以下、本発明の第1の実施の形態ないし第3の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るローラリフタが適用される燃料供給装置の構造を模式的に示す図であり、図2は、第1の実施の形態に係るローラリフタの断面図である。図3(a)は、ローラリフタの部分拡大断面図であり、図3(b)は、ローラリフタと潤滑油導入溝との位置関係を示す説明図であり、図4は、図3(a)のA−A断面を示す断面図であり、図5は、図3(a)のB−B断面を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るローラリフタ43は、燃料ポンプ3を構成しており、燃料ポンプ3は、燃料供給装置1を構成している。
この燃料ポンプ3は、図示しない車両のエンジンに搭載され、燃料を高圧にしてエンジンの燃焼室内に供給するよう構成されており、エンジンにより駆動される潤滑油供給装置10によってオイルが供給され潤滑されるようになっている。
なお、エンジンの種類については特に制限はなく、例えば、直列4気筒などのガソリンエンジンであってもよく、ディーゼルエンジンであってもよい。
燃料供給装置1は、燃料タンク2と、燃料ポンプ3と、4個の燃料噴射バルブ4と、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)5とを含んで構成されている。
さらに、燃料供給装置1は、燃料タンク2と燃料ポンプ3とを連結する低圧燃料パイプ6と、低圧燃料パイプ6に設けられ燃料噴射バルブ4の燃料噴射によって燃料経路に発生する圧力脈動を抑制するパルセーションダンパ7と、各燃料噴射バルブ4に燃料を供給するデリバリパイプ8と、燃料ポンプ3とデリバリパイプ8とを連結する高圧燃料パイプ9と、デリバリパイプ8に蓄えられた燃料の一部を燃料タンク2に還流させるリターンパイプ11と、デリバリパイプ8内の燃料の圧力(MPa)を検知する燃圧センサ12と、燃圧センサ12が検知した燃料圧力が所定圧(MPa)を超えたときに開弁するリリーフバルブ13と、燃料ポンプ3内で余剰となった燃料をリターンパイプ11に還流させる余剰燃料還流パイプ14とを含んで構成されている。
燃料タンク2は、ガソリンなどからなる燃料を貯留するタンク本体21と、タンク本体21内に収容され、低圧燃料パイプ6に設けられ燃料の圧力を調整するプレッシャレギュレータ22と、タンク本体21内の燃料を低圧燃料パイプ6を介して燃料ポンプ3に供給するフィードポンプ23と、プレッシャレギュレータ22とフィードポンプ23との間に設けられ燃料をろ過するフィルタ24とを含んで構成されている。
図2に示すように、燃料ポンプ3は、ポンプ本体31と、ポンプ本体31を駆動する駆動カム32と、電磁スピルバルブ33と、バルブケース34、35と、バルブケース35内に収容されたチェックバルブ36とを含んで構成されている。この燃料ポンプ3は、ポンプ本体31でシリンダヘッドカバーなどのエンジンの構成要素に設けられているローラリフタ取付部17に取り付けられており、潤滑油供給装置10によりオイルが供給され摺動部分などの潤滑要素が潤滑されるようになっている。
また、潤滑油供給装置10は、オイルパン81と、オイルストレーナ82と、クランクシャフトの動力により駆動されるポンプ83と、メインオイルギャラリなどのオイル通路部84と、オイル通路部84からオイルの供給を受けてオイルを噴射するようエンジン内に設けられた潤滑油噴射ノズル85と、ポンプ83から吐出されオイルをろ過する図示しないオイルフィルタとを含んで構成されている。この潤滑油供給装置10は、潤滑油噴射ノズル85から燃料ポンプ3に向けてオイルを噴射し燃料ポンプ3の各構成要素を潤滑し冷却するとともに、エンジン内の各潤滑部にオイルを供給し各潤滑要素を潤滑し冷却するよう構成されている。
この燃料ポンプ3においては、燃料タンク2からポンプ本体31に供給された燃料の圧力(MPa)が、例えば、約4MPaないし約13Mpaの間で適正な圧力まで高められた後、高圧燃料パイプ9に高圧になった燃料が吐出されるようになっている。
ポンプ本体31は、シリンダ41と、シリンダ41内で往復運動するプランジャ42と、プランジャ42を往復運動させるローラリフタ43と、ローラリフタ43を案内するリフタハウジング44と、スプリング45と、シールユニット46と、シリンダ41とリフタハウジング44の間に配置されシールユニット46を支持するとともにスプリング45の端部を支持する円環状の支持リング47とを含んで構成されている。
シリンダ41は、円柱状に形成され軸線方向に貫通する貫通孔41kと、この貫通孔41kの一部が拡径されるよう形成された圧力室41pと、電磁スピルバルブ33の一部を収容する収容穴41dと、バルブケース35の一部を収容する収容穴41hを有している。この貫通孔41kには、プランジャ42が挿入されるようになっており、貫通孔41k内でプランジャ42が往復運動するようになっている。
また、シリンダ41には、圧力室41pと収容穴41hとを連通し、圧力室41p内の燃料をバルブケース35内に導く燃料導入通路41nが形成されている。
プランジャ42は、円柱状に形成され、図2および図4に示すように、一端部に溝42mが形成されており、この溝42m内にローラリフタ43の一部が係合するようになっている。
また、プランジャ42は、その他端部が圧力室41p内に露出しており、圧力室41p内に進入することにより圧力室41p内の燃料が加圧されるよう構成されている。
図3(a)、(b)ないし図5に示すように、ローラリフタ43は、リフタ本体51と、プレート52と、シャフト53と、内部に複数のニードル軸受54nが設けられたローラ54とを含んで構成されている。
リフタ本体51は、図3(a)に示すように、円柱状に形成されており、その外周面部51gでリフタハウジング44に案内され、往復運動するようになっている。
また、リフタ本体51は、シャフト53の一方端部を支持する一方側壁部51w1と、シャフト53の他方端部を支持する他方側壁部51w2とを有している。
一方側壁部51w1のローラ54の一方端面と対向する内壁面部51n1には、リフタ本体51の外部からニードル軸受54nに潤滑油を導入する潤滑油導入溝51m1が形成されている。
この潤滑油導入溝51m1は、図3(b)に示すように、断面形状が所定の幅、所定の深さを有するコの字状に形成されるとともに、一方側壁部51w1の縁部からニードル軸受54nに到達する所定の長さを有しており、一方側壁部51w1に向けて潤滑油供給装置10の潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油をニードル軸受54nに流通させるようになっている。
また、この潤滑油導入溝51m1は、ニードル軸受54nのピッチ円PCDの接線TLに略並行に形成され、かつピッチ円PCDの半径方向の外側に形成されている。したがって、各ニードル軸受54nが、その軸線方向にスライドして各ニードル軸受54nが内壁面部51n1に当接しても、各ニードル軸受54nの端部が、潤滑油導入溝51m1に引っ掛からないようになっている。
また、他方側壁部51w2のローラ54の他方端面と対向する内壁面部51n2にも、一方側壁部51w1と同様に、リフタ本体51の外部からニードル軸受54nに潤滑油を導入する潤滑油導入溝51m2が形成されている。
この潤滑油導入溝51m2は、潤滑油導入溝51m1と同様、所定の幅、所定の深さおよび他方側壁部51w2の縁部からニードル軸受54nに到達する所定の長さを有しており、潤滑油供給装置10の潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油をニードル軸受54nに流通させるようになっている。
また、この潤滑油導入溝51m2は、潤滑油導入溝51m1と同様、ニードル軸受54nのピッチ円PCDの接線TLに略並行になるよう形成され、かつピッチ円PCDの半径方向の外側に形成されている。したがって、各ニードル軸受54nが、その軸線方向にスライドして各ニードル軸受54nが内壁面部51n2に当接しても、各ニードル軸受54nの端部が、潤滑油導入溝51m2に引っ掛からないようになっている。
また、リフタ本体51の外周面部51gには、図5に示すように、リフタハウジング44に形成された回り止め部44sと対向する回り止め部51sが形成されており、リフタ本体51がリフタハウジング44内で往復運動する際に、回転しないようになっている。
また、リフタ本体51には、その軸線方向の一端部にプレート収容溝51pが形成されており、プレート52が収容されている。
潤滑油導入溝51m1の所定の幅、所定の深さおよび一方側壁部51w1の縁部からニードル軸受54nに到達する所定の長さ、潤滑油導入溝51m2の所定の幅、所定の深さおよび他方側壁部51w2の縁部からニードル軸受54nに到達する所定の長さ、複数のニードル軸受54nにより形成されるピッチ円PCDの大きさは、ローラリフタ43およびローラリフタ43により構成される燃料ポンプ3の構造、形状および大きさなどの設定諸元に応じて適宜選択される。
プレート52は、図3(a)および図6に示すように、円盤状に形成され、スプリング45の端部を支持するよう環状凸部52tを有している。この環状凸部52tの中心部には貫通孔52kが形成され、さらにこの貫通孔52kと連通する切欠き52sが形成されており、この切欠き52sに溝42mが形成されたプランジャ42の一端部が挿通され、この一端部が貫通孔52kの周囲に係合するようになっている。
シャフト53は、その軸線方向の一方端部でリフタ本体51の一方側壁部51w1に支持され、他方端部でリフタ本体51の他方側壁部51w2に支持され、それぞれ圧入などの固定手段により固定されている。
ローラ54は、図3(a)および図4に示すように、円筒状に形成され、駆動カム32に外周面部54sで摺接する外輪54gと、外輪54gとシャフト53との間で回転可能に介装された複数のニードル軸受54nとを含んで構成されている。各ニードル軸受54nは、高い剛性を有するとともに、高いラジアル荷重容量を有しており、その軸心によりピッチ円PCDが形成されている。
リフタハウジング44は、図2に示すように、円筒状に形成され、円筒部44eと、この円筒部44eの端部に形成されたフランジ部44fとを含んで構成されており、円筒部44eには、ローラリフタ43が摺動可能に収容され、フランジ部44fは、エンジンのローラリフタ取付部17に固定されている。また、リフタハウジング44には、図5に示すように、リフタ本体51の回り止め部51sと係合する回り止め部44sが形成されており、リフタ本体51が往復運動する際に、回転しないようにしている。
スプリング45は、圧縮コイルばねからなり、一端部がリフタ本体51のプレート52に支持され、他端部が支持リング47に支持されており、ローラリフタ43を駆動カム32の方向に押圧するよう付勢されている。
シールユニット46は、支持リング47に支持された円筒部46eと、この円筒部46eの端部に支持され、プランジャ42を摺動可能に囲むシール部46sと、シール部46sをプランジャ42方向に押圧するよう介装されたコイルスプリング46cとを含んで構成されている。このシールユニット46は、シリンダ41とプランジャ42との隙間を通過した燃料がリフタハウジング44内に漏出するのを防止するようになっている。
支持リング47は、円筒部47eと、フランジ部47fとを含んで構成されており、円筒部47eでシールユニット46を保持し、このフランジ部47fでリフタハウジング44のフランジ部44fおよびシリンダ41と係合している。
駆動カム32は、ローラ54に摺接する略正三角形のカム32cと、カム32cを回転させるシャフト32sとを含んで構成されている。このシャフト32sは、その軸線がローラ54の軸線と平行になるよう配置されており、ローラ54の外輪54gとカム32cが均一な線接触になるよう、ポンプ本体31がエンジンに組み込まれている。
このシャフト32sは、駆動源により回転するシャフトであればよく、例えば、排気カムシャフトであってもよく、吸気カムシャフトであってもよく、また、エンジンのクランクシャフトにチェーンなどの動力伝達部材により連結され、クランクシャフトの動力で回転する他のシャフトであってもよい。また、駆動源は、モータなどの電動機であってもよい。
電磁スピルバルブ33は、図2に示すように、電磁ソレノイド61、ボビン62、コア63、アーマチュア64、ポペットバルブ65、シート体66、コイルスプリング67、端子部68、支持リング69とを含んで構成されている。このシート体66の下部と、シリンダ41の圧力室41p内に露出しているプランジャ42の端部と、シリンダ41の内壁部とにより、燃料を加圧する圧力室41pが画成されている。
電磁ソレノイド61は、ボビン62にリング状に巻回されたコイルからなり、コア63は、ボビン62に形成された貫通孔に挿通され嵌合固定されている。
アーマチュア64は、ポペットバルブ65の一端に固定された状態で支持リング69に支持されており、その一部がコア63と同軸上でボビン62内に移動できるようになっている。
コア63およびアーマチュア64の各対向面には、凹部がそれぞれ形成されており、それらの凹部間にはコイルスプリング67が圧縮状態で収容されている。そして、このコイルスプリング67によりアーマチュア64が圧力室41p側に向かって付勢されている。
ポペットバルブ65は、シート体66内の貫通孔に摺動可能に収容されており、その下端部には円板状の弁体65aが形成されている。そして、電磁ソレノイド61が通電されていない時には、コイルスプリング67の付勢力により、弁体65aがシート体66のシート部66aから離隔されて、電磁スピルバルブ33は、開弁状態となっている。
一方、図示しないECU5から端子部68を介して電磁ソレノイド61に通電されるときには、コア63、アーマチュア64および電磁スピルバルブ33全体を支持する支持リング69により磁気回路が形成され、コイルスプリング67の付勢力に抗して、アーマチュア64がコア63側に移動するようになっている。これにより、ポペットバルブ65が圧力室41pと反対側に移動し、その弁体65aがシート体66のシート部66aに当接して、電磁スピルバルブ33は閉弁状態となるよう構成されている。
シート体66には、複数の燃料供給通路66bが形成されており、電磁スピルバルブ33が開弁状態にある時に、各燃料供給通路66bと圧力室41pとの間で燃料が流通できるようになっている。
他方、電磁スピルバルブ33の開弁状態で、プランジャ42が下降するとき、燃料タンク2内のフィードポンプ23の作動により、燃料タンク2から汲み上げられた低圧燃料が、フィルタ24、プレッシャレギュレータ22、低圧燃料パイプ6内を流通して圧力室41pに吸入されるようになっている。
この圧力室41pには、電磁スピルバルブ33の閉タイミング前にプランジャ42が、進入し、電磁スピルバルブ33が閉弁した後にプランジャ42が上死点に到達するようになっている。そして、プランジャ42の先端部が圧力室41p内に進入した状態で、圧力室41pの内周面とプランジャ42の外周面との間に隙間が形成されるよう構成されている。
バルブケース34は、電磁スピルバルブ33とシリンダ41との間に配置され、低圧燃料パイプ6から供給された燃料を流通させるとともに、電磁スピルバルブ33の燃料供給通路66bと連通した燃料通路34tを有している。
この燃料通路34tに電磁スピルバルブ33の一部が収容されており、電磁スピルバルブ33により燃料通路34tから燃料供給通路66bを介して圧力室41pに供給される燃料の流通の制御が行われるようになっている。
バルブケース35は、内部に燃料導入通路41nと連通した燃料通路35tを有するとともに、燃料通路35t内にチェックバルブ36を収容している。またバルブケース35は、高圧燃料パイプ9に連結されており、燃料導入通路41nから流入した燃料を燃料通路35t内を流通させ、チェックバルブ36を経由して高圧燃料パイプ9に流通させるようになっている。
チェックバルブ36は、バルブケース34内に配置されたシート体71およびスプリングベース体72と、シート体71に接触および離隔可能に対向する弁体73と、この弁体73をシート体71に対する当接位置に向かって付勢するコイルスプリング74とを含んで構成されている。
このチェックバルブ36内に圧送される燃料の圧力が所定値(MPa)を超えたとき、弁体73がコイルスプリング74の付勢力に抗してシート体71から離隔して開弁状態となり、燃料導入通路41nから圧送される燃料が高圧燃料パイプ9を経てデリバリパイプ8に供給されるようになっている。また、このチェックバルブ36は、圧力室41pから吐出された燃料が逆流して圧力室41pに流入するのを防止するようになっている。
燃料噴射バルブ4は、図1に示すように、例えば、筒内噴射用のフューエルインジェクタなどからなり、4個の各気筒に設けられている。この燃料噴射バルブ4は、先端部にスリット形状の複数の噴孔を有しており、ECU5の指令によりデリバリパイプ8から供給された高圧の燃料を高微粒化し、図示しないエンジンの燃焼室に噴射するようになっている。
ECU5は、CPU(Central Processing Unit)と、処理プログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)と、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)と、電気的に書換え可能な不揮発性のメモリからなるEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、A/D変換器やバッファなどを含む入力インターフェース回路、駆動回路などを含む出力インターフェース回路と、燃料噴射制御部とを含んで構成されている。
この燃料噴射制御部は、常時、筒内噴射用の燃料噴射バルブ4の駆動状態を監視しており、必要時に燃料噴射バルブ4および電磁スピルバルブ33を高速に駆動するようになっている。
ECU5の入力インターフェース回路には、燃圧センサ12などの複数のセンサが接続されておりこれらのセンサから出力される情報は、入力インターフェース回路を介してECU5に取り込まれるようになっている。
ECU5の出力インターフェース回路には、燃料タンク2内のフィードポンプ23、燃料噴射バルブ4および燃料ポンプ3内の電磁ソレノイド61などがそれぞれ接続されており、出力インターフェース回路を介して制御されるようになっている。
次に、第1の実施の形態に係るローラリフタ43を含む燃料ポンプ3の動作について説明する。
ここで、図6は、第1の実施の形態に係るローラリフタ43に潤滑油供給装置10から潤滑油が供給される状態を示す説明図である。
燃料を高圧にして燃料噴射バルブ4から噴射する必要があるとき、例えば、車両の加速時や始動の際の暖機運転時には、まず、ECU5の指令により電磁スピルバルブ33が開弁され、燃料ポンプ3の吸入行程が開始する。
このとき、燃料が、図1に示す燃料タンク2のフィードポンプ23からフィルタ24、プレッシャレギュレータ22およびパルセーションダンパ7を介して低圧燃料パイプ6から図2に示す燃料通路34tに流入する。
そして、図示しないエンジンのクランクシャフトの回転により、図2に示すシャフト32sが反時計方向に回転するとカム32cが同様に回転し、ローラ54が時計方向に回転しつつ、ローラリフタ43がスプリング45の押圧力により圧力室41pから離隔する方向に移動し、プランジャ42が同方向に下降し、ローラリフタ43が下降する。
ローラリフタ43が下降する際、シャフト53の軸線と、シャフト32sの軸線とが一致した状態、すなわちローラ54の外周面部54sと駆動カム32の外周面部32gとが線接触した状態で駆動カム32とローラ54とが互いに摺接し、ローラ54がニードル軸受54nを介して滑らかに回転する。このニードル軸受54nには、潤滑油供給装置10の潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油が、一方側壁部51w1の潤滑油導入溝51m1内を流通して、各ニードル軸受54nに供給される。
具体的には、図6に示すように、潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油により、ローラリフタ43全体が濡れた状態になる。このとき、ローラ54に付着した潤滑油は、駆動カム32に掻き揚げられた潤滑油および潤滑油導入溝51m1内の潤滑油を含め、潤滑油に作用する遠心力によりローラ54の略円周方向および円周方向から少し外向きに移動する。そして、潤滑油導入溝51m1を囲む内壁面部51n1に当たった潤滑油は、潤滑油導入溝51m1がピッチ円PCDの接線TLに略並行に形成されているので、すなわち円周方向に対して傾斜して形成されているので、ローラ54の中心方向に移動する。その結果、潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油の一部は、ローラ54内に収容された各ニードル軸受54nとシャフト53との間の隙間、および各ニードル軸受54nとローラ54との間の間隙に巻き込まれ、各ニードル軸受54nが潤滑される。
他方側壁部51w2の潤滑油導入溝51m2においても、前述の一方側壁部51w1の潤滑油導入溝51m1と同様、潤滑油は、潤滑油導入溝51m2内を流通して、各ニードル軸受54nに供給され、各ニードル軸受54nが潤滑される。
ローラリフタ43が下降する際、電磁スピルバルブ33が開弁状態となっているので、燃料が燃料通路34tから圧力室41pに吸入される。
燃料の吸入が完了すると、ECU5の指令により電磁スピルバルブ33が閉弁し、圧力室41pと燃料通路34tとが遮断され、加圧行程が開始する。
この加圧行程においては、プランジャ42が上昇し圧力室41p内の燃料が圧縮されて燃料圧力が、例えば、13MPa程度まで高められる。
ローラリフタ43が上昇する際も、ローラリフタ43が下降する際と同様、リフタ本体51に支持されたシャフト53の軸線とシャフト32sの軸線とが一致した状態、すなわちローラ54の外周面と駆動カム32の外周面とが線接触した状態で駆動カム32の動力がローラ54を介してローラリフタ43に伝達される。
圧力室41p内の燃料圧力が13MPaに達すると、燃料圧力によりチェックバルブ36が開放されて、圧力室41p内の高圧の燃料が、高圧燃料パイプ9を介してデリバリパイプ8に供給される。
このとき、ECU5の噴射制御部から燃料噴射バルブ4に噴射指令が伝達され、燃料噴射バルブ4から高圧燃料が噴射される。図示しないエンジンの各気筒毎に、各気筒の燃焼サイクルに応じてECU5により噴射量や噴射タイミングなどの燃料噴射が制御される。
このように、第1の実施の形態に係るローラリフタ43は構成されているので、以下のような効果が得られる。
第1の実施の形態に係るローラリフタ43は、駆動カム32と摺接するローラ54と、ローラ54を回転可能に支持するシャフト53と、シャフト53の一方端部および他方端部を支持するとともにローラ54を収容するリフタ本体51とを備え、駆動カム32の回転運動によりリフタ本体51を摺動可能に支持するリフタハウジング44内で往復運動するよう構成されている。
そして、ローラ54が、シャフト53の外周面に接するよう、所定のピッチ円PCD上に配置された複数のニードル軸受54nを有し、リフタ本体51が、シャフト53の一方端部を支持する一方側壁部51w1と、シャフト53の他方端部を支持する他方側壁部51w2とを有し、一方側壁部51w1のローラ54の一方端面と対向する内壁面部51n1および他方側壁部51w2のローラ54の他方端面と対向する内壁面部51n2に、リフタ本体51の外部からニードル軸受54nに潤滑油を導入する潤滑油導入溝51m1、51m2を有し、潤滑油導入溝51m1、51m2の一方端が、リフタ本体51の外部側に開口するとともに、潤滑油導入溝51m1、51m2の他方端が、複数のニードル軸受54nのピッチ円PCDの半径方向の外側に位置するよう、潤滑油導入溝51m1、51m2がピッチ円PCDの接線TLと略並行して延在するよう構成されている。
その結果、潤滑油導入溝51m1が、ピッチ円PCDの接線TLに略並行に形成されているので、すなわちローラ54の円周方向に対して傾斜して形成されているので、ローラリフタ43と駆動カム32とが摺接し、ローラリフタ43のローラ54が回転する際、ローラ54内のニードル軸受54nには、潤滑油供給装置10の潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油が、前述のように一方側壁部51w1の潤滑油導入溝51m1内を流通して、効率よく確実に各ニードル軸受54nに供給されるという効果が得られる。他方側壁部51w2の潤滑油導入溝51m2においても、前述の一方側壁部51w1の潤滑油導入溝51m1と同様、潤滑油は、潤滑油導入溝51m2内を流通して、各ニードル軸受54nに供給され、各ニードル軸受54nが潤滑される。
このように、従来のローラリフタよりも、より効果的に各ニードル軸受54nの潤滑および冷却が促進されるので、円滑なローラ54の回転が得られ、駆動カム32の摩耗が抑制され、優れた耐久性を有し、高い信頼性を有するローラリフタを提供することができるという効果が得られる。
次いで、本発明の第1の実施の形態の変形例に係るローラリフタ43について説明する。
図7は、本発明の第1の実施の形態の変形例に係るローラリフタ43の断面図である。
本発明の第1の実施の形態に係るローラリフタ43においては、潤滑油導入溝51m1、51m2を、その断面形状が所定の幅、所定の深さを有するコの字状に形成された場合について説明した。
しかしながら、潤滑油導入溝51m1、51m2の断面形状を前述のコの字状以外の形状に形成するようにしてもよい。例えば、図7に示すように、矢印で示すローラ54の回転方向の前方側の潤滑油導入溝51m1、51m2の縁部分を面取りCで形成し、概略テーパ形状を有するよう、潤滑油導入溝51m1、51m2を一方側壁部51w1の内壁面部51n1および他方側壁部51w2の内壁面部51n2にそれぞれ形成するようにしてもよい。
この場合、潤滑油導入溝51m1、51m2のローラ154の回転方向前方側の縁部分が概略テーパ形状を有しているので、ローラリフタ43と駆動カム32とが摺接し、ローラリフタ43のローラ54が回転する際、ローラ54内のニードル軸受54nには、潤滑油供給装置10の潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油が、潤滑油導入溝51m1、51m2内に導入され易くなり、潤滑油導入溝51m1、51m2内を流通して、より効率よく確実に各ニードル軸受54nに供給されるという効果が得られる。
また、潤滑油導入溝51m1、51m2のローラ154の回転方向前方側の縁部分が概略テーパ形状を有しているので、ローラ54の各端部と一方側壁部51w1の内壁面部51n1および他方側壁部51w2の内壁面部51n2との間の潤滑油により、ローラ54の軸線方向に圧力が生じ、いわゆるくさび圧として、ローラ54の各端部が内壁面部51n1および内壁面部51n2から離隔する方向に押圧され、ローラ54の各端部が内壁面部51n1および内壁面部51n2からフローティングする。その結果、ローラ54が、抵抗なくより滑らかに回転するという効果が得られ、ローラリフタ43の信頼性が大幅に向上する。
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2の実施の形態に係るローラリフタの断面図であり、図9(a)は、ローラリフタの部分拡大断面図であり、図9(b)は、ローラリフタのローラの端部を示す説明図であり、図10は、図9(a)のC−C断面を示す断面図であり、図11は、図9(a)のD−D断面を示す断面図である。
なお、第2の実施の形態に係る燃料ポンプ103においては、第1の実施の形態に係る燃料ポンプ3のローラリフタ43に代えてローラリフタ143を形成した点が異なっているが、他の構成要素は同様に構成されている。したがって、同一の構成要素については、図1から図6に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
燃料供給装置101は、第1の実施の形態と同様に、燃料タンク2と、燃料ポンプ103と、4個の燃料噴射バルブ4と、ECU5とを含んで構成されており、燃料ポンプ103以外の各構成要素は燃料供給装置1と同様に構成されている。
また、図8に示すように、燃料ポンプ103は、ポンプ本体131を含んで構成されており、ポンプ本体131以外の各構成要素は、燃料ポンプ3の各構成要素と同様に構成されている。
ポンプ本体131は、ローラリフタ143を含んで構成されており、ローラリフタ143以外の各構成要素は、ポンプ本体31の各構成要素と同様に構成されている。
図8ないし図11に示すように、ローラリフタ143は、第1の実施の形態と同様に、リフタ本体151と、プレート52と、シャフト53と、ローラ154とを含んで構成されている。
リフタ本体151は、第1の実施の形態と同様に、円柱状に形成されており、シャフト53の一方端部を支持する一方側壁部151w1と、シャフト53の他方端部を支持する他方側壁部151w2とを有している。このリフタ本体151は、その外周面部151gでリフタハウジング44に案内され、往復運動するようになっている。
また、リフタ本体151の外周面部151gには、図9(a)および図11に示すように、リフタハウジング44に形成された回り止め部44sと対向する回り止め部151sが形成されており、リフタ本体151がリフタハウジング44内で往復運動する際に、回転しないようになっている。
また、リフタ本体151には、その軸線方向の一端部にプレート収容溝151pが形成されており、プレート収容溝151pにプレート52が収容されている。
ローラ154は、図9(a)、図10に示すように、円筒状に形成され、駆動カム32に外周面部154sで摺接する外輪154gと、外輪154gとシャフト53との間で回転可能に介装された複数のニードル軸受154nとを含んで構成されている。各ニードル軸受154nは、高い剛性を有するとともに、高いラジアル荷重容量を有しており、その軸心によりピッチ円PCDが形成されている。
ローラ154の一方端面部には、図9(a)、(b)に示すように、リフタ本体151の外部からニードル軸受154nに潤滑油を導入する潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4が形成されている。
この潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4は、図3(b)に示すように、それぞれ断面形状が所定の幅、所定の深さを有するコの字状に形成されるとともに、ローラ154の外周面部154sおよび内周面部154iに開口している。
潤滑油供給装置10の潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油が、ローラ154の外周面部154sの各開口から、潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4に流入し、内周面部154iの各開口から排出されて、各ニードル軸受154nに供給されるようになっている。
また、この潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4は、ニードル軸受154nのピッチ円PCDの接線TLに略並行になるよう形成されている。
潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4の所定の幅、複数のニードル軸受154nにより形成されるピッチ円PCDの大きさは、ローラリフタ143およびローラリフタ143により構成される燃料ポンプ103の構造、形状および大きさなどの設定諸元に応じて適宜選択される。
次に、第2の実施の形態に係るローラリフタ143により構成される燃料ポンプ103の動作について説明する。
ここで、図12は、第2の実施の形態に係るローラリフタ143に潤滑油供給装置10から潤滑油が供給される状態を示す説明図である。
第1の実施の形態と同様、燃料を高圧にして燃料噴射バルブ4から噴射する必要があるとき、例えば、車両の加速時や始動の際の暖機運転時には、まず、ECU5の指令により電磁スピルバルブ33が開弁され、燃料ポンプ103の吸入行程が開始する。
このとき、燃料が、図1に示す燃料タンク2のフィードポンプ23からフィルタ24、プレッシャレギュレータ22およびパルセーションダンパ7を介して低圧燃料パイプ6から図8に示す燃料通路34tに流入する。
そして、図示しないエンジンのクランクシャフトの回転により、図8に示すシャフト32sが反時計方向に回転するとカム32cが同様に回転し、ローラ154が時計方向に回転しつつ、ローラリフタ143がスプリング45の押圧力により圧力室41pから離隔する方向に移動し、プランジャ42が同方向に下降し、ローラリフタ143が下降する。
ローラリフタ143が下降する際、シャフト53の軸線と、シャフト32sの軸線とが一致した状態、すなわちローラ154の外周面部154sと駆動カム32の外周面部32gとが線接触した状態で駆動カム32とローラ154とが互いに摺接し、ローラ154がニードル軸受154nを介して滑らかに回転する。このニードル軸受154nには、潤滑油供給装置10の潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油が、潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4の各溝内を流通して、各ニードル軸受154nに供給される。
具体的には、図12に示すように、潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油により、ローラリフタ143全体が濡れた状態になる。このとき、ローラ154に付着した潤滑油は、駆動カム32に掻き揚げられた潤滑油および潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4の各溝内の潤滑油を含め、潤滑油に作用する遠心力によりローラ154の略円周方向および円周方向から少し外向きに移動する。
そして、潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4の各溝を囲むローラ154の内壁部に当たった潤滑油は、潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4がピッチ円PCDの接線TLに略並行に形成されているので、すなわち円周方向に対して傾斜して形成されているので、ローラ154の中心方向に移動する。その結果、潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油の一部は、ローラ154内に収容された各ニードル軸受154nとシャフト53との間の隙間、および各ニードル軸受154nとローラ154との間の間隙に巻き込まれ、各ニードル軸受154nが潤滑される。
ローラリフタ143が下降する際、第1の実施の形態と同様、電磁スピルバルブ33が開弁状態となっているので、燃料が燃料通路34tから圧力室41pに吸入される。
燃料の吸入が完了すると、ECU5の指令により電磁スピルバルブ33が閉弁し、圧力室41pと燃料通路34tとが遮断され、加圧行程が開始する。
この加圧行程においては、プランジャ42が上昇し圧力室41p内の燃料が圧縮されて、燃料圧力が、例えば、13MPa程度まで高められる。
ローラリフタ143が上昇する際も、ローラリフタ143が下降する際と同様、リフタ本体151に支持されたシャフト53の軸線とシャフト32sの軸線とが一致した状態、すなわちローラ154の外周面と駆動カム32の外周面とが線接触した状態で駆動カム32の動力がローラ154を介してローラリフタ143に伝達される。
圧力室41p内の燃料圧力が13MPaに達すると、燃料圧力によりチェックバルブ36が開放されて、圧力室41p内の高圧の燃料が、高圧燃料パイプ9を介してデリバリパイプ8に供給される。
このとき、ECU5の噴射制御部から燃料噴射バルブ4に噴射指令が伝達され、燃料噴射バルブ4から高圧燃料が噴射される。図示しないエンジンの各気筒毎に、各気筒の燃焼サイクルに応じてECU5により噴射量や噴射タイミングなどの燃料噴射が制御される。
このように、第2の実施の形態に係るローラリフタ143は構成されているので、以下のような効果が得られる。
第2の実施の形態に係るローラリフタ143は、駆動カム32と摺接するローラ154と、ローラ154を回転可能に支持するシャフト53と、シャフト53の一方端部および他方端部を支持するとともにローラ154を収容するリフタ本体151とを備え、駆動カム32の回転運動によりリフタ本体151を摺動可能に支持するリフタハウジング44内で往復運動するよう構成されている。
そして、リフタ本体151が、シャフト53の一方端部を支持する一方側壁部151w1と、シャフト53の他方端部を支持する他方側壁部151w2とを有し、ローラ154には、シャフト53の外周面に接するよう、所定のピッチ円PCD上に配置された複数のニードル軸受154nを有し、リフタ本体151の外部からニードル軸受154nに潤滑油を導入する潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4が形成されている。
その結果、潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4がローラ154のピッチ円PCDの接線TLに略並行に形成されているので、すなわち円周方向に対して傾斜して形成されているので、ローラリフタ143と駆動カム32とが摺接し、ローラリフタ143のローラ154が回転する際、ローラ154内のニードル軸受154nには、潤滑油供給装置10の潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油が、前述のように潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4の各溝内を流通して、効率よく確実に各ニードル軸受154nに供給されるという効果が得られる。このように、従来のローラリフタよりも、より効果的に各ニードル軸受154nの潤滑および冷却が促進されるので、円滑なローラ154の回転が得られ、駆動カム32の摩耗が抑制され、優れた耐久性を有し、高い信頼性を有するローラリフタを提供することができるという効果が得られる。
次いで、本発明の第2の実施の形態の変形例に係るローラリフタ143について説明する。
図13は、本発明の第2の実施の形態の変形例に係るローラリフタ143の断面図である。
本発明の第2の実施の形態に係るローラリフタ143においては、潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4を、その断面形状が所定の幅、所定の深さを有するコの字状に形成された場合について説明した。
しかしながら、潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4の断面形状を前述のコの字状以外の形状に形成するようにしてもよい。例えば、図13に示すように、矢印で示すローラ154の回転方向の前方側の潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4の縁部分を面取りCで形成し、概略テーパ形状を有するよう、潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4をローラ154の各端面部にそれぞれ形成するようにしてもよい。
この場合、潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4のローラ154の回転方向前方側の縁部分が概略テーパ形状を有しているので、ローラリフタ143と駆動カム32とが摺接し、ローラリフタ143のローラ154が回転する際、ローラ154内のニードル軸受154nには、潤滑油供給装置10の潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油が、潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4の各溝内に導入され易くなり、潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4の各溝内を流通して、より効率よく確実に各ニードル軸受154nに供給されるという効果が得られる。
また、潤滑油導入溝154m1、154m2、154m3、154m4のローラ154の回転方向前方側の縁部分が概略テーパ形状を有しているので、ローラ154の各端部と一方側壁部151w1の内壁面部151n1および他方側壁部151w2の内壁面部151n2との間の潤滑油により、ローラ154の軸線方向に圧力が生じ、いわゆるくさび圧として、ローラ154の各端部が内壁面部151n1および内壁面部151n2から離隔する方向に押圧され、ローラ154の各端部が内壁面部151n1および内壁面部151n2からフローティングする。その結果、ローラ154が、抵抗なくより滑らかに回転するという効果が得られ、ローラリフタ143の信頼性が大幅に向上する。
(第3の実施の形態)
図14は、本発明の第3の実施の形態に係るローラリフタの断面図であり、図15は、ローラリフタの部分拡大断面図であり、図16は、図15のE−E断面を示す断面図であり、図17は、図15のF−F断面を示す断面図である。
なお、第3の実施の形態に係る燃料ポンプ203においては、第1の実施の形態に係る燃料ポンプ3のローラリフタ43に代えてローラリフタ243を形成した点が異なっているが、他の構成要素は同様に構成されている。したがって、同一の構成要素については、図1から図6に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
燃料供給装置201は、第1の実施の形態と同様に、燃料タンク2と、燃料ポンプ203と、4個の燃料噴射バルブ4と、ECU5とを含んで構成されており、燃料ポンプ203以外の各構成要素は燃料供給装置1と同様に構成されている。
また、図14に示すように、燃料ポンプ203は、ポンプ本体231を含んで構成されており、ポンプ本体231以外の各構成要素は、燃料ポンプ3の各構成要素と同様に構成されている。
ポンプ本体231は、ローラリフタ243を含んで構成されており、ローラリフタ243以外の各構成要素は、ポンプ本体31の各構成要素と同様に構成されている。
図14ないし図17に示すように、ローラリフタ243は、リフタ本体151およびシャフト253以外は第1の実施の形態のローラリフタ43と同様に構成されており、リフタ本体151は、第2の実施の形態と同様に構成されている。
シャフト253は、図15ないし図17に示すように、その軸線方向の一方端部でリフタ本体151の一方側壁部151w1に支持され、他方端部でリフタ本体151の他方側壁部151w2に支持されており、それぞれ圧入などの固定手段により固定されている。
さらに、シャフト253は、一方端部から軸線方向の中央部まで所定の直径および所定の深さで形成され、シャフト253の外周面に開口する潤滑油導入孔253hを有している。この潤滑油導入孔253hの入り口は、リフタ本体151の移動距離よりも大きく拡径されており、潤滑油供給装置10の潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油が潤滑油導入孔253hの内部に導入し易くなっている。また、潤滑油導入孔253hの入り口が、拡径されているので、リフタ本体151が昇降しても、潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油が潤滑油導入孔253hの入り口に注入されるようになっている。
潤滑油導入孔253hの所定の直径および所定の深さは、ローラリフタ243およびローラリフタ243により構成される燃料ポンプ203の構造、形状および大きさなどの設定諸元に応じて適宜選択される。
次に、第2の実施の形態に係るローラリフタ243により構成される燃料ポンプ203の動作について説明する。
ここで、図18は、第3の実施の形態に係るローラリフタ243に潤滑油供給装置10から潤滑油が供給される状態を示す説明図である。
第1の実施の形態と同様、燃料を高圧にして燃料噴射バルブ4から噴射する必要があるとき、例えば、車両の加速時や始動の際の暖機運転時には、まず、ECU5の指令により電磁スピルバルブ33が開弁され、燃料ポンプ203の吸入行程が開始する。
このとき、燃料が、図1に示す燃料タンク2のフィードポンプ23からフィルタ24、プレッシャレギュレータ22およびパルセーションダンパ7を介して低圧燃料パイプ6から図14に示す燃料通路34tに流入する。
そして、図示しないエンジンのクランクシャフトの回転により、図14に示すシャフト32sが反時計方向に回転するとカム32cが同様に回転し、ローラ54が時計方向に回転しつつ、ローラリフタ243がスプリング45の押圧力により圧力室41pから離隔する方向に移動し、プランジャ42が同方向に下降し、ローラリフタ243が下降する。
ローラリフタ243が下降する際、シャフト253の軸線と、シャフト32sの軸線とが一致した状態、すなわちローラ54の外周面部54sと駆動カム32の外周面部32gとが線接触した状態で駆動カム32とローラ54とが互いに摺接し、ローラ54がニードル軸受54nを介して滑らかに回転する。このニードル軸受54nには、潤滑油供給装置10の潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油が、潤滑油導入孔253h内を流通して、各ニードル軸受54nに供給される。
具体的には、図18に示すように、潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油は、潤滑油導入孔253hの入り口から潤滑油導入孔253h内に注入され、ローラ54内に収容された各ニードル軸受54nとシャフト253との間の隙間、および各ニードル軸受54nとローラ54との間の間隙に供給され、各ニードル軸受54nが潤滑される。
ローラリフタ243が下降する際、第1の実施の形態と同様、電磁スピルバルブ33が開弁状態となっているので、燃料が燃料通路34tから圧力室41pに吸入される。
燃料の吸入が完了すると、ECU5の指令により電磁スピルバルブ33が閉弁し、圧力室41pと燃料通路34tとが遮断され、加圧行程が開始する。
この加圧行程においては、プランジャ42が上昇し圧力室41p内の燃料が圧縮されて燃料圧力が、例えば、13MPa程度まで高められる。
ローラリフタ243が上昇する際も、ローラリフタ243が下降する際と同様、リフタ本体151に支持されたシャフト253の軸線とシャフト32sの軸線とが一致した状態、すなわちローラ54の外周面と駆動カム32の外周面とが線接触した状態で駆動カム32の動力がローラ54を介してローラリフタ243に伝達される。
圧力室41p内の燃料圧力が13MPaに達すると、燃料圧力によりチェックバルブ36が開放されて、圧力室41p内の高圧の燃料が、高圧燃料パイプ9を介してデリバリパイプ8に供給される。
このとき、ECU5の噴射制御部から燃料噴射バルブ4に噴射指令が伝達され、燃料噴射バルブ4から高圧燃料が噴射される。図示しないエンジンの各気筒毎に、各気筒の燃焼サイクルに応じてECU5により噴射量や噴射タイミングなどの燃料噴射が制御される。
このように、第3の実施の形態に係るローラリフタ243は構成されているので、以下のような効果が得られる。
第3の実施の形態に係るローラリフタ243は、駆動カム32と摺接するローラ54と、ローラ54を回転可能に支持するシャフト253と、シャフト253の一方端部および他方端部を支持するとともにローラ54を収容するリフタ本体151とを備え、駆動カム32の回転運動によりリフタ本体151を摺動可能に支持するリフタハウジング44内で往復運動するよう構成されている。
そして、リフタ本体151が、シャフト253の一方端部を支持する一方側壁部151w1と、シャフト253の他方端部を支持する他方側壁部151w2とを有し、シャフト253には、リフタ本体151の外部からニードル軸受54nに潤滑油を導入する潤滑油導入孔253hが形成されている。
その結果、潤滑油導入孔253hがシャフト253の外部からニードル軸受54nに潤滑油を導入するよう形成されているので、ローラリフタ43と駆動カム32とが摺接し、ローラリフタ243のローラ54が回転する際、ローラ54内のニードル軸受54nには、潤滑油供給装置10の潤滑油噴射ノズル85から噴射された潤滑油が、前述のように潤滑油導入孔253h内を流通して、効率よく確実に各ニードル軸受54nに供給されるという効果が得られる。このように、従来のローラリフタよりも、より効果的に各ニードル軸受54nの潤滑および冷却が促進されるので、円滑なローラ54の回転が得られ、駆動カム32の摩耗が抑制され、優れた耐久性を有し、高い信頼性を有するローラリフタを提供することができるという効果が得られる。
第1の実施の形態ないし第3の実施の形態に係る燃料ポンプ3、103、203においては、車両に搭載されたエンジンに対して、駆動カム32が下側に配置されるように、配置された場合について説明した。
しかしながら、本発明に係るローラリフタにおいては、車両に搭載されたエンジンに対して、駆動カム32が、下側に配置される場合以外の配置方法で配置するようにしてもよい。例えば、駆動カム32が上側になるように配置してもよく、駆動カム32が横側になるよう、すなわちプランジャが水平運動するように配置してもよい。
また、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態に係る燃料ポンプ3、103、203においては、電磁スピルバルブ33が、燃料ポンプ3、103、203の上側に配置された場合について説明した。
しかしながら、本発明に係るローラリフタにおいては、電磁スピルバルブが上側の配置以外の配置方法でローラリフタを構成してもよい。例えば、電磁スピルバルブがローラリフタの側面側に配置されるよう構成してもよい。
また、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態に係るローラリフタ43、143、243が、燃料ポンプを構成し駆動カムの回転運動を往復運動に変換する場合について説明した。しかしながら、本発明に係るローラリフタは、燃料ポンプ以外の機構を構成し、駆動カムの回転運動を往復運動に変換するようにしてもよい。
例えば、本発明に係るローラリフタを、吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトの内少なくともいずれか一方に設けられたカムに摺接するロータと、このロータを回転可能に支持するシャフトと、このシャフトの一方端部および他方端部を支持するとともにローラを収容するハウジングとを備えたロッカーアームの要素として構成するようにしてもよい。この場合、吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトの内少なくともいずれか一方に設けられたカムの回転運動がロッカーアームにより往復運動に変換され、このロッカーアームに連結された吸気バルプや排気バルブが開閉される。この場合にも、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態に係るローラリフタに設けられた潤滑油導入溝または潤滑油導入孔を介して潤滑油がローラ内のニードル軸受に充分に供給されるので、カムの摩耗が抑制され、優れた耐久性を有し、高い信頼性を有するロッカーアームが得られるという効果がある。
以上説明したように、本発明によれば、ローラの周囲に供給される潤滑油をローラ内に設けられたニードル軸受に効率よく供給することができ、円滑なローラの回転が得られ、優れた耐久性を有し、高い信頼性を有するローラリフタを提供することができるという効果を奏し、駆動カムの回転運動がプランジャの往復運動に変換される機構を備えたローラリフタなどのポンプ全般およびロッカーアーム全般に有用である。