JP2011220940A - 光ファイバ振動センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】長手方向の感度が均一で検出感度を向上でき、かつ、コスト低減と小型化が図れ、振動を検出する範囲を長くすることが可能な光ファイバ振動センサを提供する。
【解決手段】2心の光ファイバ4a,4bを可とう性を有するチューブ5に収容した、同じ長さの2本のセンサケーブル6a,6bを用い、その2本のセンサケーブル6a,6bのそれぞれの一端部に、2心の光ファイバ4a,4bを接続した第1接続部7a,7bを形成すると共に、2本のセンサケーブル6a,6bの他端部を振動センサ本体3にそれぞれ接続するようにし、かつ、振動センサ本体3内に、2本のセンサケーブル6a,6bの一方の光ファイバ4a同士を接続した第2接続部9を形成して、光ファイバループ2を形成したものである。
【選択図】図1
【解決手段】2心の光ファイバ4a,4bを可とう性を有するチューブ5に収容した、同じ長さの2本のセンサケーブル6a,6bを用い、その2本のセンサケーブル6a,6bのそれぞれの一端部に、2心の光ファイバ4a,4bを接続した第1接続部7a,7bを形成すると共に、2本のセンサケーブル6a,6bの他端部を振動センサ本体3にそれぞれ接続するようにし、かつ、振動センサ本体3内に、2本のセンサケーブル6a,6bの一方の光ファイバ4a同士を接続した第2接続部9を形成して、光ファイバループ2を形成したものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、光ファイバをフェンスなどの構造体に固定して、光ファイバに加わる機械的な振動を検出し、侵入者などを検知する光ファイバ振動センサに係り、特に、サニャック干渉型の光ファイバ振動センサに関するものである。
侵入者による盗難や破壊、情報の流出を抑制するため、あるいは人身の安全を確保するため、フィジカルセキュリティ技術への関心が高まっている。特に、空港や港湾、発電所などの重要施設では、敷地境界にフェンスを設けて不法侵入を阻止する措置がとられているが、フェンスの物理的な高さや強度には限界があり、不法侵入行為を検知する侵入検知センサの併設が必要になっている。
このような侵入検知センサとして、フェンスなどの構造体に固定し、その構造体の振動を検知する振動センサが注目されており、低コスト化やフィールドでの耐久性が期待できることから、サニャック干渉系を用いたサニャック干渉型の光ファイバ振動センサが注目されている。
図7に示すように、従来のサニャック干渉型の光ファイバ振動センサ71では、光ファイバループ72の一部を振動検知用のセンサ検知部として用い、この光ファイバループ72をフェンスなどの構造体に沿って配置している。
この光ファイバ振動センサ71では、光源73から出射した光は、第1の光カプラ74を伝搬し、偏光子75で直線偏光にされ、第2の光カプラ76で2つに分岐されて、光ファイバループ72の異なる端にそれぞれ入射する。光ファイバループ72に入射した光のうち、一方を右回り光Lcw、他方を左回り光Lccwとする。
これら左右回り光Lcw,Lccwは、位相変調器77で光の位相を変調され、光ファイバループ72を一周して再び第2の光カプラ76に入射する。第2の光カプラ76に入射した左右回り光Lcw,Lccwは、第2の光カプラ76で干渉して干渉光となり、偏光子75を伝搬し、第1の光カプラ74で再び2つの光に分岐され、分岐された一方の光は受光器78で受光される。
光ファイバループ72が振動していないときは、受光器78は常に一定の光強度を検出しているが、光ファイバループ72が振動すると、左右回り光Lcw,Lccwに位相差が生じ、受光器78で検出する光強度が変化する。この光強度の変化を信号処理ユニット79により検出することで、光ファイバループ72の振動を検知する。
ところで、図7に示した光ファイバ振動センサ71において、光ファイバループ72の中間点付近では、左右両周りの光がほぼ同時刻に通過するため、振動による位相差が発生しにくく、検出感度が低下するという問題がある。特に、光ファイバループ72の中間点では検出感度はゼロとなる。
この問題を解決するため、特許文献1では、光ファイバループを構成する光ファイバのうち、少なくとも半分の長さの光ファイバを、光ファイバ遅延部として振動センサ本体内に収容し、感度がゼロとなる光ファイバループの中間点を振動センサ本体内(あるいは振動センサ本体の出口)に配置することで、長手方向の感度を均一にし、検出感度の向上を図った光ファイバ振動センサが提案されている。
しかしながら、特許文献1の光ファイバ振動センサでは、長手方向の感度を均一とし、検出感度を向上できるものの、光ファイバ遅延部として用いている光ファイバは振動の検知に寄与せず、無駄が多い。
また、特許文献1の光ファイバ振動センサでは、光ファイバ遅延部となる光ファイバを巻き付けるためのボビンが必要であり、また製造時に光ファイバをボビンに巻く工程が必要となるので、コストが高くなってしまうという問題があり、さらには、振動センサ本体に光ファイバ遅延部を収納するスペースが必要となるため、振動センサ本体が大型化してしまうという問題もある。
さらにまた、特許文献1の光ファイバ振動センサでは、振動を検出する範囲(つまり、振動センサ本体から外部に延びる光ファイバループの長さ)を長くしようとすると、それに伴い光ファイバ遅延部も長くしなければならない。しかし、振動センサ本体に収容できる光ファイバ遅延部の長さには限界があることから、特許文献1の光ファイバ振動センサでは、振動を検出する範囲(監視できる距離)を長くすることが困難であった。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、長手方向の感度が均一で検出感度を向上でき、かつ、コスト低減と小型化が図れ、振動を検出する範囲を長くすることが可能な光ファイバ振動センサを提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、振動が加えられるフェンスなどの構造体に沿って配置される光ファイバループと、前記構造体に加えられた振動を前記光ファイバループを介して検出する振動センサ本体とを備えたサニャック干渉型の光ファイバ振動センサにおいて、前記光ファイバループは、2心の光ファイバをチューブに収容したセンサケーブルを2本用い、前記2本のセンサケーブルのそれぞれの一端部において、前記2心の光ファイバの一端部同士を接続した第1接続部を形成し、前記2本のセンサケーブルのそれぞれの他端部において、前記2心の光ファイバの内、一方の光ファイバの他端部を前記振動センサ本体にそれぞれ接続すると共に、前記2心の光ファイバの内、他方の光ファイバの他端部同士を接続した第2接続部を形成してなる光ファイバ振動センサである。
少なくとも一方のセンサケーブルの一部を前記振動センサ本体内に収容することで、前記振動センサ本体から外部に延びる前記2本のセンサケーブルの長さを異ならせてもよい。
前記第1接続部と前記第2接続部は、融着接続またはコネクタ接続により形成されてもよい。
前記第1接続部は、前記センサケーブルの一端部に設けられた終端ボックス内に配置され、前記第1接続部における前記光ファイバの曲げ半径が所定の曲げ半径以上となるように前記終端ボックス内に保持されてもよい。
前記第2接続部は、前記2心の光ファイバの内、他方の光ファイバの他端部同士を、光接続部材を介して光学的に接続することにより形成されてもよい。
音及び/又は光による警報手段を備え、前記振動センサ本体は、所定の強度以上の振動を検知したとき、前記警報手段を作動させてもよい。
前記光ファイバが、偏波面保存光ファイバからなるとよい。
本発明によれば、長手方向の感度が均一で検出感度を向上でき、かつ、コスト低減と小型化が図れ、振動を検出する範囲を長くすることが可能な光ファイバ振動センサを提供できる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本実施の形態に係る光ファイバ振動センサの概略構成図である。
図1に示すように、光ファイバ振動センサ1は、振動を発生する構造体(図示せず)に沿って配置される光ファイバループ2と、構造体で発生した振動を光ファイバループ2を介して検出する振動センサ本体3とを備える。構造体は、例えば、フェンスなどである。
まず、振動センサ本体3について説明する。
振動センサ本体3は、光源11、フォトダイオードなどの受光器12、光を入出力するための3つのポート17a〜17cを有する第1の光カプラ13、偏光子14、光を入出力するための3つのポート17d〜17fを有する第2の光カプラ15、位相変調器16を備え、さらに、信号処理ユニット18とこれらを収容する筐体19とを備える。
光源11としては、例えば、SLD(スーパールミネッセントダイオード)を用いるとよい。これにより、光ファイバループ2からの戻り光とレイリー散乱光とが干渉して発生する干渉ノイズを低減することができる。
光カプラ13,15としては、図1中に図示した1×2入出力ポートを有する光ファイバカプラを用いる。なお、光カプラ13,15として2×2入出力ポートを有する光ファイバカプラを用いることもできる。
第1の光カプラ13の第1ポート17aは、光源11に光学的に接続され、第1の光カプラ13の第2ポート17bは、受光器12に光学的に接続され、第1の光カプラ13の第3ポート17cは、偏光子14の一端に光学的に接続されている。
第2の光カプラ15の第1ポート17dは、偏光子14の他端に光学的に接続され、第2の光カプラ15の第2ポート17eは、後述の光ファイバ4bの他端Xに光学的に接続され、第2の光カプラ15の第3ポート17fは、位相変調器16に巻き付けられた後に、後述の光ファイバ4bの他端Yに光学的に接続される。
上述の偏光子14は、コアの複屈折率を大きくし、コイル状に形成したファイバ型の偏光子であり、光源11からの光を直線偏光にするためのものである。
上述の位相変調器16は、光ファイバループ2を互いに反対方向に伝搬する光に相対的に時間遅れのある位相変調をかけるものである。受光器12で検出される光の強度は、光ファイバループ2を互いに反対方向に伝搬する光の位相差の余弦に比例するため、零付近の位相差、すなわち微少な振動に対する感度が低い。よって、位相変調器16により位相変調を行って位相差の正弦に比例させることにより、微少な振動に対する感度を向上させることができる。
位相変調器16としては、振動子とする円筒状のPZT(ピエゾセラミック)を用い、これに第2の光カプラ15の第3ポート17fを構成する光ファイバの一部を巻き付けた。この位相変調器16では、PZTへ印加する電圧により、PZTに巻き付けた第2の光カプラ15の第3ポート17fを構成する光ファイバを伸縮させることで、光の位相を変調することができる。
信号処理ユニット18は、光源11の駆動、受信器12で検出された光信号が光電変換された電気信号の処理、位相変調器16の変調レベルの制御、処理結果(振動波形、振動の強度など)の出力などを行うためのものである。信号処理ユニット18は、光源11、受信器12、および位相変調器16と電気的に接続される。
また、光ファイバ振動センサ1は、図示しない警報手段を備え、信号処理ユニット18は、所定の強度以上の振動を検知したとき、警報手段を作動させる警報作動手段を備える。
警報手段は、例えば、音及び/又は光を発することにより侵入者に対して威圧を与えるものであり、光ファイバループ2の近傍に配置される。信号処理ユニット18の警報作動手段は、検出した振動レベル(振動の強度)に応じて、「警報」、あるいは「注意」のアラームを発報し、侵入があったことを監視者に通知すると共に、検出した振動レベルが所定の強度以上である場合に、警報手段を作動させる。
また、信号処理ユニット18は、光ファイバループ2より得られる振動波形をフーリエ変換し、周波数特性から振動の要因を分析できるようにしてもよい。これにより、雨や風などの自然現象による振動であるか、あるいは人的な要因による振動であるかを推定し、人的な要因による振動である場合のみ警報手段を作動させることが可能となる。
次に、光ファイバループ2について説明する。
光ファイバループ2は、2心の光ファイバ4a,4bを可とう性を有するチューブ5に収容した、同じ長さの2本のセンサケーブル6a,6bを用いて形成される。
より詳細には、センサケーブル6a,6bは、図2に示すように、並列に配置した2心の光ファイバ4a,4bの周囲に、ポリアラミド繊維などの補強繊維21を配置し、その周囲に、PE(ポリエチレン)などからなるチューブ5を形成してなる。チューブ5には、長手方向に沿ってFRP(繊維強化プラスチック)などからなる抗張力体22が設けられている。
光ファイバ4a,4bとしては、偏波面保存光ファイバ(PMF:Polarization Maintaining Fiber)を用いるとよい。例えば、光ファイバループ4a,4bとしてシングルモード光ファイバ(SMF:Single Mode Fiber)を用いた場合、SMFでは互いに直交した伝搬定数のわずかに異なる2つの固有偏光モードが伝搬するために、振動や温度変化などの外乱によりモード変換が発生し、このモード変換による干渉雑音が発生してしまう。このような干渉雑音を避けるため、光ファイバ4a,4bとしては、偏波面保存光ファイバを用いることが望ましい。
図1に戻り、第1のセンサケーブル6aの一端部には、2心の光ファイバ4a,4bの一端部同士を接続した第1接続部7aが形成される。第1接続部7aは、2心の光ファイバ4a,4bの一端部同士を融着接続して形成される(図1における×印は、融着接続をしている部分を表している)。第1接続部7aは、第1のセンサケーブル6aの一端部に設けられた第1の終端ボックス8a内に配置され、第1接続部7aにおける光ファイバ4a,4bの曲げ半径が所定の曲げ半径以上(例えばφ60mm以上)となるように第1の終端ボックス8a内に保持される。光ファイバ4a,4bの曲げ半径を所定の曲げ半径以上とすることにより、第1接続部7aで発生する光損失を低減できる。第1の終端ボックス8a内には樹脂が流し込まれ、第1接続部7aを保護・固定するようにされる。
同様に、第2のセンサケーブル6bの一端部にも、2心の光ファイバ4a,4bの一端部同士を融着接続した第1接続部7bが形成される。第1接続部7bは、第2のセンサケーブル6bの一端部に設けられた第2の終端ボックス8b内に配置され、第1接続部7bにおける光ファイバ4a,4bの曲げ半径が所定の曲げ半径以上(例えばφ60mm以上)となるように第2の終端ボックス8b内に保持される。第2の終端ボックス8b内には樹脂が流し込まれ、第1接続部7bを保護・固定するようにされる。
2本のセンサケーブル6a,6bのそれぞれの他端部において、2心の光ファイバ4a,4bの内、光ファイバ4bの他端X,Yが振動センサ本体3にそれぞれ接続される。振動センサ本体3内には、2本のセンサケーブル6a,6bの一方の光ファイバ4a同士を融着接続して第2接続部9が形成される。なお、本実施の形態では、第1接続部7a,7bと第2接続部9とを、共に融着接続により形成したが、コネクタ接続により形成するようにしてもよい。
第1接続部7a,7bと第2接続部9は、センサケーブル6a,6bを実際に構造体に配線(敷設)する際に形成される。これは、汎用性を高め、配線を容易とするための工夫であり、例えば、予め第1接続部7a,7bを形成した場合、構造体の実際の長さや形状に応じて異なる長さのセンサケーブル6a,6bを多数用意しておかなければならず、フレキシブルな対応が期待できなくなり、また、第2接続部9を予め形成した場合、2本のセンサケーブル6a,6bをまとめて扱わなければならず、配線しにくくなるためである。
第1接続部7a,7bと第2接続部9の3つの接続部を形成することにより、第1のセンサケーブル6aの他方の光ファイバ4bの他端Xから、第1のセンサケーブル6aの他方の光ファイバ4b、第1接続部7a、第1のセンサケーブル6aの一方の光ファイバ4a、第2接続部9、第2のセンサケーブル6bの一方の光ファイバ4a、第1接続部7b、第2のセンサケーブル6bの他方の光ファイバ4bを経て、第2のセンサケーブル6bの他方の光ファイバ4bの他端Yに至る光ファイバループ2が形成される。2本のセンサケーブル6a,6bはその長さが略等しいので、光ファイバループ2の中間点(長手方向の中央部分)は、第2接続部9に位置することになる。
光ファイバループ2の一端である、第1のセンサケーブル6aの他方の光ファイバ4bの他端Xは、コネクタ接続により第2の光カプラ15の第2ポート17eに接続される(図1における○印は、コネクタ接続をしている部分を表している)。また、光ファイバループ2の他端である、第2のセンサケーブル6bの他方の光ファイバ4bの他端Yは、コネクタ接続により第2の光カプラ15の第3ポート17fに接続される。
図3に示すように、光ファイバループ2を構成する2本のセンサケーブル6a,6bは、例えば、構造体であるフェンス31に沿って略T字状に配置される。
より詳細には、フェンス31の支柱32に取り付けられた屋外収納ボックス33内に振動センサ本体3が収容され、その屋外収納ボックス33の上部から上方に2本のセンサケーブル6a,6bが引き出される。屋外収納ボックス33の上方に引き出された2本のセンサケーブル6a,6bは、屋外収納ボックス33の上方にて90°曲げられ、第1のセンサケーブル6aは図示左側へ、第2のセンサケーブル6bは図示右側へ向けて略水平に配置される。
次に、光ファイバ振動センサ1の動作を説明する。
光源11から出射した光は、第1の光カプラ13を伝搬し、偏光子14で直線偏光にされ、第2の光カプラ15に入射する。第2の光カプラ15では、入射した光が2つに分岐され、分岐された光は光ファイバループ2の異なる端にそれぞれ入射する。
光ファイバループ2を伝搬する左右回り光は、位相変調器16で位相変調され、光ファイバループ2を一周して再び第2の光カプラ15に入射する。第2の光カプラ15に入射した左右回り光は、第2の光カプラ15で干渉して干渉光となる。この干渉光は、偏光子14を伝搬し、第1の光カプラ13で再び2つの光に分岐され、分岐された一方の光は受光器12で受光される。
光ファイバループ2が振動していないとき(すなわち、2本のセンサケーブル6a,6bが振動していないとき)は、受光器12は常に一定の光強度を検出しているが、光ファイバループ2が振動すると、光ファイバループ2を伝搬する左右回り光に位相差が生じ、受光器12で検出する光強度が変化する。受光器12で受光する光強度は左右回り光の位相差の正弦に比例するので、光ファイバループ2に与えられた振動が大きいほど、位相差が大きくなり、受光器12で受光する光強度の変化も大きくなる。
信号処理ユニット18は、受光器12からの電気信号に基づき、受光器12で受光する光強度の変化を検出することで、光ファイバループ2の振動を検知すると共に、光ファイバループ2に与えられた振動の強度を得ることができる。
ここで、光ファイバ振動センサ1におけるセンサケーブル6a,6bの長手方向における感度について検討する。
上述のように、光ファイバループ2の中間点では、左右両周りの光がほぼ同時刻に通過するため、振動による位相差が発生せず、感度はゼロとなる。これに対して、光ファイバループ2の中間点から外れた場所では、振動により位相差が発生するため、感度はゼロとはならない。この位相差は、光ファイバループ2の中間点から離れるに従い大きくなり、光ファイバループ2の端部にて位相差が最大に、つまり感度は最大になる。
本実施の形態に係る光ファイバ振動センサ1では、中間点である第2接続部9に対して2本のセンサケーブル6a,6bが対称に配置されるため、2本のセンサケーブル6a,6bにおける感度は等しくなる。
また、第1のセンサケーブル6aについて考えると、第2接続部9(光ファイバループ2の中間点)を構成する一方の光ファイバ4aの他端で最も感度が小さく、第2接続部9から第1接続部7aにかけて徐々に感度が向上する。また、第1接続部7aから他方の光ファイバ4bの他端Xにかけて徐々に感度が向上し、他方の光ファイバ4bの他端Xにて感度が最大となる。よって、これらを重ね合わせると、第1のセンサケーブル6a全体では、長手方向の感度が均一となり、感度がゼロ、すなわち振動を検出できない箇所はなくなる。第2のセンサケーブル6bについても同様である。
以上説明したように、本実施の形態に係る光ファイバ振動センサ1では、2心の光ファイバ4a,4bを可とう性を有するチューブ5に収容した、同じ長さの2本のセンサケーブル6a,6bを用い、その2本のセンサケーブル6a,6bのそれぞれの一端部に、2心の光ファイバ4a,4bを接続した第1接続部7a,7bを形成すると共に、2本のセンサケーブル6a,6bの他端部を振動センサ本体3にそれぞれ接続するようにし、かつ、振動センサ本体3内に、2本のセンサケーブル6a,6bの一方の光ファイバ4a同士を接続した第2接続部9を形成して光ファイバループ2を形成している。
これにより、特許文献1の光ファイバ振動センサのように光ファイバ遅延部を形成することなく、長手方向の感度を均一にし、検出感度を向上させることが可能になる。よって、光ファイバ遅延部となる光ファイバを巻き付けるためのボビンが不要となり、また製造時に光ファイバをボビンに巻く工程も不要となるので、コストを低減できる。さらに、振動センサ本体3に光ファイバ遅延部を収納するスペースを設ける必要もなくなるので、振動センサ本体3を小型化できる。
また、特許文献1の光ファイバ振動センサでは、光ファイバループの少なくとも半分の長さの光ファイバを、光ファイバ遅延部として振動センサ本体に収容していたが、本発明の光ファイバ振動センサ1では、光ファイバループ2の略全体を振動の検知に使用できるので、特許文献1の光ファイバ振動センサと比較して、振動を検出する範囲(監視できる距離)が略2倍の長さとなり、振動を検出する範囲を長くすることができる。その結果、構造体に設置する光ファイバ振動センサ1の数(振動センサ本体3の数)を略半分に減らすことが可能となり、コストをさらに低減できる。
さらに、光ファイバ振動センサ1では、振動センサ本体3の警報作動手段が、所定の強度以上の振動を検知したとき、警報手段を作動させるので、光ファイバ振動センサ1を侵入検知センサとして用いた場合には、侵入者に対して威圧を与えることができる。さらにまた、光ファイバ振動センサ1では、警報手段を光ファイバループ2の近傍に配置しているので、光ファイバ振動センサ1を侵入検知センサとして用いた場合には、侵入者に対して、より近い位置で警報を発生させることができ、高い防犯性を達成することができる。
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。
図4に示す光ファイバ振動センサ41は、基本的に図1の光ファイバ振動センサ1と同じ構成であり、第2のセンサケーブル6bの一部を振動センサ本体3内に収容することで、振動センサ本体3から外部に延びる2本のセンサケーブル6a,6bの長さを異ならせたものである。この場合、振動センサ本体3から外部に延びる部分の長さは、第1のセンサケーブル6aの方が第2のセンサケーブル6bよりも長くなる。
この光ファイバ振動センサ41は、図5に示すように、構造体が比較的高いフェンス(例えば高さ5m以上のフェンス)51であり、上下にセンサケーブル6a,6bを配置する必要がある場合などに有効である。光ファイバ振動センサ41では、屋外収納ボックス33からより離れた上方に配置されるセンサケーブル6aが、下方に配置されるセンサケーブル6bよりも長くされる。
図6に示す光ファイバ振動センサ61は、図1の光ファイバ振動センサ1において、2本のセンサケーブル6a,6bの一方の光ファイバ4a同士を、光接続部材であるコネクタ付ジャンパコード62を介して光学的に接続したものである。コネクタ付ジャンパコード62は、1心の光ファイバケーブル63の両端にコネクタ(図示せず)をそれぞれ形成したものである。
センサケーブル6a,6bの一方の光ファイバ4aの他端には、それぞれコネクタ(図示せず)が設けられ、光ファイバ4aとコネクタ付ジャンパコード62とは、それぞれコネクタ接続により接続される。この場合、光ファイバ4aとコネクタ付ジャンパコード62との接続部分と、コネクタ付ジャンパコード62とが、第2接続部9を構成することとなる。
光ファイバ振動センサ61によれば、2本のセンサケーブル6a,6bが独立となるので、配線が容易となる。
上記実施の形態では、2本のセンサケーブル6a,6bを略同じ長さとしたが、2本のセンサケーブル6a,6bの長さが多少違う場合であっても、本発明の技術範囲に含まれる。
また、上記実施の形態では、第2接続部9を振動センサ本体3内に配置したが、例えば、振動センサ本体3を収容する屋外収納ボックス33内に第2接続部9を収容するようにしてもよいし、屋外収納ボックス33の近傍に設けた別のボックスに第2接続部9を収容するようにしてもよい。
このように、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1 光ファイバ振動センサ
2 光ファイバループ
3 振動センサ本体
4a,4b 光ファイバ
5 チューブ
6a,6b センサケーブル
7a,7b 第1接続部
8a,8b 終端ボックス
9 第2接続部
2 光ファイバループ
3 振動センサ本体
4a,4b 光ファイバ
5 チューブ
6a,6b センサケーブル
7a,7b 第1接続部
8a,8b 終端ボックス
9 第2接続部
Claims (7)
- 振動が加えられるフェンスなどの構造体に沿って配置される光ファイバループと、前記構造体に加えられた振動を前記光ファイバループを介して検出する振動センサ本体とを備えたサニャック干渉型の光ファイバ振動センサにおいて、
前記光ファイバループは、
2心の光ファイバをチューブに収容したセンサケーブルを2本用い、
前記2本のセンサケーブルのそれぞれの一端部において、前記2心の光ファイバの一端部同士を接続した第1接続部を形成し、
前記2本のセンサケーブルのそれぞれの他端部において、前記2心の光ファイバの内、一方の光ファイバの他端部を前記振動センサ本体にそれぞれ接続すると共に、前記2心の光ファイバの内、他方の光ファイバの他端部同士を接続した第2接続部を形成してなることを特徴とする光ファイバ振動センサ。 - 少なくとも一方のセンサケーブルの一部を前記振動センサ本体内に収容することで、前記振動センサ本体から外部に延びる前記2本のセンサケーブルの長さを異ならせた請求項1記載の光ファイバ振動センサ。
- 前記第1接続部と前記第2接続部は、融着接続またはコネクタ接続により形成される請求項1または2記載の光ファイバ振動センサ。
- 前記第1接続部は、前記センサケーブルの一端部に設けられた終端ボックス内に配置され、前記第1接続部における前記光ファイバの曲げ半径が所定の曲げ半径以上となるように前記終端ボックス内に保持される請求項3記載の光ファイバ振動センサ。
- 前記第2接続部は、前記2心の光ファイバの内、他方の光ファイバの他端部同士を、光接続部材を介して光学的に接続することにより形成される請求項1〜4いずれかに記載の光ファイバ振動センサ。
- 音及び/又は光による警報手段を備え、前記振動センサ本体は、所定の強度以上の振動を検知したとき、前記警報手段を作動させる請求項1〜5いずれかに記載の光ファイバ振動センサ。
- 前記光ファイバが、偏波面保存光ファイバからなる請求項1〜6いずれかに記載の光ファイバ振動センサ。
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KR101336700B1 (ko) * | 2012-03-09 | 2013-12-04 | 한국표준과학연구원 | 광섬유 간섭형 센서, 이를 이용한 음성 및 진동 레벨의 동시 탐지 방법 및 그 기록매체 |
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2010
- 2010-04-13 JP JP2010092512A patent/JP2011220940A/ja active Pending
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