JP2012187200A - 洗濯機 - Google Patents

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Abstract

【課題】通常よりも低い水位で洗濯する場合に、布いたみや布からみを抑制し、且つ、洗浄力が低下しない洗濯機を提供する。
【解決手段】洗濯機は、洗濯兼脱水槽5と、パルセータ41と、洗濯脱水モータ42と、複数の突起91とを備えている。洗濯兼脱水槽5は、側部31と底部32とを有している。パルセータ41は洗濯兼脱水槽5の底部32に回転可能に配設されており、洗濯脱水モータ42はパルセータ41を回転させる。複数の突起91は、洗濯兼脱水槽5の内側における底部32の外周に設けられている。底部32の中心からパルセータ41の先端までの距離をdとして、底部32の中心から複数の突起91までの距離をDとすると、D≦1.5dである。
【選択図】図5

Description

本発明は、通常よりも低い水位で少量の洗濯物を洗濯する場合に布いたみ、布からみを防止する構造を備えた洗濯機に関する。
布いたみを防止する洗濯機は、例えば、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された洗濯機は、洗濯槽と、洗濯槽の中央底部に設けられたパルセータと、洗濯槽の内壁に設けられた段部と、段部に取り付けられるネットを備えている。段部に取り付けられたネットは、パルセータの上方に配置される。
この特許文献1に記載された洗濯機では、洗濯物をネットの上に載せて洗濯することにより、パルセータに洗濯物を直接接触させないようにして、布いたみや洗濯物の型くずれを防止する。
洗濯物の種類や量に応じて水流の強弱を調整可能な洗濯機は、例えば、特許文献2に記載されている。この特許文献2に記載された洗濯機は、洗濯槽に主動パルセータと従動パルセータを備えている。そして、洗濯物の量が多くて洗濯負荷荷重が大きい場合には、主動パルセータと従動パルセータの両方を回転させて強い水流を発生させ、洗濯負荷荷重が小さい場合には、主動パルセータのみを回転させて弱い水流を発生させる。
特開平8−112489号公報 特開平10−201982号公報
しかしながら、特許文献1に記載された洗濯機は、洗濯物をネットの上に載せるため、少量の洗濯物を洗濯する場合であっても、水位を高くしなければならない。その結果、少量の洗濯物を洗濯する場合に、水の使用量を削減することができなかった。
また、特許文献2に記載された洗濯機は、少量の洗濯物を低い水位で洗う場合に、主動パルセータ及び従動パルセータに洗濯物が接触しやすくなり、布いたみの原因となる。
さらに、少量の洗濯物を洗う場合に水流を弱くすると、洗浄力が低下するため、例えば泥汚れの靴下等の高い洗浄力を必要とする少量の洗濯物を洗濯するには不向きであった。
本発明の目的は、上記従来技術における実情を考慮し、通常よりも低い水位で洗濯する場合に、布いたみや布からみを抑制し、且つ、洗浄力が低下しない洗濯機を提供することにある。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の洗濯機は、洗濯槽と、攪拌翼と、駆動部と、複数の突起とを備えている。
洗濯槽は、側部と底部とを有している。攪拌翼は洗濯槽の底部に回転可能に配設されており、駆動部は攪拌翼を回転させる。複数の突起は、洗濯槽の内側における底部の外周に設けられている。
底部の中心から攪拌翼の先端までの距離をdとして、底部の中心から複数の突起までの距離をDとすると、D≦1.5dである。
上記構成の洗濯機では、洗濯槽に供給された水に攪拌翼の回転方向に沿った第1の水流が発生する。この第1の水流により洗濯槽の内側における底部の外周へ移動した水は、複数の突起によってせき止められ、洗濯槽の側部に沿って上昇し、洗濯槽の中心へ向かう。これにより、洗濯槽の上下方向に回転する第2の水流が発生するので、通常よりも低い水位で洗濯しても、攪拌翼が水面から突出することがない。したがって、攪拌翼に洗濯物が引っ掛からないようにすることができ、布いたみや布からみを抑制することができる。
また、底部の中心から攪拌翼の先端までの距離をdとし、底部の中心から複数の突起までの距離をDとして、D≦1.5dに設定する。これにより、複数の突起を攪拌翼に近接させることができる。その結果、複数の突起間にせき止められる水の容量を十分に確保することができ、第2の水流を確実に発生させることができる。
第2の水流は、洗濯槽内の水の水圧が低い程強くなるため、通常よりも低い水位で洗濯する場合に効率よく発生する。したがって、通常よりも低い水位で洗濯する場合に、第1の水流と第2の水流によって洗濯物の移動を活発に行わせることができ、高い洗浄力を確保することができる。
上記構成の洗濯機によれば、通常よりも低い水位で洗濯する場合に、布いたみや布からみを抑制し、且つ、洗浄力を低下させないようにすることができる。
本発明の洗濯機の一実施形態を示す外観構成図である。 本発明の洗濯機の一実施形態を示す縦断面図である。 本発明の洗濯機の一実施形態の制御回路を示すブロック図である。 本発明の洗濯機の一実施形態に係る洗濯兼脱水槽の平面図である。 本発明の洗濯機の一実施形態に係る洗濯兼脱水槽の部分縦断面図である。 本発明の洗濯機の一実施形態に係る突起の斜視図である。 複数の突起を設けない洗濯兼脱水槽における洗濯時の水流を示した説明図である。 本発明の洗濯機の一実施形態の洗濯時における水流を示した説明図である。 本発明の洗濯機の一実施形態に係る第1の水流と第2の水流の関係を示すグラフである。
以下、本発明の洗濯機を実施するための形態について、図1〜図7を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
<洗濯機の構成>
まず、洗濯機の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、本発明の洗濯機の一実施形態を示す外観構成図である。図2は、本発明の洗濯機の一実施形態を示す縦断面図である。
図1に示すように、洗濯機1は、外枠2と、外枠2を支持するベース3(図2参照)と、外枠2の上に設けられたトップカバー4と、外枠2内に配置された洗濯兼脱水槽5と、トップカバー4に取り付けられ、洗濯兼脱水槽5を開閉する蓋6を備えている。
トップカバー4には、給水接続口11と、注水ケース12と、柔軟剤ケース13と、液体投入口14と、表示パネル15と、電源スイッチ16が設けられている。
給水接続口11、注水ケース12及び柔軟剤ケース13は、トップカバー4の後側に配置されている。給水接続口11は、給水ホース101を介して蛇口102に接続される。また、給水接続口11は、給水電磁弁18を介して注水ケース12に接続されている。蛇口102から供給される水は、給水電磁弁18を開放することにより注水ケース12を通って洗濯兼脱水槽5へ注水される。
柔軟剤ケース13は、柔軟剤を貯留する柔軟剤用タンクと、ソフナー供給電磁弁13a(図3参照)を有している。柔軟剤用タンクは、ソフナー供給電磁弁13aを介して給水接続口11に接続されており、ソフナー供給電磁弁13aは、柔軟剤用タンク内への水の供給を制御する。通常、最終すすぎ時にソフナー供給電磁弁13aが開放され、給水接続口11から柔軟剤用タンク内に水が供給される。これにより、柔軟剤用タンク内の柔軟剤は、供給された水と一緒に洗濯兼脱水槽5へ流れ込む。
液体投入口14、表示パネル15及び電源スイッチ16は、トップカバー4の前側に配置されている。液体投入口14には、液体洗剤や液体の漂白剤などが投入される。液体投入口14に投入された液体洗剤や液体の漂白剤などは、後述する洗剤流下路37を通って洗濯兼脱水槽5へ流れ込む。
表示パネル15には、運転内容をセットするための各種入力スイッチが設けられている。電源スイッチ16は、表示パネル15の側方に配置されている。使用者は、電源スイッチ16を操作して洗濯機1の電源を入れてから、表示パネル15の各種入力スイッチを操作して運転内容を決定する。この運転内容としては、例えば、水量の決定や、洗い運転、すすぎ運転、脱水運転の選択、運転時間の決定等を挙げることができる。
図2に示すように、外枠2の内部の上側には、コーナー支持部21が設けられており、このコーナー支持部21に吊棒22が垂下されている。吊棒22は、防振ばね23を介して外槽24を防振支持するために用いられる。外槽24の最上部には、外槽カバー25が設けられている。
洗濯兼脱水槽5は、外槽24の内側に設けられている。この洗濯兼脱水槽5は、有底筒状に形成されており、金属(ステンレス)で形成された側部31と、合成樹脂で形成された底部32とを備えている。洗濯兼脱水槽5の側部31は、ネジ33(図5参照)によって底部32に固定されている。
側部31は、略円筒状に形成されており、複数の脱水穴31aを有している。この側部31の上部には、脱水時の振動を防止するバランサ35と、洗剤トレー36が設けられている。洗剤トレー36は、洗剤を投入するために開閉可能に構成されており、洗剤流下路37に連通している。洗剤流下路37は、洗濯兼脱水槽5の側部31に沿って下方に延在し、底部32の外側に開口する洗剤排出口38を有する。
洗剤トレー36に投入された洗剤は、注水ケース12から洗剤トレー36に注がれた水と混じり合って洗剤流下路37を流下し、洗剤排出口38から外槽24及び洗濯兼脱水槽5に流入する。これにより、洗剤が水に混じって早く溶解するため、洗剤の化学力(洗濯物の汚れを分離させる力)を有効に発揮させることができ、高い洗浄効果を得ることができる。
底部32は、有底筒状に形成されている(図5参照)。この底部32には、複数の突起91(図4参照)が設けられている。複数の突起91については、後で詳しく説明する。
底部32の中央には、攪拌翼の一具体例であるパルセータ41が配置されている。このパルセータ41は、駆動部の一具体例を示す洗濯脱水モータ42によって左周り及び左回りに交互に回転される。洗濯脱水モータ42は、例えばDCブラシレスモータであり、フランジ43と、回転主軸44と、内側回転軸45とを有している。洗濯脱水モータ42は、フランジ43によって外槽24の底部における外面に固定されている。
回転主軸44は、洗濯兼脱水槽5の底部32に固定される底面フランジ44aを有している。この底面フランジ44aを底部32に固定することで、回転主軸44は、洗濯兼脱水槽5を支持する。内側回転軸45は、洗濯兼脱水槽5の底部32を貫通している。この内側回転軸45の先端部には、パルセータ41が固定されている。
回転主軸44と内側回転軸45の回転駆動は、回転伝達切り替え機構(図示せず)で切り替えられる。洗い運転及びすすぎ運転では、内側回転軸のみが左周り及び右周りに交互に回転駆動される。これにより、パルセータ41が左周り及び右周りに交互に回転し、洗濯兼脱水槽5に貯留された水に水流が発生する。その結果、洗濯兼脱水槽5内の洗濯物103が洗濯される。
また、脱水運転では、回転主軸44のみが回転駆動される。これにより、洗濯兼脱水槽5が回転し、洗濯物103に含まれる水分が遠心力によって脱水される。脱水された水分は、脱水穴31aから外槽24へ放出され、排水ホース47を通って機外へ排出される。脱水運転では、回転主軸44を高速で回転駆動させる。このとき、洗濯物103の片寄りによって生じる洗濯兼脱水槽5内のアンバランスな状態がバランサ35で解消されるため、洗濯兼脱水槽5内がアンバランスな状態の場合に生じる異常振動が緩和される。
排水ホース47は、外槽24の底部に設けられた排水口24aに接続されている。この排水ホース47には、排水電磁弁48が設けられている。外槽24及び洗濯兼脱水槽5に水を貯留する場合は、排水電磁弁48が閉じられる。洗い運転やすすぎ運転で使用された水は、排水電磁弁48を開放することにより、排水口24aから排水ホース47を通って機外へ排水される。
また、脱水運転時は、排水電磁弁48を開放する。これにより、洗濯物103から脱水された水は、脱水穴31aから外槽24へ放出され、排水口24aから排水ホース47を通って機外へ排水される。
トップカバー4の前側の内部には、コントロール基板51と、水位センサー52が設けられている。コントロール基板51には、電源スイッチ16が実装されている。また、コントロール基板51は、排水電磁弁48の開閉、洗濯脱水モータ42の駆動等を制御する。洗濯脱水モータ42の駆動制御としては、例えば、回転主軸44及び内側回転軸45の回転駆動の開始、停止及び回転速度調整等がある。
水位センサー52は、圧力チューブ53を介してエアートラップ54の空気室55に連通されている。水位センサー52は、空気室55を介して外槽24内に貯留された水の水圧を検知し、その検知結果を水位情報としてコントロール基板51に送信する。コントロール基板51は、受信した水位情報と運転内容に応じた水量に基づいて給水電磁弁18の開閉を制御し、給水量を調整する。
<洗濯機の制御回路>
次に、洗濯機1の制御回路について、図3を参照して説明する。
図3は、洗濯機1の制御回路を示すブロック図である。
制御回路60は、コントロール基板51(図2参照)に設けられている。この制御回路60は、マイクロコンピュータによって構成された制御ユニット部61と、入力回路部70と、出力駆動回路部71とを有する。
制御ユニット部61は、CPU(中央制御部)62と、タイマ63と、メモリ64と、入力ポート65と、出力ポート66とを備えている。CPU62は、演算部62aと、制御部62bとを有し、メモリ64は、RAM64aと、ROM64bとを有する。
入力回路部70には、電源スイッチ16と、水位センサー52と、ICホール素子74と、蓋開閉センサー75と、全自動選択キー76と、マニュアル設定キー77と、布量センサー78とが接続されている。各種のスイッチやセンサーから出力された情報信号は、それぞれ入力回路部70を介して制御ユニット部61に入力される。
出力駆動回路部71には、洗濯脱水モータ42と、給水電磁弁18と、ソフナー供給電磁弁13aと、排水電磁弁48と、蓋ロックソレノイド79と、終了ブザー80とが接続されている。洗濯脱水モータ42や排水電磁弁48等の各種電気機器は、出力駆動回路部71を通じて供給される電力で作動する。
<突起及び水流の説明>
次に、洗濯兼脱水槽5に設けられた複数の突起91について、図4〜図6を参照して説明する。また、洗濯兼脱水槽に発生する水流について、図7及び図8を参照して説明する。
図4は、洗濯兼脱水槽5の平面図である。図5は、洗濯兼脱水槽5の部分縦断面図である。図6は、洗濯兼脱水槽5に設けられた複数の突起91の斜視図である。図7は、複数の突起91を設けない洗濯兼脱水槽5Aにおける洗濯時の水流を示した説明図である。
図4に示すように、パルセータ41の回転中心は、底部32の中心に一致している。複数の突起91は、洗濯兼脱水槽5の内側における底部32の外周に設けられている。これら複数の突起91は、底部32の中心に対して放射状に配置されており、底部32の周方向に等間隔で並んでいる。また、複数の突起91は、底部32の中心を挟んで対向するように配置されている。
図5に示すように、底部32は、有底筒状に形成されており、パルセータ41が挿入される凹部32aと、凹部32aの周囲に形成される底面32bを有している。また、底面32bの縁部に連続する曲率半径R1の曲面32cと、曲面32cに連続する側面32dと、側面32dに連続する端面32eを有している。
複数の突起91は、底部32の底面32b、曲面32c及び側面32dに沿って形成される。複数の突起91は、底部32の曲面32cに向かって凹む曲率半径R2の曲面91aを有しており、パルセータ41側に向かうにつれて低くなるように傾斜している。
これにより、パルセータ41の回転方向に移動する洗濯物103(図2参照)が、複数の突起91を容易に乗り越えることができる。その結果、複数の突起91に洗濯物103が引っ掛かって滞留することを防ぎ、布いたみや布からみを抑制することができる。
突起91における曲面91aの曲率半径R2は、底部32における曲面32cの曲率半径R1よりも大きくなっている(R2>R1)。
これにより、洗濯兼脱水槽5の径方向に流れる洗濯物103が複数の突起91に引っ掛からずに上昇することができ、洗濯物103の滞留を防止或いは抑制することができる。その結果、布いたみや布からみを抑制することができる。
複数の突起91の側部は、パルセータ41の回転方向に沿った第1の水流C1(図8参照)により底部32外周へ移動した水をせき止める。そして、せき止められた水は、側部31に沿って上昇し、洗濯兼脱水槽5の中心へ向かう第2の水流C2を発生させる。そのため、第2の水流C2を発生させるには、複数の突起91間に効率よく水を送ることが重要になる。
複数の突起91とパルセータ41の先端と間の距離が長くなれば、水は、第1の水流C1を発生させても、複数の突起91とパルセータ41との間を流れる水量が多くなり、水を効率よく複数の突起91間に送り込むことができない。したがって、複数の突起91によって第2の水流C2を効率よく発生させるには、複数の突起91をパルセータ41に近づけるとよい。
そこで、本実施の形態では、底部32の中心からパルセータ41の先端までの距離をdとすると、底部32の中心から突起91のパルセータ41側の先端までの距離Dは、D≦1.5dを満たすようにする。これにより、複数の突起91をパルセータ41に接近させて配置することができ、第2の水流C2を効率よく発生させることができる。
さらに、本実施の形態では、1.05d≦Dを満たすようにする。つまり、距離Dは、1.05≦D≦1.5dを満たす。
これにより、複数の突起91とパルセータ41との間に適当な間隙が形成される。その結果、複数の突起91とパルセータ41との間にコインなどの小物が侵入しても、コインなどの小物が複数の突起91とパルセータ41との間から抜けやすくなる。したがって、複数の突起91とパルセータ41との間にコインなどの小物が挟まることを防止或いは抑制できる。
なお、Dの最適な範囲については、後で図9を参照して説明する。
また、底部32における底面32bからパルセータ41の羽根41aの上面までの高さをH1とすると、複数の突起91の高さH2は、H1≦H2を満たす。つまり、複数の突起91の高さH2は、底面32bからパルセータ41の羽根41aの上面までの高さH1以下とする。
これにより、パルセータ41と複数の突起91が対向する。その結果、パルセータ41の回転方向に沿った第1の水流C1によって複数の突起91間へ水を有効に送り出すことができ、第2の水流C2を確実に発生させることができる。
さらに、複数の突起91の高さH2は、底部32の底面32bから端面32eまでの高さよりも低くする。したがって、複数の突起91は、底部32の端面32eよりも上方に突出しない。
これにより、底部32の成形性を向上させることができると共に、底部32と側部31とを組み立てる場合の作業性を向上させることができる。
図6に示すように、突起91は、幅方向の一端から他端に向かうにつれて放物線状に湾曲する曲面91bを有している。この曲面91bの頂点は、突起91の幅方向の中央に位置する。なお、突起の幅方向は、パルセータ41の回転方向に沿う方向である。
この曲面91bにより、パルセータ41の回転方向に移動する洗濯物103(図2参照)が、複数の突起91をより容易に乗り越えることができるようになる。その結果、洗濯物103が複数の突起91に引っ掛かることがなく、布いたみや布からみを抑制することができる。
次に、洗濯兼脱水槽に発生する水流について説明する。
まず、複数の突起91を設けない洗濯兼脱水槽に発生する水流について、図7を参照して説明する。
図7に示すように、複数の突起91のない洗濯兼脱水槽5Aでは、パルセータ41の回転により第1の水流C1が発生する。そして、洗濯兼脱水槽5A内の水は、遠心力の作用により、側部31に沿って上昇する。その結果、パルセータ41の中心部が水面から突出してしまうため、洗濯物103がパルセータ41に接触して布いたみや布からみの原因となる。
次に、本実施の形態の洗濯兼脱水槽5に発生する水流について、図8を参照して説明する。
図8に示すように、洗濯兼脱水槽5内の水を通常よりも低い水位にしてパルセータ41を回転させると、パルセータ41の回転方向に沿った第1の水流C1が発生する。この第1の水流C1によりパルセータ41の周囲の水が洗濯兼脱水槽5の底部32における側面32d側(外周)に向かって移動する。
底部32における側面32d側に移動した水は、複数の突起91の側部によってせき止められ、底部32の側面32d及び側部31に沿って上昇した後、洗濯兼脱水槽5の中心へ向かう。これにより、洗濯兼脱水槽5の上下方向へ回転する第2の水流C2が発生する。その結果、通常よりも低い水位で洗濯しても、水がパルセータ41側へ流れるため、パルセータ41が水面から突出することがない。
したがって、パルセータ41に洗濯物103が引っ掛からないようにすることができ、布いたみや布からみを抑制することができる。すなわち、通常よりも低い水位にしてハンカチ、靴下およびランジェリー等の洗濯物を少量洗濯する場合にも、傷めずに洗うことができる。したがって、通常よりも低い水位で洗濯できる洗濯物の種類の幅が広がる。
また、第2の水流C2は、洗濯兼脱水槽5内の水の水圧が低い程強くなるため、通常よりも低い水位で洗濯する場合に効率よく発生する。したがって、通常よりも低い水位で洗濯する場合に、パルセータ41の回転力を弱めなくても、パルセータ41の中心部が水面から突出することはない。そして、第1の水流C1と第2の水流C2によって洗濯物103の攪拌を活性化させることができ、高い洗浄力を確保することができる。
また、底部32の中心からパルセータ41の先端までの距離をdとして、底部32の中心から複数の突起91までの距離をDとすると、D≦1.5dを満たす。これにより、複数の突起91をパルセータ41に近接させることができる。その結果、複数の突起91間にせき止められる水の容量を十分に確保することができ、第2の水流C2を確実に発生させることができる。
[Dの範囲]
次に、底部32の中心から突起91のパルセータ41側の先端までの距離Dの範囲について図9を参照して説明する。
図9は、第1の水流C1と第2の水流C2の関係を示すグラフである。
洗濯兼脱水槽5内で発生する第1の水流C1と第2の水流C2のうち、洗浄に寄与する機械力を衣類に加えるものは、主に第1の水流C1である。
図9に示すように、D≦1.05dの場合は、第2の水流C2が強くなり、第1の水流C1が弱まる。このため、低い水位で少量の衣類を洗濯する場合には、衣類がパルセータ41に直接当たりにくくなり、布いたみや布からみを少なくすることができる。
しかし、D≦1.05dの場合は、第1の水流C1が弱くて衣類に加わる機械力が小さくなり、衣類の汚れが落ちにくくなる。なお、第2の水流C2は強くなる傾向にあるが、第2の水流C2が強くても洗浄に寄与する機械力が大きくならない。
さらに、複数の突起91とパルセータ41との間にコインなどの小物が挟まることを防止或いは抑制する観点からも、D≦1.05dにすることは好ましくない。
また、D≧1.5dの場合は、第2の水流C2が弱まり、第1の水流C1が強くなる。これにより、衣類に加わる機械力が大きくなる。
しかし、第1の水流C1が強いことでパルセータ41の中心部が水面から突出し、突起91のない状態と似た現象(図7参照)が生じる。その結果、布いたみや布からみの発生が多くなる。
以上により、低い水位で少量の衣類の汚れを効率よく落とすには、dに対するDの割合を1.05〜1.5にすることが最適である。このため、Dの範囲は、1.05d≦D≦1.5dとする。
以上、本発明の洗濯機の一実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の洗濯機は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上述の実施形態では、洗濯兼脱水槽5に複数の突起91を設ける構成としたが、本発明に係る複数の突起は、脱水槽を兼ねていない洗濯槽に設けることもできる。
また、上述した実施形態では、側部31と底部32をネジ33で組み立てて洗濯兼脱水槽5を構成したが、本発明に係る側部と底部は、一体に成形してもよい。
また、上述した実施形態では、複数の突起91が底部32の中心を挟んで対向するように配置した。しかしながら、本発明に係る複数の突起は、第1の水流によって送られてきた水をせき止めて底部の側面及び側部に沿って上昇させるようにすれば、任意の間隔をあけて配置することができる。
1…洗濯機、2…外枠、3…ベース、4…トップカバー、5…洗濯兼脱水槽、6…蓋、24…外槽、31…側部、31a…脱水穴、32…底部、32a…凹部、32b…底面、32c…曲面、32d…側面、32e…端面、33…ネジ、41…パルセータ、41a…羽根、42…洗濯脱水モータ(駆動部)、44…回転主軸、45…内側回転軸、51…コントロール基板、91…突起、91a,91b…曲面、103…洗濯物、C1…第1の水流、C2…第2の水流

Claims (6)

  1. 側部と底部とを有する有底筒状の洗濯槽と、
    前記洗濯槽の底部に回転可能に配設された攪拌翼と、
    前記攪拌翼を回転させる駆動部と、
    前記洗濯槽の内側における底部の外周に設けられた複数の突起と、を備え、
    前記底部の中心から前記攪拌翼の先端までの距離をdとして、前記底部の中心から前記複数の突起までの距離をDとすると、D≦1.5dであることを特徴とする洗濯機。
  2. D≧1.05dであることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
  3. 前記底部は、有底筒状に形成されており、底面と、前記底面の縁部に連続する曲率半径R1の曲面と、前記曲面に連続する側面とを有し、
    前記複数の突起は、前記底部における前記底面、前記曲面及び前記側面に沿って形成されており、前記底部の前記曲面に向かって凹む曲率半径R2の曲面を有し、
    前記曲率半径R2は前記曲率半径R1よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の洗濯機。
  4. 前記複数の突起の高さは、前記底部の前記底面から前記攪拌翼に設けられた羽根の上面までの高さ以上であることを特徴とする請求項3に記載の洗濯機。
  5. 前記複数の突起の高さは、前記底部の前記側面に連続する端面から前記底面までの高さ以下であることを特徴とする請求項4に記載の洗濯機。
  6. 前記複数の突起は、幅方向の一端から他端に向かうにつれて放物線状に湾曲する曲面を有することを特徴とする請求項3に記載の洗濯機。
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