JP2012192166A - 咬合器 - Google Patents
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Abstract
【課題】上下顎開口状態の保持及び保持解除が容易にできるようにして、歯科技術実習を効率化することを可能にした咬合器を提供する。
【解決手段】この咬合器1は、棒状の支持軸体20を有する支持部材2と、支持軸体20の軸方向の適宜位置に取り付けられる上顎側連結部材3と、上顎側連結部材3に回動可能に連結される下顎側連結部材4と、上顎側連結部材3に装着される上顎模型5と、下顎側連結部材4に装着される下顎模型6と、を備え、下顎側連結部材4は、所定位置に回動させたときに支持軸体20に嵌合し係止するストッパ43を有する。
【選択図】図1
【解決手段】この咬合器1は、棒状の支持軸体20を有する支持部材2と、支持軸体20の軸方向の適宜位置に取り付けられる上顎側連結部材3と、上顎側連結部材3に回動可能に連結される下顎側連結部材4と、上顎側連結部材3に装着される上顎模型5と、下顎側連結部材4に装着される下顎模型6と、を備え、下顎側連結部材4は、所定位置に回動させたときに支持軸体20に嵌合し係止するストッパ43を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、歯科技術実習などに好適な咬合器に関する。
従来より、歯科技術実習などのため、それぞれ歯列を有した上下顎模型が近接・離反するように連結部材を介して後側で連結し、しかも上下顎模型が最も近接したときに上下の歯列が咬合する(噛み合わさる)ようにした咬合器が使用されている。この咬合器は種々の形態のものがあり、歯科大学や衛生士学校などにおける歯科技術実習においては、実物の構造及び動きをよく再現した咬合器が用いられている。
歯科技術実習に用いられる従来の咬合器は、引用文献1及び2などに記載されているが、それらの中で特に広く用いられている例を図15〜図17に示す。この咬合器101は、棒状の支持軸体120を有する支持部材102と、支持軸体120に取り付けられる上顎側連結部材103と、上顎側連結部材103に回動可能に連結される下顎側連結部材104と、上顎側連結部材103に装着される上顎模型105と、下顎側連結部材104に装着される下顎模型106と、を基本的構成として備える。
上顎側連結部材103と下顎側連結部材104との間の連結は、顎関節機能を再現するように以下の構成になっている。上顎側連結部材103には、左右対称に外方に延びた回動軸部133、133が設けられている(図16参照)。一方、下顎側連結部材104には、回動軸部133、133に当接する軸孔部141a、141aが設けられている。また、ばね部材104A、104Aが、回動軸部133、133と下顎側連結部材104(詳しくは、下顎側連結部材104に左右対称に外方に突出するように形成されたばね掛け部142、142)との間に架け渡されており、ばね部材104A、104Aの付勢力により軸孔部141a、141aは回動軸部133、133に当接した状態で回動可能になっている。
また、支持軸体120には、2個の位置固定部材107、107’が取り付けられている。外力を加えて下顎側連結部材104を回動させ、上下歯列105a、106a間の隙間を開けて行くと、下顎側連結部材104が支持軸体120に接し、そのとき、2個の位置固定部材107、107’を互いの近接方向に移動して、図15及び図16に示すように、下顎側連結部材104を挟むことによりその上下顎開口状態を保持することができる。そして、2個の位置固定部材107、107’を互いの離反方向に移動して上下顎開口状態の保持解除を行い、下顎側連結部材104を上記と逆方向に回動させ、図17に示すように、上下歯列105a、106aを咬合させ、その噛み合わせ状態を確認することができる。
上顎模型105の上顎側連結部材103への、及び、下顎模型106の下顎側連結部材104への最も典型的な装着方法は、上顎側連結部材103の一部を構成する模型装着部130及び下顎側連結部材104の一部を構成する模型装着部140に円形の取付孔を形成し、それらに装着用ねじ130A、130B、140A、140Bを通過させて上顎模型105と上顎側連結部材103及び下顎模型106と下顎側連結部材104を固く装着するものである(図16参照)。
ところで、ハンドピースを用いた歯の切削実習などの場合、上顎模型105や下顎模型106は、切削ごとに噛み合わせ状態を確認したり切削した歯を交換したりする必要がある。そのため、上下顎開口状態の保持及び保持解除が容易にできるようにしたり、歯の交換のために上顎模型105又は下顎模型106の取り外し及び装着が容易にできるようにしたりすることで、歯科技術実習を効率化することが望まれる。
しかし、上記のように、2個の位置固定部材107、107’を用いて上下顎開口状態の保持及び保持解除をしたり、単に装着用ねじ130A、130B、140A、140Bを用いて上顎模型105及び下顎模型106の取り外し及び装着を行ったりすると、それらの作業にかなりの時間を要することになる。
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、上下顎開口状態の保持及び保持解除が容易にできるようにし、また、更に、上顎模型及び下顎模型の取り外し及び装着が容易にできるようにして、歯科技術実習を効率化することを可能にした咬合器を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の咬合器は、棒状の支持軸体を有する支持部材と、支持軸体の軸方向の適宜位置に取り付けられる上顎側連結部材と、該上顎側連結部材に回動可能に連結される下顎側連結部材と、前記上顎側連結部材の模型装着部の装着面に当接して装着される上顎模型と、前記下顎側連結部材の模型装着部の装着面に当接して装着される下顎模型と、を備え、前記下顎側連結部材は、貫通した中空部を有して所定位置に回動させたときに前記支持軸体に嵌合し係止するストッパを有することを特徴とする。
請求項2に記載の咬合器は、請求項1に記載の咬合器において、前記ストッパは、合成樹脂製であることを特徴とする。
請求項3に記載の咬合器は、請求項1又は2に記載の咬合器において、前記ストッパの中空部は、前記下顎側連結部材の模型装着部の装着面に対して傾いた方向に貫通していることを特徴とする。
請求項4に記載の咬合器は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の咬合器において、前記下顎側連結部材は、前記ストッパの左右の離れた位置に背面側凹みが形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の咬合器は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の咬合器において、前記上顎側連結部材及び前記下顎側連結部材はそれぞれ、その模型装着部に取付孔が2個設けられており、前記上顎模型は、前記上顎側連結部材の模型装着部の取付孔に対応する位置に2個の雌ねじ部が設けられており、前記下顎模型は、前記下顎側連結部材の模型装着部の取付孔に対応する位置に2個の雌ねじ部が設けられており、前記上顎模型は前記上顎側連結部材に、前記下顎模型は前記下顎側連結部材に、それぞれ前記取付孔を通し前記雌ねじ部にねじ込まれる装着用ねじによって装着されることを特徴とする。
請求項6に記載の咬合器は、請求項5に記載の咬合器において、前記上顎側連結部材は、一方の取付孔に斜め上方又は下方に向かうねじ導入溝が、他方の取付孔に斜め下方又は上方に向かうねじ導入溝が連通して設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の咬合器は、請求項5に記載の咬合器において、前記上顎側連結部材は、前記2個の取付孔に上下いずれかの同方向に向かうねじ導入溝が連通して設けられていることを特徴とする。
請求項8に記載の咬合器は、請求項6又は7に記載の咬合器において、前記上顎側連結部材は、前記上顎模型が当接する装着面に2個の凹部が設けられており、前記上顎模型は、前記上顎側連結部材に当接する装着面に2個の凹部が設けられ、それらの内側に、ずれ阻止体を有していることを特徴とする。
請求項9に記載の咬合器は、請求項5〜8のいずれか1項に記載の咬合器において、前記下顎側連結部材は、一方の取付孔に斜め上方又は下方に向かうねじ導入溝が、他方の取付孔に斜め下方又は上方に向かうねじ導入溝が連通して設けられていることを特徴とする。
請求項10に記載の咬合器は、請求項5〜8のいずれか1項に記載の咬合器において、前記下顎側連結部材は、前記2個の取付孔に上下いずれかの同方向に向かうねじ導入溝が連通して設けられていることを特徴とする。
請求項11に記載の咬合器は、請求項9又は10に記載の咬合器において、前記下顎側連結部材は、前記下顎模型が当接する装着面に2個の凹部が設けられており、前記下顎模型は、前記下顎側連結部材に当接する装着面に2個の凹部が設けられ、それらの内側に、ずれ阻止体を有していることを特徴とする。
請求項12に記載の咬合器は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の咬合器において、前記支持部材は、基台取付部によって基台に取り付けられることを特徴とする。
請求項13に記載の咬合器は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の咬合器において、前記支持部材は、基台固定部材によって基台に取り付けられたマネキンヘッドに取り付けられることを特徴とする。
請求項14に記載の咬合器は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の咬合器において、前記上顎模型又は上顎側連結部材は、基台固定部材によって基台に取り付けられたマネキンヘッドに取り付けられることを特徴とする。
請求項15に記載の咬合器は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の咬合器において、前記下顎模型又は下顎側連結部材は、基台固定部材によって基台に取り付けられることを特徴とする。
請求項16に記載の咬合器は、請求項13〜15のいずれか1項に記載の咬合器において、前記支持軸体は、その下部が前記下顎側連結部材の方に曲げられていることを特徴とする。
本発明の咬合器によれば、上記のようなストッパを支持軸体に嵌合し係止させることによって上下顎開口状態の保持が容易にでき、また、保持解除も容易にできるので、歯科技術実習を効率化することが可能になる。また、上記のようなねじ導入溝を設けることで、上顎模型及び下顎模型の取り外し及び装着が容易にできるので、更に歯科技術実習を効率化することが可能になる。
以下、本発明を実施するための好ましい形態を説明する。本発明の実施形態に係る咬合器1は、図1〜図3に示すように、棒状の支持軸体20を有する支持部材2と、支持軸体20の軸方向の適宜位置に取り付けられる上顎側連結部材3と、上顎側連結部材3に回動可能に連結される下顎側連結部材4と、上顎側連結部材3に装着される上顎模型5と、下顎側連結部材4に装着される下顎模型6と、を基本的構成として備える。
支持部材2は、例えば、図4に示すような基台取付部21によって実習診療台などの基台に取り付けられる。基台取付部21の構造は限定されるものではない。支持軸体20は、咬合器1として背面側となる部分が平坦な面としてあり、断面形状は略D形になっている(図2参照)。なお、支持軸体20は、頭部の他の部分を再現した模型(マネキンヘッド)も必要に応じて取り付け可能である。
上顎側連結部材3は、図5等に示すように、模型装着部30と側部31、31と支持軸固定部32と回動軸部33、33とを有する。
模型装着部30は、その装着面30Sに上顎模型5を装着する部分である。この装着面30Sは、上顎模型5の後述の装着面50Sにぴったりと当接するように、凸部をなくして、下記の取付孔30a、30b近傍と凹部30c、30dを除いて平坦度が高い平面になっている。
模型装着部30は、図6(a)に示すように、2個の取付孔30a、30bを有している。これらの取付孔30a、30bは、一方の取付孔30aに斜め下方に向かうねじ導入溝30aaが、他方の取付孔30bに斜め上方に向かうねじ導入溝30baが連通して設けられている。これらねじ導入溝30aa、30baは、上顎模型5を後述するようにして取付孔30a、30bにてねじ固定する際、上顎模型5にその装着用ねじ30A、30Bを仮螺合とした状態で、上顎模型5を回転させたときに装着用ねじ30A、30Bが移動し得るようになっている。従って、ねじ導入溝30aa、30baは、これらの中心から等距離寸法を半径とする円の円弧部分とするのが好ましい。ねじ導入溝30aaが斜め上方に、ねじ導入溝30baが斜め下方にそれぞれ向かうものであっても構わない。
模型装着部30は、また、図6(a)に示すように、装着面30Sに2個の凹部30c、30dが設けてある。
上顎側連結部材3の側部31、31は、図5等に示すように、模型装着部30と支持軸固定部32を左右から連接する部分である。支持軸固定部32は、支持軸体20に取り付けるための部分であり、支持軸体20が挿通する支持軸孔32aと、この支持軸孔32aに直交して螺合させている支持軸固定用ねじ部材32Aと、を有する。また、模型装着部30における装着用ねじ30A、30Bのドライバーによるねじ込み作業を容易にするため、支持軸固定部32の装着用ねじ30A、30Bと背面視で重なる部分を切り欠いておくのが好ましい(図2参照)。回動軸部33、33は、下顎側連結部材4を連結し、下顎側連結部材4の回動のための軸となる部分であり、支持軸孔32a及び支持軸固定用ねじ部材32Aに直交方向であって支持軸固定部32の左右に突設されている。この回動軸部33はその軸方向の中間付近が僅かに小径になっている。
下顎側連結部材4は、図7等に示すように、模型装着部40と回動側部41、41とストッパ43とを有する。
模型装着部40は、その装着面40Sに下顎模型6を装着する部分である。この装着面40Sは、下顎模型6の後述の装着面60Sにぴったりと当接するように、凸部をなくして、下記の取付孔40a、40b近傍と凹部40c、40dを除いて平坦度が高い平面になっている。
模型装着部40は、図8(a)、(b)に示すように、2個の取付孔40a、40bを有している。これらの取付孔40a、40bは、一方の取付孔40aに斜め上方に向かうねじ導入溝40aaが、他方の取付孔40bに斜め下方に向かうねじ導入溝40baが連通して設けられている。これらねじ導入溝40aa、40baは、下顎模型6を後述するように取付孔40a、40bにてねじ固定する際、下顎模型6にその装着用ねじ40A、40Bを仮螺合とした状態で、下顎模型6を回転させたときに装着用ねじ40A、40Bが移動し得るようになっている。従って、ねじ導入溝40aa、40baは、これらの中心から等距離寸法を半径とする円の円弧部分とするのが好ましい。ねじ導入溝40aaが斜め下方に、ねじ導入溝40baが斜め上方にそれぞれ向かうものであっても構わない。
模型装着部40は、また、図8(a)に示すように、装着面40Sに2個の凹部40c、40dが設けてある。
下顎側連結部材4の回動側部41、41は、模型装着部40との左右の連接部から緩やかに角度を変えて、概ね直角に近い角度を変えて上顎側連結部材3の回動軸部33、33に向かって延びている(図1及び図3参照)。この回動側部41、41の先端部近傍に、上顎側連結部材3の回動軸部33、33に回動可能に接触する軸孔部41a、41aを有している(図1及び図3参照)。この軸孔部41a、41aは、一部が開放された略半円状をなしている。また、コイル状のばね部材4A、4Aが回動側部41、41の中間付近に突設したばね掛け部42と回動軸部33の小径部間に架け渡されており、これによって軸孔部41a、41aが回動軸部33、33に回動可能に接触する状態が維持されている。また、回動側部41、41は、後述のように支持軸体20からストッパ43を外して保持解除するときに、指でもって力を加え易いように、そのストッパ43の左右の離れた位置(側面視において重なり合う位置)に背面側凹み41b、41bが形成されているのが好ましい(図1及び図3参照)。
ストッパ43は、下顎側連結部材4を支持軸体20に係止するものであり、図7(a)、(b)に示すように、貫通した中空部43aaを有し、その中空部43aaの側壁の一部(例えば、約1/4周程度)が切り欠かれている嵌合係止部43aと、その切り欠きの両側から若干拡がりながら外方に延出している軸体導入部43bと、模型装着部40の左右方向の中央部分に固定される固定部43cと、を有している。支持軸体20の直径に対し、中空部43aaの直径は同じか若干小さく、また、支持軸体20の直径に対し、中空部43aaの側壁の切り欠き幅は小さくしてある。中空部43aaの貫通方向は、後述のように上下顎開口状態としてストッパ43が支持軸体20に嵌合し係止されるときに、支持軸体20の軸方向に略一致する方向(図1参照)、すなわち、模型装着部40の装着面40Sに対して傾いた方向(例えば、傾斜角度θが約25度)である(図1参照)。このストッパ43は、支持軸体2が軸体導入部43bを押し広げ、嵌合係止部43aに嵌合し係止されるものとするために、また、ハンドピースを用いた歯の切削実習などに耐え得るために、適度の弾性を有し高耐久性が可能である合成樹脂製(例えば、ポリアセタール樹脂製など)とするのが好ましい。なお、ストッパ43の固定部43cは、固定用ねじによって固定され、固定し易いように模型装着部40のその部分には突設部分40eが設けられている。
上顎模型5は、図1及び図3に示すように、上側歯列5aを下方に設け、上顎側連結部材3の模型装着部30の装着面30Sに当接する歯の植設方向と同じ方向の端面である装着面50Sを有する。この装着面50Sは、上顎側連結部材3の装着面30Sにぴったりと接するように、凸部をなくして、下記の雌ねじ部50a、50bと凹部50c、50dを除いて平坦度が高い平面になっている。装着面50Sには、図6(b)に示すように、上顎側連結部材3の取付孔30a、30bに対応する位置に、2個の雌ねじ部50a、50bが設けてある。従って、取付孔30a、30bに装着用ねじ30A、30Bを通し、その装着用ねじ30A、30Bを雌ねじ部50a、50bにねじ込むことにより、上顎模型5は上顎側連結部材3に装着される。
上顎模型5は、装着面50Sに2個の凹部50c、50dが設けてあり、これらの凹部50c、50dの内側に、ずれ阻止体50C、50Dを有している。凹部50c、50dは、上顎側連結部材3の前述の凹部30c、30dと大きさを等しくしており、また、ずれ阻止体50C、50Dは、装着面50Sよりも隆起させている(図9(a)参照)。具体的には、ずれ阻止体50C、50Dは、取り扱いやすさの点から、凹部50c、50dに注入されて硬化した合成樹脂が好適である。すでに硬化している合成樹脂や天然樹脂或いは金属などをずれ阻止体50C、50Dとして嵌め込むことも、場合によっては可能である。これらのずれ阻止体50C、50Dは、上顎模型5が上顎側連結部材3に装着されたとき、図9(a) に示すように、上顎側連結部材3の前述の凹部30c、30dに嵌り込んで位置ずれを阻止する。
下型模型6は、図1及び図3に示すように、下側歯列6aを上方に設け、下顎側連結部材4の模型装着部40の装着面40Sに当接する歯の植設方向と同じ方向の端面である装着面60Sを有する。この装着面60Sは、下顎側連結部材4の装着面40Sにぴったりと接するように、凸部をなくして、下記の雌ねじ部60a、60bと凹部60c、60dを除いて平坦度が高い平面になっている。装着面60Sには、図8(c)に示すように、下顎側連結部材4の取付孔40a、40bに対応する位置に、2個の雌ねじ部60a、60bが設けてある。従って、取付孔40a、40bに装着用ねじ40A、40Bを通し、その装着用ねじ40A、40Bを雌ねじ部60a、60bにねじ込むことにより、下顎模型6は下顎側連結部材4に装着される。
下顎模型6は、装着面60Sに2個の凹部60c、60dが設けてあり、これらの凹部60c、60dの内側に、ずれ阻止体60C、60Dを有している。凹部60c、60dは、下顎側連結部材4の前述の凹部40c、40dと大きさを等しくしており、また、ずれ阻止体60C、60Dは、装着面60Sよりも隆起させている(図9(b)参照)。具体的には、ずれ阻止体60C、60Dは、取り扱いやすさの点から、凹部60c、60dに注入されて硬化した合成樹脂が好適である。すでに硬化している合成樹脂や天然樹脂或いは金属などをずれ阻止体60C、60Dとして嵌め込むことも、場合によっては可能である。これらのずれ阻止体60C、60Dは、下顎模型6が下顎側連結部材4に装着されたとき、図9(b)に示すように、下顎側連結部材4の前述の凹部40c、40dに嵌り込んで位置ずれを阻止する。
以上説明した咬合器1は以下のようにして使用することができる。先ず、支持部材2を基台に取り付ける。そして、支持軸体20を上顎側連結部材3の支持軸孔32aに挿通させ、上顎側連結部材3及び下顎側連結部材4を支持軸体20の軸方向の適宜位置において、支持軸固定用ねじ部材32Aを締め付けて取り付ける。なお、上顎側連結部材3と下顎側連結部材4は、通常、ばね部材4Aによって連結されてすでに組み立てられている状態でもって取り扱われる。また、上顎模型5及び下顎模型6は、上顎側連結部材3及び下顎側連結部材4を支持軸体20に取り付ける前であっても後であっても装着可能である。
上顎模型5の装着手順は以下の通りである。先ず、装着用ねじ30A、30Bを上顎模型5の雌ねじ部50a、50bに、最終締付け位置より少し手前の位置まで螺合(仮螺合)させる。この状態では、上顎模型5の装着面50Sと装着用ねじ30A、30Bのねじ頭部までの間隔は、上顎側連結部材3の模型装着部30の厚みより大きくなっている。この状態で、装着用ねじ30A、30Bをねじ導入溝30aa、30baに嵌め入れ、装着用ねじ30A、30Bが取付孔30a、30bに至るまで上顎模型5を回動させた後に、装着用ねじ30A、30Bを十分に締め付ける。
下顎模型6の装着手順は以下の通りである。先ず、装着用ねじ40A、40Bを下顎模型6の雌ねじ部60a、60bに、最終締付け位置より少し手前の位置まで螺合(仮螺合)させる。この状態では、下顎模型6の装着面60Sと装着用ねじ40A、40Bのねじ頭部までの間隔は、下顎側連結部材4の模型装着部40の厚みより大きくなっている。この状態で、装着用ねじ40A、40Bをねじ導入溝40aa、40baに嵌め入れ、装着用ねじ40A、40Bが取付孔40a、40bに至るまで下顎模型6を回動させた後に、装着用ねじ40A、40Bを十分に締め付ける。
次に、咬合器1を上下顎開口状態にする手順を説明する。上顎側連結部材3及び下顎側連結部材4が支持軸体20に取り付けられただけの状態では、下顎側連結部材4は所定の範囲(例えば、約20度ないし30度)で自由に回動可能であり、下顎側連結部材4(及び下顎模型6)自体の重みや少しの外力により、上下歯列5a、6a間に隙間ができた状態や上下歯列5a、6aが触れた状態になる。そして、外力を加えて下顎側連結部材4を回動させ、上下歯列5a、6a間の隙間を開けて行くと、所定位置の手前でストッパ43の軸体導入部43bが支持軸体20に当接する。そこで、やや強く回動させると、支持軸体20が軸体導入部43bを押し広げ、クリック感を得て嵌合係止部43aの中空部43aaに嵌合し係止されて所定位置に至る。こうして、上下顎開口状態を保持することができ、ハンドピースを用いた歯の切削実習などが可能となる。
次に、切削実習などの後、歯の噛み合わせ状態の確認のために、下顎側連結部材4を嵌合し係止したときと逆方向にやや強く回動させると、支持軸体20が軸体導入部43bを押し広げ、支持軸体20から嵌合係止部43aが外れて保持解除がなされる。そして、更に下顎側連結部材4を回動させて上下歯列5a、6aを咬合させ、その噛み合わせ状態を確認することができる。
上顎模型5を交換するときは、装着用ねじ30A、30Bを緩め、上顎模型5を装着したときと反対方向に回動させて、上顎模型5を取り外す。そして、新しい上顎模型5を上記と同様にして装着する。下顎模型6を交換するときは、装着用ねじ40A、40Bを緩め、下顎模型6を装着したときと反対方向に回動させて、下顎模型6を取り外す。そして、新しい下顎模型6を上記と同様にして装着する。
このように、下顎側連結部材4に設けられたストッパ43を支持軸体20に嵌合し係止させることによって上下顎開口状態の保持が容易にでき、また、保持解除も容易にできる。また、支持軸体20と上顎側連結部材3と下顎側連結部材4をそのままにして、上顎模型5及び下顎模型6の取り外し及び装着が容易にできる。その結果、この咬合器1は、歯科技術実習の正味を時間を増加させ、歯科技術実習を効率化することができる。
また、装着用ねじ30A、30Bを上顎模型5に、装着用ねじ40A、40Bを下顎模型6に付けた状態で作業できるので、装着用ねじ30A、30B及び装着用ねじ40A、40Bが紛失することがない。また、一方の取付孔30aに連続するねじ導入溝30aaと、他方の取付孔30bに連続するねじ導入溝30baと、が互いに上下方向が逆方向に向かって設けられ、一方の取付孔40aに連続するねじ導入溝40aaと、他方の取付孔40bに連続するねじ導入溝40baと、が互いに上下方向が逆方向に向かって設けられているので、上記のようにして装着することによって上顎模型5及び下顎模型6の上顎側連結部材3及び下顎側連結部材4に対する位置を適正に合わせて装着することが容易にできる。
また、ずれ阻止体50C、50D及びずれ阻止体60C、60Dは、ハンドピースを用いた歯の切削実習などで上顎模型5及び下顎模型6に加わる外力を吸収して、上顎模型5及び下顎模型6の上顎側連結部材3及び下顎側連結部材4に対する位置ずれを阻止できる。また、装着時に、ずれ阻止体50C、50D及びずれ阻止体60C、60Dが凹部30c、30d及び凹部40c、40dに嵌め込まれていることを確認することで、上顎模型5及び下顎模型6の上顎側連結部材3及び下顎側連結部材4に対する位置合わせを更に確実にすることができる。
次に、支持部材2が実習診療台などの基台に直接には取り付けられていない例について説明する。この場合、支持部材2の下端は、基台から離隔している。
支持部材2は、図10に示すような基台固定部材11によって基台に取り付けられたマネキンヘッド10に取り付けることが可能である。この場合、支持軸体20は、直線的に伸びるものに限らず、例えば、図11に示すように、支持軸体20の下部を下顎模型6の方に曲げることができる。そうすると、その支持軸体20にストッパ43が嵌合し係止されることにより、上下歯列5a、6a間の隙間が大きくない上下顎開口状態を保持することができ、高齢者等の余り口を大きく開けることができない人の場合の切削実習などが可能になる。
また、基台固定部材11によって基台に取り付けられたマネキンヘッド10に、図12に示すように、上顎側固定具12によって上顎模型5を直接に取り付けることが可能である。このとき、支持部材2は、マネキンヘッド10に直接には取り付けられておらず、離隔した状態である。支持軸体20は、上述したように下部を下顎模型6の方に曲げることもできる。また、上顎模型5のかわりに上顎側連結部材3を、上顎側固定具12によってマネキンヘッド10に取り付けることも可能である。
また、場合によっては、図13に示すように、下顎模型6を基台固定部材11によって基台に取り付けることも可能である。下顎模型6のかわりに下顎側連結部材4を基台固定部材11によって基台に取り付けることも可能である。支持軸体20は、上述したように下部を下顎模型6の方に曲げることもできる。マネキンヘッド10は、支持部材2に取り付けたり、上述した上顎側固定具12によって上顎模型5や上顎側連結部材3に取り付けたりすることも可能である。
以上、本発明の実施形態に係る咬合器について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、咬合器が上記のようなストッパ43と上記のような模型装着部30、40とを有していることが歯科技術実習の効率化には非常に好ましいのであるが、どちらか一方を従来の方法のものに置き換えることも場合によっては可能である。
また、上顎側連結部材3の模型装着部30の取付孔30a、30bに連通するねじ導入溝30aa、30ba及び下顎側連結部材4の模型装着部40の取付孔40a、40bに連通するねじ導入溝40aa、40baを変形することも可能である。すなわち、図14(a)に示すように、ねじ導入溝30aa、30baを取付孔30a、30bから上下いずれかの同方向(通常は下方)に向かうようにし、図14(b)に示すように、ねじ導入溝40aa、40baを取付孔40a、40bから上下いずれかの同方向(通常は上方)に向かうようにすることができる。この場合、上顎模型5のずれ阻止体50C、50Dを上顎側連結部材3の凹部30c、30dに嵌め込んでから、装着用ねじ30A、30Bを締め付け、下顎模型6のずれ阻止体60C、60Dを下顎側連結部材4の凹部40c、40dに嵌め込んでから、装着用ねじ40A、40Bを締め付ければ、上顎模型5及び下顎模型6の上顎側連結部材3及び下顎側連結部材4に対する位置を適正に合わせることができる。
また、場合によっては、上顎側連結部材3と下顎側連結部材4の一方だけを上記した取付孔周辺の構成にして、上顎模型5と下顎模型6の一方だけの装着及び取り外しを上記した方法で行うことも可能である。すなわち、下顎側連結部材4の取付孔40a、40b周辺の構成がどのようなものでも、上顎側連結部材3を、一方の取付孔30aに斜め上方又は下方に向かうねじ導入溝30aaが、他方の取付孔30bに斜め下方又は上方に向かうねじ導入溝30baが連通して設けられているように(図6(a)により説明した上記構成に)したり、取付孔30a、30bに上下いずれかの同方向に向かうねじ導入溝30aa、30baが連通して設けられているように(図14(a)により説明した上記構成に)したりすることが可能である。この場合、下顎側連結部材4の取付孔40a、40bは、ねじ導入溝40aa、40baが設けられていない従来の構成であってもよい。また、上顎側連結部材3の取付孔30a、30b周辺の構成がどのようなものでも、下顎側連結部材4を、一方の取付孔40aに斜め上方又は下方に向かうねじ導入溝40aaが、他方の取付孔40bに斜め下方又は上方に向かうねじ導入溝40baが連通して設けられているように(図8(a)、(b)により説明した上記構成に)したり、取付孔40a、40bに上下いずれかの同方向に向かうねじ導入溝40aa、40baが連通して設けられているように(図14(b)により説明した上記構成に)したりすることが可能である。この場合、上顎側連結部材3の取付孔30a、30bは、ねじ導入溝30aa、30baが設けられていない従来の構成であってもよい。
1 咬合器
2 支持軸体
3 上顎側連結部材
30 上顎側連結部材の模型装着部
30a、30b 模型装着部の取付孔
30aa、30ba ねじ導入溝
30A、30B 装着用ねじ
32 上顎側連結部材の支持軸固定部
32a 支持軸固定部の支持軸孔
32A 上顎側連結部材の支持軸固定用ねじ部材
33 上顎側連結部材の回動軸部
4 下顎側連結部材
40 下顎側連結部材の模型装着部
40a、40b 模型装着部の取付孔
40aa、40ba ねじ導入溝
40A、40B 装着用ねじ
41 下顎側連結部材の回動側部
41a 回動側部の軸孔部
41b 背面側凹み
43 ストッパ
4A ばね部材
5 上顎模型
50a、50b 上顎模型の雌ねじ部
50c、50d 上顎模型の凹部
50C、50D 上顎模型のずれ阻止体
6 下顎模型
60a、60b 下顎模型の雌ねじ部
60c、60d 下顎模型の凹部
60C、60D 下顎模型のずれ阻止体
2 支持軸体
3 上顎側連結部材
30 上顎側連結部材の模型装着部
30a、30b 模型装着部の取付孔
30aa、30ba ねじ導入溝
30A、30B 装着用ねじ
32 上顎側連結部材の支持軸固定部
32a 支持軸固定部の支持軸孔
32A 上顎側連結部材の支持軸固定用ねじ部材
33 上顎側連結部材の回動軸部
4 下顎側連結部材
40 下顎側連結部材の模型装着部
40a、40b 模型装着部の取付孔
40aa、40ba ねじ導入溝
40A、40B 装着用ねじ
41 下顎側連結部材の回動側部
41a 回動側部の軸孔部
41b 背面側凹み
43 ストッパ
4A ばね部材
5 上顎模型
50a、50b 上顎模型の雌ねじ部
50c、50d 上顎模型の凹部
50C、50D 上顎模型のずれ阻止体
6 下顎模型
60a、60b 下顎模型の雌ねじ部
60c、60d 下顎模型の凹部
60C、60D 下顎模型のずれ阻止体
Claims (16)
- 棒状の支持軸体を有する支持部材と、
支持軸体の軸方向の適宜位置に取り付けられる上顎側連結部材と、
該上顎側連結部材に回動可能に連結される下顎側連結部材と、
前記上顎側連結部材の模型装着部の装着面に当接して装着される上顎模型と、
前記下顎側連結部材の模型装着部の装着面に当接して装着される下顎模型と、
を備え、
前記下顎側連結部材は、貫通した中空部を有して所定位置に回動させたときに前記支持軸体に嵌合し係止するストッパを有することを特徴とする咬合器。 - 請求項1に記載の咬合器において、
前記ストッパは、合成樹脂製であることを特徴とする咬合器。 - 請求項1又は2に記載の咬合器において、
前記ストッパの中空部は、前記下顎側連結部材の模型装着部の装着面に対して傾いた方向に貫通していることを特徴とする咬合器。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の咬合器において、
前記下顎側連結部材は、前記ストッパの左右の離れた位置に背面側凹みが形成されていることを特徴とする咬合器。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の咬合器において、
前記上顎側連結部材及び前記下顎側連結部材はそれぞれ、その模型装着部に取付孔が2個設けられており、
前記上顎模型は、前記上顎側連結部材の模型装着部の取付孔に対応する位置に2個の雌ねじ部が設けられており、
前記下顎模型は、前記下顎側連結部材の模型装着部の取付孔に対応する位置に2個の雌ねじ部が設けられており、
前記上顎模型は前記上顎側連結部材に、前記下顎模型は前記下顎側連結部材に、それぞれ前記取付孔を通し前記雌ねじ部にねじ込まれる装着用ねじによって装着されることを特徴とする咬合器。 - 請求項5に記載の咬合器において、
前記上顎側連結部材は、一方の取付孔に斜め上方又は下方に向かうねじ導入溝が、他方の取付孔に斜め下方又は上方に向かうねじ導入溝が連通して設けられていることを特徴とする咬合器。 - 請求項5に記載の咬合器において、
前記上顎側連結部材は、前記2個の取付孔に上下いずれかの同方向に向かうねじ導入溝が連通して設けられていることを特徴とする咬合器。 - 請求項6又は7に記載の咬合器において、
前記上顎側連結部材は、前記上顎模型が当接する装着面に2個の凹部が設けられており、
前記上顎模型は、前記上顎側連結部材に当接する装着面に2個の凹部が設けられ、それらの内側に、ずれ阻止体を有していることを特徴とする咬合器。 - 請求項5〜8のいずれか1項に記載の咬合器において、
前記下顎側連結部材は、一方の取付孔に斜め上方又は下方に向かうねじ導入溝が、他方の取付孔に斜め下方又は上方に向かうねじ導入溝が連通して設けられていることを特徴とする咬合器。 - 請求項5〜8のいずれか1項に記載の咬合器において、
前記下顎側連結部材は、前記2個の取付孔に上下いずれかの同方向に向かうねじ導入溝が連通して設けられていることを特徴とする咬合器。 - 請求項9又は10に記載の咬合器において、
前記下顎側連結部材は、前記下顎模型が当接する装着面に2個の凹部が設けられており、
前記下顎模型は、前記下顎側連結部材に当接する装着面に2個の凹部が設けられ、それらの内側に、ずれ阻止体を有していることを特徴とする咬合器。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載の咬合器において、
前記支持部材は、基台取付部によって基台に取り付けられることを特徴とする咬合器。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載の咬合器において、
前記支持部材は、基台固定部材によって基台に取り付けられたマネキンヘッドに取り付けられることを特徴とする咬合器。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載の咬合器において、
前記上顎模型又は上顎側連結部材は、基台固定部材によって基台に取り付けられたマネキンヘッドに取り付けられることを特徴とする咬合器。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載の咬合器において、
前記下顎模型又は下顎側連結部材は、基台固定部材によって基台に取り付けられることを特徴とする咬合器。 - 請求項13〜15のいずれか1項に記載の咬合器において、
前記支持軸体は、その下部が前記下顎側連結部材の方に曲げられていることを特徴とする咬合器。
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- 2012-02-28 JP JP2012040904A patent/JP2012192166A/ja active Pending
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