JP2012187550A - 細径脱気チューブ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】真空減圧による脱気効率が高く、極端な偏平化による被脱気液体の閉塞や、キンクの発生がなく、引張強度が高く、かつ、生産性の高い速度で連続的に製造可能な構成の細径脱気チューブを提供すること。
【解決手段】フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、及び塩化ビニル樹脂から選択される1種の熱可塑性樹脂と、連続状の抗張力体からなり、該抗張力体を被覆した内環状部と、該内環状部から放射状に延設された複数のリブ部と、該複数のリブ部を連結する外環状部と、を備え、該リブ部によって分割され長手方向に連続した複数の中空部が形成され、長手方向に直交する断面が略円形、又は略多角形状であって、外環状部の見なし外径平均値が5mm以下の細径脱気チューブである。
【選択図】図1
【解決手段】フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、及び塩化ビニル樹脂から選択される1種の熱可塑性樹脂と、連続状の抗張力体からなり、該抗張力体を被覆した内環状部と、該内環状部から放射状に延設された複数のリブ部と、該複数のリブ部を連結する外環状部と、を備え、該リブ部によって分割され長手方向に連続した複数の中空部が形成され、長手方向に直交する断面が略円形、又は略多角形状であって、外環状部の見なし外径平均値が5mm以下の細径脱気チューブである。
【選択図】図1
Description
本発明は、細径脱気チューブ及びその製造方法に関し、特に溶存気体を除去するための真空脱気効率が向上できる細径脱気チューブ及びその製造方法に関するものである。
例えば、液体クロマトグラフなどでは、試薬液(溶媒やサンプル液等)中に溶け込んでいる気体を移送中に除去する(脱気する)必要がある。
各種理化学・分析機器や製薬、半導体、液晶等を含む各種の生産プロセス設備等において、液体(被脱気液体)から溶存気体を除去するのに真空脱気装置が使用される。
真空脱気装置には、上記サンプル液や溶媒、緩衝液等と接触する部分に、気体のみを通し液体の透過を阻止するフッ素樹脂やポリプロピレン(以下、「PP」と称す。)、ポリメチルペンテン(以下、「PMP」と称す。)などの熱可塑性樹脂からなるいわゆる気体透過で液体不透過の性能を有する細径脱気用チューブが使用される。
各種理化学・分析機器や製薬、半導体、液晶等を含む各種の生産プロセス設備等において、液体(被脱気液体)から溶存気体を除去するのに真空脱気装置が使用される。
真空脱気装置には、上記サンプル液や溶媒、緩衝液等と接触する部分に、気体のみを通し液体の透過を阻止するフッ素樹脂やポリプロピレン(以下、「PP」と称す。)、ポリメチルペンテン(以下、「PMP」と称す。)などの熱可塑性樹脂からなるいわゆる気体透過で液体不透過の性能を有する細径脱気用チューブが使用される。
真空脱気装置の脱気効率を向上させるためには、気体成分の拡散効率を上げる必要がある。気体の拡散は、拡散方程式に従うため、拡散移動距離が短い程、指数関数的に効率が向上する。つまり、脱気用チューブ内を通過する被脱気液体を脱気用チューブの中心部よりも膜面(チューブの内周面)にできるだけ近い位置を移動させることが好ましい。
この種の脱気チューブとして、チューブの長手方向に沿って線材を内蔵させ、該線材外壁面とチューブ内壁面との間に空隙を形成せしめた脱気用チューブが提案されている(特許文献1参照)。
また、粒子状プラスチック基材に揮発性の高い特定の分散液を添加してペースト化したものを押出し焼成してなるチューブ内に長手方向に沿って線材を内蔵させ、該線材の外周面と当該チューブ内周面との間に被脱気液体を流通させるための空隙を形成したチューブを複数本用いてなる真空脱気装置が提案されている(特許文献2参照)。
この種の脱気チューブとして、チューブの長手方向に沿って線材を内蔵させ、該線材外壁面とチューブ内壁面との間に空隙を形成せしめた脱気用チューブが提案されている(特許文献1参照)。
また、粒子状プラスチック基材に揮発性の高い特定の分散液を添加してペースト化したものを押出し焼成してなるチューブ内に長手方向に沿って線材を内蔵させ、該線材の外周面と当該チューブ内周面との間に被脱気液体を流通させるための空隙を形成したチューブを複数本用いてなる真空脱気装置が提案されている(特許文献2参照)。
さらに、広範囲の流速と高効率かつ小型化可能な脱気装置として、気体透過性の偏平(楕円形)チューブを2枚のメッシュシート体の間に配列した脱気装置(特許文献3参照)が提案されている。
さらにまた、気体透過性チューブの断面形状が少なくとも1つ以上の凹部を有する異形(中央部が窪んだ繭型)に形成して、気体透過性チューブのキンクを起こり難くした脱気用チューブ(特許文献4参照)が開示されている。
さらにまた、気体透過性チューブの断面形状が少なくとも1つ以上の凹部を有する異形(中央部が窪んだ繭型)に形成して、気体透過性チューブのキンクを起こり難くした脱気用チューブ(特許文献4参照)が開示されている。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された脱気用チューブでは、チューブ内に線材を内蔵させる方法では、チューブを製造後に当該線材を挿入することになり、手間がかかり、コストアップを回避できず、また、連続した長尺状の脱気用チューブを得ることが困難であるという問題があった。
また、特許文献3に記載の断面が偏平状や、特許文献4に記載の断面に少なくとも1つ以上の凹部を有する異形に形成された脱気用チューブでは、被脱気液体中に含まれる気体の拡散距離は確かに短くなるが、真空引きにより圧力差で膨らんでしまい、結局略円形になってしまう場合があり、これを防止する為には、外から変形を防止する手段を設けねばならず、特許文献3に開示された様なモジュールの複雑化及びコストアップを招くと共に、装置における空間的なロスも大きくなる。
さらに、脱気用チューブの脱気効率は、被脱気液体中の気体拡散と共に、チューブの内壁面から外へ、チューブ壁面(外層)内部の拡散も影響し、その(外層)厚みに逆比例し、厚みが薄いほど良くなるが、この観点から楕円形や繭型にすると、気体透過壁(膜)の厚みが薄いと、より変形し易くなるという、相反する問題がある。
また、製造工程において、特に芯部、リブ部、外環状部の全てが熱可塑性樹脂で構成された細径脱気チューブでは、製造工程において形状が安定しないので製造速度を上げることができない場合があったり、取り扱い上、引張強度が不足する場合があった。
また、特許文献3に記載の断面が偏平状や、特許文献4に記載の断面に少なくとも1つ以上の凹部を有する異形に形成された脱気用チューブでは、被脱気液体中に含まれる気体の拡散距離は確かに短くなるが、真空引きにより圧力差で膨らんでしまい、結局略円形になってしまう場合があり、これを防止する為には、外から変形を防止する手段を設けねばならず、特許文献3に開示された様なモジュールの複雑化及びコストアップを招くと共に、装置における空間的なロスも大きくなる。
さらに、脱気用チューブの脱気効率は、被脱気液体中の気体拡散と共に、チューブの内壁面から外へ、チューブ壁面(外層)内部の拡散も影響し、その(外層)厚みに逆比例し、厚みが薄いほど良くなるが、この観点から楕円形や繭型にすると、気体透過壁(膜)の厚みが薄いと、より変形し易くなるという、相反する問題がある。
また、製造工程において、特に芯部、リブ部、外環状部の全てが熱可塑性樹脂で構成された細径脱気チューブでは、製造工程において形状が安定しないので製造速度を上げることができない場合があったり、取り扱い上、引張強度が不足する場合があった。
そこで、本発明者らは、真空減圧による脱気効率が高く、極端な偏平化による被脱気液体の閉塞や、キンクの発生がなく、引張強度が高く、かつ、生産性の高い速度で連続的に製造可能な構成の細径脱気チューブについて鋭意検討して本願発明を完成した。
上記課題を解決するため、本発明は、下記の〔1〕〜〔6〕を提供する。
〔1〕フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、及び塩化ビニル樹脂から選択される1種の熱可塑性樹脂と、連続状の抗張力体からなり、
該抗張力体を被覆した内環状部と、該内環状部から放射状に延設された複数のリブ部と、該複数のリブ部を連結する外環状部と、を備え、
該リブ部によって分割され長手方向に連続した複数の中空部が形成され、長手方向に直交する断面が略円形、又は略多角形状であって、外環状部の見なし外径平均値が5mm以下である、
ことを特徴とする細径脱気チューブ。
〔2〕長手方向の見なし外径変動率(CV値)が1%以下である前記〔1〕に記載の細径脱気チューブ。
〔3〕前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリメチルペンテンから選択される1種のポリオレフィン樹脂、又はペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体から選択される1種のフッ素樹脂である前記〔1〕又は〔2〕に記載の細径脱気チューブ。
〔4〕引張強度が0.4GPa以上の抗張力体を用いた前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の細径脱気チューブ。
〔5〕前記抗張力体を被覆する内環状部と、該内環状部から放射状に延設された複数のリブ部と、該複数のリブ部を連結する外環状部と、を備え、該リブ部によって分割された長手方向に連続した複数の中空部(通液部)が形成され、長手方向に直交する断面が略円形、又は略多角形状であって、外環状部の見なし外径平均値が5mm以下で、長手方向の見なし外径変動率(CV値)が1%以下である細径脱気チューブを、ダイスを用いて製造するに際し、
(1)中央に抗張力体の挿通用中心孔と、前記挿通用中心孔の外周に隣接配置される内環状孔と、該内環状孔の外周から放射状に延びる複数の直線状孔と、該直線状孔の外端間を連結する外環状孔と、前記内環状孔と前記外環状孔及び前記直線状孔とで囲まれた領域内に前記中空部形成用の内圧調整エアーを導入するための貫通孔が設けられたダイスを用いて、前記挿通用中心孔に抗張力体を連続的に挿通する一方、内圧調整用エアーを前記貫通孔から中空部内に導入しつつ、前記内環状孔と前記外環状孔及び前記直線状孔よりなるダイス孔部から溶融した樹脂を垂直下方に押出し、引き落とす溶融押出工程、
(2)次いで、ダイス出口と水面間が所定の距離の冷却水槽に導いて室温近傍で空冷した後、水冷却する冷却工程、
を経て連続的に引き取ることを特徴とする細径脱気チューブの製造方法。
〔6〕前記(1)の溶融押出工程に次いで、(3)ダイスから引き落とされた溶融状樹脂成形物を、(当該樹脂の融点+10℃)〜40℃の温度範囲の加熱筒に挿通して加熱する工程、(4)次いで、樹脂成形物を室温近傍で徐冷する工程、を経て連続的に引き取ることを特徴とする外環状部の見なし外径が0.5mm以下の細径脱気チューブの製造方法。
上記課題を解決するため、本発明は、下記の〔1〕〜〔6〕を提供する。
〔1〕フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、及び塩化ビニル樹脂から選択される1種の熱可塑性樹脂と、連続状の抗張力体からなり、
該抗張力体を被覆した内環状部と、該内環状部から放射状に延設された複数のリブ部と、該複数のリブ部を連結する外環状部と、を備え、
該リブ部によって分割され長手方向に連続した複数の中空部が形成され、長手方向に直交する断面が略円形、又は略多角形状であって、外環状部の見なし外径平均値が5mm以下である、
ことを特徴とする細径脱気チューブ。
〔2〕長手方向の見なし外径変動率(CV値)が1%以下である前記〔1〕に記載の細径脱気チューブ。
〔3〕前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリメチルペンテンから選択される1種のポリオレフィン樹脂、又はペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体から選択される1種のフッ素樹脂である前記〔1〕又は〔2〕に記載の細径脱気チューブ。
〔4〕引張強度が0.4GPa以上の抗張力体を用いた前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の細径脱気チューブ。
〔5〕前記抗張力体を被覆する内環状部と、該内環状部から放射状に延設された複数のリブ部と、該複数のリブ部を連結する外環状部と、を備え、該リブ部によって分割された長手方向に連続した複数の中空部(通液部)が形成され、長手方向に直交する断面が略円形、又は略多角形状であって、外環状部の見なし外径平均値が5mm以下で、長手方向の見なし外径変動率(CV値)が1%以下である細径脱気チューブを、ダイスを用いて製造するに際し、
(1)中央に抗張力体の挿通用中心孔と、前記挿通用中心孔の外周に隣接配置される内環状孔と、該内環状孔の外周から放射状に延びる複数の直線状孔と、該直線状孔の外端間を連結する外環状孔と、前記内環状孔と前記外環状孔及び前記直線状孔とで囲まれた領域内に前記中空部形成用の内圧調整エアーを導入するための貫通孔が設けられたダイスを用いて、前記挿通用中心孔に抗張力体を連続的に挿通する一方、内圧調整用エアーを前記貫通孔から中空部内に導入しつつ、前記内環状孔と前記外環状孔及び前記直線状孔よりなるダイス孔部から溶融した樹脂を垂直下方に押出し、引き落とす溶融押出工程、
(2)次いで、ダイス出口と水面間が所定の距離の冷却水槽に導いて室温近傍で空冷した後、水冷却する冷却工程、
を経て連続的に引き取ることを特徴とする細径脱気チューブの製造方法。
〔6〕前記(1)の溶融押出工程に次いで、(3)ダイスから引き落とされた溶融状樹脂成形物を、(当該樹脂の融点+10℃)〜40℃の温度範囲の加熱筒に挿通して加熱する工程、(4)次いで、樹脂成形物を室温近傍で徐冷する工程、を経て連続的に引き取ることを特徴とする外環状部の見なし外径が0.5mm以下の細径脱気チューブの製造方法。
本発明の細径脱気チューブは、中心に抗張力体を配した内環状部を持つ細径脱気チューブとし、複数ある中空部に被脱気液体を通過させることができる構成としたので、引張強度が高く、また、キンク等が発生することなく効率的に脱気することができる。
また、本発明の細径脱気チューブの製造方法は、所定のダイスを用いて熱可塑性樹脂を溶融押出成形することにより連続して長尺のものを得るに際して、抗張力体を内環状部で被覆する構成としたので、押出成形時の冷却工程において、中央を全て樹脂による芯部とする場合と比較して、内環状部は厚みが薄いので、冷却効率がよく、生産速度を上昇できるので、製造コストを低減することができる。また、芯部の冷却固化に伴う冷却収縮が小さいので、形状(寸法)精度が向上する。
また、本発明の細径脱気チューブの製造方法は、所定のダイスを用いて熱可塑性樹脂を溶融押出成形することにより連続して長尺のものを得るに際して、抗張力体を内環状部で被覆する構成としたので、押出成形時の冷却工程において、中央を全て樹脂による芯部とする場合と比較して、内環状部は厚みが薄いので、冷却効率がよく、生産速度を上昇できるので、製造コストを低減することができる。また、芯部の冷却固化に伴う冷却収縮が小さいので、形状(寸法)精度が向上する。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、添付図面に示された各実施形態は、本発明に係わる代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
以下、本発明に係る細径脱気チューブおよびその製造方法を実施例および具体例により詳細に説明する。図1は、本発明に係る細径脱気チューブの一実施例を示している。
図1は、本発明に係る細径脱気チューブの第1実施形態の断面図である。図2は、同実施形態の簡略斜視図である。図1中の符号1は、本発明に係る細径脱気チューブを示している。該細径脱気チューブのサイズや構造等は、本発明の効果が得られる範囲内において、目的に応じて適宜選定可能である。
細径脱気チューブ1は、抗張力体10と、該抗張力体10を被覆する内環状部11と該内環状部から放射状に延びる6本のリブ部12と、該リブ部12を連結する外環状部14と、を備えている。内環状部11とリブ部12及び外環状部14とによって中空部Aが形成されている。なお、芯部10は中心に抗張力体が配置されその外周を熱可塑性樹脂より成る内環状部で被覆した構造となっている。
この細径脱気チューブは図1では円形断面を示しているが、略円形や略多角形状であってもよく、外環状部14の見なし外径平均値を5mm以下としている。
本発明において、見なし外径とは、後述する測定方法により測定した外径の平均値を言う。
見なし外径平均値を5mm以下とすることによって、実用レベルにおいても優れた特性を有する細径脱気チューブとすることができる。
この細径脱気チューブは図1では円形断面を示しているが、略円形や略多角形状であってもよく、外環状部14の見なし外径平均値を5mm以下としている。
本発明において、見なし外径とは、後述する測定方法により測定した外径の平均値を言う。
見なし外径平均値を5mm以下とすることによって、実用レベルにおいても優れた特性を有する細径脱気チューブとすることができる。
中心に抗張力体を有し、これを内環状部で被覆した細径多孔チューブとし、中空部に被脱気液体を通過させることで、安価に、効率よく脱気することができる。
中央の抗張力体のサイズは、大きいと中空部が小さくなり、被脱気液体の通過抵抗(圧力損失)が大きくなる。小さすぎると拡散距離が長くなり効率が低下する。これらの観点から内環状部の外径を、細径脱気チューブの外径の3/10〜7/10とすることが好ましい。
中央の抗張力体のサイズは、大きいと中空部が小さくなり、被脱気液体の通過抵抗(圧力損失)が大きくなる。小さすぎると拡散距離が長くなり効率が低下する。これらの観点から内環状部の外径を、細径脱気チューブの外径の3/10〜7/10とすることが好ましい。
抗張力体としては、アラミド繊維、延伸ポリエステルモノフィラメント、ピアノ線等の鋼線等、引張力等の外力に対して充分耐えうる高強度の線材が望ましく、引張強度が0.4GPa以上のものが好ましい。
本発明に係る細径脱気チューブ1は、側圧特性や曲げ特性等の機械的特性や、細径脱気チューブ構造の真円性あるいは正多角形性を、より良好に保つために、リブ部12を3本以上とすることが望ましい。リブの数が3本未満では、中空部に通液して脱気する際に、圧力差による変形が大きくなり、リブ数が多いと空隙率(被脱気液体を通過させる有効断面積)が小さくなるので、4〜6個が好ましい。特に6個(断面略6角形)の場合、モジュール化したときの端末部を6角ハニカム構造に最密充填することができるため好適である。
本発明に係る細径脱気チューブ1は、側圧特性や曲げ特性等の機械的特性や、細径脱気チューブ構造の真円性あるいは正多角形性を、より良好に保つために、リブ部12を3本以上とすることが望ましい。リブの数が3本未満では、中空部に通液して脱気する際に、圧力差による変形が大きくなり、リブ数が多いと空隙率(被脱気液体を通過させる有効断面積)が小さくなるので、4〜6個が好ましい。特に6個(断面略6角形)の場合、モジュール化したときの端末部を6角ハニカム構造に最密充填することができるため好適である。
そして、細径脱気チューブ1の中空率については限定されず、適宜好適な中空率とすることができる。本発明に係る細径脱気チューブ1では、チューブ内の単位時間あたりの流体輸送量を低下させずにすみ、かつ圧力損失が大きくなって材質を高圧対応とすることも不要とできる。また、キンク等の発生も防止できる。本発明によれば、高い中空率を有しながらキンク等にも優れた細径脱気チューブとすることができる。この中空率とは、細径脱気チューブ1の断面積(抗張力体10、内環状部11、リブ部12、外環状部14、中空部Aの各断面積の総和)に対する、細径脱気チューブ1の中空部Aの断面積の割合をいう。中空率として30〜60%が好ましい。
本発明に係る細径脱気チューブの材料としては、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、及び塩化ビニル樹脂から選択される1種の熱可塑性樹脂が用いられる。
これらの熱可塑性樹脂は、気体透過性で液体不透過性の特徴を有している。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリメチルペンテンから選択される1種であることが好ましい。また、フッ素樹脂としては、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体から選択される1種のフッ素樹脂が好適に使用できる。
これらの熱可塑性樹脂は、気体透過性で液体不透過性の特徴を有している。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリメチルペンテンから選択される1種であることが好ましい。また、フッ素樹脂としては、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体から選択される1種のフッ素樹脂が好適に使用できる。
本発明に係る細径脱気チューブは、長手方向の見なし外径変動率(CV値)を1%以下とすることが、モジュール端末部の加工性等、モジール化の作業性の観点から好ましい。本発明において、見なし外径変動率とは、連続製造しながら、得られた細径脱気チューブについて、中心軸の周囲±90°の角度を10秒間で往復回転する揺動式のレーザー外径測定器を使用し、40秒間を、毎秒50回の測定速度で外径を計測し、その1秒間に計測した外径(測定数:50)の平均値を見なし外径とする。
さらに、40秒間連続計測し、見なし外径の平均値とその標準偏差を求め、この見なし外径標準偏差を見なし外径平均値で除した値(変動係数)を%(変動率=CV値)で表示したものである。
見なし外径変動率が1%を超えると、外径の変動に伴い、中空部の面積が変動して脱気圧が脈動するなど、好ましくない場合がある。
さらに、40秒間連続計測し、見なし外径の平均値とその標準偏差を求め、この見なし外径標準偏差を見なし外径平均値で除した値(変動係数)を%(変動率=CV値)で表示したものである。
見なし外径変動率が1%を超えると、外径の変動に伴い、中空部の面積が変動して脱気圧が脈動するなど、好ましくない場合がある。
本発明に係る細径脱気チューブは、側圧特性に優れているため、曲げてもキンクやクラックが発生しない細径脱気チューブとして、幅広い用途に用いることができる。例えば、半導体製造用、医療用・生化学分析用細径脱気チューブ、各種装置の細径脱気チューブ等に用いることができる。
本発明に係る細径脱気チューブは、微量の多種流体を送液する送液用細径脱気チューブとして用いることができる。通常の微細な細径脱気チューブであれば、多数本の細径脱気チューブを束ねる必要があるため曲げ難くなるとともに、曲げた際に細径脱気チューブ内の空間が潰れることがある。これに関して、本発明に係る細径脱気チューブであれば、側圧特性等に優れているため、細径脱気チューブ内の空間が閉塞されることなく確実に多種流体を送液することができる。
例えば、医療用の薬液用の細径脱気チューブや、化学反応等を行うマイクロリアクター用の細径脱気チューブ等として用いることができる。
各種分析機器用細径脱気チューブとして用いる場合には、微量試料を分析する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や各種分光測定機器やフローサイトメトリー等に用いられる送液用細径脱気チューブとして用いることができる。
また、複数の中空部Aを有するため、コネクター接続の工夫により1本のチューブで、複数の流体(液体やガス等)を細径脱気チューブによって送液できるため省スペース化ができる。また、細径脱気チューブを曲げても流路となる中空部Aが潰れることがないため好適である。
また、複数の中空部Aを有するため、コネクター接続の工夫により1本のチューブで、複数の流体(液体やガス等)を細径脱気チューブによって送液できるため省スペース化ができる。また、細径脱気チューブを曲げても流路となる中空部Aが潰れることがないため好適である。
各種装置の配管用細径脱気チューブとして用いる場合には、側圧特性に優れている細径脱気チューブであるため、曲げることで省スペース化が可能となる。
本発明に係る細径脱気チューブの製造方法は、前記抗張力体を被覆する内環状部と、該内環状部から放射状に延設された複数のリブ部と、該複数のリブ部を連結する外環状部と、を備え、該リブ部によって分割された長手方向に連続した複数の中空部(通液部)が形成され、長手方向に直交する断面が略円形、又は略多角形状であって、外環状部の見なし外径平均値が5mm以下で、長手方向の見なし外径変動率(CV値)が1%以下である細径脱気チューブを、ダイスを用いて製造するに際し、(1)中央に抗張力体の挿通用中心孔と、前記挿通用中心孔の外周に隣接配置される内環状孔と、該内環状孔の外周から放射状に延びる複数の直線状孔と、該直線状孔の外端間を連結する外環状孔と、前記内環状孔と前記外環状孔及び前記直線状孔とで囲まれた領域内に前記中空部形成用の内圧調整エアーを導入するための貫通孔が設けられたダイスを用いて、前記中心孔に抗張力体を連続的に挿通する一方、内圧調整用エアーを前記貫通孔から中空部内に導入しつつ、前記内環状孔と前記外環状孔及び前記直線状孔よりなるダイス孔部から溶融した樹脂を垂直下方に押出し、引き落とす溶融押出工程、(2)次いで、ダイス出口と水面間が所定の距離の冷却水槽に導いて室温近傍で空冷した後、水冷却する冷却工程、
を経て連続的に引き取ることを特徴とする。
を経て連続的に引き取ることを特徴とする。
図3は、本発明に係る細径脱気チューブの製造方法の一例を示す概念図である。図5は、それに用いられるダイス孔部の一形態例である。図3の符号2は、細径脱気チューブの製造装置を示している。
溶融した樹脂Pは、ダイス孔部3から押出されて、冷却水槽22で冷却されて、細径脱気チューブが製造される。以下、各工程について説明する。
ダイス孔部3から溶融した樹脂Pを押出しする。このダイス孔部3は、図5(A)に示す如く、その内部に抗張力体挿通用中心孔37を有する抗張力体案内パイプ36と、抗張力体案内パイプ36の外周に内環状用孔31の外周から放射状に延びる複数の直線状孔32と、この直線状孔32の外端間を連結する外環状孔33の孔を備えている。この内環状用孔31と外環状孔33と直線状孔32から、樹脂Pを押出し引き落とすことで、細径脱気チューブの形状とする(図1参照)。
また、ダイス3に内圧調整用エアーを導入するための貫通孔35を設けることが必要である。貫通孔35は、内環状用孔31と直線状孔32,32と外環状孔33とで囲まれた領域34に設けられている(図5(A)参照)。押出す樹脂Pを所定速度で引き取る際に、これに伴って外部のエアーが、貫通孔35の後方から前方に通される(図3の矢印a参照)。これによって、樹脂Pから成形される細径脱気チューブ1の中空部Aの内圧を均一化することができる。
そして、押出し時に伴って自然発生する空気流により中空部Aに内圧調整用エアーを導入してもよいし、積極的に所定圧力で加圧した内圧調整用エアーを導入することも可能である。
なお、ダイス孔部から溶融樹脂を垂直下方に押出しこれを引き落としつつ冷却、細径化するに際して、ダイス開口部の面積と得られた細径脱気チューブとの断面積との関係から求められる、面積引落とし倍率は、下記式で求められる値であり、好ましい範囲としては、30〜4000倍であることが望ましい。このような数値範囲とすることで、吐出量をより安定させることができ、更には外径ムラを防止し、見なし外径の変動率を2%以下にできるという点でより好適である。
面積引落とし倍率=(ダイス孔部の外環状部の外径)2/(細径脱気チューブの外径)2
面積引落とし倍率=(ダイス孔部の外環状部の外径)2/(細径脱気チューブの外径)2
前記冷却工程は、ダイスから押出し、引き落とされた溶融状樹脂成形物を、ダイスと冷却水槽との水面の間隔Gが所定の距離とされた、水槽中に導いて冷却すればよい。
冷却水槽22は、図3に示すように、ダイス直下に冷却水を供給して貯水可能な直筒状の形態としても良いし、ある程度の深みの水槽を有し、水槽中に成形品の走行方向を変換するためのガイド類を備えた形態の一般に合成繊維のモノフィラメント等に汎用される冷却水槽であってもよい。
さらに外径精度を高めるために、真空サイジング装置に挿通させることによって冷却してもよい。
以下、図3に示す冷却水槽22による製造方法について説明する。
冷却水槽22は、図3に示すように、ダイス直下に冷却水を供給して貯水可能な直筒状の形態としても良いし、ある程度の深みの水槽を有し、水槽中に成形品の走行方向を変換するためのガイド類を備えた形態の一般に合成繊維のモノフィラメント等に汎用される冷却水槽であってもよい。
さらに外径精度を高めるために、真空サイジング装置に挿通させることによって冷却してもよい。
以下、図3に示す冷却水槽22による製造方法について説明する。
冷却水槽22は、樹脂Pの垂直下方への押出し方向(矢印c)と逆方向(矢印b)に冷却水を吐出する給水部221を備えている。下方の給水部221から給水され、水位調整機能付排水管222の上端に螺着されたキャップを上下することによって、ダイス面との距離Gを微調整可能となっている。冷却水槽の下端側は、走行する成形物との隙間をシールするパッキンによりある程度塞がれている(図示省略)。そして、給水方向は限定されないが、樹脂Pの押出し方向と同軸方向であることが望ましい。給水部221から吐出される水流が押出しされている樹脂に直接当たらないため、冷却水槽22内でチューブが踊ったり、その表面が波打つことを防止できる。
冷却水槽22の上部では、給水量と排水量をバランスさせて、水位を一定に保つ必要があり、これらによって、外径の変動を少なくすることができる。また、外環の円周が周方向で同時に冷却されるので、長手方向に偏奇することなく、真円性が優れた多孔チューブとすることができる。
冷却水槽22の長さは限定されず、適宜好適な長さに調節することができる。
また、ダイス面と冷却水槽の面間距離(エアーギャップ)Gは、冷却水槽自体を上下動可能として、エアーギャップGを調整することで、溶融した樹脂がある程度降温し、かつ、水冷に好適な温度で導入することで、成形物全体の冷却バランスを調整できるため望ましい。なお、冷却水槽22の長さは、押出し速度に応じて適宜選定することができる。例えば、押出し速度が高速の場合には水槽長を長く、押出し速度が低速の場合には水槽長を短くすればよい。
また、ダイス面と冷却水槽の面間距離(エアーギャップ)Gは、冷却水槽自体を上下動可能として、エアーギャップGを調整することで、溶融した樹脂がある程度降温し、かつ、水冷に好適な温度で導入することで、成形物全体の冷却バランスを調整できるため望ましい。なお、冷却水槽22の長さは、押出し速度に応じて適宜選定することができる。例えば、押出し速度が高速の場合には水槽長を長く、押出し速度が低速の場合には水槽長を短くすればよい。
本発明のようにサイジング装置に導入することなく、直接水槽に導いて冷却する場合には、樹脂Pに含有される添加剤等のブリード現象を防止できる。すなわち、溶融状態である樹脂Pはサイジングによって急冷却されると、添加剤が樹脂表面からブリードアウトしてしまう。このブリード現象は冷却ムラの原因となるだけでなく、更には外径のムラの原因ともなりうるが、このような現象も防止できる。
また、本発明の細径脱気チューブの製造方法の第2の態様は、外環状部の見なし外径平均値が0.5mm以下の細径脱気チューブでは、(1)の溶融押出工程に次いで、(3)ダイスから引き出された(溶融状)樹脂成形物を、(当該樹脂の融点+10℃)〜40℃の温度範囲の加熱筒に挿通して加熱する工程、(4)次いで、樹脂成形物を室温近傍で徐冷する工程、を経て連続的に引き取ることを特徴とする。
図4は、本発明の細径脱気チューブの製造方法の第2の態様の一例を説明するための概念図である。
同図には、ダイスから引き出された溶融状樹脂成形物を、(当該樹脂の融点+10℃)〜40℃の温度範囲の加熱筒に挿通して加熱する工程に用いられる加熱筒42と、樹脂成形物を室温近傍で徐冷する工程に用いられる空冷部44を示している。
加熱筒42(ドラフトゾーン:細径化ゾーン)は、ダイス孔部3から引き落とされた溶融状樹脂成形物Pを加熱する。加熱温度は、樹脂の種類や細径脱気チューブの外径等に応じて適宜設定することができ、例えば(当該樹脂の融点+10℃)〜40℃の温度範囲とされる。かかる温度の加熱筒42に樹脂成形物を通過させることで、細径であっても優れた真円性を有する脱気チューブとすることができる。ダイス孔部3から押出し引き落とされた溶融樹脂の熱容量が小さくても、この加熱筒42に通過させることで、溶融樹脂の急速な冷却を防止できる。なお、樹脂融点の測定は、ASTM D4591によって測定することができる。そして、加熱筒42の構造や加熱方法は限定されないが、好適には、高周波加熱や遠赤外線加熱によることが望ましい。
同図には、ダイスから引き出された溶融状樹脂成形物を、(当該樹脂の融点+10℃)〜40℃の温度範囲の加熱筒に挿通して加熱する工程に用いられる加熱筒42と、樹脂成形物を室温近傍で徐冷する工程に用いられる空冷部44を示している。
加熱筒42(ドラフトゾーン:細径化ゾーン)は、ダイス孔部3から引き落とされた溶融状樹脂成形物Pを加熱する。加熱温度は、樹脂の種類や細径脱気チューブの外径等に応じて適宜設定することができ、例えば(当該樹脂の融点+10℃)〜40℃の温度範囲とされる。かかる温度の加熱筒42に樹脂成形物を通過させることで、細径であっても優れた真円性を有する脱気チューブとすることができる。ダイス孔部3から押出し引き落とされた溶融樹脂の熱容量が小さくても、この加熱筒42に通過させることで、溶融樹脂の急速な冷却を防止できる。なお、樹脂融点の測定は、ASTM D4591によって測定することができる。そして、加熱筒42の構造や加熱方法は限定されないが、好適には、高周波加熱や遠赤外線加熱によることが望ましい。
空冷部44では、細径脱気チューブ1を形成する樹脂を、室温近傍で空冷により徐冷する。加熱筒42の後に空冷部44を設けることで、細径脱気チューブ1を形成する樹脂が一気に冷却固化するのを防止できる。空冷部44の温度は、室温近傍であればよいが、より具体的には15℃〜40℃であることが望ましく、更に好ましくは、25℃〜35℃とすることが望ましい。なお、空冷部44の長さ(空冷ゾーン)を調節することで、溶融樹脂を目的の温度とすることができる。
本発明にかかる細径脱気チューブの製造方法において、細径脱気チューブを形成する樹脂を徐冷する手段は本実施形態に限定されず、例えば、風冷や空冷等によって徐冷してもよい。細径脱気チューブは熱容量が小さいので、空冷や風冷によって、細径脱気チューブを形成する樹脂の温度を室温付近にまで下げることが可能である。
例えば、風冷によって徐冷を行う場合には、風冷部として、従来公知の風冷筒等を用いることができる。風冷筒にはブロアー付き熱風発生器等を設け、所定温度の熱風を積極的に発生させてもよい。風冷部を用いる場合も、空冷部44同様に、風冷部内の雰囲気温度を室温近傍とすることが望ましい。更には、空冷部と風冷部とを併用してもよい。
さらに、水冷却槽45−1に導いて、空冷部44を通過した溶融樹脂を水冷することができる。これにより、細径脱気チューブを形成する樹脂を完全に固化させることができる。水冷却槽45−1、2は、本発明において必ずしも必須ではないが、空冷部44(や風冷部)に加えて備えることが望ましい。極細径な細径脱気チューブであれば、前述の空冷や風冷によって細径脱気チューブを形成する樹脂の温度を室温付近にまで下げることができるが、水冷を行うことによって製造速度が高速であっても真円性が高い細径脱気チューブを得ることができる。特に、引き出し速度が30m/分以上であっても、真円性の高い細径脱気チューブを好適に得ることができる。
実施例において、面積引落とし倍率、真円率、見なし外径の変動率は、以下に記載の方法で測定した。
(1)面積引落し倍率
面積引落とし倍率=(ダイス孔部の外環状部の外径)2/(細径脱気チューブの外径)2
(2)細径脱気チューブの真円率
真円率は、図1において外環状部14の最長径をa、最短径をb、平均外径をc(c=(a+b)/2)とした場合、下記数式で示される値であり、どれだけ細径脱気チューブが真円に近いかを示す。
真円率(%)=(1−(a−b)/c)×100
(3)見なし外径変動率(CV値)
連続製造しながら、得られた細径脱気チューブについて、中心軸の周囲±90°の角度を10秒間で往復回転する揺動式のレーザー外径測定器(LDM−903M、タキカワエンジニアリング(株)製)を使用し、40秒間を、毎秒50回の測定速度で外径を計測し、その1秒間に計測した外径(測定数:50)の平均値を見なし外径とする。更に40秒間連続計測し、見なし外径の平均値とその標準偏差を求め、この見なし外径標準偏差を見なし外径平均値で除した値(変動係数)を%で表示し、見なし外径変動率(=CV値)とした。
上記における表現の定義を下記に示す。
外径:ある時点の1点の外径計測値
見なし外径:外径を50点/秒の速度で1秒間計測した値の平均値(50点の計測平均 値)
見なし外径平均値:40秒間での見なし外径の平均値
見なし外径標準偏差:40秒間での見なし外径の標準偏差
見なし外径変動率(CV値)(%)=見なし外径標準偏差/見なし外径平均値×100
なお、細径脱気チューブが略多角形の断面形状である場合は、対角線の最長部を円の直径と見なして、見なし外径変動率を評価した。具体的には揺動式のレーザー外径測定器で計測した値が最大値を示す回転位置で揺動を停止させ(即ちこの位置での計測が略多角形の対角線の最長部である)、その他は前記の方法と同一の方法で、40秒間を、毎秒50回の測定速度でこの対角線長さを計測し、その1秒間に計測した長さ(測定数:50)の平均値を見なし外径とし、更に同様に40秒間連続計測し、見なし外径の平均値とその標準偏差を求め、この見なし外径の標準偏差を見なし外径の平均値で除した値(変動係数)を%で表示し、見なし外径変動率(=CV値)とした。
(4)細径脱気チューブの(引張)破断強力、(引張)破断伸度
得られた細径脱気チューブについて、引張破断強力(以下、「破断強力」という。)、引張破断伸度(以下、「破断伸度」という。)をサンプルの把持長45mm、引張速度50mm/minで万能型引張試験機(オリエンテック社製:RTM250)により、JIS−K−7162に準拠して測定した。
(1)面積引落し倍率
面積引落とし倍率=(ダイス孔部の外環状部の外径)2/(細径脱気チューブの外径)2
(2)細径脱気チューブの真円率
真円率は、図1において外環状部14の最長径をa、最短径をb、平均外径をc(c=(a+b)/2)とした場合、下記数式で示される値であり、どれだけ細径脱気チューブが真円に近いかを示す。
真円率(%)=(1−(a−b)/c)×100
(3)見なし外径変動率(CV値)
連続製造しながら、得られた細径脱気チューブについて、中心軸の周囲±90°の角度を10秒間で往復回転する揺動式のレーザー外径測定器(LDM−903M、タキカワエンジニアリング(株)製)を使用し、40秒間を、毎秒50回の測定速度で外径を計測し、その1秒間に計測した外径(測定数:50)の平均値を見なし外径とする。更に40秒間連続計測し、見なし外径の平均値とその標準偏差を求め、この見なし外径標準偏差を見なし外径平均値で除した値(変動係数)を%で表示し、見なし外径変動率(=CV値)とした。
上記における表現の定義を下記に示す。
外径:ある時点の1点の外径計測値
見なし外径:外径を50点/秒の速度で1秒間計測した値の平均値(50点の計測平均 値)
見なし外径平均値:40秒間での見なし外径の平均値
見なし外径標準偏差:40秒間での見なし外径の標準偏差
見なし外径変動率(CV値)(%)=見なし外径標準偏差/見なし外径平均値×100
なお、細径脱気チューブが略多角形の断面形状である場合は、対角線の最長部を円の直径と見なして、見なし外径変動率を評価した。具体的には揺動式のレーザー外径測定器で計測した値が最大値を示す回転位置で揺動を停止させ(即ちこの位置での計測が略多角形の対角線の最長部である)、その他は前記の方法と同一の方法で、40秒間を、毎秒50回の測定速度でこの対角線長さを計測し、その1秒間に計測した長さ(測定数:50)の平均値を見なし外径とし、更に同様に40秒間連続計測し、見なし外径の平均値とその標準偏差を求め、この見なし外径の標準偏差を見なし外径の平均値で除した値(変動係数)を%で表示し、見なし外径変動率(=CV値)とした。
(4)細径脱気チューブの(引張)破断強力、(引張)破断伸度
得られた細径脱気チューブについて、引張破断強力(以下、「破断強力」という。)、引張破断伸度(以下、「破断伸度」という。)をサンプルの把持長45mm、引張速度50mm/minで万能型引張試験機(オリエンテック社製:RTM250)により、JIS−K−7162に準拠して測定した。
実施例1
直径0.4mmのペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(以下、「PFA樹脂」という)製のモノフィラメント線(延伸処理済)を抗張力体として用い、300℃のクロスヘッドダイスに導き、図5(A)に示す孔形状のダイス中を、30m/minの速度で通過させ、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(以下、「FEP」と称す。)樹脂(三井・デュポンフロロケミカル製;TE9494、融点260℃)をチューブ状に被覆成形した。
図3に示すように直下に水冷却槽22を設けダイスと水冷却槽間を43mmとし、下方に連続して引き取り、冷却し、見なし外径平均値0.92mmの細径脱気チューブを得た。断面形状は図1に示すものであった。
得られた細径脱気チューブの破断強力を測定したところ、20.6Nであった。破断伸度は40%であった。
また、得られた細径脱気チューブの見なし外径標準偏差は0.005mm、見なし外径変動率(CV値)は0.54%、真円率96%であった。
直径0.4mmのペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(以下、「PFA樹脂」という)製のモノフィラメント線(延伸処理済)を抗張力体として用い、300℃のクロスヘッドダイスに導き、図5(A)に示す孔形状のダイス中を、30m/minの速度で通過させ、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(以下、「FEP」と称す。)樹脂(三井・デュポンフロロケミカル製;TE9494、融点260℃)をチューブ状に被覆成形した。
図3に示すように直下に水冷却槽22を設けダイスと水冷却槽間を43mmとし、下方に連続して引き取り、冷却し、見なし外径平均値0.92mmの細径脱気チューブを得た。断面形状は図1に示すものであった。
得られた細径脱気チューブの破断強力を測定したところ、20.6Nであった。破断伸度は40%であった。
また、得られた細径脱気チューブの見なし外径標準偏差は0.005mm、見なし外径変動率(CV値)は0.54%、真円率96%であった。
比較例1
300℃のクロスヘッドダイスに導き、PFA樹脂製モノフィラメント線を用いることなく図5(B)に示す孔形状のダイス中を、20m/minの速度で通過させ、実施例1と同一のFEP樹脂によりチューブ状に成形した。
ダイス直下に水冷却槽22を設けダイスと水冷却槽間を50mmとし、下方に連続して引取り、冷却し、見なし外径平均値0.92mmの細径脱気チューブを得た。断面形状は図7に示すものであった。
破断強力を測定したところ7.5Nであった。破断伸度は300%であり、抗張力体が無いため、非常に大きな伸度を有していた。
見なし外径標準偏差は0.018mm、見なし外径変動率(CV値)は1.96%、真円率は94%であった。
300℃のクロスヘッドダイスに導き、PFA樹脂製モノフィラメント線を用いることなく図5(B)に示す孔形状のダイス中を、20m/minの速度で通過させ、実施例1と同一のFEP樹脂によりチューブ状に成形した。
ダイス直下に水冷却槽22を設けダイスと水冷却槽間を50mmとし、下方に連続して引取り、冷却し、見なし外径平均値0.92mmの細径脱気チューブを得た。断面形状は図7に示すものであった。
破断強力を測定したところ7.5Nであった。破断伸度は300%であり、抗張力体が無いため、非常に大きな伸度を有していた。
見なし外径標準偏差は0.018mm、見なし外径変動率(CV値)は1.96%、真円率は94%であった。
実施例2
抗張力体として直径0.4mmのSUS単鋼線を用い、350℃のクロスヘッドダイスに導き、図5(A)に示す孔形状のダイス中を、30m/minの速度で通過させ、実施例1と同じFEP樹脂をチューブ状に被覆成形した。
直下に水冷却槽22を設けダイスと水冷却槽間を43mmとし、下方に連続して引き取り、冷却し、見なし外径平均値0.92mmの細径脱気チューブを得た。断面形状は図1に示すものであった。破断強力を測定した結果、82.4Nであった。破断伸度は30%であった。
見なし外径標準偏差は0.005mm、見なし外径変動率(CV値)は0.54%、真円率は96%であった。
抗張力体として直径0.4mmのSUS単鋼線を用い、350℃のクロスヘッドダイスに導き、図5(A)に示す孔形状のダイス中を、30m/minの速度で通過させ、実施例1と同じFEP樹脂をチューブ状に被覆成形した。
直下に水冷却槽22を設けダイスと水冷却槽間を43mmとし、下方に連続して引き取り、冷却し、見なし外径平均値0.92mmの細径脱気チューブを得た。断面形状は図1に示すものであった。破断強力を測定した結果、82.4Nであった。破断伸度は30%であった。
見なし外径標準偏差は0.005mm、見なし外径変動率(CV値)は0.54%、真円率は96%であった。
実施例3
抗張力体として直径0.6mmのPFA樹脂製モノフィラメント線を用い、300℃のクロスヘッドダイスに導き、図5(A)に示す孔形状のダイス中を、30m/minの速度で通過させ、空気孔35にエアーを0.10kg/cm2の圧力で導入しながら、実施例1と同じFEP樹脂をチューブ状に被覆成形した。
直下に水冷却槽22を設けダイスと水冷却槽間を60mmとし、下方に連続して引き取り、冷却し、見なし外径平均値1.40mm、の細径脱気チューブを得た。断面形状は図1に示すものであった。
破断強力を測定したところ48.1Nであった。破断伸度は40%であった。
見なし外径標準偏差は0.01mm、外径変動率(CV値)は0.71%、真円率は96%であった。
抗張力体として直径0.6mmのPFA樹脂製モノフィラメント線を用い、300℃のクロスヘッドダイスに導き、図5(A)に示す孔形状のダイス中を、30m/minの速度で通過させ、空気孔35にエアーを0.10kg/cm2の圧力で導入しながら、実施例1と同じFEP樹脂をチューブ状に被覆成形した。
直下に水冷却槽22を設けダイスと水冷却槽間を60mmとし、下方に連続して引き取り、冷却し、見なし外径平均値1.40mm、の細径脱気チューブを得た。断面形状は図1に示すものであった。
破断強力を測定したところ48.1Nであった。破断伸度は40%であった。
見なし外径標準偏差は0.01mm、外径変動率(CV値)は0.71%、真円率は96%であった。
実施例4
抗張力体として直径0.4mmのポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、「PET樹脂」という)製モノフィラメント線を用い、200℃のクロスヘッドダイスに導き、図5(A)に示す孔形状のダイス中を、30m/minの速度で通過させポリプロピレン樹脂(以下、「PP樹脂」という)(プライムポリマー製:グレードJ106MG、融点160℃)をチューブ状に被覆成形した。
直下に実施例1と同様に水冷却槽22を設けダイスと水冷却槽間を50mmとし、下方に連続して引取り、冷却し、見なし外径平均値0.92mmの細径脱気チューブを得た。断面形状は図1に示すものであった。
破断強力を測定したところ、111.8Nであった。破断伸度は10%であった。
見なし外径標準偏差は0.005mm、見なし外径変動率(CV値)は0.54%、真円率は96%であった。
抗張力体として直径0.4mmのポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、「PET樹脂」という)製モノフィラメント線を用い、200℃のクロスヘッドダイスに導き、図5(A)に示す孔形状のダイス中を、30m/minの速度で通過させポリプロピレン樹脂(以下、「PP樹脂」という)(プライムポリマー製:グレードJ106MG、融点160℃)をチューブ状に被覆成形した。
直下に実施例1と同様に水冷却槽22を設けダイスと水冷却槽間を50mmとし、下方に連続して引取り、冷却し、見なし外径平均値0.92mmの細径脱気チューブを得た。断面形状は図1に示すものであった。
破断強力を測定したところ、111.8Nであった。破断伸度は10%であった。
見なし外径標準偏差は0.005mm、見なし外径変動率(CV値)は0.54%、真円率は96%であった。
実施例5
抗張力体として直径0.4mmのポリアミド樹脂(以下、「PA」という)製モノフィラメント線を用い、260℃のクロスヘッドダイスに導き、図5(A)に示す孔形状のダイス中を、30m/minの速度で通過させ、ポリメチルペンテン樹脂(以下、「PMP」という。) (三井化学製、商品名:TPX グレードRT18、融点237℃)を、チューブ状に被覆成形した。
直下に実施例1と同様に水冷却槽を設けダイスと水冷却槽間を45mmとし、連続して引取り、冷却し、見なし外径平均値0.92mmの細径脱気チューブを得た。断面形状は図1に示すものであった。
破断強力を測定したところ59.8Nであった。破断伸度は42%であった。
見なし外径標準偏差は0.005mm、見なし外径変動率(CV値)は0.54%、真円率は96%であった。
抗張力体として直径0.4mmのポリアミド樹脂(以下、「PA」という)製モノフィラメント線を用い、260℃のクロスヘッドダイスに導き、図5(A)に示す孔形状のダイス中を、30m/minの速度で通過させ、ポリメチルペンテン樹脂(以下、「PMP」という。) (三井化学製、商品名:TPX グレードRT18、融点237℃)を、チューブ状に被覆成形した。
直下に実施例1と同様に水冷却槽を設けダイスと水冷却槽間を45mmとし、連続して引取り、冷却し、見なし外径平均値0.92mmの細径脱気チューブを得た。断面形状は図1に示すものであった。
破断強力を測定したところ59.8Nであった。破断伸度は42%であった。
見なし外径標準偏差は0.005mm、見なし外径変動率(CV値)は0.54%、真円率は96%であった。
実施例6
抗張力体として直径0.2mmのPFA樹脂製モノフィラメント線を用い、300℃のクロスヘッドダイスに導き、図5(A)に示す孔形状のダイス中を、30m/minの速度で通過させ、実施例1と同一のFEP樹脂をチューブ状に被覆成形した。
ダイス直下に長さ250mmの加熱筒を設け、筒内加熱温度を150℃(外気温度は19℃)とし、下方に連続して引取り、見なし外径平均値0.49mmの極細径脱気チューブを得た。断面形状は図1に示すものであった。
破断強力を測定したところ5.3Nであった。破断伸度は40%であった。
見なし外径標準偏差は0.003mm、見なし外径変動率(CV値)は0.61%、真円率は96%であった。
抗張力体として直径0.2mmのPFA樹脂製モノフィラメント線を用い、300℃のクロスヘッドダイスに導き、図5(A)に示す孔形状のダイス中を、30m/minの速度で通過させ、実施例1と同一のFEP樹脂をチューブ状に被覆成形した。
ダイス直下に長さ250mmの加熱筒を設け、筒内加熱温度を150℃(外気温度は19℃)とし、下方に連続して引取り、見なし外径平均値0.49mmの極細径脱気チューブを得た。断面形状は図1に示すものであった。
破断強力を測定したところ5.3Nであった。破断伸度は40%であった。
見なし外径標準偏差は0.003mm、見なし外径変動率(CV値)は0.61%、真円率は96%であった。
実施例7
抗張力体として直径0.25mmのシングルモード(SM)の石英光ファイバを用い、300℃のクロスヘッドダイスに導き、図5(A)に示す孔形状のダイス中を、30m/minの速度で通過させ、実施例1と同一のFEP樹脂をチューブ状に被覆成形した。被覆した。
直下に実施例1と同様に水冷却槽を設けダイスと水冷却槽間を45mmとし、下方に連続して引取り、見なし外径平均値0.60mmの細径脱気チューブを得た。破断強力を測定したところ60.8Nであった。破断伸度は3%であった。
見なし外径標準偏差は0.005mm、見なし外径変動率(CV値)は0.83%、真円率は96%であった。
抗張力体として直径0.25mmのシングルモード(SM)の石英光ファイバを用い、300℃のクロスヘッドダイスに導き、図5(A)に示す孔形状のダイス中を、30m/minの速度で通過させ、実施例1と同一のFEP樹脂をチューブ状に被覆成形した。被覆した。
直下に実施例1と同様に水冷却槽を設けダイスと水冷却槽間を45mmとし、下方に連続して引取り、見なし外径平均値0.60mmの細径脱気チューブを得た。破断強力を測定したところ60.8Nであった。破断伸度は3%であった。
見なし外径標準偏差は0.005mm、見なし外径変動率(CV値)は0.83%、真円率は96%であった。
実施例8
抗張力体として直径0.2mmのPFA樹脂製モノフィラメント線を用い、図5(A)に示す孔形状のダイスを用い、6個の中空部(リブ)を有するPMP樹脂(実施例5に同じ)製の極細脱気チューブを作製した。その際の条件は以下の様にした。
線速度は30m/分、加熱筒長は250mm、筒内加熱温度200℃(外気温度は19℃)とし、面積引落とし倍率は280倍で行った。
得られたチューブは、図6に断面形状を示すように、円形断面ではなく、リブ部を頂点とする略6角形状をしていた。リブ部の延長線の最大値を外径として、見なし外径平均値は0.5mm、見なし外径標準偏差は0.003mm、見なし外径変動率(CV値)は0.60%であった。また本実施例の断面形状は円形ではなく略6角形であり、真円率を評価するのは適切ではないが、本発明における定義に従って、真円率は90%であった。破断強力を測定したところ5.3N、破断伸度は5%であった。
なお、略6角形状になる原因は、PMP樹脂融点に対して加熱筒の筒内温度を、この融点近くの高温に設定した結果、冷却効率が低下し、リブを頂点として外環状部が内側に入り込み、6角形状を呈する結果となったものと思われる。
上記の実施例、比較例の結果をまとめて表1に示す。
抗張力体として直径0.2mmのPFA樹脂製モノフィラメント線を用い、図5(A)に示す孔形状のダイスを用い、6個の中空部(リブ)を有するPMP樹脂(実施例5に同じ)製の極細脱気チューブを作製した。その際の条件は以下の様にした。
線速度は30m/分、加熱筒長は250mm、筒内加熱温度200℃(外気温度は19℃)とし、面積引落とし倍率は280倍で行った。
得られたチューブは、図6に断面形状を示すように、円形断面ではなく、リブ部を頂点とする略6角形状をしていた。リブ部の延長線の最大値を外径として、見なし外径平均値は0.5mm、見なし外径標準偏差は0.003mm、見なし外径変動率(CV値)は0.60%であった。また本実施例の断面形状は円形ではなく略6角形であり、真円率を評価するのは適切ではないが、本発明における定義に従って、真円率は90%であった。破断強力を測定したところ5.3N、破断伸度は5%であった。
なお、略6角形状になる原因は、PMP樹脂融点に対して加熱筒の筒内温度を、この融点近くの高温に設定した結果、冷却効率が低下し、リブを頂点として外環状部が内側に入り込み、6角形状を呈する結果となったものと思われる。
上記の実施例、比較例の結果をまとめて表1に示す。
本発明の細径脱気チューブは、中心に抗張力体を配した内環状部を持つ細径脱気チューブとし、複数ある中空部に被脱気液体を通過させることができる構成としたので、引張強度が高く、また、キンク等が発生することなく効率的に脱気することができる細径脱気チューブとして利用できる。
また、本発明の細径脱気チューブの製造方法は、所定のダイスを用いて熱可塑性樹脂を溶融押出成形することにより連続して長尺のものを得るに際して、抗張力体を内環状部で被覆する構成としたので、押出成形時の冷却工程において、中央を全て樹脂による芯部とする場合と比較して、内環状部は厚みが薄いので、冷却効率がよく、寸法精度も良く、生産速度を上昇できるので、製造コストを低減することができる製造方法として利用できる。
また、本発明の細径脱気チューブの製造方法は、所定のダイスを用いて熱可塑性樹脂を溶融押出成形することにより連続して長尺のものを得るに際して、抗張力体を内環状部で被覆する構成としたので、押出成形時の冷却工程において、中央を全て樹脂による芯部とする場合と比較して、内環状部は厚みが薄いので、冷却効率がよく、寸法精度も良く、生産速度を上昇できるので、製造コストを低減することができる製造方法として利用できる。
1 細径脱気チューブ
2 冷却装置
3 ダイス孔部
10 抗張力体
11 内環状部
12 リブ部
14 外環状部
22 冷却水槽
31 内環状用孔
32 直線状孔部
33 外環状孔部
34 中空部形成ブロック
35 貫通孔(中空部用エアー導入孔)
36 案内パイプ
37 抗張力体挿通用中心孔
40 抗張力体ドラム
42 加熱冷却筒
44 空冷ゾーン
45−1、45−2 第一、第二水冷却槽
211 中空部用エアー導入孔
221 給水管
222 排水管(水位調整キャップ付)
A 中空部
B 中芯(樹脂充実部)
G ダイス−水冷装置面間距離
P 樹脂
a,b,c 流れ方向
2 冷却装置
3 ダイス孔部
10 抗張力体
11 内環状部
12 リブ部
14 外環状部
22 冷却水槽
31 内環状用孔
32 直線状孔部
33 外環状孔部
34 中空部形成ブロック
35 貫通孔(中空部用エアー導入孔)
36 案内パイプ
37 抗張力体挿通用中心孔
40 抗張力体ドラム
42 加熱冷却筒
44 空冷ゾーン
45−1、45−2 第一、第二水冷却槽
211 中空部用エアー導入孔
221 給水管
222 排水管(水位調整キャップ付)
A 中空部
B 中芯(樹脂充実部)
G ダイス−水冷装置面間距離
P 樹脂
a,b,c 流れ方向
Claims (6)
- フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、及び塩化ビニル樹脂から選択される1種の熱可塑性樹脂と、連続状の抗張力体からなり、
該抗張力体を被覆した内環状部と、該内環状部から放射状に延設された複数のリブ部と、該複数のリブ部を連結する外環状部と、を備え、
該リブ部によって分割され長手方向に連続した複数の中空部が形成され、長手方向に直交する断面が略円形、又は略多角形状であって、外環状部の見なし外径平均値が5mm以下である、
ことを特徴とする細径脱気チューブ。 - 長手方向の見なし外径変動率(CV値)が1%以下である請求項1に記載の細径脱気チューブ。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリメチルペンテンから選択される1種のポリオレフィン樹脂、又はペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体から選択される1種のフッ素樹脂である請求項1又は2に記載の細径脱気チューブ。
- 引張強度が0.4GPa以上の抗張力体を用いた請求項1〜3のいずれかに記載の細径脱気チューブ。
- 前記抗張力体を被覆する内環状部と、該内環状部から放射状に延設された複数のリブ部と、該複数のリブ部を連結する外環状部と、を備え、該リブ部によって分割された長手方向に連続した複数の中空部(通液部)が形成され、長手方向に直交する断面が略円形、又は略多角形状であって、外環状部の見なし外径平均値が5mm以下で、長手方向の見なし外径変動率(CV値)が1%以下である細径脱気チューブを、ダイスを用いて製造するに際し、
(1)中央に抗張力体の挿通用中心孔と、前記挿通用中心孔の外周に隣接配置される内環状孔と、該内環状孔の外周から放射状に延びる複数の直線状孔と、該直線状孔の外端間を連結する外環状孔と、前記内環状孔と前記外環状孔及び前記直線状孔とで囲まれた領域内に前記中空部形成用の内圧調整エアーを導入するための貫通孔が設けられたダイスを用いて、前記挿通用中心孔に抗張力体を連続的に挿通する一方、前記内圧調整用エアーを前記貫通孔から中空部内に導入しつつ、前記内環状孔と前記外環状孔及び前記直線状孔よりなるダイス孔部から溶融した樹脂を垂直下方に押出し、引き落とす溶融押出工程、
(2)次いで、ダイス出口と水面間が所定の距離の冷却水槽に導いて室温近傍で空冷した後、水冷却する冷却工程、
を経て連続的に引き取ることを特徴とする細径脱気チューブの製造方法。 - 前記(1)の溶融押出工程に次いで、
(3)ダイスから引き落とされた溶融状樹脂成形物を、(当該樹脂の融点+10℃)〜40℃の温度範囲の加熱筒に挿通して加熱する工程、
(4)次いで、樹脂成形物を室温近傍で徐冷する工程、
を経て連続的に引き取ることを特徴とする外環状部の見なし外径平均値が0.5mm以下の細径脱気チューブの製造方法。
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JP2011054770A JP2012187550A (ja) | 2011-03-11 | 2011-03-11 | 細径脱気チューブ及びその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108908896A (zh) * | 2018-08-09 | 2018-11-30 | 绍兴市万维塑业有限公司 | 一种多层pe净水管材模具 |
JP2020513352A (ja) * | 2016-11-29 | 2020-05-14 | ギマク・ディ・マッキャグナン・ジョルジオ | マルチルーメン管状製品のための押出装置 |
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2011
- 2011-03-11 JP JP2011054770A patent/JP2012187550A/ja active Pending
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JP7085547B2 (ja) | 2016-11-29 | 2022-06-16 | ギマク・ディ・マッキャグナン・ジョルジオ | マルチルーメン管状製品のための押出装置 |
US11660797B2 (en) | 2016-11-29 | 2023-05-30 | Gimac Di Maccagnan Giorgio | Extruder device for multi-lumen tubular products |
CN108908896A (zh) * | 2018-08-09 | 2018-11-30 | 绍兴市万维塑业有限公司 | 一种多层pe净水管材模具 |
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