JP2012191541A - 遅延測定装置、遅延測定方法およびコンピュータプログラム - Google Patents

遅延測定装置、遅延測定方法およびコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】タイムアライメントのための測定を簡易化させる。
【解決手段】第1チャンネルから第Nチャンネルまで所定間隔Aで順次測定用音声を出力させる測定用音声出力部、測定用音声を集音し、第1チャンネルの測定用音声を観測してから第K(ただし、2≦K≦N)チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間TKを測定する測定部、所定間隔Aと時間TKとに基づいて、第Kチャンネルの第1チャンネルに対する遅延時間を算出する遅延量設定部を備えた遅延測定装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、音響装置に係り、特に、タイムアライメントのための測定を簡易に行なえる遅延測定装置に関する。
2台のスピーカを用いた2チャンネルステレオや、5台のスピーカを用いた5.1チャンネル等のマルチチャンネルの音響装置が広く普及している。このような複数台のスピーカを用いた音響装置で再生音を鑑賞する場合、リスニング環境により音響特性が変化する。例えば、リスニングポイントからの各スピーカの距離が異なると、各スピーカからのサウンドの到達時間が異なり、定位感が悪化して音像がぼやけたり、音ずれや位相差によって音が濁ったりして、再生音の品質が低下する場合がある。
例えば、図13に示すように、音響装置500にLch(左チャンネル)スピーカ510LとRch(右チャンネル)スピーカ510Rとが接続された場合において、Lchスピーカ510LからリスニングポイントLPまでの距離DLよりも、Rchスピーカ510RからリスニングポイントLPまでの距離DRが長ければ、Rchスピーカ510Rからのサウンドが遅れてリスニングポイントLPに届き、Lchスピーカ510LからのサウンドとRchスピーカ510Rからのサウンドとがずれることになる。
この問題を解消するため、各スピーカのサウンドが同時にリスニングポイントに届くように調整するタイムアライメント機能を備えた音響装置が実用化されている。図14は、タイムアライメント機能を備えた従来の音響装置の例を示す図である。本図に示すように音響装置520は、測定部521と調整部522とを備えており、タイムアライメントのための測定時には、測定部521に集音マイク530を接続し、集音マイク530をリスニングポイントLPに配置する。
このような構成において、音響装置520は、以下のような動作を行なう。すなわち、タイムアライメントのための測定時において、測定部521は、図15に示すように、時刻tL0においてLchスピーカ510Lから測定用信号を出力する。集音マイク530によってこの測定用信号を観測し、測定用信号が観測された時刻tL1と出力した時刻tL0との差から、Lchスピーカ510LからリスニングポイントLPまでのサウンド到達時間dTLを算出する。
同様に、時刻tR0においてRchスピーカ510Rから測定用信号を出力する。集音マイク530によってこの測定用信号を観測し、測定用信号が観測された時刻tR1と出力した時刻tR0との差から、Rchスピーカ510Rからリスニングポイントまでのサウンド到達時間dTRを算出する。dTLとdTRとの差は、リスニングポイントにおけるLchスピーカ510LからのサウンドとRchスピーカ510Rからのサウンドとのずれ時間dTに相当する。
そして、再生時においては、調整部522が、ずれ時間dTを解消するような遅延時間を、先にサウンドが到達するチャンネルであるLchあるいはRchに与えることで、両スピーカからのサウンドが同時にリスニングポイントに届くように調整される。
特開2000−354300号公報
しかしながら、従来のタイムアライメントのための測定は、チャンネル毎に、測定用信号の出力時刻と観測時刻との差を管理しなければならず、処理が煩雑になっていた。そこで、本発明は、タイムアライメントのための測定を簡易化させることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である遅延測定装置は、第1チャンネルから第Nチャンネルまで所定間隔Aで順次測定用音声を出力させる測定用音声出力部、前記測定用音声を集音し、第1チャンネルの測定用音声を観測してから第K(ただし、2≦K≦N)チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間TKを測定する測定部、前記所定間隔Aと前記時間TKとに基づいて、第Kチャンネルの第1チャンネルに対する遅延時間を算出する遅延量設定部、を備えたことを特徴とする。
ここで、前記遅延量設定部は、前記時間TKから所定間隔A×Kを引くことにより、第Kチャンネルの第1チャンネルに対する遅延時間を算出することができる。
また、前記遅延量設定部は、算出した遅延時間が最大のチャンネルの遅延時間に一致するように、遅延時間が最大のチャンネル以外のチャンネルに対して遅延量を設定することができる。
また、前記測定部は、前記測定用音声の波形と、集音した音声の波形との相関係数を算出することにより、前記測定用音声を観測することができる。
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である遅延測定装置は、第1チャンネルと第2チャンネルとから測定用音声を所定間隔A/2で交互に出力させる測定用音声出力部、前記測定用音声を集音し、第1チャンネルの測定用音声を観測してから第2チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間Bあるいは第2チャンネルの測定用音声を観測してから第1チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間Cのいずれかを測定する測定部、前記所定間隔A/2、前記時間B、前記時間Cのいずれか2つに基づいて、第2チャンネルの第1チャンネルに対する遅延時間を算出する遅延量設定部、を備えたことを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明の第3の態様である遅延測定方法は、第1チャンネルから第Nチャンネルまで所定間隔Aで順次測定用音声を出力する測定用音声出力ステップ、前記測定用音声を集音し、第1チャンネルの測定用音声を観測してから第K(ただし、2≦K≦N)チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間TKを測定する測定ステップ、前記所定間隔Aと前記時間TKとに基づいて、第Kチャンネルの第1チャンネルに対する遅延時間を算出する遅延量算出ステップ、を含むことを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明の第4の態様である遅延測定方法は、第1チャンネルと第2チャンネルとから測定用音声を所定間隔A/2で交互に出力する測定用音声出力ステップ、前記測定用音声を集音し、第1チャンネルの測定用音声を観測してから第2チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間Bあるいは第2チャンネルの測定用音声を観測してから第1チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間Cのいずれかを測定する測定ステップ、前記所定間隔A/2、前記時間B、前記時間Cのいずれか2つに基づいて、第2チャンネルの第1チャンネルに対する遅延時間を算出する遅延量算出ステップ、を含むことを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明の第5の態様であるコンピュータプログラムは、第1チャンネルから第Nチャンネルまで所定間隔Aで順次測定用音声を出力する測定用音声出力ステップ、前記測定用音声を集音し、第1チャンネルの測定用音声を観測してから第K(ただし、2≦K≦N)チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間TKを測定する測定ステップ、前記所定間隔Aと前記時間TKとに基づいて、第Kチャンネルの第1チャンネルに対する遅延時間を算出する遅延量算出ステップ、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明の第6の態様であるコンピュータプログラムは、第1チャンネルと第2チャンネルとから測定用音声を所定間隔A/2で交互に出力する測定用音声出力ステップ、前記測定用音声を集音し、第1チャンネルの測定用音声を観測してから第2チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間Bあるいは第2チャンネルの測定用音声を観測してから第1チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間Cのいずれかを測定する測定ステップ、前記所定間隔A/2、前記時間B、前記時間Cのいずれか2つに基づいて、第2チャンネルの第1チャンネルに対する遅延時間を算出する遅延量算出ステップ、をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
本発明によれば、タイムアライメントのための測定を簡易化することができる。
本発明の遅延測定装置を音響装置に適用した場合のシステム構成例を示すブロック図である。 第1実施例における測定用音声出力部の動作を説明するフローチャートである。 Lchスピーカから測定用音声が出力され、所定時間A後に、Rchスピーカから測定用音声が出力される様子を示す図である。 第1実施例における測定部および遅延量設定部の動作を説明するフローチャートである。 2つの測定用音声が観測された間隔を説明する図である。 時間Aと時間Bとの差と、音到達時間との関係を説明する図である。 相関係数を用いた測定用音声の検出について説明する図である。 第1実施例を多チャンネルに適用した場合を説明する図である。 第2実施例における測定用音声出力部の動作を説明するフローチャートである。 4つの測定用音声が観測された間隔を説明する図である。 第2実施例における測定部および遅延量設定部の動作を説明するフローチャートである。 4つの測定用音声が観測された間隔を説明する図である。 スピーカからの距離の相違によって音がずれる例を示す図である。 従来のタイムアライメントのための測定を行なう構成を示す図である。 従来のタイムアライメントのための測定を説明する図である。
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の遅延測定装置は、チャンネル毎のスピーカから出力された測定用音声がリスニングポイントに到達する時間のチャンネル間の相対的な差を測定し、その差に基づいて、各チャンネルに対して適切な遅延量を設定する装置である。本発明の遅延測定装置は、チャンネル毎のスピーカから出力された測定用音声がリスニングポイントに到達する絶対的な時間を計測することなく、チャンネル間の相対的な時間差を測定するため、タイムアライメントのための測定を簡易に行なうことができる。
図1は、本発明の遅延測定装置を音響装置に適用した場合のシステム構成例を示すブロック図である。遅延測定装置は、据置型の音響装置、車載型の音響装置、可搬型の音響装置等に適用することができる。
本図に示すように、本実施形態に係る音響装置100は、ユーザが所望する再生用音源データ400を再生して、再生音をスピーカ200から出力する装置である。再生用音源データ400は、例えば、CD、DVD、半導体記録装置等の記録媒体に格納されたデータを読み込んだり、無線等を介して受信することができる。
以下では、音響装置100が、ユーザの所望する再生用音源データ400を再生するモードを再生モードと称し、タイムアライメントのための測定を行なって、適切な遅延量を設定するモードを測定モードと称する。再生モードでは、測定モードで設定された遅延量を用いて再生用音源データ400の再生を行なう。
音響装置100は、再生部110、遅延調整部120、音声出力部130、遅延測定設定部150、切替回路160を備えており、これらの構成要素は音響装置100が備えるCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等の動作によって実現する。
再生部110は、再生用音源データ400および遅延測定設定部150が出力する測定用音源データ152の再生を行なう。再生用音源データ400と測定用音源データ152のどちらを再生するかは、遅延測定設定部150が切り替える切替回路160によって定められる。なお、本図の例では、Lch、Rchの2チャンネルのステレオ再生を行なうものとするが、モノラル再生や5.1ch等のマルチチャネル再生を行なうようにしてもよい。
遅延調整部120は、再生モードにおいて、タイムアライメントを行なうために、LchあるいはRchの音声を遅延させる。具体的には、サウンドが遅く到達する方のチャンネルに合わせて、サウンドが早く到達する方のチャンネルを遅延させる。どちらのチャンネルをどの程度遅延させるかは、測定モードにおいて遅延測定設定部150によって設定される。3チャンネル以上の場合には、最も遅く到達するチャンネルに合わせて、他のチャンネルを遅延させる。
音声出力部130は、再生部110の再生音の音量調整を行なってスピーカ200に出力する。音声出力部130は、DAC(Digital Analog Converter)や増幅素子等を備えていてもよく、音量調整は、例えば、ユーザからのボリューム(不図示)操作にしたがって行なうようにする。
遅延測定設定部150は、測定モードにおいて各チャンネルに対して一定の間隔で順次測定用音声を出力させ、出力された音声を観測する。そして、出力した音声の間隔と観測された音声の間隔とに基づいて、チャンネル毎のスピーカから出力された測定用音声がリスニングポイントLPに到達する時間のチャンネル間の相対差を算出し、その差に基づいて、各チャンネルに対して適切な遅延量を設定する。
この処理を行なうため、遅延測定設定部150は、測定用音声出力部151、測定用音源データ152、測定部153、遅延量設定部154を備えている。なお、遅延測定設定部150は、CPU等が所定のコンピュータプログラムを実行することにより実現することができる。
測定用音声出力部151は、測定モードにおいて、再生部110が測定用音源データ152を再生するように切替回路160を切り替えて、Lch、Rchの順に所定の間隔で測定用音声を再生させる。なお、本例では、Lch、Rchの順とするが逆であってもよい。
測定部153は、リスニングポイントLPに設置された集音マイク300が収集した音声を入力し、各チャンネルのスピーカ200が出力した測定用音声を観測する。そして、観測された測定用音声の間隔を測定する。
遅延量設定部154は、出力した測定用音声の間隔と、観測した測定用音声の間隔とから、チャンネル毎のスピーカから出力された測定用音声がリスニングポイントLPに到達する時間のチャンネル間の相対差を算出し、その差に基づいて、いずれかのチャンネルに対する適切な遅延量を算出し、遅延調整部120に設定する。例えば、LchのサウンドがRchのサウンドに対して相対的にXミリ秒遅くリスニングポイントLP到達する場合には、Rchに対してXミリ秒の遅延を設定する。
<第1実施例>
次に、本実施形態の測定モードにおける遅延測定設定部150の動作の第1実施例について説明する。第1実施例では、Lch、Rchとも1回ずつ測定用音声を出力する。図2は、第1実施例における測定用音声出力部151の動作を説明するフローチャートである。
測定モードにおいて、測定用音声出力部151は、まずLchから測定用音声を出力する(S101)。そして、所定時間A待機し(S102)、Rchから測定用音声を出力する(S103)。測定用音声は、測定用音源データ152として記録されたデータを再生したものであり、単一波、ホワイトノイズ、ピンクノイズ、タイムストレッチパルス、パルス等の信号を用いることができる。Lchから出力する測定用音声とRchから出力する測定用音声は同じ音声であっても、異なった音声であってもよいが、例えば、Lchの測定用音声とRchの測定用音声とで周波数を異ならせることにより、受信したときのチャンネル判別を容易にすることができる。
この結果、図3に示すように、Lchスピーカ200Lから測定用音声が出力され、所定時間A後に、Rchスピーカ200Rから測定用音声が出力される。
図4は、第1実施例における測定部153および遅延量設定部154の動作を説明するフローチャートである。
まず、測定部153は、集音マイク300からの入力音声を監視し、測定用音声が観測されるのを待つ(S201)。入力音声の監視は、測定用音声出力部151が測定用音声を出力する際に開始すればよいが、測定用音声が出力された時刻は管理する必要がない。
測定用音声が観測されると(S201:Yes)、測定部153は、時間計測を開始する(S202)。そして、次の測定用音声が観測されるのを待つ(S203)。測定用音声が観測されると(S203:Yes)、時間計測を終了する(S204)。計測された時間は、図5に示すように、2つの測定用音声が観測された時間間隔であり、これを時間Bとする。
次に、遅延量設定部154が、既知の所定時間Aと測定された時間Bとの差を算出する(S205)。観測された2つの測定用音声は、もともと所定時間Aの間隔で出力されたものであるため、所定時間Aと測定時間Bとの差は、Lchの測定用音声がスピーカ200Lから出力されてから集音マイク300に到達するまでの時間と、Rchの測定用音声がスピーカ200Rから出力されてから集音マイク300に到達するまでの時間との差に相当する。
すなわち、Lchから出力された測定用音声がリスニングポイントLPに到達するまでの時間をdLとし、Rchから出力された測定用音声がリスニングポイントLPに到達するまでの時間をdRとしたとき、所定時間Aと測定時間Bとの差が0であることは、図6(a)に示すように、dL=dRを意味し、Lchスピーカ200LからリスニングポイントLPまでの距離とRchスピーカ200RからリスニングポイントLPまでの距離とが等しく、音ズレが生じないことになる。
また、所定時間Aより測定時間Bが時間dwだけ長い場合には、図6(b)に示すように、dL<dRを意味し、Lchスピーカ200LからリスニングポイントLPまでの距離よりもRchスピーカ200RからリスニングポイントLPまでの距離の方が長く、Rchスピーカ200Rからのサウンドが時間dw(=dR−dL)だけ遅れて到達することになる。
逆に、所定時間Aより測定時間Bが時間dwだけ短い場合には、図6(c)に示すように、dL>dRを意味し、Lchスピーカ200LからリスニングポイントLPまでの距離よりもRchスピーカ200RからリスニングポイントLPまでの距離の方が短く、Lchスピーカ200Lからのサウンドが時間dw(=dL−dR)だけ遅れて到達することになる。
そして、算出した所定時間Aと測定時間Bとの差に基づいて、遅延量設定部154が、遅延調整部120に対して、適切な遅延量を設定する(S206)。すなわち、早くサウンドが到着する方のチャンネルに対して、時間dwの遅延を設定する。
より一般化すると、測定用音声を先に出力するチャンネルを第1チャンネルとし、所定時間A後に測定用音声を出力するチャンネルを第2チャンネルとし、観測された測定音声の時間差を時間Bとした場合、時間A<時間Bであれば、第1チャンネルに対して時間B−時間Aの遅延を設定し、時間A>時間Bであれば、第2チャンネルに対して時間A−時間Bの遅延を設定する。
ここで、負の遅延量を他方のチャンネルに対する遅延と考えれば、第1チャンネルに対して時間B−時間Aの遅延を設定すると表現することもできる。
以上の手順により、遅延量を設定することができるが、設定する遅延量の精度をより高めるために、時間Bの測定を複数回行ない、その平均値を用いて遅延量を設定することが望ましい。
なお、測定モードにおいて、測定部153が、周囲の雑音や反射音等の中から測定用音声を確実に検出するために、従来から用いられている相関係数を利用することができる。例えば、図7(a)に示すような観測波形yから、図7(b)に示すような測定用音声波形xを検出する場合、[数1]に示すような相関係数を用い、相関係数が最大となるiを求めることで測定用音声を特定することができる。なお、式中においてxバー、yバーは、それぞれx,yの相加平均を意味する。
上述の例では、Lch、Rchの2チャンネルの場合を説明したが、本発明は、多チャンネルに対しても適用することができる。例えば、1ch〜5chの5チャンネルの場合は、図8に示すように、1ch〜5chに対して、所定間隔Aで順次測定用音声を出力させ、1chの測定用音声を観測してから、2ch〜5chの測定用音声を観測するまでの経過時間を、2ch〜5chそれぞれについて測定すればよい。なお、各チャンネルから測定用音声を出力する間隔は一定でなくてもかまわないが、簡単のため、所定間隔Aで出力するものとする。
この測定により、2ch〜5chの1chに対する遅延時間を算出することができる。例えば、1chとNchについて、測定用音声の間隔はA×(N−1)時間となり、1chの測定用音声を観測してから、Nchの測定用音声を観測するまでの経過時間がdTNであったとすると、1chに対するNchの遅延時間はdTN−A×Nと求められる。そして、1chに対する遅延時間が最も長いチャンネルの遅延時間と一致するように他の各チャンネルに対して遅延量を設定すればよい。
例えば、2ch〜5chの1chに対する遅延時間が、それぞれ、1m秒、−5m秒、10m秒、−4m秒であったとすると、4chが10m秒で最も遅延時間が長いため、全チャンネルが10m秒の相対遅延時間となるように、1ch、2ch、3ch、5chに対して、それぞれ10m秒、9m秒、15m秒、14m秒の遅延を設定すればよい。
<第2実施例>
次に、本実施形態の測定モードにおける遅延測定設定部150の動作の第2実施例について説明する。第1実施例では、Lch、Rchとも1回ずつ測定用音声を出力したが、第2実施例では、Lch、Rchが2回ずつ交互に測定用音声を出力する。このため、測定対象の自由度を高めることができる。図9は、第2実施例における測定用音声出力部151の動作を説明するフローチャートである。
測定モードにおいて、測定用音声出力部151は、まずLchから測定用音声を出力する(S301)。そして、所定時間A/2待機し(S302)、Rchから測定用音声を出力する(S303)。さらに、所定時間A/2待機し(S304)、Lchから測定用音声を出力する(S305)。そして、所定時間A/2待機し(S306)、Rchから測定用音声を出力する(S307)。
この結果、図10に示すように、Lchスピーカ200Lから測定用音声が出力され、所定時間A/2後に、Rchスピーカ200Rから測定用音声が出力される。さらにその所定時間A/2後、すなわち、Lchスピーカ200Lから測定用音声が出力されてから所定時間A後に、Lchスピーカ200Lから測定用音声が出力され、さらにその所定時間A/2後、すなわち、Rchスピーカ200Rから測定用音声が出力されてから所定時間A後に、Rchスピーカ200Rから測定用音声が出力される。
る。
図11は、第2実施例における測定部153および遅延量設定部154の動作を説明するフローチャートである。第2実施例では、Lchスピーカ200Lの測定用音声を観測してからRchスピーカ200Rの測定用音声を観測するまでの時間Bと、Rchスピーカ200Rの測定用音声を観測してからLchスピーカ200Lの測定用音声を観測するまでの時間Cについて計測を行なう。
まず、測定部153は、集音マイク300からの入力音声を監視し、測定用音声が観測されるのを待つ(S401)。入力音声の監視は、測定用音声出力部151が測定用音声を出力する際に開始すればよいが、測定用音声が出力された時刻は管理する必要がない。
測定用音声が観測されると(S401:Yes)、測定部153は、時間Bについての時間計測を開始する(S402)。そして、次の測定用音声が観測されるのを待つ(S403)。測定用音声が観測されると(S403:Yes)、時間Bについての時間計測を終了するとともに、時間Cの計測を開始する(S404)。そして、次の測定用音声が観測されるのを待つ(S405)。測定用音声が観測されると(S405:Yes)、時間Cについての時間計測を終了する(S406)。なお、測定用音声は、もう1回観測されるため、時間Bを再度測定するようにしてもよい。また、時間Bのみ、時間Cのみの測定であってもよい。
計測結果は、図12に示すようになり、Lchスピーカ200Lの測定用音声を観測してからRchスピーカ200Rの測定用音声を観測するまでの時間Bと、Rchスピーカ200Rの測定用音声を観測してからLchスピーカ200Lの測定用音声を観測するまでの時間Cが測定される。ここで、時間Bと時間Cとの合計は、所定時間Aと一致することになる。
次に、遅延量設定部154が、既知の所定時間Aと測定された時間Bあるいは時間Cを用いて相対遅延時間を算出する(S407)。相対遅延時間は、所定時間A、測定時間B、時間Cのうち、いずれか2つを用いて算出することができる。
すなわち、第2実施例では、測定時間B=所定時間A/2(測定時間B=測定時間Cおよび測定時間C=所定時間A/2と同義)であれば、Lchスピーカ200LからリスニングポイントLPまでの距離とRchスピーカ200RからリスニングポイントLPまでの距離とが等しく、音ズレが生じないことになる。
また、計測時間B>所定時間A/2(測定時間C<所定時間A/2および測定時間B>測定時間Cと同義)であれば、Lchスピーカ200LからリスニングポイントLPまでの距離よりもRchスピーカ200RからリスニングポイントLPまでの距離の方が長く、Rchスピーカ200Rからのサウンドが時間B−時間A/2(B/2時間−C/2時間およびA/2時間−C時間と同義)だけ遅れて到達することになる。
逆に、計測時間B<所定時間A/2(測定時間C>所定時間A/2および測定時間B<測定時間Cと同義)であれば、Rchスピーカ200RからリスニングポイントLPまでの距離よりもLchスピーカ200LからリスニングポイントLPまでの距離の方が長く、Lchスピーカ200Lからのサウンドが時間C−時間A/2(C/2時間−B/2時間およびA/2時間−B時間と同義)だけ遅れて到達することになる。
そして、算出した相対遅延時間に基づいて、遅延量設定部154が、遅延調整部120に対して、適切な遅延量を設定する(S408)。すなわち、早くサウンドが到着する方のチャンネルに対して、遅延を設定する。
より一般化して、測定用音声を所定時間A間隔で奇数回目に出力するチャンネルを第1チャンネルとし、第1チャンネルの所定時間A/2後で偶数回目に出力するチャンネルを第2チャンネルとし、奇数回目の測定音声と偶数回目の測定音声との間で観測された時間差を時間Bとし、偶数回目の測定音声と奇数回目の測定音声との間で観測された時間差を時間Cとする。
この場合、計測時間B>所定時間A/2、測定時間C<所定時間A/2、測定時間B>測定時間Cであれば、第1チャンネルに対して時間C−時間A/2(=C/2時間−B/2時間=A/2時間−B時間)の遅延を設定し、計測時間B<所定時間A/2、測定時間C>所定時間A/2、測定時間B<測定時間Cであれば、第2チャンネルに対して時間C−時間A/2(=C/2時間−B/2時間=A/2時間−B時間)の遅延を設定する。
ここで、負の遅延量を他方のチャンネルに対する遅延と考えれば、第1チャンネルに対して時間C−時間A/2(=C/2時間−B/2時間=A/2時間−B時間)の遅延を設定すると表現することもできる。
以上、本実施形態の第2実施例について説明した。ただし、本発明は、上述の実施形態に限られない。例えば、上述の実施形態では、測定用音声出力部151と測定部153とを同一の機器が備えるようにしていたが、測定部153は、測定用音声出力部151が測定用音声を出力した時刻を管理する必要がないため、別装置として構成してもよい。例えば、測定部153を通信端末装置等で構成し、測定用音声出力部151を備えた音響装置に対して、無線あるいは有線により測定用音声出力命令を送信することで上述の測定モード動作を開始するようにしてもよい。
また、観測される出力音声の間隔が等しくなるように測定用音声の出力間隔を調整することで、相対遅延時間を測定するようにしてもよい。
また、Lch、Rchから測定用音声を出力する際、両チャンネルで同じ再生を行ない、一方をミュートさせることにより、Lch、Rchから交互に測定用音声を出力するようにしてもよい。この場合、測定用音源データ152としてモノラル音源を用いることができる。
100…音響装置
110…再生部
120…遅延調整部
130…音声出力部
150…遅延測定設定部
151…測定用音声出力部
152…測定用音源データ
153…測定部
153…測定用音源データ
154…遅延量設定部
160…切替回路
200…スピーカ
200L…Lchスピーカ
200R…Rchスピーカ
300…集音マイク
400…再生用音源データ
500…音響装置
510L…Lchスピーカ
510R…Rchスピーカ
520…音響装置
521…測定部
522…調整部
530…集音マイク

Claims (9)

  1. 第1チャンネルから第Nチャンネルまで所定間隔Aで順次測定用音声を出力させる測定用音声出力部、
    前記測定用音声を集音し、第1チャンネルの測定用音声を観測してから第K(ただし、2≦K≦N)チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間TKを測定する測定部、
    前記所定間隔Aと前記時間TKとに基づいて、第Kチャンネルの第1チャンネルに対する遅延時間を算出する遅延量設定部、
    を備えたことを特徴とする遅延測定装置。
  2. 前記遅延量設定部は、
    前記時間TKから所定間隔A×Kを引くことにより、第Kチャンネルの第1チャンネルに対する遅延時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の遅延測定装置。
  3. 前記遅延量設定部は、
    算出した遅延時間が最大のチャンネルの遅延時間に一致するように、遅延時間が最大のチャンネル以外のチャンネルに対して遅延量を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の遅延測定装置。
  4. 前記測定部は、前記測定用音声の波形と、集音した音声の波形との相関係数を算出することにより、前記測定用音声を観測することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の遅延測定装置。
  5. 第1チャンネルと第2チャンネルとから測定用音声を所定間隔A/2で交互に出力させる測定用音声出力部、
    前記測定用音声を集音し、第1チャンネルの測定用音声を観測してから第2チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間Bあるいは第2チャンネルの測定用音声を観測してから第1チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間Cのいずれかを測定する測定部、
    前記所定間隔A/2、前記時間B、前記時間Cのいずれか2つに基づいて、第2チャンネルの第1チャンネルに対する遅延時間を算出する遅延量設定部、
    を備えたことを特徴とする遅延測定装置。
  6. 第1チャンネルから第Nチャンネルまで所定間隔Aで順次測定用音声を出力する測定用音声出力ステップ、
    前記測定用音声を集音し、第1チャンネルの測定用音声を観測してから第K(ただし、2≦K≦N)チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間TKを測定する測定ステップ、
    前記所定間隔Aと前記時間TKとに基づいて、第Kチャンネルの第1チャンネルに対する遅延時間を算出する遅延量算出ステップ、
    を含むことを特徴とする遅延測定方法。
  7. 第1チャンネルと第2チャンネルとから測定用音声を所定間隔A/2で交互に出力する測定用音声出力ステップ、
    前記測定用音声を集音し、第1チャンネルの測定用音声を観測してから第2チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間Bあるいは第2チャンネルの測定用音声を観測してから第1チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間Cのいずれかを測定する測定ステップ、
    前記所定間隔A/2、前記時間B、前記時間Cのいずれか2つに基づいて、第2チャンネルの第1チャンネルに対する遅延時間を算出する遅延量算出ステップ、
    を含むことを特徴とする遅延測定方法。
  8. 第1チャンネルから第Nチャンネルまで所定間隔Aで順次測定用音声を出力する測定用音声出力ステップ、
    前記測定用音声を集音し、第1チャンネルの測定用音声を観測してから第K(ただし、2≦K≦N)チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間TKを測定する測定ステップ、
    前記所定間隔Aと前記時間TKとに基づいて、第Kチャンネルの第1チャンネルに対する遅延時間を算出する遅延量算出ステップ、
    をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  9. 第1チャンネルと第2チャンネルとから測定用音声を所定間隔A/2で交互に出力する測定用音声出力ステップ、
    前記測定用音声を集音し、第1チャンネルの測定用音声を観測してから第2チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間Bあるいは第2チャンネルの測定用音声を観測してから第1チャンネルの測定用音声を観測するまでの時間Cのいずれかを測定する測定ステップ、
    前記所定間隔A/2、前記時間B、前記時間Cのいずれか2つに基づいて、第2チャンネルの第1チャンネルに対する遅延時間を算出する遅延量算出ステップ、
    をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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