JP2012187549A - 細径脱気チューブ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、及び塩化ビニル樹脂から選択される1種の熱可塑性樹脂からなり、前記熱可塑性樹脂が充実した芯部と、該芯部から放射状に延設された複数のリブ部と、該複数のリブ部の外端間を連結する外環状部と、を備え、該リブ部によって分割され長手方向に連続した複数の中空部(通液部)が形成され、長手方向に直交する断面が略円形、又は略多角形状であって、外環状部の見なし外径平均値が5mm以下である、ことを特徴とする細径脱気チューブ。
【選択図】図1
Description
各種理化学・分析機器や製薬、半導体、液晶等を含む各種の生産プロセス設備等において、液体(被脱気液体)から溶存気体を除去するのに真空脱気装置が使用される。
真空脱気装置には、上記サンプル液や溶媒、緩衝液等と接触する部分に、気体のみを通し液体の透過を阻止するフッ素樹脂やポリプロピレン(以下、「PP」と称す。)、ポリメチルペンテン(以下、「PMP」と称す。)などの熱可塑性樹脂からなるいわゆる気体透過で液体不透過の性能を有する細径脱気用チューブが使用される。
この種の脱気チューブとして、チューブの長手方向に沿って線材を内蔵させ、該線材外壁面とチューブ内壁面との間に空隙を形成せしめた脱気用チューブが提案されている(特許文献1参照)。
また、粒子状プラスチック基材に揮発性の高い特定の分散液を添加してペースト化したものを押出し焼成してなるチューブ内に長手方向に沿って線材を内蔵させ、該線材の外周面と当該チューブ内周面との間に被脱気液体を流通させるための空隙を形成しチューブを複数本用いてなる真空脱気装置が提案されている(特許文献2参照)。
さらにまた、気体透過性チューブの断面形状が少なくとも1つ以上の凹部を有する異形(中央部が窪んだ繭型)に形成して、気体透過性チューブのキンクを起こり難くした脱気用チューブ(特許文献4参照)が開示されている。
また、特許文献3に記載の断面が偏平状や、特許文献4に記載の断面に少なくとも1つ以上の凹部を有する異形に形成された脱気用チューブでは、被脱気液体中に含まれる気体の拡散距離は確かに短くなるが、真空引きにより圧力差で膨らんでしまい、結局略円形になってしまう場合があり、これを防止する為には、外から変形を防止する手段を設けねばならず、特許文献3に開示された様なモジュールでは複雑化及びコストアップを招くと共に、装置において空間的なロスも大きくなる。
さらに、脱気用チューブの脱気効率は、被脱気液体中の気体拡散と共に、チューブの内壁面から外へ、チューブ壁面(外層)内部の拡散も影響し、その(外層)厚みに逆比例し、厚みが薄いほど良くなるが、この観点から楕円形や繭型にすると、気体透過壁(膜)の厚みが薄いと、より変形し易くなるという、相反する問題がある。
上記課題を解決するため、本発明は、下記の〔1〕〜〔5〕を提供する。
〔1〕フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、及び塩化ビニル樹脂から選択される1種の熱可塑性樹脂からなり、前記熱可塑性樹脂が充実した芯部と、該芯部から放射状に延設された複数のリブ部と、該複数のリブ部の外端間を連結する外環状部と、を備え、該リブ部によって分割され長手方向に連続した複数の中空部(通液部)が形成され、長手方向に直交する断面が略円形、又は略多角形状であって、外環状部の見なし外径平均値が5mm以下である、ことを特徴とする細径脱気チューブ。
〔2〕長手方向の見なし外径の変動率(CV値)が2%以下である前記〔1〕に記載の細径脱気チューブ。
〔3〕前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリメチルペンテンから選択される1種のポリオレフィン樹脂、又はペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体から選択される1種のフッ素樹脂である前記〔1〕又は〔2〕に記載の細径脱気チューブ。
〔4〕前記芯部と、該芯部から放射状に延設された複数のリブ部と、該複数のリブ部を連結する外環状部と、を備え、該リブ部によって分割された長手方向に連続した複数の中空部(通液部)が形成され、長手方向に直交する断面が略円形、又は略多角形状であって、外環状部の見なし外径平均値が5mm以下である細径脱気チューブを、ダイスを用いて製造するに際し、中央に芯部用孔と、該芯部用孔の外周から放射状に延びる複数の直線状孔と、該直線状孔の外端を連結する外環状孔と、前記芯部用孔と前記外環状孔及び前記直線状孔とで囲まれた領域内に中空部形成用内圧調整エアーの導入用貫通孔を設けたダイスを用いて、
内圧調整用エアーを前記導入用貫通孔から中空部内に導入しつつ、前記芯部用孔と前記外環状孔及び前記直線状孔よりなるダイス孔部から溶融した樹脂を垂直下方に押出し、これを引き落としつつ冷却、細径化して引き取る、ことを特徴とする細径脱気チューブの製造方法。
〔5〕前記冷却細径化は、ダイスから押出し、引き落とされた溶融状樹脂成形物を予備冷却しつつ、水槽中に設けられた真空サイジング装置に挿通して行う、前記〔4〕に記載の細径脱気チューブの製造方法。
また、本発明の細径脱気チューブの製造方法は、所定のダイスを用いて熱可塑性樹脂を溶融押出成形することにより連続して長尺のものが得られるので、生産性がよく、製造コストを低減することができる。
見なし外径平均値を5mm以下とすることによって、実用レベルにおいても優れた特性を有する細径脱気チューブとすることができる。
中央の充実部のサイズは、大きいと中空部が小さくなり、被脱気液体の通過抵抗(圧力損失)が大きくなる。小さすぎると拡散距離が長くなり効率が低下する。これらの観点から充実部の外径を、細径脱気チューブの外径の3/10〜7/10とすることが好ましい。
これらの熱可塑性樹脂は、気体透過性で液体不透過性の性質を有している。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリメチルペンテンから選択される1種であることが好ましい。また、フッ素樹脂としては、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体から選択される1種のフッ素樹脂が好適に使用できる。
更に40秒間連続計測し、見なし外径の平均値とその標準偏差を求め、この見なし外径標準偏差を見なし外径平均値で除した値(変動係数)を%(変動率=CV値)で表示したものである。
見なし外径の変動率が2%を超えると、外径の変動に伴い、中空部の面積が変動して脱気圧が脈動するなど好ましくない場合がある。
複数の中空部Aを有するため、コネクター接続の工夫により1本のチューブで、複数の流体(液体やガス等)を細径脱気チューブによって送液できるため省スペース化ができる。また、細径脱気チューブを曲げても流路となる中空部Aが潰れることがないため好適である。
内圧調整用エアーを前記導入用貫通孔から中空部内に導入しつつ、前記芯部用孔と前記外環状孔及び前記直線状孔よりなるダイス孔部から溶融した樹脂を垂直下方に押出し、これを引き落としつつ冷却、細径化して引き取る、ことを特徴とする。
真空サイジング装置に挿通することによって、外径精度をより高めることができる。
以下、真空サイジング装置に挿通する製造方法について説明する。
これによって側圧、寸法特性に優れた細径脱気チューブを得ることができる。以下、各工程について説明する。
面積引落とし倍率=(ダイス孔部の外環状部の外径)2/(細径脱気チューブの外径)2
また、ダイス面と減圧水槽のサイジングノズル221上面との距離(エアーギャップ)Gは、減圧水槽22自体を上下動可能として、エアーギャップGを調整することで、減圧水槽22の減圧水槽用サイジングノズル221でサイジングされる際に、溶融した樹脂Pがある程度降温し、かつサイジングに好適な温度で成形しつつ冷却効果も得ることができるために望ましい。なお、減圧水槽22、サイジングノズル221の長さは、押出し速度に応じて適宜選定することができる。例えば、押出し速度が高速の場合には長さを長く、押出し速度が低速の場合には長さを短くすればよい。
(1)面積引落し倍率
面積引落とし率(%)=(ダイス孔部の外環状部の直径)2/(細径脱気チューブの外径)2
(2)細径脱気チューブの真円率
真円率は、図1において外環状部13の最長径をa、最短径をb、平均外径をc(c=(a+b)/2)とした場合、下記数式で示される値であり、どれだけ細径脱気チューブが真円に近いかを示す。
真円率(%)=(1−(a−b)/c)×100
(3)見なし外径の変動率(CV値)
連続的に製造しながら、得られた細径脱気チューブについて、中心軸の周囲±90°の角度を10秒間で往復回転する揺動式のレーザー外径測定器(LDM−903M、タキカワエンジニアリング(株)製)を使用し、40秒間を、毎秒50回の測定速度で外径を計測し、その1秒間に計測した外径(測定数:50)の平均値を見なし外径とする。更に40秒間連続計測し、見なし外径の平均値とその標準偏差を求め、この見なし外径標準偏差を見なし外径平均値で除した値(変動係数)を%(変動率=CV値)で表示したものである。
上記における表現の定義を下記に示す。
外径:ある時点の1点の外径計測値
見なし外径:外径を50点/秒の速度で1秒間計測した値の平均値(50点の計測平均値)
見なし外径平均値:40秒間での見なし外径の平均値
見なし外径標準偏差:40秒間での見なし外径の標準偏差
見なし外径変動率(CV値)(%)=見なし外径標準偏差/見なし外径平均値×100
なお、細径脱気チューブが略多角形の断面形状である場合は、対角線の最長部を円の直径と見なして見なし外径変動率を評価した。具体的には揺動式のレーザー外径測定器で計測した値が最大値を示す回転位置で揺動を停止させ(即ちこの位置での計測が略多角形の対角線の最長部である)、その他は前記の方法と同一の方法で、40秒間を、毎秒50回の測定速度でこの対角線長さを計測し、その1秒間に計測した長さ(測定数:50)の平均値を見なし外径とし、更に同様に40秒間連続計測し、見なし外径の平均値とその標準偏差を求め、この見なし外径標準偏差を見なし外径平均値で除した値(変動係数)を%(変動率=CV値)で表示した。
300℃に加熱した図5に示す孔形状のダイスより、20m/minの速度で四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(以下、「FEP」と称す。)樹脂(三井・デュポンフロロケミカル製;TE9494、融点260℃)をチューブ状に成形した。直下にダイスとの距離Gを50mmとして、図3に示す減圧通水サイジング装置2を設け、サイジングノズル221の内径を0.94mmとし、下方に引き取り、見なし外径平均値0.92mmの細径脱気チューブを得た。断面形状を図1に示す。見なし外径標準偏差は0.0100mm、見なし外径変動率(CV値)は1.09%、真円率は96%となり、サイジング方式を用いることにより真円形状に近い形状が得られた。
300℃に加熱した図5に示す孔形状のダイスより、20m/minの速度で実施例1と同じFEP樹脂を押出しチューブ状に成形した。
直下にサイジングノズルを有しない図4に示す水冷却槽23を設け、ダイス21と水冷却槽23の水面間を30mmとし、水冷却槽に導いて連続的に引き取り、冷却し、見なし外径平均値0.48mmの細径脱気チューブを得た。断面形状は図1に示す形状であった。
得られた細径脱気チューブの見なし外径標準偏差は0.0094mm、見なし外径変動率(CV値)は1.96%、真円率は93%であった。
300℃に加熱した図5に示す孔形状のダイスより、20m/minの速度で実施例1と同一のFEP樹脂を押出しチューブ状に成形した。
成形の際形状が悪化しないよう、ダイスの空気孔35に0.10kg/cm2の圧力でエアーを送気ポンプにより導入した。ダイスから50mmの直下に減圧通水サイジング装置2を設けサイジングノズルの内径を1.41mmとし、当該減圧通水サイジング装置2に導いて引き取り、見なし外径平均値1.40mmの細径脱気チューブを得た。断面形状を図1に示す。見なし外径標準偏差は0.0200mm、見なし外径変動率(CV値)は、1.43%、真円率は96%であった。
200℃に加熱した図5に示す孔形状のダイスより、20m/minの速度でポリプロピレン樹脂(以下、「PP」という。)(プライムポリマー製;J106MG、融点160℃)を押出してチューブ状に成形した。
直下に水冷却槽23を設けダイスと水冷却槽の水面間を50mmとし、水冷槽に導き連続的に引き取り、冷却し、見なし外径平均値0.92mmの細径脱気チューブを得た。断面形状は図1に示す形状であった。見なし外径標準偏差は、0.0110mm、見なし外径変動率(CV値)は1.20%、真円率は93%であった。
260℃に加熱した図5に示す孔形状のダイスにより、20m/minの速度でポリメチルペンテン(以下、「PMP樹脂」という)(三井化学製;商品名:TPX RT18、融点237℃)を押出しチューブ状に成形した。
直下に水冷却槽23を設けダイス21と水冷却槽23の水面間を45mmとし、水冷槽に導き連続して引き取り、冷却し、見なし外径平均値0.92mm細径脱気チューブを得た。断面形状は図1に示す形状であった。見なし外径標準偏差は0.0120mm、見なし外径変動率(CV値)は1.30%、真円率は93%であった。
略6角形状で対角線の長さが0.5mm、すなわち見なし外径が0.5mmで、中央部に充実部、6個の中空部(リブ)を有する図6に示すような断面のPMP樹脂(実施例5に同じ)製の極細細径脱気チューブを作製した。溶融したPMP樹脂を、図5に示す孔形状のダイスを用いて、押出し成形することによって極細細径脱気チューブを得た。その際の条件は以下の様にした。
線速度は30m/分、加熱筒長(図示省略)は250mm、筒内加熱温度200℃(外気温度は19℃)、面積引き落とし倍率は280倍で行った。
得られたチューブの断面は図6に示すようにリブ部を頂点とする略6角形状をしていた。リブ部で形成される対角線を外径として、見なし外径平均値が0.50mm、見なし外径標準偏差が0.0070mm、見なし外径変動率(CV値)は1.40%であった。また、本実施例の断面形状は円形ではなく略6角形であり、真円率を評価するのは適切ではないが、本発明における定義に従って、真円率は90%であった。
なお、略6角形状になる原因は、PMP樹脂融点に対して加熱筒の筒内温度を、この融点近くの高温に設定した結果、冷却効率が低下し、リブを頂点として外環状部が内側に入り込み、6角形状を呈する結果となったものと思われる。
上記の実施例の結果をまとめて表1に示す。
また、本発明の細径脱気チューブの製造方法は、所定のダイスを用いて熱可塑性樹脂を溶融押出成形することにより連続して長尺のものが得られるので、生産性がよく、製造コストを低減することができる細径脱気チューブの製造方法として利用できる。
2 サイジング装置
3 ダイス孔部
11 芯部
12 リブ部
13 外環状部
21 ダイス
22 減圧水槽
23 冷却水槽
31 中央孔部
32 直線状孔部
33 外環状孔部
34 中空部形成ブロック
35 貫通孔
211 中空部用エアー導入孔
221 サイジングノズル
222 給水部(給水管)
224 減圧孔(排水孔)
225 排水孔(排水管)
2211、2212、2213 貫通孔(サイジンブノズル減圧孔)
A 中空部
G ダイス−サイジング装置面間距離
P 樹脂
a,b,c, 空気、水、成形物の流れ方向
Claims (5)
- フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、及び塩化ビニル樹脂から選択される1種の熱可塑性樹脂からなり、
前記熱可塑性樹脂が充実した芯部と、該芯部から放射状に延設された複数のリブ部と、該複数のリブ部の外端間を連結する外環状部と、を備え、
該リブ部によって分割され長手方向に連続した複数の中空部(通液部)が形成され、長手方向に直交する断面が略円形、又は略多角形状であって、外環状部の見なし外径平均値が5mm以下である、ことを特徴とする細径脱気チューブ。 - 長手方向の見なし外径の変動率(CV値)が2%以下である請求項1に記載の細径脱気チューブ。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリメチルペンテンから選択される1種のポリオレフィン樹脂、又はペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体から選択される1種のフッ素樹脂である請求項1又は2に記載の細径脱気チューブ。
- 前記芯部と、該芯部から放射状に延設された複数のリブ部と、該複数のリブ部を連結する外環状部と、を備え、該リブ部によって分割された長手方向に連続した複数の中空部(通液部)が形成され、長手方向に直交する断面が略円形、又は略多角形状であって、外環状部の見なし外径平均値が5mm以下である細径脱気チューブを、ダイスを用いて製造するに際し、
中央に芯部用孔と、該芯部用孔の外周から放射状に延びる複数の直線状孔と、該直線状孔の外端を連結する外環状孔と、
前記芯部用孔と前記外環状孔及び前記直線状孔とで囲まれた領域内に中空部形成用内圧調整エアーの導入用貫通孔を設けたダイスを用いて、
内圧調整用エアーを前記導入用貫通孔から中空部内に導入しつつ、前記芯部用孔と前記外環状孔及び前記直線状孔よりなるダイス孔部から溶融した樹脂を垂直下方に押出し、これを引き落としつつ冷却、細径化して引き取る、
ことを特徴とする細径脱気チューブの製造方法。 - 前記冷却細径化は、ダイスから押出し、引き落とされた溶融状樹脂成形物を予備冷却しつつ、水槽中に設けられた真空サイジング装置に挿通して行う、請求項4に記載の細径脱気チューブの製造方法。
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