JP2012197256A - N−アシルアミノ酸の製造方法 - Google Patents

N−アシルアミノ酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】N−アシルアミノ酸(3)を良好な収率で製造する方法方法を提供すること。
【解決手段】反応器内で、溶媒中、パラジウム化合物及びハロゲン化合物の存在下、アルデヒド化合物(1)と、アミド化合物(2)と、一酸化炭素とを反応させることにより、N−アシルアミノ酸(3)を製造する方法であって、予め溶媒、パラジウム化合物、ハロゲン化合物及び一酸化炭素を入れた反応器内に、アルデヒド化合物(1)、アミド化合物(2)及び溶媒を供給することを特徴とするN−アシルアミノ酸(3)の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、下記式(1)
Figure 2012197256
(式中、Rは、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい複素環基を表す。)
で示されるアルデヒド化合物〔以下、アルデヒド化合物(1)ということがある〕と、下記式(2)
Figure 2012197256
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい複素環基を表す。)
で示されるアミド化合物〔以下、アミド化合物(2)ということがある〕と、一酸化炭素とを反応させることにより、下記式(3)
Figure 2012197256
(式中、R、R及びRは、それぞれ前記と同じ意味を表す。)
で示されるN−アシルアミノ酸〔以下、N−アシルアミノ酸(3)ということがある〕を製造する方法に関する。N−アシルアミノ酸(3)は、例えば医農薬やメチオニンの原料として有用である。
アルデヒド化合物(1)と、アミド化合物(2)と、一酸化炭素とを反応させてN−アシルアミノ酸(3)を製造する方法として、例えば、特表2001−505871号公報(特許文献1)には、反応器内に、予めアルデヒド化合物(1)、アミド化合物(2)、溶媒、パラジウム化合物、ハロゲン化合物及び酸を入れて、一酸化炭素の加圧下に反応を行うことが記載されている。
特表2001−505871号公報
しかしながら、上記従来の方法では、N−アシルアミノ酸(3)の収率の点で必ずしも満足のいくものではなかった。
そこで、本発明の目的は、N−アシルアミノ酸(3)を良好な収率で製造する方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、上記目的を達成しうる本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、反応器内で、溶媒中、パラジウム化合物及びハロゲン化合物の存在下、下記式(1)
Figure 2012197256
(式中、Rは、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい複素環基を表す。)
で示されるアルデヒド化合物と、下記式(2)
Figure 2012197256
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい複素環基を表す。)
で示されるアミド化合物と、一酸化炭素とを反応させることにより、下記式(3)
Figure 2012197256
(式中、R、R及びRは、それぞれ前記と同じ意味を表す。)
で示されるN−アシルアミノ酸を製造する方法であって、予め溶媒、パラジウム化合物、ハロゲン化合物及び一酸化炭素を入れた反応器内に、式(1)で示されるアルデヒド化合物、式(2)で示されるアミド化合物及び溶媒を供給することを特徴とする式(3)で示されるN−アシルアミノ酸の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、N−アシルアミノ酸(3)を良好な収率で製造することができる。
本発明では、反応器内で、溶媒中、パラジウム化合物及びハロゲン化合物の存在下、下記式(1)
Figure 2012197256
(式中、Rは、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい複素環基を表す。)
で示されるアルデヒド化合物〔アルデヒド化合物(1)〕と、下記式(2)
Figure 2012197256
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい複素環基を表す。)
で示されるアミド化合物〔アミド化合物(2)〕と、一酸化炭素とを反応させる。
式(1)及び式(2)の中で、置換されていてもよい炭化水素基における炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基等が挙げられる。アルキル基としては、炭素数が1〜24のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基等が挙げられる。アルケニル基としては、炭素数が2〜24のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、2−メチルアリル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−メチル−1−ペンテニル基、2−メチル−1−ペンテニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、2−エチル−1−ブテニル基、2−ヘプテニル基、2−オクテニル基、2−ノネニル基、2−デセニル基、2−ウンデセニル基、2−ドデセニル基、2−トリデセニル基、2−テトラデセニル基、2−ペンタデセニル基、2−ヘキサデセニル基、2−ヘプタデセニル基、2−オクタデセニル基、2−ノナデセニル基、2−イコセニル基、2−エイコセニル基、2−ヘンイコセニル基、2−ヘンエイコセニル基、2−ドコセニル基、2−トリコセニル基、2−テトラコセニル基等が挙げられる。アルキニル基としては、炭素数が2〜24のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−3−ブチニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、2−ヘプチニル基、2−オクチニル基、2−ノニニル基、2−デシニル基、2−ウンデシニル基、2−ドデシニル基、2−トリデシニル基、2−テトラデシニル基、2−ペンタデシニル基、2−ヘキサデシニル基、2−ヘプタデシニル基、2−オクタデシニル基、2−ノナデシニル基、2−イコシニル基、2−エイコシニル基、2−ヘンイコシニル基、2−ヘンエイコシニル基、2−ドコシニル基、2−トリコシニル基、2−テトラコシニル基等が挙げられる。シクロアルキル基としては、炭素数が3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。シクロアルケニル基としては、炭素数が3〜8のシクロアルケニル基が好ましく、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントリル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
式(1)及び式(2)の中で、置換されていてもよい複素環基における複素環基としては、例えば、ヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基等が挙げられる。ヘテロアリール基としては、炭素数が3〜9のヘテロアリール基が好ましく、例えば、ピリジル基、キノニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、フリル基、インドリル基、チエニル基、オキサゾリル基等が挙げられる。ヘテロアラルキル基としては、炭素数が5〜10のヘテロアラルキル基が好ましく、例えば、ピリジルメチル基、キノニルメチル基、インドリルメチル基、フリルメチル基、ピロリルメチル基等が挙げられる。
前記炭化水素基及び複素環基は、置換されていてもよい。炭化水素基がアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基の場合、その置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素のようなハロゲン原子;シクロプロピル基、1−メチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数が3〜6のシクロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数が1〜4のアルコキシ基;チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオブトキシ基のような炭素数が1〜4のチオアルコキシ基;アリルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、2−メチル−3−プロペニルオキシ基のような炭素数が3〜4のアルケニルオキシ基;炭素数が7〜20のアラルキルオキシ基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基のような炭素数が6〜18のアリ−ル基;フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基のようなアリ−ルオキシ基;炭素数が2〜7のアルカノイル基;炭素数が7〜19のアリロイル基;炭素数が2〜7のアルカノイルアミノ基;炭素数が1〜6のアルキルスルホニルアミノ基;炭素数が2〜6のアルコキシカルボニルアミノ基;ベンジルカルボニルアミノ基;炭素数が6〜18のアリ−ルスルホニルアミノ基;アミノカルボニル基;炭素数が1〜6のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。炭化水素基がアルキル基の場合、炭素数が6〜18のアリ−ル基で置換されたアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、トリフェニルエチル基、(1−ナフチル)メチル基、(2−ナフチル)メチル基等のアラルキル基が挙げられる。
前記炭化水素基がシクロアルキル基、シクロアルケニル基又はアリール基の場合、その置換基としては、例えば、上述のハロゲン原子、炭素数が3〜6のシクロアルキル基、炭素数が1〜4のアルコキシ基、炭素数が1〜4のチオアルコキシ基、炭素数が3〜4のアルケニルオキシ基、炭素数が7〜20のアラルキルオキシ基、炭素数が6〜18のアリ−ル基、アリ−ルオキシ基、炭素数が2〜7のアルカノイル基、炭素数が7〜19のアリロイル基、炭素数が2〜7のアルカノイルアミノ基、炭素数が1〜6のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数が2〜6のアルコキシカルボニルアミノ基、ベンジルカルボニルアミノ基、炭素数が6〜18のアリ−ルスルホニルアミノ基、アミノカルボニル基、炭素数が1〜6のアルコキシカルボニル基や、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基のような炭素数が1〜6のアルキル基や、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基のような炭素数が2〜6のアルケニル基や、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基のような炭素数が7〜20のアラルキル基等が挙げられる。複素環基における置換基としては、例えば、上述のハロゲン原子、炭素数が3〜6のシクロアルキル基、炭素数が1〜4のアルコキシ基、炭素数が1〜4のチオアルコキシ基、炭素数が3〜4のアルケニルオキシ基、炭素数が7〜20のアラルキルオキシ基、炭素数が6〜18のアリ−ル基、アリ−ルオキシ基、炭素数が2〜7のアルカノイル基、炭素数が7〜19のアリロイル基、炭素数が2〜7のアルカノイルアミノ基、炭素数が1〜6のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数が2〜6のアルコキシカルボニルアミノ基、ベンジルカルボニルアミノ基、炭素数が6〜18のアリ−ルスルホニルアミノ基、アミノカルボニル基、炭素数が1〜6のアルコキシカルボニル基や、上述の炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が2〜6のアルケニル基、炭素数が7〜20のアラルキル基等が挙げられる。
アルデヒド化合物(1)としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒド、2−エチルヘキサナール、イソブチルアルデヒド、フルフラール、クロトンアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、置換ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、2,4−ジヒドロキシフェニルアセトアルデヒド、グリオキサル酸、α−アセトキシプロピオンアルデヒド等が挙げられ、中でも、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒドを原料とする場合に、本発明の方法は有利に採用される。
アミド化合物(2)としては、アセトアミド、ベンズアミド、プロピオンアミド、N−メチルアセトアミド、脂肪酸アミド、アクリルアミド、ケイ皮酸アミド、フェニル酢酸アミド、アセトアニリド、尿素等が挙げられ、中でも、アセトアミドを原料とする場合に、本発明の方法は有利に採用される。
アミド化合物(2)の使用量は、アルデヒド化合物(1)1モルに対して、通常1.00モル以上、好ましくは1.05〜2.00モルである。
反応に使用される溶媒としては、例えば、プロトン性極性溶媒、非プロトン性極性溶媒、イオン液体等が挙げられ、中でも、非プロトン性極性溶媒が好ましい。プロトン性極性溶媒としては、例えば、酢酸、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。非プロトン性極性溶媒としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコージメチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、ベンゾニトリル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン等が挙げられ、中でも、N−メチルピロリジノンが好ましい。尚、溶媒は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶媒の使用量は、アルデヒド化合物(1)に対して、0.50〜20.0重量倍が好ましく、より好ましくは2.0〜10.0重量倍である。2種以上の溶媒を併用する場合は、その合計量が前記範囲となればよい。
本発明では、触媒としてパラジウム化合物を使用する。パラジウム化合物としては、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、硫酸パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)のような2価パラジウム化合物;トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ジパラジウム(0)トリス(ジベンジリデンアセトンクロロホルム)のような0価パラジウム化合物;パラジウムホスフィン錯体等が挙げられる。パラジウムホスフィン錯体としては、前記2価パラジウム化合物と、トリフェニルホスフィン、トリトルイルホスフィン、ビス−(ジフェニルホスフィノ)−エタン等のホスフィン類との錯体を使用することができる。尚、パラジウム化合物は、成形して使用してもよいし、担体に担持して使用してもよいし、高分子化合物に固定化して使用してもよい。
パラジウム化合物の使用量は、アルデヒド化合物(1)1モルに対して、0.00010〜0.50モルが好ましく、より好ましくは0.0010〜0.050モルである。
本発明では、ハロゲン化合物を使用することにより、前記反応を円滑に進行させることができる。ハロゲン化合物としては、ハロゲン化パラジウム以外のハロゲン化合物が挙げられ、例えば、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムのようなアルカリ金属のハロゲン化物;ヨウ化水素、臭化水素、塩化水素のようなハロゲン化水素等が挙げられ、中でも、アルカリ金属のハロゲン化物が好ましい。ハロゲン化水素を使用する際には、ハロゲン化水素そのものを使用してもよいし、ハロゲン化水素を水に溶解させた水溶液として使用してもよいし、ハロゲン化水素を有機溶媒に溶解させた溶液として使用してもよい。ハロゲン化合物としては、特に、臭化リチウムが好ましい。
ハロゲン化合物の使用量は、アルデヒド化合物(1)1モルに対して、0.010〜0.50モルが好ましく、より好ましくは0.20〜0.40モルである。
また、本発明においては、硫酸、リン酸といった、ハロゲン化水素以外の無機酸や、有機酸を本発明の効果を損なわない範囲で使用してもよい。
次に、前記反応の反応形式について説明する。本発明では、まず、反応器内に、溶媒、パラジウム化合物、ハロゲン化合物及び一酸化炭素を導入する。これらの導入順序には特に制限はないが、溶媒、パラジウム化合物及びハロゲン化合物を導入した後、一酸化炭素を導入するのが好ましい。これらを反応器内に導入した後、アルデヒド化合物(1)、アミド化合物(2)及び溶媒を供給する。アルデヒド化合物(1)、アミド化合物(2)及び溶媒は、それぞれ単独で供給(いわゆる共フィード)してもよいし、これらの混合物を供給してもよいが、アルデヒド化合物(1)、アミド化合物(2)及び溶媒の混合溶液として供給するのが好ましい。アルデヒド化合物(1)は、その総量をアミド化合物(2)及び溶媒とともに反応器内に供給してもよいし、その一部を予め反応器内に入れておき、次いで、残部をアミド化合物(2)及び溶媒とともに反応器内に供給してもよい。また、アミド化合物(2)も同様に、その総量をアルデヒド化合物(1)及び溶媒とともに反応器内に供給してもよいし、その一部を予め反応器内に入れておき、次いで、残部をアルデヒド化合物(1)及び溶媒とともに反応器内に供給してもよい。本発明においては、溶媒、パラジウム化合物、ハロゲン化合物及び一酸化炭素を入れた反応器内に、アルデヒド化合物(1)の総量、アミド化合物(2)の総量及び溶媒を供給するのが好ましい。また、反応器内に予め入れておく溶媒の量は、該溶媒総量に対し、好ましくは50〜90重量%である。すなわち、予め溶媒総量の50〜90重量%、パラジウム化合物、ハロゲン化合物及び一酸化炭素を入れた反応器内に、アルデヒド化合物(1)、アミド化合物(2)及び残部の溶媒(すなわち該溶媒総量の10〜50重量%)を供給するのが好ましい。
尚、アルデヒド化合物(1)の供給及びアミド化合物(2)の供給は、それぞれ、間隔を空けることなく連続的に行ってもよいし、所定の間隔を空けて間歇的に行ってもよい。また、アルデヒド化合物(1)の供給開始とアミド化合物(2)の供給開始、及びアルデヒド化合物(1)の供給終了とアミド化合物(2)の供給終了は、それぞれ、必ずしもちょうど一致させる必要はなく、本発明の効果を損なわない範囲でずらしてもよい。
アルデヒド化合物(1)は、冷却して供給するのが望ましい。これにより、アルデヒド化合物(1)2分子の反応(アルドール縮合)を抑制しうるのにくわえ、この縮合体由来の副生成物を抑制することができる。アルデヒド化合物(1)の冷却温度は、その種類にもよるが、通常−20〜5℃程度である。
反応温度は通常60〜140℃、好ましくは80〜120℃である。また、反応圧力は常圧でもよいが、絶対圧で0.1〜25MPaが好ましく、5〜15MPaの加圧下に反応を行うのがより好ましい。反応圧力を調整するために、窒素やヘリウム等の不活性ガスを用いてもよい。前記反応は、連続式、半連続式、回分式のいずれで行ってもよい。
かくして、下記式(3)
Figure 2012197256
(式中、R、R及びRは、それぞれ前記と同じ意味を表す。)
で示されるN−アシルアミノ酸〔N−アシルアミノ酸(3)〕を含む反応混合物を良好な収率で製造することができる。反応後の後処理操作については適宜選択でき、必要に応じて洗浄や蒸留、晶析などにより精製した後、各種用途に使用できる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれによって限定されるものではない。尚、実施例中、アセチルメチオニン〔式(3)中、Rが2−チオメトキシエチル基であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子である化合物〕の含有量は、液体クロマトグラフィーにより分析し、収率を算出した。
実施例1
熱電対、攪拌機、ガス供給ライン及び液供給ラインを備えたステンレス製反応器に、臭化パラジウム(II)0.33g(0.0013モル)、臭化リチウム1.54g(0.0175モル)及びN−メチルピロリジノン41.20g(該N−メチルピロリジノン総量に対し80重量%)を入れて攪拌し、反応器内の気相部に一酸化炭素を導入して反応器内の圧力を10MPa(ゲージ圧)とした。次いで、攪拌を継続しながら反応器内の温度を98〜102℃に昇温した。このときの反応器内の圧力は10MPa(ゲージ圧)であった。次いで、該反応器内に、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒド〔式(1)中、Rが2−チオメトキシエチル基である化合物〕5.26g(0.050モル)と、アセトアミド〔式(2)中、Rがメチル基であり、Rが水素原子である化合物〕3.01g(0.050モル)と、N−メチルピロリジノン10.30g(該N−メチルピロリジノン総量に対し20重量%)との混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下後、攪拌を継続しながら98〜102℃で3時間保温し、次いで5〜35℃に冷却し、アセチルメチオニンのN−メチルピロリジノン溶液60.92gを得た。該溶液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒドに対するアセチルメチオニンの収率は82.74%であった。
実施例2
熱電対、攪拌機、ガス供給ライン及び液供給ラインを備えたステンレス製反応器に、臭化パラジウム(II)0.33g(0.0013モル)、臭化リチウム1.54g(0.0175モル)及びN−メチルピロリジノン41.20g(該N−メチルピロリジノン総量に対し80重量%)を入れて攪拌し、反応器内の気相部に一酸化炭素を導入して反応器内の圧力を10MPa(ゲージ圧)とした。次いで、攪拌を継続しながら反応器内の温度を98〜102℃に昇温した。このときの反応器内の圧力は10MPa(ゲージ圧)であった。次いで、該反応器内に、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒド5.26g(0.050モル)と、アセトアミド3.01g(0.050モル)と、N−メチルピロリジノン10.30g(該N−メチルピロリジノン総量に対し20重量%)との混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下後、攪拌を継続しながら98〜102℃で4時間保温し、次いで5〜35℃に冷却し、アセチルメチオニンのN−メチルピロリジノン溶液60.34gを得た。該溶液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒドに対するアセチルメチオニンの収率は77.84%であった。
実施例3
熱電対、攪拌機、ガス供給ライン及び液供給ラインを備えたステンレス製反応器に、臭化パラジウム(II)0.67g(0.0025モル)、臭化リチウム3.07g(0.035モル)及びN−メチルピロリジノン41.20g(該N−メチルピロリジノン総量に対し80重量%)を入れて攪拌し、反応器内の気相部に一酸化炭素を導入して反応器内の圧力を10MPa(ゲージ圧)とした。次いで、攪拌を継続しながら反応器内の温度を98〜102℃に昇温した。このときの反応器内の圧力は10MPa(ゲージ圧)であった。次いで、該反応器内に、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒド10.52g(0.10モル)と、アセトアミド6.03g(0.10モル)と、N−メチルピロリジノン20.60g(該N−メチルピロリジノン総量に対し20重量%)との混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下後、攪拌を継続しながら98〜102℃で3時間保温し、次いで5〜35℃に冷却し、アセチルメチオニンのN−メチルピロリジノン溶液81.27gを得た。該溶液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒドに対するアセチルメチオニンの収率は77.80%であった。
比較例1
熱電対、攪拌機、ガス供給ライン及び液供給ラインを備えたステンレス製反応器に、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒド5.26g(0.050モル)、アセトアミド3.01g(0.050モル)、臭化パラジウム(II)0.33g(0.0013モル)、臭化リチウム1.54g(0.0175モル)及びN−メチルピロリジノン51.50g(該N−メチルピロリジノン総量に対し100重量%)を入れて攪拌し、反応器内の気相部に一酸化炭素を導入して反応器内の圧力を10MPa(ゲージ圧)とした。次いで、攪拌を継続しながら反応器内の温度を98〜102℃に昇温した。このときの反応器内の圧力は10MPa(ゲージ圧)であった。次いで、攪拌を継続しながら98〜102℃で4時間保温した後、5〜35℃に冷却し、アセチルメチオニンのN−メチルピロリジノン溶液61.07gを得た。該溶液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒドに対するアセチルメチオニンの収率は52.22%であった。
比較例2
熱電対、攪拌機、ガス供給ライン及び液供給ラインを備えたステンレス製反応器に、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒド5.26g(0.050モル)、アセトアミド3.01g(0.050モル)、臭化パラジウム(II)とトリフェニルホスフィンとの錯体1.04g(0.0013モル)、臭化リチウム1.54g(0.0175モル)及びN−メチルピロリジノン51.50g(該N−メチルピロリジノン総量に対し100重量%)を入れて攪拌し、反応器内の気相部に一酸化炭素を導入して反応器内の圧力を10MPa(ゲージ圧)とした。次いで、攪拌を継続しながら反応器内の温度を98〜102℃に昇温した。このときの反応器内の圧力は10MPa(ゲージ圧)であった。次いで、攪拌を継続しながら98〜102℃で4時間保温した後、5〜35℃に冷却し、アセチルメチオニンのN−メチルピロリジノン溶液61.16gを得た。該溶液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒドに対するアセチルメチオニンの収率は46.98%であった。
比較例3
熱電対、攪拌機、ガス供給ライン及び液供給ラインを備えたステンレス製反応器に、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒド5.26g(0.050モル)、アセトアミド3.01g(0.050モル)、臭化パラジウム(II)0.33g(0.0013モル)、臭化リチウム1.54g(0.0175モル)、硫酸0.05g(0.00051モル)及びN−メチルピロリジノン51.50g(該N−メチルピロリジノン総量に対し100重量%)を入れて攪拌し、反応器内の気相部に一酸化炭素を導入して反応器内の圧力を10MPa(ゲージ圧)とした。次いで、攪拌を継続しながら反応器内の温度を98〜102℃に昇温した。このときの反応器内の圧力は10MPa(ゲージ圧)であった。次いで、攪拌を継続しながら98〜102℃で4時間保温した後、5〜35℃に冷却し、アセチルメチオニンのN−メチルピロリジノン溶液60.82gを得た。該溶液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒドに対するアセチルメチオニンの収率は46.77%であった。
比較例4
熱電対、攪拌機、ガス供給ライン及び液供給ラインを備えたステンレス製反応器に、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒド5.26g(0.050モル)、アセトアミド3.01g(0.050モル)、臭化パラジウム(II)とトリフェニルホスフィンとの錯体1.04g(0.0013モル)、臭化リチウム1.54g(0.0175モル))、硫酸0.05g(0.00051モル)及びN−メチルピロリジノン51.50g(該N−メチルピロリジノン総量に対し100重量%)を入れて攪拌し、反応器内の気相部に一酸化炭素を導入して反応器内の圧力を10MPa(ゲージ圧)とした。次いで、攪拌を継続しながら反応器内の温度を98〜102℃に昇温した。このときの反応器内の圧力は10MPa(ゲージ圧)であった。次いで、攪拌を継続しながら98〜102℃で4時間保温した後、5〜35℃に冷却し、アセチルメチオニンのN−メチルピロリジノン溶液61.42gを得た。該溶液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒドに対するアセチルメチオニンの収率は52.22%であった。
比較例5
熱電対、攪拌機、ガス供給ライン及び液供給ラインを備えたステンレス製反応器に、アセトアミド3.01g(0.050モル)、臭化パラジウム(II)0.33g(0.0013モル)、臭化リチウム1.54g(0.0175モル)及びN−メチルピロリジノン51.50g(該N−メチルピロリジノン総量に対し100重量%)を入れて攪拌し、反応器内の気相部に一酸化炭素を導入して反応器内の圧力を10MPa(ゲージ圧)とした。次いで、攪拌を継続しながら反応器内の温度を98〜102℃に昇温した。このときの反応器内の圧力は10MPa(ゲージ圧)であった。次いで、該反応器内に、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒド5.26g(0.050モル)を2時間かけて滴下した。滴下後、攪拌を継続しながら98〜102℃で4時間保温し、次いで5〜35℃に冷却し、アセチルメチオニンのN−メチルピロリジノン溶液60.42gを得た。該溶液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒドに対するアセチルメチオニンの収率は38.38%であった。
比較例6
熱電対、攪拌機、ガス供給ライン及び液供給ラインを備えたステンレス製反応器に、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒド5.26g(0.050モル)、アセトアミド3.01g(0.050モル)、臭化パラジウム(II)とトリフェニルホスフィンとの錯体0.10g(0.0001モル)、臭化リチウム1.54g(0.0175モル)、硫酸0.05g(0.00051モル)及びN−メチルピロリジノン51.50g(該N−メチルピロリジノン総量に対し100重量%)を入れて攪拌し、反応器内の気相部に一酸化炭素を導入して反応器内の圧力を6MPa(ゲージ圧)とした。次いで、攪拌を継続しながら反応器内の温度を118〜122℃に昇温した。このときの反応器内の圧力は6MPa(ゲージ圧)であった。次いで、攪拌を継続しながら118〜122℃で12時間保温した後、5〜35℃に冷却し、アセチルメチオニンのN−メチルピロリジノン溶液59.70gを得た。該溶液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒドに対するアセチルメチオニンの収率は8.74%であった。

Claims (7)

  1. 反応器内で、溶媒中、パラジウム化合物及びハロゲン化合物の存在下、下記式(1)
    Figure 2012197256
    (式中、Rは、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい複素環基を表す。)
    で示されるアルデヒド化合物と、下記式(2)
    Figure 2012197256
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい複素環基を表す。)
    で示されるアミド化合物と、一酸化炭素とを反応させることにより、下記式(3)
    Figure 2012197256
    (式中、R、R及びRは、それぞれ前記と同じ意味を表す。)
    で示されるN−アシルアミノ酸を製造する方法であって、予め溶媒、パラジウム化合物、ハロゲン化合物及び一酸化炭素を入れた反応器内に、式(1)で示されるアルデヒド化合物、式(2)で示されるアミド化合物及び溶媒を供給することを特徴とする式(3)で示されるN−アシルアミノ酸の製造方法。
  2. 予め溶媒総量の50〜90重量%、パラジウム化合物、ハロゲン化合物及び一酸化炭素を入れた反応器内に、式(1)で示されるアルデヒド化合物、式(2)で示されるアミド化合物及び残部の溶媒を供給する請求項1に記載の製造方法。
  3. ハロゲン化合物が、アルカリ金属のハロゲン化物、ハロゲン化水素、ハロゲン化アンモニウム及び4級アンモニウムハロゲン化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. ハロゲン化合物が、アルカリ金属のハロゲン化物である請求項1又は2に記載の製造方法。
  5. パラジウム化合物が、ハロゲン化パラジウムである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 溶媒が、非プロトン性極性溶媒である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 溶媒が、N−メチルピロリジノンである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
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