JP2012195709A - 光照射装置及び画像読取装置 - Google Patents

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靖宏 田上
Masayuki Shinohara
正幸 篠原
Koichi Takemura
宏一 竹村
Kazuhiro Kudo
一洋 工藤
Yoshitaka Taishi
芳爵 太子
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Abstract

【課題】光照射装置の高さを低くして画像読取装置の薄型化を図ることができ、また光照射面の照度ムラを小さくすることのできる光照射装置及び画像読取装置を提供する。
【解決手段】光照射装置34から出射された光Lu、Leは、原稿33の下面に斜め照射される。原稿33で反射された光は、結像光学系35を通って撮像素子36に入射し、原稿33の画像が読み取られる。光照射装置34は、板状の導光板38と、導光板38の入射端面40aに対向配置された光源37と、導光板38の出射端面40bと対向する位置に斜めに設置されたミラー42とからなる。導光板38の下面には、偏向パターン39が形成されている。光源37からの出射光は導光板38内を導光し、その光の一部は偏向パターン39で全反射され、導光板38の上面から斜めに出射する。また、出射端面40bから出射した光は、ミラー42で反射されて斜め上方へ出射する。
【選択図】図5

Description

本発明は光照射装置及び画像読取装置に関する。具体的には、本発明は、2方向から光を照射させるための光照射装置に関する。また、本発明は、当該光照射装置から出射した光を対象物に照射して画像情報を生成するための画像読取装置に関する。さらに、本発明は、当該画像読取装置を備えたスキャナ及びコピー機に関する。
(画像読取装置の基本的構成)
図1は、スキャナなどに用いられる画像読取装置の基本的構成を示す図である。画像読取装置11は、原稿13を置くためのためのガラス板12の下に配置されている。画像読取装置11は、ガラス板12を透過させて光を原稿13に照射させるための光照射装置14と、レンズで構成された結像光学系15と、CCDやCISからなる撮像素子16によって構成されている。光照射装置14から出射した光は、ガラス板12上に下向きに置かれた原稿13を照明する。原稿13の下面で反射した光は、結像光学系15を通過した後、撮像素子16で受光される。そして、原稿13の一部の画像が、撮像素子16により電気信号又は画像情報に変換される。
このような画像読取装置11では、ガラス板12の下面に沿って移動しながら原稿13の全体を読み取るので、画像読取装置11をガラス板12の下面に近づけ過ぎると、画像読取装置11がガラス板12の下面を擦って傷つける恐れがある。そのため、ガラス板12の下方には、画像読取装置11を配置することのできない一定高さHの禁止スペースSbが存在し、画像読取装置11は禁止スペースSbの下に配置される。
また、結像光学系15の上方には、原稿13で反射した光を撮像素子16へ導くための空間をあけておく必要があり、ここは光を遮るものを配置することのできない禁止スペースSaとなっている。したがって、光照射装置14を禁止スペースSaに配置することができないので、光照射装置14は禁止スペースSaから外れた位置に配置し、原稿13に向けて斜めに光を照射している。また、原稿13に対して斜めに光を照射することにより、正反射光が撮像素子16に入射するのを防いでいる。
(特許文献1について)
このような画像読取装置としては、たとえば特許文献1に開示されたものがある。特許文献1に記載された画像読取装置に用いられている光照射装置14Aを図2(A)に示す。光照射装置14Aは、固定台17の傾斜面17aに導光板18を固定し、導光板18の後端面に対向させて複数個のLED19を配置し、導光板18とLED19をカバー20で覆っている。また、導光板18の前端面に対向させて固定台17とカバー20の間に拡散シート21を取り付けている。
この画像読取装置では、導光板18を斜めに設置しているために光照射装置14Aの高さが高くなる。それ故、光照射装置14Aの上に禁止スペースSbが必要なことに加えて、光照射装置14Aの高さが大きくなり、画像読取装置の薄型化が困難である。また、画像読取装置内のデッドスペースが大きくなる。
また、特許文献1の画像読取装置では、図2(B)に示すように、複数個のLED19を一列に配列しているので、光照射装置14Aを原稿13に近づけて設置すると、原稿面にリップル状の照度ムラが生じる。そのため、導光板18の前端面に配置した拡散シート21で出射光を拡散させて照度ムラを低減させている。しかし、拡散シート21で出射光を拡散させているので、光の利用効率が低下して原稿13の光照射面が暗くなる不具合がある。
(特許文献2について)
特許文献2に開示された画像読取装置では、拡散シートを用いないで原稿の光照射面における照度の均一化を図っている。図3は特許文献2の画像読取装置に用いられている光照射装置14Bの断面図である。この光照射装置14Bは、LED19、導光体22及びミラー23によって構成されている。導光体22は、ほぼ水平に配置されており、LED19と対向する面に入光面22aを備え、LED19と反対側に第1出光面22bと第2出光面22cを備える。LED19から出射した光Lは入光面22aから導光体22内に入射し、導光体22内の光Lの一部は第1出光面22bから斜め上方へ向けて出射される。また、ミラー23は第2出光面22cに対向する位置に斜めに配置されており、導光体22内の光Lの一部は第2出光面22cからほぼ水平に出射されてミラー23に入射し、ミラー23で反射された光Lは斜め上方へ向けて出射される。したがって、原稿の光照射面には2方向から光Lが照射され、原稿の光照射面における照度ムラが小さくなる。
この画像読取装置では、導光体22はほぼ水平に配置されているが、導光体22は単純な板状ではない。すなわち、第1及び第2出光面22b、22c側における導光体22の厚みは、入光面22a側における厚みに比べてかなり厚くなっており、しかも、第1出光面22bの近傍は導光体22から上方へ飛び出ている。このため導光体22の厚みがかなり厚いものとなり、画像読取装置の薄型化を十分に行えない。また、画像読取装置内のデッドスペースも大きくなる。
また、特許文献2の画像読取装置では、第2出光面22cから出射する光は放射状に出射するので、原稿の光照射面に達するときにはかなり広がっている。そのため、第2出光面22cから出射する光の利用効率が悪く、原稿の照度が低くなる。
(特許文献3について)
図4は、特許文献3に開示された画像読取装置を示す側面図である。この画像読取装置では、ガラス板12の下面側の禁止スペース(Sb)を隔てた位置に光照射装置14Cを設けている。この光照射装置14Cでも、導光板18は斜め姿勢で固定台17に取り付けられている。導光板18の前方にはミラー23が位置している。そして、導光板18の前端面の上半部から斜め上方へ出射した光Lは、そのまま原稿13に照射される。一方、導光板18の前端面の下半部から出射した光Lは、ミラー23で斜め上方へ反射され、反対側から原稿13に照射される。
この特許文献3の画像読取装置では、導光板18が斜めに配置されているので、特許文献1の光照射装置14Aと同様に、光照射装置14Cの高さが高くなる。そのため、画像読取装置の高さを小さくすることができず、画像読取装置の薄型化が困難である。また、画像読取装置内のデッドスペースが大きくなる。
また、導光板18の前端面の上半分から出射される光Lも、前端面の下半部から出射してミラー23で反射される光Lも、いずれも放射状に出射しているので、原稿を照射するときにはかなり広がっている。そのため、導光板18から出射する光の利用効率が悪く、原稿の照度が低くなる。
特開2008−180841号公報 特開2010−26179号公報 特開2010−130056号公報
本発明は、上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、光照射装置の高さを低くして画像読取装置の薄型化を図ることができ、また光照射面の照度ムラを小さくすることのできる光照射装置や画像読取装置を提供することにある。
本発明に係る光照射装置は、光源と、前記光源から発した光を一方端部から取り込んで導光させる導光板と、前記導光板の主面に設けた複数個の偏向パターンからなり、前記導光板内を導光する光の一部を全反射させて前記導光板の一方の主面から出射させる第1の光反射手段と、前記導光板内の前記第1の光反射手段が設けられた領域を通過した光を、前記第1の光反射手段で全反射された光と同じ主面側へ向けて反射させる第2の光反射手段とを備え、前記第1の光反射手段で全反射され前記導光板の主面から出射された光が、当該主面に垂直な方向から前記第2の光反射手段側へ傾いた方向に向けて出射され、前記第2の光反射手段で反射された光が、前記導光板の主面に垂直な方向から前記第1の光反射手段側へ傾いた方向に向けて出射されるように構成されていることを特徴としている。
本発明の光照射装置にあっては、2方向から対象物に光を照射することができるので、対象物の照度ムラを小さくできる。また、本発明の光照射装置にあっては、第1の光反射手段で光を全反射させることによって光を斜め方向へ出射させ、第2の光反射手段で光を反射させることによって光を斜め方向へ出射させているので、導光板を斜め姿勢で設置する必要がなく、光照射装置の高さを小さくできる。また、第1の光反射手段は複数個の偏向パターンによって構成されているので、第1の光反射手段によって導光板から出射される光の制御性が高くなり、ほぼ平行な光を出射させたり、集光させたりすることによって、対象物の照度を高くできる。
本発明のある実施態様に係る光照射装置における前記第2の光反射手段は、前記導光板の他方端部に位置する端面に対向させて斜めに配置されたミラーであってもよい。かかる実施態様によれば、導光板の端面から出射した光をミラーで反射させることにより反射光を斜め上方へ向けて出射させることができる。
本発明の別な実施態様に係る光照射装置における前記第2の光反射手段は、前記導光板の他方端部に位置する端面に対向させて当該端面と平行に配置されたミラーと、前記導光板の主面に設けられていて前記ミラーで反射して前記導光板内へ戻った光を全反射させて前記導光板の主面から出射させる複数個の反射用パターンとから構成されていてもよい。かかる実施態様によれば、ミラーで反射した光を導光板へ戻して反射用パターンで全反射させて導光板から斜め上方へ出射させているので、第2の光反射手段によって導光板から出射される光の制御性が高くなり、ほぼ平行な光を出射させたり、集光させたりすることによって、対象物の照度を高くできる。
また、この実施形態は、後述のように光源側から導光されてきた光を反射用パターンで全反射させて導光板から斜めに出射させる実施形態と組み合わせることも可能である。その場合には、反射用パターンで全反射されることなく導光板の端面から漏れた光を、ミラーで反射させて導光板内へ再入射させることができる。そして、再入射した光を再び反射用パターンで全反射させて導光板から出射させることができる。そのため、光の利用効率がより一層向上する。
この実施形態の場合には、前記反射用パターンにおいて前記ミラーで反射して戻ってきた光を全反射させるための傾斜面の傾斜角を40°以下にすることが望ましい。反射用パターンの当該傾斜面(実施形態における第2平面)の傾斜角を40°以下にすれば、第2の光反射手段によって導光板から出射される光の方向を第1の光反射手段側へ傾けることができるからである。
本発明のミラーを用いた実施態様においては、前記導光板の厚みをt、前記導光板の屈折率をn、前記導光板の他方端部に位置する端面から前記ミラーの上下両端へ延ばした両線分どうしのなす角度を2φとしたとき、前記導光板において前記偏向パターンを形成された領域の、前記導光板端面に垂直な方向に沿った長さPが、
P≧3t/(2tanγ)
ただし、γ=arcsin(sinφ/n)
という条件を満たしていることが望ましい。かかる実施態様によれば、導光板の端面からミラー外へ出射されて損失となる光量を少なくでき、光の利用効率を高めることができる。
本発明のさらに別な実施態様に係る光照射装置における前記第2の光反射手段は、前記導光板の主面に設けられていて前記導光板内の光を全反射させて前記導光板の主面から出射させる複数個の反射用パターンからなることを特徴としている。かかる実施態様によれば、第1の光反射手段の領域を通過して光源側から導光してきた光を反射用パターンで全反射させることにより導光板から斜め方向へ出射させることができる。しかも、第2の光反射手段は複数個の反射用パターンで構成されているので、第2の光反射手段によって導光板から出射される光の制御性が高くなり、ほぼ平行な光を出射させたり、集光させたりすることによって、対象物の照度を高くできる。
この実施態様の場合には、前記偏向パターンにおいて光を全反射させるための傾斜面の傾斜角が40°以下とし、前記反射用パターンにおいて光を全反射させるための傾斜面の傾斜角が45°以上とすることが望ましい。偏向パターンの当該傾斜面の傾斜角を40°以下にすれば、第1の光反射手段によって導光板から出射される光の方向を第2の光反射手段側へ傾けることができるからである。また、反射用パターンの当該傾斜面(実施形態の第1平面)の傾斜角を45°以上にすれば、第2の光反射手段によって導光板から出射される光の方向を第1の光反射手段側へ傾けることができるからである。
本発明に係る画像読取装置は、読取対象物に光を照射させるための、本発明に係る光照射装置と、前記読取対象物の像を読み取る撮像素子と、前記読取対象物で反射した反射光を前記撮像素子に結像させるための結像光学系とを備え、前記読取対象物により反射され前記第1の光反射手段と前記第2の光反射手段の間を通って前記撮像素子に入射する光が、前記第1の光反射手段と前記第2光反射手段との間で遮光されないように構成されていることを特徴としている。
本発明の画像読取装置は、本発明の光照射装置を用いているので、画像読取装置の高さを低くして画像読取装置をコンパクト化できる。また、読取対象物に照射される光の照度を高くできるとともに照度ムラを小さくできる。
本発明のある実施態様に係る画像読取装置は、前記導光板が、前記読取対象物と平行に配置されていることを特徴としている。かかる実施態様では、導光板を水平に配置しているので、光照射装置の高さを非常に小さくして薄型化することができ、画像読取装置の組込スペースの高さを非常に小さくできる。
本発明のさらに別な実施態様に係る画像読取装置は、前記導光板と前記第2の光反射手段が、前記光路内に入り込まないように配置されていることを特徴としている。かかる実施態様によれば、読取対象物で反射されて撮像素子に入射する光が導光板や第2の光反射手段によって遮光されることがないので、結像素子における読み取り精度が低下しにくくなる。
本発明のさらに別な実施態様に係る画像読取装置は、前記導光板が、前記読取対象物により反射され前記撮像素子に入射する光の光路を横断するように配置され、前記導光板のうち前記光路が通過する領域が、透明かつ平滑に形成されていることを特徴としている。かかる実施態様では、導光板が撮像素子に入射する光の光路を横断しているが、横断している領域では、導光板が透明かつ平滑に形成されているので、撮像素子に入射する光が導光板によって遮光されにくく、結像素子における読み取り精度が低下しにくい。
本発明のさらに別な実施態様に係る画像読取装置においては、前記光照射装置が前記読取対象物と平行な方向に移動可能であり、前記結像光学系と前記撮像素子が固定されており、前記光照射装置が移動しても前記光照射装置と前記結像装置との間の光路長が一定となるように調整する光路調整装置を備えていることを特徴としている。かかる実施態様は光路調整装置を備えているので、光照射装置が走査されても読取対象物の光照射位置と撮像装置との間の光路長を一定に保つことができる。したがって、結像光学系や撮像素子を固定させることができ、画像読取装置の構造を簡略にすることができる。
また、本発明の画像読取装置は、スキャナや複写装置に用いてスキャナや複写装置の小型化や読み取り精度の向上に寄与することができる。
なお、本発明における前記課題を解決するための手段は、以上説明した構成要素を適宜組み合せた特徴を有するものであり、本発明はかかる構成要素の組合せによる多くのバリエーションを可能とするものである。
図1は、スキャナなどに用いられている画像読取装置の基本的構成を示す図である。 図2(A)は、特許文献1に開示された画像読取装置に用いられている光照射装置の側面図である。図2(B)は、特許文献1に開示された画像読取装置の構成を示す概略図である。 図3は、特許文献2に開示された画像読取装置に用いられている光照射装置の断面図である。 図4は、特許文献3に開示された画像読取装置の側面図である。 図5は、本発明の実施形態1による画像読取装置の概略図である。 図6(A)は、同上の画像読取装置に用いられている光源及び導光板の断面図である。図6(B)は、当該光源及び当該導光板を下面側から見た図である。 図7は、実施形態1における光照射装置の具体例を示す斜視図である。 図8は、上記光照射装置の具体例の平面図である。 図9は、上記光照射装置の具体例の断面図である。 図10は、導光板の光出射面から出射された光と導光板の出射端面から出てミラーで反射された光のうち一方だけを照射した場合と、両方の光を同時に照射した場合との、原稿の下面における明るさの分布をシミュレーションした結果を表した図である。 図11(A)は、導光板の概略断面図である。図11(B)は、図11(A)のJ部を拡大した図である。 図12は、偏向パターンの第1平面の傾斜角度と、導光板の光出射面から出射される光の指向角との関係を表した図である。 図13(A)は、突出した偏向パターンを有する導光板の概略断面図である。図13(B)は、図13(A)のJ部を拡大した図である。 図14(A)は、上面(光出射面)に偏向パターンを形成された導光板の概略断面図である。図14(B)は、図14(A)のJ部を拡大した図である。 図15(A)、図15(B)及び図15(C)は、偏向パターンの種々の異なる配置を示す概略図である。 図16は、パターンエリアの長さを定めるための方法を説明する図であって、導光板から出てミラーに入射する光を表している。 図17(A)及び図17(B)は、パターンエリアの長さを定めるための方法を説明する図であって、図17(A)は導光板内を導光する光を表し、図17(B)は導光板の端面から出射する光を表している。 図18は、偏向パターンのない導光板と偏向パターンを有する導光板の各端面から出射する光の強度分布(指向特性)を示す図である。 図19は、パターンエリアの長さを変化させたとき、導光板の出射端面から出射する全光量のうち、どれだけの割合の光量がある±20°の範囲内に出射されるかをシミュレーションした結果を示す図である。 図20(A)、図20(B)及び図20(C)は、パターンエリアのさまざまな配置を示す導光板の概略断面図である。 図21(A)は、平面ミラーを用いた光照射装置を示す概略図である。図21(B)は、凹面鏡状のミラーを用いた光照射装置を示す概略図である。 図22は、本発明の実施形態2による画像読取装置の概略図である。 図23は、本発明の実施形態3による画像読取装置に用いられる導光板の概略断面図である。 図24は、本発明の実施形態4による画像読取装置の概略図である。 図25(A)は、実施形態4における光源に近い側に位置する偏向パターンの作用説明図である。図25(B)は、光源から遠い側に位置する反射用パターンの作用説明図である。 図26は、本発明の実施形態5による画像読取装置の概略図である。 図27(A)は、実施形態5における反射用パターンの作用説明図である。図27(B)は、突出形状の反射用パターンを示す図である。 図28は、本発明の実施形態6による画像読取装置の概略図である。 図29は、本発明の実施形態7によるスキャナの概略ブロック図である。 図30は、本発明の実施形態8による複写装置の概略ブロック図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々設計変更することができる。
〔第1の実施形態〕
(画像読取装置の構造)
以下、図5及び図6を参照して本発明の実施形態1による画像読取装置31の基本的な構造を説明する。図5は、画像読取装置31の概略図である。図6(A)は、画像読取装置31に用いられている光源37と導光板38の断面図、図6(B)は、光源37と導光板38を下面側から見た図である。
画像読取装置31は、原稿33を置くための透明なガラス板32(原稿置台)の下方に配置されている。画像読取装置31は、光照射装置34、結像光学系35および撮像素子36からなる。撮像素子36は、原稿33の画像を電気信号又は画像情報に変換するものであって、CCD素子、CIS素子又はCMOS素子などからなる。結像光学系35は、原稿33の一部の縮小画像を撮像素子36に結像させるための光学系であって、1枚又は複数枚のレンズや絞りなどによって構成されている。光照射装置34は、原稿33の一部に光を出射して照明する。
光照射装置34は、光源37、導光板38及びミラー42によって構成される。光源37は、樹脂パッケージ内に白色LEDを封止したものである。導光板38は、ポリカーボネイト樹脂(PC)やポリメチルメタクリル樹脂(PMMA)などの屈折率の高い透明樹脂によってほぼ均一な厚みの板状に成形されている。導光板38は、水平に設置されており(つまり、ガラス板32と平行に設置されている。)、一方端面が入射端面40aとなり、他方端面が出射端面40bとなり、上面が光出射面40cとなる。図6(B)に示すように、導光板38の入射端面40aと対向する位置には、入射端面40aに沿って複数個の光源37が一列に配列している。また、導光板38の下面(光出射面40cと反対面)には、断面が三角形のプリズム状をした複数本の偏向パターン39が凹設されている。各偏向パターン39は、導光板38の幅方向(あるいは、光源37の配列方向)に延びており、導光板38の幅方向に沿って均一な断面を有している。出射端面40bに垂直な方向には、ミラー42が配置されている。ミラー42は、境界部分で窪むように角度を異ならせて2枚の反射板43a、43bを組み合わせたものである。このミラー42は、下方が出射端面40bに近くなり、上方が出射端面40bから遠くなるように傾けて配置される。
しかして、この光照射装置34においては、光源37から出射した光Lは、図5及び図6(A)に表したような挙動を示す。すなわち、光源37から出射した光Lは、入射端面40aから導光板38内に入射し、導光板38の上面と下面で全反射を繰り返しながら出射端面40bに向けて導光板38内を進む。その途中で偏向パターン39により入射した光Luは、図6(A)に示すように、偏向パターン39で全反射され、光出射面40cから斜め上方へ出射する。光出射面40cから出射した光Luは、原稿33の光照射領域に斜め下方から照射する。一方、導光板38内に入射した光のうち出射端面40bに到達した光Leは、出射端面40bを透過してミラー42に入射する。ミラー42に入射した光Leは、反射板43a、43bで反射されることによって集光され、光Luと反対側において原稿33の光照射領域に斜め下方から照射する。この結果、原稿33の光照射面には2方向から光Lu、Leが斜め照射されることになり、原稿33の光照射面における明るさが均一化される。この効果については、後に測定データを示す。
さらに、原稿33の光照射面で拡散反射された光のうち、下方(禁止スペースSa)へ反射された光は結像光学系35を通過することによって撮像素子36で結像され、原稿33の一部が読み取られる。ここで、光照射装置34は、図5の紙面に垂直な方向(画像読取装置31の主走査方向;以下、幅方向という。)では、想定される原稿サイズに対して十分な長さを有しているが、長さ方向(画像読取装置31の副走査方向)では原稿33の長さに比べて短くなっている。そのため、画像読取装置31は、その長さ方向に沿って一定速度で移動(走査)しながら原稿33を読み取っていき、読み取った画像のデータがメモリに蓄積されることで原稿33全体が読み取られる。
上記画像読取装置31においては、禁止スペースSaを通って結像光学系35に入射する光が、撮像素子36によって読み取られる。そのため、禁止スペースSaを通る光が遮られると、撮像素子36で読み取られる画像が欠けることになる。したがって、光照射装置34は、禁止スペースSa内に入り込まないようにする必要がある。すなわち、導光板38とミラー42は、禁止スペースSa内に入り込まないように禁止スペースSaから離しておくことが望ましい。しかし、導光板38とミラー42をあまり禁止スペースSaから離しすぎると光照射装置34の長さが長くなり、光照射装置34のサイズが大きくなる。そのため、この実施形態では、出射端面40bが禁止スペースSaの縁に位置するように導光板38を設置し、ミラー42もその下端が禁止スペースSaの縁に位置するように設置している。
なお、画像読取装置31における禁止スペースSaは、結像光学系35や撮像素子36の位置によって決まり、また禁止スペースSaの長さDは結像光学系35におけるレンズや絞りの開口長さによって決まるものである。
また、画像読取装置31とガラス板32との間には、画像読取装置31を移動(副走査)させるときに画像読取装置31とガラス板12との干渉を防止するための空間(禁止スペースSb)をあけておく必要がある。したがって、画像読取装置31は、ガラス板32の下面から禁止スペースSbの高さH(数mm)だけ下げて配置されている。具体的には、ガラス板32の下面から禁止スペースSbの高さHだけ下がった位置に、ミラー42の上端(また、後述の図7−図9のような光照射装置34では、フレーム44の上端)が位置するようにしている。
(光照射装置の詳細な構造)
つぎに、光照射装置34のより具体的な構造の一例を図7−図9により説明する。図7は、光照射装置34の斜視図であって、光照射装置34を縦にして斜め下方から見た図である。図8は、光照射装置34の平面図である。図9は、光照射装置34の断面図である。
光照射装置34は、金属製のフレーム44の上に構成されている。フレーム本体45はフレーム44の主部を構成している。フレーム本体45の長手方向に沿った一辺には、ミラー支持部46が立ち上げられている。さらに、ミラー支持部46の下部では、ミラー支持部46の一部を切り起こすことによってミラー副支持部46aが形成されている。ミラー支持部46の角度は反射板43aの設置角度と等しくなっており、ミラー支持部46に反射板43aを固定することによって反射板43aを所望角度に設定することができる。ミラー副支持部46aの角度は反射板43bの設置角度と等しくなっており、ミラー副支持部46aに反射板43bを固定することによって反射板43bを所望角度に設定することができる。フレーム本体45の残り3辺は下方へ折り曲げてあり、これによってフレーム本体45の強度を高めている。また、フレーム44の両端には、光照射装置34を副走査用の移動ステージに取り付けるための固定用片47を設けている。
フレーム本体45の上面には、複数個の光源37を一定ピッチ毎に実装したプリント配線基板49が固定されている。さらに、フレーム本体45からは、プリント配線基板49の孔を通して上方へ爪52が突出しており、この爪52に引っ掛けることによって導光板38が位置決めされ、プリント配線基板49の上面で固定されている。固定された導光板38の入射端面40aは、各光源37と対向している。プリント配線基板49には、コネクタ51によってフレキシブルプリント基板50が接続されている。
導光板38の出射端面40bとミラー42との間において、フレーム本体45には禁止スペースSaと一致させるための開口48があけられている。
このような構造の光照射装置34を用いれば、光源37と導光板38とミラー42との位置関係を正確に定めることができ、また光照射装置34の移動ステージへの組込みも一括して簡単に行うことができる。
(作用効果)
本実施形態の画像読取装置31によれば、偏向パターン39で反射して光出射面40cから出射した光Luと、出射端面40bから出射してミラー42で反射した光Leとを、原稿33の光照射面に対して異なる方向から斜め照射することができる。よって、原稿33の光照射面の明るさを均一化することができる。また、光を斜め照射しているので、原稿33の光照射面で正反射した光が撮像素子36に入射するのを防ぐことができる。
図10は、光Lu、Leのうち一方だけを照射したときと、両方を同時に照射したときの、原稿33の下面における明るさの分布をシミュレーションにより求めた結果を表す。このシミュレーションに用いたモデルでは、厚み0.5mm、長さ11mmのポリカーボネイト樹脂製の導光板38を用いた。導光板38の下面に凹設された偏向パターン39は、断面形状が直角三角形で傾斜面(後述の第1平面39a)の傾斜角が30°のものであり、導光板38の幅方向に沿って均一な断面で端から端まで延びている。導光板38下面の偏向パターン39が設けられている領域(以下、パターンエリアという。)の長さは約4mmとし、パターンエリアにおける偏向パターン39のパターン占有面積割合(パターン密度)は50%とした。図10において、横軸は禁止スペースSaの中心から測った長さ方向(副走査方向)における距離X、縦軸は原稿33の下面の明るさである。また、図10に示すDは、禁止スペースSaの長さ(約3mm)であって、画像読取領域に対応している。
このようなモデルを用いて、偏向パターン39で反射して光出射面40cから出射した光Luだけを原稿33に照射したときの明るさの分布を、図10において破線(導光板側)で示す。また、出射端面40bから出射してミラー42で反射した光Leだけを原稿33に照射したときの明るさの分布を、図10において細実線(ミラー側)で示す。また、同時に両方の光Lu、Leを照射したときの明るさの分布を、図10において太実線(合計)で示す。導光板側の光Luだけを照射した場合には、破線のように領域D内でミラー側の明るさが低下する。また、ミラー側の光Leだけを照射した場合には、細実線のように領域D内で導光板側の明るさが低下する。これに対し、両方の光Lu、Leを同時に照射した場合には、2つの明るさが足し合わされるので、太実線のように領域D内における明るさの分布がほぼ均一になる。この結果、画像読取装置31によれば、撮像素子36によって読み取られる画像の照度ムラが低減されることになる。なお、偏向パターン39のパターン密度を調整すれば、導光板側からの光Luの量とミラー側からの光Leの量を調整することができるので、パターン密度を調整することで原稿の読取領域における明るさをさらに均一にすることができる。
つぎに、本実施形態の画像読取装置31によれば、光の利用効率を高めることができるので、同じ明るさの光源を用いた場合であれば、原稿の光照射領域の照度を高くできる。この理由は、以下のとおりである。まず、導光板側から出射される光Luについていえば、偏向パターン39で全反射されることによって光出射面40cに対して全反射の臨界角よりも小さな入射角で入射した光だけが光出射面40cから出射される。そのため光出射面40cから出射する光Luの指向性が狭く、原稿33に照射されるまでに広がりにくい。また、ミラー側の光Leについては、反射板43aで反射される光と反射板43bで反射される光とが一部重なりあって原稿33に照射されるので、ミラー側の光Leも広がりにくい。よって、原稿33の読取領域外を照射する光が少なくなり、光の利用効率が向上して読取領域の照度が高くなる。
つぎに、本実施形態の画像読取装置31によれば、画像読取装置31や光照射装置34の小型化、特に薄型化を図ることことができる。すなわち、本実施形態の画像読取装置31では、板状をした導光板38を水平に配置しているので、光照射装置34の高さを小さくして光照射装置34を小型化できる。その結果、画像読取装置31も高さが小さくなってコンパクト化される。
(偏向パターンについて)
つぎに、導光板38に設けた偏向パターン39の断面形状について説明する。図11(A)は導光板の断面図であり、図11(B)は図11(A)のJ部拡大図である。偏向パターン39は、2つの平面によって構成された凹部である。導光板38の裏面に設けられた偏向パターン39では、2つの平面のうち光源37に近い側の平面(傾斜面)が、光源37側からの光を全反射させて光出射面40cから出射させるための第1平面39aとなっている。この第1平面39aの傾斜角α(導光板38の下面から測った角度)は、40°以下であることが望ましい。
第1平面39aの傾斜角αが40°以下であることが望ましい理由は、図12に示すシミュレーション結果に基づく。図12は、導光板材料としてポリカーボネイト樹脂(PC)を用いた場合とポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)を用いた場合における、第1平面39aの傾斜角度αと指向角θとの関係を表している。ここで指向角θとは、図11(A)に示すように、導光板38の光出射面40cから出射する光Lの強度のピーク方向が光出射面40cに立てた法線Nとなす角度をいう。指向角θは、光強度のピーク方向が光源37から遠くなる方向へ傾いている場合に正値となり、光源37に近づく方向へ傾いている場合に負値となる。光出射面40cから出射する光(Lu)は、垂直出射でなく、ミラー側へ傾いて斜め出射しなければならないので、指向角θはゼロよりも大きな正値でなければならない。よって、図12によれば、第1平面39aの傾斜角度αは40°以下であることが望ましい。
第1平面39aよりも光源37から遠い側で第1平面39aと連続している第2平面39bの傾斜角度β(導光板38の下面から測った角度)は、1個の偏向パターン39の占有面積を小さくして一定のパターンエリア内でのパターン数を増やすためには90°に近い角度が望ましい。しかし、偏向パターン39の加工のしやすさ、たとえば偏向パターン39を成形するための金型からの離型性を考えれば、この傾斜角度βは90°よりもある程度大きいことが望ましく、たとえば傾斜角αと同じ大きさであってもよい。また、偏向パターン39の先端(両平面39a、39bの境界)は、角張っている必要はなく、丸味を帯びていてもよい。
図13(A)及び図13(B)は、偏向パターン39の異なる形態を表す。偏向パターン39は、導光板38の下面に突出していてもよい。この偏向パターン39も2つの平面によって構成されていて断面三角形状をしているが、光源側からの光を全反射させて光出射面40cから出射させるための第1平面39aは、第2平面39bよりも光源37から遠い側に位置している。第1平面39aの傾斜角αや第2平面39bの傾斜角βは、図11の偏向パターン39の場合と同様な範囲にあればよい。
図14(A)及び図14(B)は、偏向パターン39のさらに異なる形態を表す。偏向パターン39は、導光板38の上面(光出射面40c)に凹設又は突設されていてもよい。導光板38の上面に設けられた偏向パターン39の場合には、偏向パターン39の第1平面39cに入射した光は、第1平面39cを透過するとともに、第1平面39cを透過するときに屈折し、光出射面40cから斜め上方へ向けて出射される。
偏向パターン39は、上記のように導光板38の下面に凹設又は突設されていてもよく、導光板38の上面に凹設又は突設されていてもよいが、以下においては、偏向パターン39は導光板38の下面に凹設されているものとして説明する。
また、偏向パターン39は、図15(A)に示すように、導光板38の幅に比べて短い偏向パターン39を格子状に並べてもよい。偏向パターン39は、図15(B)に示すように、導光板38の幅に比べて短い偏向パターン39を千鳥状に配置してもよい。偏向パターン39は、図15(C)に示すように、ランダムに配置されていてもよい。
偏向パターン39のパターン密度は50%程度が好ましいが、偏向パターン39からの光Luとミラー42からの光Leとの光量のバランスなどを考慮して適宜定めるのであれば、この値に限るものではない。
(パターンエリアについて)
偏向パターン39を設けるためのパターンエリアについて説明する。図16−図20は、パターンエリアを説明するための図である。図16に破線矢印で示す光Lbのように、導光板38の出射端面40bから出射した光のうちミラー42に入射しない光はロスとなる。したがって、このようなロス光Lbはできるだけ少なくする必要がある。
いま、ミラー42は出射端面40bの真っ直ぐ前方に配置されていて、−φよりも下方へ出射する光はほぼミラー42から外れ、+φよりも上方へ出射する光もほぼミラー42から外れ、出射端面40bからの出射角が−φと+φの間の光がほぼミラー42に入射するものとする。なお、出射端面40bから出射される光の出射角は、出射端面40bに垂直な方向を0°とし、上方へ傾いた出射角を正値、下方へ傾いた出射角を負値とする。したがって、出射端面40bからは出射角が+φ以上の光や、−φ以下の光は出射されないことが望ましい。この出射角φ(≧0)は、ミラー42と導光板38の端面位置との関係から決定される。たとえば、出射端面40bとミラー42との水平距離をK、ミラー42の高さをGとすれば、図16から分かるように、
tanφ≒G/2K
という関係式で表される。
図17(B)に示すように出射端面40bから出射角φで出射される光が出射端面40bに入射するときの入射角γは、導光板38の屈折率をnとすれば、スネルの法則より、
γ=arcsin(sinφ/n)
で表される。出射端面40bから出射角が+φよりも大きな光や−φよりも小さな光を出射させないためには、+γよりも大きな入射角や−γよりも小さな入射角で光が出射端面40bに入射しなければよい。それには、出射端面40bに垂直な方向に対してγよりも大きな角度で導光する光を偏向パターン39で全反射させて光出射面40cから出射させればよい。
出射端面40bに垂直な方向に対してγよりも大きな角度で導光する光を偏向パターン39で全反射させてできるだけ少なくし、γよりも小さな角度で導光する光を光出射面40cに到達させるためには、図17(A)から分かるように、導光板38の厚みをtとしたとき、入射端面40aから測って3t/(2tanγ)までの領域に偏向パターン39があればよい。すなわち、偏向パターン39を設けるパターンエリアを入射端面40aから始めて、パターンエリアの長さPを
P ≧ 3t/(2tanγ)
とすればよい。
たとえば、φ=20°、導光板38の厚みt=0.5mmで、導光板材料がポリカーボネイト樹脂(屈折率n=1.59)である場合には、γ=12.4°となるので、パターンエリアの最短長さは3.4mmとなる。よって、パターンエリアの長さPは3.4mm以上にすればよい。
図18は、偏向パターン39によって出射端面40bから出射される光の指向性広がりがどの程度変化するかを検証した際のシミュレーションである。図18の横軸は出射端面40bから出射される光の、出射端面40bに垂直な方向から測った出射角度(上方へ傾いた光の出射角度を正値、下方へ傾いた光の出射角度を負値としている。)を示し、縦軸は各出射角度における光の強度を表している。このシミュレーションに用いたモデルは、長さが11mm、厚みが0.5mm、屈折率が1.59の導光板を用い、導光板38の下面に長さが4mmのパターンエリアを設定し、当該エリア内に傾斜角30°の第1平面39aを有する断面直角三角形状の偏向パターン39を多数配置したものである。図18の細実線で表した光強度曲線は、導光板38に偏向パターン39を設けていない場合であって、出射光の光強度はかなりの広がりを有している。また、太実線で表した光強度曲線は、導光板38の下面に長さP=4mmのパターンエリアを設けた場合である。このパターンエリア内に偏向パターン39を設けた場合には、偏向パターンがない場合に比べて、+20°よりも出射角の大きな領域と−20°よりも出射角の小さな領域の光が大きく減少していて、出射光の光強度はかなり狭い範囲に限定されていることが分かる。この傾向は、導光板の屈折率が変わっても同様である。
図19は、パターンエリアの長さPが変化したとき、出射端面40bから出射する全光量のうち、どれだけの割合の光量がある一定の範囲内に出射されるかをシミュレーションしたものである。図19の横軸はパターンエリアの長さPを表し、縦軸は出射端面40bから出射する全光量に対する、±20°以内の範囲(上方へ20°の方向と下方へ20°の方向との間)へ出射される光量の割合を表している。ただし、縦軸はパターンエリアの長さPがゼロの場合(つまり、偏向パターン39が存在しない場合)に1となるように規格化している。このシミュレーションに用いたモデルは、長さが11mm、厚みが0.5mm、屈折率が1.59の導光板を用い、導光板下面のパターンエリア内に傾斜角30°の第1平面を有する断面直角三角形状の偏向パターン39を多数配置したものである。図19からは、パターンエリアの長さPが長くなるに従って、出射端面40bから±20°以内の範囲に出射する光の割合が増加して効率がよくなることが分かる(ただし、出射端面40bから出射する全光量は、パターンエリアの長さPが長くなるに従って減少する)。特に、パターンエリアの長さPが3.4mmの場合には、±20°以内の範囲に出射する光量は偏向パターンがない場合の1.7倍になっている。このような傾向は、±20°以外の範囲であっても同様である。また、この傾向は、導光板の屈折率が変わっても、パターンエリアがどの位置にあっても、同様である。
また、これまでは入射端面40aから長さPまでの範囲をパターンエリアとした(図17)が、図20(A)、(B)、(C)に例示するように、パターンエリアの長さPをそのままにしてパターンエリアを任意の位置に変更してもよい。パターンエリアの長さPが同じであれば、パターンエリアがどの位置から始まっていても、出射端面40bから出射する光をある範囲内に集める効果に変わりはないからである。
(異なるミラー形状)
図21(A)及び図21(B)は異なるミラー形状を示す図である。ミラー42は、図21(A)に示すように、1枚の平面ミラーを用いてもよい。1枚の平面ミラーを用いることで、ミラー42のコストを低減できる。また、ミラー42は、図21(B)に示すように、凹面鏡状のミラーを用いてもよい。凹面鏡状のミラーを用いれば、原稿に照射する光を集光させて照度を高くすることができる。
〔第2の実施形態〕
図22は本発明の実施形態2による画像読取装置61の概略図である。この画像読取装置61は、実施形態1の画像読取装置31とは導光板38の構造が異なっている。他の部分は、実施形態1と同様であるので、説明は省略する。
この画像読取装置61に用いられている導光板38は、禁止スペースSaを横断するようにして水平に配置されている。偏向パターン39は、導光板38のうち原稿33で反射して撮像素子36に入射する光の光路(禁止スペースSa)が通過する領域よりも光源37に近い側に設けられている。導光板38のうち原稿33で反射して撮像素子36に入射する光の光路が通過する領域は、上面及び下面が平滑に形成されており、かつ、上面と下面とが平行に形成されている(また、当然ながら透明となっている)。したがって、導光板38が当該光路を横断していても、原稿33で反射されて撮像素子36に入射する光が導光板38で遮られることがなく、画像の読み取り性能が低下しにくい。
導光板38の出射端面40bは、禁止スペースSaを越えた位置でミラー42に対向している。このような配置によれば、ミラー42を出射端面40bに接近させることができるので、ミラー42の高さを小さくすることができる。この結果、光照射装置34の高さをより小さくでき、画像読取装置61をコンパクト化できる。
〔第3の実施形態〕
図23は、本発明の実施形態3の画像読取装置に用いられている導光板38の形状を示す概略断面図である。この導光板38では、光源37に近い側の偏向パターン39の第1平面39aの傾斜角よりも、光源37から遠い側の偏向パターン39の第1平面39aの傾斜角の方が大きくなるようにしている。すなわち、偏向パターン39の第1平面39aの傾斜角を、光源37に近い側から遠い側へ向けて次第に、あるいは区分的に次第に大きくなるように変化させている。このような実施形態によれば、光源37に近い部分で光出射面40cから出射する光よりも、光源37から遠い部分で光出射面40cから出射する光の方が光出射面40cに垂直な方向に近づくので、光出射面40cから出射される光Luは集光して原稿33に照射され、照度が高くなる。
〔第4の実施形態〕
図24は本発明の実施形態4の画像読取装置62を示す概略図である。この画像読取装置62では、導光板38は、禁止スペースSaを横断するようにして水平に配置されている。偏向パターン39は、導光板38のうち原稿33で反射して撮像素子36に入射する光の光路(禁止スペースSa)が通過する領域よりも光源37に近い側に設けられている。また、導光板38のうち原稿33で反射して撮像素子36に入射する光の光路が通過する領域よりも光源37から遠い側に複数個の反射用パターン63が設けられている。
反射用パターン63は、2つの平面によって構成されていて断面三角形状のプリズム状をしている。反射用パターン63は、導光板38の幅方向に沿って延びていて、均一な断面形状を有している。また、反射用パターン63は導光板38の長さ方向に沿って配列されている。偏向パターン39も反射用パターン63も禁止スペースSa内に入り込まないように設けられている。なお、反射用パターン63は、導光板38の下面に突出していてもよく、また導光板38の上面に凹設又は突設されていてもよい。
偏向パターン39は、図25(A)に示すように、光源側に位置する第1平面39aで光を全反射させて禁止スペースSaの上方へ向けて斜めに光Luを出射させるものであり、その傾斜角度αは40°以下であることが望ましい。また、反射用パターン63は、図25(B)に示すように、光源側に位置する第1平面63aで光を全反射させて禁止スペースSaの上方へ向けて斜めに光Leを出射させるものである。すなわち、反射用パターン63で全反射されて光出射面40cから出射する光Leの指向角θは負値にならなければならないので、図12のシミュレーション結果を援用すれば、反射用パターン63の第1平面63aの傾斜角度εは、45°以上であることが望ましいことが分かる。
この実施形態では、原稿33で反射して撮像素子36に入射する光の光路は、偏向パターン39の設けられている領域と反射用パターン63の設けられている領域との中間で導光板38を通過しており、導光板38の当該光路が通過する領域は、上面及び下面が平滑に形成されており、かつ、上面と下面とが平行に形成されている。したがって、導光板38が当該光路を横断していても、原稿33で反射されて撮像素子36に入射する光が導光板38で遮られることがなく、画像の読み取り性能が低下しにくい。
この実施形態では、ミラーを用いていないので、光照射装置34の高さをより一層小さくでき、画像読取装置61をコンパクト化できる。また、ミラーを用いていないので、光照射装置34のコストを安価にでき、ミラーの位置や角度を調整する必要がないので、組立も容易になる。
また、プリズム状をした反射用パターン63で全反射させた光は、光出射面40cに全反射の臨界角よりも小さな入射角で入射した光だけが光出射面40cから出射されるので、出射光Leは指向性が狭くなる。よって、出射光Leの広がりを小さくして原稿33の照度を高くできる。
〔第5の実施形態〕
図26は、本発明の実施形態5による画像読取装置64を示す概略図である。この画像読取装置64は、実施形態4の画像読取装置62を基礎として、さらに光利用効率の向上を図ったものである。この画像読取装置64では、出射端面40bと対向させて平行にミラー65を配置し、光出射面40cから漏れた光をミラー65で反射させることによって光出射面40cから導光板38内へ再入射させている。図27(A)に示すように、再入射した光は、反射用パターン63の第2平面63b、すなわち第1平面63aよりも光源37から遠い側に位置している反射用パターン63のもう一方の傾斜面に入射する。第2平面63bで全反射された光Leは、第1平面63aで全反射した光Leとほぼ平行な方向へ出射される。
第1平面63aの傾斜角度εは45°以上であったが、図12を参照すれば、第2平面63bの傾斜角度νは40°以下であることが望ましい。また、第1平面63aと第2平面63bはそれぞれの全反射光が平行に出射されるように各傾斜角度ε、νを決めることが望ましい。
この実施形態によれば、反射用パターン63で全反射されることなく出射端面40bに達し、出射端面40bから外部へ漏れた光をミラー42で反射させて導光板38へ再入射させることができる。そして、この再入射した光を反射用パターン63で全反射して出射させることができる。よって、光利用効率が高くなり、原稿33の照度が高くなる。
なお、反射用パターン63は、図27(B)に示すように、プリズム状に突出していてもよい。この場合には、光源側からの光を全反射させる第1平面63aは光源から遠い側の傾斜面となり、戻ってきた光を全反射させる第2平面63bは光源に近い側の傾斜面となる。
〔第6の実施形態〕
図28は、本発明の実施形態6による画像読取装置を示す概略図である。この画像読取装置では、光照射装置34は移動ステージ(図示せず)の上に固定されており、移動ステージによって水平方向に副走査される。結像光学系35及び撮像素子36は固定されている。光照射装置34は、反射ミラー69を備えており、原稿33で反射した光は、反射ミラー69で反射されることによって水平な光路に変換される。反射ミラー69で反射された光は光路調整装置66に入射し、光路調整装置66内の2枚の反射ミラー67、68によって回帰反射される。そして、回帰反射した水平な光路の光は、結像光学系35を通って撮像素子36に入射する。光路調整装置66は、水平に平行移動できるようになっており、その移動量は、光照射装置34がどこにあっても原稿33の光照射面から撮像素子36までの光路長が一定となるように制御される。
このような画像読取装置によれば、結像光学系35及び撮像素子36を固定することができるので、画像読取装置の構造を簡単にすることができる。しかも、光照射装置34が移動し、撮像素子36が静止していても、光路調整装置66により原稿33の光照射面から撮像素子36までの光路長が一定となるように調整されるので、原稿33の全体が均一な精度で読み取られる。
〔第7の実施形態〕
図29は、本発明に係る画像読取装置、たとえば実施形態6の画像読取装置を用いたスキャナ71の概略ブロック図である。処理回路72は、読取指示の命令を受け取ると、光照射装置34を発光させて原稿33に光を照射しながら、光照射装置34を走査させる。このとき同時に、処理回路72は光路調整装置66の移動距離を制御する。また、撮像素子36から出力された電気信号はシリアルデータとして処理回路72へ送られ、所定の画像情報に変換されてメモリやハードディスクなどの記憶装置73に一時保存される。記憶装置73に保存された画像情報は要求に応じて出力部74から外部のパソコンなどへ送信される。なお、記憶装置73は、パソコン内の記憶装置あってもよい。
〔第8の実施形態〕
図30は、本発明に係る画像読み取り装置82を用いた複写装置81の概略ブロック図である。処理回路83は、スタート命令を受け取ると、画像読取装置82を稼働させて原稿33を読み取らせる。画像読取装置82から出力された電気信号はシリアルデータとして処理回路83へ送られ、所定の画像情報に変換されてメモリやハードディスクなどの記憶装置84に一時保存される。ついで、記憶装置84に保存された画像情報は、感光ドラムやトナー、給紙装置などを備えた印刷装置85へ送られ、印刷装置85から印刷物が出力される。
31、61、62、64 画像読取装置
33 原稿
34 光照射装置
35 結像光学系
36 撮像素子
37 光源
38 導光板
39 偏向パターン
42 ミラー
43a 反射板
43b 反射板
63 反射用パターン
65 ミラー
66 光路調整装置
71 スキャナ
81 複写装置

Claims (14)

  1. 光源と、
    前記光源から発した光を一方端部から取り込んで導光させる導光板と、
    前記導光板の主面に設けた複数個の偏向パターンからなり、前記導光板内を導光する光の一部を全反射させて前記導光板の一方の主面から出射させる第1の光反射手段と、
    前記導光板内の前記第1の光反射手段が設けられた領域を通過した光を、前記第1の光反射手段で全反射された光と同じ主面側へ向けて反射させる第2の光反射手段とを備え、
    前記第1の光反射手段で全反射され前記導光板の主面から出射された光が、当該主面に垂直な方向から前記第2の光反射手段側へ傾いた方向に向けて出射され、
    前記第2の光反射手段で反射された光が、前記導光板の主面に垂直な方向から前記第1の光反射手段側へ傾いた方向に向けて出射されるように構成された光照射装置。
  2. 前記第2の光反射手段は、前記導光板の他方端部に位置する端面に対向させて斜めに配置されたミラーであることを特徴とする、請求項1に記載の光照射装置。
  3. 前記第2の光反射手段は、前記導光板の他方端部に位置する端面に対向させて当該端面と平行に配置されたミラーと、前記導光板の主面に設けられていて前記ミラーで反射して前記導光板内へ戻った光を全反射させて前記導光板の主面から出射させる複数個の反射用パターンとからなることを特徴とする、請求項1に記載の光照射装置。
  4. 前記反射用パターンにおいて前記ミラーで反射して戻ってきた光を全反射させるための傾斜面の傾斜角が40°以下であることを特徴とする、請求項3に記載の光照射装置。
  5. 前記導光板の厚みをt、前記導光板の屈折率をn、前記導光板の他方端部に位置する端面から前記ミラーの上下両端へ延ばした両線分どうしのなす角度を2φとしたとき、
    前記導光板において前記偏向パターンを形成された領域の、前記導光板端面に垂直な方向に沿った長さPが、
    P≧3t/(2tanγ)
    ただし、γ=arcsin(sinφ/n)
    という条件を満たしていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の光照射装置。
  6. 前記第2の光反射手段は、前記導光板の主面に設けられていて前記導光板内の光を全反射させて前記導光板の主面から出射させる複数個の反射用パターンからなることを特徴とする、請求項1に記載の光照射装置。
  7. 前記偏向パターンにおいて光を全反射させるための傾斜面の傾斜角が40°以下であり、前記反射用パターンにおいて光を全反射させるための傾斜面の傾斜角が45°以上であることを特徴とする、請求項6に記載の光照射装置。
  8. 読取対象物に光を照射させるための、請求項1に記載の光照射装置と、
    前記読取対象物の像を読み取る撮像素子と、
    前記読取対象物で反射した反射光を前記撮像素子に結像させるための結像光学系とを備え、
    前記読取対象物により反射され前記第1の光反射手段と前記第2の光反射手段の間を通って前記撮像素子に入射する光が、前記第1の光反射手段と前記第2光反射手段との間で遮光されないように構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の画像読取装置。
  9. 前記導光板は、前記読取対象物と平行に配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の画像読取装置。
  10. 前記導光板と前記第2の光反射手段は、前記光路内に入り込まないように配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の画像読取装置。
  11. 前記導光板は、前記読取対象物により反射され前記撮像素子に入射する光の光路を横断するように配置され、
    前記導光板のうち前記光路が通過する領域は、透明かつ平滑に形成されていることを特徴とする、請求項8に記載の画像読取装置。
  12. 前記光照射装置は前記読取対象物と平行な方向に移動可能であり、前記結像光学系と前記撮像素子は固定されており、
    前記光照射装置が移動しても前記光照射装置と前記結像装置との間の光路長が一定となるように調整する光路調整装置を備えていることを特徴とする、請求項8に記載の画像読取装置。
  13. 請求項8に記載の画像読取装置と、
    前記画像読取装置により取得された画像を所定形式の画像データとして取り出す処理回路とを備えたスキャナ。
  14. 請求項8に記載の画像読取装置と、
    画像データに基づいて当該画像を印刷する印刷装置と、
    前記画像読取装置により取得された画像を所定形式の画像データとして取り出し、当該画像データに基づいて前記印刷装置により画像を複製させる処理回路とを備えた複写装置。
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