JP2012198193A - 光ファイバ振動センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】長手方向全長にわたって検出感度が良好であり、かつ、侵入者が侵入した位置をより細かく特定可能な光ファイバ振動センサを提供する。
【解決手段】2つの光ファイバループ2a,2bは、長手方向の少なくとも一部が互いに沿うように配置されると共に、一方の光ファイバループ2aの振動を検出する感度が一端側から他端側に向けて減少し、かつ、他方の光ファイバループ2bの振動を検出する感度が一端側から他端側に向けて増加するように配置され、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の和を基に、構造体に振動が発生したかを判定する振動発生判定部18bと、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の差を、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の和で除した出力比を基に、構造体に振動が発生した位置を判定する振動位置判定部18cと、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバをフェンスなどの構造体に固定して、光ファイバに加わる機械的な振動を検出し、侵入者などを検知する光ファイバ振動センサに係り、特に、サニャック干渉型の光ファイバ振動センサに関するものである。
侵入者による盗難や破壊、情報の流出を抑制するため、あるいは人身の安全を確保するため、フィジカルセキュリティ技術への関心が高まっている。特に、空港や港湾、発電所などの重要施設では、敷地境界にフェンスを設けて不法侵入を阻止する措置がとられているが、フェンスの物理的な高さや強度には限界があり、不法侵入行為を検知する侵入検知センサの併設が必要になっている。
このような侵入検知センサとして、フェンスなどの構造体に固定し、その構造体の振動を検知する振動センサが注目されており、低コスト化やフィールドでの耐久性が期待できることから、サニャック干渉系を用いたサニャック干渉型の光ファイバ振動センサが注目されている。
図13に示すように、従来のサニャック干渉型の光ファイバ振動センサ131では、光ファイバループ132の一部を振動検知用のセンサ検知部として用い、この光ファイバループ132をフェンスなどの構造体に沿って配置している。
この光ファイバ振動センサ131では、光源133から出射した光は、第1の光カプラ134を伝搬し、偏光子135で直線偏光にされ、第2の光カプラ136で2つに分岐されて、光ファイバループ132の異なる端にそれぞれ入射する。光ファイバループ132に入射した光のうち、一方を右回り光Lcw、他方を左回り光Lccwとする。
これら左右回り光Lcw,Lccwは、位相変調器137で光の位相を変調され、光ファイバループ132を一周して再び第2の光カプラ136に入射する。第2の光カプラ136に入射した左右回り光Lcw,Lccwは、第2の光カプラ136で干渉して干渉光となり、偏光子135を伝搬し、第1の光カプラ134で再び2つの光に分岐され、分岐された一方の光は受光器138で受光される。
光ファイバループ132が振動していないときは、受光器138は常に一定の光強度を検出しているが、光ファイバループ132が振動すると、左右回り光Lcw,Lccwに位相差が生じ、受光器138で検出する光強度が変化する。この光強度の変化を信号処理ユニット139により検出することで、光ファイバループ132の振動を検知する。
ところで、図13に示した光ファイバ振動センサ131において、光ファイバループ132の中間点付近では、左右両周りの光がほぼ同時刻に通過するため、振動による位相差が発生しにくく、検出感度が低下するという問題がある。特に、光ファイバループ132の中間点では検出感度はゼロとなる。
この問題を解決するため、特許文献1では、光ファイバループを構成する光ファイバのうち、少なくとも半分の長さの光ファイバを、遅延用光ファイバとして振動センサ本体内に収容し、感度がゼロとなる光ファイバループの中間点を振動センサ本体内(あるいは振動センサ本体の出口)に配置することで、長手方向の感度を均一にし、検出感度の向上を図った光ファイバ振動センサが提案されている。
また、近年、サニャック干渉型の光ファイバ振動センサを利用して、例えば、侵入者を検知するだけでなく、どこから侵入者が侵入したのかという侵入位置情報を特定したいというニーズがある。
そこで、特許文献2では、フェンスなどの構造体に沿って長さの異なる光ファイバループを配置し、振動を検出した光ファイバループの組合せにより、どの領域で振動が発生したかを特定する光ファイバ振動センサが提案されている。
特開2008−309776号公報 特開2010−48706号公報
しかしながら、特許文献2の光ファイバ振動センサでは、侵入者が侵入した位置、すなわち振動が発生した位置をより細かく特定するためには、光ファイバループの数を増やす必要があり、装置構成が複雑となりコスト高となってしまう問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、長手方向全長にわたって検出感度が良好であり、かつ、侵入者が侵入した位置をより細かく特定可能な光ファイバ振動センサを提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、構造体に沿って配置される光ファイバループと、前記構造体で発生した振動を前記光ファイバループを介して検出する振動センサ本体と、を備えたサニャック干渉型の光ファイバ振動センサにおいて、前記光ファイバループを2つ備え、該2つの光ファイバループは、長手方向の少なくとも一部が互いに沿うように配置されると共に、一方の光ファイバループの振動を検出する感度が一端側から他端側に向けて減少し、かつ、他方の光ファイバループの振動を検出する感度が一端側から他端側に向けて増加するように配置され、前記振動センサ本体は、前記2つの光ファイバループを介して得られた出力の和を基に、前記構造体に振動が発生したかを判定する振動発生判定部と、前記2つの光ファイバループを介して得られた出力の差を、前記2つの光ファイバループを介して得られた出力の和で除した出力比を基に、前記構造体に振動が発生した位置を判定する振動位置判定部と、を有する光ファイバ振動センサである。
前記2つの光ファイバループは、一方の光ファイバループの基端側に他方の光ファイバループの先端側が位置し、一方の光ファイバループの先端側に他方の光ファイバループの基端側が位置するように逆向きに配置されていてもよい。
また、本発明は、構造体に沿って配置される光ファイバループと、前記構造体で発生した振動を前記光ファイバループを介して検出する振動センサ本体と、を備えたサニャック干渉型の光ファイバ振動センサにおいて、前記光ファイバループを2つ備え、該2つの光ファイバループは、長手方向の少なくとも一部が互いに沿うように配置されると共に、一方の光ファイバループの振動を検出する感度が一端側から他端側にかけて一定であり、かつ、他方の光ファイバループの振動を検出する感度が一端側から他端側に向けて減少または増加するように配置され、前記振動センサ本体は、前記2つの光ファイバループを介して得られた出力の和、あるいは前記一方の光ファイバループを介して得られた出力を基に、前記構造体に振動が発生したかを判定する振動発生判定部と、前記2つの光ファイバループを介して得られた出力の出力比を基に、前記構造体に振動が発生した位置を判定する振動位置判定部と、を有する光ファイバ振動センサである。
前記一方の光ファイバループは、該一方の光ファイバループを構成する光ファイバの全長の少なくとも半分の長さの光ファイバを、遅延用光ファイバとして前記センサ本体内に収容してなってもよい。
前記2つの光ファイバループは、それぞれの基端側と先端側が一致するように同じ向きに配置され、かつ、前記一方の光ファイバループの長さが、前記他方の光ファイバループの長さ以上となるように形成されていてもよい。
前記2つの光ファイバループのそれぞれを構成する光ファイバを、共通の円筒状のピエゾセラミック素子に巻回して、共通の位相変調器を形成してもよい。
前記振動位置判定部は、前記2つの光ファイバループのうち一つの光ファイバループのみで振動を検出したときには、当該振動を検出した光ファイバループのみが配置された領域にて振動が発生したと判定するように構成されてもよい。
前記振動位置判定部は、前記構造体に振動が発生したと判定し、かつ、前記振動位置判定部は、前記構造体に振動が発生した位置を判定することができないときには、自然現象によって前記構造体に振動が発生したと判定するように構成されてもよい。
本発明によれば、長手方向全長にわたって検出感度が良好であり、かつ、侵入者が侵入した位置をより細かく特定可能な光ファイバ振動センサを提供できる。
本発明の第1の実施の形態に係る光ファイバ振動センサの概略構成図である。 図1の光ファイバ振動センサの検出感度を説明する図であり、(a)は第1光ファイバループの検出感度、(b)は第2光ファイバループの検出感度、(c)はそれら検出感度の和、(d)は検出感度比を示す図である。 図1の光ファイバ振動センサの変形例を示す概略構成図である。 図1の光ファイバ振動センサの変形例を示す概略構成図である。 図1の光ファイバ振動センサの変形例を示す概略構成図である。 本発明の第2の実施の形態に係る光ファイバ振動センサの概略構成図である。 図6の光ファイバ振動センサの検出感度を説明する図であり、(a)は第1光ファイバループの検出感度、(b)は第2光ファイバループの検出感度、(c)は検出感度比を示す図である。 図6の光ファイバ振動センサの変形例を示す概略構成図である。 図8の光ファイバ振動センサの検出感度を説明する図であり、(a)は第1光ファイバループの検出感度、(b)は第2光ファイバループの検出感度、(c)は検出感度比を示す図である。 図6の光ファイバ振動センサの変形例を示す概略構成図である。 本発明の第3の実施の形態に係る光ファイバ振動センサの概略構成図である。 図10の光ファイバ振動センサの検出感度を説明する図であり、(a)は第1光ファイバループの検出感度、(b)は第2光ファイバループの検出感度、(c)はそれら検出感度の和、(d)は検出感度比を示す図である。 従来の光ファイバ振動センサの概略構成図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る光ファイバ振動センサの概略構成図である。
図1に示すように、光ファイバ振動センサ1は、フェンスなどの構造体(図示せず)に沿って配置される光ファイバループ2と、構造体で発生した振動を光ファイバループ2を介して検出する振動センサ本体3とを備える。
本実施の形態では、光ファイバ振動センサ1は、光ファイバループ2と振動センサ本体3とを2つずつ備えている。以下、図1における左側の振動センサ本体3を第1振動センサ本体3a、図1における右側の振動センサ本体3を第2振動センサ本体3bと呼称し、第1振動センサ本体3aに接続された光ファイバループ2を第1光ファイバループ2a、第2振動センサ本体3bに接続された光ファイバループ2を第2光ファイバループ2bと呼称する。
振動センサ本体3a,3bのそれぞれは、光源11、フォトダイオードなどの受光器12、光を入出力するための3つのポート17a〜17cを有する第1の光カプラ13、偏光子14、光を入出力するための3つのポート17d〜17fを有する第2の光カプラ15、位相変調器16を備え、さらに、信号処理ユニット18とこれらを収容する筐体19とを備える。
光源11としては、例えば、SLD(スーパールミネッセントダイオード)を用いるとよい。これにより、光ファイバループ2からの戻り光とレイリー散乱光とが干渉して発生する干渉ノイズを低減することができる。
光カプラ13,15としては、図1中に図示した1×2入出力ポートを有する光ファイバカプラを用いる。なお、光カプラ13,15として2×2入出力ポートを有する光ファイバカプラを用いることもできる。
第1の光カプラ13の第1ポート17aは、光源11に光学的に接続され、第1の光カプラ13の第2ポート17bは、受光器12に光学的に接続され、第1の光カプラ13の第3ポート17cは、偏光子14の一端に光学的に接続されている。
第2の光カプラ15の第1ポート17dは、偏光子14の他端に光学的に接続され、第2の光カプラ15の第2ポート17eは、光ファイバループ2a,2bの一端に光学的に接続され、第2の光カプラ15の第3ポート17fは、光ファイバループ2a,2bの他端に光学的に接続される。
光ファイバループ2a,2bの他端の近傍には、位相変調器16がそれぞれ設けられる。偏光子14は、コアの複屈折率を大きくし、コイル状に形成したファイバ型の偏光子であり、光源11からの光を直線偏光にするためのものである。
位相変調器16は、光ファイバループ2を互いに反対方向に伝搬する光に相対的に時間遅れのある位相変調をかけるものである。受光器12で検出される光の強度は、光ファイバループ2を互いに反対方向に伝搬する光の位相差の余弦に比例するため、零付近の位相差、すなわち微少な振動に対する感度が低い。よって、位相変調器16により位相変調を行って位相差の正弦に比例させることにより、微少な振動に対する感度を向上させることができる。
位相変調器16としては、振動子とする円筒状のピエゾセラミック素子(PZT)を用い、これに光ファイバループ2を構成する光ファイバの一部を巻き付けた。この位相変調器16では、PZTへ印加する電圧により、PZTに巻き付けた光ファイバを伸縮させることで、光の位相を変調することができる。
信号処理ユニット18は、光源11の駆動、受光器12で検出された光信号が光電変換された電気信号の処理、位相変調器16の変調レベルの制御、処理結果(振動波形、振動の強度など)の出力などを行うためのものである。信号処理ユニット18は、光源11、受光器12、および位相変調器16と電気的に接続される。信号処理ユニット18には、受光器12からの電気信号を基に、光ファイバループ2を互いに逆方向に伝搬して光ファイバループ2の両端から出射された光の位相差を検出する位相差検出部18aが搭載されている。さらに、第1振動センサ本体3aの信号処理ユニット18には、後述する振動発生判定部18bと振動位置判定部18cが搭載されている。
両振動センサ本体3a,3bの信号処理ユニット18同士は、ケーブル20により電気的に接続されており、ケーブル20を介して相互にデータを送受信できるようになっている。なお、信号処理ユニット18同士のデータの送受信は、無線通信により行うことも勿論可能である。
光ファイバループ2a,2bのそれぞれは、互いに沿うように並列配置された2本の光ファイバの先端部同士を接続して形成される。図1では省略して示しているが、本実施の形態では、2本の光ファイバを可とう性を有するチューブに収容した2心の光ファイバケーブルを用い、その光ファイバケーブルの先端部にて、2本の光ファイバを融着接続して光ファイバループ2a,2bを形成した。2本の光ファイバを接続する接続部では、接続部で発生する光損失(曲げ損失)を低減するため、光ファイバの曲げ半径が所定の曲げ半径以上(例えばφ60mm以上)となるようにすることが望ましい。
光ファイバループ2a,2bを構成する光ファイバとしては、偏波面保存光ファイバ(PMF:Polarization Maintaining Fiber)を用いることが望ましい。例えば、光ファイバループ2a,2bを構成する光ファイバとしてシングルモード光ファイバ(SMF:Single Mode Fiber)を用いた場合、SMFでは互いに直交した伝搬定数のわずかに異なる2つの固有偏光モードが伝搬するために、振動や温度変化などの外乱によりモード変換が発生し、このモード変換による干渉雑音が発生してしまう。このような干渉雑音を避けるため、光ファイバループ2a,2bを構成する光ファイバとしては、偏波面保存光ファイバを用いる。なお、光カプラ13,15の各ポート17a〜17fを構成する光ファイバとしても、偏波面保存光ファイバを用いることが望ましい。
本実施の形態に係る光ファイバ振動センサ1では、2つの光ファイバループ2a,2bは、長手方向の少なくとも一部が互いに沿うように近接して配置されると共に、一方の光ファイバループ2aの振動を検出する感度が一端側(図示左側)から他端側(図示右側)に向けて減少し、かつ、他方の光ファイバループ2bの振動を検出する感度が一端側(図示左側)から他端側(図示右側)に向けて増加するように配置される。このように光ファイバループ2a,2bを近接して配置することにより、同じ振動を検出することが可能になる。
上述のように、光ファイバループ2a,2bの中間点付近(つまり先端部)では、左右両周りの光がほぼ同時刻に通過するため振動による位相差が発生しにくく、光ファイバループ2a,2bの基端側から先端側にかけて徐々に振動を検出する感度が低下し、光ファイバループ2の中間点で振動を検出する感度はゼロとなる。よって、本実施の形態では、2つの光ファイバループ2a,2bを、第1光ファイバループ2aの基端側に第2光ファイバループ2bの先端側が位置し、第1光ファイバループ2aの先端側に第2光ファイバループ2bの基端側が位置するように逆向きに配置した。
また、本実施の形態では、2つの光ファイバループ2a,2bを同じ長さ(ケーブル長という)Lに形成し、これら2つの光ファイバループ2a,2bを全長にわたって互いに沿うように並列配置するよう構成した。第1光ファイバループ2aの先端部は第2振動センサ本体3b内に、第2光ファイバループ2bの先端部は第1振動センサ本体3a内に収容される。
本実施の形態においては、両振動センサ本体3a,3bの間の領域が振動検出可能領域(測定領域)となる。以下、第1光ファイバループ2aの基端(第2光ファイバループ2bの先端)を基準0として、第1振動センサ本体3aの筐体19までの距離をL1、第2振動センサ本体3bの筐体19までの距離をL2、第1光ファイバループ2aの先端(第2光ファイバループ2bの基端)までの距離をL3とする(距離L3は光ファイバループ2a,2bのケーブル長Lと等しい)。この場合、振動検出可能領域は距離L1からL2の範囲となる。
本実施の形態に係る光ファイバ振動センサ1は、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の和を基に、構造体に振動が発生したかを判定する振動発生判定部18bと、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の差を、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の和で除した出力比を基に、構造体に振動が発生した位置を判定する振動位置判定部18cと、を有している。ここでは、振動発生判定部18bと振動位置判定部18cは、第1振動センサ本体3aの信号処理ユニット18に搭載される。なお、ここでいう出力とは、位相差検出部18aが検出する位相差のことである。
また、光ファイバ振動センサ1は、図示しない警報手段を備え、信号処理ユニット18の振動発生判定部18bは、構造体に振動が発生したと判定したとき、警報手段を作動させるよう構成される。
警報手段は、例えば、音及び/又は光を発することにより侵入者に対して威圧を与えるものであり、光ファイバループ2a,2bの近傍に配置される。振動発生判定部18bは、検出した振動レベル(2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の和)に応じて、「警報」、あるいは「注意」のアラームを発報し、侵入があったことを監視者等に通知すると共に、検出した振動レベルが所定の強度以上である場合に、警報手段を作動させる。
また、振動発生判定部18bは、光ファイバループ2a,2bより得られる振動波形をフーリエ変換し、周波数特性から振動の要因を分析できるようにしてもよい。これにより、雨や風などの自然現象による振動であるか、あるいは人的な要因による振動であるかを推定し、人的な要因による振動である場合のみ警報手段を作動させることが可能となる。
あるいは、振動発生判定部18bは、構造体に振動が発生したと判定したが、振動位置判定部18cは、構造体に振動が発生した位置を判定(特定)することができない場合は、構造体全体に振動が発生したと判定し、雨や風などの自然現象による振動であると判定するようにしても良い。具体的には、振動発生判定部18bは、構造体に振動が発生したと判定した後に、振動位置判定部18cは、振動が発生した位置の判定処理を行ったが、位置を判定できない場合に自然現象による振動であると判断するか、または、信号処理ユニット18は、振動発生判定部18bで振動の発生有無の判定と、振動位置判定部18cの発生位置の判定とを並行して処理させ、振動は発生したが、位置は判定できない場合は、自然現象による振動であると判断する(振動は発生し、位置も判定できる場合は、人的な要因による振動である判断し、それ以外の場合は、振動は発生していないと判断する)ようにすると良い。
ここで、光ファイバ振動センサ1における振動を検出する感度(以下、検出感度という)について説明する。
図2(a)に示すように、第1光ファイバループ2aの検出感度Aは、距離0からL3にかけて、すなわち第1光ファイバループ2aの基端から先端にかけて、徐々に減少する。
これに対して、図2(b)に示すように、第2光ファイバループ2bの検出感度Bは、距離0からL3にかけて、すなわち第2光ファイバループ2bの先端から基端にかけて、徐々に増加する。
これら検出感度A,Bを足し合わせると、図2(c)に示すように、検出感度の和A+Bは一定の値となる。このことから、振動発生判定部18bを2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の和で振動の発生を判定するように構成することで、長手方向の感度を均一にし、長手方向全長にわたって検出感度を良好にできる(つまり検出感度が0となる位置を無くすことができる)ことが分かる。
また、検出感度A,Bの差を検出感度A,Bの和で除した検出感度比は、図2(d)に示すように、距離0からL3にかけて、1から−1の値まで徐々に減少する。図2(d)では縦軸を検出感度比とした場合を示しているが、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の差を、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の和で除した出力比を縦軸とした場合も、図2(d)と同様の関係となるので、この出力比の値から、距離0からL3のどの位置で振動が発生したかを判定することが可能である。
なお、両光ファイバループ2a,2bの出力の差だけでなく、これを出力の和で除した出力比を用いている理由は、構造物で発生した振動の強度により出力の差は変化するので、出力の差だけではどの位置で振動が発生したかを判定することが困難なためである。つまり、上述の出力比を用いることで、規格化がなされ、振動の強度の大小にかかわらずどの位置で振動が発生したかを判定できるようになる。
次に、光ファイバ振動センサ1の動作を説明する。
両振動センサ本体3a,3bにおいて、光源11から出射した光は、第1の光カプラ13を伝搬し、偏光子14で直線偏光にされ、第2の光カプラ15に入射する。第2の光カプラ15では、入射した光が2つに分岐され、分岐された光は光ファイバループ2a,2bの異なる端にそれぞれ入射する。
光ファイバループ2a,2bを伝搬する左右回り光は、位相変調器16で位相変調され、光ファイバループ2を一周して再び第2の光カプラ15に入射する。第2の光カプラ15に入射した左右回り光は、第2の光カプラ15で干渉して干渉光となる。この干渉光は、偏光子14を伝搬し、第1の光カプラ13で再び2つの光に分岐され、分岐された一方の光は受光器12で受光される。
光ファイバループ2a,2bが振動していないときは、受光器12は常に一定の光強度を検出しているが、光ファイバループ2a,2bが振動すると、光ファイバループ2a,2bを伝搬する左右回り光に位相差が生じ、受光器12で検出する光強度が変化する。受光器12で受光する光強度は左右回り光の位相差の正弦に比例するので、光ファイバループ2に与えられた振動が大きいほど、位相差が大きくなり、受光器12で受光する光強度の変化も大きくなる。
信号処理ユニット18の位相差検出部18aは、受光器12からの電気信号に基づき、受光器12で受光する光強度の変化を検出し、左右回り光の位相差を検出する。第2振動センサ本体3bの位相差検出部18aは、ケーブル20を介して、検出した位相差を第1振動センサ本体3aの信号処理ユニット18に送信する。
振動発生判定部18bは、第1振動センサ本体3aの位相差検出部18aが検出した位相差と、第2振動センサ本体3bの位相差検出部18aが検出した位相差の和、すなわち2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の和を計算し、その値が所定の閾値を超えたとき、構造体に振動が発生したと判定する。振動発生判定部18bは、構造体に振動が発生したと判定すると、上述の出力の和の大きさに応じて警報手段を作動させる。なお、ここでは、光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力として位相差を用いているが、受光器12で受光する光強度の変化量自体を出力として用いることも可能である。
振動位置判定部18cは、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力(位相差)の差を、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力(位相差)の和で除して出力比を計算し、その出力比を基に、構造体に振動が発生した位置を判定する。振動位置判定部18cは、判定した振動が発生した位置を図示しない表示器等に表示するなどして、監視者等に通知する。
本実施の形態の作用を説明する。
本実施の形態に係る光ファイバ振動センサ1では、2つの光ファイバループ2a,2bを、長手方向の少なくとも一部が互いに沿うように近接して配置すると共に、一方の光ファイバループ2aの振動を検出する感度が一端側から他端側に向けて減少し、かつ、他方の光ファイバループ2bの振動を検出する感度が一端側から他端側に向けて増加するように配置し、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の和を基に、構造体に振動が発生したかを判定し、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の差を、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の和で除した出力比を基に、構造体に振動が発生した位置を判定するようにしている。
これにより、長手方向全長にわたって検出感度が0となる箇所を無くして、長手方向全長にわたって検出感度を良好とすることができ、かつ、構造体に振動が発生した位置、すなわち侵入者が侵入した位置をより細かくピンポイントで特定することが可能となる。
また、光ファイバ振動センサ1では、光ファイバループ2a,2bを、互いに沿うように並列配置された2本の光ファイバの先端部同士を接続して形成している。例えば、光ファイバループ2a,2bにおいて、一端から中間点までの光ファイバ(往路)と、中間点から他端までの光ファイバ(復路)との距離が大きく離れていると、振動の影響が偏るなどして誤差が生じ、振動が発生した位置を正確に判定できなくなるが、本実施の形態では、往路と復路の光ファイバを互いに沿うように並列配置しているため、このような誤差がなくなる。
[第1の実施の形態の変形例]
次に、第1の実施の形態の変形例について説明する。
図3に示す光ファイバ振動センサ31は、図1の光ファイバ振動センサ1において、信号処理ユニット18を1つにまとめ、第1振動センサ本体3aに搭載するようにしたものである。第2振動センサ本体3b内の光源11,受光器12,位相変調器16と、第1振動センサ本体3a内の信号処理ユニット18とは、ケーブル32により電気的に接続される。なお、受光器12で得られる電気信号が微弱である場合には、受光器12からの電気信号を増幅する増幅器を備えるようにしてもよい。この場合、第1振動センサ本体3a内における受光器12と信号処理ユニット18との間、および第2振動センサ本体3b内における受光器12とケーブル32との間に、同じ増幅率の増幅器を設けるようにすればよい。
図4に示す光ファイバ振動センサ41は、図3の光ファイバ振動センサ31において、さらに光源11も共通としたものである。光ファイバ振動センサ41では、光源11からの光は第3の光カプラ42で分岐されて、分岐された一方の光が第1振動センサ本体3a内の第1の光カプラ13に入射され、分岐された他方の光が、両振動センサ本体3a,3b間を繋ぐ中継用光ファイバ43を介して、第2振動センサ本体3b内の第1の光カプラ13に入射されるようになっている。
図5に示す光ファイバ振動センサ51は、図3の光ファイバ振動センサ31において、第2振動センサ本体3b内の光源11、受光器12、第1の光カプラ13、偏光子14を第1振動センサ本体3a内に移動したものである。その移動した偏光子14からの光は、両振動センサ本体3a,3b間を繋ぐ中継用光ファイバ52を介して、第2振動センサ本体3b内の第2の光カプラ15に入射されるようになっている。なお、光ファイバ振動センサ51において光源11を共通とすることももちろん可能である。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
図6に示す光ファイバ振動センサ61は、図3の光ファイバ振動センサ31において、第1光ファイバループ2aに遅延用光ファイバ(遅延用光ファイバコイル)62を形成したものである。
第1光ファイバループ2aは、第1光ファイバループ2aを構成する光ファイバの全長の少なくとも半分の長さの光ファイバを巻回して、遅延用光ファイバ62として第1振動センサ本体3a内に収容して形成される。ここでは、第1光ファイバループ2aの位相変調器16側の端部(図示下側の端部)に遅延用光ファイバ62を形成しているが、第1光ファイバループ2aの位相変調器16と反対側の端部(図示上側の端部)に遅延用光ファイバ62を形成してもよい。
遅延用光ファイバ62を形成することで、検出感度が0となる位置が遅延用光ファイバ62に含まれることとなり、図7(a)に示すように、第1光ファイバループ2aの検出感度Aは、長手方向で一定の値となる。
これに対して、図7(b)に示すように、第2光ファイバループ2bの検出感度Bは、距離0からL3にかけて、すなわち第2光ファイバループ2bの先端から基端にかけて、徐々に増加する。
ここでは、第1光ファイバループ2aの検出感度AがSであり、第2ファイバループ2bの基端における検出感度Bが2Sであるとする。このとき、両光ファイバループ2a,2bの検出感度の差を、第1光ファイバループ2aの検出感度Aで除した検出感度比は、図7(c)に示すようになり、図2(d)に示す光ファイバ振動センサ1の場合と同じになる。なお、両光ファイバループ2a,2bの検出感度A,Bの関係はこれに限定されるものではなく、第2ファイバループ2bの基端における検出感度Bが、第1光ファイバループ2aの検出感度Aの2倍となっていなくてもよい。この場合、図7(c)に示すグラフの傾きが変化したり、グラフ全体が上下方向に移動したりすることになるが、基本的には同様の特性となる。
光ファイバ振動センサ61では、振動位置判定部18cは、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の出力比を基に、構造体に振動が発生した位置を判定するように構成される。ここでいう出力比とは、第1光ファイバループ2aの出力(位相差)をXa、第2光ファイバループ2bの出力(位相差)をXbとすると、Xb/Xaで表され、第2光ファイバループ2bの出力Xbを単純に第1光ファイバループ2aの出力Xaで除したものであり、上述の第1の実施の形態で述べた出力比とは異なるものである。なお、上述の検出感度比のように、(Xa−Xb)/Xaを用いて判定を行うようにしてもよいが、(Xa−Xb)/Xaを変形すると−(Xb/Xa−1)となることからも分かるように、縦軸をXb/Xa、横軸を距離としたグラフを、反転して平行移動したものを用いて判定を行う、といった違いしかなく、実質的にはXb/Xaを用いた判定と同じに
なる。
また、光ファイバ振動センサ61では、振動発生判定部18bは、上述の光ファイバ振動センサ1と同様に、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の和を基に、構造体に振動が発生したかを判定するように構成される。ただし、光ファイバ振動センサ61のように、振動検出可能領域(測定領域)の全域にわたって、検出感度が一定である光ファイバループ2aが配置されているような場合には、検出感度が一定である光ファイバループ2aの出力のみに基づいて、構造体に振動が発生したかを判定するように振動発生判定部18bを構成することも可能である。
[第2の実施の形態の変形例]
次に、第2の実施の形態の変形例を説明する。
図8に示す光ファイバ振動センサ81は、図6の光ファイバ振動センサ61において、第2振動センサ本体3b内の光源11、受光器12、第1の光カプラ13、偏光子14、第2の光カプラ15、位相変調器16を第1振動センサ本体3a内に移動すると共に第2振動センサ本体3bを省略し、かつ、第2光ファイバループ2bの向きを反転させて、2つの光ファイバループ2a,2bを、それぞれの基端側と先端側が一致するよう同じ向きに配置したものである。この光ファイバ振動センサ81では、振動検出可能領域は、L1〜L3の範囲となる。
光ファイバ振動センサ81では、2つの光ファイバループ2a,2bを同じ長さとしているが、検出に遅れ等が生じない範囲であれば、2つの光ファイバループ2a,2bの長さは異なっていてもよい。ただし、この場合、検出感度が一定である第1光ファイバループ2aの長さを、検出感度に勾配がある第2光ファイバループ2bの長さ以上とする必要がある。これは、第2光ファイバループ2bの方が長くなると、第2光ファイバループ2bのみが配置される領域ができ、その領域には検出感度が0となる中間点を含む検出感度の低い第2光ファイバループ2bの先端部が配置されることになり、当該領域で精度良く振動を検出できなくなるためである。なお、図6の光ファイバ振動センサ61のように2つの光ファイバループ2a,2bが逆向きに配置される場合には、第1光ファイバループ2aの長さが第2光ファイバループ2bの長さ未満であっても問題はない。
第1光ファイバループ2aを第2光ファイバループ2bよりも長く形成した場合、振動位置判定部18cを、第1光ファイバループ2aのみで振動を検出し、第2光ファイバループ2bで振動を検出しないときに、第1光ファイバループ2aのみが配置された領域にて振動が発生したと判定するよう構成するとよい。
光ファイバ振動センサ81では、図9(a)に示すように、第1光ファイバループ2aの検出感度Aは、長手方向で一定の値となるが、第2光ファイバループ2bの検出感度Bは、図9(b)に示すように、距離0からL3にかけて、すなわち第2光ファイバループ2bの基端から先端にかけて、徐々に減少する。よって、第1光ファイバループ2aの検出感度AがSであり、第2ファイバループ2bの基端における検出感度Bが2Sであるとすると、両光ファイバループ2a,2bの検出感度の差を、第1光ファイバループ2aの検出感度Aで除した検出感度比は、図9(c)に示すようになり、図7(c)で示した光ファイバ振動センサ61の検出感度比のグラフと比較して左右反転したものになる。
光ファイバ振動センサ81によれば、第2振動センサ本体3bを省略可能となるので、装置全体をコンパクト化することが可能である。
図10に示す光ファイバ振動センサ101は、図8の光ファイバ振動センサ81において、さらに、光源11と位相変調器16とを共通としたものである。光ファイバ振動センサ101では、第1の光カプラ13を省略し、光源11からの光を第3の光カプラ102で分岐して、偏光子14のそれぞれに入射するよう構成すると共に、第2の光カプラ15を2×2入出力ポートを有する光ファイバカプラで構成し、受光器12を第2の光カプラ15に光学的に接続するよう構成した。
位相変調器16は、2つの光ファイバループ2a,2bのそれぞれを構成する光ファイバを、共通の円筒状のピエゾセラミック素子(PZT)に巻回して形成するとよい。
光ファイバ振動センサ101によれば、光源11と位相変調器16が共通となり、また使用する光カプラの数を減らすことができるので、装置をさらにコンパクト化し、低コスト化を図ることができる。
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態を説明する。
図11に示す光ファイバ振動センサ111は、図1の光ファイバ振動センサ1において、2つの光ファイバループ2a,2bの長手方向の一部のみが互いに沿うように配置されたものである。ここでは、2つの光ファイバループ2a,2bが互いに逆向きに配置されているので、2つの光ファイバループ2a,2bは、その先端部同士が重なり合うことになる。ここで、第1光ファイバループ2aの基端を基準0として、第1振動センサ本体3aの筐体19までの距離をL1、第2光ファイバループ2bの先端までの距離をL4、第1光ファイバループ2aの先端までの距離をL5、第2振動センサ本体3bの筐体19までの距離をL2、第2光ファイバループ2bの基端までの距離をL3、とする。振動検出可能領域は距離L1〜L2の範囲となり、2つの光ファイバループ2a,2bが両方共に配置されている領域は距離L4〜L5の範囲となる。また、ここでは、2つの光ファイバループ2a,2bが同じケーブル長Lであるとする。L5は第1光ファイバループ2aのケーブル長Lと等しく、L3−L4は第2光ファイバループ2bのケーブル長Lと等しくなる。
光ファイバ振動センサ111では、振動検出可能領域は、第1光ファイバループ2aのみが配置されている距離L1からL4の領域(以下、領域Xという)、両光ファイバループ2a,2bが配置されている距離L4からL5の領域(以下、領域Yという)、及び第2光ファイバループ2bのみが配置されている距離L5からL2の領域(以下、領域Zという)の3つの領域から構成される。
光ファイバ振動センサ111では、振動位置判定部18cは、2つの光ファイバループ2a,2bのうち一つの光ファイバループ2a(または2b)のみで振動を検出したときには、当該振動を検出した光ファイバループ2a(または2b)のみが配置された領域X(またはZ)にて振動が発生したと判定するように構成される。また、振動位置判定部18cは、光ファイバループ2a,2bの両方で振動を検出したときに、両光ファイバループ2a,2bが配置された領域Yで振動が発生したと判定し、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の差を、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の和で除した出力比を基に、領域Y内において構造体に振動が発生した位置をピンポイントで判定するように構成される。
ここで、光ファイバ振動センサ111における検出感度について説明する。
図12(a)に示すように、第1光ファイバループ2aの検出感度Aは、距離0からL5にかけて、すなわち第1光ファイバループ2aの基端から先端にかけて、徐々に減少する。距離L5からL3の領域では、第1光ファイバループ2aが配置されていないので、検出感度Aは0になる。
これに対して、図12(b)に示すように、第2光ファイバループ2bの検出感度Bは、距離L4からL3にかけて、すなわち第2光ファイバループ2bの先端から基端にかけて、徐々に増加する。距離0からL4の領域では、第2光ファイバループ2bが配置されていないので、検出感度Bは0になる。
これら検出感度A,Bを足し合わせると、図12(c)に示すように、検出感度の和A+Bは、領域Xでは第1光ファイバループ2aの検出感度Aと等しく、領域Zでは第2光ファイバループ2bの検出感度Bと等しく、領域Yでは一定の値となる。よって、振動発生判定部18bを、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の和で振動の発生を判定するよう構成することで、長手方向全長にわたって検出感度を良好にできることが分かる。領域X,Zは、光ファイバループ2a,2bの基端部近傍でありもともと検出感度が高く、領域Yでは、2つの光ファイバループ2a,2bの出力を足し合わせることで検出感度を向上して、検出感度が0となる位置を無くすことができる。
また、検出感度A,Bの差を検出感度A,Bの和で除した検出感度比を図12(d)に示す。図12(d)に示すように、領域Xでは、検出感度B=0であるから、検出感度比(A−B)/(A+B)=1で一定となる。また、領域Zでは、検出感度A=0であるから、検出感度比(A−B)/(A+B)=−1で一定となる。領域Yでは、距離L4からL5にかけて、1から−1の値まで徐々に減少する。したがって、領域Yにおいては、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の差を、2つの光ファイバループ2a,2bを介して得られた出力の和で除した出力比の値から、距離L4からL5のどの位置で振動が発生したかをピンポイントで判定することが可能である。
このように、光ファイバ振動センサ111では、2つの光ファイバループ2a,2bのそれぞれが振動を検出するか否かによって、3つの領域X、Y,Zのどの領域で振動が発生したかを判定することができ、かつ、領域Yで振動が発生した場合には、上述の出力比からどの位置で振動が発生したかをピンポイントで判定することが可能である。
光ファイバ振動センサ111によれば、光ファイバループ2a,2bの長さ(ケーブル長L)を短くした場合であっても、広い領域で振動を検出し、振動が発生した位置、すなわち侵入者が侵入した位置を特定することができる。
なお、光ファイバ振動センサ111では、2つの光ファイバループ2a,2bのうち一つの光ファイバループ2a(または2b)のみで振動を検出したときに、当該振動を検出した光ファイバループ2a(または2b)のみが配置された領域X(またはZ)にて振動が発生したと判定するように振動位置判定部18cを構成したが、出力比が1であるときに領域X、出力比が−1であるときに領域Zで振動が発生したと判定するよう振動位置判定部18cを構成することも可能である。
また、第3の実施の形態では、2つの光ファイバループ2a,2bの長さを同じとする場合を説明したが、検出に遅れ等が生じない範囲であれば、2つの光ファイバループ2a,2bの長さは異なっていてもよい。
さらに、2つの光ファイバループ2a,2bのうち一方の光ファイバループ2aに遅延用光ファイバを設け、一方の光ファイバループ2aの検出感度を一定としてもよい。この場合、領域Yで振動が発生した場合には、他方の光ファイバループ2bの出力を一方の光ファイバループ2aの出力で除した出力比を基に、どの位置で振動が発生したかを判定するとよい。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上記実施の形態では、2心の光ファイバケーブルを2本用いて2つの光ファイバループ2a,2bを形成したが、4心の光ファイバケーブルを用いて、その2心ずつを対として2つの光ファイバループ2a,2bを形成するようにしてもよい。さらに、例えば図4の光ファイバ振動センサ41のように中継用光ファイバ43が必要な場合には、その中継用光ファイバ43も含めた5心の光ファイバケーブルを用いるようにしてもよい。
1 光ファイバ振動センサ
2a,2b 光ファイバループ
3a,3b 振動センサ本体
18 信号処理ユニット
18a 位相差検出部
18b 振動発生判定部
18c 振動位置判定部

Claims (8)

  1. 構造体に沿って配置される光ファイバループと、前記構造体で発生した振動を前記光ファイバループを介して検出する振動センサ本体と、を備えたサニャック干渉型の光ファイバ振動センサにおいて、
    前記光ファイバループを2つ備え、該2つの光ファイバループは、長手方向の少なくとも一部が互いに沿うように配置されると共に、一方の光ファイバループの振動を検出する感度が一端側から他端側に向けて減少し、かつ、他方の光ファイバループの振動を検出する感度が一端側から他端側に向けて増加するように配置され、
    前記振動センサ本体は、
    前記2つの光ファイバループを介して得られた出力の和を基に、前記構造体に振動が発生したかを判定する振動発生判定部と、
    前記2つの光ファイバループを介して得られた出力の差を、前記2つの光ファイバループを介して得られた出力の和で除した出力比を基に、前記構造体に振動が発生した位置を判定する振動位置判定部と、を有する
    ことを特徴とする光ファイバ振動センサ。
  2. 前記2つの光ファイバループは、一方の光ファイバループの基端側に他方の光ファイバループの先端側が位置し、一方の光ファイバループの先端側に他方の光ファイバループの基端側が位置するように逆向きに配置されている
    請求項1記載の光ファイバ振動センサ。
  3. 構造体に沿って配置される光ファイバループと、前記構造体で発生した振動を前記光ファイバループを介して検出する振動センサ本体と、を備えたサニャック干渉型の光ファイバ振動センサにおいて、
    前記光ファイバループを2つ備え、該2つの光ファイバループは、長手方向の少なくとも一部が互いに沿うように配置されると共に、一方の光ファイバループの振動を検出する感度が一端側から他端側にかけて一定であり、かつ、他方の光ファイバループの振動を検出する感度が一端側から他端側に向けて減少または増加するように配置され、
    前記振動センサ本体は、
    前記2つの光ファイバループを介して得られた出力の和、あるいは前記一方の光ファイバループを介して得られた出力を基に、前記構造体に振動が発生したかを判定する振動発生判定部と、
    前記2つの光ファイバループを介して得られた出力の出力比を基に、前記構造体に振動が発生した位置を判定する振動位置判定部と、を有する
    ことを特徴とする光ファイバ振動センサ。
  4. 前記一方の光ファイバループは、該一方の光ファイバループを構成する光ファイバの全長の少なくとも半分の長さの光ファイバを、遅延用光ファイバとして前記センサ本体内に収容してなる
    請求項3記載の光ファイバ振動センサ。
  5. 前記2つの光ファイバループは、それぞれの基端側と先端側が一致するように同じ向きに配置され、かつ、前記一方の光ファイバループの長さが、前記他方の光ファイバループの長さ以上となるように形成されている
    請求項3または4記載の光ファイバ振動センサ。
  6. 前記2つの光ファイバループのそれぞれを構成する光ファイバを、共通の円筒状のピエゾセラミック素子に巻回して、共通の位相変調器を形成した
    請求項1〜5いずれかに記載の光ファイバ振動センサ。
  7. 前記振動位置判定部は、前記2つの光ファイバループのうち一つの光ファイバループのみで振動を検出したときには、当該振動を検出した光ファイバループのみが配置された領域にて振動が発生したと判定するように構成される
    請求項1〜6いずれかに記載の光ファイバ振動センサ。
  8. 前記振動位置判定部は、前記構造体に振動が発生したと判定し、かつ、前記振動位置判定部は、前記構造体に振動が発生した位置を判定することができないときには、自然現象によって前記構造体に振動が発生したと判定するように構成される
    請求項1〜7いずれかに記載の光ファイバ振動センサ。
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