JP2012188787A - 再生蛋白繊維の処理方法及びそれから得られる頭髪素材 - Google Patents

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Abstract

【課題】再生蛋白繊維、中でも再生コラーゲン繊維を頭髪素材や一般衣料に適用した場合、シャンプーや洗濯時の水洗で欠点となっている吸水率の高さから来る手入れの困難さが生じる。これを、吸湿率及び/又は吸水率を低下させて改善した新規な耐水性再生蛋白繊維の製造方法の提供。
【解決手段】加水分解性有機ケイ素化合物及び加水分解促進剤を含有する処理液に浸漬する工程を含む耐水性再生蛋白繊維の製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、触感、吸湿性、外観等人毛に近い素材となる耐水性再生蛋白繊維の製造方法に関し、詳しくは、再生蛋白繊維の欠点となっている耐水性、中でも吸水率や吸湿率を改良した新規な耐水性再生蛋白繊維の製造方法に関する。
再生蛋白繊維はその原料となる蛋白質の特性により、一般的に、合成繊維に比べて親水性が高いため吸水率や吸湿率が高く、用途によっては長所にも欠点にもなり、用途に適合した程よい親水性が求められる。特に、再生蛋白繊維を頭髪素材用途で使用する際には、再生蛋白繊維は合成繊維とは異なって、蛋白質素材から来る自然な風合いや外観を有するものの、シャンプー時の高い吸水率のため、ヘアドライヤーによる乾燥に時間がかかったり、乾燥中にパーマセット形状が伸びたりする等、水分が関与してヘアケア性を著しく低下させている。そのため、再生蛋白繊維を頭髪用途に用いるには、製品への加工段階から再生蛋白繊維の特性を熟知した熟練者による製品化が必要となったり、また、使用者も再生蛋白繊維の特性を熟知して着用することが求められたり等、再生蛋白繊維の頭髪素材が普及しにくい課題があった。
さて、その再生蛋白繊維に関しては古くからカゼイン繊維・落花生タンパク繊維・とうもろこしタンパク繊維・大豆タンパク繊維等があるが、いずれも物性あるいは耐水性の面から実用機能が不足し今日まで汎用繊維としては普及に至っていない。近年、再生蛋白繊維として再生コラーゲン繊維、大豆蛋白繊維(例えば特許文献1)や再生ケラチン繊維(例えば特許文献2)に見られるように開発が盛んになってきている。そして、再生コラーゲン繊維や大豆蛋白繊維については既に市場にも出回っているようである。前者は繊維構成原料としてコラーゲンを使用しているが耐水性には課題があり、後者はポリビニルアルコールとの混合系で使用されているようであるが、製造法や品質に課題があるためか蛋白質の含有量は少なく、蛋白質の特徴である触感、吸湿性、外観等からは合成繊維の範疇で、蛋白繊維から想定される品質とは異なっている。
この中で、再生コラーゲン繊維の製造工程あるいは後加工による耐水化に関しては、架橋剤あるいは疎水化剤になると考えられるアルデヒド化合物による処理(特許文献3)、エポキシ化合物による処理(例えば特許文献4や特許文献5)、アルミニウム塩による処理(特許文献6)やジルコニウム塩による処理(特許文献7)等に見られるものの、得られる耐水性としては決して満足できるレベルに至っていない。このことが、再生コラーゲン繊維が頭髪素材として普及しない原因の1つとして考えられる。
更に、耐水化手段としては前記架橋剤あるいは疎水化剤による改質剤以外に撥水剤からの検討も行われ、フッ素系撥水剤やシリコーン系撥水剤の適用が検討されている。しかしながら、これら撥水剤はポリマーのためか繊維表面の疎水化を図ろうとはするものの、再生蛋白繊維内部までの疎水化という素材そのものの疎水化効果には至らず、結果的に繊維内部による親水性のため水に触れると吸水・吸湿が起こって満足できる耐水性が得られていないのが現状である。特に、頭髪素材用途において、フッ素系撥水剤処理では折角の蛋白質が有する独特の風合いが打ち消されて、ガサツキに起因するコーミング性が低下し、フリッツ・タングルを来しやすい欠点がある。
ところで、頭髪用途となるとカールセット性が要求され、その方法として水分の存在下で処理することが紹介されている(特許文献8)。該特許はカールとなる形状を記憶させうる処理法としたもので本出願特許とは処理目的が異なる。一方、ヘアアイロン時の耐熱温度を向上させた再生コラーゲン繊維からなるウィービングが紹介されている(特許文献9)。該特許では再生コラーゲン繊維からウィービングを製造する過程で湿熱処理することで耐熱性の向上を説明し、効果として吸水率の低下も記載されている。具体的吸水率の説明は実施例に見られるだけで70%台止まりであって、耐水性改良を目的とした技術ではないため、耐水性を向上させるための特別な工夫の記載は見られず、発見した効果を付記しているにすぎない。人毛並の吸水率には達していない。
一方、再生蛋白繊維ではなくコラーゲン溶液にアルコキシシランを沈着させるという処理技術についても開示されている(特許文献10)。該特許にはコラーゲン繊維という文言は記載されているものの、肉眼や手に取って風合い等を確認できる本願で言う再生コラーゲン繊維とは異なり、ナノスケールのコラーゲン分子ないしはその会合体の溶液に分散している繊維であって肉眼では確認できない目的や用途が異なる繊維である。即ち、アルコキシシランから水酸基を介して得られるシリカ所謂ゾル−ゲル反応を利用して得られるシリカをナノスケールのコラーゲンに沈着させる技術に関しており、最終的にコラーゲン繊維は焼成除去され残渣が中空糸状のナノスケールのシリカの繊維を得ることを目的としている。その点で、性状も技術分野も全く異なる本願再生蛋白繊維の耐水化のための処理とは技術内容が全く異なる。
特表2005−513298号公報 特開2009−144282号公報 特開平3−27110号公報 特開平4−352804号公報 特開2000−199176号公報 特開平6−306765号公報 特開平4−308221号公報 特開平4−333660号公報 特開2003−27318号公報 特開2000−220036号公報
本発明は、再生蛋白繊維、中でも再生コラーゲン繊維を頭髪素材や一般衣料に適用した場合、シャンプーや洗濯時の水洗で欠点となっている吸水率の高さから来る手入れの困難さが生じる。これを、吸湿率及び/又は吸水率を低下させて改善した新規な耐水性再生蛋白繊維の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題に対して、蛋白質の特性である吸湿・吸水性即ち蛋白質への水の関与について、蛋白質の構造解析や蛋白質官能基における疎水化や架橋反応について鋭意検討を重ねてきた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、蛋白質の構造由来の官能基である電気的にカチオン傾向を示すアミノ基やイミノ基をはじめとする窒素原子含有原子団やアニオン傾向を示すカルボキシル基、あるいは水素結合性を有する水酸基やペプチド結合部へ、ウォーターブリッジをはじめとする水との関与を弱めることを考えて検討した処理剤による処理や、蛋白分子間の水による膨潤を極力抑えることが可能と考えて検討した架橋剤で架橋する手段や、また、架橋手段のみならず蛋白分子間距離を物理的に小さくすると考えた物理的処理法で耐水性が更に向上できること見出した。
換言すれば、再生蛋白繊維の耐水化向上のための特定の化学的処理剤及び物理的処理法を選定して処理する方法を検討し、耐水化処理する再生蛋白繊維については該処理の効果をより顕著にするため、化学的処理と物理的処理の組合せ方をも検討することで相乗効果が得られことも見出し一連の本発明に至った。
即ち、本発明は、加水分解性有機ケイ素化合物及び加水分解促進剤を含有する処理液に浸漬する工程を含む耐水性再生蛋白繊維の製造方法に関する。
また、本発明は、前記加水分解性有機ケイ素化合物及び加水分解促進剤を含有する処理液に浸漬する工程において乳化剤を用いる上記耐水性再生蛋白繊維の製造方法に関する。
また、本発明は、さらに有機化合物又は金属塩で処理する工程を含む上記耐水性再生蛋白繊維の製造方法に関する。
また、本発明は、前記加水分解性有機ケイ素化合物および加水分解促進剤を含有する処理液に浸漬する工程の後で、水分の存在下50〜200℃の雰囲気温度で加熱処理する工程を含むことを特徴とする上記耐水性再生蛋白繊維の製造方法に関する。
また、本発明は、上記のいずれかに記載の製造方法により製造される耐水性再生蛋白繊維に関する。
また、本発明は、上記耐水性再生蛋白繊維からなる頭髪用素材に関する。
本発明によれば、蛋白質素材から来る自然な風合いや外観を維持した状態で、合成繊維に比べて親水性が高いことからくる再生蛋白繊維の吸水率や吸湿率の課題を改良することができる。また、頭髪素材や一般衣料に適用した場合、取り扱いの煩雑さを解消し、合成繊維並に近付けることができる。その結果、本発明を利用した製品の普及が期待される。
本発明でいう再生蛋白繊維とは、蛋白を水系溶媒に溶解あるいは乳化・分散させて得た溶液を紡糸して繊維化したものを意味する。特に、生物から得ることができる天然蛋白を抽出あるいは一部化学処理して水系溶媒に溶解あるいは乳化・分散させて得た溶液を紡糸して繊維化することにより、このような再生蛋白繊維を得ることができる。
蛋白源としては、植物由来であれば小麦、大豆、トウモロコシ等が、動物由来であればミルク由来のカゼイン、卵由来のアルブミン、獣毛や羽毛由来のケラチン、魚の皮や鱗、哺乳動物の皮や骨から得られるコラーゲン等が代表例として挙げられ、比較的工業的に得られやすいため利用しやすいが、これらに限られるものではない。
これらの蛋白は、pHや食塩濃度を調整した水または蛋白変性剤となる尿素や塩酸グアニジンの高濃度水溶液による抽出、酸やアルカリ処理、あるいはドデシル硫酸ナトリウム、Tween20等の界面活性剤水溶液による可溶化、シスチン含有蛋白であればシスチン結合開裂剤となるメルカプトエタノールやメルカプト酢酸及びそのアンモニウム塩に代表される還元剤や低級有機酸の過酸化物や過酸化水素等の酸化剤による化学的変性により水溶性や水乳化・分散性蛋白として得ることができる。
次に、本発明の1つを構成する動物性蛋白の1つであるコラーゲン由来の再生蛋白繊維を中心に以下説明する。
コラーゲン原料としては、前述したように魚の皮例えば鮭皮や鱗であれば食用養殖魚テラピア、哺乳動物の皮であれば牛や豚、更には骨であれば牛等が比較的安価な原料として具体的に挙げられるがこれらの動物由来に限られるものではない。
牛皮の場合、ペプシンをはじめとするプロテアーゼ処理した酵素可溶化コラーゲンやアルカリ処理して得られるアルカリ可溶化コラーゲンを、塩酸、酢酸や乳酸等で酸性にした水溶液に分散・溶解し、紡糸用としてはコラーゲン濃度として0.2〜15%好ましくは1〜12%更に好ましくは3〜10%程度の溶液に調整すると比較的繊維化しやすい。不溶性コラーゲンを可溶化する技術としては特公昭37−13871号公報、特公昭37−14426号公報や特公昭46−15033号公報に記載された方法を適宜用いることできる。
ここで、コラーゲン原液には公知の水溶性高分子、合成高分子のエマルジョン、着色剤、増量剤等任意の添加剤を目的に応じて添加・混合して所望の目的を付与することも勿論可能である。
これら繊維化に供するコラーゲン溶液は減圧脱泡処理することが好ましい。薄膜脱泡装置や撹拌脱泡装置等で脱泡処理しておくと、糸切れの少ない安定した再生蛋白繊維を得る上で好都合な紡糸原液として利用できる。
こうして得られた紡糸原液は、紡糸ノズルを通して凝固液へ吐出され繊維化される。用いる凝固液の組成は、メタノール、エタノールやアセトンのような水溶性の有機溶剤や塩化ナトリウム、硫酸アンモニウムや硫酸ナトリウム等の塩の水溶液が利用できる。中性塩水溶液の場合、酸やアルカリにより所望のpHに調整でき、pH維持には公知のバッファーが適用できる。一般に、強い酸やアルカリになるとコラーゲンが加水分解したり得られた再生コラーゲン繊維の物性が低下するので好ましくなく、pHを調整する場合は2.5〜12の範囲が好ましい。調整するpHは酸性側では凝固が早く、アルカリ側では遅くなる傾向で、以後の再生繊維製造工程や目的の品質を加味して設定することができる。凝固浴に使用する塩濃度は、塩の種類にもよるが10%〜飽和濃度が好ましい。凝固浴温度は、塩の種類によって異なるが低い温度では濃度が確保できる温度であればよく、高い温度では35〜40℃とすることができる。高い温度を採用する場合は、コラーゲンの変性の危険性を伴うことがあるが、塩濃度を飽和に近い濃度にすることで軽減することができる。
紡糸ノズルのスリット形状としては、用途により設定することができ、丸形、楕円形をはじめ矩形、三角形、多葉形、放射形あるいはS字形、Y字形等所望のノズルスリット形状が採用できる。ノズルスリット形状は例示した形状に限定されるものではない。
凝固浴に紡糸ノズルを通して繊維化された再生コラーゲン繊維は、次の工程で乾燥処理してもよいし、乾燥する前に延伸を加えることもでき、延伸は空中や凝固浴と同一組成の浴中で行うことができる。
その後、水不溶化のために、アルデヒド化合物やエポキシ化合物等の有機化合物、あるいは、水溶性であるクロム化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物やジルコニウム化合物等の金属塩の1種または2種以上の組合せ、更には前記有機化合物と金属塩の組合せ等で処理することで水不溶性の再生コラーゲン繊維が得られる。水不溶化処理は、凝固して得られる膨潤状態の再生繊維あるいは乾燥処理した再生繊維に行う。水不溶化処理した再生繊維は、凝固浴または水不溶化処理で繊維内外に取り込まれあるいは付着した不純物を水洗により除去されその後乾燥して再生繊維を得る。凝固浴や水不溶化処理浴が水系でなく低沸点溶剤を使用する場合は、もちろん水洗をせずそのまま乾燥することもできる。
これらコラーゲンの繊維の製造例は、特公昭47−14021号公報、特開平3−27110号公報、特開2009−112569号公報や特開2009−256356号公報に紹介され参考にできる。
本発明の最大の目的である更なる耐水化、即ち、吸水率または/および吸湿率の低下は、加水分解性有機ケイ素化合物および加水分解促進剤を含有する処理液に浸漬する等の処理により行うことができる。ここで、先に前記有機化合物により水不溶化処理した再生コラーゲン繊維の場合は、一旦乾燥させた後の再生コラーゲン繊維を該加水分解性有機ケイ素化合物および加水分解促進剤を含有する処理液で再生蛋白繊維を処理する。一方、前記金属塩により水不溶化処理した再生コラーゲン繊維の場合は、乾燥前または乾燥後に、該加水分解性有機ケイ素化合物および加水分解促進剤を含有する処理液に浸漬処理して耐水性再生蛋白繊維を得る。前記有機化合物により水不溶化処理した再生コラーゲン繊維を、乾燥せずそのまま引き続いて該加水分解性有機ケイ素化合物および加水分解促進剤を含有する処理液に浸漬処理しても、理由は定かではないが、乾燥した後の加水分解性有機ケイ素化合物および加水分解促進剤を含有する処理液での処理に比べて効果が低くなりやすい。また、前記金属塩により水不溶化処理した再生コラーゲン繊維の場合、該金属塩処理する前に該加水分解性有機ケイ素化合物および加水分解促進剤を含有する処理液に浸漬処理すると、再生コラーゲン繊維を先に金属塩で処理する場合に比べてやはり効果が低くなりやすい。たとえ耐水性、即ち、吸水率または/および吸湿率の低下が得られたとしても、再生コラーゲン繊維の溶解や変性が生じやすくなる。
ここで用いる加水分解性有機ケイ素化合物とは、一般式、RSiX4−j、R(OSiROR、または、(SiRO)で表され、RはC2n+1またはC2P−1等の脂肪族、またはC等の芳香族であってこれらが混在してもよく、また、一部が官能基に置換されていてもよい。XはClやC〜Cのアルコキシ基をあらわす。ここで、jは1〜3、kは1〜10、mは3〜10、nは0〜10、pは2〜10のそれぞれ整数を表す。また、1分子中のRは必ずしもnやpが同一整数である必要は無く異なる整数が2種以上混在しても良い。
前記加水分解性有機ケイ素化合物の一般式とも重複するが、比較的入手し易い市販されている化合物として具体例を挙げれば、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン等のクロロシラン類、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類、一般式には示さなかったがヘキサメチルジシラザンに代表されるシラザン類も利用可能である。更には、クロロシランやアルコキシシランにも分類できるが、シランカップリング剤として市販されているビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が利用可能である。また、シロキサン類としては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等をはじめシロキサン結合部を2〜10有するポリシロキサンが好適に用いられる。シリケートとしてはテトラメトキシシランやテトラエトキシシランの2〜10量体となるポリシリケート等が挙げられる。これら加水分解性有機ケイ素化合物は酸やアルカリにより水酸基が直結したケイ素化合物へ変性されて処理される。勿論、これら加水分解性有機ケイ素化合物に代わって無機物となるオルトケイ酸及びその低重合体であってもよく、再生蛋白繊維の処理時にシラノールはじめ多価水酸基がケイ素原子に結合したケイ素化合物として存在すれば、適用処理剤として前記加水分解性有機ケイ素化合物に限られるものではない。
かかる加水分解性有機ケイ素化合物は乳化剤を併用して処理すると均一な処理が得やすく好ましい。その乳化剤としては、アニオン系乳化剤やノニオン系乳化剤が好適に使用されうる。アニオン系乳化剤の具体例としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムなどが挙げられるが、特にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好適に用いられる。ノニオン系乳化剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルやポリオキシエチレンラウリルエーテルなどが挙げられる。この時、加水分解性有機ケイ素化合物の濃度としては0.1〜20重量%が好ましく、好ましくは0.5〜10重量%である。乳化剤濃度はかかる加水分解性有機ケイ素化合物が乳化できる濃度であれば特に制限されるものではない。
加水分解性有機ケイ素化合物は、酸やアルカリ等によりpHを変化させることで加水分解されて水酸基を生成するため、かかるpHを調整する加水分解促進剤を併用することが重要である。加水分解促進剤としては、例えば酸としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類、および硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などの鉱酸類が挙げられる。これらの中では、有機ケイ素化合物の乳化安定性に優れる観点から、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましく、n−ドデシルベンゼンスルホン酸が特に好ましい。アルカリとしては水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物が代表的に使用できる。
ここで、調整するpHとしては蛋白質の変性や加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解性を考慮して、酸性ではpH1.5〜5、アルカリ性ではpH9〜12.5が好ましい。pHが1.5未満あるいは12.5を超えると蛋白質の変性や加水分解を来たす恐れがあり、pHが5を超え9未満であると加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解が進み難くなる恐れが有る。
処理温度としては20℃〜100℃が好ましいが、更に好ましくは30〜90℃であり、より好ましくは40〜80℃である。再生コラーゲン繊維に限定した場合は、事前の耐水処理条件にもよるが、20〜70℃が好ましく、より好ましくは30〜60℃であり、熱変性即ち処理時の収縮現象が起こらないよう温度設定する必要がある。処理温度が20℃未満と低い場合は、反応が遅くなり、100℃を超えると加水分解性有機ケイ素化合物同士の副反応も顕著となって好ましくない。
加水分解性有機ケイ素化合物および加水分解促進剤を含有する処理液への浸漬処理時間は、処理温度にもよるが0.5〜50時間が好ましく、より好ましくは4〜24時間である。処理時間が短いと反応が進行しておらず、時間が長すぎても無駄な時間を費やすのみで好ましくない。
加水分解性有機ケイ素化合物および加水分解促進剤を含有する処理液で浸漬処理した再生蛋白繊維を乾燥させることで耐水性が付与された再生蛋白繊維が得られる。乾燥は風乾でもよいが、含水率は40%以下までに乾燥させることが好ましい。乾燥温度としては好ましくは40℃以上、更に好ましくは50℃以上の温度で、水分による重量減が見られなくなるまで乾燥したした方が良い。乾燥によって繊維を構成する再生蛋白質の分子間距離が短くなり、その後、水分に曝されても広がりにくくなるため、吸湿性や吸水性に関わる耐水性が改良されると考えられる。
次に、前述したごとく加水分解性有機ケイ素化合物および加水分解促進剤を含有する処理液で再生蛋白繊維を浸漬処理した後該繊維を乾燥させることで、吸水率または/および吸湿率の低下のための耐水化効果は十分得られるが、更に高度の耐水化を所望する場合、加熱状態にある水系雰囲気下に曝す処理をすると効果が上乗せされる傾向にある。即ち、加水分解性有機ケイ素化合物および加水分解促進剤を含有する処理液で再生蛋白繊維を浸漬処理すること、必要により金属塩で再生蛋白繊維を処理しておくことを組合せながら、更に加熱状態にある水系雰囲気下に曝す処理を組み合わせることで高度に耐水化された再生蛋白繊維が得られる。この場合、加水分解性有機ケイ素化合物を含有する処理液で再生蛋白繊維を浸漬処理する前に、加熱状態にある水系雰囲気下に曝す処理を行っても高度な耐水化効果は得られず、かかる処理の組合せと順序が重要となる。
ここで、加熱状態にある水系雰囲気下に曝す処理とは、水分の存在下50〜200℃の雰囲気温度で加熱処理することを意味する。水分が液状である即ち再生蛋白繊維を湿潤状態で処理させる場合は50〜100℃が好ましい。50℃未満であると耐水効果が得られにくく、200℃を超えると蛋白質が変性あるいは劣化してくるため好ましくない。
再生コラーゲン繊維に限定した場合は、湿潤状態では50〜90℃が好ましく、更に好ましくは55〜85℃であり、高温湿潤処理するには水に塩を溶解させておく方が好ましい。使用される塩としては中性塩で塩化物や硫酸塩が適用できる。水分が飽和蒸気として存在する場合は50〜95℃が好ましく、水系雰囲気の温度が70℃を超えるような温度では、水蒸気が結露しない状態に保つことが重要である。100℃以上の空気を含有する蒸気処理や空気が含まれない過熱蒸気処理の場合は結露しない点で特に高温処理としては有利である。
処理時間としては、30秒〜8時間であるが水系雰囲気下の温度に応じて設定できる。一般に、水系雰囲気下で曝す温度が低ければ長時間処理を必要とし、温度が高ければ短時間処理でよい。処理時間が30秒未満であると、蛋白質が水系雰囲気温度に馴染むに要する安定化構造に至る時間が追従しないため耐水性が得られにくい。処理時間が8時間を超えると無駄な処理時間となったり、蛋白質が熱と水により蛋白分子間力が小さくなることに由来すると思われる物性の低下した繊維になったりするため好ましくない。
また、再生蛋白繊維を水系雰囲気下に曝す時の状態としては、繊維が緊張状態を保っていることが重要である。自由収縮状態で処理すると繊維外観は縮れ、物性も低下し頭髪素材用途としては適しにくくなる。
かくして本願の処理方法により耐水性に優れた再生蛋白繊維が得られるが、該繊維は頭髪用素材として好適に利用できる。そして、他の頭髪用素材、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維やモダクリル繊維等の合成繊維、更には人毛、駱駝ややく等から得られる天然繊維と組合せにより、ウィッグ、ウィービング、ブレード、ヘアピース、エクステンション、ドールヘア等のヘア用途、更には細い繊度の再生蛋白繊維であればハイパイル、ボアやシール等の立毛布帛や編織物等玩具や衣料にも適用できる。
次に、再生蛋白繊維を再生コラーゲン繊維として例に挙げ、本発明による実施例を以下に示す。
(測定例1)[吸水率の測定]
JIS−L−1015 7.25に準じた測定法を採用した。
(測定例2)[平衡水分率の測定]
測定試料をJIS−Z−8703の標準温湿度状態2類[温度20±2℃、相対湿度65±2%]で1昼夜雰囲気に馴染ませて水分平衡に達しさせ、該試料から約2gを採取してmg単位で精秤(Wmg)した。次いで、105±2℃で3時間絶乾した後再度精秤(W’mg)し、次式(1)式により平衡水分率を算出した。試験回数は2回とし、その平均値を求めた。
平衡水分率(%)=(W−W’)×100/W’ (1)式
(測定例3)[繊度の測定]
オートバイブロ式繊度測定機Denier Computer DC−77A(サーチ(株)製)を用いて温度20±2℃、相対湿度65±2%の雰囲気中で任意の繊維30本を選んで繊度(d)を測定して平均値を求め、これをデシテックス(dtex)単位に換算した。
(製造例1)
牛の床皮を原料とし、アルカリ処理・中和・脱水して得られた可溶化皮片と乳酸を水に混合・撹拌しpH3.5に調整し、更に、脱泡処理して孔径70μmの焼結金網でろ過してコラーゲン溶液を得た。該溶液の105℃、3時間乾燥における不揮発分は7.5重量%であり、このコラーゲン溶液を紡糸原液とした。この紡糸原液を、硫酸ナトリウム18重量%、炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムでpH10.5、温度25℃に調整した凝固浴へ、孔径0.212mm、孔長0.5mm、孔数300個の紡糸用ノズルを通してノズルドラフト1.02でギアポンプにより押し出し、巻き取り速度5m/分で繊維化を行って紡糸繊維を得た。
次に、得られた紡糸繊維は、エピクロロヒドリン1.0重量%、硫酸ナトリウム17重量%、水酸化ナトリウム0.02重量%、温度30℃に調整した水溶液で2時間処理し該溶液を更に50℃へ昇温して6時間紡糸繊維を処理して水に対して不溶化を行った。その後十分水洗して未乾燥の再生コラーゲン繊維を得た。この繊維の乾燥糸の繊度は26.5dtexであった。
(製造例2)
アルミニウム金属塩処理再生蛋白繊維は、製造例1で得た再生コラーゲン繊維の乾燥の有無を問わず該繊維の乾燥重量換算1部を、硫酸アルミニウム・14〜18HO5.0重量%、クエン酸・1HO0.65重量%、水酸化ナトリウム1.3重量%、温度30℃に調整した水溶液30重量部に浸漬処理し、1時間ごとに5%水酸化ナトリウム水溶液を略等量ずつ添加して5時間後の溶液の最終pHを4.5〜pH5.0程度に調整し、更に同溶液で3時間の処理を行った後十分水洗処理を行って得た。
(製造例3)
ジルコニウム金属塩処理再生蛋白繊維は、製造例1で得た再生コラーゲン繊維の乾燥重量換算1部を、硫酸ジルコニウム(第一稀元素化学工業製、ZrO換算濃度18%溶液)を用いてZrO換算濃度1.0重量%、温度30℃に調整した水溶液30重量部に浸漬して8時間の処理を行い、更に十分水洗処理を行って得た。
(製造例4)
加水分解性有機ケイ素化合物処理再生蛋白繊維は、処理に供する繊維の乾燥重量換算1部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.26重量%、加水分解性有機ケイ素化合物3.9重量%からなる水溶液A液10重量部と、加水分解促進剤としてドデシルベンゼンスルホン酸1.95重量%からなる水溶液B液20重量部を混合して55℃に調整して、繊維の浸漬処理を8時間行い、更に十分水洗処理を行って得た。
(実施例1)
製造例1で得た再生コラーゲン繊維に帯電防止剤を有するアミノ変性シリコーン系油剤の水溶液を付着処理し、木枠に巻いて60℃で2時間緊張乾燥させた。次いで、この繊維を製造例4に準じて表1に示す加水分解性有機ケイ素化合物のいずれかを含有する処理液で処理し、次いで、帯電防止剤を有するアミノ変性シリコーン系油剤の水溶液を再度付着処理させて、木枠に巻いて60℃で30分緊張乾燥した。更に、該再生コラーゲン繊維を巻いている木枠を乾燥機から一旦取り出して木枠から解舒して再度巻き直して100℃で30分乾燥させて加水分解性有機ケイ素化合物で処理した再生蛋白繊維を得た。
(比較例1)
製造例1で得た再生コラーゲン繊維に帯電防止剤を有するアミノ変性シリコーン系油剤の水溶液を付着処理し、木枠に巻いて60℃で2時間緊張乾燥させた。次いで、この繊維を加水分解性有機ケイ素化合物処理することなく、アミノ変性シリコーン系油剤の水溶液を再度付着処理し、木枠に巻いて60℃で30分緊張乾燥させた。更に、該再生コラーゲン繊維を巻いている木枠を乾燥機から一旦取り出して木枠から解舒して再度巻き直して100℃で30分乾燥させて再生蛋白繊維を得た。
(実験例1)
実施例1および比較例1で得た各再生蛋白繊維の耐水性の評価結果を表1に示した。その結果、比較例1に比べて実施例1は、吸水率が45.3〜50%の低下を示し、加水分解性有機ケイ素化合物で処理した効果が顕著であることが分かった。
Figure 2012188787
(実施例2)
金属塩で処理された再生蛋白繊維として、製造例1で得た未乾燥の再生コラーゲン繊維を使用し、製造例3に従ってジルコニウム処理再生蛋白繊維を得た。この繊維の乾燥糸の平均繊度は53.4dtexであった。
次いで、この繊維を製造例4に準じて表2に示す加水分解性有機ケイ素化合物のいずれかを含有する処理液にて浸漬処理し、水洗を行い、帯電防止剤を有するアミノ変性シリコーン系油剤の水溶液を付着処理した後、木枠に巻いて40℃で2時間緊張乾燥させた。更に、該繊維を巻いている木枠を乾燥機から一旦取り出して繊維を木枠から解舒し、再度巻き直して60℃で30分乾燥させ、再度同様の操作を繰り返して、80℃で30分乾燥させて目的の再生蛋白繊維を得た。
(比較例2)
実施例2に供したジルコニウム処理再生蛋白繊維を、加水分解性有機ケイ素化合物処理することなく、実施例2に準じて油剤の処理及び乾燥を行って、乾燥したジルコニウム処理再生蛋白繊維を得た。
(実験例2)
実施例2および比較例2で得た各再生蛋白繊維の耐水性の評価結果を表2に示した。その結果、比較例2のサンプル比べて吸水率が23.5〜36.3%の低下を示し、加水分解性有機ケイ素化合物で処理した効果が顕著であることが分った。
Figure 2012188787
(実施例3)
再生蛋白繊維として、製造例1で得た未乾燥の再生コラーゲン繊維を製造例3の製造条件の中でZrO換算濃度1.0%を2.7%に変更して調製し処理してジルコニウム処理再生蛋白繊維を得た。この繊維の乾燥糸の平均繊度は59.5dtexであった。該繊維について、加水分解性有機ケイ素化合物としてメトキシトリメチルシランを用いて実施例2に準じて加水分解性有機ケイ素化合物処理から乾燥を行ってサンプルを作製した。
(実施例4)
実施例3のサンプルを、減圧可能オートクレーブに入れて脱気した後75℃で90分のスチーム処理、即ち、ほぼ空気の無い水分の存在下75℃の雰囲気温度で90分の加熱処理を行い、次いでオートクレーブから取り出して40℃で30分乾燥処理を施し、サンプルを得た。
(比較例3)
比較例2のサンプルを、減圧可能オートクレーブに入れて脱気した後75℃で90分のスチーム処理、即ち、ほぼ空気の無い水分の存在下75℃の雰囲気温度で90分の加熱処理を行い、次いでオートクレーブから取り出して40℃で30分乾燥処理を施し、サンプルを得た。
(実験例3)
実施例3、4、および、比較例3のサンプルについて耐水性の評価結果を表3に示した。実施例3は比較例2のサンプルに比べて吸水率が29.5%の低下を示し、実施例4は比較例3のサンプルに比べて吸水率が10.3%の吸水率低下を示しており、加水分解性有機ケイ素化合物で処理した効果が顕著であることが分った。
Figure 2012188787
更には、前記スチーム処理、即ち、水分の存在下75℃の雰囲気温度で加熱処理した実施例4は、前記処理を施さなかった実施例3に比べて26.7%の吸水率低下を示しており、加水分解性有機ケイ素化合物による処理と水分の存在下雰囲気で加熱処理する組合せにより、より吸水率の低い再生蛋白繊維が得られていることが分った。一方、本願吸水率の測定方法により新たに中国人毛(参考例)について吸水率を測定して得た結果45.9%と比較しても、人毛より低い吸水率に至ることが分った。
(実施例5)
再生蛋白繊維として、製造例1で得た未乾燥の再生コラーゲン繊維を製造例2に従って処理してアルミニウム処理再生蛋白繊維を得た。ここで得られた繊維の乾燥糸の平均繊度は48.7dtexであった。次いで、この繊維を製造例4に準じて加水分解性有機ケイ素化合物としてメトキシトリメチルシランを含有する処理液による浸漬処理を行った。その後、該繊維を取り出して十分水洗を行って帯電防止剤を有するアミノ変性シリコーン系油剤の水溶液を付着処理し、木枠に巻いて40℃で2時間緊張乾燥させた。更に、該アルミニウム処理再生蛋白繊維を巻いている木枠を乾燥機から一旦取り出して木枠から解舒して再度巻き直して60℃で30分乾燥させ、次いで、再度同様の操作を繰り返して80℃で30分乾燥させて加水分解性有機ケイ素化合物で処理したアルミニウム処理再生蛋白繊維を得た。
(実施例6)
再生蛋白繊維として、製造例1で得た未乾燥の再生コラーゲン繊維を、製造例4に準じてこの繊維の乾燥重量10重量部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.26重量%、加水分解性有機ケイ素化合物であるメトキシトリメチルシラン3.9重量%からなる水溶液A液100部と、加水分解促進剤としてドデシルベンゼンスルホン酸1.95重量%からなる水溶液B液200部を混合して55℃に調整して浸漬・振盪しながら8時間の処理を行い、続いて十分水洗し、次いで製造例2に従ってアルミニウム処理再生コラーゲン繊維を得た。この繊維を取り出して十分水洗を行ってアミノ変性シリコーン系油剤の水溶液を付着処理し、木枠に巻いて40℃で2時間緊張乾燥させた。更に、該アルミニウム処理再生コラーゲン繊維を巻いた木枠を乾燥機から一旦取り出して木枠から解舒した後、再度巻き直して60℃で30分乾燥させ、更に、再度同様の操作を繰り返して80℃で30分乾燥させて加水分解性有機ケイ素化合物で処理したアルミニウム処理再生コラーゲン繊維を得た。
(実施例7)
再生蛋白繊維として、製造例1で得た未乾燥の再生コラーゲン繊維を、製造例4に準じてこの繊維の乾燥10重量部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.26重量%、加水分解性有機ケイ素化合物であるメトキシトリメチルシラン3.9重量%からなる水溶液A液100部と、加水分解促進剤としてドデシルベンゼンスルホン酸1.95重量%からなる水溶液B液200部を混合して55℃に調整して浸漬・振盪しながら8時間の処理を行い、続いて十分水洗し、製造例3に準じて該製造条件の中のZrO換算濃度1.0%を2.7%に変更して調整し処理してジルコニウム処理再生蛋白繊維を得た。次いで、該繊維を取り出して水洗を行いアミノ変性シリコーン系油剤の水溶液を付着処理し、木枠に巻いて40℃で2時間緊張乾燥させた。更に、該アルミニウム処理再生蛋白繊維を巻いている木枠を乾燥機から一旦取り出して木枠から解舒して再度巻き直して60℃で30分乾燥させ、更に、再度同様の操作を繰り返して80℃で30分乾燥させて加水分解性有機ケイ素化合物で処理したジルコニウム処理再生コラーゲン繊維を得た。
(実験例4)
実施例5〜7で得られた加水分解性有機ケイ素処理再生蛋白繊維の吸水率を表4に示した。表4からは、再生蛋白繊維を加水分解性有機ケイ素化合物を含有する処理液により浸漬処理し、さらにアルミニウム処理した実施例6は、比較例1のサンプルに比べ17%の吸水率低下を示しており加水分解性有機ケイ素化合物で処理した効果が分った。又、加水分解性有機ケイ素化合物を含有する処理液で処理する前に再生蛋白繊維が金属塩であるアルミニウム塩で処理した実施例5は、実施例6よりさらに吸水率が低下するのが分った。一方で、実施例7と実施例3との比較から、加水分解性有機ケイ素化合物を含有する処理液で処理する前に再生蛋白繊維が金属塩であるジルコニウム塩で処理されている方が吸水率は低くなる事が分った。
Figure 2012188787
(比較例4)
製造例1に準じて、牛の床皮を原料とし、アルカリ処理・中和・脱水して得られた可溶化皮片を乳酸を混合した水に混合・撹拌しpH3.5に調整し、更に、脱泡処理して孔径70μmの焼結金網でろ過してコラーゲン溶液を得た。該溶液は、105℃、3時間乾燥における不揮発分は7.3重量%であり、このコラーゲン溶液を紡糸原液とした。この紡糸原液を、硫酸ナトリウム18重量%、炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムでpH10.5、温度25℃に調整した凝固浴へ、孔径0.253mm、孔長0.5mm、孔数420コの紡糸用ノズルを通してノズルドラフト1.18でギアポンプにより押し出し、巻き取り速度5m/分で繊維化を行って紡糸繊維を得た。
次に、得られた紡糸繊維は、エピクロロヒドリン1.0重量%、硫酸ナトリウム17重量%、水酸化ナトリウム0.02重量%、温度30℃に調整した溶液で2時間処理し該溶液を更に50℃へ昇温して6時間紡糸繊維を処理して水に対して不溶化を行った。その後水洗して未乾燥の再生コラーゲン繊維を得た。
次いで、前記未乾燥の再生コラーゲン繊維は、製造例3に準じて、該繊維の乾燥重量換算1部に対し、硫酸ジルコニウム(第一稀元素化学工業製、ZrO換算濃度18%溶液)を用いてZrO換算濃度1.0重量%、温度30℃に調整した水溶液30重量部に浸漬して8時間の処理を行い、更に十分水洗処理を行ってジルコニウム金属塩処理再生コラーゲン繊維を得た。その後、アミノ変性シリコーン系油剤の水溶液を付着処理して木枠に巻いて40℃で2時間緊張乾燥させ、更に、該ジルコニウム金属塩処理再生コラーゲン繊維を巻いている木枠を乾燥機から一旦取り出して木枠から解舒して再度巻き直して60℃で30分乾燥させ、次いで、新たに木枠に巻き直して80℃で30分乾燥させた。こうしてジルコニウム金属塩処理再生蛋白繊維を得た。
(実施例8)
次に、比較例4で得たジルコニウム金属塩処理再生蛋白繊維の一部を製造例4に準じて加水分解性有機ケイ素を含有する処理液で処理するに当たり、該繊維の重量換算1部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.26重量%、加水分解性有機ケイ素化合物であるメトキシトリメチルシラン3.9重量%からなる水溶液A液10重量部と、加水分解促進剤としてドデシルベンゼンスルホン酸1.95重量%からなる水溶液B液20重量部を混合して55℃に調整して、該ジルコニウム処理再生コラーゲン繊維を浸漬・振盪しながら8時間の処理を行い、更に水洗処理を行って得た。次いで、アミノ変性シリコーン系油剤の水溶液を付着処理して木枠に巻いて40℃で2時間緊張乾燥させた後、繊維を巻いている木枠を乾燥機から一旦取り出して木枠から解舒して再度巻き直して60℃で30分乾燥させ、更に、新たに木枠に巻き直して80℃で30分乾燥させて加水分解性有機ケイ素化合物処理再生コラーゲン繊維を得た。
この加水分解性有機ケイ素化合物処理再生コラーゲン繊維をスチーム処理中の凝縮水に直接触れないように加圧スチーマーに入れて110℃、10分間緊張下で処理を行ってサンプルを得た。
(実験例5)
実施例8および比較例4で得られた各サンプル、並びに、参考例として人毛について測定した耐水性について表5に示した。尚、ここでは吸湿率は平衡水分率で以って評価した。その結果、再生コラーゲン繊維をジルコニウム金属塩で処理した比較例4に比べ、更に加水分解性有機ケイ素処理と水分の存在下で加熱処理した実施例8は、平衡水分率で6.0%、吸水率で53.7%の低下を示し、参考例の人毛に比べても平衡水分率で4.2%、吸水率で6.4%の低下を示し、耐水性の改良が顕著であることが分かった。
Figure 2012188787

Claims (13)

  1. 加水分解性有機ケイ素化合物及び加水分解促進剤を含有する処理液に浸漬する工程を含む耐水性再生蛋白繊維の製造方法。
  2. 前記再生蛋白繊維が再生コラーゲン繊維である請求項1記載の耐水性再生蛋白繊維の製造方法。
  3. 前記加水分解性有機ケイ素化合物がクロロシラン類、アルコキシシラン、シラザン類、シロキサン類、または、シリケート類である請求項1又は2に記載の耐水性再生蛋白繊維の製造方法。
  4. 前記加水分解性有機ケイ素化合物が、一般式、
    SiX4−j、R(OSiROR、または、(SiRO)
    (RはC2n+1またはC2P−1等の脂肪族、またはC等の芳香族であってこれらが混在してもよく、また、一部が官能基に置換されていてもよい。XはClやC〜Cのアルコキシ基をあらわす。ここで、jは1〜3、kは1〜10、mは3〜10、nは0〜10、pは2〜10のそれぞれ整数を表す。また、1分子中のRは必ずしもnやpが同一整数である必要は無く異なる整数が2種以上混在しても良い。)
    であらわされる化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐水性再生蛋白繊維の製造方法。
  5. 前記加水分解促進剤が、スルホン酸類、鉱酸類、又は、アルカリ金属の水酸化物である請求項1〜4のいずれか一項に記載の耐水性再生蛋白繊維の製造方法。
  6. 前記加水分解性有機ケイ素化合物及び加水分解促進剤を含有する処理液に浸漬する工程において乳化剤を用いる請求項1〜5のいずれか一項に記載の耐水性再生蛋白繊維の製造方法。
  7. 前記乳化剤がアニオン系乳化剤及び/又はノニオン系乳化剤である請求項6に記載の耐水性再生蛋白繊維の製造方法。
  8. 有機化合物又は金属塩で処理する工程を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の耐水性再生蛋白繊維の製造方法。
  9. 前記有機化合物がアルデヒド化合物及び/又はエポキシ化合物である請求項8に記載の耐水性再生蛋白繊維の製造方法。
  10. 前記金属塩がクロム化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物、及び、ジルコニウム化合物からなる群から選ばれる1以上の化合物である請求項8又は9に記載の耐水性再生蛋白繊維の製造方法。
  11. 前記加水分解性有機ケイ素化合物および加水分解促進剤を含有する処理液に浸漬する工程の後で、水分の存在下50〜200℃の雰囲気温度で加熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の耐水性再生蛋白繊維の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法により製造される耐水性再生蛋白繊維。
  13. 請求項12に記載の耐水性再生蛋白繊維からなる頭髪用素材。
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