタクリレート15重量部、グリシジルメタクリレート20重量部、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート15重量部からなるアクリルポリマー(重量平均分子量:90万、ガラス転移温度:−28℃)
(B)硬化性成分:
(B1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180〜200g/eq)
(B2)ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製 エピクロンHP−7200HH)
(B3)ジシアンジアミド(旭電化製 アデカハードナー3636AS)
(C)着色剤:黒色顔料(カーボンブラック、三菱化学社製 #MA650、平均粒子径28nm)
(D1)多孔質シリカ:疎水処理したメソポーラスシリカ(株式会社アドマテックス社製PC700G-MCA)
(D2)無孔質シリカ(電気化学工業株式会社製 FB−7SDX)
(D3)無孔質シリカ(扶桑化学工業株式会社製 SP−10G)
(E)硬化促進剤:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製 キュアゾール2PHZ)
(F)カップリング剤:A−1110(日本ユニカー社製)
(実施例および比較例)
上記各成分を表1に記載の量で配合し、保護膜形成用フィルム用組成物を得た。また、第1の剥離シートとして、片面に剥離処理を行ったポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製 SP−PET3811、厚さ38μm、表面張力30mN/m未満、融点200℃以上)を用意した。
上記組成物のメチルエチルケトン溶液(固形濃度61重量%)を、上記第1の剥離シートの剥離処理面上に乾燥後25μmの厚みになるように塗布、乾燥(乾燥条件:オーブンにて100℃、1分間)して、第1の剥離シート上に保護膜形成用フィルムを形成し、チップ用保護膜形成用シートを得た。
Figure 2012201873
得られたチップ用保護膜形成用シートを用いて<耐熱信頼性評価>を行った。結果を表2に示す。
Figure 2012201873
実施例のチップ用保護膜形成用シートの保護膜形成用フィルムを硬化した保護膜は優れた耐熱信頼性を示した。この結果から、本発明に係る保護膜形成用フィルムあるいはチップ用保護膜形成用シートを用いることで、高信頼性の半導体チップが得られることが確認された。

Claims (8)

  1. バインダーポリマー成分(A)、硬化性成分(B)、着色剤(C)および多孔質シリカ(D)を含有する保護膜形成用フィルム。
  2. 前記多孔質シリカ(D)の含有量が、保護膜形成用フィルムを構成する全固形分100重量部に対して1〜80重量部である請求項1に記載の保護膜形成用フィルム。
  3. 前記多孔質シリカ(D)がメソポーラス構造を有する請求項1または2に記載の保護膜形成用フィルム。
  4. 前記多孔質シリカ(D)の平均細孔直径が1〜50nmである請求項3に記載の保護膜形成用フィルム。
  5. 硬化後の全光線透過率が30%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の保護膜形成用フィルム。
  6. 硬化後の表面に印字可能である請求項1〜5のいずれかに記載の保護膜形成用フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の保護膜形成用フィルムと、該フィルムの一方の面に仮着された第1の剥離シートとを有するチップ用保護膜形成用シート。
  8. 請求項7に記載のチップ用保護膜形成用シートの保護膜形成用フィルムの他方の面に、第2の剥離シートが仮着されたチップ用保護膜形成用シート。

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