JP2014130788A - 酸化物超電導線材の接続構造体及び超電導機器 - Google Patents

酸化物超電導線材の接続構造体及び超電導機器 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化物超電導線材の接続構造体の提供を目的とする。
【解決手段】テープ状の基材10に中間層11と酸化物超電導層12と安定化層14が積層されてなる酸化物超電導線材の接続構造体30であって、第1の酸化物超電導線材4、第2の酸化物超電導線材5及び第3の酸化物超電導線材6を有し、前記第1及び第2の酸化物超電導線材4、5が、その端部4a、5a同士を離間した状態で隣接して配置され、前記隣接された端部4a、5aを跨るように、前記第3の酸化物超電導線材6が橋渡しされ、前記第1及び第3の酸化物超電導線材4、6並びに前記第2及び第3の酸化物超電導線材5、6が導電性接合材22により接合され、離間して配置した前記第1及び第2の酸化物超電導線材4、5の端部4a、5a間の距離eが前記第3の酸化物超電導線材6の長さの0.4%以上90%未満であることを特徴とする酸化物超電導線材の接続構造体。
【選択図】図2

Description

本発明は、酸化物超電導線材の接続構造体及び超電導機器に関する。
近年Bi系超電導線材BiSrCaCu8+δ(Bi2212)、BiSrCaCu10+δ(Bi2223)やRE−123系超電導線材REBaCu7−x(RE123:REはYやGdなどを含む希土類元素)といった酸化物超電導線材の開発が進んでいる。これら酸化物超電導線材は、臨界温度が90〜110K程度であり、液体窒素温度以上で超電導性を示すため、実用上極めて有望な素材とされており、これを線材に加工して電力供給用の導体あるいは超電導コイル等として使用することが要望されている。
Bi系の超電導線材は、Bi系の超電導層をAgのシース材で被覆した状態となるようにPowder In Tube法(PIT法)などにより製造された構造となっている。一方、RE−123系超電導線材は、テープ状の金属基材上に中間層を介し成膜法により酸化物超電導層を積層し、さらに前記酸化物超電導層上に薄い銀の第1の安定化層を形成し、その上に銅などの良導電性金属材料からなる第2の安定化層を設けた構造が採用されている。
RE−123系の酸化物超電導線材を実用機器に応用するために、酸化物超電導線材を接続する技術が要望されている。例えば、特許文献1には、図17に示すように、基材202上に中間層203、酸化物超電導層204、安定化層205が積層された一対の酸化物超電導線材211、212の端部同士を合わせて配置し、更に接続用の酸化物超電導線材213を橋渡しして半田(図示略)で接合し、さらに接続板206によって補強した接続構造体200が開示されている。
特開2007−266149号公報
しかしながら、特許文献1に記載の接続構造体200においては、接続板206によって、接続部を補強することによって、接続部の機械的な強度の向上を望むことができるものの、接続構造体200に曲げが加わった際に、酸化物超電導層204が劣化する虞があった。
接続構造体200は、一対の酸化物超電導線材211、212の端部同士が合わせて配置されているので、一対の酸化物超電導線材211、212が内側となるような曲げが印加された際に端部同士が干渉し、干渉した部分の上方に位置する接合用の酸化物超電導線材213に突き上げるような応力が発生する。係る応力によって接合用の酸化物超電導線材213の酸化物超電導層204の結晶構造が損傷を受ける虞があり、曲げに対して弱い構造となっていた。
本発明は、以上のような実情に鑑みなされたものであり、曲げに対して強い酸化物超電導線材の接続構造体を提供することを目的とする。
テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と安定化層が積層されてなる酸化物超電導線材同士が接続された接続構造体であって、第1の酸化物超電導線材、第2の酸化物超電導線材及び第3の酸化物超電導線材を有し、前記第1及び第2の酸化物超電導線材が、基材に対して酸化物超電導層を形成した側を揃えて端部同士を離間した状態で隣接して配置され、前記隣接された端部を跨るように、前記第1及び第2の酸化物超電導線材の安定化層に前記第3の酸化物超電導線材の安定化層が橋渡しされ、前記第1及び第3の酸化物超電導線材の安定化層同士が導電性接合材により接合され、前記第2及び第3の酸化物超電導線材の安定化層同士が導電性接合材により接合され、離間して配置した前記第1及び第2の酸化物超電導線材の端部間の距離が前記第3の酸化物超電導線材の長さの0.4%以上90%未満であることを特徴とする。
本発明によれば、第1及び第2の酸化物超電導線材の端部同士を第3の酸化物超電導線材の長さの0.4%以上離間して配置されていることで、曲げ印加の際に端部同士が干渉し、干渉した部分の上方に位置する第3の酸化物超電導線材に突き上げるような応力が集中することを抑制することができる。また、第1及び第2の酸化物超電導線材の端部同士の距離が第3の酸化物超電導線材の長さの90%未満とされたことで、小型の加熱装置で、第1と第3の酸化物超電導線材を導電性接合材によって接合する領域と、第2と第3の酸化物超電導線材を導電性接合材によって接合する領域とを同時に加熱することができるため、生産性が良い。加えて、接続する一対の酸化物超電導線材が積層方向を揃えて配置されているため、接続部分で酸化物超電導線材の表裏の逆転がない。
また、本発明の酸化物超電導線材の接続構造体は、前記導電性接合材の厚さが、380μm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、導電性接合材の厚さを380μm以下とすることで、接続構造体に曲げを印加した場合であっても、十分な屈曲性を確保することが可能となり、曲げによって酸化物超電導層が損傷を受けることを抑制できる。
また、本発明の酸化物超電導線材の接続構造体は、積層方向に沿って前記第1及び第2の酸化物超電導線材が内側となり、前記第3の酸化物超電導線材が外側となるように半径5mm以上200mm以下に曲げられたことを特徴とする。
本発明によれば、曲げ半径5mm以上に曲げられることによって、酸化物超電導層が損傷を受けることを抑制できる。したがって、様々な超電導機器において、曲げ半径の制約を受けることなく接続構造体を使用することができる。
また、本発明の酸化物超電導線材の接続構造体は、積層方向に沿って前記第1及び第2の酸化物超電導線材が外側となり、前記第3の酸化物超電導線材が内側となるように半径12mm以上200mm以下に曲げられたことを特徴とする。
本発明によれば、曲げ半径12mm以上に曲げられることによって、酸化物超電導層が損傷を受けることを抑制できる。したがって、様々な超電導機器において、曲げ半径の制約を受けることなく接続構造体を使用することができる。
本発明は、前記第1の酸化物超電導線材及び第2の酸化物超電導線材の基材より、前記第3の酸化物超電導線材の基材が薄く形成されたことを特徴とする。
第1、第2酸化物超電導線材の基材より薄い基材を有する第3の酸化物超電導線材をこれらの線材の接続用として用いるので、接続構造体としての全体厚を少なくできる。
本発明は、前記第1の酸化物超電導線材の端末と前記第2の酸化物超電導線材の端末と前記第3の酸化物超電導線材の端末が、個々に被覆部材により覆われたことを特徴とする。
第1、第2、第3の酸化物超電導線材の端末部分を封止部材で封止することにより、外部からの水分浸入のおそれがより少ない接続構造体を提供できる。このため、接続構造体を含む酸化物超電導線材を長期間使用しても、水分劣化のおそれがない超電導線材を提供できる。
本発明の超電導機器は、前記酸化物超電導線材の接続構造体を有することを特徴とする。
前記接続構造体により接続された酸化物超電導線材を超電導機器に用いることで、機械的負荷に対する超電導機器の保護性能を向上させることが可能となるため、従来よりも高い信頼性を有する超電導機器を実現することが可能となる。
本発明によれば、第1及び第2の酸化物超電導線材の端部同士を1mm以上離間して配置させていることで、曲げ印加の際に端部同士が干渉することがなく、干渉した部分の上方に位置する第3の酸化物超電導線材に突き上げるような応力が集中することを抑制できる。また、第1及び第2の酸化物超電導線材の端部同士の距離が190mm以下とされたことで、小型の加熱装置で、第1と第3の酸化物超電導線材を導電性接合材によって接合する領域と、第2と第3の酸化物超電導線材を導電性接合材によって接合する領域とを同時に加熱することができるため、生産性が良い。加えて、接続する一対の酸化物超電導線材が積層方向を揃えて配置されているため、接続部分で酸化物超電導線材の表裏の逆転がない。
本発明に係る酸化物超電導線材及びその端部を示す模式図である。 本発明に係る接続構造体を示す断面模式図である。 超電導ケーブルの一例を示す部分断面略図である。 超電導限流器の一例を示す断面図である。 超電導モータの一例を示し、図5(a)は、全体構成を示す部分断面図、図5(b)は、各構成部品の位置関係を示す模式図である。 超電導コイルの一例を示し、図6(a)は、超電導コイルの積層体を示す斜視図、図6(b)は、超電導コイル単体を示す斜視図である。 実施例及び比較例の曲げ試験の結果を示すグラフである。 実施例及び比較例の曲げ試験の結果を示すグラフである。 実施例及び比較例の曲げ試験の結果を示すグラフである。 実施例及び比較例の曲げ試験の結果を示すグラフである。 酸化物超電導線材の端部同士の距離と劣化率の結果の関係を示すグラフである。 導電性接合材の長さと抵抗値の関係を示すグラフである。 曲げ試験の方法を示す図であり、図13(a)は、第3の酸化物超電導線材を外側に配置して曲げた様子を表す模式図であり、図13(b)は、第3の酸化物超電導線材を内側に配置して曲げた様子を表す模式図である。 図14(a)は本発明に係る酸化物超電導線材及びその端部を示す模式図であり、図14(b)は同酸化物超電導線材の端部封止構造の第一の例を示す模式図であり、図14(c)は同酸化物超電導線材の端部封止構造の第二の例を示す模式図である。 本発明に係る接続構造体の第2実施形態を示す模式図であり、図15(a)は正面模式図、図15(b)は断面模式図である。 実施例において製造した試料と比較例試料についてプレッシャークッカー試験の結果を示す図である。 従来例としての酸化物超電導線材の接続構造体を示す。
以下、本発明に係る酸化物超電導線材の一実施形態について図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(酸化物超電導線材)
図1は、本発明に係る酸化物超電導線材1の端部1aを示す模式図である。図1を基に、テープ状の酸化物超電導線材1の各構成要素に関して詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
酸化物超電導線材1は、テープ状の基材10に中間層11、酸化物超電導層12、第1の安定化層13、第2の安定化層14が積層された構造を有する。なお、本実施形態において、第2の安定化層14を構成する金属は、前記酸化物超電導線材1の外周を覆う金属層としての役割も果たす。
基材10は、通常の酸化物超電導線材の基材として使用し得るものであれば良く、可撓性を有する長尺のテープ状であることが好ましい。また、基材10に用いられる材料は、機械的強度が高く、耐熱性があり、線材に加工することが容易な金属を有しているものが好ましく、例えば、ステンレス鋼、ハステロイ等のニッケル合金等の各種耐熱性金属材料、もしくはこれら各種金属材料上にセラミックスを配した材料などが挙げられる。中でも、市販品であれば、ハステロイ(商品名、米国ヘインズ社製)が好適である。このハステロイの種類には、モリブデン、クロム、鉄、コバルト等の成分量が異なる、ハステロイB、C、G、N、W等が挙げられ、ここではいずれの種類も使用できる。また、基材10として、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金テープ基材等を適用することもできる。基材10の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、通常は10〜500μm、好ましくは20〜200μmである。
中間層11は、拡散防止層、ベッド層、配向層、及びキャップ層がこの順に積層された構造を適用することができる。
拡散防止層は、この層よりも上面に他の層を形成する際に加熱処理した結果、基材10や他の層が熱履歴を受ける場合に、基材10の構成元素の一部が拡散し、不純物として酸化物超電導層12側に混入することを抑制する機能を有する。拡散防止層の具体的な構造としては、上記機能を発現し得るものであれば特に限定されないが、不純物の混入を防止する効果が比較的高いAl、Si、又はGZO(GdZr)等から構成される単層構造あるいは複層構造が望ましい。
ベッド層は、基材10と酸化物超電導層12との界面における構成元素の反応を抑え、この層よりも上面に設ける層の配向性を向上させるために用いられる。ベッド層の具体的な構造としては、上記機能を発現し得るものであれば特に限定されないが、耐熱性が高いY、CeO、La、Dy、Er、Eu、Ho、などの希土類酸化物から構成される単層構造あるいは複層構造が望ましい。
配向層は、その上に形成されるキャップ層や酸化物超電導層12の結晶配向性を制御したり、基材10の構成元素が酸化物超電導層12へ拡散することを抑制したり、基材10と酸化物超電導層12との熱膨張率や格子定数といった物理的特性の差を緩和したりする機能等を有するものである。配向層の材料には、上記機能を発現し得るものであれば特に限定されないが、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)等の金属酸化物を用いると、後述するイオンビームアシスト蒸着法(以下、IBAD法と呼ぶことがある。)において、結晶配向性の高い層が得られ、キャップ層や酸化物超電導層12の結晶配向性をより良好なものとすることができるため、特に好適である。
キャップ層は、酸化物超電導層12の結晶配向性を配向層よりも強く制御したり、酸化物超電導層12を構成する元素の中間層11への拡散や、酸化物超電導層12の積層時に使用するガスと中間層11との反応を抑制したりする機能等を有するものである。キャップ層の材料には、上記機能を発現し得るものであれば特に限定されないが、CeO、LaMnO、Y、Al、Gd、ZrO、Ho、Nd、Zr等の金属酸化物が酸化物超電導層12との格子整合性の観点から好適である。そのなかでも、中間層11の配向度よりもさらに配向度の優れた層を得られることから、CeO、LaMnOが特に好適である。
ここで、キャップ層にCeOを用いる場合、キャップ層は、Ceの一部が他の金属原子又は金属イオンで置換されたCe−M−O系酸化物を含んでいても良い。
酸化物超電導層12は、超電導状態の時に電流を流す機能を有するものである。酸化物超電導層12に用いられる材料には、通常知られている組成の酸化物超電導体からなるものを広く適用することができ、例えば、RE−123系超電導体、Bi系超電導体などの銅酸化物超電導体などが挙げられる。RE−123系超電導体の組成は、例えば、REBaCu(7−x)(REはY、La、Nd、Sm、Er、Gd等の希土類元素、xは酸素欠損を表す。)が挙げられ、具体的には、Y123(YBaCu(7−x))、Gd123(GdBaCu(7−x))が挙げられる。Bi系超電導体の組成は、例えば、BiSrCan−1Cu4+2n+δ(nはCuOの層数、δは過剰酸素を表す。)が挙げられる。この銅酸化物超電導体は、母物質が絶縁体であるが、酸素を取り込むことで超電導体となり、超電導特性を示す性質を持っている。ここで、本発明に用いられる酸化物超電導層12の材料は、銅酸化物超電導体であり、以下、特に指定がなければ、酸化物超電導層12に用いる材料を銅酸化物超電導体とする。
第1の安定化層13は、事故時に発生する過電流をバイパスしたり、酸化物超電導層12とこの層よりも上面に設ける層との間で起こる化学反応を抑制し、一方の層の元素の一部が他方の層側に侵入して組成がくずれることにより起こる超電導特性が低下するのを防いだりするなどの機能を有するものである。また、酸化物超電導層12に酸素を取り込ませやすくするために、加熱時には酸素を透過しやすくさせる機能も有する。このため、第1の安定化層13には、少なくともAgを含む材料が用いられる。なお、本発明に用いられる第1の安定化層13の材料はAgであり、以下、特に指定がなければ、第1の安定化層13に用いる材料をAgとする。第1の安定化層13は、基材10と中間層11と酸化物超電導層12の積層物に対しその全周を覆うように形成しても良い。
第1の安定化層13上に積層された第2の安定化層14は、良導電性の金属材料からなり、酸化物超電導層12が何らかの原因で超電導状態から常電導状態に遷移しようとした時に、第1の安定化層13とともに、酸化物超電導層12の電流が転流するバイパスとして機能する。第1の安定化層13はその機能により第2の安定化層14の一部とみなすことができる。
第2の安定化層14を構成する金属材料としては、良導電性を有するものであればよく、特に限定されないが銅、黄銅(Cu−Zn合金)、Cu−Ni合金等の銅合金、ステンレス等の比較的安価な材質からなるものを用いることが好ましく、中でも高い導電性を有し、安価であることから銅製が好ましい。また、酸化物超電導線材1を超電導限流器に使用する場合、第2の安定化層14は、クエンチが起こり常電導状態に転移した時に発生する過電流を瞬時に抑制するために用いられる。この用途の場合、第2の安定化層14に用いられる材料は、例えば、Ni−Cr等のNi系合金等の高抵抗金属が挙げられる。
第2の安定化層14の厚さは特に限定されず、適宜調整可能であるが、10〜300μmとすることができる。
第2の安定化層14の形成方法は特に限定されないが、本実施形態においては、銅などの良導電性材料よりなる金属テープを半田などの導電性接合材(図示略)を介し第1の安定化層13上に貼り付けることで積層して形成される。また、第2の安定化層14は、基材10、中間層11、酸化物超電導層12、第1の安定化層13を積層した積層体15の全周を被覆する。
第1の安定化層13上に金属テープを貼り付ける際に用いる導電性接合材(図示略)として半田を使用する場合、半田は特に限定されるものではなく従来公知の半田を使用可能である。例えば、Sn、Sn−Ag系合金、Sn−Bi系合金、Sn−Cu系合金、Sn−Zn系合金などのSnを主成分とする合金よりなる鉛フリー半田、Pb−Sn系合金半田、共晶半田、低温半田などが挙げられ、これらの半田を一種又は二種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、融点が300℃以下の半田を用いることが好ましい。これにより、300℃以下の温度で金属テープと第1の安定化層13を半田付けすることが可能となるので、半田付けの熱によって酸化物超電導層12の特性が劣化することを抑止できる。
第2の安定化層14は、第1の安定化層13上に半田を介して貼り付けられるとともに、基材10、中間層11、酸化物超電導層12、第1の安定化層13を積層した積層体15のほぼ全周を覆い形成される。即ち、第2の安定化層14は、基材10において中間層11を形成していない側の裏面中央部を除いた積層体15の周面を横断面C字型をなすように覆っている。第2の安定化層14は、金属テープをロール等でフォーミングし積層体15の周囲に被着して金属層として構成することができる。第2の安定化層14により覆われていない基材10の裏面側の中央部は半田層16により覆われ、半田層16は第2の安定化層14の端縁同士が形成する凹部を埋めるように形成されている。
酸化物超電導線材1の外周が金属テープ等からなる金属層(第2の安定化層14)及び半田層16で覆われていることで、酸化物超電導線材1の側面からの水分の浸入を防ぎ、酸化物超電導層12の劣化を防ぐことができる。
また、上述したように金属テープをフォーミングし積層体15の周面を覆うように金属層を形成する他に、積層体15の外周全体にめっきを施すことにより被覆し、積層部15外周の金属層及び第2の安定化層14とを一体的に形成しても良い。この場合、めっき層の厚さは、10μm以上とすることで、ピンホールのないめっき層を形成することが可能となり、水分の浸入を確実に防ぐことができる。
ここでは上述したように、第2の安定化層14として金属テープ又はめっき層を形成する酸化物超電導線材1を例示した。しかしながら本発明の酸化物超電導線材はこれに限定されるものではなく、例えば第2の安定化層14を有さない、即ち第1の安定化層13のみによって、安定化層としての役割を果たす構成であっても良い。
(接続構造体)
以下、本発明に係る接続構造体の第1実施形態である第1及び第2の酸化物超電導線材2、3を接続した接続構造体30について図2に基づいて説明する。
なお、本実施形態の接続構造体30において接続される、第1及び第2の酸化物超電導線材2、3は、図1を基に説明した酸化物超電導線材1と同形態である。
図2に示すように、接続構造体30は、第1の酸化物超電導線材2及び第2の酸化物超電導線材3を接続する構造体である。
第1及び第2の酸化物超電導線材4、5は、基材10に対して酸化物超電導層12を形成した側を揃えて、接続しようとする端部4a、5a同士に距離eの間隙を設けて隣接して配置されている。また、第3の酸化物超電導線材6は、前記隣接された端部4a、5aを跨るように、第1及び第2の酸化物超電導線材4、5の安定化層14に前記第3の酸化物超電導線材6の安定化層14が橋渡しされている。さらに、第1及び第3の酸化物超電導線材4、6の安定化層14同士が導電性接合材22により接合され、前記第2及び第3の酸化物超電導線材5,6の安定化層14同士が導電性接合材22により接合されている。
接続構造体30を形成する手順について説明する。まず、第1及び第2の酸化物超電導線材4、5を、接続しようとする端部4a、5a同士を距離eだけ離間して隣接させる。
このとき、第1及び第2の酸化物超電導線材4、5は、基材10、10に対して酸化物超電導層12、12を形成した側を揃えて配置する。
次に、隣接された第1及び第2の酸化物超電導線材4、5の端部4a、5aに跨るように、第3の酸化物超電導線材6を橋渡しする。第1及び第2の酸化物超電導線材4、5に対して第3の酸化物超電導線材6は、基材10に対して酸化物超電導層12が積層される側を対向させて重ね合わせる。さらに、導電性接合材22によって第1の酸化物超電導線材4と第3の酸化物超電導線材6の重ね合わせ部並びに第2の酸化物超電導線材5と第3の酸化物超電導線材6の重ね合わせ部を接合することによって接続構造体30を構成する。
上述したように、第1及び第2の酸化物超電導線材2、3を接合する導電性接合材22として半田を使用することができる。導電性接合材22としての半田は、第1の安定化層13上に金属テープを貼り付ける際に用いる半田と同じものを使用することができる。
導電性接合材22によって接合される領域の長手方向の長さH22を大きくすることで、第1の酸化物超電導線材2から第2の酸化物超電導線材3、あるいは第2の酸化物超電導線材3から第1の酸化物超電導線材2への電流経路において、電流方向に対する導電性接合材22の断面積を大きくすることができ、全体として接続構造体30の接続部分における抵抗値を抑制することができる。したがって、導電性接合材22によって接合される領域の長手方向の長さH22は、長いほうが接続部分の電気抵抗の観点において好ましく、具体的には、10mm以上であることが望ましい。しかしながら、長さH22が120mmを超える場合は、接続部分が長くなりすぎて、接続構造体30の屈曲性が悪くなる。
加えて、接続時の導電性接合材22の溶融において、第1と第3の酸化物超電導線材4、6を導電性接合材22によって接合する領域と、第2と第3の酸化物超電導線材5、6を導電性接合材22によって接合する領域とが大きくなるため、同時に加熱するためには、加熱装置が大きくなり、現実的ではない。したがって長さH22は、10mm以上120mm以下が望ましい。
第1及び第2の酸化物超電導線材4、5の接続しようとする端部4a、5a同士の距離eは、1mm以上であることが望ましい。第1及び第2の酸化物超電導線材4、5を1mm以上離間して配置することで、接続構造体33に、第3の酸化物超電導線材6が外側となるような曲げ(図2において、中心部が最上点となるような逆U字状の曲げ)を印加した場合、第1及び第2の酸化物超電導線材4、5の端部4a、5a同士が干渉し、干渉した部分の上方に位置する第3の酸化物超電導線材6に突き上げるような応力が集中することを抑制することができる。
また、端部4a、5a同士の距離eが、190mmを超える場合においては、接続時の導電性接合材22の溶融において、第1と第3の酸化物超電導線材4、6を導電性接合材22によって接合する領域と、第2と第3の酸化物超電導線材5、6を導電性接合材22によって接合する領域とが、190mmを超えることとなり、同時に加熱するためには、全長が200mmを超える大型の加熱装置が必要となる。したがって、前記2カ所の導電性接合材22によって接合する領域を同時に接合するためには装置が大型化しコストが高くなるため現実的ではない。前記2カ所の導電性接合材22によって接合する領域を別々に接続する場合においては、加熱し導電性接合材22を溶融し、冷却し凝固させる工程を2回行う必要があり、生産性が悪い。
したがって、端部4a、5a同士の距離eは、1mm以上190mm未満であることが望ましい。
加えて、第1の酸化物超電導線材4と第3の酸化物超電導線材6は、基材10、10に対して酸化物超電導層12、12が積層される側同士を対向させて重ね合わせることが望ましい。また、第3の酸化物超電導線材6と第2の酸化物超電導線材5は、基材10、10に対して酸化物超電導層12、12が積層される側同士を対向させて重ね合わせることが望ましい。このように重ね合わせることで、接続部での電気抵抗が低い接続構造体33を構成することができる。加えて接続する第1の酸化物超電導線材4と第2の酸化物超電導線材5とが同方向に積層されて配置されているため、接続部分で第1及び第2の酸化物超電導線材4、5の表裏の逆転がなく、取扱いが容易となる。
(超電導ケーブル)
上述したように作製された接続構造体30によって接続された酸化物超電導線材1(即ち、酸化物超電導線材4、5)は、図3に部分断面略図の一例を示す超電導ケーブル80として使用することができる。超電導ケーブル80の中心にあるケーブルコア85は、金属製(例えば銅製)フォーマ81の周りに、複数列のテープ状の酸化物超電導線材1を、絶縁層82を挟んで2層にわたって螺旋状に巻きつけ、更に導電性のケーブル用安定化層83によって覆われて形成されている。このケーブルコア85は可撓性を有する金属製の二重断熱管84の中に収納されている。二重断熱管84は、内管84aと外管84cを有し、内管84aと外管84cの間には、真空断熱層84bが形成されており、外部からの熱の影響を排除する構造となっている。
このような超電導ケーブル80に、上述した方法で接続した酸化物超電導線材1を用いる事によって、製造ラインの大きさに係らず、様々な長さの超電導ケーブル80を作製することができる。
また、複数本の超電導ケーブル80を接続する際に、その接続部において前記接続構造体30を採用し、酸化物超電導線材1を接続することができる。
(超電導限流器)
また、上述した第1又は第2実施形態の接続構造体30によって接続された酸化物超電導線材1を用いて図4に一例を示す超電導限流器99を作製することができる。
超電導限流器99において、接続構造体30によって接続された酸化物超電導線材1は、巻胴に複数層に渡って巻回され超電導限流器用モジュール90を構成し、当該超電導限流器用モジュール90として液体窒素98が充填された液体窒素容器95に格納されている。さらに液体窒素容器95は、外部との熱を遮断する真空容器96の内部に格納されている。
液体窒素容器95は、上部に、液体窒素充填部91と冷凍機93を有し、冷凍機93の下方には、熱アンカー92と熱板97が設けられている。
また、超電導限流器99は、超電導限流器用モジュール90に外部電源(図示略)を接続するための電流リード部94を有する。
以上のような、超電導限流器99の超電導限流器用モジュール90として使用する場合において、酸化物超電導線材1は、図1を基に説明したように第2の安定化層14にNi−Cr等の高抵抗金属を用いたものを使用する。
(超電導モータ)
図5(a)、(b)に、上述した接続構造体30によって接続された酸化物超電導線材1を用いて構成された超電導モータ130の一例を示す。超電導モータ130は、円筒状の密閉型の容器131の内部に、回転自在に軸支された軸型の回転子132を備え構成されている。
回転軸133の中央部周囲側に、軸周りに複数の超電導モータ用コイル135が取り付けられ、これら複数の超電導モータ用コイル135の周囲側に容器131の内壁側に支持された銅コイルからなる複数の常電導コイル136が配置されている。
超電導モータ用コイル135は、前記接続構造体30によって接続された酸化物超電導線材1を適当なスミRを有するレーストラック状のボビンに巻回して形成されている。
回転軸133の内部には冷却ガスを流入させるか流出させるための複数の配管が設けられ、外部に別途設けられている図示略の冷媒供給装置から容器131の内部に冷却ガスを導入し、冷却ガスにより超電導モータ用コイル135を臨界温度以下に冷却できるように構成されている。なお、超電導モータ用コイル135は臨界温度以下に冷却されるが、常電導コイル136は常温部として構成される。
図5(a)、(b)に示す超電導モータ130は、容器131の内部に冷却ガスを導入し、この冷却ガスにより超電導モータ用コイル135を臨界温度以下に冷却して使用する。常電導コイル136には別途図示略の電源から必要な電流を供給し、超電導モータ用コイル135にも別途図示略の電源から必要な電流を供給することで、両者のコイルが生成する磁場に起因した回転力により回転軸133を回転させて超電導モータ130として使用することができる。
(超電導コイル)
上述したように作製された接続構造体30によって接続された酸化物超電導線材1を巻回して、図6(b)に示すパンケーキ状超電導コイル101を構成することができる。また超電導コイル101を複数個積層し、それぞれの超電導コイル101同士を前記接続構造体30によって接続することにより、図6(a)に示す強力な磁力を発する超電導コイル積層体100を形成することができる。
以上に説明したように、上述した接続構造体30によって接続された酸化物超電導線材1は、様々な超電導機器に使用可能である。
ここで、超電導機器は、前記酸化物超電導線材1を有するものであれば特に限定されず、例えば、超電導ケーブル、超電導モータ、超電導変圧器、超電導限流器、超電導電力貯蔵装置などを例示できる。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(試料の作製)
幅5mm、厚さ0.1mmのテープ状のハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)製の基材上に、スパッタ法によりAl(拡散防止層;膜厚150nm)を成膜し、その上に、イオンビームスパッタ法によりY(ベッド層;膜厚20nm)を成膜した。次いで、このベッド層上に、イオンビームアシスト蒸着法(IBAD法)によりMgO(金属酸化物層;膜厚10nm)を形成し、その上にパルスレーザー蒸着法(PLD法)により0.5μm厚のCeO(キャップ層)を成膜した。次いでCeO層上にPLD法により2.0μm厚のGdBaCu7−δ(酸化物超電導層)を形成し、さらに酸化物超電導層上にスパッタ法により10μm厚のAg層(第1の安定化層)を形成し、Ag層の上に0.1mm厚のCuテープ(第2の安定化層)を横断面C字型をなすようにフォーミングし、積層体(基材と中間層と酸化物超電導層と第1の安定化層の積層体)の周面を覆い、半田によって被着した。これによって、図1に示す酸化物超電導線材1を複数作製した。この酸化物超電導線材1を以下の実施例及び比較例で共通して使用する。
(実施例1、2、3と比較例1、2)
上述した酸化物超電導線材を用いて、接続構造体30を有する実施例1、2、3並びに比較例1、2を作製した。以下に図2を基に実施例1、2、3の接続構造体30の作製方法を具体的に説明する。
まず、上述した酸化物超電導線材によって図2の接続構造体30における第1及び第2の酸化物超電導線材4、5並びに第3の酸化物超電導線材6を用意する。
次いで、第1、第2、第3の酸化物超電導線材4、5、6を図2に示すように配置した。このとき、第1及び第2の酸化物超電導線材4、5は、接続しようとする端部4a、5a同士の距離eを実施例1、3では1mm、実施例2では5mmだけ離間した。また、比較例1、2では、隙間を設けなかった。なお、第1と第3の酸化物超電導線材4、6並びに第2及び第3の酸化物超電導線材5、6は、それぞれ20mm重ねて配置した。
次いで、第1と第3の酸化物超電導線材4、6の前記20mmの重ね合わせ部全体の安定化層14同士を半田(導電性接合材22)により接合し、第2及び第3の酸化物超電導線材5、6の前記20mmの重ね合わせ部全体の安定化層14同士を実施例1、2並びに比較例1はIn半田(導電性接合材22)、実施例3並びに比較例2はSn半田(導電性接合材22)により接合した。
なお、実施例1、2、3並びに比較例1、2の試料は、複数個作成し以下の曲げ試験で用いる際に一度曲げたものは使用しない。
実施例1、2及び比較例1の接続構造体について曲げ半径50mmの曲げ試験を行った。曲げ試験は、図13(a)に示すように、各試料の接続構造体を積層方向に沿って第1及び第2の酸化物超電導線材4、5が内側となり、第3の酸化物超電導線材6が外側となるように半径50mmの巻胴Bの外周に沿って押し当てて曲げることにより行い、この曲げ試験の前後での臨界電流の比(劣化率)を測定した。結果を図7に示す。
図7を参照すると、実施例1、2では、臨界電流に顕著な劣化は見られないのに対して、比較例1では、大きく劣化している。これにより、図2に示す接続構造体30において、第3の酸化物超電導線材6が外側となるような曲げ方向(図13(a)参照)で半径50mmの曲げを行った場合、第1及び第2の酸化物超電導線材4、5の端部4a、5a同士の間に1mmまたは5mmの隙間を設けることによって、曲げによる劣化を抑制できることが確認された。したがって、隙間は1mm以上であれば曲げによる劣化が抑制できると考察される。
実施例3及び比較例2の接続構造体について曲げ半径70mmの曲げ試験を行った。曲げ試験は、第3の酸化物超電導線材6が外側となるような曲げ方向(図13(a)参照)、半径70mmで曲げ試験を行い、その前後での臨界電流の比(劣化率)を測定した。結果を図8に示す。
図8を参照すると、実施例1では、臨界電流に顕著な劣化は見られないのに対して、比較例1では、大きく劣化している。
これにより、図2に示す接続構造体30において、第3の酸化物超電導線材6が外側となるような曲げ方向(図13(a)参照)で半径70mmの曲げを行った場合、第1及び第2の酸化物超電導線材4、5の端部4a、5a同士の間に1mm以上の隙間を設けることによって、曲げによる劣化を抑制できることが確認された。
続いて、実施例2及び比較例1の接続構造体について半径70mm以上の様々な曲げ半径で曲げ試験を行った。曲げ試験は、第3の酸化物超電導線材6が外側となるような曲げ方向(図13(a)参照)において、様々な曲げ半径で曲げることにより行い、この曲げ試験の前後での臨界電流の比(劣化率)を測定した。結果を図9に示す。
図9を参照すると、実施例2では、臨界電流に顕著な劣化は見られないのに対して、比較例1では、曲げ半径70mmで大きく劣化している。5%以上の劣化が見られるものは実使用上問題があるため、比較例1は不適合であると言える。
これにより、図2に示す接続構造体30において、第3の酸化物超電導線材6が外側となるような曲げ方向(図13(a)参照)で半径70mm以上の曲げを行った場合、第1及び第2の酸化物超電導線材4、5の端部4a、5a同士の間に隙間を設けることによって、曲げによる劣化を抑制できることが確認された。
(実施例4と比較例1)
上述した、実施例1、2の製作手順において、接続しようとする端部4a、5a同士の距離eを50mmとして配置して接続し実施例4を作製した。
実施例4の曲げ試験は、第3の酸化物超電導線材6が外側となるような曲げ方向(図13(a)参照)と、その逆の曲げ方向である第3の酸化物超電導線材6が内側となるような曲げ方向(図13(b)参照)とにおいて、様々な曲げ半径で曲げ、その前後での臨界電流の比(劣化率)を測定した。また、比較例1においては、第3の酸化物超電導線材6が外側となるような曲げ方向(図13(a)参照)において、様々な曲げ半径で曲げ、その前後での臨界電流の比(劣化率)を測定した。結果を図10に示す。なお、図10において、図13(a)に示す方向の曲げを印加した場合を曲げ方向(a)、図13(b)に示す方向の曲げを印加した場合を曲げ方向(b)として、凡例に示した。
図10を参照すると、実施例4を第3の酸化物超電導線材6が外側となるような曲げ方向(図13(a)参照)で曲げた場合は、曲げ半径5cm以上の曲げで顕著な劣化が起こらなかった。また、実施例4を第3の酸化物超電導線材6が内側となるような曲げ方向(図13(b)参照)で曲げた場合は、曲げ半径12cm以上の曲げで顕著な劣化が起こらなかった。これに対して、比較例1は、曲げ半径20cm以下の曲げにおいて、完全に劣化していることがわかる。
これにより、図2に示す接続構造体30において、何れの曲げ方向においても、第1及び第2の酸化物超電導線材4、5の端部4a、5a同士の間に隙間を設けることによって、曲げによる劣化を抑制できることが確認された。
加えて、接続構造体30は、第3の酸化物超電導線材6が外側となるような曲げ方向(図13(a)参照)の曲げに対してより劣化が起こりにくいことが確認された。
次に、上述した実施例1、2の作製手順において、接続しようとする端部4a、5a同士の距離eを、0mm(即ち隙間なし)、1mm、5mm、190mmと様々変えて配置して接続した資料を複数作製し、第3の酸化物超電導線材6が外側となるような曲げ方向(図13(a)参照)において、曲げ半径50mmの曲げ試験を行い、その前後での臨界電流の比(劣化率)を測定した。結果を図11に示す。
図11を参照すると、端部4a、5a同士の距離eは、1mm以上であれば超電導特性の劣化の抑制について効果を発揮することが確認された。
図12に、接続構造体30の導電性接合材22として半田を用いた場合の、半田(導電性接合材22)によって接合される領域の長手方向の長さH22と当該領域の液体窒素中での接続抵抗の大きさの関係を示す。
図12に示すように、長さH22=5mmの場合において、抵抗値は310nΩであり、長さH22=10mmの場合において、抵抗値は154nΩとなっている。接続抵抗は接続部での発熱のことを考慮して300nΩ以下が望ましい。したがって、半田(導電性接合材22)によって接合される領域の長手方向の長さH22は片側あたり10mm以上が望ましい。
「第2実施形態」
図14は第2実施形態の接続構造体に用いる酸化物超電導線材の基本構造を示すもので、図14(a)に示すように、酸化物超電導線材20において、テープ状の基材10の一面(表面)上に、中間層11、酸化物超電導層12、第1の安定化層13を積層して超電導積層体15が形成され、この超電導積層体15の外周を第2の安定化層14で覆って酸化物超電導線材20が構成されている点においては、図1に示す酸化物超電導線材1と同等構造である。また、第1の安定化層13が積層物の全周を覆っても良い点についても先の実施形態の酸化物超電導線材1の構造と同様である。
図14(a)は酸化物超電導線材20の横断面構造を示し、酸化物超電導線材20の長さ方向両端の端末部分を除く部分は図14(a)に示す構造とされているが、酸化物超電導線材20の長さ方向両端の端末部分は図14(b)に示す構造とされている。
図14(b)に示す酸化物超電導線材20の端末部分は、酸化物超電導積層体20の端部20aを所定幅に渡り金属箔からなる被覆部材21により取り囲むことにより形成されている。以下に酸化物超電導線材20を構成する各要素について説明する。
図14(a)に示す酸化物超電導線材20の端部20aは、被覆部材21による被覆が無ければ露出することとなり、空気中等に含まれる水分と反応し超電導特性が低下するおそれがある。そこで、図14(b)に示すように、端部20aと端部20a近傍の第2の安定化層14を端部20aからの長さLに渡り被覆部材21により取り囲むように被覆することによって、酸化物超電導線材20の端末部分からの水分の浸入を防ぐ構造を有する酸化物超電導線材20を形成する。
酸化物超電導線材20の端部20aを被覆する被覆部材21は、水分の浸入を防ぐことができれば形態は特に限定されない。本実施形態においては、Cuなどからなる1対の金属箔40、40の一面に半田などの導電性接合材(図示略)を塗布し、当該導電性接合材を塗布した面同士を向い合わせて酸化物超電導線材20の端部20aを厚み方向上下から挟み込み、酸化物超電導線材20の端部20aを包み込むように覆うことで形成されている。
被覆部材21の側面部21aが酸化物超電導線材20の側面を覆い、先端面部21bが酸化物超電導線材20の長手方向端部20aを覆い、各部において被覆部材21は、半田等の導電性接合材により酸化物超電導線材20と接合されている。また、金属箔40、40同士は、縁部40c、40cで酸化物超電導線材20の端部20a近傍を上下方向から閉じ、それぞれの金属箔40同士は縁部40cにおいて導電性接合材により接合されている。
酸化物超電導線材20と金属箔40との境界面及び、金属箔40、40同士の接触部は、導電性接合材により接合され完全に封止されているため、当該境界面及び接触部からの水分の浸入を抑制することができる。
酸化物超電導線材20と被覆部材21との境界面及び、金属箔40、40同士の接触部を縁部40cにおいて接合する導電性接合材として半田を使用する場合、半田は特に限定されるものではなく従来公知の半田を使用可能であり、上述した第1の安定化層13上に金属テープを貼り付ける際に用いる導電性接合材と同様の接合材を用いる事ができる。
また、図14(c)に示すように、被覆部材21に代えて樹脂被覆部材41を用いることができる。樹脂被覆部材41を構成する樹脂材料としては、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ワックス等を用いる事ができる。樹脂被覆部材41は、ディッピングや、型にはめて成型することにより形成することが可能で、この場合、均一な層を容易に形成することができる。
被覆部材21で覆われる酸化物超電導線材20の長手方向の長さLに関しては、酸化物超電導線材20の端部20aが完全に覆われていれば、どのような長さでも構わない。図1(b)に示すように、被覆部材21を1対の金属箔40、40によって形成する場合においては、被覆部材21で覆われる酸化物超電導線材20の長手方向の長さLを1mm以上とすることで、導電性接合体により、金属箔40、40を確実に固定することが可能となるため水分の浸入を確実に防ぐことが可能となるため好ましい。また、30mmを超えると、金属箔40のコストが増加するばかりか、他の酸化物超電導線材と接続し接続構造体を形成する場合において、接続部分における厚みが増加する領域が長くなるため、接続部の取り回しが悪くなり好ましくない。
したがって、被覆部材21で覆われる酸化物超電導線材20の長手方向の長さLは1〜30mmであることが好ましく、これは被覆部材21を構成する材料が樹脂であっても(図1(c)に示す構成であっても)同様である。
(接続構造体の第2実施形態)
以下、第2実施形態に係る接続構造体について図面に基づいて説明する。
図15(a)、(b)に示すように本実施形態の接続構造体31において接続される、第1の酸化物超電導線材4及び第2の酸化物超電導線材5は、図14(a)、(b)を基に説明した酸化物超電導線材1と同等構造であり、第1の酸化物超電導線材4の先端部(端末)と第2の酸化物超電導線材5の先端部(端末)はいずれも被覆部材21により覆われている。第2実施形態の接続構造体の端部間の距離等は先の第1実施形態の接続構造体と同等である。
第3の酸化物超電導線材6は、酸化物超電導線材1と同等構造であり、しかもその両端部である第1端部6a及び第2端部6bは被覆部材21により覆われている。
ただし、第3の酸化物超電導線材6の基材10Aは、第1の酸化物超電導線材4の基材10及び第2の酸化物超電導線材5の基材10の厚さよりも薄く形成されている点が異なる。基材10Aの上に中間層11、酸化物超電導層12、第1の安定化層13を積層して超電導積層体15が形成され、この超電導15の外周を第2の安定化層14で覆って酸化物超電導線材20が構成されている点については同等構造である。また、基材10Aの構成材料は基材10と同等である。
第3の酸化物超電導線材6の基材10Aの厚さは、第1の酸化物超電導線材4及び第2の酸化物超電導線材5の基材10よりも薄く形成されており、一例として基材10の厚さの25〜75%程度とすることが好ましい。基材10Aの厚さを25%以上とするのは、基材10Aが薄すぎると、基材10Aの上に中間層11、酸化物超電導層12、第1の安定化層13を形成する場合の成膜工程において、搬送時の基材10Aの強度が不足となり、膜質が安定とならなくなる可能性があるためである。基材10Aの厚さを75%以下とするのは、接続構造体31において酸化物超電導線材同士の重ね合わせ部分の厚さが増加するためである。このような厚さの範囲にすることにより接続構造体の段差によってコイル巻回時に上に巻かれる超電導線材が受ける局部的な曲げ歪が緩和され、超電導特性の劣化を防止できる。更に、曲げにより発生する剥離応力を低減することができる。
図15(a)、(b)に示すように、接続構造体31は、第1の酸化物超電導線材4と第2の酸化物超電導線材5を第3の酸化物超電導線材6により接続して構成される。
第1の酸化物超電導線材4と第2の酸化物超電導線材5をそれらの第1の安定化層13側を同じ側に向けてそれら線材の端部間に若干の隙間をあけて隣接させ、それら線材の端部どうしを橋渡しするように第3の酸化物超電導線材6を接合して接続構造体31が構成されている。第1の酸化物超電導線材4の端部に第3の酸化物超電導線材6を重ね合わせた部分は半田等の導電性接合材32を介し電気的かつ機械的に接合され、第2の酸化物超電導線材5に第3の酸化物超電導線材6を重ね合わせた部分は半田等の導電性接合材33を介し電気的かつ機械的に接合されている。
図15(a)に示す接続構造体31においては、臨界温度以下に冷却した状態において、第1第2第3の酸化物超電導線材4、5、6の酸化物超電導層12に超電導電流が流れるが、接続部分においては、接続部分に存在する第1の安定化層13、第2の安定化層14を介し電流が流れる。
第3の酸化物超電導線材6を用いて第1第2の酸化物超電導線材4、5を接合した場合、超電導線材4、5、6の間に第1の安定化層13、第2の安定化層14などの常伝導物質があるために、有限の抵抗が存在する。そのため、通電により発熱し、クエンチを引き起こす原因となり、焼損するリスクがある。そこで、第2の安定化層14、導電性接合材32、33をできるだけ厚くするならば、接続部分の熱容量を増加することができ、電流が常電導物質を流れるときに発生する熱により引き起こされるクエンチを抑制できる。
更に、第3の酸化物超電導線材6にしか電流が流れない領域がある場合、仮に従来構造のように第2の安定化層を無くした場合は、電気的、熱的にクエンチに弱くなるが、第3の酸化物超電導線材6の第2の安定化層14をそのまま残すことによりクエンチ耐性を高いままの接続構造体31とすることができる。
なお、接続構造体31の厚みを薄くするために第2の安定化層を仮に除去すると、除去する作業中にクラックやスクラッチ等のダメージを超電導層に与え、超電導線材を劣化させるおそれがある。そこで、接続する場合に、第2の安定化層を除去するのではなく、基材10A自体の厚さを少なくすることで接続部の厚さを薄型化することが有利となる。このことで、酸化物超電導線材へのダメージを与えないようにしつつ酸化物超電導線材の封止構造にも影響を与えることなく接続できる効果がある。なお、第3の酸化物超電導線材3の基材10Aは、後述するように製造段階で予め薄い基材10Aを用いて製造しても良いし、各種の成膜処理を行った後、基材の裏面側を研磨して薄く加工するなどのいずれの手段を用いて薄くしても良い。
「接続構造体の製造方法」
先に製造した酸化物超電導線材1の基材10と同じ材料からなり、その厚さが半分程度の基材10Aを用い、先の製造工程と同等の製造工程により接続用の短尺の酸化物超電導導体を製造し、この超電導導体の各端部を2枚の金属箔で上述の場合と同様に端末封止することで接続用の酸化物線材6を製造する。
上述の如く製造した2本の酸化物超電導線材1を第1の酸化物超電導線材4と第2の酸化物超電導線材5として用い、更に接続用の酸化物超電導線材6を用いて、先の実施形態の接続構造体31を形成することができる。
「第2実施形態の接続構造体の実施例」
ハステロイ(商品名ハステロイC−276、米国ヘインズ社製)からなる幅5mm、厚さ100μm、長さ100mのテープ状の基材を複数用意し、表面を研磨した後、アルコール及び有機溶剤により洗浄した。
次に、以下の形成条件により、複数の基材の一面上に、拡散防止層、ベッド層、配向層およびキャップ層をこの順に積層した。各成膜の際には、成膜装置の内部にテープ状の基材を搬送する送り出しリールと巻き取りリールを設け、基材を所定の速度で移動させつつ基材上に順次成膜する処理を行った。
まず、イオンビームスパッタ法により、テープ状の基材の上にAlからなる膜厚100nmの拡散防止層を形成し、次に、イオンビームスパッタ法により、拡散防止層の上にYからなる膜厚20nmのベッド層を形成した。次に、IBAD法により、ベッド層の上にMgOからなる膜厚10nmの配向層を形成した。
配向層を形成後、PLD法によりCeOからなる膜厚400nmのキャップ層を形成し、YBaCu7−xなる組成の酸化物超電導層を形成し、更に厚さ2μmのAgの第1の安定化層をスパッタ法により成膜し、積層体を得た。この積層体を500℃で10時間酸素雰囲気中において酸素アニール処理し、酸化物超電導積層体を得た。
次に、幅8mm、厚さ0.02mmのCuからなる金属テープであって、片面に厚さ2μmのSnメッキを施した金属テープをロールフォーミング法により、加熱炉を併用してSnメッキを約200℃に加熱し溶融させることにより、酸化物超電導積層体の外周をSnの導電性接合材層を介しCuからなる第2の安定化層で覆った構造の酸化物超電導導体を得た。
上述の工程で得た酸化物超電導導体を2本用意し、1本を第1の酸化物超電導線材、残り1本を第2の酸化物超電導線材として利用し、それらの両端部を5mmの長さに渡り(即ち、図14(b)に示すL=5mmとして)、厚さ0.02mmのCuの金属箔40、40によって被覆することにより図14(b)に示す構成の被覆部材21を形成した。金属箔40、40は各線材の端部からはみ出した部分を治具にて圧着するように一体化し、圧着部分を半田付けして被覆部材21により各酸化物超電導線材4、5の端部を封止した。
次に、前述の厚さ100μmの基材に替え、厚さ75μm、長さ1mの基材を用いてこの基材上に前記条件と同等の条件で拡散防止層、ベッド層、配向層、キャップ層、酸化物超電導層、第1の安定化層を積層し、この積層体に酸素アニール処理を施し、接続用の超電導積層体を得た。この超電導積層体に上述と同様のロールフォーミング法によりCuの第2の安定化層で覆った構造の接続用の酸化物超電導導体を得た。
この接続用酸化物超電導導体から、長さ65mmの部分を鋏で切り出し、その長さ方向両端部を先の第1、第2の酸化物超電導線材と同様に金属箔40からなる被覆部材21により端末封止し、接続用の第3の酸化物超電導線材6を得た。この第3の酸化物超電導線材6の総厚は0.135mmである。
第1の酸化物超電導線材4と第2の酸化物超電導線材5をそれらの端部どうしの間に5mmの隙間をあけ、酸化物超電導層12を同じ側に向けて隣接させ、隣接させた端部にそれぞれ30mm程度被さるように第3の酸化物超電導線材を被着し、被着部分を長さ15mm程度InSn半田により半田付けすることにより図15(a)(b)に示す接続構造体を作製した。この接続構造体の総厚は0.33mmとなった。
次に、比較例として、第1の酸化物超電導線材4と第2の酸化物超電導線材5を接合する際に用いる第3の酸化物超電導線材6として、第2の安定化層14を略して構成し、第1の安定化層13を露出させた形状の酸化物超電導導体を用い、図15(a)、(b)に示す構造と同様に橋渡し状に酸化物超電導線材4,5を接続した比較例の接続構造体を得た。
これらの接続構造体について、各々プレッシャークッカー試験を行った。プレッシャークッカー試験は、高温(121℃)・高湿(100%)・高圧下(2気圧)に接続構造体を含む試料を100時間放置し、その前後での臨界電流値(Ic)の比(Ic(試験前の測定値)/Ic(試験後の測定値):劣化率)を測定した結果を図16に示す。
図16を参照すると、実施例試料は、接続する端部に被覆部材を配置し、第2の安定化層で超電導導体を被覆しているため、プレッシャークッカー試験において、大きな劣化は見られなかった。
これに対して、比較例試料は、プレッシャークッカー試験によって大きな劣化が見られた。これは、第2の安定化層を除去した部分から試験中に水分が浸入し、酸化物超電導層が劣化したためであると考えられる。
次に、先の接続構造体において、第1、第2の酸化物超電導線材の基材厚さを0.1mm、第2の安定化層厚さを0.1mm、上下合計2層あるとして、全体の厚さ0.32mm、第3の酸化物超電導線材の基材厚さを0.05mm、安定化層0.1mmとして、全体の厚さ約0.27mmとなる。
第3の酸化物超電導線材の基材を0.1mmとした場合と比較し、第3の酸化物超電導線材の基材を0.05mmとした場合、約8%の厚み減少となった。クエンチ耐性に関して計算すると、Cuとハステロイの電気抵抗率が500倍程度異なるため、ハステロイの基材が薄くなってもCuの第2の安定化層の厚さが変わらないため、電気抵抗はほとんど変わらない。よって、酸化物超電導線材の接続構造体としたクエンチ耐性はCuの安定化層を除去した場合の従来構造と対比してほとんど差が生じない。
1…酸化物超電導線材、1a、4a、5a…端部、4…第1の酸化物超電導線材、5…第2の酸化物超電導線材、6…第3の酸化物超電導線材、10、10A…基材、11…中間層、12…酸化物超電導層、13…第1の安定化層、14…第2の安定化層、15…積層体、16…半田層、20…超電導線材、21…被覆材、22…導電性接合材、30…接続構造体、31…接続構造体、32、33…導電性接合材、80…超電導ケーブル、99…超電導限流器(超電導機器)、100…超電導コイル積層体(超電導機器)、101…超電導コイル(超電導機器)、130…超電導モータ(超電導機器)、135…超電導モータ用コイル(超電導機器)、136…常電導コイル、H22…長さ、e…距離

Claims (7)

  1. テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層と安定化層が積層されてなる酸化物超電導線材同士が接続された接続構造体であって、
    第1の酸化物超電導線材、第2の酸化物超電導線材及び第3の酸化物超電導線材を有し、
    前記第1及び第2の酸化物超電導線材が、基材に対して酸化物超電導層を形成した側を揃えて端部同士を離間した状態で隣接して配置され、
    前記隣接された端部を跨るように、前記第1及び第2の酸化物超電導線材の安定化層に前記第3の酸化物超電導線材の安定化層が橋渡しされ、
    前記第1及び第3の酸化物超電導線材の安定化層同士が導電性接合材により接合され、
    前記第2及び第3の酸化物超電導線材の安定化層同士が導電性接合材により接合され、
    離間して配置した前記第1及び第2の酸化物超電導線材の端部間の距離が前記第3の酸化物超電導線材の長さの0.4%以上90%未満であることを特徴とする酸化物超電導線材の接続構造体。
  2. 前記導電性接合材の厚さが、380μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導線材の接続構造体。
  3. 積層方向に沿って前記第1及び第2の酸化物超電導線材が内側となり、前記第3の酸化物超電導線材が外側となるように半径5mm以上200mm以下に曲げられたことを特徴とする請求項1又は2記載の酸化物超電導線材の接続構造体。
  4. 積層方向に沿って前記第1及び第2の酸化物超電導線材が外側となり、前記第3の酸化物超電導線材が内側となるように半径12mm以上200mm以下に曲げられたことを特徴とする請求項1又は2記載の酸化物超電導線材の接続構造体。
  5. 前記第1の酸化物超電導線材及び第2の酸化物超電導線材の基材より、前記第3の酸化物超電導線材の基材が薄く形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材の接続構造体。
  6. 前記第1の酸化物超電導線材の端末と前記第2の酸化物超電導線材の端末と前記第3の酸化物超電導線材の端末が、個々に被覆部材により覆われたことを特徴とする請求項5に記載の酸化物超電導線材の接続構造体。
  7. 前記請求項1〜6の何れか一項に記載の接続構造体を有することを特徴とする超電導機器。
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