JP2012195469A - 超電導コイルおよびその製造方法 - Google Patents

超電導コイルおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】巻線部内の接続部での薄膜状超電導線材からなる超電導導体同士の半田での接続が確実に行なわれるようにする。
【解決手段】超電導導体が巻回された巻線部を備えるとともに巻線部内に超電導導体同士の接続部を設けてなる超電導コイルにおいて、接続部にて接続される第1および第2の超電導導体は、一面側が超電導層側,他面側が基板側とされる多層構造の薄膜状超電導線材からなり、第2の超電導導体の端末部は幅が端末に近づくほど狭くなるように形成され、第1の超電導導体の端末部の外周側に位置する超電導層側と第2の超電導導体の端末部の内周側に位置する超電導層側とが重ね合わせて半田で接合されてなる構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超電導変圧器や超電導回転機などの超電導機器に適用されるものであって、超電導導体が巻回された巻線部を備えるとともに巻線部内に超電導導体同士の接続部を設けた超電導コイルおよびその製造方法に関する。
(イ)変圧器やモータなどに超電導技術を適用することにより、小型軽量化、高効率化などを図ることができるメリットがあり、さまざまな研究,開発が盛んに行われている。従来は超電導機器を構成する上で液体ヘリウムを用いることが必須条件であったが、高温超電導体の発見により液体窒素温度近傍(77K)で超電導機器を構成することができるようになり、これによって冷却負荷の軽減や絶縁強度向上などが可能になり、超電導機器の優位性が従来よりも大きくなった。
(ロ)高温超電導体を用いた超電導線材としては、ビスマス系(Bi系)の超電導線材が製造できるようになっている。このビスマス系(Bi系)の超電導線材は、ビスマスを主体とする複合酸化物超電導材料(粉末)を銀パイプ(シース)に充填し、伸線、圧延、熱処理を繰り返しテープ状または丸線状に成形した超電導線材(シース線材)である。
(ハ)さらに磁界特性や臨界電流特性の優れた薄膜状超電導線材の開発が盛んに進められている。この薄膜状超電導線材の材料組成は希土類元素を含む複数の元素からなり、線材としての全体構造は、基板、中間層、超電導層および安定化金属層からなる多層構造となっている。この薄膜状超電導線材について、具体的には、例えば非特許文献1に、イットリウム系酸化物超電導線材として、金属テープ基板(ハステロイ,ステンレス等のテープ状金属基板)の片面にIBAD法で蒸着した中間層(YSZ等),PLD法で蒸着したキャップ層(CeO2)を介して酸化物超電導体層を成膜し、さらに超電導体の安定化金属層として酸化物超電導体層の表面に銀などの良導電性薄膜を積層した構造の線材が示されている。
(ニ)しかしながら、薄膜状超電導線材の開発は進んでいるものの、長手方向の臨界電流を均一に保ちながら長い線材を提供することには製造上の困難性を伴っており、100m級の線材を接続して超電導機器に適用することが多い。また、超電導機器によって必要とする線材の長さは異なるため、上記の特性上の理由に関わらず超電導線材の接続が必要になる。
(ホ)薄膜状超電導線材の接続方法としては、例えば次のような方法が提案されている。
(a)まず、2価の金属とInとからなる合金を用いた高温超電導線材の接合方法が特許文献1に示されている。特許文献1に記載の方法は、接続抵抗が小さく、かつ、接合工程がより簡単になるようにすることを目的としたものである。
(b)また、銀を添加した超電導層を形成し、その上に安定化銀層を形成させてなる薄膜状超電導線材を、安定化銀層を対向させて配置して半田を介して接続する方法が特許文献2に示されている。特許文献2に記載の方法は、接続作業の簡略化、安定性の向上、接続部の強度向上を目的としたものである。
(c)また、超電導層の結晶方位を一致させるように位置を調整させ、超電導体を接合部に用いた接続方法が特許文献3に示されている。そして、このような接合部に超電導体を配置する方法は特許文献4にも示されている。特許文献3および4に記載の方法は、超電導体で接続することにより接続抵抗を小さくすることを目的としたものである。
特開平2−252664号公報 特開2000−133067号公報 特開2005−63695号公報 特開平1−313370号公報
(イ)ところで、超電導線材の接続処理は、超電導線材の出荷前に行なうものと超電導線材の出荷後に行うものとに大別することができる。超電導線材の出荷前における接続処理であれば、超電導線製造装置やその他の成膜装置などを用いた方法が適用可能であり、特許文献3及び4などに示されている方法を採用することができる。
(ロ)一方、超電導線材の出荷後における超電導機器の巻線段階での接続処理の場合には、巻線途中で行なう都合上、超電導線製造装置のような大型の装置を配置して接続処理を行なうことは極めて困難であるので、実質的にこのような接続方法は採用できないことになる。従って、巻線途中で超電導線材同士を接続しようとした場合には、特許文献1または2に記載されているように、例えば半田合金などの比較的低温の加熱で溶融できる金属を用いて行うことになる。
(ハ)ここで問題となるのは、薄膜状超電導線材の機械的強度、すなわち曲げ強さである。上述のように、薄膜状超電導線材は基板を有し、その機械的強度としては基板の機械的強度が支配的である。基板の組成には数種類あるが、概ねステンレスに近い機械的強度を有するものであり、通常の導体である銅線に比べ硬く、曲げにくい性質を持っている。
(ニ)従って、超電導機器に用いられる、薄膜状超電導線材が巻回された巻線部を備えるとともに上記巻線部内に上記薄膜状超電導線材同士の接続部を設けてなる超電導コイルの製造工程において、薄膜状超電導線材に曲率を持たせて巻回している巻線途中において、例えば半田合金などの比較的低温の加熱で溶融できる金属を用いて薄膜状超電導線材同士を接合すると、接合部分(接続部)における薄膜状超電導線材は上記の曲率を持った曲線形状から元の直線的な形状に戻り易く、特に基板の元に戻ろうとする力が大きいことから、薄膜状超電導線材における基板上に形成された中間層と,中間層上に形成された超電導層との弱い結合部分での剥離が発生し易い、という問題が有った。
(ホ)図6は、従来の超電導コイルの巻線部内での超電導導体同士の接続部および接続方法の構成例を示す図であって、超電導コイルの製造工程において薄膜状超電導線材からなる超電導導体に曲率を持たせて巻回している巻線途中において半田を用いて超電導導体6a,6b同士を接合する接続部を示すものである。図6(a)は一方の超電導導体6bの断面構造を模式的に示す図であり、図6(b)は超電導導体6aと6bとの接続状態における断面構造を模式的に示す図であり、図6(c)は図6(b)におけるA0方向の矢視図である。
(ヘ)図6(b)は、円筒状の巻枠10に薄膜状超電導線材からなる超電導導体が巻回された巻線部を備えてなる超電導コイルの製造工程において、所定の曲率を持った巻枠10に超電導導体6aを巻回した後、超電導導体6aの巻き終わり側の端末部に超電導導体6bの巻き始め側の端末部を半田5での接合によって接続した状態を示している。図6(b)に示すように、超電導導体材6aと6bとの接続部では、超電導導体6aの巻き終わり側の端末部の外周側に位置する安定化金属層4と超電導導体6bの巻き始め側の端末部の内周側に位置する安定化金属層4とを対向させ、半田5により接合している。ここで、図6における超電導導体6a,6bとしては、いずれも、後述する図2の薄膜状超電導線材を用いている。
(ト)図6の接続方式では、その接合処理が加熱を伴う半田接合であることにより、図6(b)に示す超電導導体6aと6bとの接続状態において、超電導導体6bの巻き始め側の端末部の先端部分では、特に外周側に位置する,半田接合での加熱を受けた後の基板1がその元の形状に戻ろうとする機械的特性により白抜き矢印F0の方向(外周側に向う方向)に移動しようとする。一方、半田接合部は、白抜き矢印F0とは反対の方向(内周側に向かう方向)に超電導導体6bの安定化金属層4を引っ張るように作用する。このため、図6の接続方法では、超電導導体6bの巻き始め側の端末部の先端部分における基板1の元に戻ろうとする力(外周側に向う力)により、超電導導体6bにおける基板1上に形成された中間層2と,中間層2上に形成された超電導層3との弱い結合部分で剥離が発生することが問題となる。
(チ)また、超電導線材の出荷後における超電導機器の巻線段階での接続を、半田接合以外の例えば超音波接合や溶接などの加熱を伴う接合処理で行なう場合にも、半田接合の場合と同様な問題がある。
(リ)このため、本発明は、上記のような問題点を解決し、巻線部内の接続部での薄膜状超電導線材からなる超電導導体同士の加熱を伴う接合処理での接続が確実に行なわれるようにした超電導コイルおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によれば、超電導コイルとして、超電導導体が巻回された巻線部を備えるとともに前記巻線部内に前記超電導導体同士の接続部を設けてなる超電導コイルにおいて、前記接続部にて接続される第1および第2の超電導導体は、一面側が超電導層側,他面側が基板側とされる多層構造の薄膜状超電導線材からなり、前記第2の超電導導体の端末部は幅が端末に近づくほど狭くなるように形成され、前記第1の超電導導体の端末部の外周側に位置する超電導層側と前記第2の超電導導体の端末部の内周側に位置する超電導層側とが重ね合わせて加熱を伴う接合処理で接合されてなる構成とする(請求項1の発明)。
上記請求項1の発明によれば、一面側が超電導層側,他面側が基板側とされる多層構造の薄膜状超電導線材からなる第1および第2の超電導導体のうち、第2の超電導導体の端末部は幅が端末に近づくほど狭くなるように形成されていることにより、巻線部内の接続部における第2の超電導導体の基板の占める割合が端末に近づくほど低減し、これとともに機械的強度(曲げ強さ)も低減しているので、第2の超電導導体の端末部の先端部分における例えば半田接合などの接合処理での加熱を受けた基板の元に戻ろうとする力(外周側に向う力)が低減されており、第2の超電導導体における基板側と超電導層側との剥離を防止することができる。
これにより、上記請求項1の発明では、巻線部内の接続部における薄膜状超電導線材からなる超電導導体同士の加熱を伴う接合処理での接続が確実に行なわれるようにすることができ、信頼性の高い超電導コイルを実現することができるようになる。
さらに、第2の超電導線導体の端末部の幅が端末に近づくほど狭くなるようにするための具体的構成として、請求項1に記載の超電導コイルにおいて、前記第2の超電導導体の端末部は幅方向の一方側から他方側に向かって傾斜する端面を有するように形成されてなる構成とすることができる(請求項2の発明)。
また、本発明によれば、超電導コイルとして、超電導導体が巻回された巻線部を備えるとともに前記巻線部内に前記超電導導体同士の接続部を設けてなる超電導コイルにおいて、前記接続部にて接続される第1および第2の超電導導体は、一面側が超電導層側,他面側が基板側とされる多層構造の薄膜状超電導線材からなるとともに、前記薄膜状超電導線材からなる超電導接続片を介して前記第1の超電導導体と前記第2の超電導導体とが接続されてなり、前記超電導接続片の両側の端末部はそれぞれ幅が端末に近づくほど狭くなるように形成され、前記第1および第2の超電導導体の各端末部の外周側に位置する超電導層側と前記超電導接続片の各端末部の内周側に位置する超電導層側とがそれぞれ重ね合わせて加熱を伴う接合処理で接合されてなる構成としてもよい(請求項3の発明)。
上記請求項3の発明によれば、一面側が超電導層側,他面側が基板側とされる多層構造の薄膜状超電導線材からなる超電導接続片の両側の端末部はそれぞれ幅が端末に近づくほど狭くなるように形成されていることにより、接続部における超電導接続片の基板の占める割合が端末に近づくほど低減し、これとともに機械的強度(曲げ強さ)も低減しているので、超電導接続片の両側の端末部の先端部分における例えば半田接合などの接合処理での加熱を受けた基板の元に戻ろうとする力(外周側に向う力)が低減されており、超電導接続片における基板側と超電導層側との剥離を防止することができる。
これにより、上記請求項3の発明では、巻線部内の接続部における薄膜状超電導線材からなる超電導導体同士の加熱を伴う接合処理での接続が確実に行なわれるようにすることができ、信頼性の高い超電導コイルを実現することができるようになる。
また、さらに、上記請求項3の発明では、第1および第2の超電導導体の各端末部の外周側に位置する超電導層側と、超電導接続片の内周側に位置する超電導層側とが重ね合わせて例えば半田接合などの接合処理で接合されるようにしていることにより、接続部を挟んで連続して巻回される第1および第2の超電導導体を構成する多層構造の薄膜状超電導線材の積層順序を同じにすることができるので、第1および第2の超電導導体での超電導層の曲率を同じにすることができ、これにより、第1の超電導導体と第2の超電導導体とで臨界電流特性が変わることを防ぐことができる。
さらに、超電導線接続片の両側の端末部の幅がそれぞれ端末に近づくほど狭くなるようにするための具体的構成として、請求項3に記載の超電導コイルにおいて、前記超電導接続片の両側の端末部はそれぞれ幅方向の一方側から他方側に向かって傾斜する端面を有するように形成されてなる構成とすることができる(請求項4の発明)。
また、上記請求項1ないし4に記載の超電導コイルにおいて、前記接合処理は半田での接合処理である構成とすることができる(請求項5の発明)。
また、さらに、薄膜状超電導線材の具体的構成として、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の超電導コイルにおいて、前記薄膜状超電導線材は、金属からなるテープ状の基板,中間層,超電導層,良導電性金属からなる安定化金属層が積層されているとともに、安定化金属層を介して超電導層が位置する側を前記超電導層側としている構成とすることができる(請求項6の発明)。
また、さらに、薄膜状超電導線材の基板の具体的構成として、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の超電導コイルにおいて、前記薄膜状超電導線材の基板は、ハステロイまたはステンレスからなるテープ状の基板である構成とすることができる(請求項7の発明)。
また、さらに、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の超電導コイルにおいて、前記接続部が電気絶縁部材で覆われてなる構成とすることができる(請求項8の発明)。
上記請求項8の発明によれば、接続部を電気絶縁部材で覆うことにより、半田が巻線途中で露出することを防止でき、超電導コイルの巻線部に要求される電気絶縁性能を確保することができる。
次に、本発明によれば、超電導コイルの製造方法として、超電導導体が巻回された巻線部を備えるとともに前記巻線部内に前記超電導導体同士の接続部を設けてなる超電導コイルの製造方法であって、前記接続部にて接続される第1および第2の超電導導体がこの順に巻回されるものにおいて、前記第1および第2の超電導導体は、一面側が超電導層側,他面側が基板側とされる多層構造の薄膜状超電導線材からなるものとし、前記第2の超電導導体の端末部を幅が端末に近づくほど狭くなるように加工しておき、その後、前記第1の超電導導体の端末部の外周側に位置する超電導層側と前記第2の超電導導体の端末部の内周側に位置する超電導層側とを重ね合わせて加熱を伴う接合処理で接合する構成とする(請求項9の発明)。
上記請求項9の発明によれば、一面側が超電導層側,他面側が基板側とされる多層構造の薄膜状超電導線材からなる第1および第2の超電導導体のうち、第1の超電導導体に続けて巻回される第2の超電導線導体の端末部を幅が端末に近づくほど狭くなるように加工しておくことにより、巻線部内の接続部における第2の超電導導体の基板の占める割合が端末に近づくほど低減し、これとともに機械的強度(曲げ強さ)も低減するので、第2の超電導導体の端末部の先端部分における例えば半田接合などの接合処理での加熱を受けた基板の元に戻ろうとする力(外周側に向う力)を低減することができ、これにより、第2の超電導導体における基板側と超電導層側との剥離を防止することができる。
したがって、上記請求項9の発明では、巻線部内の接続部における薄膜状超電導線材からなる超電導導体同士の加熱を伴う接合処理での接続が確実に行なわれるようにすることができ、信頼性の高い超電導コイルを製造することができるようになる。
さらに、第2の超電導線導体の端末部の幅が端末に近づくほど狭くなるようにするための具体的構成として、請求項9に記載の超電導コイルの製造方法において、前記第2の超電導導体の端末部を幅方向の一方側から他方側に向かって傾斜する端面を有するように裁断加工しておく構成とすることができる(請求項10の発明)。
さらに、接合処理の前に行なう加工処理の構成として、請求項9または10に記載の超電導コイルの製造方法において、前記第1の超電導導体の端末部と前記第2の超電導導体の端末部との接合を行なう前に、前記第2の超電導導体を前記接続部の半径方向位置に対応する曲率に合わせて曲げておく構成とするとよい(請求項11の発明)。
第1の超電導導体と第2の超電導導体との接合処理の後に第2の超電導導体を接続部の半径方向位置に対応する曲率に合わせて曲げる加工を施す場合、この曲げの力によって、第2の超電導導体の端末部の先端部分では、第2の超電導導体の外周側に位置する基板に対して外周側に向う方向の力が作用するため、これが、第2の超電導導体における基板側と(第1の超電導導体と例えば半田接合などで接合されている)超電導層側との間で剥離を生じる要因となる。この点に関し、上記請求項11の発明によれば、第1の超電導導体と第2の超電導導体との接合処理の前に、第2の超電導導体を接続部の半径方向位置に対応する曲率に合わせて予め曲げておくことにより、接合処理の後では第2の超電導導体に対する曲げ加工が不要となるので、接合処理の後に第2の超電導導体を曲げる場合におけるような剥離の発生を防ぐことができる。
また、本発明によれば、超電導コイルの製造方法として、超電導導体が巻回された巻線部を備えるとともに前記巻線部内に前記超電導導体同士の接続部を設けてなる超電導コイルの製造方法であって、前記接続部にて接続される第1および第2の超電導導体がこの順に巻回されるものにおいて、前記第1および第2の超電導導体は、一面側が超電導層側,他面側が基板側とされる多層構造の薄膜状超電導線材からなるとともに、前記薄膜状超電導線材からなる超電導接続片を介して前記第1の超電導導体と前記第2の超電導導体とを接続してなるものとし、前記超電導接続片の両側の端末部をそれぞれ幅が端末に近づくほど狭くなるように加工しておき、その後、前記第1および第2の超電導導体の各端末部の外周側に位置する超電導層側と前記超電導接続片の各端末部の内周側に位置する超電導層側とをそれぞれ重ね合わせて加熱を伴う接合処理で接合する構成としてもよい(請求項12の発明)。
上記請求項12の発明によれば、一面側が超電導層側,他面側が基板側とされる多層構造の薄膜状超電導線材からなる超電導接続片の両側の端末部をそれぞれ幅が端末に近づくほど狭くなるように加工しておくことにより、接続部における超電導接続片の基板の占める割合が端末に近づくほど低減し、これとともに機械的強度(曲げ強さ)も低減するので、超電導接続片の両側の端末部の先端部分における例えば半田接合などの接合処理での加熱を受けた基板の元に戻ろうとする力(外周側に向う力)を低減することができ、これにより、超電導接続片における基板側と超電導層側との剥離を防止することができる。
したがって、上記請求項12の発明では、巻線部内の接続部における薄膜状超電導線材からなる超電導導体同士の加熱を伴う接合処理での接続が確実に行なわれるようにすることができ、信頼性の高い超電導コイルを製造することができるようになる。
また、さらに、上記請求項12の発明では、第1および第2の超電導導体の各端末部の外周側に位置する超電導層側と、超電導接続片の内周側に位置する超電導層側とを重ね合わせて例えば半田接合などの接合処理で接合するようにしていることにより、接続部を挟んで連続して巻回される第1および第2の超電導導体を構成する多層構造の薄膜状超電導線材の積層順序を同じにすることができるので、第1および第2の超電導導体での超電導層の曲率を同じにすることができ、これにより、第1の超電導導体と第2の超電導導体とで臨界電流特性が変わることを防ぐことができる。
さらに、超電導線接続片の両側の端末部の幅がそれぞれ端末に近づくほど狭くなるようにするための具体的構成として、請求項12に記載の超電導コイルの製造方法において、前記超電導接続片の両側の端末部をそれぞれ幅方向の一方側から他方側に向かって傾斜する端面を有するように裁断加工しておく構成とすることができる(請求項13の発明)。
さらに、接合処理の前に行なう加工処理の構成として、請求項12または13に記載の超電導コイルの製造方法において、前記第1および第2の超電導導体の各端末部と前記超電導接続片の各端末部との接合を行なう前に、前記超電導接続片を前記接続部の半径方向位置に対応する曲率に合わせて曲げておく構成とするとよい(請求項14の発明)。
第1および第2の超電導導体と超電導接続片との接合処理の後に超電導接続片を接続部の半径方向位置に対応する曲率に合わせて曲げる加工を施す場合、この曲げの力によって、超電導接続片の両側の端末部の先端部分では、超電導接続片の外周側に位置する基板に対して外周側に向う方向の力が作用するため、これが、超電導接続片における基板側と(第1または第2の超電導導体と例えば半田接合などで接合されている)超電導層側との間で剥離を生じる要因となる。この点に関し、上記請求項14の発明によれば、第1および第2の超電導導体と超電導接続片との接合処理の前に、超電導接続片を接続部の半径方向位置に対応する曲率に合わせて予め曲げておくことにより、接合処理の後では超電導接続片に対する曲げ加工が不要となるので、接合処理の後に超電導接続片を曲げる場合におけるような剥離の発生を防ぐことができる。
また、請求項9ないし14のいずれか1項に記載の超電導コイルの製造方法において、前記接合処理は半田での接合処理である構成とすることができる(請求項15の発明)。
また、さらに、薄膜状超電導線材の基板の具体的構成として、請求項9ないし15のいずれか1項に記載の超電導コイルの製造方法において、前記薄膜状超電導線材は、金属からなるテープ状の基板,中間層,超電導層,良導電性金属からなる安定化金属層が積層されているとともに、安定化金属層を介して超電導層が位置する側を前記超電導層側としている構成とすることができる(請求項16の発明)。
また、さらに、薄膜状超電導線材の基板の具体的構成として、請求項9ないし16のいずれか1項に記載の超電導コイルの製造方法において、前記薄膜状超電導線材の基板は、ハステロイまたはステンレスからなるテープ状の基板である構成とすることができる(請求項17の発明)。
また、さらに、請求項9ないし17のいずれか1項に記載の超電導コイルの製造方法において、前記接続部を電気絶縁部材で覆うようにしてなる構成とすることができる(請求項18の発明)。
上記請求項18の発明によれば、接続部を電気絶縁部材で覆うことにより、半田が巻線途中で露出することを防止でき、超電導コイルの巻線部に要求される電気絶縁性能を確保することができる。
本発明によれば、超電導コイルの巻線部内の接続部での薄膜状超電導線材からなる超電導導体同士の例えば半田接合などの接合処理での接続が確実に行なわれるようにすることができる。
本発明の実施例1による超電導コイルの巻線部内での超電導導体同士の接続部および接続方法の構成例を示す図である。 本発明で用いる薄膜状超電導線材の構造例を模式的に示す図である。 本発明の実施例2による超電導コイルの巻線部内での超電導導体同士の接続部および接続方法の構成例を示す図である。 本発明の実施例3による超電導コイルの巻線部内での超電導導体同士の接続部および接続方法の構成例を示す図である。 本発明の実施例1〜3の適用対象となる超電導コイルの構成例を示す図である。 従来の超電導コイルの巻線部内での超電導導体同士の接続部および接続方法の構成例を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図1〜図5に示す実施例に基づいて説明する。同一の構成要素については、同一の符号を付け、重複する説明は省略する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができるものである。
[本発明の実施形態]
(薄膜状超電導線材の構成)
(イ)図2に本発明で用いる薄膜状超電導線材の構造例を模式的に示す。図2(a)および図2(b)は、それぞれ薄膜状超電導線材の模式断面図および斜視図である。図2の薄膜状超電導線材は、金属からなるテープ状の基板1,中間層2,超電導層3,良導電性金属からなる安定化金属層4が積層された積層構造となっており、この積層構造は、例えば上述の非特許文献1に示されている薄膜状超電導線材に対応している。なお、以下では、安定化金属層4を介して超電導層3が位置する側を「超電導層側」とも称する。また、図2は薄膜状超電導線材の積層構造を模式的に示すものであって、各層の厚さの割合として実際には基板1が大半を占める。この点は後述の図1、図3、図4においても同様である。
(ロ)中間層2は複数層で構成されるものもあるが、本発明は中間層2の組成や層構造には直接的に関係しないため、これを包括して1つの層として図示している。中間層2と超電導体層3との結合は分子間吸引力を主体としているため、この部分で剥離しやすい。
(ハ)図2の薄膜状超電導線材において、基板1としては通常ハステロイ,ステンレス等の比較的電気抵抗の高い金属材料が用いられる。このため、基板1側で電気的に接続することは効率的ではなく、安定化金属層4側で接続することが好適である。
(ニ)本発明で用いる薄膜状超電導線材としては、図2の構成例に限定されるものではなく、一面側が超電導体層側,他面側が基板側とされる多層構造の薄膜状超電導線材であって、超電導層側の面に半田での接続が可能な金属層を備えているものであれば、適用可能である。
(ホ)また、超電導導線材には、図2に示すような薄膜状超電導線材の両面に例えば銅線などの金属線を貼り付けて付加した構成の超電導線材もあるが、このような超電導線材を用いた超電導コイルにも本発明を適用することができる。
(超電導コイルの巻線部内での超電導導体同士の接続部および接続方法の構成例)
本発明による超電導コイルおよびその製造方法に適用される、巻線部内での超電導導体同士の接続部および接続方法の構成例について以下に説明する。
(イ)図1に、本発明の実施例1による超電導コイルの巻線部内での超電導導体同士の接続部および接続方法の構成例を示す。図1(a)および図1(b)は、それぞれ、一方の超電導導体6bAの曲げ加工前および曲げ加工後の断面構造を模式的に示す図である。また、図1(c)は超電導導体6aと6bAとの接続状態における断面構造を模式的に示す図であり、図1(d)は図1(c)におけるA1方向の矢視図である。
(ロ)図1(c)は、円筒状の巻枠10に薄膜状超電導線材からなる超電導導体が巻回された巻線部を備えてなる超電導コイルの製造工程において、所定の曲率を持った巻枠10に超電導導体6aを巻回した後、超電導導体6aの巻き終わり側の端末部に超電導導体6bAの巻き始め側の端末部を半田5での接合によって接続した状態を示している。図1(c)に示すように、超電導導体6aと6bAとの接続部では、超電導導体6aの巻き終わり側の端末部の外周側に位置する安定化金属層4と超電導導体6bAの巻き始め側の端末部の内周側に位置する安定化金属層4とを対向させ、半田5により接合している。ここで、図1における超電導導体6a,6bAとしては、いずれも、図2の薄膜状超電導線材を用いている。また、半田5の材料としては、例えばPbSn系の銀入り半田であれば一般的なものが使用可能である。
(ハ)本発明の実施例1では、超電導導体6aと6bAとの接合処理の前に、超電導導体6bAに次のような裁断加工および曲げ加工を予め施しておく。すなわち、図1(a)に示す積層構造の超電導導体6bAの巻き始め側の端末部を、超電導導体6bAの幅方向の一方側から他方側に向かって傾斜する端面を有するように裁断しておく。この裁断加工された端面の形状は図1(d)に示されている。また、超電導導体6bAの巻き始め側の端末部は、図1(b)に示すように、超電導導体6aとの接続部の半径方向位置に対応する曲率、すなわち巻枠10に沿って巻回される巻線導体としての曲率に合わせて曲げておく。なお、上記の曲げ加工は、少なくとも超電導導体6bAの巻き始め側の端末部における接続部に対応する領域S1に施しておくことが好ましく、さらには領域S1より反端末側の領域も曲げておくようにすることがより好ましい。
(ニ)そして、上記(ハ)項のように予め裁断加工および曲げ加工を施しておいた超電導導体6bAの巻き始め側の端末部の内周側に位置する安定化金属層4を、図1(c)に示すように、超電導導体6aの巻き終わり側の端末部の外周側に位置する安定化金属層4と対向させ、半田5により接合する。
(ホ)なお、超電導導体6aは、その巻き終わり側の端末部も含めて、超電導導体6bAの巻き始め側の端末部との接合処理の前に、その半径方向位置に対応する曲率、すなわち巻枠10に沿って巻回される巻線導体としての曲率に合わせて曲げておく。また、超電導導体6aの巻き終わり側の端末部は、図1(d)において破線で示すように、超電導導体6aの幅方向に沿って長手方向に直交する方向に切断された状態としておく。
(ヘ)本発明の実施例1では、その接合処理が加熱を伴う半田接合であることにより、図1(c)に示す超電導導体6aと6bAとの接続状態において、超電導導体6bAの巻き始め側の端末部の先端部分では、特に外周側に位置する,半田接合での加熱を受けた後の基板1がその元の形状に戻ろうとする機械的特性により白抜き矢印F1の方向(外周側に向う方向)に移動しようとする。そして、接合部が曲率を有していることにより、基板1が元の形状に戻ろうとする力は超電導導体6bAの巻き始め側の端末部における最先端に近い部分ほど大きくなる。この点に関し、本発明の実施例1では、上述のように、超電導導体6bAの巻き始め側の端末部は、超電導導体6bAの幅方向の一方側から他方側に向かって傾斜する端面を有するように予め裁断加工してあることにより、接続部における基板1の占める割合が端末(最先端)に近づくほど低減し、これとともに機械的強度(曲げ強さ)も低減するように構成されている。このため、本発明の実施例1では、図1(c)に示すような曲率を持った巻線途中の接続部においても、超電導導体6bAの巻き始め側の端末部の先端部分における基板1の元に戻ろうとする力(外周側に向う力)を低減することができるので、超電導導体6bAにおける基板1上に形成された中間層2と,中間層2上に形成された超電導層3との剥離を防止することができる。
(ト)また、超電導導体6aと超電導導体6bAとの接合処理の後に超電導導体6bAを接続部の半径方向位置に対応する曲率に合わせて曲げる加工を施す場合、この曲げの力によって、超電導導体6bAの端末部の先端部分では、超電導導体6bAの外周側に位置する基板1に対して外周側に向う方向(図1(c)における白抜き矢印F1の方向)の力が作用するため、これが、超電導導体6bAにおける基板1上に形成された中間層2と,中間層2上に形成された超電導層3との間で剥離を生じる要因となる。この点に関し、本発明の実施例1では、超電導導体6aと超電導導体6bAとの接合処理の前に、超電導導体6bAを接続部の半径方向位置に対応する曲率に合わせて予め曲げておくことにより、接合処理の後では超電導導体6bAを曲げることが不要となるので、接合処理の後に超電導導体6bAを曲げる場合におけるような剥離の発生を防ぐことができる。
(チ)なお、図1(d)は超電導導体6bAの巻き始め側の端末部の形状の一例を示すものであるが、超電導導体6bAの幅が端末に近づくほど狭くなるような形状であれば同様の機能を奏することができるため、上記端末部の形状は図1(d)の形状に限定されるものではない。また、超電導導体6bAの巻き始め側の端末部の先端部分における基板1の元に戻ろうとする力(外周側に向う力)が低減する効果を十分に発揮させる上では、超電導導体6bAの幅寸法にも関係するが、超電導導体6bAの巻き始め側の端末部における裁断部分の長手方向の長さL1を10mm以上とすることが好適である。
(イ)図3に、本発明の実施例2による超電導コイルの巻線部内での超電導導体同士の接続部および接続方法の構成例を示す。図3(a)および図3(b)は、それぞれ、超電導接続片7の曲げ加工前および曲げ加工後の断面構造を模式的に示す図である。また、図3(a)は超電導導体6aと6bとの接続状態における断面構造を模式的に示す図であり、図3(d)は図3(c)におけるA2方向の矢視図である。
(ロ)図3(c)は、円筒状の巻枠10に薄膜状超電導線材からなる超電導導体が巻回された巻線部を備えてなる超電導コイルの製造工程において、所定の曲率を持った巻枠10に超電導導体6aを巻回した後、超電導導体6aの巻き終わり側の端末部に超電導導体6bの巻き始め側の端末部を,超電導接続片7を介して,半田5での接合によって接続した状態を示している。図3(c)に示すように、超電導導体6aと6bとの接続部では、超電導導体6aの巻き終わり側の端末部の外周側に位置する安定化金属層4と超電導接続片7の一方側の端末部の内周側に位置する安定化金属層4とを対向させるとともに、超電導導体6bの巻き始め側の端末部の外周側に位置する安定化金属層4と超電導接続片7の他方側の端末部の内周側に位置する安定化金属層4とを対向させ、半田5により接合している。ここで、図3における超電導導体6a,6bとしては、いずれも、図2の薄膜状超電導線材を用いている。また、図3における超電導接続片7も、図2の薄膜状超電導線材を切断加工して形成したものであり、超電導導体6a,6bと同じ特性を持ったものとしている。また、超電導接続片7は、その長手方向の大部分が両側の端末部で占められており、その長手方向の全長が接続部に対応する領域S2となっている。また、半田5の材料としては、例えばPbSn系の銀入り半田であれば一般的なものが使用可能である。
(ハ)本発明の実施例2では、超電導接続片7と超電導導体6a,6bとの接合処理の前に、超電導接続片7に次のような裁断加工および曲げ加工を予め施しておく。すなわち、図3(a)に示す積層構造の超電導接続片7の両側の端末部を、超電導接続片7の幅方向の一方側から他方側に向かって傾斜する端面を有するように裁断しておく。この裁断加工された端面の形状は図3(d)に示されている。また、超電導接続片7は、図3(b)に示すように、超電導導体6a,6bの接続部の半径方向位置に対応する曲率、すなわち巻枠10に沿って巻回される巻線導体としての曲率に合わせて曲げておく。
(ニ)そして、上記(ハ)項のように予め裁断加工および曲げ加工を施しておいた超電導接続片7の各端末部の内周側に位置する安定化金属層4を、図3(c)に示すように、超電導導体6aの巻き終わり側の端末部の外周側に位置する安定化金属層4および超電導導体6bの巻き始め側の端末部の外周側に位置する安定化金属層4とそれぞれ対向させ、半田5により接合する。
(ホ)なお、超電導導体6aは、その巻き終わり側の端末部も含めて、超電導接続片7との接合処理の前に、その半径方向位置に対応する曲率、すなわち巻枠10に沿って巻回される巻線導体としての曲率に合わせて曲げておく。また、超電導導体6bの巻き始め側の端末部も、超電導接続片7との接合処理の前に、その半径方向位置に対応する曲率、すなわち巻枠10に沿って巻回される巻線導体としての曲率に合わせて曲げておく。また、さらに、超電導導体6aの巻き終わり側の端末部および超電導導体6bの巻き始め側の端末部は、いずれも、図3(d)において破線で示すように、超電導導体6a,6bの幅方向に沿って長手方向に直交する方向に切断された状態としておく。
(ヘ)本発明の実施例2では、その接合処理が加熱を伴う半田接合であることにより、図3(c)に示す超電導接続片7を介した超電導導体6aと6bとの接続状態において、超電導接続片7の両側の端末部の先端部分では、特に外周側に位置する,半田接合での加熱を受けた後の基板1がその元の形状に戻ろうとする機械的特性により白抜き矢印F2a,F2bの方向(外周側に向う方向)に移動しようとする。そして、接合部が曲率を有していることにより、基板1が元の形状に戻ろうとする力は超電導接続片7の両側の端末部における最先端に近い部分ほど大きくなる。この点に関し、本発明の実施例2では、上述のように、超電導接続片7の両側の端末部は、超電導接続片7の幅方向の一方側から他方側に向かって傾斜する端面を有するように予め裁断加工してあることにより、接続部における基板1の占める割合が端末(最先端)に近づくほど低減し、これとともに機械的強度(曲げ強さ)も低減するように構成されている。このため、本発明の実施例2では、実施例1と同様に、図3(c)に示すような曲率を持った巻線途中の接続部においても、超電導接続片7の両側の端末部の先端部分における基板1の元に戻ろうとする力(外周側に向う力)を低減することができるので、超電導接続片7における基板1上に形成された中間層2と,中間層2上に形成された超電導層3との剥離を防止することができる。
(ト)また、超電導接続片7と超電導導体6a,6bとの接合処理の後に超電導接続片7を接続部の半径方向位置に対応する曲率に合わせて曲げる加工を施す場合、この曲げの力によって、超電導接続片7の両側の端末部の先端部分では、超電導接続片7の外周側に位置する基板1に対して外周側に向う方向(図3(c)における白抜き矢印F2a,F2bの方向)の力が作用するため、これが、超電導接続片7における基板1上に形成された中間層2と,中間層2上に形成された超電導層3との間で剥離を生じる要因となる。この点に関し、本発明の実施例2では、超電導接続片7と超電導導体6a,6bとの接合処理の前に、超電導接続片7を接続部の半径方向位置に対応する曲率に合わせて予め曲げておくことにより、接合処理の後では超電導接続片7を曲げることが不要となるので、接合処理の後に超電導接続片7を曲げる場合におけるような剥離の発生を防ぐことができる。
(チ)なお、図3(d)は超電導接続片7の両側の端末部の形状の一例を示すものであるが、超電導接続片7の幅が端末に近づくほど狭くなるような形状であれば同様の機能を奏することができるため、上記端末部の形状は図3(d)の形状に限定されるものではない。また、超電導接続片7の両側の端末部の先端部分における基板1の元に戻ろうとする力(外周側に向う力)が低減する効果を十分に発揮させる上では、超電導接続片7の幅寸法にも関係するが、超電導接続片7の両側の端末部における裁断部分の長手方向の長さL2a,L2bをそれぞれ10mm以上とすることが好適である。
(リ)また、超電導導体6aと6bとを接続する場合、図1(c)に示したように各超電導導体の安定化金属層4同士を対向させるようにすると、接続部を挟んで各超電導導体における多層構造の薄膜状超電導線材としての積層順序が逆となる。そして、薄膜状超電導線材からなる超電導導体が超電導コイルの巻線部として巻回された状態では、積層順序によって超電導層3の曲率が変わることにより薄膜状超電導線材の臨界電流特性が変わるため、積層順序は変更しない方がより好ましい。この点に関し、本発明の実施例2では、図3(c)に示されるように、超電導導体6aと6bとは,各端末部の先端同士を,隙間を空けて突合せた状態とし、超電導導体6a,6bの各端末部の外周側に位置する安定化金属層4に、超電導接続片7の内周側に位置する安定化金属層4を外周側から対向させて半田5により接合するようにしている。このため、本発明の実施例2では、図3(c)に示されるように、超電導導体6aと6bとの多層構造の薄膜状超電導線材としての積層順序を同じにすることができるので、超電導導体6a,6bでの超電導層3の曲率を同じにすることができ、これにより、超電導導体6aと6bとで臨界電流特性が変わることを防ぐことができる。
(イ)図4に、本発明の実施例3による超電導コイルの巻線部内での超電導導体同士の接続部および接続方法の構成例を示す。図4(a)および図4(b)は、それぞれ、超電導接続片7Aの曲げ加工前および曲げ加工後の断面構造を模式的に示す図である。また、図4(a)は超電導導体6aBと6bBとの接続状態における断面構造を模式的に示す図であり、図4(d)は図4(c)におけるA3方向の矢視図である。
(ロ)図4(c)は、円筒状の巻枠10に薄膜状超電導線材からなる超電導導体が巻回された巻線部を備えてなる超電導コイルの製造工程において、所定の曲率を持った巻枠10に超電導導体6aBを巻回した後、超電導導体6aBの巻き終わり側の端末部に超電導導体6bBの巻き始め側の端末部を,超電導接続片7Aを介して,半田5での接合によって接続した状態を示している。図4(c)に示すように、超電導導体6aBと6bBとの接続部では、超電導導体6aBの巻き終わり側の端末部の外周側に位置する安定化金属層4と超電導接続片7Aの一方側の端末部の内周側に位置する安定化金属層4とを対向させるとともに、超電導導体6bBの巻き始め側の端末部の外周側に位置する安定化金属層4と超電導接続片7Aの他方側の端末部の内周側に位置する安定化金属層4とを対向させ、半田5により接合している。ここで、図4における超電導導体6aB,6bBとしては、いずれも、図2の薄膜状超電導線材を用いている。また、図4における超電導接続片7Aも、図2の薄膜状超電導線材を切断加工して形成したものであり、超電導導体6aB,6bBと同じ特性を持ったものとしている。また、超電導接続片7Aは、その長手方向の大部分が両側の端末部で占められており、その長手方向の全長が接続部に対応する領域S3となっている。また、半田5の材料としては、例えばPbSn系の銀入り半田であれば一般的なものが使用可能である。
(ハ)本発明の実施例3では、超電導接続片7Aと超電導導体6aB,6bBとの接合処理の前に、超電導接続片7Aに次のような裁断加工および曲げ加工を予め施しておく。すなわち、図4(a)に示す積層構造の超電導接続片7Aの両側の端末部を、超電導接続片7Aの幅方向の一方側から他方側に向かって傾斜する端面を有するように裁断しておく。この裁断加工された端面の形状は図4(d)に示されており、超電導接続片7Aの両側の端末部の端面の傾斜方向は互いに平行になるように構成されている。また、超電導接続片7Aは、図4(b)に示すように、超電導導体6aB,6bBの接続部の半径方向位置に対応する曲率、すなわち巻枠10に沿って巻回される巻線導体としての曲率に合わせて曲げておく。
(ニ)また、本発明の実施例3では、超電導接続片7Aと超電導導体6aB,6bBとの接合処理の前に、超電導導体6aB,6bBに次のような裁断加工および曲げ加工を予め施しておく。すなわち、超電導導体6aBの巻き終わり側および超電導導体6bBの巻き始め側の各端末部を、それぞれ超電導導体6aB,6bBの幅方向の一方側から他方側に向かって傾斜する端面を有するように裁断しておく。この裁断加工された端面の形状は図4(d)に示されており、超電導導体6aB,6bBの各端末部の端面の傾斜方向は互いに平行になるように構成され、さらに、超電導接続片7Aの両側の端末部の端面の傾斜方向とも平行になるように構成されている。このように、超電導導体6aBの端末部の端面の傾斜方向と超電導接続片7Aの超電導導体6aB側の端末部の端面の傾斜方向とが平行であるとともに、超電導導体6bBの端末部の端面の傾斜方向と超電導接続片7Aの超電導導体6bB側の端末部の端面の傾斜方向とが平行であるように構成されているので、超電導導体6aB,6bBと超電導接続片7Aとの各接合部において、接合面積の分布を超電導導体6aB,6bBの幅方向で均等とすることができる。
また、超電導導体6aBの巻き終わり側および超電導導体6bBの巻き始め側の各端末部は、超電導導体6aB,6bBの接続部の半径方向位置に対応する曲率、すなわち巻枠10に沿って巻回される巻線導体としての曲率に合わせて曲げておく。なお、上記の曲げ加工は、少なくとも超電導導体6aBの巻き終わり側および超電導導体6bBの巻き始め側の各端末部における接続部に対応する領域S3に施しておくことが好ましい。また、超電導導体6bBに対する曲げ加工として、領域S3より反端末側の領域も曲げておくようにすることがより好ましい。
(ホ)そして、上記(ニ)項のように予め裁断加工および曲げ加工を施しておいた超電導接続片7Aの各端末部の内周側に位置する安定化金属層4を、図4(c)に示すように、超電導導体6aBの巻き終わり側の端末部の外周側に位置する安定化金属層4および超電導導体6bBの巻き始め側の端末部の外周側に位置する安定化金属層4とそれぞれ対向させ、半田5により接合する。
(ヘ)本発明の実施例3では、その接合処理が加熱を伴う半田接合であることにより、図4(c)に示す超電導接続片7Aを介した超電導導体6aBと6bBとの接続状態において、超電導接続片7Aの両側の端末部の先端部分では、特に外周側に位置する,半田接合での加熱を受けた後の基板1がその元の形状に戻ろうとする機械的特性により白抜き矢印F3a,F3bの方向(外周側に向う方向)に移動しようとする。そして、接合部が曲率を有していることにより、基板1が元の形状に戻ろうとする力は超電導接続片7Aの両側の端末部における最先端に近い部分ほど大きくなる。この点に関し、本発明の実施例3では、上述のように、超電導接続片7Aの両側の端末部は、超電導接続片7Aの幅方向の一方側から他方側に向かって傾斜する端面を有するように予め裁断加工してあることにより、接続部における基板1の占める割合が端末(最先端)に近づくほど低減し、これとともに機械的強度(曲げ強さ)も低減するように構成されている。このため、本発明の実施例3では、実施例1〜2と同様に、図4(c)に示すような曲率を持った巻線途中の接続部においても、超電導接続片7Aの両側の端末部の先端部分における基板1の元に戻ろうとする力(外周側に向う力)を低減することができるので、超電導接続片7Aにおける基板1上に形成された中間層2と,中間層2上に形成された超電導層3との剥離を防止することができる。
(ト)また、超電導接続片7Aと超電導導体6aB,6bBとの接合処理の後に超電導接続片7Aを接続部の半径方向位置に対応する曲率に合わせて曲げる加工を施す場合、この曲げの力によって、超電導接続片7Aの両側の端末部の先端部分では、超電導接続片7Aの外周側に位置する基板1に対して外周側に向う方向(図4(c)における白抜き矢印F3a,F3bの方向)の力が作用するため、これが、超電導接続片7Aにおける基板1上に形成された中間層2と,中間層2上に形成された超電導層3との間で剥離を生じる要因となる。この点に関し、本発明の実施例3では、超電導接続片7Aと超電導導体6aB,6bBとの接合処理の前に、超電導接続片7Aを接続部の半径方向位置に対応する曲率に合わせて予め曲げておくことにより、接合処理の後では超電導接続片7Aに対する曲げ加工が不要となるので、接合処理の後に超電導接続片7Aを曲げる場合におけるような剥離の発生を防ぐことができる。
(チ)なお、図4(d)は超電導接続片7Aの両側の端末部の形状の一例を示すものであるが、超電導接続片7Aの幅が端末に近づくほど狭くなるような形状であれば同様の機能を奏することができるため、上記端末部の形状は図4(d)の形状に限定されるものではない。また、超電導接続片7Aの両側の端末部の先端部分における基板1の元に戻ろうとする力(外周側に向う力)が低減する効果を十分に発揮させる上では、超電導接続片7Aの幅寸法にも関係するが、超電導接続片7Aの両側の端末部における裁断部分の長手方向の長さL3a,L3bをそれぞれ10mm以上とすることが好適である。
(リ)また、超電導導体6aBと6bBとを接続する場合、図1(c)に示したように各超電導導体の安定化金属層4同士を対向させるようにすると、接続部を挟んで各電導導体における多層構造の薄膜状超電導線材としての積層順序が逆となる。そして、薄膜状超電導線材からなる超電導導体が超電導コイルの巻線部として巻回された状態では、積層順序によって超電導層3の曲率が変わることにより薄膜状超電導線材の臨界電流特性が変わるため、積層順序は変更しない方がより好ましい。この点に関し、本発明の実施例3では、図4(c)に示されるように、超電導導体6aBと6bBとは,各端末部の先端同士を,隙間を空けて突合せた状態とし、超電導導体6aB,6bBの各端末部の外周側に位置する安定化金属層4に、超電導接続片7Aの内周側に位置する安定化金属層4を外周側から対向させて半田5により接合するようにしている。このため、本発明の実施例3では、実施例2と同様に、図4(c)に示されるように、超電導導体6aBと6bBとの多層構造の薄膜状超電導線材としての積層順序を同じにすることができるので、超電導導体6aB,6bBでの超電導層3の曲率を同じにすることができ、これにより、超電導導体6aBと6bBとで臨界電流特性が変わることを防ぐことができる。
(接続部の電気絶縁処理)
本発明では、超電導導体同士を例えば半田などで接続するため、その接続部においては何らかの電気絶縁が必要となる。この点に関し、図示は省略するが、接続作業後に電気絶縁テープなどの可とう性の電気絶縁部材を用いて接続部を覆うことで電気絶縁を行うことができる。なお、電気絶縁テープとしては、極低温で使うことからポリイミドテープが特に好適である。
(接続部の接合処理)
上述の実施例1ないし実施例3では、接続部の接合処理として半田での接合処理を行なう構成例を示したが、本発明は、接続部の接合処理として例えば超音波接合や溶接などの加熱を伴う接合処理を行なう構成にも同様に適用することができる。
(超電導コイルの構成例)
上述の実施例1ないし実施例3に示した、巻線部内での超電導導体同士の接続部および接続方法は、例えば、図5に示すような構成の超電導コイルに適用することができる。図5は本発明の実施例1〜3の適用対象となる超電導コイルの構成例を示す図であって、図5(a)は超電導コイル11の側面図であり、図5(b)は、図5(a)における矢視X−X断面図である。図5において、絶縁物からなる円筒状の巻枠10の外周面に形成した螺旋状の溝に沿って超電導導体6が巻回されて超電導コイル11が構成されている。超電導導体6としては例えば図2の薄膜状超電導線材を用いることができ、超電導導体6の巻回途中に、実施例1ないし実施例3のいずれかに示した超電導導体同士の接続部を設けることができる。なお、本発明の適用対象となる超電導コイルの構成は図5の構成に限定されるものではない。
1・・・基板
2・・・中間層
3・・・超電導層
4・・・安定化金属層
5・・・半田
6,6a,6aB,6b,6bA,6bB・・・超電導導体
7,7A・・・超電導接続片
10・・・巻枠
11・・・超電導コイル
F0,F1,F2a,F2b,F3a,F3b・・・基板の元の形状に戻ろうとする方向
L0・・・接続部の長手方向長さ
L1,L2a,L2b,L3,L3a,L3b・・・切断部の長手方向長さ
S0,S1,S2,S3・・・接続部に対応する領域

Claims (18)

  1. 超電導導体が巻回された巻線部を備えるとともに前記巻線部内に前記超電導導体同士の接続部を設けてなる超電導コイルにおいて、
    前記接続部にて接続される第1および第2の超電導導体は、一面側が超電導層側,他面側が基板側とされる多層構造の薄膜状超電導線材からなり、
    前記第2の超電導導体の端末部は幅が端末に近づくほど狭くなるように形成され、
    前記第1の超電導導体の端末部の外周側に位置する超電導層側と前記第2の超電導導体の端末部の内周側に位置する超電導層側とが重ね合わせて加熱を伴う接合処理で接合されてなる
    ことを特徴とする超電導コイル。
  2. 請求項1に記載の超電導コイルにおいて、
    前記第2の超電導導体の端末部は幅方向の一方側から他方側に向かって傾斜する端面を有するように形成されてなる
    ことを特徴とする超電導コイル。
  3. 超電導導体が巻回された巻線部を備えるとともに前記巻線部内に前記超電導導体同士の接続部を設けてなる超電導コイルにおいて、
    前記接続部にて接続される第1および第2の超電導導体は、一面側が超電導層側,他面側が基板側とされる多層構造の薄膜状超電導線材からなるとともに、
    前記薄膜状超電導線材からなる超電導接続片を介して前記第1の超電導導体と前記第2の超電導導体とが接続されてなり、
    前記超電導接続片の両側の端末部はそれぞれ幅が端末に近づくほど狭くなるように形成され、
    前記第1および第2の超電導導体の各端末部の外周側に位置する超電導層側と前記超電導接続片の各端末部の内周側に位置する超電導層側とがそれぞれ重ね合わせて加熱を伴う接合処理で接合されてなる
    ことを特徴とする超電導コイル。
  4. 請求項3に記載の超電導コイルにおいて、
    前記超電導接続片の両側の端末部はそれぞれ幅方向の一方側から他方側に向かって傾斜する端面を有するように形成されてなる
    ことを特徴とする超電導コイル。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の超電導コイルにおいて、
    前記接合処理は半田での接合処理である
    ことを特徴とする超電導コイル。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の超電導コイルにおいて、
    前記薄膜状超電導線材は、金属からなるテープ状の基板,中間層,超電導層,良導電性金属からなる安定化金属層が積層されているとともに、安定化金属層を介して超電導層が位置する側を前記超電導層側としている
    ことを特徴とする超電導コイル。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の超電導コイルにおいて、
    前記薄膜状超電導線材の基板は、ハステロイまたはステンレスからなるテープ状の基板である
    ことを特徴とする超電導コイル。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の超電導コイルにおいて、
    前記接続部が電気絶縁部材で覆われてなる
    ことを特徴とする超電導コイル。
  9. 超電導導体が巻回された巻線部を備えるとともに前記巻線部内に前記超電導導体同士の接続部を設けてなる超電導コイルの製造方法であって、
    前記接続部にて接続される第1および第2の超電導導体がこの順に巻回されるものにおいて、
    前記第1および第2の超電導導体は、一面側が超電導層側,他面側が基板側とされる多層構造の薄膜状超電導線材からなるものとし、
    前記第2の超電導導体の端末部を幅が端末に近づくほど狭くなるように加工しておき、
    その後、前記第1の超電導導体の端末部の外周側に位置する超電導層側と前記第2の超電導導体の端末部の内周側に位置する超電導層側とを重ね合わせて加熱を伴う接合処理で接合する
    ことを特徴とする超電導コイルの製造方法。
  10. 請求項9に記載の超電導コイルの製造方法において、
    前記第2の超電導導体の端末部を幅方向の一方側から他方側に向かって傾斜する端面を有するように裁断加工しておく
    ことを特徴とする超電導コイルの製造方法。
  11. 請求項9または10に記載の超電導コイルの製造方法において、
    前記第1の超電導導体の端末部と前記第2の超電導導体の端末部との接合を行なう前に、
    前記第2の超電導導体を前記接続部の半径方向位置に対応する曲率に合わせて曲げておく
    ことを特徴とする超電導コイルの製造方法。
  12. 超電導導体が巻回された巻線部を備えるとともに前記巻線部内に前記超電導導体同士の接続部を設けてなる超電導コイルの製造方法であって、
    前記接続部にて接続される第1および第2の超電導導体がこの順に巻回されるものにおいて、
    前記第1および第2の超電導導体は、一面側が超電導層側,他面側が基板側とされる多層構造の薄膜状超電導線材からなるとともに、
    前記薄膜状超電導線材からなる超電導接続片を介して前記第1の超電導導体と前記第2の超電導導体とを接続してなるものとし、
    前記超電導接続片の両側の端末部をそれぞれ幅が端末に近づくほど狭くなるように加工しておき、
    その後、前記第1および第2の超電導導体の各端末部の外周側に位置する超電導層側と前記超電導接続片の各端末部の内周側に位置する超電導層側とをそれぞれ重ね合わせて加熱を伴う接合処理で接合する
    ことを特徴とする超電導コイルの製造方法。
  13. 請求項12に記載の超電導コイルの製造方法において、
    前記超電導接続片の両側の端末部をそれぞれ幅方向の一方側から他方側に向かって傾斜する端面を有するように裁断加工しておく
    ことを特徴とする超電導コイルの製造方法。
  14. 請求項12または13に記載の超電導コイルの製造方法において、
    前記第1および第2の超電導導体の各端末部と前記超電導接続片の各端末部との接合を行なう前に、
    前記超電導接続片を前記接続部の半径方向位置に対応する曲率に合わせて曲げておく
    ことを特徴とする超電導コイルの製造方法。
  15. 請求項9ないし14のいずれか1項に記載の超電導コイルにおいて、
    前記接合処理は半田での接合処理である
    ことを特徴とする超電導コイルの製造方法。
  16. 請求項9ないし15のいずれか1項に記載の超電導コイルの製造方法において、
    前記薄膜状超電導線材は、金属からなるテープ状の基板,中間層,超電導層,良導電性金属からなる安定化金属層が積層されているとともに、安定化金属層を介して超電導層が位置する側を前記超電導層側としている
    ことを特徴とする超電導コイルの製造方法。
  17. 請求項9ないし16のいずれか1項に記載の超電導コイルの製造方法において、
    前記薄膜状超電導線材の基板は、ハステロイまたはステンレスからなるテープ状の基板である
    ことを特徴とする超電導コイルの製造方法。
  18. 請求項9ないし17のいずれか1項に記載の超電導コイルの製造方法において、
    前記接続部を電気絶縁部材で覆うようにしてなる
    ことを特徴とする超電導コイルの製造方法。
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