JP2012196977A - 船舶のフラップ舵の舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外板31と舵取機甲板32間に設置した舵ホルダー3で内包したクラウン2に舵1を垂下し、一対の回転体とし、舵ホルダー3とクラウン2の間に旋回軸受4a・4bを配装し、舵ホルダー3で、フラップ舵1・クラウン2を回動自在に保持する。クラウン2の頂板2c上に、フラップ駆動機20を設置し、この駆動機20とフラップ1bの頂部をフラップ駆動軸5で連結し、フラップ1bを主舵1aに対し±35°〜±40°の範囲で回動出来るようにする。上部旋回軸受4aの上部位置におけるクラウン2に、歯車付き円環9を巻着固定し、この円環と舵取機甲板32に設置した舵取機21とを接続し、フラップ舵1・クラウン2を360°回動出来るようにする。
【選択図】図1
Description
1930年代にFlettner Rudderが発明されている。フラップ舵の先駆けで、主舵とその後尾に付加されたフラップから成り、主舵とフラップは夫々個別に駆動される。この舵の操縦性は高く、前述のフラップリンク駆動舵の持つ欠点もない。しかし、この舵は、どのような仕組みで主舵とフラップが作動されるのか明らかでなく、又実際にこの舵が稼動したかどうかの確認もされていない。フラップリンク駆動舵が次善の舵として中小型船に採用されているのが現状のようである。
一方、フラップ舵の回動に関し、外筒と内筒と底板及び頂板によって構成された記首の舵ホルダーに於いて、クラウンとの間に空環を形成せしめ、この空環の上部と下部に旋回軸受を配装し、フラップ舵・クラウンを、この旋回軸受を介して、舵ホルダーで回動自在に保持をし、上部旋回軸受の上部位置におけるクラウンに、歯車付円環を巻着固定し、この円環と、舵取機甲板上に設置した舵取機とを接続し、舵取機によりフラップ舵・クラウンを360°自在に回動出来るようにする。
a)自動操舵時にフラップによる微調整が効くから、航走中の蛇行を最小限に止め、経済的な運航が出来る。
b)ヨーイング(理論船舶工学・下巻p46)を少なくすることが出来る。
c)フラップを主舵と反対方向に回動すれば舵軸に対するトルクは相反する形となるから舵全体のトルクを小さく出来る。(理論船舶工学・下巻p245)
d)右から左・左から右に転舵するとき前項の理屈から転舵速度を上げることが出来る。
e)大型船におけるオーバーシュートを抑制することが出来る。
f)舵は360°回動出来るから90°転舵すれば制動器の役割を果たす。
g)後進時に180°転舵すれば舵は前進時の形態をなし、舵は前進時と同様の効果を発揮する。(理論船舶工学・下巻p245)
h)この発明になる舵はシンプルである。在来舵の様な突起物は全くなく推進抵抗による船速のロスやキャビテーショや電触による損傷も大きく軽減される。
i)フラップリンク舵の様に複雑な機構を有しない、故障のリスクから逃れられる。
この概要の説明に続いて、以下各部の構成・機能の詳細について説明する。
従って分割されたフラップ1b同士の構造上の強度的連続性はない。夫々のフラップ1bに発生する舵力はヒンジを介し主舵1aに伝達される。又、夫々のフラップ1bに発生するトルクは、フラップ継手ピース1dによってフラップからフラップへ伝達され、その集積がフラップ駆動軸5からフラップ駆動機21に及ぶ。
従来のフラップは、舵の全高に亘る一体型の重厚な構造となっている。ヒンジも同様に全高に亘り重厚に構成されている。これ等は舵圧によって発生する主舵・フラップの撓みを抑制しようとする意図によるものであるが、当該部はもともと薄い形状を成し、いくら物量を投入しても、特に高速船においては、舵圧による撓みを抑制することは難しい。
この撓みは主舵とフラップが同一の面内にあるときは、問題は起こらないが、両者が偏角を作るときには、お互いが引っ張り合い、ヒンジとその近傍に構造上のトラブルを発生させることがある。
因みに、二枚の板の両端を支持して、これを曲げながら両者に偏角を与えると、両者は中央部を最大に離れていく。この現象が主舵とフラップの間に発生する。殊に高速船の吊舵においては、撓み量も大きく、従来のフラップを固める構造では、この問題を解決することは出来ない。
この問題を解決するには、舵とフラップの撓みの発生を必然とし、この撓みに馴染むフラップ構造にする必要がある。それは、フラップを主舵の撓みに沿うようにし、且つ、主舵とフラップに相反する力の発生を極力抑制するように、フラップを短く分割し、その両端にヒンジを設け、加えて、フラップ同士の接続はトルクのみを伝達する構造にすることである。ここに提供するフラップ構造、即ち冒頭に述べたフラップの構造はこの考えに基づくものである。
その形態は、主舵1aは、その頂部からクラウン頂板2cまでの間伸長され、又、主舵1aの後部に在る、フラップ駆動軸5のトランク6が主舵1aに付加結合されている。
主舵1aは、この状態でクラウン2の下方より、底板2bのコーミング付舵挿入孔2dを通し、クラウンの頂板2cまで挿入され、この頂板2cに締結冶具とボルト7で着脱自在に結合されている。
この結合の特徴は、両者の結合を確かなものにするために、クラウン2に支持される主舵1aを出来るだけ拡幅して、主舵1aとクラウン2の接触部を広範に取るようにし、加えて,主舵1aの曲げ強度が高められるように配慮されていることである。
この機構によれば、フラップ1bに発生したトルクは、フラップ駆動軸5を介してフラップ駆動機20に伝播される。フラップ1bはフラップ駆動機20により、主舵1aに対し±35°〜±40°の範囲で自在に回動される。
この旋回軸受4a・4bには、フラップ舵1・クラウン2・フラップ駆動機20等の質量がアキシアル荷重として、舵圧による横向きの力がラジアル荷重として、又、夫々の荷重によるモーメントが働く。
フラップ舵1・クラウン2は、この旋回軸受4a・4bを介して、回動自在に舵ホルダー3によって保持されている。
歯車付円環9が、上部旋回軸受4aの上部に設けられた、クラウン下がりとめ10の位置におけるクラウン2に巻着固定されている。
舵取機甲板32上に、旋回モータにピニオンギヤを装着した形式の舵取機21が設置され、これに歯車付き円環9が接続されている。フラップ舵1・クラウン2は、歯車付円環9を介し、舵取機21よって360°自在に回動される。
1930年代にFlettner Rudderが発明されている。フラップ舵の先駆けで、主舵とフラップは夫々個別に駆動される。この舵の操船性は高く、前述のフラップリンク駆動舵の持つ欠点もないとされている。しかし、この舵は、どのような仕組みで主舵とフラップが作動されるのか明らかでない。
フラップリンク駆動舵もFlettner Rudderも、共にドイツで発明されたものであるが、現在稼動中のものはフラップリンク駆動舵のみのようである。
一方、外筒と内筒と底板及び頂板から成る上記の舵ホルダーと、クラウンとの間に中空円柱を形成せしめ、この中空円柱の上部と下部に旋回軸受を配装し、この旋回軸受を介し、舵ホルダーでクラウンを回動自在に保持し、フラップ舵の回動に関し、上部旋回軸受の上部位置におけるクラウンに、歯車付円環を巻着固定し、この円環と、舵取機甲板上に設置した舵取機とを接続し、舵取機によりフラップ舵を360°自在に回動出来るようにする。
これは、主舵等とクラウン両者の接触を出来るだ広範囲に獲って、主舵の舵圧に対する負荷能力の極大化を図り、この舵装置を、より高速な船に適用することが出来るようにしようとするものである。詳細については[0019]に述べる。
a)自動操舵時における進路の補正は、フラップのみを駆動させて行い、航走中の蛇行を最小限に止め、経済的な運航が出来る。
b)ヨーイング(理論船舶工学・下巻p46参照)を少なくすることが出来る。
c)フラップを主舵と反対方向に回動すれば舵軸に対するトルクは相反する形となるから舵全体のトルクを小さく出来る。(理論船舶工学・下巻p245参照)
d)右から左・左から右に転舵するとき前項の理屈から転舵速度を上げることが出来る。
e)大型船におけるオーバーシュートを抑制することが出来る。
f)舵は360°回動出来るから90°転舵すれば制動器の役割を果たす。
g)後進時に180°転舵すれば舵は前進時の形態をなし、前進時と同様の効果を発揮する。(理論船舶工学・下巻p245参照)
h)この発明になるフラップ舵はシンプルである。在来舵の様な突起物は全くなく、推進性能の向上が見られるであろう。
i)フラップリンク駆動舵の様に複雑な機構を有しない、故障のリスクから逃れられる。
j)フラップを分割構造とすることにより、舵の撓みによるヒンジとその近傍の構造的トラブルを避けることが出来る。([0017]参照)
k)このフラップ舵は船速28ktまでの高速船に適用可能である。([0019]参照)
従って分割されたフラップ1b同士の構造上の強度的連続性はない。夫々のフラップ1bに発生する舵力はヒンジ1cを介し主舵1aに伝達される。又、夫々のフラップ1bに発生するトルクは、フラップ継手ピース1dによってフラップ1bからフラップ1bへ伝達され、その集積がフラップ駆動軸5からフラップ駆動機20に伝達されている。
従来のフラップは、舵の全高に亘る一体型の重厚な構造とされている。ヒンジも同様に全高に亘り重厚に構成されている。これ等は舵圧によって生ずる主舵・フラップの撓みを抑制しようとする意図によるものであるが、当該部はもともと薄い形状を成し、大量に補強材を投入しても、特に高速船においては、この撓みを抑制することは難しい。
この撓みは、主舵とフラップが同一の面内にあるときは、問題は起こらないが、両者が偏角を作るときには、お互いが引っ張り合い、ヒンジとその近傍に構造的トラブルを発生させる恐れがある。因みに、二枚の板の両端を支持して、これを曲げながら両者に偏角を与えると、両者は中央部を最大に離れていく。ヒンジをこの中央部に置くと、そのヒンジにはこの引っ張り合いの力が働く。この現象が主舵とフラップの間におこる。殊に高速船の吊舵においては、撓み量も大きく、従来のフラップを固める構造では、この問題を解決することは出来ない。
この問題を解決するには、舵とフラップの撓みの発生を必然とし、この撓みに馴染むフラップ構造にする必要がある。それは、フラップを主舵の撓みに沿うようにし、且つ、主舵とフラップに相反する力の発生を極力抑制するように、冒頭に述べた分割型のフラップ構造とすることである。
この結合の特徴は、主舵1aとフラップ駆動軸のトランク6を一体化し、これらと、クラウン底板2bとの接触部の領域を極力拡大させて、主舵1aに掛る舵圧をクラウン底板2bに分散し、両者の接触部の単位当たり圧力を低くしていることである。これにより、当該部の舵圧に対する負荷能力は高められ、この発明に成る舵装置は、より高速な船に適用されることとなる。
ここで、この発明に成る舵装置と、現在舵の主流をなし、中大型の殆どの船に採用されているマリナー型舵とを舵の横断面形状を同一にして比較してみる。
マリナー型舵(日本鋼船規則C編2章・3章のD,E型舵参照)は、舵の前半部に船体より垂下されたラダーホーンの先端で舵の中央部を支える構成となっている。このホーンの先端には舵全体の舵圧が捩じりを伴って横向きに作用する。現在稼動中のマリナー型舵の最高船速は約25ktであるが、これはマリナー型舵に許容される最高の船速であるとみてよい。これ以上船速を上げれば、舵とラダーホーンは増速に見合うだけ増強しなければな らないが、これは舵とラダーホーンの肥大化に繋がり、結果として、舵の推進性能の低下・構造強度の獲得の困難さ・製造コストの上昇等を招き、この舵の成立をも難しくする。
そこで、マリナー型舵にフラップを付加したケースについて検討すれば、フラップ舵はフラップの効果により普通舵の1.55倍の舵力を発生する(日本鋼船規則の規定)から、現状の最高船速25ktのマリナー型舵にフラップを付加することは、前述の事情と併せて考慮するとき、極めて困難である。従って、マリナー型舵へフラップを付加しようとすれば、船速を落さざるを得ない。このときのフラップ付マリナー型舵の最高船速は(舵力は船速の2乗に比例するから)25/√1.55=20ktとなる。
一方、この発明に成る舵装置における主舵1aの負荷能力は、前述の付加能力の増大化の措置によって、フラップ付マリナー型舵のラダーホーンの負荷能力の1.5〜2.0倍に増強されている。(主舵1aとラダーホーンの横断面形状を比較すればよく分かる。)これを船速に置き換えれば24〜28ktとなる。従って、この発明に成るフラップ舵の舵装置は、船の推進性能・装置の製造コストを阻害することなく、船速28ktまでの船に適用されることとなる。(尚、現在、フラップ独立型マリナー型舵は未開発のようである。)
ただし、この発明に成るフラップ舵の舵装置へ受け入れられる最高船速28ktも、フラップ付マリーナ型舵の20ktも、共に現行の鋼船規則による主舵角度35°+フラップ角度40°位の翼形状において発生する舵力をベースに推計したものである。船の旋回性能を損なわない範囲において、フラップを制限的に駆動すれば、例えば高速運転時にフラップを駆動しない等の措置をとれば、フラップ舵の最高船速はもっと高いものに設定出来るであろう。
この機構によれば、フラップ1bに発生したトルクは、フラップ駆動軸5を介してフラップ駆動機20に伝達される。フラップ1bはフラップ駆動機20により、主舵1aに対し±35°〜±40°の範囲で自在に回動される。
この旋回軸受4a・4bには、フラップ舵1・クラウン2・フラップ駆動機20等の質量がアキシアル荷重として、舵圧による横向きの力やフラップ駆動機20・舵取機21の歯車の反力がラジアル荷重として、又、夫々の荷重によるモーメントが働く。
フラップ舵1・クラウン2はこの旋回軸受4a・4bを介して、回動自在に舵ホルダー3によって保持されている。
歯車付円環9が、上部旋回軸受4aの上部に設けられた、クラウン下がり止め10の位置におけるクラウン2に巻着固定されている。
舵取機甲板32上に、旋回モータにピニオンギヤを装着した形式の舵取機21が設置され、これに歯車付円環9が接続されている。フラップ舵1・クラウン2は、歯車付円環9を介し、舵取機21によって360°自在に回動される。
このフラップ舵1が発生する舵力は、主舵1aとフラップ1bの成す偏角によって増減する。主舵1aの舵角35°に対してフラップ1bの舵角35°が加わるとき日本鋼船規則ではフラップ舵1の舵力は普通舵の1.55倍とされている。このことはフラップ舵1の舵効きの良さを表す。フラップ1bの舵角を0°とするときは勿論普通舵と同じ舵力となる。
普通舵においては舵角が35°位で失速するとされるが、このフラップ舵1は360°回動されるから、主舵1aとフラップ1bの偏角の組み合わせによってはこの状態は覆される可能性はある。
又、フラップ舵1が最も特徴とするところは、遅い船速で大きな舵力が得られることである。この特徴は狭隘な航路・港湾・離接岸時における操船に生かされる。これは、フラップリンク駆動舵についても言える事ではあるが、フラップ1bを独立して駆動出来るフラップ舵1との操船性能の違いは大きい。
次に特徴とするところは、舵軸に対する舵圧の中心位置がフラップの偏角によって大きく移動することである。普通舵においては、舵角が0〜35°の転舵に対し舵圧の中心位置は舵の前縁より舵の幅の25〜35%の近傍までの移動があるが、フラップ舵においては最大45%あるとされている。これは、舵を設計する上で大きな意味を持つ。非特許文献1にあるFlettner Rudderが1万噸位の船まで人力操舵が可能であるとされることと併せ、舵軸の中心を最高舵力発生時における舵圧の中心に置くことは、フラップ舵1とクラウン2の構造の中心同士を近付けることになるから、[0019]述べるように、主舵1aとクラウン2との接触部が拡大されて、主舵1aの舵圧に対する負荷能力の増大に繋がる。又、主舵1とクラウン2の組み合わせの形状がコンパクトとなる利点もある。
この下部旋回軸受4bはその内輪をクラウン2の外筒2aに固定され、外輪は舵ホルダー3の内筒3bにすきまばめ状態に置かれている。上部旋回軸受4aの外輪は舵ホルダー3の内筒3bに固定され、内輪はクラウン2の外筒2aにすきまばめ状態に置かれ、その上面にクラウン下がり止め10を上下移動を制止する状態で、更にその上面に歯車付円環9を回転を制止する状態でクラウン2の外筒2aに巻着固定され、この三者はボルトで結合されて いる。舵取機甲板32上に、旋回モータにピニオンギヤを装着した形式の舵取機21が設置され、これに歯車付円環9が接続されている。フラップ舵1・クラウン2は、歯車付円環9を介し、舵取機21によって360°自在に回動される。
以上、フラップ舵1を成す主舵1aとフラップ1bは共に舵取機21により360°自在に回動され、その上にフラップ1bは、主舵1に対して独立して、フラップ駆動機20により±35°〜±40°の範囲で自在に回動されるフラップ舵の舵装置を得る。
1930年代にFlettner Rudderが発明されている。フラップ舵の先駆けで、主舵とその後尾に付加されたフラップから成り、主舵とフラップは夫々個別に駆動される。この舵の操従性は高く、前述のフラップリンク駆動舵の持つ欠点もない。しかし、この舵は、どのような仕紐みで主舵とフラップが作動されるのか明らかでなく、又実際にこの舵が稼動したかどうかの確認もされていない。フラップリンク駆動舵が次善の舵として中小型船に採用されているのが現状のようである。
一方、フラップ舵の回動に関し、外筒と内筒と底板及び頂板によって構成された記首の舵ホルダーに於いて、クラウンとの間に空環を形成せしめ、この空環の上部と下部に旋回軸受を配装し、フラップ舵・クラウンを、この旋回軸受を介して、舵ホルダーで回動自在に保持をし、上部旋回軸受の上部位置におけるクラウンに、歯車付円環を巻着固定し、この円環と、舵取機甲板上に設置した舵取機とを接続し、舵取機によりフラップ舵・クラウンを360°自在に回動出来るようにする。
a)自動操舵時にフラップによる微調整が効くから、航走中の蛇行を最小限に止め、経済的な運航が出来る。
b)ヨーイング(理論船舶工学・下巻p46)を少なくすることが出来る。
c)フラップを主舵と反対方向に回動すれば舵軸に対するトルクは相反する形となるから舵全体のトルクを小さく出来る。(理論船舶工学・下巻p245)
d)右から左・左から右に転舵するとき前項の理屈から転舵速度を上げることが出来る。
e)大型船におけるオーバーシュートを抑制することが出来る。
f)舵は360°回動出来るから90°転舵すれば制動器の役割を果たす。
g)後進時に180°転舵すれば舵は前進時の形態をなし、舵は前進時と同様の効果を発揮する。(理論船舶工学・下巻p245)
h)この発明になるフラップ舵はシンプルである。在来舵の様な突起物は全くなく、推進抵抗による船速のロスやキャビテーションや電蝕による損傷も大き軽減される。
i)フラップリンク舵の様に複雑な機構を有しない、故障のリスクから逃れられる。
図4は、図1の線C−Cに沿う切断図である。
従って分割されたフラップ1b同士の構造上の強度的連続性はない。夫々のフラップ1bに発生する舵力はヒンジ1cを介し主舵1aに伝達される。又、夫々のフラップ1bに発生するトルクは、フラップ継手ピース1dによってフラップからフラップへ伝達され、その集積がフラップ駆動軸5からフラップ駆動機20に及ぶ。
従来のフラップは、舵の全高に亘る一体型の重厚な構造となっている。ヒンジも同様に全高に亘り重厚に構成されている。これ等は舵圧によって発生する主舵・フラップの撓みを抑制しようとする意図によるものであるが、当該部はもともと薄い形状を成し、いくら物量を投入しても、特に高速船においては、舵圧による撓みを抑制することは難しい。
この撓みは、主舵とフラップが同一の面内にあるときは、問題は起こらないが、両者が偏角を作るときには、お互いが引っ張り合い、ヒンジとその近傍に構造上のトラブルを発生させることがある。
_因みに、二枚の板の両端を支持して、これを曲げながら両者に偏角を与えると、両者は中央部を最大に離れていく。この現象が主舵とフラップの間に発生する。殊に高速船の吊舵においては、撓み量も大きく、従来のフラップを固める構造では、この問題を解決することは出来ない。
この問題を解決するには、舵とフラップの撓みの発生を必然とし、この撓みに馴染むフラップ構造にする必要がある。それは、フラップを主舵の撓みに沿うようにし、且つ、主舵とフラップに相反する力の発生を極力抑制するように、フラップを短く分割し、其の両端にヒンジを設け、加えて、フラップ同士の接続はトルクのみを伝達する構造にすることである。ここに提供するフラップ構造、即ち冒頭に述べたフラップの構造はこの考えに基づくものである。
その形態は、主舵1aはその頂部からクラウン頂板2cまでの間伸長され、又、主舵1aの後部に在る、フラップ駆動軸5のトランク6が主舵1aに付加結合されている。主舵1aは、この状態でクラウン2の下方より、底板2bのコーミング付舵挿入孔2dを通し、クラウンの頂板2cまで挿入され、この頂板2cに締結冶具とボルト7で着脱自在に結合されている。
この結合の特徴は、両者の結合を確かなものにするために、クラウン2に支持される主舵1aを出来るだけ拡幅して、主舵1aとクラウン2の接触部を広範に取るようにし、加えて、主舵1aの曲げ強度が高められるように配慮されていることである。
この機構によれば、フラップ1bに発生したトルクは、フラップ駆動軸5を介してフラップ駆動機20に伝播される。フラップ1bはフラップ駆動機20により、主舵1aに対し±35°〜±40°の範囲で自在に回動される。
この旋回軸受4a・4bには、フラップ舵1・クラウン2・フラップ駆動機20等の質量がアキシアル荷重として、舵圧による横向きの力がラジアル荷重として、又、夫々の荷重によるモーメントが働く。
フラップ舵1・クラウン2はこの旋回軸受4a・4bを介して、回動自在に舵ホルダー3によって保持されている。
歯車付円環9が、上部旋回軸受4aの上部に設けられた、クラウン下がり止め10の位置におけるクラウン2に巻着固定されている。
舵取機甲板32上に、旋回モータにピニオンギヤを装着した形式の舵取機21が設置され、これに歯車付円環9が接続されている。フラップ舵1・クラウン2は、歯車付円環9を介し、舵取機21によって360°自在に回動される。
Claims (3)
- 外板と、その直上の舵取機甲板の間に設置された舵ホルダーに内包され、且つ、主舵とフラップ駆動軸及びその付属金物の包含を可能とする、外筒とその底板及び頂板とによって構成されたクラウンに、主舵の後尾にフラップをヒンジで回動自在に結合して構成されたフラップ舵を垂下し、この両者の回動中心軸を同一線上に置いて結合し、一対の回転体に形成し、一方、「外筒と内筒と底板及び頂板によって構成された記首の舵ホルダーと、クラウンとの間に空環を作り出し、この空環の上部と下部に旋回軸受を配装し、前述の如く、一対の回転体に形成されたフラップ舵・クラウンを、この旋回軸受を介して、舵ホルダーで回動自在に保持せしめ、」フラップの回動に関し、クラウンの頂板上にフラップ駆動機を設置し、この駆動機と、フラップの頂部とを、ヒンジの軸中心線上に配設されたフラップ駆動軸で連結し、フラップ駆動機により、フラップを主舵に対して±35°〜±40°の範囲で自在に回動可能と成し、一方、フラップ舵・クラウンの回動に関し、上部旋回軸受の上部位置におけるクラウンに、歯車付円環を巻着固定し、この円環と、舵取機甲板上に設置した舵取機とを接続し、舵取機によりフラップ舵・クラウンを360°自在に回動可能としたことを特徴とするフラップ舵の舵装置。
(注、「……」は既特許出願”船舶の舵装置”出願(申請)番号特願2010−277445から引用したものでである。) - 請求項1のフラップ舵のフラップの構造に関し、フラップの高さ方向を複数個に分割し、し、分割した夫々のフラップの両端を、主舵に回動自在にヒンジで結合し、隣り合うフラップには継手ピースを差し渡し、そのピースの片方はフラップに固着結合し、他方はフラップに接触接合としたことを特徴とするフラップ舵のフラップ構造。
- 請求項1のフラップ舵とクラウンとの結合に関し、クラウンに垂下される主舵を、クラウンの底板より頂板までの長さだけ上方に伸長し、且つ、クラウンの後部に配設されるフラップ駆動軸のトランクを、前記の主舵の伸長部に付加結合し、この状態の主舵を、クラウンの底板のコーミング付舵挿入孔よりクラウンの頂板まで挿入し、主舵の頂部とクラウンの頂板とを着脱自在に結合したことを特徴とするフラップ舵とクラウンとの結合法。
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