JP4931559B2 - 管の補修方法 - Google Patents

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Description

本発明は管の補修方法に関する。
たとえば既設の水道管に腐食などの損傷が生じて漏水が起っている場合には、その損傷箇所を補修して、漏水を止めることが必要になる。
図6は従来の補修方法の一例を示す。ここで1は金属製の管母材で、2はその損傷部である。図示のように、損傷部2を管母材1の外面側から覆うことができる当て金3を用意し、たとえばこの当て金3の周囲を隅肉溶接することによって、この当て金3を管母材1に固定するとともに、損傷部2の周囲を塞いで漏水を止めるようにしている。4はその溶接部である。このような溶接による処理は、管が鋼管である場合に良好に適用することができる。
しかし、管の内面や外面に塗装が施されている場合は、溶接時の熱によって、その塗装部が焼けるおそれがある。また、溶接部4には残留応力が生じやすく、その場合は止水性や止水後の耐久性に問題が発生するおそれがある。
図7は、従来の他の補修方法の例を示す。ここでは、管母材1の損傷部2を当て金3で覆うとともに、この当て金3を、管母材1にねじ込まれる止めボルト5によって管母材1に固定している。当て金3と管母材1との間には、損傷部2を囲むゴム製の環状のシール材6が挟み込まれ、当て金3を止めボルト5によって管母材1に固定することで同時にシール材6が圧縮されて所要のシール機能を発揮するように構成されている。
このように当て金3を止めボルト5によって管母材1に固定する構成は、管が溶接を行いにくい鋳鉄管である場合に良好に適用することができる。
また、たとえば管が樹脂管である場合は、損傷部を覆うことができる同様の当て板を管母材に熱接着することが行われている(特許文献1)。
ところで、管母材1は平らではなく湾曲しており、また敷設後に横断面方向すなわち径方向に変形していることがあり、図6に示す場合もまた図7に示す場合も、当て金3はこのような管母材の湾曲形状や径方向の変形に対応した曲面形状を備えたものとして形成しなければならない。
このような曲面形状を備えた当て金3の製造方法の一例を説明する。図8に示すように、既設管の管母材1の表面における損傷部2の周囲にたとえばOリング7を貼り付け、このOリング7よりも外側の領域を含む管母材1の表面を型取り材料8で覆う。この型取り材料8としては、粘土や硬化性樹脂などの硬化性の材料を用いる。型取り材料8が硬化したなら、これを管母材1から取り外す。図9は、硬化後に取り外された型取り材料8を飯店させた状態で示すが、その表面9に管母材1の曲面形状が型取りされている。10はOリング7により形成された溝部である。
この型取り材料8を、管が敷設されている場所から機械加工工場に運んで、その表面9の曲面形状に合わせて金属製の板材を曲面加工し、また板材における型取り材料8の溝部9に対応した位置にシール材収容溝を加工し、さらにボルト通し孔を加工することで、図7に示される当て金3が製造される。
図6に示される当て金3も、同様の型取り材料であるが溝部10を有しないものを得て、これを機械加工工場に運び、同様に板材を曲面加工することにより製造される。
特開平11−280979号公報
しかし、管が敷設されている位置で型取りを行ったうえで、その型取り材料8を機械加工工場に運び、これを用いて板材を機械加工することにより当て金3を製造し、製造された当て金3を管の敷設位置まで運んだうえで、所要の補修工事を行わねばならず、かなりの手間と時間を要する。特に管から漏水が生じている場合は、緊急に補修する必要があり、工事に時間が掛かることは好ましくない。
そこで本発明は、簡単かつ短時間のうちに管を補修できるようにすることを目的とする。
この目的を達成するため本第1発明の管の補修方法は、管の表面における損傷部のまわりを収容溝形成用型材で囲み、この収容溝形成用型材を管の表面に貼り付け、損傷部と収容溝形成用型材とを覆うようにして管の表面に硬化性樹脂を盛り、この樹脂を硬化させることにより前記損傷部を覆うことが可能な補修用部材を形成するとともに、補修用部材に収容溝を形成し、収容溝にシール材をはめ込んだ状態で、前記補修用部材を管に固定して、シール材を前記補修用部材と管の表面との間に挟み込むものである。
また、本第2発明の管の補修方法は、硬化性樹脂に芯材又はガラス繊維を埋設するものである。
このようにすると、硬化性樹脂を管の損傷部の表面に盛って硬化させることで、損傷部の型取りと補修用部材の形成とを一度に行うことができ、また加工工場への運搬や加工工場での機械加工を行うことが不要であり、このため、きわめて簡単に、しかも短時間のうちに、管の損傷部を補修することができる。
図1において、1は管母材、2は損傷部で、これらは図6〜図8に示したものと同じものである。
11は板状の補修用部材で、損傷部2を覆った状態で、止めボルト12によって管母材1に固定されている。13はゴム製の環状のシール材で、管母材1の表面における損傷部2のまわりを囲んだ状態で、補修用部材11と管母材1との間に挟み込まれている。14は、シール材13を収容するために補修用部材11に形成された収容溝で、図示のものでは横断面矩形状に形成されている。
補修用部材の製造方法は、次のとおりである。まず、図2に示すように、管母材1の表面における損傷部2のまわりを、収容溝形成用型材15で囲む。この型材15は、たとえばゴム材によって環状に形成され、その横断面形状は補修用部材11の収容溝14の横断面形状に対応したものとされている。そして、型材15を、たとえば両面粘着テープなどを用いて管母材1の表面に貼り付ける。
次に、損傷部2と型材15とを包み込んで覆うようにして、管母材1の表面に硬化性樹脂16を盛る。このとき、樹脂16は、型材15よりも損傷部2から離れた適当位置までにわたって盛りあげる。また、損傷部2の補修材として必要な強度が得られる程度の厚さであって、一様な厚さに盛りあげる。所要の強度を得るために必要であれば、図示のよう、内部に鉄筋などの芯材17を埋設することもできる。
盛りあげが完了したなら、そのままの状態で養生して、樹脂16を硬化させて補修用部材11を形成する。樹脂16が硬化すると、型材15によって、図1に示すシール材13を収容するための横断面矩形状の収容溝14を形成することができる。補修用部材11をたとえば矩形状に形成した場合には、その四隅に、図1に示す止めボルト12を通すための貫通孔19を機械加工によって形成し、また同時に管母材1にも穿孔を施してこれをねじ孔加工のための下孔とする。この貫通孔19や下孔は、手持ち式の電動ドリルなどを用いて、管が敷設されている場所において、容易に穿孔することができる。
図3は、硬化され管母材1から取り外されたときの補修用部材11を、図2の状態に比べて表裏を逆にして示したものである。図示のように、補修用部材11には、管母材1における損傷部2が存在する部分の表面の曲面形状が型取りされた曲面18が形成されている。また、形成された補修用部材11には、型材15に対応する収容溝14が形成されている。
補修用部材11を取り外した後の管母材1には、上記の下孔を利用して、図1に示すねじ孔20を加工する。
そして、補修用部材11の貫通孔19に通した止めボルト12をねじ孔20にねじ込むことで、補修用部材11を管母材1に固定する。このとき、図4(a)に示すように収容溝14にシール材13をはめ込み状態で収容して、補修用部材11と共締めすることにより、図4(b)および図1に示すようにシール材13が圧縮されて所要のシール機能を発揮する。
以上によって管母材1の補修工事が完了するが、上記のように簡単な工程だけで、特殊な技量を必要とせずに、補修を行うことができる。しかも、すべての工程を管が敷設されている場所で行うことができ、機械加工工場への部材の運搬などを必要としない。かつ、実質的な作業時間は樹脂16の硬化時間程度であり、型取りした部材11をそのまま補修の用途に供するものであるため、型取りした部材をもとにして板材を湾曲加工させるという困難な工程はまったく必要なく、きわめて短時間のうちに補修工事を完了することができる。
補修用部材11に所定の強度を付与することが必要な場合には、上記のように鉄筋などの芯材17を埋設させることのほかに、図5に示すようにガラス繊維21を用いて補強することもできる。この場合は、まず管母材1の表面に下側の樹脂層22を形成し、その上にガラス繊維21を配置し、さらにその上に上側の樹脂層23を形成して、これら上下の樹脂層22、23を、内部にガラス繊維21を埋設した状態で一体に硬化させればよい。
本発明の実施の形態の管の補修方法を示す、当該管の要部の断面図である。 図1における補修用部材の製法を示す図である。 補修用部材の一部を切り欠いて示す斜視図である。 図1におけるシ−ル材の設置工程を示す図である。 補修用部材の他の構成例を示す図である。 従来の管の補修方法を示す図である。 従来の他の管の補修方法を示す図である。 図7に示す当て金の製造方法を示す図である。 硬化した状態の型取り材料の一部を切り欠いて示す斜視図である。
符号の説明
1 管母材
2 損傷部
11 補修用部材
13 シール材
16 硬化性樹脂

Claims (2)

  1. 管の表面における損傷部のまわりを収容溝形成用型材で囲み、この収容溝形成用型材を管の表面に貼り付け、損傷部と収容溝形成用型材とを覆うようにして管の表面に硬化性樹脂を盛り、この樹脂を硬化させることにより前記損傷部を覆うことが可能な補修用部材を形成するとともに、補修用部材に収容溝を形成し、収容溝にシール材をはめ込んだ状態で、前記補修用部材を管に固定して、シール材を前記補修用部材と管の表面との間に挟み込むことを特徴とする管の補修方法。
  2. 硬化性樹脂に芯材又はガラス繊維を埋設することを特徴とする請求項1記載の管の補修方法。
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