図1は、本発明の実施例に係る極低温冷凍機の構成例を示す断面図であり、極低温冷凍機1は、例えば、GM冷凍機であって、主に、圧縮機2及び冷凍機3を含む。
圧縮機2は、冷媒ガス(ヘリウムガス)をその低圧側2Aから吸い込み、冷媒ガスの圧力を高めて高圧側2Bに排出し冷凍機3に供給する。
冷凍機3は、ハウジング4、シリンダ5、モータ6、クランク部材7、スコッチヨーク8、ロータリーバルブ9、ディスプレーサ10、第一冷却ステージ11、及び第二冷却ステージ12で構成される。
ハウジング4は、圧縮機2の高圧側2Bに接続される冷媒ガス導入口13と、圧縮機2の低圧側2Aに接続される冷媒ガス導出口14とを有する。
シリンダ5は、図で示されるように、二段式のディスプレーサ10を上下方向に往復摺動可能に収容し、その摺動部分にはシールが配置される。
モータ6は、例えば電動モータであって、クランク部材7に連結される出力軸24を有する。
ここで、図2及び図3を参照しながら、ハウジング4内のクランク部材7、スコッチヨーク8、及びロータリーバルブ9の詳細について説明する。なお、図2は、ハウジング4内のクランク部材7、スコッチヨーク8、及びロータリーバルブ9の分解斜視図であり、図3は、ロータリーバルブ9の分解斜視図である。
クランク部材7は、キー接続によりモータ6の出力軸24に連結され、モータ6の出力軸24から偏心して配置されその出力軸24に平行に延びるクランクピン25を有する。
スコッチヨーク8は、横長の平板部26、上方軸27U、下方軸27D、及びクランクピン軸受28を有し、下方軸27Dをディスプレーサ10の上部に固定し、横長の平板部26に角丸長方形の窓部34を形成してその内側に円筒形状のクランクピン軸受28を転動可能に配置する。
また、スコッチヨーク8は、クランクピン軸受28の内壁にクランクピン25を摺動可能に受け入れる。
また、スコッチヨーク8は、回転止めのピン(図示せず)により上方軸27U及び下方軸27D周りの回転が規制され、シール材を兼ねる一対の滑り軸受35U、35D(図1参照。)のそれぞれによって上方軸27U、下方軸27Dが支持され、上下方向に往復動可能となるように構成される。
このようにして、スコッチヨーク8は、クランク部材7の回転運動をディスプレーサ10の上下往復運動に変換する。
なお、クランクピン軸受28は、好適には、非磁性樹脂材料で形成されるものとする。
ロータリーバルブ9は、バルブプレート29、バルブ本体30、圧縮スプリング31、及び固定ピン32を有し、バルブプレート29に形成されたクランクピン係合孔33にクランクピン25を受け入れる。
バルブプレート29は、クランク部材7側に位置する低圧側面29Aと、低圧側面29Aの反対側にあるバルブ本体30に面する高圧側面29Bとを有する。
また、バルブプレート29は、低圧側面29Aと高圧側面29Bとを連通する軸方向の円弧状貫通孔29Cと、高圧側面29Bの面に形成される径方向長溝29Dとを有する。
バルブ本体30は、高圧側面29Bに密着して接触する第一側面30Aと、第一側面30Aの反対側にあり圧縮機2の高圧側2Bから冷媒ガスを受ける第二側面30Bとを有する。
また、バルブ本体30は、第一側面30Aと第二側面30Bとを連通する中心貫通孔30Cと、第一側面30Aに形成される円弧状溝30Dと、円弧状溝30Dに連通してバルブ本体30の外周面に開口する連通用矩形孔30Eと、固定ピン32を挿入する固定用孔30Fとを有する。
なお、連通用矩形孔30Eは、ハウジング4のガス流路36(図1参照。)を介してディスプレーサ10の第一空間17と連通する。
図4は、バルブプレート29とバルブ本体30との当接面(高圧側面29B及び第一側面30A)をバルブ本体30側から見た図である。
図4で示されるように、円弧状貫通孔29Cは、バルブプレート29の中心から中心貫通孔30Cと円弧状溝30Dとの間の距離に等しい半径の位置にある丸孔を、同一半径の円周上に所定の円周角度分だけ広げた形状を有する。
バルブプレート29における小判型の形状を有する径方向長溝29Dは、バルブプレート29の中心から中心貫通孔30Cと円弧状溝30Dとの間の距離に等しい長さを有する。
また、バルブ本体30における円弧状溝30Dの形状は、円弧状貫通孔29Cと同様に、バルブ本体30の中心から中心貫通孔30Cと円弧状溝30Dとの間の距離に等しい半径の位置にある丸孔を、同一半径の円周上に所定の円周角度分だけ広げた形状を有する。
このように、バルブプレート29は、その中心軸をバルブ本体30の中心軸と一致させ、高圧側面29Bを第一側面30Aに接触させながら摺動回転し、中心貫通孔30Cと径方向長溝29Dとを常に連通状態とする。
また、バルブプレート29は、径方向長溝29Dが円弧状溝30Dと連通しているときを吸気弁「開」及び排気弁「閉」の状態とし、円弧状貫通孔29Cが円弧状溝30Dと連通しているときを吸気弁「閉」及び排気弁「開」の状態とする。
なお、バルブプレート29は、ベアリング37(図1参照。)により、回転可能且つ軸方向に移動不能に支持される。また、バルブ本体30は、固定ピン32により、ハウジング4に対して回転不能となり、且つバルブプレート29に対して摺動するように固定される。
圧縮スプリング31は、バルブ本体30の偏りを防止するための部材であり、バルブ本体30をバルブプレート29に押し付けるようにする。
ここで、再び図1を参照しながら、極低温冷凍機1における冷凍機3の構成要素の説明を継続する。
ディスプレーサ10は、第一蓄冷材15及び第二蓄冷材16を内蔵し、シリンダ5との間に第一空間17(室温空間)、第二空間18(第一膨張空間)、及び第三空間19(第二膨張空間)を形成し、第一連通孔20、第二連通孔21、第三連通孔22、及び第四連通孔23を介して三つの空間のそれぞれを連通可能にする。
ディスプレーサ10が上昇すると、第一空間17はその容積を減少させ、反対に、第二空間18及び第三空間19はその容積を増大させる。
第一冷却ステージ11及び第二冷却ステージ12は、シリンダ5から外側に延びるフランジによって構成され、シリンダ5内で発生する冷熱を冷却対象物に対して熱伝導可能に配置される。
ここで、極低温冷凍機1の通常の冷却モード運転について説明する。
圧縮機2の高圧側2Bから出た高圧のヘリウムガスは、冷媒ガス導入口13を通じてハウジング4内に導かれる。その際、高圧のヘリウムガスは、圧縮スプリング31とともにバルブ本体30をバルブプレート29に押し付ける。
ヘリウムガスの大部分は、バルブ本体30の中心貫通孔30Cからバルブプレート29の径方向長溝29Dに伝わる。
バルブプレート29は、モータ6の回転により、図3で示されるように反時計方向に回転させられ、径方向長溝29Dと円弧状溝30Dとを接続して第一空間17に冷媒ガスが供給されるようにする。この状態が前述の吸気弁「開」の状態である。スコッチヨーク8及びディスプレーサ10は、吸気弁「開」の状態が創出されるのと同時に上昇を開始する。
吸気弁「開」及びディスプレーサ10の上昇にともない、ヘリウムガスは、中心貫通孔30C、径方向長溝29D、円弧状溝30D、連通用矩形孔30E、及びガス流路36を経て第一空間17に至り、第一蓄冷材15で冷却されて第二空間18に至り、更に、第二蓄冷材16で冷却されて第三空間19に至る。
ディスプレーサ10が上死点に達すると、バルブプレート29は、径方向長溝29Dと円弧状溝30Dとの間の接続を解除し、円弧状貫通孔29Cを円弧状溝30Dに接続する。
その結果、バルブプレート29は、圧縮機2からシリンダ5への高圧ヘリウムガスの流入を遮断する一方で、排気弁「開」の状態を創出して、ディスプレーサ10の下降とともに第二空間18及び第三空間19内の高圧ヘリウムガスを膨張させる。
膨張させられたヘリウムガスは、第一蓄冷材15及び第二蓄冷材16を冷却し、ガス流路36、連通用矩形孔30E、円弧状溝30D、及び円弧状貫通孔29Cを通過し、更にはスコッチヨーク8及びクランク部材7の近傍を通過して、冷媒ガス導出口14から圧縮機2の低圧側2Aに戻る。
このような冷却モード運転を繰り返すことによって、極低温冷凍機1は、第一冷却ステージ11及び第二冷却ステージ12を冷却する。
次に、図5を参照しながら、スコッチヨーク8におけるクランクピン軸受28の詳細について説明する。なお、図5は、クランクピン軸受28の詳細図であり、図5(A)は、図1の点線円で囲まれた領域を拡大した図であり、図5(B)は、図5(A)のVB−VB線断面図である。また、図5(B)のVA−VA線断面図が図5(A)に対応するものとする。
クランクピン軸受28は、好適には、円筒形状の非磁性樹脂材料で構成され、クランクピン25に接触する円筒内壁と、平板部26に形成された角丸長方形の窓部34の内壁に接触する円筒外壁とを有する。
なお、スコッチヨーク8は、クランクピン軸受28の円筒内壁とクランクピン25との間の接触摩擦力が、クランクピン軸受28の円筒外壁と平板部26との間の接触摩擦力よりも小さくなるように構成されるものとする。
クランクピン軸受28が、その円筒内壁でクランクピン25を摺動可能に支持しながら、窓部34の内壁上を転動できるようにするためである。
そのため、クランクピン軸受28は、例えば、硬く摺動性に優れたフッ素樹脂材料等で一体的に形成される。
また、非磁性樹脂材料で形成されたクランクピン軸受28は、非磁性ステンレス鋼で形成されたクランクピン25及び平板部26との焼き付けを防止できるという効果も有する。
また、クランクピン軸受28は、モータ6の出力軸24を中心とする円軌道TR(図5(B)参照。)に沿って移動(公転)するクランクピン25の外周面とクランクピン軸受28の円筒内壁とを摺動させる。
更に、クランクピン軸受28は、その円筒外壁を平板部26に形成された窓部34の内壁に摩擦接触させ、矢印ARの方向に回転(自転)しながら、見かけ上、窓部34内を図の左方向に移動(転動)する。
このように、クランクピン軸受28は、クランクピン25上でクランクピン25に対し相対的に回転しながら、窓部34の内壁上を摺動することなく転動することにより、円軌道TRに沿って公転しながら自転することとなり、見かけ上、窓部34内を図の左右方向に往復動することとなる。
以上の構成により、クランクピン軸受28を備えた極低温冷凍機1は、超伝導電磁石が発生させる強磁場の影響を受けないスコッチヨーク8によりディスプレーサ10を上下に往復動させることができ、超伝導電磁石を適切に冷却することができる。
次に、図6を参照しながら、スコッチヨーク8におけるクランクピン軸受の別の実施例であるクランクピン軸受28aについて説明する。なお、図6は、クランクピン軸受28aの詳細図であり、図6(A)及び図6(B)はそれぞれ、図5(A)及び図5(B)に対応する図である。
クランクピン軸受28aは、円筒内壁部28a1及び円筒外壁部28a2の二部材で形成され、それらのそれぞれが別々の非磁性樹脂材料で形成される点でクランクピン軸受28と異なる。なお、円筒内壁部28a1及び円筒外壁部28a2は、公知の技術を用いて相対回転不能に結合されているものとする。
また、円筒内壁部28a1を形成する非磁性樹脂材料は、円筒外壁部28a2を形成する非磁性樹脂材料よりも摺動性の高い材料が選択される。
クランクピン軸受28aが、その円筒内壁部28a1でクランクピン25を摺動可能に支持しながら、窓部34の内壁上を転動できるようにするためである。
例えば、クランクピン軸受28aは、その円筒内壁部28a1がフッ素樹脂材料等の摺動性の高い高硬度樹脂材料(例えば、PTFE、PPS等である。)で形成され、その円筒外壁部28a2がより硬度の低い低硬度樹脂材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等である。)で形成される。
これにより、クランクピン軸受28aは、クランクピン軸受28のようにフッ素樹脂材料で一体的に形成される場合と比べ、製造コストを低減させることができる。
この場合、高硬度樹脂材料及び低硬度樹脂材料のそれぞれの使用量、すなわち、円筒内壁部28a1及び円筒外壁部28a2のそれぞれの厚みは、機能面とコスト面とを考慮しながら適宜決定されるものとする。
また、クランクピン軸受28aは、基本的に高硬度樹脂材料で形成され、その円筒外壁の表面が低硬度樹脂材料でコーティングされたものであってもよい。クランクピン軸受28aがその円筒内壁でクランクピン25を摺動可能に支持しながら窓部34の内壁上を空転することなく転動するというクランクピン軸受28aの特性を更に改善するためである。
反対に、クランクピン軸受28aは、基本的に低硬度樹脂材料で形成され、その円筒内壁の表面が高硬度樹脂材料でコーティングされたものであってもよい。クランクピン軸受28aの上述の特性を維持しながらも、高価な高硬度樹脂材料の使用量を低減させることで、製造コストを低減させるためである。
図7は、クランクピン軸受28aの円筒内壁部28a1の幅W1と円筒外壁部28a2の幅W2との間の関係を示す図であり、図7(A)〜図7(C)はそれぞれ、図5(A)に対応する図である。
また、図7(A)は、幅W1が幅W2と等しい場合を示し、図7(B)は、幅W2が幅W21に拡大された場合を示し、図7(C)は、幅W1が幅W11に縮小された場合を示す。
図7(B)で示されるように円筒外壁部28a2の幅W2を幅W21に拡大した場合には、窓部34内におけるクランクピン軸受28aの転動を安定化させる効果がある。
また、図7(C)で示されるように円筒内壁部28a1の幅W1を幅W11に縮小した場合には、高価な高硬度樹脂材料の使用量を低減させる効果がある。
このように、クランクピン軸受28aは、その二部材構成により、円筒内壁部28a1の幅W1及び円筒外壁部28a2の幅W2を別々に設定できるようにし、上述の効果を含む所望の効果に応じて幅W1及び幅W2をより柔軟に選択できるようにする。
なお、円筒内壁部28a1の幅W1及び円筒外壁部28a2の幅W2のそれぞれは、平板部26の幅W3より大きいものであってもよく、平板部26の幅W3より小さいものであってもよい。また、円筒内壁部28a1の幅W1は、円筒外壁部28a2の幅W2より大きいものであってもよい。
以上の構成により、クランクピン軸受28aを備えた極低温冷凍機1は、超伝導電磁石が発生させる強磁場の影響を受けないスコッチヨーク8によりディスプレーサ10を上下に往復動させることができ、超伝導電磁石を適切に冷却することができる。
また、クランクピン軸受28aは、比較的摩耗し易い円筒内壁部28a1に高硬度樹脂材料を用い、比較的摩耗しにくい円筒外壁部28a2に低硬度樹脂材料を用いることにより、所要の耐摩耗性能を維持しながらも、全体に高硬度樹脂材料を用いる場合に比べ、製造コストを低減させることができる。
次に、図8を参照しながら、スコッチヨーク8におけるクランクピン軸受の更に別の実施例であるクランクピン軸受28bについて説明する。なお、図8は、クランクピン軸受28bの詳細図であり、図8(A)〜図8(C)はそれぞれ、図5(A)に対応する図である。
具体的には、図8(A)は、クランクピン25の軸線とスコッチヨーク8の軸線(上方軸27U及び下方軸27Dの軸線)とが直交した状態を示す。
また、図8(B)は、クランクピン25の軸線が水平線に対して角度αだけ傾斜し、スコッチヨーク8の軸線と直交しない状態を示し、図8(C)は、スコッチヨーク8の軸線が鉛直線に対して角度βだけ傾斜し、クランクピン25の軸線と直交しない状態を示す。
クランクピン軸受28bは、その軸方向に垂直な方向から見たとき(図を正面から見たとき)のその円筒外壁の輪郭28b1が、凸状である点でクランクピン軸受28、28aと異なる。
なお、輪郭28b1は、明確化のため、太い実線で強調表示されており、具体的には、所定の半径を有する円の一部を構成する円弧で表される。
輪郭28b1のこのような形状は、クランクピン25の軸線とスコッチヨーク8の軸線とが直交しない場合であっても、スコッチヨーク8を動作させる際に、クランクピン軸受28bに無理な力が掛からないようにするという効果を有する。
例えば、クランクピン軸受28bは、図8(B)及び図8(C)のそれぞれで示されるような場合であっても、輪郭28b1が凸状であることにより、窓部34の内壁の幅方向中央でその内壁と接触することができ、無理な力を受けることなくスコッチヨーク8の円滑な上下往復動を継続させることができる。
ここでいう「無理な力」とは、例えば、輪郭28b1の形状がクランクピン軸受28、28aのように直線状である場合にその円筒外壁の表面が窓部34の内壁の表面に対して傾斜しながら接触することにより、クランクピン軸受28bが窓部34から受ける過度の力を含む。
また、「無理な力」は、例えば、輪郭28b1の形状が直線状である場合にその円筒内壁の表面がクランクピン25の外面に対して傾斜しながら接触することにより、クランクピン軸受28bがクランクピン25から受ける過度の力を含む。
なお、図8において、クランクピン軸受28bは、その幅W4が平板部26の幅W3より大きいものとなっているが、幅W4は、幅W3に等しいものであってもよく、幅W3より小さいものであってもよい。
以上の構成により、クランクピン軸受28bを備えた極低温冷凍機1は、超伝導電磁石が発生させる強磁場の影響を受けないスコッチヨーク8によりディスプレーサ10を上下に往復動させることができ、超伝導電磁石を適切に冷却することができる。
また、クランクピン軸受28bは、無理な力を受けることなくスコッチヨーク8の円滑な上下往復動を継続させることができ、その無理な力に起因する異音の発生を抑制或いは消失させることができる。
なお、クランクピン軸受28bは、クランクピン軸受28、28aと同様に、非磁性樹脂材料で形成され、クランクピン軸受28bを備えた極低温冷凍機1が超電導磁石の冷却用途に用いられることを想定している。しかしながら、クランクピン軸受28bの輪郭28b1に関する特徴は、クランクピン軸受28bを備えた極低温冷凍機1が超電導磁石の冷却以外の用途に用いられる場合にも有利的に適用可能である。この場合、クランクピン軸受28bは、磁性材料で形成されたものであってもよい。
次に、図9を参照しながら、スコッチヨーク8におけるクランクピン軸受の更に別の実施例であるクランクピン軸受28c〜28eについて説明する。なお、図9は、クランクピン軸受28b〜28eのそれぞれの断面図である。
図9(A)は、図8で説明されたクランクピン軸受28bの断面図を比較対象として示す。
上述のように、クランクピン軸受28bの輪郭28b1は、所定の半径を有する円の一部を構成する円弧で表される。
輪郭28b1は、クランクピン軸受28bの円筒外壁を常に窓部34の内壁の幅方向中央に接触させることができ、その曲率半径が小さくなるにつれて、対応可能な傾斜角の範囲を増大させる。なお、傾斜角は、クランクピン25の軸線の水平線に対する傾斜角、又は、スコッチヨーク8の軸線の鉛直線に対する傾斜角を意味する。
図9(B)は、クランクピン軸受28cの断面図を示し、クランクピン軸受28cの輪郭28c1は、その中央に直線部分を含み、その両側に曲線部分を含む。
輪郭28c1は、その直線部分により、クランクピン25の軸線とスコッチヨーク8の軸線とが直交している場合には、図9(A)の輪郭28b1に比べ、クランクピン軸受28cの円筒外壁と平板部26との間の接触面積を増大させることができ、クランクピン軸受28cの転動をより安定化させることができる。
更に、輪郭28c1は、その曲線部分により、クランクピン25の軸線とスコッチヨーク8の軸線とが直交しない場合であっても、クランクピン軸受28cに無理な力を受けさせることなくスコッチヨーク8の円滑な上下往復動を継続させることができる。
なお、その場合における平板部26とクランクピン軸受28cとの間の接触は、図9(A)の輪郭28b1に比べ、窓部34の内壁の縁により近いところで行われることとなる。
図9(C)は、クランクピン軸受28dの断面図を示し、クランクピン軸受28dは、主に、図9(A)の輪郭28b1と同じ凸状の輪郭を有する非磁性樹脂材料でできた本体部28d1で構成される。なお、この非磁性樹脂材料は、好適には、低硬度樹脂材料である。
また、本体部28d1は、その円筒内壁が別の非磁性樹脂材料によってコーティングされている。なお、この別の非磁性樹脂材料によってコーティングされた被覆層28d2は、好適には、フッ素樹脂材料等の高硬度樹脂材料によるものである。
図9(D)は、クランクピン軸受28eの断面図を示し、クランクピン軸受28eは、図9(A)の輪郭28b1と同じ凸状の輪郭を有する非磁性樹脂材料でできた円筒外壁部28e1と、円筒外壁部28e1とは別の非磁性樹脂材料でできた円筒内壁部28e2とで構成される。
なお、円筒外壁部28e1は、好適には、低硬度樹脂材料で形成され、円筒内壁部28e2は、好適には、フッ素樹脂材料等の高硬度樹脂材料で形成される。
以上の構成により、クランクピン軸受28d、28eは、クランクピン軸受28bによる効果(曲線を含む輪郭形状による効果)を実現させながら、更に、クランクピン軸受28aによる効果(二種類の樹脂材料を使い分けることによる効果)を実現させることができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例において、クランクピン軸受28a、28d、28eは、二種類の樹脂を用いて構成されるが、三種類以上の樹脂材料を用いて構成されていてもよい。
その場合、クランクピン軸受28a、28d、28eは、他の部材と接触しない部分に低硬度樹脂材料を使用し、他の部材と接触する二つの部分のそれぞれに別々の高硬度樹脂材料を使用するようにしてもよい。
また、クランクピン軸受28a、28d、28eは、他の部材と接触する二つの部分のそれぞれに同じ高硬度樹脂材料を使用するようにしてもよい。
また、本発明の実施例に係る極低温冷凍機は、磁気ノイズを発生させないため、特にMRI用途に好適である。