JP2012188954A - 高圧燃料ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 カムシャフト1を高速回転させた場合であっても、コイルスプリング6の荷重を増加させることなく、プランジャ3のフルリフト量(最大カムリフト量)を超えて過剰にカムローラ9がジャンピングするのを抑制することを課題とする。
【解決手段】 プランジャ3のフルリフト(最大カムリフト)時には、プランジャ3とシリンダボディ4とスプリングシート12とによって囲まれるダンパー室15が形成される。そして、スプリングシート12が最大カムリフト量以上にリフトした場合、ダンパー室15内の潤滑油が嵌合凸部61と嵌合凹部62との間で圧縮されて、クリアランス18を流通する潤滑油の流動抵抗が大きくなり、スプリングシート12の動きを鈍らせるダンパー効果が発揮される。これにより、最大カムリフト量以上にカムローラ9がリフトしなくなるので、カムローラ9のカム2からのジャンピングを抑制することが可能となる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、内燃機関に高圧燃料を供給する燃料供給装置に使用される高圧燃料ポンプに関するものである。
[従来の技術]
従来より、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関に高圧燃料を供給する燃料供給装置(内燃機関用の燃料噴射システム)に使用される高圧燃料ポンプとして、電磁弁を嵌合する嵌合孔、この嵌合孔の底部で開口したシリンダ孔、およびこのシリンダ孔の開口端側に形成される燃料加圧室を有するシリンダと、シリンダ孔内に往復摺動可能に収容されて、燃料加圧室に吸入した燃料を加圧するプランジャと、このプランジャをその往復移動方向に駆動するカムシャフトとを備えたサプライポンプが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
サプライポンプは、シリンダとの間にタペット収容室を形成するハウジングを備えている。このハウジングの内部には、タペット収容室に連通するカム室が形成されている。
なお、カム室内に収容されるカムシャフトには、3つのカム山を有するカムが一体的に設けられている。
ところで、サプライポンプは、図7に示したように、エンジンにより回転駆動されるカムシャフトのカムと、シリンダ101のシリンダ孔102内を往復摺動するプランジャ103との間に、カムシャフトの回転運動をプランジャ103の直線運動(往復運動)に変換するタペット構造体を備えている。
タペット構造体は、カムシャフトの外周のプロフィール面(カム面)に当接するローラ104、このローラ104を回転自在に支持するローラピン105、ローラ104とローラピン105との間に配設されたブッシュ106、ローラ104の往復運動をプランジャ103に伝えるタペット本体107、プランジャ103のプランジャ下端部の外周に一体移動可能に連結したスプリングシート108、およびこのスプリングシート108を介して、タペット本体107にプランジャ103を押し付けるコイルスプリング109等を有している。
なお、サプライポンプのポンプハウジングは、カムシャフトが嵌挿されるカム室、およびシリンダ101との間に形成されるタペット収容室を備えている。このタペット収容室内に収容されるタペット本体107は、ローラ室111とスプリング室112とを区画する隔壁110に、ローラ室111とスプリング室112とを連通する連通孔(図示せず)が形成されている。
タペット構造体は、その構成部品間の摺動部分(例えばローラピン105とブッシュ106との摺動部分、プランジャ103とタペット本体107との摺動部分)、また、カムシャフトのカムとローラ104との摺動部分で摺動するため、各摺動部分の摩耗および焼き付きを防止するという目的で、タペット収容室(ローラ室111、スプリング室112)およびカム室に潤滑油を供給している。例えばローラピン105とブッシュ106との間に潤滑油を供給して、ローラピン105とブッシュ106との間に油膜を形成し、ローラピン105とブッシュ106との摺動部分を潤滑している。
また、従来より、サプライポンプは、スプリングシート108、タペット本体107、ローラピン105を介して、コイルスプリング109の付勢力によってローラ104をカムシャフトのカム側に押し付けている(必要スプリング力≧タペット構造体の全構成部品の重量×カムリフト加速度(プランジャのリフト加速度))。
[従来の技術の不具合]
ところで、エンジンの高速化のニーズに対応してエンジンを高速化した場合、エンジンにより回転駆動されるカムシャフトは、エンジンの高速化に伴って、より高速回転することになる。
これによって、カムシャフトの回転速度が低速回転時には、図7に示したように、カムシャフトの最高回転(高圧燃料ポンプの最高回転速度)においても、ローラ104がカムシャフトのカム面から離脱しない(ジャンピングしない)ように、コイルスプリング109の付勢力でローラ104をカムシャフトのカム側に押し付けている。
ところが、プランジャ103が燃料を圧送していない(無負荷)状態では、燃料加圧室内の燃料が高圧に加圧圧縮されない。このため、特にエンジンの高速化に対応してカムシャフトを高速回転させると、コイルスプリング109の付勢力(スプリング荷重)に打ち勝って、ローラ104がカムシャフトのカム面から離れるジャンピングが発生する。
このように、ローラ104がカムシャフトのカム面からジャンピングすると、図8に示したように、コイルスプリング109の振幅が増加するため、コイルスプリング109が折損するという問題がある。
また、図9(a)に示したように、シリンダ101のシリンダ下端を図示下方に延長してスプリングシート108との間の隙間を小さくすることで、カムシャフトを高速回転させた時の、カムシャフトのカム面からのローラ104のジャンピングを強制的に規制することが考えられる。
ところが、シリンダ101のシリンダ下端とスプリングシート108との間の隙間を小さくして、ローラ104のジャンピングを強制的に規制した場合、プランジャ103のフルリフト時に、プランジャ103のプランジャ下端部に一体移動可能に連結したスプリングシート108がシリンダ101のシリンダ下端に衝突(干渉)することによって打撃騒音が発生するという問題がある。
また、図9(b)に示したように、カムシャフトを高速回転させた時に、カムシャフトのカム面からローラ104がジャンピングしないように、コイルスプリング109の付勢力(スプリング荷重)を従来よりも増加する方法が考えられる。
ところが、コイルスプリング109のスプリング荷重を増加させると、コイルスプリング109の線径を従来よりも増加する必要がある。
このように、コイルスプリング109の線径を増加させると、タペット本体107の外径を従来よりも増加する必要がある。なお、タペット本体107の外径を増加させると、タペット構造体を構成する構成部品の重量が増加するため、コイルスプリング109のスプリング荷重の増大化に拍車がかかる。また、タペット構造体を構成する構成部品の重量を増加させると、構成部品の慣性力が増加するため、サプライポンプの振動が増加するという問題がある。
また、コイルスプリング109のスプリング荷重の増加は、カムシャフトを低速(または高速)回転させた時に、ローラピン105とブッシュ106との摺動部分に形成される油膜が切れ易くなるので、ローラピン105とブッシュ106とを離す方向に作用する力(スクイーズ力)が減少し、ローラピン105とブッシュ106との摺動部分が焼き付き易くなるという問題がある。
特開2009−236033号公報 特開2010−037997号公報
本発明の目的は、内燃機関の高速化に対応してカムシャフト(1)を高速回転させた場合であっても、スプリング(6)の荷重、つまりプランジャ(3)をカム(2)およびタペット構造体(7〜10)に押し付ける方向に付勢する付勢力(押圧力)を増加させることなく、タペット構造体(7〜10)のうちの少なくともカム当接部(9)が、プランジャ(3)のフルリフト量(最大カムリフト量)を超えて過剰にジャンピングするのを抑制することのできる高圧燃料ポンプを提供することにある。
請求項1に記載の発明(高圧燃料ポンプ)は、内燃機関によって駆動されるカムシャフト(1)と、このカムシャフト(1)と一体回転可能に設けられるカム(2)と、このカム(2)によって往復駆動されるプランジャ(3)と、このプランジャ(3)をその移動方向に往復摺動可能に支持するシリンダ(4)と、カム(2)とプランジャ(3)との間に配設されて、カム(2)の回転運動をプランジャ(3)の往復運動に変換するタペット構造体(7〜10)と、プランジャ(3)をカム(2)およびタペット構造体(7〜10)に押し付ける方向に付勢するスプリング(6)とを備えている。
タペット構造体は、プランジャ(3)と一体移動可能に連結するタペット(7)、およびカムシャフト(1)のカム(2)に当接するカム当接部(9)を有している。このカム当接部(9)は、カム(2)のプロフィールに従ってプランジャ(3)の移動方向へ往復運動するように構成されている。
プランジャ(3)は、シリンダ(4、14)との間にダンパー室(15)を隔てて対向して配置されるシリンダ対向部(12、13)を有している。
プランジャ(3)およびシリンダ(4)は、プランジャ(3)の移動方向への移動に伴ってプランジャ(3)のシリンダ対向部(12、13)とシリンダ(4、14)との対向距離が所定値以下に小さくなった時にのみ、ダンパー室(15)内の流体に圧縮抵抗力を発生させて、タペット構造体(7〜10)のうちの少なくともカム当接部(9)またはプランジャ(3)のシリンダ対向部(12、13)の動きを鈍らせる抵抗発生手段を有している。
請求項1に記載の発明によれば、プランジャ(3)の移動方向への移動に伴ってプランジャ(3)のシリンダ対向部(12、13)とシリンダ(4、14)との対向距離が所定値以下に小さくなった時(例えば最大カムリフト時)にのみ、ダンパー室(15)内に充満している流体に圧縮抵抗力を発生させて、タペット構造体(7〜10)のうちの少なくともカム当接部(9)またはプランジャ(3)のシリンダ対向部(12、13)の動きを鈍らせる(ダンパー機能を発揮する)抵抗発生手段(ダンパー機能体)を設けたことによって、内燃機関の高速化に対応してカムシャフト(1)を高速回転させた場合であっても、ダンパー室(15)内の流体の圧縮抵抗力により、カム当接部(9)またはシリンダ対向部(12、13)に対してダンパー効果を与えることができる。
これにより、プランジャ(3)またはタペット構造体(7〜10)における、カム(2)から離脱する方向への動きが鈍るので、タペット構造体(7〜10)のうちの少なくともカム当接部(9)のカム(2)から離脱する方向への動きが鈍る。
この結果、スプリング(6)の荷重、つまりプランジャ(3)をカム(2)およびタペット構造体(7〜10)に押し付ける方向に付勢する付勢力(押圧力)を現状(従来)と比べて増加させることなく、カム当接部(9)のカム(2)からの離脱(ジャンピング)を抑制することが可能となる。これにより、スプリング(6)の振幅が増加するのを回避できるので、スプリング(6)が折損する等の不具合が発生することはない。
また、プランジャ(3)の移動方向への移動に伴ってプランジャ(3)のシリンダ対向部(12、13)とシリンダ(4、14)との対向距離が所定値以下に小さくなった時(例えば最大カムリフト時)に、プランジャ(3)のシリンダ対向部(12、13)がシリンダ(4、14)に必要以上に接近することはない。これにより、プランジャ(3)のシリンダ対向部(12、13)とシリンダ(4、14)との衝突(干渉)を回避できるので、打撃騒音の発生を抑制することができる。
また、スプリング(6)の荷重、つまりプランジャ(3)をカム(2)およびタペット構造体(7〜10)に押し付ける方向に付勢する付勢力(押圧力)を現状(従来)と比べて増加させる必要がないので、タペット構造体(7〜10)を構成する構成部品の重量が増加することはない。これにより、高圧燃料ポンプが大きな振幅で振動することはないので、高圧燃料ポンプの耐久寿命を向上することができる。
請求項2に記載の発明によれば、ダンパー室(15)とタペット収容室(16、17)とを連通する絞り流路(18)を有し、プランジャ(3)の移動方向への移動に伴ってプランジャ(3)のシリンダ対向部(12、13)とシリンダ(4、14)との対向距離が所定値以下に小さくなった時にのみ、絞り流路(18)を流通する流体に対して絞り抵抗力を発生させて、タペット構造体(7〜10)のうちの少なくともカム当接部(9)またはシリンダ対向部(12、13)の動きを鈍らせるダンパー機能を発揮する抵抗発生手段を設けている。
これにより、プランジャ(3)の移動方向への移動に伴ってプランジャ(3)のシリンダ対向部(12、13)とシリンダ(4、14)との対向距離が所定値以下に小さくなった時に、絞り流路(18)を流通する流体の絞り抵抗力により、カム当接部(9)またはシリンダ対向部(12、13)に対してダンパー効果を与えることができる。
これによって、プランジャ(3)またはタペット構造体(7〜10)における、カム(2)から離脱する方向への動きが鈍るので、タペット構造体(7〜10)のうちの少なくともカム当接部(9)のカム(2)から離脱する方向への動きが鈍る。
この結果、スプリング(6)の荷重、つまりプランジャ(3)をカム(2)およびタペット構造体(7〜10)に押し付ける方向に付勢する付勢力(押圧力)を現状(従来)と比べて増加させることなく、カム当接部(9)のカム(2)からの離脱(ジャンピング)を抑制することが可能となる。
ここで、ダンパー室(15)とタペット収容室(16、17)とを、例えば燃料や潤滑油等の流体で満たしても良い。この場合、ダンパー室(15)とタペット収容室(16、17)とを連通する絞り流路(18)を介して、ダンパー室(15)の外部であるタペット収容室(16、17)に対して、ダンパー室(15)内に満たされる流体の出入りが自由となっている。なお、プランジャ(3)の移動方向への移動に伴ってプランジャ(3)のシリンダ対向部(12、13)とシリンダ(4、14)との対向距離が所定値以下となると、絞り流路(18)を流通する流体に流動抵抗が発生する。
請求項3に記載の発明によれば、プランジャ(3)の移動方向への移動に伴ってプランジャ(3)のシリンダ対向部(12、13)とシリンダ(4、14)との対向距離が所定値以下に小さくなった時とは、プランジャ(3)のフルリフト(最大カムリフト)時に、カム当接部(9)がプランジャ(3)のフルリフト量(最大カムリフト量)以上にシリンダ(4、14)側へ移動(リフト、上昇)した時のことである。
請求項4に記載の発明によれば、プランジャ(3)のシリンダ対向部とは、プランジャ(3)と一体移動可能に連結し、スプリング(6)の荷重(スプリング力)を受け止めるスプリング座(12)のことである。
請求項5に記載の発明によれば、プランジャ(3)のスプリング座(12)に、シリンダ(4、14)側に突出した嵌合凸部(61)を設け、また、シリンダ(4、14)に、スプリング座(12)側に対して反対側に窪んだ嵌合凹部(62)を設けている。そして、嵌合凸部(61)の先端部分は、プランジャ(3)のフルリフト(最大カムリフト)時に、嵌合凹部(62)の先端部分と所定の軸線方向位置で重なる(同一平面上に位置する)ように構成されている。
これによって、タペット構造体(7〜10)のカム当接部(9)が最大カムリフト以上にカム(2)からジャンピング(離脱)しようとすると、ダンパー室(15)内に充満している流体が嵌合凸部(61)と嵌合凹部(62)との間で圧縮される。これにより、ダンパー室(15)内の流体に圧縮抵抗力が発生するので、ダンパー室(15)内の流体の圧縮抵抗力により、カム当接部(9)またはスプリング座(12)に対してダンパー効果を与えることができる。したがって、タペット構造体(7〜10)のカム当接部(9)の過剰なジャンピングを抑制することができる。
請求項6に記載の発明によれば、プランジャ(3)のスプリング座(12)に、シリンダ(4、14)側に対して反対側に窪んだ嵌合凹部(64)を設け、また、シリンダ(4、14)に、スプリング座(12)側に突出した嵌合凸部(65)を設けている。そして、嵌合凹部(64)の先端部分は、プランジャ(3)のフルリフト(最大カムリフト)時に、嵌合凸部(65)の先端部分と所定の軸線方向位置で重なる(同一平面上に位置する)ように構成されている。
これによって、タペット構造体(7〜10)のカム当接部(9)が最大カムリフト以上にカム(2)からジャンピング(離脱)しようとすると、ダンパー室(15)内に充満している流体が嵌合凹部(64)と嵌合凸部(65)との間で圧縮される。これにより、ダンパー室(15)内の流体に圧縮抵抗力が発生するので、ダンパー室(15)内の流体の圧縮抵抗力により、カム当接部(9)またはスプリング座(12)に対してダンパー効果を与えることができる。したがって、タペット構造体(7〜10)のカム当接部(9)の過剰なジャンピングを抑制することができる。
請求項7に記載の発明によれば、プランジャ(3)のシリンダ対向部とは、プランジャ(3)と一体移動可能に設けられて、スプリング(6)の荷重(スプリング力)を受け止めるスプリング座(13)のことである。
請求項8に記載の発明によれば、プランジャ(3)のスプリング座(13)に、シリンダ(4、14)側に突出した嵌合凸部(61)を設け、また、シリンダ(4、14)に、スプリング座(13)側に対して反対側に窪んだ嵌合凹部(62)を設けている。そして、嵌合凸部(61)の先端部分は、プランジャ(3)のフルリフト(最大カムリフト)時に、嵌合凹部(62)の先端部分と所定の軸線方向位置で重なる(同一平面上に位置する)ように構成されている。
これによって、タペット構造体(7〜10)のカム当接部(9)が最大カムリフト以上にカム(2)からジャンピング(離脱)しようとすると、ダンパー室(15)内に充満している流体が嵌合凸部(61)と嵌合凹部(62)との間で圧縮される。これにより、ダンパー室(15)内の流体に圧縮抵抗力が発生するので、ダンパー室(15)内の流体の圧縮抵抗力により、カム当接部(9)またはスプリング座(13)に対してダンパー効果を与えることができる。したがって、タペット構造体(7〜10)のカム当接部(9)の過剰なジャンピングを抑制することができる。
なお、プランジャ(3)のスプリング座(13)に、シリンダ(4、14)側に対して反対側に窪んだ嵌合凹部(64)を設け、また、シリンダ(4、14)に、スプリング座(13)側に突出した嵌合凸部(65)を設けても良い。
請求項9に記載の発明によれば、タペット構造体の一構成要素として、カム当接部(9)の往復運動をプランジャ(3)に伝えるタペット(7)を使用している。なお、タペット(7)自身がカムシャフト(1)のカム(2)に(直接)当接するタイプの場合、カム当接部(9)はタペット(7)に一体移動可能に設けられる。つまりカム当接部(9)はタペット(7)に一体形成される。
請求項10に記載の発明によれば、タペット構造体のカム当接部とは、タペット(7)と一体移動可能に連結するローラ(9)のことである。これにより、ローラ(9)の往復運動がタペット(7)からプランジャ(3)に伝わり、シリンダ(4)のシリンダ孔内をプランジャ(3)がその移動方向に往復摺動する。
請求項11に記載の発明によれば、タペット構造体の一構成要素として、タペット(7)と一体移動可能に連結する支持軸(8)を使用している。また、ローラ(9)は、支持軸(8)に対して相対回転可能に支持されている。
請求項12に記載の発明によれば、ローラ(9)と支持軸(8)との間に軸受け部材(10)を設けている。これにより、タペット構造体のカム当接部であるローラ(9)は、軸受け部材(10)を介して、支持軸(8)の外周に回転自在に支持される。
請求項13に記載の発明によれば、ダンパー室(15)内に満たされる流体(液体)とは、支持軸(8)またはローラ(9)と軸受け部材(10)との摺動部分を潤滑する潤滑油のことである。また、プランジャ(3)のシリンダ対向部(12、13)とシリンダ(4、14)との間に形成されるダンパー室(15)は、潤滑油で満たされている。
この場合、ダンパー室(15)とタペット収容室(16、17)とを連通する絞り流路(18)を介して、ダンパー室(15)の外部であるタペット収容室(16、17)に対して、ダンパー室(15)内に満たされる潤滑油の出入りが自由となっている。なお、プランジャ(3)の移動方向への移動に伴ってプランジャ(3)のシリンダ対向部(12、13)とシリンダ(4、14)の対向距離が所定値以下となると、絞り流路(18)を流通する潤滑油に流動抵抗が発生する。
また、スプリング(6)の荷重、つまりプランジャ(3)をカム(2)およびタペット構造体(7〜10)に押し付ける方向に付勢する付勢力(押圧力)を現状(従来)と比べて増加させる必要がないので、カムシャフト(1)を低速(または高速)回転させた場合であっても、支持軸(8)またはローラ(9)と軸受け部材(10)との間に潤滑油が入り込み、支持軸(8)またはローラ(9)と軸受け部材(10)との間に油膜を形成することが可能となる。これにより、支持軸(8)またはローラ(9)と軸受け部材(10)とを離す方向に作用する力(スクイーズ力)が増加するので、支持軸(8)またはローラ(9)と軸受け部材(10)との摺動部分の焼き付きを防止することができる。
請求項14に記載の発明によれば、カムシャフト(1)のカム(2)は、時間経過またはカム回転角度に対するプランジャ(3)のリフト量の変化特性を規定するプロフィールを有している。
高圧燃料ポンプの全体構造を示した断面図である(実施例1)。 高圧燃料ポンプのプランジャ駆動機構を示した断面図である(実施例1)。 (a)、(b)は低速回転時におけるタペット構造体、ダンパー機能体の動作を説明した図で、(c)は時間経過に対するカムローラ軌跡の変化を示したタイミングチャートである(実施例1)。 (a)〜(c)は高速回転時におけるタペット構造体、ダンパー機能体の動作を説明した図で、(d)は時間経過に対するカムローラ軌跡の変化を示したタイミングチャートである(実施例1)。 高圧燃料ポンプのプランジャ駆動機構を示した断面図である(実施例2)。 高圧燃料ポンプのプランジャ駆動機構を示した断面図である(実施例3)。 サプライポンプの低速回転時におけるカム回転角度に対するカムリフト量を示した図である(従来の技術)。 サプライポンプの高速回転時におけるカム回転角度に対するカムリフト量を示した図である(従来の技術)。 (a)、(b)はサプライポンプの高速回転時におけるカム回転角度に対するカムリフト量を示した図である(従来の技術)。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、内燃機関の高速化に対応してカムシャフト(1)を高速回転させた場合であっても、スプリング(6)の荷重、つまりプランジャ(3)をカム(2)およびタペット構造体(7〜10)に押し付ける方向に付勢する付勢力(押圧力)を増加させることなく、タペット構造体(7〜10)のうちの少なくともカム当接部(9)が、プランジャ(3)のフルリフト量(最大カムリフト量)を超えて過剰にジャンピングするのを抑制するという目的を、プランジャ(3)およびシリンダ(4、14)に、プランジャ(3)の移動方向への移動に伴ってプランジャ(3)のシリンダ対向部(12、13)とシリンダ(4、14)との対向距離が所定値以下に小さくなった時(例えば最大カムリフト時)にのみ、ダンパー室(15)内に充満している流体に圧縮抵抗力を発生させて、タペット構造体(7〜10)のうちの少なくともカム当接部(9)またはプランジャ(3)のシリンダ対向部(12、13)の動きを鈍らせるダンパー機能を発揮する抵抗発生手段(ダンパー機能体)を設けることで実現した。
[実施例1の構成]
図1ないし図4は本発明の実施例1を示したもので、図1は高圧燃料ポンプの全体構造を示した図で、図2は高圧燃料ポンプのプランジャ駆動機構を示した図である。
本実施例の内燃機関の燃料供給装置は、自動車等の車両のエンジンルームに搭載されるもので、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)用の燃料噴射システムとして知られるコモンレール式燃料噴射システム(蓄圧式燃料噴射装置)によって構成されている。
このコモンレール式燃料噴射システムは、燃料タンクから燃料を汲み上げるフィードポンプと、このフィードポンプから供給される燃料を加圧して高圧化する高圧燃料ポンプ(可変吐出量高圧ポンプ)と、この高圧燃料ポンプから高圧燃料が導入されるコモンレールと、このコモンレールから高圧燃料が分配供給される複数のインジェクタとを備え、コモンレールの内部に蓄圧された高圧燃料を各インジェクタを介してエンジンの各気筒毎の燃焼室内に噴射供給するように構成されている。
高圧燃料ポンプは、エンジンのクランクシャフトによって回転駆動されるカムシャフト1と、このカムシャフト1と一体回転可能に設けられるカム2と、カムシャフト1のカム2によって往復移動方向に往復駆動されるプランジャ3と、このプランジャ3をその往復移動方向に往復摺動可能に支持するシリンダボディ(シリンダ)4と、カム2を回転自在に収容すると共に、ベアリングを介してカムシャフト1のジャーナルを回転自在に支持するポンプハウジング5と、カムシャフト1のカム2のプロフィールに従ってプランジャ3をその往復移動方向に上昇(リフト)させるタペット構造体と、カム2のプロフィールに従ってプランジャ3をその往復移動方向に下降させるコイルスプリング6とを備えている。
タペット構造体は、カムシャフト1およびカム2を伴ってプランジャ3を往復移動方向に駆動するプランジャ駆動機構を構成する。このタペット構造体は、ポンプハウジング5に往復摺動可能に支持されるタペットボディ7、このタペットボディ7に回転自在に支持されるローラピン(支持軸)8、このローラピン8の外周に回転自在に支持されるカムローラ9等を有している。このカムローラ9は、カム2のプロフィールに従ってプランジャ3の往復移動方向へ往復運動し、且つカムシャフト1のカム2のカム面に直接当接すると共に、ローラピン8を介してタペットボディ7に一体移動可能に連結している。
ここで、カムローラ9がローラピン8の周囲をその円周方向に回転すると、ローラピン8とカムローラ9とが焼き付く可能性があるので、ローラピン8の外周とカムローラ9の内周との間には、円筒状のローラブッシュ10が設置されている。
プランジャ3は、スプリングシート11との間に所定の軸方向距離を隔てて対向して配置されるスプリングシート12を有している。このスプリングシート12は、プランジャ3と一体移動可能に連結している。また、スプリングシート12は、タペットボディ7の座面に直接当接している。また、スプリングシート12は、シリンダボディ4の軸線方向のシリンダ下端(一端または他端)14との間にダンパー室(容積可変空間、流体充填室)15を隔てて対向して配置されるシリンダ対向部を構成する。
プランジャ3およびシリンダボディ4は、潤滑油に対して流動抵抗力と圧縮抵抗力を発生させて、プランジャ3、スプリングシート12およびタペット構造体(タペットボディ7、ローラピン8、カムローラ9)等の動きを鈍らせるダンパー機能を発揮するダンパー機能体(抵抗発生手段)を備えている。このダンパー機能体は、ダンパー室15内に充満する潤滑油、およびダンパー室15とタペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)とを連通する絞り流路(クリアランス)18等を含んで構成される。
ポンプハウジング5は、シリンダボディ4との間にスプリングシート11を支持固定している。
なお、本実施例のプランジャ3、シリンダボディ4、タペット構造体およびダンパー機能体の詳細は後述する。
カムシャフト1は、タペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)に連通するカム室19内に挿入されている。このカムシャフト1は、その回転軸方向に真っ直ぐに延びる複数のジャーナルを有している。また、複数のジャーナルは、ベアリングを介してポンプハウジング5に回転可能に支持されている。隣設する2つのジャーナル間には、カムシャフト1の回転軸周りに120°の角度間隔毎に3つのカムノーズ(カム山)を有する1つまたは複数のカム2が設けられている。
カム2の各カム山には、時間経過またはカム回転角度に対するプランジャ3のリフト量の変化特性を規定するカムプロフィール(カム面)が設けられている。
なお、本実施例のエンジンは、6気筒型であるので、エンジンの1サイクル中、つまりクランクシャフトが2回転する間に、エンジンの気筒毎に搭載されたインジェクタの噴射孔から各1回ずつ、合計6回の燃料噴射が行われる。また、エンジンの1サイクル毎に、カムシャフト1が1回転し、高圧燃料ポンプからの吐出動作が3回ずつ行われる。
また、カムシャフト1の回転軸方向の一端(ポンプハウジング5の外壁面から外部に向けて突き出した部分)の外周には、エンジンのクランクシャフトのクランクプーリとベルトを介して駆動連結されるドライブプーリ(図示せず)が取り付けられている。
ポンプハウジング5は、金属材料によって所定の形状に形成されている。このポンプハウジング5の内部には、カム2を回転可能に収容するカム室19が形成されている。カム室19の内部には、カムシャフト1がカム室19を貫通するように挿入されている。カム室19は、タペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)に連通している。
ポンプハウジング5は、シリンダボディ4との間にタペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)を形成する円筒状のタペットガイド20を有している。
タペットガイド20の内部には、タペットボディ7が往復摺動可能に収容されている。また、タペットガイド20の内周面には、タペットボディ7の外周面と摺動する摺動面が形成されている。
プランジャ3は、シリンダボディ4のシリンダ孔21内を往復摺動することで、フィードポンプから燃料ギャラリ室22、燃料供給流路(燃料孔23)、電磁弁24、ストッパ25を貫通する流路を経て燃料加圧室26内に吸入した燃料を加圧して高圧化するもので、シリンダボディ4を伴ってポンプエレメント(高圧燃料ポンプ本体)を構成する。なお、シリンダボディ4には、シリンダ孔21、燃料孔23、電磁弁24、燃料加圧室26、燃料吐出流路(燃料孔27)、燃料吐出弁28およびアウトレットパイプ29の吐出ポートが設けられている。
プランジャ3は、その軸線方向(往復移動方向)に真っ直ぐに延びる円柱状のプランジャ本体を有している。
プランジャ本体は、シリンダボディ4のシリンダ孔21内に往復摺動可能に収容されている。このプランジャ本体の軸線方向の一端面(図示上端面)は、シリンダボディ4の段差と電磁弁24との間に挟み込まれたストッパ25の板厚方向の他端面(図示下端面)に対向するように配設されている。
また、プランジャ本体の軸線方向の他端側(図示下端側)には、シリンダボディ4の軸線方向の他端面(図示下端面)より図示下方(カムシャフト側)に突出するカム側突出端部(プランジャ下端部)が一体的に設けられている。
プランジャ本体のプランジャ下端部は、プランジャ本体の中間部よりも軸線方向の図示下方側(カム側)へ延長されている。このプランジャ下端部には、スプリングシート12を支持固定するシート装着部31、およびこのシート装着部31よりも外径が大きい鍔状のプランジャヘッド32が一体的に設けられている。このプランジャヘッド32は、タペット構造体のタペットボディ7の表面(平面部)に当接している。
これにより、カムシャフト1の回転によりカム2が回転すると、カムローラ9を介してタペットボディ7が図1中の図示上下方向に往復運動する。このようなタペットボディ7の往復運動は、スプリングシート12を介してプランジャ3に伝えられ、プランジャ3はシリンダボディ4のシリンダ孔21内を往復移動する。
ここで、プランジャ3の往復移動に伴って燃料加圧室26の内容積が拡縮することで加圧圧縮された高圧燃料は、燃料加圧室26から燃料孔27、燃料吐出弁28、アウトレットパイプ29を経由してコモンレール側へ圧送供給されるように構成されている。
シリンダボディ4は、金属材料によって形成されている。このシリンダボディ4のシリンダ孔21は、外部に向けて開口した嵌合孔(シリンダ孔21よりも内径の大きい嵌合凹部)33の底面(円環状の段差)で開口している。この嵌合孔33は、シリンダ孔21と同一軸線上に設けられて、電磁弁24によって気密的(液密的)に閉塞されている。
シリンダ孔21の軸線方向の一端側(図示上端側、開口端側)には、燃料ギャラリ室22から電磁弁24を経由して燃料が供給される燃料加圧室26が形成されている。この燃料加圧室26は、シリンダボディ4とプランジャ3との摺動クリアランスを介して、タペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)に連通している。つまり燃料加圧室26より溢流した燃料は、摺動クリアランスを通ってタペット収容室へ流出する。
なお、シリンダボディ4とポンプハウジング5との間には、フィードポンプから燃料が供給される燃料ギャラリ室22が形成されている。
ここで、シリンダボディ4は、その軸線方向(往復移動方向)に真っ直ぐに延びる円筒状のシリンダ本体を有している。このシリンダ本体の軸線方向の上端側には、ストッパ25が保持固定されている。
また、シリンダ本体の軸線方向の下端側には、ポンプハウジング5との嵌合部(フランジ)34より図示下方(カムシャフト側)に突出するシリンダ下端14が一体的に設けられている。
シリンダ下端14は、シリンダ本体の中間部に設けられる嵌合部34よりも軸線方向の図示下方側(カム側)へ延長されている。なお、シリンダ本体の中間部の外周には、スプリングシート12との間に所定の軸方向距離を隔てて対向するように円環板状のスプリングシート11が設置されている。
なお、シリンダボディ4のシリンダ孔21の軸線方向の他端側は、シリンダ本体のシリンダ下端14の環状端面で開口している。
電磁弁24は、高圧燃料ポンプのシリンダボディ4の嵌合孔33に締結固定されている。この電磁弁24は、シリンダボディ4の内部(燃料加圧室26)に吸入する燃料量を調量することで燃料加圧室26より吐出される燃料吐出量を制御する常開型(ノーマリオープンタイプ)の電磁式流量制御弁である。
電磁弁24は、シリンダ孔21の上端部に組み付けられるストッパ(バルブシート)25と、このストッパ25に対して着座、離脱することが可能なスプールバルブ(電磁弁の弁体)41と、このスプールバルブ41を開弁作動方向または閉弁作動方向に駆動する電磁アクチュエータとによって構成されている。
電磁アクチュエータは、スプールバルブ41を往復摺動可能に支持するバルブボディ42、スプールバルブ41と一体移動可能に設けられるアーマチャ43、スプールバルブ41とアーマチャ43を閉弁作動方向に付勢するコイルスプリング、およびアーマチャ43を引き寄せる電磁力を発生する電磁石を有している。この電磁石は、コイルボビンに巻装されたソレノイドコイル44、このソレノイドコイル44に電気的に接続される外部接続端子(ターミナル)45、ソレノイドコイル44への通電により磁化されるステータ46、およびこれらを収容保持するハウジング47とを備えている。
バルブボディ42の内部には、燃料孔23を介して、燃料ギャラリ室22から燃料が導入される燃料孔が形成されている。
ストッパ25には、電磁弁24側の燃料孔と燃料加圧室26とを連通する連通孔(流路)が形成されている。
電磁弁24のソレノイドコイル44は、ECU(エンジン制御ユニット)によって電子制御されるポンプ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
コイルスプリング6は、スプリングシート12に対して、プランジャ3をカム2のカム面およびタペットボディ7の表面(プランジャ座面、スプリングシート座面)に押し付ける方向に付勢(作用)する押圧力(スプリング荷重)を発生するプランジャ付勢手段(荷重発生手段)である。このコイルスプリング6は、プランジャ3のプランジャ本体およびシリンダボディ4のシリンダ本体のシリンダ下端14の外周に螺旋状に設置されている。 コイルスプリング6は、シリンダボディ4の外周に一体的に設けられたスプリングシート11と、プランジャ3のプランジャ下端部の外周に一体的に設けられたスプリングシート12との間に弾性保持された状態で組み込まれている。つまりコイルスプリング6の一端側の端末部は、スプリングシート11に保持され、また、コイルスプリング6の他端側の端末部は、スプリングシート12に保持されている。
なお、コイルスプリング6の一端側の端末部が、シリンダボディ4の嵌合部34に直接当接するようにしても良い。また、コイルスプリング6の他端側の端末部が、タペットボディ7の表面(平面部)に直接当接するようにしても良い。
ここで、ポンプハウジング5の外壁部には、タペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)およびカム室19に潤滑油を導入(供給)するためのインレットパイプと、タペット収容室およびカム室19から潤滑油を排出するためのアウトレットパイプと、燃料ギャラリ室22内の圧力が所定値以上に上昇した際に開弁するオーバーフローバルブとが組み付けられている。
次に、本実施例のタペット構造体の詳細を図1ないし図4に基づいて説明する。
本実施例のタペット構造体は、ポンプハウジング5のタペットガイド20に往復摺動可能に支持されるタペットボディ7と、このタペットボディ7の支持部に形成される軸受け孔(図示せず)に回転自在に支持されるローラピン8と、タペットボディ7のカムローラ室16内に回転自在に収容されるカムローラ9と、コイルスプリング6の両端末部を係止するスプリングシート11、12と、プランジャ3のフルリフト(最大カムリフト)付近でカム2のカム面からカムローラ9が離脱する不具合の発生(カムローラ9のジャンピング)を抑制(防止)するダンパー機能体(抵抗発生手段)とを備えている。
タペットボディ7は、金属材料によって所定の形状に形成されている。このタペットボディ7は、ローラピン8を回転自在に支持し、且つカムローラ9を回転自在に収容することで、カムローラ9の往復運動をプランジャ3に伝達するタペット本体である。
タペットボディ7は、カムローラ9を回転自在に収容するカムローラ室16、およびコイルスプリング6とスプリングシート12を収容するスプリング室17を有している。
タペットボディ7は、ポンプハウジング5のタペットガイド20に対して、図示上下方向に摺動自在に配設されている。このタペットボディ7は、タペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)内に往復移動可能に収容されている。また、タペットボディ7は、コイルスプリング6の付勢力により常に図示下方に付勢されている。また、タペットボディ7は、ローラピン8およびカムローラ9を介して常にカム2の外周面に当接している。
タペットボディ7は、タペット収容室をカムローラ室16とスプリング室17とを区画する円板状(または角板状)の隔壁(仕切り部)51、内部にカムローラ室16が形成される円筒状(または角筒状)の周壁52、および内部にスプリング室17が形成される円筒状(または角筒状)の周壁53を有している。
隔壁51のスプリング室側面には、プランジャ3のプランジャ下端部(プランジャヘッド32)の駆動力または駆動反力およびスプリングシート12を介してコイルスプリング6の押圧荷重を受ける平面形状の座面が形成されている。また、隔壁51には、カムローラ室16とスプリング室17とを連通する複数の連通孔54が形成されている。これらの連通孔54は、隔壁51をその板厚方向に貫通しており、潤滑油または潤滑油としての燃料が通過可能となっている。
周壁52は、隔壁51の裏面を取り囲む環状の周縁部分からカムシャフト1のカム側(図示下方側)に向けて突出している。この周壁52には、ローラピン8を回転自在に支持する一対の支持部が設けられている。これらの支持部は、カムローラ室16を隔てて互いに対向して配置されている。一対の支持部には、ローラピン8を圧入嵌合する嵌合孔がそれぞれ形成されている。一対の嵌合孔は、各支持部をその板厚(肉厚)方向に貫通している。
周壁53は、隔壁51の表面である座面を取り囲む環状の周縁部分からシリンダボディ4の嵌合部側(カム側に対して反対側、図示上方側)に向けて突出している。
周壁52、53の外周面には、ポンプハウジング5のタペットガイド20の摺動面(内周面)と摺動する摺動面が形成されている。
これにより、タペットボディ7の周壁52、53とポンプハウジング5のタペットガイド20との摺動部分と、プランジャ3のプランジャヘッド32およびスプリングシート12とタペットボディ7の隔壁51の座面との摺動部分を潤滑するという目的で、タペット収容室、特にスプリング室17に充填または供給される潤滑油が、複数の連通孔54を経てカムローラ室16およびカム室19に流入し易くなる。あるいはカムシャフト1のカム2とカムローラ9との摺動部分を潤滑するという目的で、カム室19に充填または供給される潤滑油が、カムローラ室16、複数の連通孔54を経てスプリング室17に流入し易くなる。
ローラピン8は、タペットボディ7の一対の嵌合孔に打ち込まれて一対の支持部に圧入固定されている。このローラピン8は、一方の支持部から他方の支持部まで回転軸方向に真っ直ぐに延びている。また、ローラピン8は、タペットボディ7と一体移動可能に連結されている。また、ローラピン8の軸方向中心線は、カムローラ9の回転中心を構成する。また、ローラピン8の外周には、ローラブッシュ10を介して、カムローラ9が回転自在に支持されている。
カムローラ9は、カム2のプロフィール(カム面)に従ってプランジャ3の往復移動方向へ往復運動すると共に、カム2のカム面に直接当接するカム当接部を構成する。このカムローラ9は、ローラピン8を介して、タペットボディ7と一体移動可能に連結している。また、カムローラ9は、タペットボディ7の各支持部間に掛け渡されるローラピン8の周囲を円周方向に取り囲むように設置されている。また、カムローラ9は、カム2のプロフィールに従ってプランジャ3の往復移動方向へ往復運動する。また、カムローラ9は、カム2のプロフィールに沿って移動することで、ローラピン8の軸方向中心線を中心にしてローラピン8の周りをその円周方向に回転しながら、プランジャ3の往復移動方向へ往復運動する。
ローラブッシュ10は、例えば銅や鉄等の金属を焼結した焼結部品(軸受け部材、ベアリング)であって、ローラピン8の周囲を円周方向に取り囲むように円筒形状に形成されている。このローラブッシュ10は、カムローラ9の内周面に圧入固定されている。また、ローラブッシュ10の内部には、ローラピン8の外周面(摺動面)と摺動する摺動孔55が形成されている。
そして、ローラピン8の摺動面とローラブッシュ10の摺動孔55の孔壁面との間には、ローラピン8の外側で、カムローラ9およびローラブッシュ10が円滑に回転できるように摺動クリアランスが形成されている。
なお、本実施例のタペット構造体では、カムシャフト1のカム2とカムローラ9との間、タペットボディ7とプランジャ3およびスプリングシート12との間、カムローラ9とローラブッシュ10との間にカム室19およびタペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)内の潤滑油が供給されるように構成されている。
これにより、カムシャフト1のカム2とカムローラ9との間、タペットボディ7とプランジャ3およびスプリングシート12との間、ローラピン8とローラブッシュ10との間に、カムシャフト1のカム2とカムローラ9との摺動部分、タペットボディ7とプランジャ3およびスプリングシート12との摺動部分、ローラピン8とローラブッシュ10との摺動部分の焼き付きを抑制するための油膜が形成される。
次に、本実施例のプランジャ3のシリンダ対向部であるスプリングシート12の詳細を図1ないし図4に基づいて説明する。
本実施例のスプリングシート12は、シリンダボディ4のシリンダ下端14との間に、容積可変空間(流体充填室)であるダンパー室15を隔てて対向するシリンダ対向部材を構成する。このスプリングシート12は、タペットボディ7の隔壁51の表面である座面に直接当接している。また、スプリングシート12は、コイルスプリング6のスプリング荷重を受け止めるもので、プランジャ3のプランジャ下端部(シート装着部31)の外周にプランジャ3と一体移動可能に連結されている。また、スプリングシート12には、スプリング室17の上部と下部とを連通する複数の連通孔56が形成されている。これらの連通孔56は、スプリングシート12をその板厚方向に貫通しており、潤滑油または潤滑油としての燃料が通過可能となっている。
次に、本実施例のプランジャ3のダンパー機能体の詳細を図1ないし図4に基づいて説明する。
本実施例のダンパー機能体は、プランジャ3のスプリングシート12と、シリンダボディ4のシリンダ下端14と、ダンパー室15とタペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)とを連通するクリアランス18とを備え、プランジャ3の往復移動方向への移動に伴ってシリンダボディ4のシリンダ下端14とスプリングシート12との対向距離が所定値以下に小さくなった時、クリアランス18を流通する潤滑油(流体)の流動抵抗力を利用してタペットボディ7、ローラピン8、カムローラ9、ローラブッシュ10、スプリングシート12の動きを鈍らせる抵抗発生手段を構成する。
ここで、プランジャ3の往復移動方向への移動に伴ってシリンダボディ4のシリンダ下端14とスプリングシート12との対向距離が所定値以下に小さくなった時とは、プランジャ3のフルリフト(最大カムリフト)時に、カムローラ9がプランジャ3のフルリフト量以上にシリンダ側へ移動した時のことである。
スプリングシート12は、シリンダボディ4のシリンダ下端14の環状端面との間に、所定の軸方向距離を隔てて対向するシリンダ対向面を有している。このシリンダ対向面には、シリンダボディ4のシリンダ下端側に突出した円環状の嵌合凸部61が形成されている。
シリンダボディ4のシリンダ下端14の環状端面には、スプリングシート側に対して反対側に窪んだ嵌合凹部62が形成されている。また、シリンダボディ4のシリンダ孔21は、嵌合凹部62の底面の中央部で開口している。なお、シリンダ下端14の環状端面には、嵌合凹部62の周囲を円周方向に取り囲む円環状の周壁部63が設けられている。
そして、嵌合凸部61の先端部分(図示上端)は、プランジャ3のフルリフト(最大カムリフト)時に、嵌合凹部62の先端部分(図示下端、周壁部63の先端部分)と所定の軸線方向位置(プランジャ3、シリンダボディ4の軸線方向位置)で重なり合うように設定されている。
本実施例のダンパー機能体は、プランジャ3のスプリングシート12およびシリンダボディ4のシリンダ下端14に凹凸嵌合形状を設け、スプリングシート12の嵌合凸部61の先端部分とシリンダボディ4の嵌合凹部62の先端部分とが、最大カムリフト時に、上下方向位置が丁度重なるように設定されている。これにより、嵌合凸部61の先端部分と嵌合凹部62の先端部分とが重なる部分に潤滑油の流動抵抗を発生させる微少なクリアランス18が形成される。
ここで、プランジャ3のスプリングシート12とシリンダボディ4のシリンダ下端14との対向距離との対向距離が所定値以下となると、ダンパー室15内に充満している潤滑油が嵌合凸部61と嵌合凹部62との間で圧縮される。これにより、ダンパー室15内の潤滑油に圧縮抵抗力が発生するので、ダンパー室15内の潤滑油の圧縮抵抗力により、タペット構造体(特にカムローラ9)およびスプリングシート12に対してダンパー効果を与えることができる。したがって、タペット構造体のカムローラ9の過剰なジャンピングを抑制することができる。
また、クリアランス18を介して、ダンパー室15の外部であるスプリング室17に対して、ダンパー室15内に満たされる潤滑油の出入りが自由となっている。なお、プランジャ3の往復移動方向への移動に伴ってプランジャ3のスプリングシート12とシリンダボディ4のシリンダ下端14との対向距離が所定値以下となると、クリアランス18を流通する潤滑油、特に、ダンパー室15からタペット収容室のスプリング室17へ流出する潤滑油に流動抵抗(絞り抵抗)が発生する。これにより、クリアランス18を流通する潤滑油の流動抵抗力により、タペット構造体(特にカムローラ9)およびスプリングシート12に対してダンパー効果を与えることができる。
なお、スプリングシート12の動きが鈍ると、スプリングシート12と一体移動可能に連結したプランジャ3、タペットボディ7、ローラピン8およびカムローラ9の動きも鈍る。このため、スプリングシート12がプランジャ3のフルリフト以上にリフトすると、カムローラ9の動きを鈍らせるダンパー効果が発揮される。したがって、タペット構造体のカムローラ9の過剰なジャンピングを抑制することができる。
[実施例1の特徴]
ここで、図3(a)、(b)は、カムシャフト1の低速回転時のタペット構造体、ダンパー機能体の動作を説明する図である。また、図3(c)は、時間経過(カム回転角度でも良い)に対するカムローラ9の軌跡の変化を示した図である。
なお、図3(c)に示したカムローラ軌跡のA位置とは、図3(a)に示したカム2のカム面に対するカムローラ9の当接位置に対応している。また、図3(c)に示したカムローラ軌跡のB位置とは、図3(b)に示したカム2のカム面に対するカムローラ9の当接位置に対応している。
一方、図4(a)〜(c)は、カムシャフト1の高速回転時におけるタペット構造体、ダンパー機能体の動作を説明する図である。また、図4(d)は、時間経過(カム回転角度でも良い)に対するカムローラ軌跡の変化を示した図である。
なお、図4(d)に示したカムローラ軌跡のA位置とは、図4(a)に示したカム2のカム面に対するカムローラ9の当接位置に対応している。また、図4(d)に示したカムローラ軌跡のB位置とは、図4(b)に示したカム2のカム面に対するカムローラ9のジャンピング位置に対応している。また、図4(d)に示したカムローラ軌跡のC位置とは、図4(c)に示したカム2のカム面に対するカムローラ9のジャンピング位置に対応している。
以上のように、本実施例のダンパー機能体においては、プランジャ3の往復移動方向への移動に伴ってプランジャ3のスプリングシート12とシリンダボディ4のシリンダ下端14との対向距離が所定値となった時、つまりプランジャ3のフルリフト(最大カムリフト)時に、図2ないし図4に示したように、プランジャ3のプランジャ下端部(プランジャヘッド32)とシリンダボディ4のシリンダ下端14とスプリングシート12で囲まれた空間であるダンパー室15が形成される。
そして、スプリングシート12がプランジャ3のフルリフト量(最大カムリフト量)以上にリフト(上昇)すると、ダンパー室15内に充満している潤滑油がスプリングシート12の嵌合凸部61の頂面とシリンダボディ4の嵌合凹部62の底面との間で圧縮されて、スプリングシート12の動きを鈍らせるダンパー効果が発揮される。
なお、スプリングシート12の動きが鈍ると、スプリングシート12と一体移動可能に連結したプランジャ3、タペットボディ7、ローラピン8およびカムローラ9の動きも鈍る。このため、スプリングシート12がプランジャ3のフルリフト量(最大カムリフト量)以上にリフトすると、カムローラ9の動きを鈍らせるダンパー効果が発揮される。
ここで、スプリングシート12の嵌合凸部61とシリンダボディ4の嵌合凹部62との凹凸嵌合部に、適度な絞り量を規定することが可能なクリアランス18を設け、カムローラ9がプランジャ3のフルリフト量(最大カムリフト量)以上にジャンピングしようとすると、嵌合凸部61の先端部分と嵌合凹部62の先端部分とが重なることで、ダンパー室15が丁度塞がり、ダンパー室15内の潤滑油が圧縮される。これにより、ダンパー室15内の潤滑油に圧縮抵抗力が発生する。また、クリアランス18を流通する潤滑油、特に、ダンパー室15からタペット収容室のスプリング室17へ流出する潤滑油に流動抵抗(絞り抵抗)が発生する。
以上のように、ダンパー室15内の潤滑油の圧縮抵抗力およびクリアランス18を流通する潤滑油の流動抵抗力により、スプリングシート12に対してダンパー効果を与えることができる。これにより、スプリングシート12の動きを鈍らせるダンパー効果が作用するため、カムローラ9がプランジャ3のフルリフト量(最大カムリフト量)以上に過剰にリフトしないようにすることができる。
また、シリンダボディ4のシリンダ下端14でスプリングシート12のリフト規制を実施しないので、スプリングシート12とシリンダボディ4のシリンダ下端14との衝突も起こらない。これにより、衝撃騒音も発生しない。
ここで、カムシャフト1の低速回転時には、カム加速度が小さいため、カムローラ9は、図3(a)〜(c)に示したように、カム2のプロフィール(カムリフト)に沿って移動する。つまりカム2のカム面からカムローラ9が離脱(ジャンピング)することはない。
また、プランジャ3のフルリフト(最大カムリフト)時には、図3(b)に示したように、スプリングシート12の嵌合凸部61の先端部分とシリンダボディ4の嵌合凹部62の先端部分とは、上下方向位置が丁度重なるが、ダンパー室15内の潤滑油が圧縮されることはないため、スプリングシート12の動きを鈍らせるダンパー効果はほとんど発揮されない。
一方、カムシャフト1の高速回転時には、図4(a)〜(d)に示したように、カム加速度が大きいため、カムローラ9はカム2のカム面からジャンピングするが、最大カムリフト以上にカムローラ9がジャンピングしようとすると、ダンパー室15内の潤滑油が圧縮され、スプリングシート12の動きを鈍らせるダンパー効果が作用するため、カムローラ9の過剰なジャンピングを抑制することができる。
また、カムシャフト1の高速回転(高圧)時には、図4(d)に示したように、カムローラ9をカム2のカム面より適度に離脱させることで、カムローラ9とローラブッシュ10およびローラピン8との間を常時押し付けないようにすることができる。これにより、カムローラ9とローラブッシュ10との間の油膜形成にも効果があるので、カムローラ9とローラブッシュ10との摺動部分の耐焼き付き性を向上することができる。
[実施例1の作用]
次に、本実施例の内燃機関の燃料供給装置(コモンレール式燃料噴射システム)の作用を図1ないし図4に基づいて簡単に説明する。
高圧燃料ポンプのカムシャフト1がエンジンのクランクシャフトに駆動されて回転すると、タペットボディ7、ローラピン8およびカムローラ9がカム2の外周面(カムプロフィール)に沿って一体的に図示上下方向に往復運動する。そして、タペットボディ7が図示上下方向に往復移動すると、タペットボディ7と連動してプランジャ3およびスプリングシート12も図示上下方向に往復移動する。
このとき、電磁弁24のソレノイドコイル44への通電が停止(OFF)されており、ソレノイドコイル44の電磁力が消磁されている。このため、コイルスプリング6の付勢力によってスプールバルブ41が、ストッパ25に押し付けられている。すなわち、スプールバルブ41がバルブ全開位置に付勢されているため、スプールバルブ41によって燃料ギャラリ室22と燃料加圧室26とを連通する燃料流路(燃料孔23→燃料孔→連通孔)が開放(全開)状態となる。
また、プランジャ3がシリンダボディ4のシリンダ孔21内を下降すると、燃料加圧室26内の内容積が拡大する。これによって、フィードポンプから燃料ギャラリ室22内に吸入される燃料が、プランジャ3の下降に伴い、燃料孔23→燃料孔→連通孔を経由して燃料加圧室26内に導入される。
そして、プランジャ3がシリンダボディ4のシリンダ孔21内を下降から上昇に移行するタイミングで、電磁弁24のソレノイドコイル44への通電が実施(ON)されると、ソレノイドコイル44に電磁力が発生して、アーマチャ43やステータ46等の複数の磁性体が磁化される。
これにより、アーマチャ43がステータ46の吸引部に吸引され、これに伴いスプールバルブ41が閉弁作動方向に移動してバルブボディ42のバルブシートに着座する。この結果、スプールバルブ41によって燃料ギャラリ室22と燃料加圧室26とを連通する燃料流路が閉塞(全閉)状態となる。
また、プランジャ3がシリンダボディ4のシリンダ孔21内を更に上昇すると、燃料加圧室26内の内容積が狭くなる。
これによって、燃料加圧室26内に導入された燃料がプランジャ3の上昇に伴い加圧されて高圧化される。このとき、燃料加圧室26内の燃料圧力が燃料吐出弁28の開弁圧よりも高くなると燃料吐出弁28が開弁して、燃料加圧室26から燃料孔27→燃料吐出弁28→アウトレットパイプ29の吐出ポート→供給配管を経由してコモンレールに高圧燃料が圧送供給される。高圧燃料の圧送後には、電磁弁24のソレノイドコイル44への通電が停止(OFF)されてスプールバルブ41がバルブ全開位置に戻り、燃料加圧室26内に再び燃料が吸入される。
ここで、高圧燃料ポンプからコモンレール内への燃料の吐出量は、ECUによって電磁弁24のソレノイドコイル44への通電時期および通電期間を制御することにより、燃料加圧室26内に燃料を吸入する実吸入期間を変更して、プランジャ3がシリンダボディ4のシリンダ孔21内を下降する際の、燃料加圧室26内への燃料の吸入量を調整することで制御できる。これにより、エンジンの各気筒毎に対応して搭載されたインジェクタからエンジンの各気筒の燃焼室内に噴射供給される燃料の噴射圧力に相当(または対応)するコモンレール圧力を、エンジンの運転条件に対応した最適値に制御することが可能となる。
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例の高圧燃料ポンプにおいては、エンジンによって回転駆動されるカムシャフト1と、このカムシャフト1に一体形成されるカム2と、このカム2によって往復駆動されるプランジャ3と、このプランジャ3を往復摺動可能に支持するシリンダボディ4と、このシリンダボディ4との間にタペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)を形成するポンプハウジング5と、カム2とプランジャ3との間に配設されて、カムローラ9の往復運動をプランジャ3に伝えるタペットボディ7を有するタペット構造体と、プランジャ3をタペットボディ7に押し付ける方向に付勢するスプリング荷重を発生するコイルスプリング(荷重発生手段)6とを備えている。
プランジャ3は、シリンダボディ4のシリンダ下端14の嵌合凹部62との間に、潤滑油が充填されるダンパー室15を形成するスプリングシート12を有している。このスプリングシート12には、プランジャ3のフルリフト(最大カムリフト)時に、嵌合凹部62の先端部分と所定の軸線方向位置で重なる嵌合凸部61が一体的に設けられている。
また、プランジャ3およびシリンダボディ4には、タペット構造体(タペットボディ7、ローラピン8、カムローラ9、ローラブッシュ10)およびスプリングシート12の動きを鈍らせるダンパー機能を発揮するダンパー機能体(抵抗発生手段)が設けられている。
本実施例のダンパー機能体は、プランジャ3のスプリングシート12、シリンダボディ4のシリンダ下端14、ダンパー室15とタペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)とを連通するクリアランス18、およびダンパー室15内に充満する潤滑油を有している。このダンパー機能体は、プランジャ3の往復移動方向への移動に伴ってプランジャ3のスプリングシート12とシリンダボディ4のシリンダ下端14との対向距離が所定値以下に小さくなった時(例えばプランジャ3のフルリフト時、最大カムリフト時)にのみ、ダンパー室15内に充満している潤滑油に圧縮抵抗力を発生させると共に、ダンパー室15とタペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)とを連通するクリアランス18を流通する潤滑油に絞り抵抗力(流動抵抗力)を発生させることで、タペット構造体(特にカムローラ9)およびスプリングシート12の動きに対するダンパー効果を発揮するように構成されている。
これによって、エンジンの高速化に対応してカムシャフト1を高速回転させた場合であっても、ダンパー室15内に充満している潤滑油の圧縮抵抗力、およびクリアランス18を流通する潤滑油の流動抵抗力により、タペット構造体(特にカムローラ9)およびスプリングシート12に対してダンパー機能を効果的に付与することができる。これにより、スプリングシート12のカム2のカム面から離脱する方向への動きが鈍るので、カムローラ9のカム2のカム面から離脱する方向への動きが鈍る。
この結果、コイルスプリング6のスプリング荷重、つまりプランジャ3をタペットボディ7の隔壁51の表面であるプランジャ座面に押し付ける方向に付勢する付勢力(押圧力)を現状(従来)と比べて増加させることなく、カムローラ9のカム2のカム面からの離脱(ジャンピング)を抑制することが可能となる。これにより、コイルスプリング6の振幅が増加するのを回避できるので、コイルスプリング6が折損する等の不具合が発生することはない。
また、プランジャ3の往復移動方向への移動に伴ってプランジャ3のスプリングシート12の嵌合凸部61とシリンダボディ4のシリンダ下端14の嵌合凹部62との対向距離が所定値以下に小さくなった時(例えばプランジャ3のフルリフト時、最大カムリフト時)に、スプリングシート12がシリンダボディ4のシリンダ下端14に必要以上に接近することはない。これにより、スプリングシート12とシリンダボディ4のシリンダ下端14との衝突(干渉)を回避できるので、打撃騒音の発生を抑制することができる。
また、コイルスプリング6のスプリング荷重、つまりプランジャ3をタペットボディ7の隔壁51の表面であるプランジャ座面に押し付ける方向に付勢する付勢力(押圧力)を現状(従来)と比べて増加させる必要がないので、タペット構造体を構成する構成部品の重量が増加することはない。これにより、高圧燃料ポンプが大きな振幅で振動することがないので、高圧燃料ポンプの耐久寿命を向上することができる。
ここで、本実施例の高圧燃料ポンプにおいては、ダンパー室15とタペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)とを連通するクリアランス18を介して、ダンパー室15の外部であるタペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)に対して、ダンパー室15内に満たされる潤滑油の出入りが自由となっている。なお、上述したように、プランジャ3のスプリングシート12の嵌合凸部61とシリンダボディ4のシリンダ下端14の嵌合凹部62との対向距離が所定値以下となると、クリアランス18を流通する潤滑油に流動抵抗が発生する。
また、コイルスプリング6のスプリング荷重、つまりプランジャ3をタペットボディ7の隔壁51の表面であるプランジャ座面に押し付ける方向に付勢する付勢力(押圧力)を現状(従来)と比べて増加させる必要がないので、カムシャフト1を低速(または高速)回転させた場合であっても、ローラピン8とローラブッシュ10との間に潤滑油が入り込み、ローラピン8とローラブッシュ10との間に油膜を形成することが可能となる。これにより、ローラピン8とローラブッシュ10とを離す方向に作用する力(スクイーズ力)が増加するので、ローラピン8とローラブッシュ10との摺動部分の焼き付きを防止することができる。
図5は本発明の実施例2を示したもので、高圧燃料ポンプのプランジャ駆動機構を示した図である。
本実施例のダンパー機能体は、プランジャ3のスプリングシート12、シリンダボディ4のシリンダ下端14、ダンパー室15とタペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)とを連通するクリアランス18、およびダンパー室15内に充満する潤滑油を有している。このダンパー機能体は、実施例1と同様に、プランジャ3の往復移動方向への移動に伴ってプランジャ3のスプリングシート12とシリンダボディ4のシリンダ下端14との対向距離が所定値以下に小さくなった時(例えばプランジャ3のフルリフト時、最大カムリフト時)にのみ、ダンパー室15内に充満している潤滑油に圧縮抵抗力を発生させると共に、ダンパー室15とタペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)とを連通するクリアランス18を流通する潤滑油に絞り抵抗力(流動抵抗力)を発生させることで、タペット構造体(特にカムローラ9)およびスプリングシート12の動きに対するダンパー効果を発揮するように構成されている。
プランジャ3のプランジャ下端部(シート装着部31)には、シリンダボディ4のシリンダ下端14との間にダンパー室15を形成するスプリングシート12が一体移動可能に連結されている。このスプリングシート12には、シリンダボディ4のシリンダ下端14との間に所定の軸方向距離を隔てて対向するシリンダ対向面が設けられている。このシリンダ対向面には、シリンダ側に対して反対側に窪んだ嵌合凹部64が形成されている。なお、スプリングシート12のシリンダ対向面には、嵌合凹部64の周囲を円周方向に取り囲む円環状の周壁部66が設けられている。
一方、シリンダボディ4のシリンダ下端14には、スプリングシート側に突出した円環状の嵌合凸部65が一体的に設けられている。なお、嵌合凸部65の頂面(先端面)でシリンダ孔21が開口している。
ここで、嵌合凹部64の先端部分(図示上端、周壁部66の先端部分)は、プランジャ3のフルリフト(最大カムリフト)時に、嵌合凸部65の先端部分と所定の軸線方向位置で重なるように構成(設定)されている。
これによって、スプリングシート12がプランジャ3のフルリフト量(最大カムリフト量)以上にリフト(上昇)すると、ダンパー室15内に充満している潤滑油がスプリングシート12の嵌合凹部64の底面とシリンダボディ4の嵌合凸部65の頂面との間で圧縮されて、スプリングシート12の動きを鈍らせるダンパー効果が発揮される。
なお、スプリングシート12の動きが鈍ると、スプリングシート12と一体移動可能に連結したプランジャ3、タペットボディ7、ローラピン8およびカムローラ9の動きも鈍る。このため、スプリングシート12がプランジャ3のフルリフト量(最大カムリフト量)以上にリフトすると、カムローラ9の動きを鈍らせるダンパー効果が発揮される。
本実施例の高圧燃料ポンプにおいては、スプリングシート12の嵌合凹部64とシリンダボディ4の嵌合凸部65との凹凸嵌合部に、適度な絞り量を規定することが可能なクリアランス18を設けているので、カムローラ9がプランジャ3のフルリフト量(最大カムリフト量)以上にジャンピングしようとすると、嵌合凹部64の先端部分と嵌合凸部65の先端部分とが重なることで、ダンパー室15が丁度塞がり、ダンパー室15内の潤滑油が圧縮される。これにより、ダンパー室15内の潤滑油に圧縮抵抗力が発生する。また、クリアランス18を流通する潤滑油、特に、ダンパー室15からタペット収容室のスプリング室17へ流出する潤滑油に流動抵抗(絞り抵抗)が発生する。
以上のように、本実施例の高圧燃料ポンプにおいては、タペット構造体(特にカムローラ9)およびスプリングシート12の動きを鈍らせるダンパー機能を備えているので、実施例1と同様な効果を達成することができる。
図6は本発明の実施例3を示したもので、高圧燃料ポンプのプランジャ駆動機構を示した図である。
本実施例のプランジャ3のプランジャ本体のプランジャ下端部には、プランジャ本体の最大外径部であるスプリングシート13が一体的に設けられている。
スプリングシート13は、コイルスプリング6のスプリング荷重を受け止めるスプリング座部を有している。このスプリングシート13は、タペットボディ7の隔壁51の表面である座面に直接当接している。また、スプリングシート13とは、プランジャ3と一体移動可能に設けられる円環板状のフランジのことである。
また、スプリングシート13は、シリンダボディ4のシリンダ下端14(シリンダ端部)との間に、ダンパー室15を隔てて対向するシリンダ対向部(シリンダ対向部材、プランジャ3のシリンダ対向部)を構成する。
本実施例のダンパー機能体は、プランジャ3のスプリングシート13、シリンダボディ4のシリンダ下端14、ダンパー室15とタペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)とを連通するクリアランス18、およびダンパー室15内に充満する潤滑油を有している。このダンパー機能体は、実施例1と同様に、プランジャ3の往復移動方向への移動に伴ってプランジャ3のスプリングシート13とシリンダボディ4のシリンダ下端14との対向距離が所定値以下に小さくなった時(例えばプランジャ3のフルリフト時、最大カムリフト時)にのみ、ダンパー室15内に充満している潤滑油に圧縮抵抗力を発生させると共に、ダンパー室15とタペット収容室(カムローラ室16、スプリング室17)とを連通するクリアランス18を流通する潤滑油に絞り抵抗力(流動抵抗力)を発生させることで、タペット構造体(特にカムローラ9)およびスプリングシート12の動きに対するダンパー効果を発揮するように構成されている。
プランジャ3のプランジャ下端部には、シリンダボディ4のシリンダ下端14との間にダンパー室15を形成する円板状のスプリングシート13が一体移動可能に設けられている。つまりプランジャ3のプランジャ下端部にスプリングシート13が一体形成されている。このスプリングシート13には、シリンダボディ4のシリンダ下端14との間に所定の軸方向距離を隔てて対向するシリンダ対向面が設けられている。このシリンダ対向面には、シリンダ側に突出した円環状の嵌合凸部61が形成されている。
一方、シリンダボディ4のシリンダ下端14には、スプリングシート側に対して反対側に窪んだ嵌合凹部62が形成されている。また、嵌合凹部62の底面でシリンダ孔21が開口している。なお、シリンダ下端14の環状端面には、嵌合凹部62の周囲を円周方向に取り囲む円環状の周壁部63が設けられている。
ここで、嵌合凸部61の先端部分は、プランジャ3のフルリフト(最大カムリフト)時に、嵌合凹部62の先端部分(図示下端、周壁部63の先端部分)と所定の軸線方向位置で重なるように構成(設定)されている。
これによって、プランジャ3のスプリングシート13がプランジャ3のフルリフト量(最大カムリフト量)以上にリフト(上昇)すると、ダンパー室15内に充満している潤滑油がスプリングシート13の嵌合凸部61の頂面とシリンダボディ4の嵌合凹部62の底面との間で圧縮されて、スプリングシート13の動きを鈍らせるダンパー効果が発揮される。
なお、スプリングシート13の動きが鈍ると、スプリングシート13と一体移動可能に連結したプランジャ3、タペットボディ7、ローラピン8およびカムローラ9の動きも鈍る。このため、スプリングシート13がプランジャ3のフルリフト量(最大カムリフト量)以上にリフトすると、カムローラ9の動きを鈍らせるダンパー効果が発揮される。
本実施例の高圧燃料ポンプにおいては、スプリングシート13の嵌合凸部61とシリンダボディ4の嵌合凹部62との凹凸嵌合部に、適度な絞り量を規定することが可能なクリアランス18を設けているので、カムローラ9がプランジャ3のフルリフト量(最大カムリフト量)以上にジャンピングしようとすると、嵌合凸部61の先端部分と嵌合凹部62の先端部分とが重なることで、ダンパー室15が丁度塞がり、ダンパー室15内の潤滑油が圧縮される。これにより、ダンパー室15内の潤滑油に圧縮抵抗力が発生する。また、クリアランス18を流通する潤滑油、特に、ダンパー室15からタペット収容室のスプリング室17へ流出する潤滑油に流動抵抗(絞り抵抗)が発生する。
以上のように、本実施例の高圧燃料ポンプにおいては、タペット構造体(特にカムローラ9)およびスプリングシート13の動きを鈍らせるダンパー機能を備えているので、実施例1と同様な効果を達成することができる。
[変形例]
本実施例では、高圧燃料ポンプを、コモンレール式燃料噴射システム(コモンレールシステム)に使用される高圧燃料ポンプに適用した例を説明したが、高圧燃料ポンプを、コモンレールシステムではない内燃機関用燃料噴射システムに使用される分配型燃料噴射ポンプまたは列型燃料噴射ポンプに適用しても良い。
本実施例では、高圧燃料ポンプの吸入ポートよりも燃料流方向の上流側にフィードポンプを接続しているが、エンジンのクランクシャフトの回転に伴ってカムシャフト1が回転することで、燃料タンクから高圧燃料ポンプの吸入ポートを経由して低圧燃料を汲み上げるフィードポンプを、高圧燃料ポンプのポンプハウジング5に内蔵しても良い。
また、カム2のカム山の数は1つ以上の任意の数で良い。なお、ポンプエレメントの数、つまりプランジャ3やシリンダボディ4の本数は、1つでも、2つ以上でも良く、その数は任意である。また、電磁弁24の個数も、ポンプエレメントの数に応じて、1つでも、2つ以上でも良く、その数は任意である。
本実施例では、タペット構造体を、タペットボディ(タペット本体)7、ローラピン8、カムローラ9およびローラブッシュ10等によって構成し、タペット構造体のカム当接部としてカムローラ9を採用しているが、タペット構造体を、タペット本体、カムリング等によって構成し、タペット構造体のカム当接部としてカムリング(またはタペット)を採用しても良い。
また、プランジャ3にタペットボディ7が一体形成されていても良い。
1 カムシャフト
2 カム
3 プランジャ
4 シリンダボディ(シリンダ)
5 ポンプハウジング
6 コイルスプリング
7 タペットボディ(タペット構造体、タペット本体)
8 ローラピン(タペット構造体、支持軸)
9 カムローラ(タペット構造体、カム当接部)
10 ローラブッシュ(タペット構造体、軸受け部材)
12 スプリングシート(シリンダ対向部、スプリング座)
13 スプリングシート(シリンダ対向部、スプリング座)
14 シリンダ下端
15 ダンパー室(容積可変空間、流体充填室)
16 カムローラ室(タペット収容室)
17 スプリング室(タペット収容室)
18 クリアランス(絞り流路)
19 カム室
21 シリンダ孔
61 スプリングシートの嵌合凸部
62 シリンダボディの嵌合凹部
64 スプリングシートの嵌合凹部
65 シリンダボディの嵌合凸部

Claims (14)

  1. (a)内燃機関によって回転駆動されるカムシャフト(1)と、
    (b)このカムシャフト(1)と一体回転可能に設けられるカム(2)と、
    (c)このカム(2)によって往復駆動されるプランジャ(3)と、
    (d)このプランジャ(3)をその移動方向に往復摺動可能に支持するシリンダ(4)と、
    (e)前記カム(2)と前記プランジャ(3)との間に配設されて、前記カム(2)の回転運動を前記プランジャ(3)の往復運動に変換するタペット構造体(7〜10)と、 (f)前記プランジャ(3)を前記カム(2)および前記タペット構造体(7〜10)に押し付ける方向に付勢するスプリング(6)と
    を備えた高圧燃料ポンプにおいて、
    前記タペット構造体は、前記プランジャ(3)と一体移動可能に連結するタペット(7)、および前記カム(2)のプロフィールに従って前記プランジャ(3)の移動方向へ往復運動すると共に、前記カム(2)に当接するカム当接部(9)を有し、
    前記プランジャ(3)は、前記シリンダ(4、14)との間にダンパー室(15)を隔てて対向して配置されるシリンダ対向部(12、13)を有し、
    前記プランジャ(3)および前記シリンダ(4)は、前記プランジャ(3)の移動方向への移動に伴って前記シリンダ対向部(12、13)と前記シリンダ(4、14)との対向距離が所定値以下に小さくなった時にのみ、前記ダンパー室(15)内の流体に圧縮抵抗力を発生させて、前記タペット構造体(7〜10)のうちの少なくとも前記カム当接部(9)または前記シリンダ対向部(12、13)の動きを鈍らせる抵抗発生手段を有していることを特徴とする高圧燃料ポンプ。
  2. 請求項1に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
    前記抵抗発生手段は、前記ダンパー室(15)と前記タペット(7)を収容するタペット収容室(16、17)とを連通する絞り流路(18)を有し、
    前記プランジャ(3)の移動方向への移動に伴って前記シリンダ対向部(12、13)と前記シリンダ(4、14)との対向距離が所定値以下に小さくなった時にのみ、前記絞り流路(18)を流通する流体に対して絞り抵抗力を発生させて、前記カム当接部(9)または前記シリンダ対向部(12、13)の動きを鈍らせるダンパー機能を発揮することを特徴とする高圧燃料ポンプ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
    前記プランジャ(3)の移動方向への移動に伴って前記シリンダ対向部(12、13)と前記シリンダ(4、14)との対向距離が所定値以下に小さくなった時とは、
    前記プランジャ(3)のフルリフト時に、前記カム当接部(9)が前記プランジャ(3)のフルリフト量以上に前記シリンダ(4、14)側へ移動した時のことであることを特徴とする高圧燃料ポンプ。
  4. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の高圧燃料ポンプにおいて、
    前記シリンダ対向部とは、前記プランジャ(3)と一体移動可能に連結し、前記スプリング(6)の荷重を受け止めるスプリング座(12)のことであることを特徴とする高圧燃料ポンプ。
  5. 請求項4に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
    前記スプリング座(12)は、前記シリンダ(4、14)側に突出した嵌合凸部(61)を有し、
    前記シリンダ(4、14)は、前記スプリング座(12)側に対して反対側に窪んだ嵌合凹部(62)を有し、
    前記嵌合凸部(61)の先端部分は、前記プランジャ(3)のフルリフト時に、前記嵌合凹部(62)の先端部分と所定の軸線方向位置で重なるように構成されていることを特徴とする高圧燃料ポンプ。
  6. 請求項4に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
    前記スプリング座(12)は、前記シリンダ(4、14)側に対して反対側に窪んだ嵌合凹部(64)を有し、
    前記シリンダ(4、14)は、前記スプリング座(12)側に突出した嵌合凸部(65)を有し、
    前記嵌合凹部(64)の先端部分は、前記プランジャ(3)のフルリフト時に、前記嵌合凸部(65)の先端部分と所定の軸線方向位置で重なるように構成されていることを特徴とする高圧燃料ポンプ。
  7. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の高圧燃料ポンプにおいて、
    前記シリンダ対向部とは、前記プランジャ(3)と一体移動可能に設けられて、前記スプリング(6)の荷重を受け止めるスプリング座(13)のことであることを特徴とする高圧燃料ポンプ。
  8. 請求項7に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
    前記スプリング座(13)は、前記シリンダ(4、14)側に突出した嵌合凸部(61)を有し、
    前記シリンダ(4、14)は、前記スプリング座(13)側に対して反対側に窪んだ嵌合凹部(62)を有し、
    前記嵌合凸部(61)の先端部分は、前記プランジャ(3)のフルリフト時に、前記嵌合凹部(62)の先端部分と所定の軸線方向位置で重なるように構成されていることを特徴とする高圧燃料ポンプ。
  9. 請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載の高圧燃料ポンプにおいて、
    前記タペット(7)は、前記カム当接部(9)の往復運動を前記プランジャ(3)に伝達するように構成されていることを特徴とする高圧燃料ポンプ。
  10. 請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載の高圧燃料ポンプにおいて、
    前記カム当接部とは、前記タペット(7)と一体移動可能に連結するローラ(9)のことであることを特徴とする高圧燃料ポンプ。
  11. 請求項10に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
    前記タペット構造体は、前記タペット(7)と一体移動可能に連結する支持軸(8)を有し、
    前記ローラ(9)は、前記支持軸(8)に対して相対回転可能に支持されていることを特徴とする高圧燃料ポンプ。
  12. 請求項11に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
    前記ローラ(9)は、前記支持軸(8)との間に軸受け部材(10)を有していることを特徴とする高圧燃料ポンプ。
  13. 請求項12に記載の高圧燃料ポンプにおいて、
    前記ダンパー室(15)内に満たされる流体とは、前記支持軸(8)または前記ローラ(9)と前記軸受け部材(10)との摺動部分を潤滑する潤滑油のことであって、
    前記ダンパー室(15)は、潤滑油で満たされていることを特徴とする高圧燃料ポンプ。
  14. 請求項1ないし請求項13のうちのいずれか1つに記載の高圧燃料ポンプにおいて、
    前記カム(2)は、時間経過またはカム回転角度に対する前記プランジャ(3)のリフト量の変化特性を規定するプロフィールを有していることを特徴とする高圧燃料ポンプ。
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