JP2012184138A - チタン酸リチウムランタン粒子の製造方法及びチタン酸リチウムランタン粒子 - Google Patents
チタン酸リチウムランタン粒子の製造方法及びチタン酸リチウムランタン粒子 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】チタン酸リチウムランタン粒子の平均粒径をより微細化する。
【解決手段】水酸化ランタン粒子4とチタン酸リチウム粒子2とを純水6に懸濁させた懸濁水8を水熱処理することを含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】水酸化ランタン粒子4とチタン酸リチウム粒子2とを純水6に懸濁させた懸濁水8を水熱処理することを含むことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、チタン酸リチウムランタン粒子の製造方法及びチタン酸リチウムランタン粒子に関するものである。
リチウムイオン電池などのリチウムやリチウム含有物質を負極に用いた電池は、軽量で高容量であるばかりでなく、適切な正極と組み合わせることで高い電圧が得られる場合がある。このため、リチウムイオン電池は携帯電子機器、カメラ、時計、電動工具、さらにはハイブリッド自動車用バッテリーなどに広く応用されている。
従来のリチウムイオン電池には、電池内に可燃性の有機電解液を含んだものがある。このため、このリチウムイオン電池が短絡した場合、即ち電池内で有機電解液とリチウムとが接触し、反応した場合には発火や爆発などを引き起こす可能性があった。そこで、この可能性を回避するために様々な試みがなされており、そのうちの1つが「脱電解液化」である。
従来のリチウムイオン電池には、電池内に可燃性の有機電解液を含んだものがある。このため、このリチウムイオン電池が短絡した場合、即ち電池内で有機電解液とリチウムとが接触し、反応した場合には発火や爆発などを引き起こす可能性があった。そこで、この可能性を回避するために様々な試みがなされており、そのうちの1つが「脱電解液化」である。
この脱電解液化の試みの一つとして、有機電解液に代えて、セラミック電解質を採用したリチウムイオン電池(以下、「全固体リチウムイオン電池」ともいう。)が開発されており、その従来技術としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
リチウムイオン電池において、セラミック電解質を採用すると、電池反応によって電解質中を移動するイオンがリチウムイオン(以下、「Li+」とも表記する。)だけになるので副反応を抑制できる場合がある。また、有機電解液を電池内に含まないので、シール部材や液封止構造が不要となることもある。このため、リチウムイオン電池の小型・薄型化が可能となる場合がある。
リチウムイオン電池において、セラミック電解質を採用すると、電池反応によって電解質中を移動するイオンがリチウムイオン(以下、「Li+」とも表記する。)だけになるので副反応を抑制できる場合がある。また、有機電解液を電池内に含まないので、シール部材や液封止構造が不要となることもある。このため、リチウムイオン電池の小型・薄型化が可能となる場合がある。
上記セラミック電解質において、一般式Li3xLa2/3−xTiO3(但し、xは0<x<0.17の条件を満たす。)で表されるチタン酸リチウムランタン(Lithium Lanthanum Titanate、略して以下、「LLT」とも表記する。)のペロブスカイト結晶は、代表的なリチウムイオン伝導性セラミック電解質であり、x=0.12の場合に、セラミック電解質の中で最も高いリチウムイオン伝導度0.00153S/cmを示すことが知られている。
D.R.Zhang et al.,J.Ind.Eng.Chem.,Vol.13,No.1,(2007)92−96
しかしながら、上記特許文献1に記載された方法、即ちセラミック電解質粉体(例えば、チタン酸リチウムランタン粒子)を電極活物質粉体とともに圧粉成型する方法には、圧粉成型する際に用いられるセラミック電解質粉体の平均粒径が粗大であるといった課題がある。このため、上記方法を用いて全固体リチウムイオン電池を製造すると、セラミック電解質粉体と電極活物質粉体との界面での接触及び/又はセラミック電解質粉体同士の界面での接触(以下、「界面接触」ともいう。)が不十分となり、電池の出力、即ち電圧が十分に得られない場合がある。また、充放電サイクルに伴うリチウムイオン電池の体積変化によって、この界面接触が不十分となり、サイクル寿命が短くなる場合がある。
そこで、本発明のいくつかの態様は、このような事情に鑑みてなされたものであって、平均粒径をより微細化できるチタン酸リチウムランタン粒子の製造方法及び平均粒径がより微細化されたチタン酸リチウムランタン粒子を提供することを課題とする。
そこで、本発明のいくつかの態様は、このような事情に鑑みてなされたものであって、平均粒径をより微細化できるチタン酸リチウムランタン粒子の製造方法及び平均粒径がより微細化されたチタン酸リチウムランタン粒子を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、水酸化ランタン粒子とチタン酸リチウム粒子とを純水に懸濁させた懸濁水を水熱処理すること、を含むことを特徴とするチタン酸リチウムランタン粒子の製造方法である。
上記態様によれば、常温常圧ではそれぞれ非水溶性である水酸化ランタン粒子とチタン酸リチウム粒子とを高温高圧水に溶解させることができる。このため、水酸化ランタン粒子とチタン酸リチウム粒子とを高温高圧水中で反応させることができ、チタン酸リチウムランタン粒子を製造することができる。ここで、「水熱処理」とは、密閉容器の中に試料と水を入れて高温高圧条件下で反応を促す処理方法をいう。また、「懸濁」とは、溶媒に不溶な微粒子が溶媒中を浮遊している状態をいう。
上記態様によれば、常温常圧ではそれぞれ非水溶性である水酸化ランタン粒子とチタン酸リチウム粒子とを高温高圧水に溶解させることができる。このため、水酸化ランタン粒子とチタン酸リチウム粒子とを高温高圧水中で反応させることができ、チタン酸リチウムランタン粒子を製造することができる。ここで、「水熱処理」とは、密閉容器の中に試料と水を入れて高温高圧条件下で反応を促す処理方法をいう。また、「懸濁」とは、溶媒に不溶な微粒子が溶媒中を浮遊している状態をいう。
また、本発明の他の態様は、前記水熱処理することは、超臨界水を用いることとしても良い。
上記態様によれば、製造時に超臨界水を用いているので、製造されたチタン酸リチウムランタンを結晶として析出させる際、その平均粒径を微細なものとすることができる。したがって、超臨界水を用いなかった場合と比較して、さらに微細なチタン酸リチウムランタン粒子を製造することができる。また、チタン酸リチウムランタン粒子を製造する速度、即ち反応速度も向上させることができる。ここで、「超臨界水」とは、超臨界状態にある水、即ち水の臨界点を越えた状態にある水を言い、詳しくは、臨界温度、即ち374.1℃以上の温度で、かつ水の臨界圧力、即ち22.04MPa以上の圧力下にある状態の水を言う。
上記態様によれば、製造時に超臨界水を用いているので、製造されたチタン酸リチウムランタンを結晶として析出させる際、その平均粒径を微細なものとすることができる。したがって、超臨界水を用いなかった場合と比較して、さらに微細なチタン酸リチウムランタン粒子を製造することができる。また、チタン酸リチウムランタン粒子を製造する速度、即ち反応速度も向上させることができる。ここで、「超臨界水」とは、超臨界状態にある水、即ち水の臨界点を越えた状態にある水を言い、詳しくは、臨界温度、即ち374.1℃以上の温度で、かつ水の臨界圧力、即ち22.04MPa以上の圧力下にある状態の水を言う。
また、本発明の他の態様は、前記水酸化ランタン粒子の平均粒径は、0.2μm以下であることとしても良い。
上記態様によれば、水酸化ランタン粒子の平均粒径が0.2μmよりも大きい場合と比較して、水酸化ランタン粒子の比表面積を増大させることができる。このため、高温高圧水中において、水酸化ランタンとチタン酸リチウムとの反応速度を増加させることができるので、微細なチタン酸リチウムランタン粒子の収率を高めて製造することができる。ここで、「平均粒径」とは、粒子直径の分布における平均中心値をいう。また、「比表面積(specific surface)」とは、単位重量の粉体中に含まれる全粒子の表面積の総和(単位はcm2/g)、あるいは単位体積あたりの全表面積(単位はcm2/cm3)をいう。
上記態様によれば、水酸化ランタン粒子の平均粒径が0.2μmよりも大きい場合と比較して、水酸化ランタン粒子の比表面積を増大させることができる。このため、高温高圧水中において、水酸化ランタンとチタン酸リチウムとの反応速度を増加させることができるので、微細なチタン酸リチウムランタン粒子の収率を高めて製造することができる。ここで、「平均粒径」とは、粒子直径の分布における平均中心値をいう。また、「比表面積(specific surface)」とは、単位重量の粉体中に含まれる全粒子の表面積の総和(単位はcm2/g)、あるいは単位体積あたりの全表面積(単位はcm2/cm3)をいう。
また、本発明の他の態様は、前記チタン酸リチウム粒子の平均粒径は、0.1μm以下であることとしても良い。
上記態様によれば、チタン酸リチウム粒子の平均粒径が0.1μmよりも大きい場合と比較して、チタン酸リチウム粒子の比表面積を増大させることができる。このため、高温高圧水中において、水酸化ランタンから転化したランタン種とチタン酸リチウムとの反応速度を増加させることができるので、微細なチタン酸リチウムランタン粒子の収率を高めて製造することができる。
上記態様によれば、チタン酸リチウム粒子の平均粒径が0.1μmよりも大きい場合と比較して、チタン酸リチウム粒子の比表面積を増大させることができる。このため、高温高圧水中において、水酸化ランタンから転化したランタン種とチタン酸リチウムとの反応速度を増加させることができるので、微細なチタン酸リチウムランタン粒子の収率を高めて製造することができる。
上記課題を解決するための本発明の別の態様は、上記態様の何れかに記載の製造方法で製造され、平均粒径が0.06μm以下であることを特徴とするチタン酸リチウムランタン粒子である。
上記態様によれば、粗大なチタン酸リチウムランタン粒子を用いた場合と比較して、成型体の焼結温度を低下させることができるので、容易にリチウムイオン伝導層を焼結形成することができる。
上記態様によれば、粗大なチタン酸リチウムランタン粒子を用いた場合と比較して、成型体の焼結温度を低下させることができるので、容易にリチウムイオン伝導層を焼結形成することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。具体的には、まず本実施形態に係るLLT粒子100の製造方法について、図1及び図2を参照しながら説明する。次に、具体的検証として、本実施形態に係る製造方法で製造したLLT粒子100の結晶構造及び平均粒径について、図3を参照しながら説明する。次に、本実施形態に係る製造方法で製造したLLT粒子100の焼結開始温度について、表1を参照しながら説明する。最後に、本実施形態に係る製造方法において、原材料として用いられたチタン酸リチウム(以下、「LiTiO2」とも表記する。)粒子2及び水酸化ランタン(以下、「La(OH)3」とも表記する。)粒子4の製造方法について説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その重複する説明は省略する場合もある。
[LLT粒子100の製造方法について]
図1(a)〜(f)は、本実施形態に係るLLT粒子100の製造方法を示す図である。
本実施形態に係る製造方法では、図1(a)及び図1(b)に示すように、まずLiTiO2粒子2とLa(OH)3粒子4とを用意する。
なお、LiTiO2粒子2は、例えば平均粒径が0.1μm程度であり、岩塩型の結晶構造を有するLiTiO2粒子である。また、La(OH)3粒子4は、例えば平均粒径が0.2μm程度のLa(OH)3粒子である。
図1(a)〜(f)は、本実施形態に係るLLT粒子100の製造方法を示す図である。
本実施形態に係る製造方法では、図1(a)及び図1(b)に示すように、まずLiTiO2粒子2とLa(OH)3粒子4とを用意する。
なお、LiTiO2粒子2は、例えば平均粒径が0.1μm程度であり、岩塩型の結晶構造を有するLiTiO2粒子である。また、La(OH)3粒子4は、例えば平均粒径が0.2μm程度のLa(OH)3粒子である。
次に、図1(c)に示すよう、LiTiO2粒子2とLa(OH)3粒子4とを純水6に懸濁させ、懸濁水8を作製する。この懸濁水8は、例えば、純水6にLiTiO2粒子2とLa(OH)3粒子4とをそれぞれ0.1mol/l(以下、mol/lを「M」とも表記する。)添加した後、15分間以上超音波撹拌することで作製される。
次に、作製した懸濁水8を水熱処理する。この水熱処理は、図1(d)に示すように、まず懸濁水8を耐圧容器10に入れる。この際、例えば耐圧容器10の内容量5ccに対して、懸濁水8を2.5cc程度入れる。
次に、作製した懸濁水8を水熱処理する。この水熱処理は、図1(d)に示すように、まず懸濁水8を耐圧容器10に入れる。この際、例えば耐圧容器10の内容量5ccに対して、懸濁水8を2.5cc程度入れる。
次に、この耐圧容器10を炉に入れ、図1(e)に示すように、耐圧容器10の温度を400℃まで急速に加熱する(図2を参照)。その後、この400℃を10分間維持する。なお、耐圧容器10の温度が室温程度から400℃に達するまでの時間は、例えば2分間程度である。また、この耐圧容器10は、耐熱耐食合金製の耐圧容器であり、例えばSUS316やハステロイで製造されている。
また、この水熱処理の工程において、超臨界状態の水、即ち超臨界水を用いることもできる。
また、この水熱処理の工程において、超臨界状態の水、即ち超臨界水を用いることもできる。
次に、炉から耐圧容器10を取り出し、図1(f)に示すように、耐圧容器10を急冷する。耐圧容器10を急冷するために、例えば耐圧容器10を水浴に浸漬する。
最後に、水熱処理した懸濁水12を耐圧容器10内から取り出し、製造したLLT粒子100を懸濁水12から分離する。この分離の際、例えば遠心分離機を用いて遠心分離することができる。なお、懸濁水12を耐圧容器10内から取り出す際、例えば耐圧容器10内をイオン交換水や蒸留水で濯ぎながら回収してもよい。
最後に、水熱処理した懸濁水12を耐圧容器10内から取り出し、製造したLLT粒子100を懸濁水12から分離する。この分離の際、例えば遠心分離機を用いて遠心分離することができる。なお、懸濁水12を耐圧容器10内から取り出す際、例えば耐圧容器10内をイオン交換水や蒸留水で濯ぎながら回収してもよい。
以上のように、上記の製造方法によれば、LiTiO2粒子2とLa(OH)3粒子4とを純水6に懸濁させた懸濁水8を水熱処理するので、常温常圧ではそれぞれ非水溶性であるLiTiO2粒子2とLa(OH)3粒子4とを高温高圧水に溶解させることができる。このため、LiTiO2粒子2とLa(OH)3粒子4とを高温高圧水中で反応させることができ、LLT粒子100を製造することができる。さらに、製造時に超臨界水を用いることで、製造されたLLTを結晶として析出させる際、LLT粒子100の平均粒径を微細なものとすることができる。なお、こうして製造されたLLT粒子100の平均粒径は0.5μm程度である。
このようにして製造されたLLT粒子100を全固体リチウム電池の固体電解質材料に用いた場合、平均粒径が微細化されているので、固体電解質粒子同士の界面接触や固体電解質と電極活物質粒子との界面接触を向上させることができる。このため、電池の内部抵抗が下がり、電圧を向上させることができる。
なお、上記の製造方法では、LLT粒子100を製造する際の原材料の一つとして、LiTiO2粒子2について説明したが、本実施形態は、この原材料に限定されるものではない。例えば、Li4Ti5O12粒子やLi2TiO3粒子などを用いてLLT粒子100を製造することができる。
なお、上記の製造方法では、LLT粒子100を製造する際の原材料の一つとして、LiTiO2粒子2について説明したが、本実施形態は、この原材料に限定されるものではない。例えば、Li4Ti5O12粒子やLi2TiO3粒子などを用いてLLT粒子100を製造することができる。
また、La(OH)3粒子4の平均粒径を0.2μm程度にすることで、La(OH)3粒子4の転化率を100%に近づけることができる。このため、未反応の水酸化ランタンの量を低減することができる。ここで「転化率(conversion ratio)」とは、化学反応系において、投入された反応物の量に対する反応で消費された反応物の量の割合をいう。
[具体的検証]
以下、LLT粒子100の結晶構造及び平均粒径とLLT粒子100の焼結開始温度について、それぞれ検証する。
(LLT粒子100の結晶構造及び平均粒径について)
図3は、本実施形態に係る製造方法で製造されたLLT粒子100のX線回折の結果(つまり、X線回折パターン)である。ここで、図3の縦軸は回折強度(単位は任意強度)を示し、その横軸は回折角(単位は度)を示す。
図3に示された回折線の位置と幅から、本実施形態に係る製造方法で製造された微粒子は、ペロブスカイト型の結晶構造を有するLLT粒子100であることが確認できた。そして、このLLT粒子100は、ほぼ単相で得られることも確認できた。さらに、このLLT粒子100の平均粒径は0.53μmであることも確認できた。
なお、図3において、●マークが付された回折線がLLT粒子100に起因する回折線である。
以下、LLT粒子100の結晶構造及び平均粒径とLLT粒子100の焼結開始温度について、それぞれ検証する。
(LLT粒子100の結晶構造及び平均粒径について)
図3は、本実施形態に係る製造方法で製造されたLLT粒子100のX線回折の結果(つまり、X線回折パターン)である。ここで、図3の縦軸は回折強度(単位は任意強度)を示し、その横軸は回折角(単位は度)を示す。
図3に示された回折線の位置と幅から、本実施形態に係る製造方法で製造された微粒子は、ペロブスカイト型の結晶構造を有するLLT粒子100であることが確認できた。そして、このLLT粒子100は、ほぼ単相で得られることも確認できた。さらに、このLLT粒子100の平均粒径は0.53μmであることも確認できた。
なお、図3において、●マークが付された回折線がLLT粒子100に起因する回折線である。
また、このLLT粒子100の組成式はLi0.2LaTi0.8O3であることも確認できた。なお、この物質のICDD番号は00−058−0155である。ここで「ICDD番号」とは、国際回析データセンター(International Center for Diffraction Data、略してICDD)が発行した粉末データファイル(Powder Data File)において、各物質に対応付けられている番号をいう。
また、LLT粒子100の平均粒径は、シェラー法を用いて算出された。ここで「シェラー法」とは、X線回折を利用した構造解析の手法の一つであり、回折線の幅からサンプル粒子の平均粒径を算出することができる手法の一つである。
また、LLT粒子100の平均粒径は、シェラー法を用いて算出された。ここで「シェラー法」とは、X線回折を利用した構造解析の手法の一つであり、回折線の幅からサンプル粒子の平均粒径を算出することができる手法の一つである。
(LLT粒子100の焼結開始温度について)
以下に示す表1は、本実施形態に係る製造方法で製造されたLLT粒子100の成型体の焼結開始温度と、標準的な試薬粉末であるLi0.35La0.55TiO3(以下、単に「試薬粉末」ともいう。)の成型体の焼結開始温度とを比較したものである。なお、この焼結開始温度の測定に用いられたLLT粒子100の平均粒径は0.53〜0.6μmであり、試薬粉末の平均粒径は数〜十数μmである。
以下に示す表1は、本実施形態に係る製造方法で製造されたLLT粒子100の成型体の焼結開始温度と、標準的な試薬粉末であるLi0.35La0.55TiO3(以下、単に「試薬粉末」ともいう。)の成型体の焼結開始温度とを比較したものである。なお、この焼結開始温度の測定に用いられたLLT粒子100の平均粒径は0.53〜0.6μmであり、試薬粉末の平均粒径は数〜十数μmである。
表1に示すように、焼結開始温度は、LLT粒子100の成型体の方が試薬粉末の成型体よりも120℃低下していることが確認できた。これは、微細なチタン酸ランタン粒子を用いるほど、得られるLLT粒子も微細になり、焼結温度の低下の効果も大きくなるためである。このことから、本実施形態に係る製造方法で製造されたLLT粒子100を用いることで、イオン伝導性の高い焼結体を比較的低温で得ることができることを確認できた。例えば、LiCoO2は、リチウムイオン電池に含まれる正極材として用いられる場合があるが、このLiCoO2は900℃で変質する特性がある。このため、LiCoO2と上記試薬粉末とで焼結体を製造した場合、LiCoO2の特性が変質する可能性がある。しかしながら、LiCoO2とLLT粒子100とで焼結体を製造することで、LiCoO2に与えるダメージを低減することができ、LiCoO2の特性を維持できる場合がある。
なお、この焼結開始温度の測定に用いられた試薬粉末の結晶構造は、LLT粒子100と同じ結晶構造、即ちペロブスカイト型の結晶構造である。
また、焼結開始温度の測定に用いられた成型体は、LLT粒子100あるいは標準試料を錠剤成型器を用いて、直径3mm、厚み0.2mmの円盤型に圧粉成型したものである。そして、焼結開始温度は、大気加熱時における成型体の厚みの変化を熱機械分析により評価することによって求めた。
また、焼結開始温度の測定に用いられた成型体は、LLT粒子100あるいは標準試料を錠剤成型器を用いて、直径3mm、厚み0.2mmの円盤型に圧粉成型したものである。そして、焼結開始温度は、大気加熱時における成型体の厚みの変化を熱機械分析により評価することによって求めた。
[原材料の製造方法]
以下、本実施形態に係る製造方法において、原材料として用いられたLiTiO2粒子2及びLa(OH)3粒子4の製造方法について、それぞれ説明する。
(LiTiO2粒子2の製造方法について)
LiTiO2粒子2は、例えば水熱合成法により製造することできる。この水熱合成法は、例えば非特許文献1に記載されている。そこで、以下、その製造方法について簡単に説明する。
以下、本実施形態に係る製造方法において、原材料として用いられたLiTiO2粒子2及びLa(OH)3粒子4の製造方法について、それぞれ説明する。
(LiTiO2粒子2の製造方法について)
LiTiO2粒子2は、例えば水熱合成法により製造することできる。この水熱合成法は、例えば非特許文献1に記載されている。そこで、以下、その製造方法について簡単に説明する。
まず、水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)を純水に溶解し、5MのLiOH水溶液を作製する。次に、40mlのLiOH水溶液に400mgのTiO2粉末(デグサ社製、商品名P25)を入れ、テフロン容器内で懸濁させる。この懸濁水をオートクレーブ(autoclave)中で水熱処理する。なお、この水熱処理の条件は、例えば、処理温度が180℃、処理時間が24時間である。次に、この懸濁水を室温で冷却した後、生成物を濾過する。最後に、この生成物を純水とアセトンとを用いて洗浄を繰り返し、LiTiO2粒子2を製造する。
(La(OH)3粒子4の製造方法について)
La(OH)3粒子4は、酢酸ランタン(La(CH3COO)3)水溶液と水酸化リチウム(LiOH)水溶液とを反応させて製造することができる。以下、その製造方法について簡単に説明する。
まず、スターラーで撹拌されている0.1Mの酢酸ランタン水溶液10ml中に、0.3Mの水酸化リチウム水溶液10mlを滴下する。この滴下が終了した後、さらに20分間撹拌を続けて懸濁水を得る。次に、得られた懸濁水を遠心分離し、沈殿物を得る。次に、得られた沈殿物に純水25mlを加え、超音波分散させた後に、再び遠心分離する。これにより、得られた沈殿物は洗浄される。この洗浄工程を2回以上行い、La(OH)3粒子4を含んだゼリー状の沈殿物を製造する。こうして製造されたLa(OH)3粒子4を粒径分布測定したところ、La(OH)3粒子4の平均粒径は0.2μmであった。なお、La(OH)3粒子4の粒径分布は、光学式粒度分布測定(島津SALD2200を使用)により求められた。
La(OH)3粒子4は、酢酸ランタン(La(CH3COO)3)水溶液と水酸化リチウム(LiOH)水溶液とを反応させて製造することができる。以下、その製造方法について簡単に説明する。
まず、スターラーで撹拌されている0.1Mの酢酸ランタン水溶液10ml中に、0.3Mの水酸化リチウム水溶液10mlを滴下する。この滴下が終了した後、さらに20分間撹拌を続けて懸濁水を得る。次に、得られた懸濁水を遠心分離し、沈殿物を得る。次に、得られた沈殿物に純水25mlを加え、超音波分散させた後に、再び遠心分離する。これにより、得られた沈殿物は洗浄される。この洗浄工程を2回以上行い、La(OH)3粒子4を含んだゼリー状の沈殿物を製造する。こうして製造されたLa(OH)3粒子4を粒径分布測定したところ、La(OH)3粒子4の平均粒径は0.2μmであった。なお、La(OH)3粒子4の粒径分布は、光学式粒度分布測定(島津SALD2200を使用)により求められた。
2 チタン酸リチウム粒子、4 水酸化ランタン粒子、6 純水、8 懸濁水、10 耐圧容器、12 懸濁水、100 チタン酸リチウムランタン粒子
Claims (5)
- 水酸化ランタン粒子とチタン酸リチウム粒子とを純水に懸濁させた懸濁水を水熱処理すること、を含むことを特徴とするチタン酸リチウムランタン粒子の製造方法。
- 前記水熱処理することは、超臨界水を用いることを特徴とする請求項1に記載のチタン酸リチウムランタン粒子の製造方法。
- 前記水酸化ランタン粒子の平均粒径は、0.2μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のチタン酸リチウムランタン粒子の製造方法。
- 前記チタン酸リチウム粒子の平均粒径は、0.1μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のチタン酸リチウムランタン粒子の製造方法。
- 請求項1から請求項4の何れか一項に記載の製造方法で製造され、平均粒径が0.06μm以下であることを特徴とするチタン酸リチウムランタン粒子。
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