JP2012194118A - 水中接着補修方法 - Google Patents

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康晴 須田
Seiji Takihana
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Takashi Ueda
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Abstract

【課題】燃料プール内の微小欠陥が広範囲に渡っていてもライニング剤の補修性を向上すること。
【解決手段】水中接着補修方法は、接着剤塗布装置と、燃料貯蔵プール壁面9と、第1区画体10と、接ぎ部材11、接着剤と、を含む構成である。第1区画体10は、第1区画体10の一方の側板10aと、第1区画体10の他方の側板10bと、第1区画体10の底板10とを有するように区画体内に空間が設けられているものであり、第1区画体10は、一方の側板10aが他方の側板10bよりも長いものである。接ぎ部材11は、シリコン樹脂又はポリエチレン等からなる棒状のものである。接着剤は、二液性系水中接着剤が好ましく、主剤と硬化剤との二液で構成されて混合することによって硬化するものである。
【選択図】図4

Description

本発明は、壁面や底面で発生した欠陥部に均一な厚さで接着剤を塗布することができる水中接着補修方法に関するものである。
原子力発電所等のプラントでは、ほぼ満面に水を蓄える使用済み燃料貯蔵プールが配設されている。燃料貯蔵プールは、深さが約12m、幅と長さとが約10m〜20mのコンクリート大型水槽である。この燃料貯蔵プールは、コンクリートの基礎表面に摩耗対策としてライニング材が塗布されている。しかし、燃料貯蔵プールの長期間の使用によりライニング材が損傷してしまうおそれがあり、定期的にライニング材の補修を行う必要がある。
燃料貯蔵プールに貯蓄する燃料は、放射線量が非常に高いため燃料貯蔵プールの水中に浸漬しておく必要がある。そのため、燃料貯蔵プールを補修する際には、補修用の機械を用いて遠隔操作しなければならず、尚且つ燃料貯蔵プールの深さは、10m以上と水圧の影響を非常に多く受けるため、ライニング材の補修は非常に困難な作業となる。
特許文献1には、水中硬化型接着剤組成物を用いることで水中下でも容易に補修することが可能な微小欠陥補修装置に関するものが記載されている。微小欠陥補修装置は、初めに、水槽内周側で発生した微小欠陥に対して、充填ノズルが挿入可能な開口部を有する金属製仕切区画体で微小欠陥の周囲を覆う。次に、金属製仕切区画体の開口部に充填ノズルを挿入し、充填ノズルから金属製仕切区画体内に水中硬化型接着剤組成物を送入することで、微小欠陥周囲を密着充填するものである。
特開2008−216201号公報
燃料貯蔵プール内に微小欠陥が広範囲に渡りある場合、広範囲に渡ってライニング材を補修する必要がある。しかし、特許文献1に記載される既存の金属製仕切区画体を用いて補修作業を行う場合、既存の金属製仕切区画体では広範囲に渡る微小欠陥を網羅することが難しい。つまり、既存の金属製仕切区画体では大きさに限界があるため、金属製仕切区画体を連結して補修作業を行わなければならない。そのため、金属製仕切区画体を連結した箇所は、ライニング材を塗布することが出来ず金属製仕切区画体を連結した箇所にある微小欠陥を補修することが極めて困難となる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、燃料プール内の微小欠陥が広範囲に渡っていてもライニング材の補修性を向上することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る水中接着補修方法は、補修対象に対向する平板と、前記補修対象に接触する一方の側板と、前記補修対象に非接触となる他方の側板と、前記補修対象と前記平板と前記2つの側板とで形成された2つの開口の一方の開口を塞ぐ底板と、を有する第1区画体を用い、前記補修対象に前記第1区画体を固定する手順と、前記第1区画体の他方の側板側から接ぎ部材を固定する手順と、前記補修対象と前記第1区画体と前記接ぎ部材とで囲まれた空間に接着剤を充填する手順と、前記第1区画体の他方の側板側から接ぎ部材を取り除く手順と、を備えることを特徴とする。
上記構成により、本発明に係る水中接着補修方法は、第1区間体で微小欠陥がある壁面を押し付ける場合、壁面と第1区画体の他方の側板とで空間を形成することができるため第1区画体を接着剤で充填すると、壁面と第1区画体の他方の側板との間に接着剤のみからなる層を形成することができる。そのため、第1区画体で充填した接着剤の層を第1区画体の側板を障害とせずに他の区画体を繋げることができるので、区画体の大きさによらず、広範囲に渡ってライニング材の補修を行うことができる。
本発明の好ましい態様としては、前記接ぎ部材は、前記第1区間体の他方の側板と前記補修対象とで囲まれた空間と接触する箇所が凹部であることを特徴とする。
上記構成により、本発明に係る水中接着補修方法は、第1区間体を接着剤で充填した場合に、壁面と第1区画体の他方の側板との間に接着剤のみからなる層を形成するだけでなく、第1区画体と繋ぐ他の区画体に向かって凸部の接着剤の層を形成することができる。そのため、第1区画体で形成された凸部の接着剤の層が第2区画体内に入り込んだ形で、第1区画体で形成された凸部と第2区画体とを充填するため、第1区画体と他の区画体との接着性を飛躍的に向上することができる。
本発明の好ましい態様としては、補修対象に対向する平板と、前記補修対象に接触する側板と、前記補修対象と前記平板と前記側板とで形成された2つの開口の一方の開口を塞ぐ底板と、を有する第2区画体を用い、前記第1区画体の側板側から接ぎ部材を取り除いた後に、前記第1区画体の側板に前記第2区画体を固定する手順と、前記補修対象と前記第1区画体の側板と前記第2区画体とで囲まれた空間に接着剤を充填する手順と、を備えることを特徴とする。
上記構成により、本発明に係る水中接着補修方法は、壁面と充填した第1区画体と第2区画体の底板と第2区画体の他方の側板が壁面と接触する第2区画体とで形成される空間に接着剤を充填するため、充填した第1区間体の他方の側板側と第2区間体で充填した接着剤とを直接接着することができる。そのため、充填した第1区間体と第2区画体との接着性を飛躍的に向上することができる。
本発明の好ましい態様としては、補修対象に対向する平板と、前記補修対象に非接触となる一方の側板と、前記補修対象に接触する他方の側板と、前記補修対象と前記平板と前記側板とで囲まれた2つの開口の一方の開口を塞ぐ底板と、を有する第2区画体を用い、
前記第1区画体の側板側から接ぎ部材を取り除いた後に、前記第1区画体の他方の側板に前記第2区画体を固定する手順と、前記補修対象と前記第1区画体の他方の側板と前記第2区画体とで囲まれた空間に接着剤を充填する手順と、を備えることを特徴とする。
上記構成により、本発明に係る水中接着補修方法は、充填した第1区画体の他方の側板側と第2区画体の一方の側板側とが接触した状態で前記壁面と前記第1区画体の他方の側板と前記第2区画体とで形成された空間に接着剤を充填するので、第2区画体の一方の側板側が接着剤の防護壁となり充填した第1区画体の他方の側板側から接着剤が漏れることを防止することができる。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る水中接着補修方法は、補修対象に対向する平板と、前記補修対象に接触する一方の側板と、前期補修対象に接触とする他方の側板と、前記補修対象と前記平板と前記側板とで囲まれた2つの開口を有する第4区画体を用い、前記補修対象に前記第4区画体を固定する手順と、前記補修対象と前記第4区画体とで囲まれた空間に接着剤を充填する手順と、を備えることを特徴とする。
上記構成により、本発明に係る水中接着補修方法は、第4区間体で微小欠陥がある床面を押し付けることで床面と第4区間体の一方の側板と他方の側板とで空間を形成することができるため第4区間体を接着剤で充填すると、床面と第4区画体の一方の側板と他方の側板とで空間との間に接着剤のみからなる層を形成することができる。そのため、水圧の影響を非常に受ける床面であっても、ライニング材の補修を行うことができる。
本発明の好ましい態様としては、前記補修対象と前記第4区画体とで囲まれた空間に接着剤を充填した後に、前記第4区間体を前記補修対象から移動させて新たな補修対象に固定する手順と、前記補修対象と前記第4区画体とで囲まれた空間に接着剤を充填する手順と、を備えることを特徴とする。
上記構成により、本発明の水中接着補修方法は、床面と前記第4区画体とで形成された空間に接着剤を充填した後に第4区画体を床面から移動させ、新たな床面と第4区間体とで形成された空間に接着剤を充填することができるので、水圧の影響を非常に受ける床面であっても広範囲に渡ってライニング材の補修を行うことができる。
本発明は、燃料プール内の微小欠陥が広範囲に渡っていてもライニング材の補修性を向上させる効果を奏する。
図1は、実施形態1の接着剤塗布装置を模式的に示す説明図である。 図2は、実施形態1の第1区画体を模式的に示す説明図である。 図3は、実施形態1の第1区画体と継接ぎ部材と補修対象とを模式的に示す説明図である。 図4は、実施形態1の図3の断面を模式的に示す説明図である。 図5は、実施形態1の第1区画体と継接ぎ部材の変形例と補修対象との断面を模式的に示す説明図である。 図6は、実施形態1の接着剤を充填した第1区画体と第2区画体と補修対象との断面を模式的に示す説明図である。 図7は、実施形態1の接着剤を充填した第1区画体と第2区画体の変形例と補修対象との断面を模式的に示す説明図である。 図8は、実施形態1の水中接着補修方法のフロー図である。 図9は、実施形態2の接着剤を充填した第1区画体と第3区画体と継接ぎ部材と補修対象との断面を模式的に示す説明図である。 図10は、実施形態2の接着剤を充填した第1区画体と第3区画体の変形例と継ぎ部材と補修対象との断面を模式的に示す説明図である。 図11は、実施形態2の第2区画体と接着剤を充填した第1区画体と第3区画体と継接ぎ部材と補修対象との断面を模式的に示す説明図である。 図12は、実施形態2の水中接着補修方法のフロー図である。 図13は、実施形態3の第4区画体と補修対象とで囲まれた空間を接着剤で充填する様子を模式的に示す説明図である。 図14は、実施形態3の図13の断面を模式的に示す説明図である。 図15は、実施形態3の水中接着補修方法のフロー図である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
(実施形態1)
図1は、実施形態1の接着剤塗布装置を模式的に示す説明図である。以下に実施形態1の接着剤塗布装置1について説明する。接着剤塗布装置1は、モータ2と、主剤用カートリッジ3と、硬化剤用カートリッジ4と、管継手5と、ホース6と、ミキサーノズル7と、延長ノズル8と、を含む。尚、接着剤塗布装置1は、実施形態1に限定されるものではない。
モータ2は、主剤用カートリッジ3に充填された主剤と硬化剤用カートリッジ4に充填された硬化剤とを圧送するものである。また、主剤用カートリッジ3、硬化用カートリッジ4は、これらに連結されている管継手5にホース6が繋がれている。モータ2によって圧送された主剤と硬化剤は、ミキシングノズル7で混合された後に延長ノズル8から接着剤13として塗布される。
水中で用いる接着剤13は、燃料貯蔵プールのような環境で使用されることを考慮すると二液性系水中接着剤13が好ましい。すなわち、主剤と硬化剤との二液で構成されて混合することによって硬化するものである。主剤は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。また、硬化剤は、例えば、ポリアミドアミン、変性ポリアミドアミン、変性ポリアミドポリアミン、変性脂肪族ポリアミン、変性芳香族ポリアミン、複素環状ポリアミン、変性脂環状ポリアミン等のアミン類又はポリアミン類からなる。
図2は、実施形態1の第1区画体を模式的に示す説明図である。第1区画体10は、上面から見るとコの字形状で、下面から見ると四角形状なコの字の区画体である。つまり、第1区画体10は、第1区画体10の一方の側板10aと、第1区画体10の他方の側板10bと、第1区画体10の底板10とを有するように区画体内に空間が設けられているものであり、第1区画体10は、一方の側板10aが他方の側板10bよりも長いものである。
図3は、実施形態1の第1区画体と継接ぎ部材と補修対象とを模式的に示す説明図であり、図4は、実施形態1の図3の断面を模式的に示す説明図である。また、図8は、実施形態1の水中接着補修方法のフロー図である。初めに、接ぎ部材11について説明する。接ぎ部材11は、シリコン樹脂又はポリエチレン等からなる棒状のものである。また、接ぎ部材11は、実施例1に記載される材料に限定されるものではなく、例えば、放射線の影響がない環境化ではフッ素樹脂であっても良い。
次に、燃料貯蔵プール壁面9で発生したライニング材の微小欠陥50の補修をする手順について説明する。実施形態1では、燃料貯蔵プールの壁面9でライニング材の微小欠陥50の補修を行っているが、燃料貯蔵プール壁面9に限定されるものではない。初めに、図8のステップS101では、第1区画体10を燃料貯蔵プール壁面9に押し付ける。第1区画体10は、一方の側板10aが他方の側板10bよりも長くなっているため、第1区画体10を燃料貯蔵プール壁面9に押し付けると、第1区画体10の他方の側板10bと燃料貯蔵プール壁面9との間に隙間12を形成する。
ステップS102では、図3に示すように第1区画体10の他方の側板10bに接ぎ部材11を覆うように取り付ける。図4は、図3の断面図であるが、第1区画体10の他方の側板10bに接ぎ部材11を覆うように取り付けることで、燃料貯蔵プール壁面9と第1区画体と接ぎ部材11とに空間を形成する。ステップS103では、燃料貯蔵プール壁面9と第1区画体と接ぎ部材11とに形成された空間に接着剤塗布装置1で接着剤13を充填させる。つまり、接着剤塗布装置1の延長ノズル8を燃料貯蔵プール壁面9と第1区画体と接ぎ部材11とに形成された空間内に挿入して第1区画体10内に接着剤13を充填させることで、接着剤13が硬化し燃料貯蔵プールの壁面9で発生したライニング材の微小欠陥50の補修を可能とする。
図5は、実施形態1の第1区画体と継接ぎ部材の変形例と補修対象との断面を模式的に示す説明図である。接ぎ部材11aは、実施形態1の接ぎ部材11の変形例である。接ぎ部材11aは、燃料貯蔵プール壁面9と第1区画体10の他方の側板10bとで形成される空間が第2区画体15に向かって凸状をなすような形状である。つまり、接ぎ部材11aは、燃料貯蔵プール壁面9と第1区画体10の他方の側板10bとで形成される空間に接する箇所が凹状のL字形状である。
接ぎ部材11aを用いることで、第1区間体を接着剤13で充填した場合に、壁面と第1区画体の他方の側板との間に接着剤13のみからなる層を形成するだけでなく、第1区画体と繋ぐ第2区画体に向かって凸部の接着剤13の層を形成することができる。そのため、第1区画体で形成された凸部の接着剤13の層が第2区画体内に入り込んだ形で、第1区画体で形成された凸部と第2区画体とを充填するため、第1区画体と第2区画体との接着性を飛躍的に向上することができる。
図6は、実施形態1の接着剤を充填した第1区画体と第2区画体と補修対象との断面を模式的に示す説明図である。第1区画体10内に充填させた接着剤13が硬化後、ステップS104では、第1区画体10の他方の側板10bに取り付けた接ぎ部材11を取り除く。図5のように、第1区画体10は、一方の側板10aが他方の側板10bよりも長く、他方の側板10bと燃料貯蔵プール壁面9との間に隙間12が形成されるため、第1区画体10内に充填した接着剤13がこの隙間12を埋めるようにして硬化がなされる。
次に、ステップS105では、接着剤13が充填された第1区画体の他方の側板10bに第2区画体15を押し付ける。第2区画体15は、上面から見るとLの字形状で、下面から見ると四角形状なLの字の区画体である。つまり、第2区画体15は、第2区画体15の他方の側板15bと、第2区画体15の底板15cとを有するように区画体内に空間が設けられている。また、第2区画体15の他方の側板15bと、第2区画体15の底板15cは、燃料貯蔵プール壁面9に接触している。
最後に、ステップS106において、燃料貯蔵プール壁面9と接着剤13が充填された第1区画体の他方の側板10bと第2区画体15とで形成された空間にステップS103同様、接着剤塗布装置1で接着剤13を充填させる。また、第1区画体10では、第1区画体10で充填した接着剤13が第1区画体の他方の側板10bと燃料貯蔵プール壁面9との間に形成された隙間12に接着剤13が充填しているため、隙間12に充填した接着剤13と、燃料貯蔵プール壁面9と接着剤13が充填された第1区画体の他方の側板10bと第2区画体15とで形成された空間に充填した接着剤13とが接合して接着剤13が硬化する。
つまり、第1区画体10の他方の側板10bと燃料貯蔵プール壁面9との間に形成された隙間12を介して、燃料貯蔵プール壁面9と第1区画体10の一方の側板10aと第2区の他方の側板15bとの範囲に接着剤13を充填することができる。また、第1区画体で充填した接着剤13の層を第1区画体の側板を障害とせずに他の区画体を繋げることができるので、区画体の大きさによらずに広範囲に渡ってライニング材の補修を行うことができる。
図7は、実施形態1の接着剤を充填した第1区画体と第2区画体の変形例と補修対象との断面を模式的に示す説明図である。第2区画体15は、第1区画体10のように、上面から見るとコの字形状で、下面から見ると四角形状なコの字の区画体であっても良い。つまり、第2区画体15は、第1区画体15の一方の側板15aと、第1区画体15の他方の側板15bと、第1区画体15の底板15cとを有するように区画体内に空間が設けられており、第1区画体10は、一方の側板15aが他方の側板15bよりも短いものである。
このように、第2区画体を変更することで、充填した第1区画体の他方の側板側と第2区画体の一方の側板側とが接触した状態で前記壁面と前記第1区画体の他方の側板と前記第2区画体とで形成された空間に接着剤13を充填するので、第2区画体の一方の側板側が接着剤13の防護壁となり充填した第1区画体の他方の側板側から接着剤13が漏れることを防止することができる。
(実施形態2)
実施形態2の接着剤を充填した第1区画体と第3区画体と継接ぎ部材と補修対象との断面を模式的に示す説明図である。図12は、実施形態2の水中接着補修方法のフロー図である。実施形態2の燃料貯蔵プール壁面9で発生したライニング材の微小欠陥50の補修をする手順について説明する。ここでは、実施形態2のフローにおけるステップS201、ステップS202、ステップS203及びステップS204は、実施形態1のフローと同様であるため説明を割愛する。
図12のステップS205では、接着剤で充填した第1区画体の他方の側板10bに第3区画体30を押し付ける。第3区画体30は、上面から見るとLの字形状で、下面から見ると四角形状なLの字の区画体である。つまり、第3区画体30は、第3区画体30の他方の側板30bと第3区画体30の底板30cとを有するもので、第3区画体30の底板30cのみ燃料貯蔵プール壁面9に接触している。燃料貯蔵プール壁面9に対して、第3区画体30の他方の側板30bは、第3区画体30の底板30cよりも長さが短い。そのため、第3区画体30を燃料貯蔵プール壁面9に押し付けると、第3区画体30の他方の側板30bと燃料貯蔵プール壁面9との間に隙間32を形成する。
ステップS206では、図9に示すように第3区画体30の他方の側板30bに接ぎ部材31を覆うように取り付ける。第3区画体30の他方の側板30bに接ぎ部材31を覆うように取り付けることで、燃料貯蔵プール壁面9と第3区画体30と接ぎ部材31とに空間を形成する。ステップS207では、燃料貯蔵プール壁面9と第3区画体と接ぎ部材31とに形成された空間に接着剤塗布装置1で接着剤33を充填させる。接着剤33の充填方法は、実施形態1と同様であるが、実施形態1や実施形態2に限定されるものではない。
図10は、実施形態2の接着剤を充填した第1区画体と第3区画体の変形例と継ぎ部材と補修対象との断面を模式的に示す説明図である。図11は、実施形態2の第3区画体と接着剤を充填した第1区画体と第3区画体と継接ぎ部材と補修対象との断面を模式的に示す説明図である。第3区画体30内に充填させた接着剤33が硬化後、ステップS208では、第3区画体30の他方の側板30bに取り付けた接ぎ部材31を取り除く。図11のように、第3区画体30は、一方の側板30aが他方の側板30bよりも長く、他方の側板30bと燃料貯蔵プール壁面9との間に隙間32が形成されるため、第3区画体30内に充填した接着剤23がこの隙間22を埋めるようにして硬化がなされる。
ステップS209では、接着剤33が充填された第3区画体の他方の側板30bに第2区画体20を押し付ける。第2区画体20は、上面から見るとLの字形状で、下面から見ると四角形状なLの字の区画体である。つまり、第2区画体20は、第2区画体20の他方の側板20bと、第2区画体20の底板20cとを有するように区画体内に空間が設けられている。また、第2区画体20の他方の側板20bと、第2区画体20の底板20cは、燃料貯蔵プール壁面9に接触している。
最後に、ステップS210において、燃料貯蔵プール壁面9と接着剤23が充填された第3区画体の他方の側板30bと第2区画体20とで形成された空間にステップS207同様、接着剤塗布装置1で接着剤33を充填させる。また、第3区画体30では、第3区画体30で充填した接着剤33が第3区画体の他方の側板30bと燃料貯蔵プール壁面9との間に形成された隙間32に接着剤33が充填しているため、隙間32に充填した接着剤33と、燃料貯蔵プール壁面9と接着剤33が充填された第3区画体の他方の側板30bと第2区画体20とで形成された空間に充填した接着剤33とが接合して接着剤33が硬化する。
つまり、第3区画体30の他方の側板30bと燃料貯蔵プール壁面9との間に形成された隙間32を介して、燃料貯蔵プール壁面9と第2区画体20の一方の側板20aと第2区画体の他方の側板20bとの範囲に接着剤23を充填することができる。また、第3区画体で充填した接着剤23の層を第3区画体の側板を障害とせずに他の区画体を繋げることができる。また、実施形態2のような第3区画体を用いることで、区画体の大きさによらずに広範囲に渡ってライニング材の補修を行うことができる。
(実施形態3)
図13は、実施形態3の第4区画体と補修対象とで囲まれた空間を接着剤で充填する様子を模式的に示す説明図であり、図15は、実施形態3の水中接着補修方法のフロー図である。実施形態3の燃料貯蔵プール床面9で発生したライニング材の微小欠陥50の補修をする手順について説明する。第4区画体40は、第4区画体40の一方の外板40aと、第4区画体40の他方の外板40bと、第4区画体40の上板40dと、を含む。また、燃料貯蔵プール床面49は、ライニング材49aによって覆われている。
初めに、ステップS301では、第4区画体40を燃料貯蔵プール床面9に押し付ける。第4区画体40は、第4区画体40の移動方向を前から後ろから見ても、燃料貯蔵プール床面9に対してコの字形状の区画体である。つまり、第4区画体40の一方の外板40aと第4区画体40の他方の外板40bとがライニング材で覆われた燃料貯蔵プール床面9と接することになるので、第4区画体40と燃料貯蔵プール床面9とに空間が形成される。
図14は、実施形態3の図13の断面を模式的に示す説明図である。ステップS302では、燃料貯蔵プール床面9と第4区画体40とで形成された空間に接着剤43を充填させる。つまり、接着剤塗布装置1の延長ノズル8を燃料貯蔵プール壁面9と第4区画体で囲まれた空間内に挿入して第4区画体40内に接着剤43を充填させることができる。
次に、ステップS303では、ステップS302において燃料貯蔵プール床面49と第4区画体40とで形成された空間に充填された接着剤43が硬化した後に、第4区画体40を移動させて新たに燃料貯蔵プール床面9に固定する。ステップS304では、ステップS302と同様に、燃料貯蔵プール床面49と第4区画体40とで形成された空間に接着剤43を充填させる。
このように、第4区画体40を用いることで、水圧の影響を非常に受ける燃料貯蔵プール床面49であっても、燃料貯蔵プール床面9で発生したライニング材の微小欠陥50の補修を可能とする。また、実施形態3の方法を用いることで、燃料貯蔵プール床面9で発生したライニング材の微小欠陥50が広範囲に渡っていたとしても、容易に補修をすることができる。
1 接着剤塗布装置
2 モータ
3 主剤用カートリッジ
4 硬化剤用カートリッジ
5 管継手
6 ホース
7 ミキサーノズル
8 延長ノズル

Claims (10)

  1. 補修対象に対向する平板と、前記補修対象に接触する一方の側板と、前記補修対象に非接触となる他方の側板と、前記補修対象と前記平板と前記2つの側板とで形成された2つの開口の一方の開口を塞ぐ底板と、を有する第1区画体を用い、
    前記補修対象に前記第1区画体を固定する手順と、
    前記第1区画体の他方の側板側から接ぎ部材を固定する手順と、
    前記補修対象と前記第1区画体と前記接ぎ部材とで囲まれた空間に接着剤を充填する手順と、
    前記第1区画体の他方の側板側から接ぎ部材を取り除く手順と、
    を備えることを特徴とする水中接着補修方法。
  2. 前記接ぎ部材は、前記第1区間体の他方の側板と前記補修対象とで囲まれた空間と接触する箇所が凹部であることを特徴とする水中接着補修方法。
  3. 補修対象に対向する平板と、前記補修対象に接触する側板と、前記補修対象と前記平板と前記側板とで形成された2つの開口の一方の開口を塞ぐ底板と、を有する第2区画体を用い、
    前記第1区画体の側板側から接ぎ部材を取り除いた後に、前記第1区画体の側板に前記第2区画体を固定する手順と、
    前記補修対象と前記第1区画体の側板と前記第2区画体とで囲まれた空間に接着剤を充填する手順と、
    を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水中接着補修方法。
  4. 補修対象に対向する平板と、前記補修対象に非接触となる一方の側板と、前記補修対象に接触する他方の側板と、前記補修対象と前記平板と前記側板とで囲まれた2つの開口の一方の開口を塞ぐ底板と、を有する第2区画体を用い、
    前記第1区画体の側板側から接ぎ部材を取り除いた後に、前記第1区画体の他方の側板に前記第2区画体を固定する手順と、
    前記補修対象と前記第1区画体の他方の側板と前記第2区画体とで囲まれた空間に接着剤を充填する手順と、
    を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水中接着補修方法。
  5. 補修対象に対向する平板と、前記補修対象に非接触となる側板と、前記補修対象と前記平板と前記側板とで囲まれた2つの開口の一方の開口を塞ぐ底板と、を有する第3区画体を用い、
    前記第1区画体の側板側から接ぎ部材を取り除いた後に、前記第1区画体の側板に前記第3区画体を固定する手順と、
    前記第3区画体の側板側から接ぎ部材を固定する手順と
    前記補修対象と前記第1区画体の他方の側板と前記第3区画体と前記第3区画体の側板側から固定した接ぎ部材とで囲まれた空間に接着剤を充填する手順と、
    前記第3区画体の側板側から接ぎ部材を取り除く手順と、
    を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水中接着補修方法。
  6. 補修対象に対向する平板と、前記補修対象に非接触となる一方の側板と、前期補修対象に非接触となる他方の側板と、前記補修対象と前記平板と前記側板と囲まれた2つの開口の一方の開口を塞ぐ底板と、を有する第3区画体を用い、
    前記第1区画体の側板側から接ぎ部材を取り除いた後に、前記第1区画体の他方の側板に前記第3区画体を固定する手順と、
    前記第3区画体の側板側から接ぎ部材を固定する手順と、
    前記補修対象と前記第1区画体の他方の側板と前記第3区画体と前記第3区画体の側板側から固定した接ぎ部材とで囲まれた空間に接着剤を充填する手順と、
    前記第3区画体の側板側から接ぎ部材を取り除く手順と、
    を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水中接着補修方法。
  7. 補修対象に対向する平板と、前記補修対象に接触する側板と、前記補修対象と前記平板と前記側板とで形成された2つの開口の一方の開口を塞ぐ底板と、を有する第2区画体を用い、
    前記第3区画体の側板側から接ぎ部材を取り除いた後に、前記第3区画体の側板に前記第2区画体を固定する手順と、
    前記補修対象と前記第3区画体の側板と前記第2区画体で囲まれた空間に接着剤を充填する手順と、
    を備えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の水中接着補修方法。
  8. 補修対象に対向する平板と、前記補修対象に非接触となる一方の側板と、前記補修対象に接触する他方の側板と、前記補修対象と前記平板と前記側板とで囲まれた2つの開口の一方の開口を塞ぐ底板と、を有する第2区画体を用い、
    前記第3区画体の側板側から接ぎ部材を取り除いた後に、前記第3区画体の他方の側板に前記第2区画体を固定する手順と、
    前記補修対象と前記第3区画体の他方の側板と前記第2区画体で囲まれた空間に接着剤を充填する手順と、
    を備えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の水中接着補修方法。
  9. 補修対象に対向する平板と、前記補修対象に接触する一方の側板と、前期補修対象に接触とする他方の側板と、前記補修対象と前記平板と前記側板とで囲まれた2つの開口を有する第4区画体を用い、
    前記補修対象に前記第4区画体を固定する手順と、
    前記補修対象と前記第4区画体とで囲まれた空間に接着剤を充填する手順と、
    を備えることを特徴とする水中接着補修方法。
  10. 前記補修対象と前記第4区画体とで囲まれた空間に接着剤を充填した後に、前記第4区間体を前記補修対象から移動させて新たな補修対象に固定する手順と、
    前記補修対象と前記第4区画体とで囲まれた空間に接着剤を充填する手順と、
    を備えることを特徴とする請求項9に記載の水中接着補修方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103915122A (zh) * 2014-03-26 2014-07-09 中国核电工程有限公司 一种乏燃料贮存水池
DE102013108008A1 (de) * 2013-07-26 2015-01-29 Areva Gmbh Vorrichtung zur Reparatur eines Schadens an einer unter Wasser befindlichen Behälterwand
US10037827B2 (en) 2013-07-26 2018-07-31 Areva Gmbh Method and device for repairing damage to a container wall located under water

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