JP2012180879A - ダンパー - Google Patents

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Abstract

【課題】アキュムレーターの内部に流入したオイルのシール性を高めることの可能なダンパーを提供する。
【解決手段】流体室に流体を流入及び流出させてシリンダーC内で流体を流通させるとともに、流体の流体抵抗によってピストンロッドRを制動するダンパーであって、ブラダ20の基端側が、ライナー10における基端側の端面全体を覆うとともに、ピストンロッドRが貫挿されるロッド摺動孔24Rを有し、ロッド摺動孔24Rの内周面には、ブラダ20とピストンロッドRとの間でオイルをシールするオイルシール部24bと、オイルシール部24bの基端側にてシリンダーC内へのダストの侵入をシールするダストシール部24aとが形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、流体が封入されたシリンダーを有し、該シリンダーに挿設されたピストンロッドを介して衝撃力を緩和するダンパーに関するものである。
従来から、例えば特許文献1に記載のように、物体同士の衝撃力を緩和するダンパーが知られている。図4は、こうしたダンパーの内部構造の一例を示す断面図である。
図4に示されるように、有底の二段円筒状に形成されたシリンダーCの基端には、シリンダーCの内部に各構成部品を封入するためのキャップCPが嵌め込まれている。このシリンダーCの内部には、シリンダーCの中心軸に沿って延びるピストンロッドRが、キャップCPを貫挿するように挿設されている。このピストンロッドRのうち、シリンダーCの小径部分C1内には、円柱状のピストンPが外嵌されて、また、ピストンロッドRのうち、シリンダーCの大径部分C2内には、大径部分C2内に位置決めされた糸巻き状のライナー50が外嵌されている。また、ピストンロッドRのうち、ライナー50の基端には、キャップCPが有する嵌入孔SHに嵌め込まれて、キャップCPとピストンロッドRとの間をシールするシールリングSRが外嵌されている。
上記ピストンPは、小径部分C1の内周面を摺動可能な円筒状に形成され、小径部分C1の内部空間をピストンPの先端側とピストンPの基端側とに分割している。ピストンPは、ピストンロッドRの軸方向に延びる絞りPHを有することにより、ピストンPの先端側の空間とピストンPの基端側の空間との間で、所定の流体抵抗のもと、シリコンオイルを流通させる。
上記ライナー50のうち、ピストンロッドRの軸方向における中央には、円筒状のスリーブ部51がピストンロッドRに外嵌されている。スリーブ部51における軸方向の両端部には、スリーブ部51よりも大径の先端フランジ部52と、同じく、スリーブ部51よりも大径の基端フランジ部53とが連結されている。また、先端フランジ部52は、ピストンロッドRの軸方向に延びる流路52Hを有し、先端フランジ部52の先端側である小径部分C1内とスリーブ部51の径方向の外側との間でシリコンオイルを流通させる。
ライナー50の外周面には、該外周面の全体が覆われるように、ブラダ60が巻装されている。ブラダ60は、エラストマーや樹脂などから形成される弾性体であって、ピストンロッドRの軸方向に延びる糸巻き状に形成されている。このブラダ60における先端側の開口部は、ピストンロッドRの径方向の内側に折り曲げられて、流路52Hの先端側が開放されるように、先端フランジ部52の先端に掛け止めされている。また、ブラダ60における基端側の開口部は、これもまた径方向の内側に折り曲げられて、基端フランジ部53の基端に掛け止めされている。こうしたブラダ60のうち、一対のフランジ部52,53の外周面を覆う部位は、該外周面と大径部分C2の内周面とに押圧されている。そして、このような構成からなるダンパーでは、シリンダーC内の空間がピストンPとブラダ60とによって、下記四つの空間に分割される。
・小径部分C1内のうち、ピストンPに対する先端側の空間(第一空間S1)。
・小径部分C1内のうち、ピストンPに対する基端側の空間(第二空間S2)。
・大径部分C2内のうち、ブラダ60の内側の空間(第三空間S3)。
・大径部分C2内のうち、ブラダ60の外側の空間(第四空間S4)。
上記第一空間S1と第二空間S2との間では、ピストンPの絞りPHを介し、所定の流体抵抗のもと、シリコンオイルが流通する。また、第二空間S2と第三空間S3との間では、流路52Hを介し、シリコンオイルが流通する。これに対して、第二空間S2と第四空間S4との間、及び第三空間S3と第四空間S4との間は、ブラダ60によって区画されている。
そして、ピストンロッドRがシリンダーC内に押し込まれると、絞りPHにてシリコンオイルの流通が制限され、こうしたシリコンオイルの流体抵抗によって、ピストンロッドRが制動される。この際、第一空間S1の容積が減少するものの、こうした容積の変化は、ブラダ60がピストンロッドRの径方向の外側へ撓むことによって吸収される。また、ピストンロッドRがシリンダーC内から引き出されると、これもまたシリコンオイルの流体抵抗によって、ピストンロッドRが制動される。そして、第一空間S1の容積が拡大するものの、こうした容積の変化は、ブラダ60がピストンロッドRの径方向の内側へ撓むことによって吸収される。
特開2007−270951号公報
ところで、上述したライナー50とブラダ60とから構成されるアキュムレーターがシリンダーC内に組み込まれる過程では、アキュムレーターがピストンロッドRに外嵌された状態で、大径部分C2の内部にピストンロッドRが挿入される。この際、大径部分C2の内部にライナー50が固定されるまでは、ブラダ60の外周面がシリンダーCの内周面を摺動し続ける。その結果、ピストンロッドRが挿入される方向とは反対方向の大きな摩擦力、すなわち、ブラダ60がライナー50から捲れるような力がブラダ60に作用し続けることとなる。それゆえに、上述したダンパーでは、通常、このようなブラダ60の捲れを抑えるために、シリンダーCの内周面にブラダ60を押し付ける力が抑えられている。
一方、ブラダ60内の空間である上記第三空間S3では、小径部分C1に収容されるオイルの一部が、流入及び流出する。そのため、こうした第三空間S3を構成する基端フランジ部53とブラダ60との間には、オイルをシールするためのシール性が必要とされている。しかしながら、上述したように、シリンダーCの内周面にブラダ60を過剰に押し付けることができない以上、基端フランジ部53とブラダ60との間のシール性も限られたものとなる。それゆえに、ブラダ60の捲れを抑えようとすれば、第三空間S3のシール性が失われ、反対に、第三空間S3のシール性を高めようとすれば、ブラダ60の捲れを抑えることが困難となる。結局のところ、上述した構造からなるダンパーを製造する上では、第三空間S3に流入したオイルがアキュムレーターの外側へ漏れ出すことを抑える構造が依然として必要とされている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アキュムレーターの内部に流入したオイルのシール性を高めることの可能なダンパーを提供することにある。
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ピストンロッドが貫挿されるキャップが基端に嵌め込まれたシリンダーと、前記シリンダー内に収容されて前記ピストンロッドと同心の環状をなすアキュムレーターとを備え、前記アキュムレーターが、前記ピストンロッドに外嵌された糸巻き状の筒体であるライナーと、前記ライナーと前記シリンダーとの間に挟入され、前記ライナーの外周面と前記シリンダーの内周面との間の環状空間に容積の可変な流体室を区画する筒状のブラダとを備え、前記流体室に流体を流入及び流出させて前記シリンダー内で流体を流通させるとともに、該流体の流体抵抗によって前記ピストンロッドを制動するダンパーであって、前記ブラダの基端側が、前記ライナーにおける基端側の端面全体を覆うとともに、前記ピストンロッドが摺動するロッド摺動孔を有し、前記ロッド摺動孔の内周面には、前記ブラダと前記ピストンロッドとの間でオイルをシールするオイルシール部と、前記オイルシール部の基端側にて前記シリンダー内へのダストの侵入をシールするダストシール部とが形成されていることを要旨とする。
請求項1に記載の発明によれば、ブラダの基端側には、ピストンロッドが摺動するロッド摺動孔が設けられるとともに、該ロッド摺動孔の内周面には、オイルシール部とダストシール部とが形成されている。それゆえに、流体室からのオイルの漏れが、ブラダのオイルシール部によって抑えられ、また、流体室へのダストの進入が、これもまたブラダのダストシール部によって抑えられることとなる。すなわち、ブラダとピストンロッドとの間に必要とされるシール構造が、ブラダそのものによって構成されることとなる。その結果、ブラダとピストンロッドとの間に、ライナーやシール部材等の他の部材が介在する構成と比べ、これらブラダとピストンロッドとの間のシール性を高めることが可能である。ひいては、アキュムレーターの内部に流入したオイルのシール性を高めることが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のダンパーにおいて、前記ブラダのうち、前記ライナーにおける基端側の端面全体を覆う部位の厚さが、前記流体室を区画する部位の厚さよりも大きいことを要旨とする。
請求項2に記載の発明によれば、ライナーの端面全体を覆うブラダの厚さが、流体室を区画するブラダの厚さよりも大きくなる分、オイルシール部やダストシール部の形成される部位を確保することが容易なものとなる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のダンパーにおいて、前記ブラダのうち、前記ライナーにおける基端側の端面全体を覆う部位が、前記流体室を区画する部位よりも硬いことを要旨とする。
請求項3に記載の発明によれば、ライナーの端面全体を覆うブラダが、流体室を区画するブラダよりも硬くなる分、オイルシール部やダストシール部の耐久性を高めることが可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のダンパーにおいて、前記キャップが、前記ピストンロッドが貫挿されるロッド貫挿孔と、前記ロッド貫挿孔から前記アキュムレーターに向けて拡開されて前記ピストンロッドの軸方向に延びるブラダ嵌入孔とを有し、前記ブラダが、前記ブラダ嵌入孔に嵌入される円筒状の嵌入突部を有し、該嵌入突部に前記ロッド摺動孔が形成されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明によれば、オイルシール部とダストシール部とが形成されるロッド摺動孔が、キャップに形成されたブラダ嵌入孔内にまで及ぶこととなる。それゆえに、ダストシール部やオイルシール部をピストンロッドの表面に押し付ける力、すなわちダストやオイルをシールする効果が、キャップによるブラダの押圧によっても補うことが可能になる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のダンパーにおいて、前記ライナーが、前記ピストンロッドが貫挿されるロッド貫挿孔と、前記ロッド貫挿孔から前記キャップに向けて拡開されて前記ピストンロッドの軸方向に延びるブラダ嵌入孔とを有し、前記ブラダが、前記ブラダ嵌入孔に嵌入される円筒状の嵌入突部を有し、該嵌入突部に前記ロッド摺動孔が形成されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明によれば、オイルシール部とダストシール部とが形成されるロッド摺動孔が、ライナーに形成されたブラダ嵌入孔内にまで及ぶこととなる。それゆえに、ダストシール部やオイルシール部をピストンロッドの表面に押し付ける力、すなわちダストやオイルをシールする効果が、ライナーによるブラダの押圧によっても補うことが可能になる。
本発明の第1実施形態におけるダンパーの断面構造の一部を拡大して示す部分断面図。 本発明の第2実施形態におけるダンパーの断面構造の一部を拡大して示す部分断面図。 本発明の第3実施形態におけるダンパーの断面構造の一部を拡大して示す部分断面図。 従来のダンパーの断面構造を示す断面図。
(第1実施形態)
以下、本発明のダンパーを具体化した第1実施形態について、図1を参照して説明する。本実施形態では、ダンパーが、住宅設備の引出しや扉等の開閉体と、開閉体を固定する固定側部材との間に架設され、開閉体と固定部材とが衝突する際の衝撃や騒音を緩衝するものとして説明する。
図1に示されるように、ピストンロッドRに外嵌された樹脂製のライナー10には、糸巻き状のブラダ20が巻装されている。ブラダ20は、エラストマーや樹脂などからなる弾性体であって、ライナー10の外周面上では、ライナー10の全体を覆う一方、ピストンロッドRの軸方向では、ライナー10の両端部を開放するように形成されている。
糸巻き状の筒体であるライナー10の中心には、ピストンロッドRが貫挿されるロッド貫挿孔10Hが、ピストンロッドRの軸方向に沿って延びるように貫通している。ライナー10のうち、ピストンロッドRの軸方向における中央では、円筒状のスリーブ部11が、ピストンロッドRに外嵌されている。
スリーブ部11のうち、ピストンロッドRの軸方向における一端部には、スリーブ部11の外径よりも大きな外径からなる円筒状の先端フランジ部12が、スリーブ部11と一体的に成形されている。先端フランジ部12は、ピストンロッドRの軸方向に延びる流路12Hを有し、先端フランジ部12の先端側である小径部分C1の内部とスリーブ部11の径方向の外側との間でシリコンオイルを流通させる。この先端フランジ部12の外周面には、周方向の全体にわたる先端掛止溝12Gが凹設されている。
スリーブ部11のうち、ピストンロッドRの軸方向における他端部には、スリーブ部11の外径よりも大きな外径からなる基端フランジ部13が、これもまた、スリーブ部11と一体的に成形されている。そして、ピストンロッドRに外嵌されたライナー10が、円筒状のシリンダーC内に配設されると、スリーブ部11の外周面とシリンダーCの内周面との間には、ピストンロッドRと同心の環状空間が、上記先端フランジ部12と基端フランジ部13とに挟まれるように形成される。
なお、本実施形態では、ピストンロッドRの軸方向のうち、スリーブ部11に対する先端フランジ部12の側を先端側とし、スリーブ部11に対する基端フランジ部13の側を基端側とする。
糸巻き状をなすブラダ20の外形は、上述したライナー10の外周面に倣うように形成されている。ブラダ20のうち、ピストンロッドRの軸方向における中央には、ピストンロッドRの径方向の内側に撓んだ領域である伸縮部21が区画されている。伸縮部21は、径方向の内側に撓んだ状態と、該状態から径方向の外側に変位した状態との間の遷移を許容する。
この伸縮部21の先端側には、伸縮部21の内径よりも大きな内径からなる円筒状の先端掴持部22が、先端フランジ部12の外周面に密着するように区画されている。先端掴持部22の内径は、先端フランジ部12の外径よりも小さく、これにより、先端掴持部22は、径方向の内側に収縮する収縮力を有した状態で、上記先端フランジ部12を掴持するようになる。先端掴持部22における先端側の開口部は、ピストンロッドRにおける径方向の内側へ折り曲げられて先端フランジ部12の先端掛止溝12Gに掛け止めされる。
先端掴持部22の外周面には、径方向の外側に突出する突条である先端摺動突条22Tが、先端掴持部22の周方向の全体にわたり突設されている。先端摺動突条22Tは、ピストンロッドRの軸方向を含む断面にて円弧状に形成され、また、ピストンロッドRの軸方向における先端掴持部22の先端よりも若干基端側となる部位に配設されている。この先端摺動突条22Tの外径は、大径部分C2の内径よりも若干大きくなるように形成されている。これにより、先端摺動突条22Tの突端は、大径部分C2の内周面に押し当てられるようになる。
上記伸縮部21の基端側には、伸縮部21の内径よりも大きな内径からなる円筒状の基端掴持部23が、基端フランジ部13の外周面に密着するように区画されている。基端掴持部23の内径は、基端フランジ部13の外径よりも小さく、これにより、基端掴持部23は、径方向の内側に収縮する収縮力を有した状態で基端フランジ部13を掴持するようになる。
基端掴持部23の外周面には、径方向の外側に突出する突条である基端摺動突条23Tが、基端掴持部23の周方向の全体にわたり突設されている。基端摺動突条23Tは、ピストンロッドRの軸方向を含む断面にて円弧状に形成され、また、ピストンロッドRの軸方向における基端掴持部23の基端よりも若干先端側となる部位に配設されている。この基端摺動突条23Tの外径も、先端摺動突条22Tと同じく、大径部分C2の内径よりも若干大きくなるように形成されている。これにより、基端摺動突条23Tの突端は、大径部分C2の内周面に押し当てられるようになる。
基端掴持部23の基端側には、基端フランジ部13における基端側の端面全体が覆われるように、ロッドシール部24が一体的に成型されている。ブラダ20の全体において、このロッドシール部24の厚さ、すなわちピストンロッドRの軸方向におけるロッドシール部24の幅は、上述した伸縮部21の厚さよりも大きく、また、他の部位である先端掴持部22の厚さや基端掴持部23の厚さよりも大きい。また、ブラダ20の全体において、このロッドシール部24は、上述した伸縮部21よりも硬く、また、他の部位である先端掴持部22や基端掴持部23よりも硬い。なお、ここにおける硬さとは、一定荷重のもとで圧子が押し込まれた際に、それによって形成される窪みの深さや荷重を窪みの面積で除算した値によって評価されるものである。
上記ロッドシール部24には、その厚さの方向であるピストンロッドRの軸方向に延びるように、ロッド摺動孔24Rが貫通しており、該ロッド摺動孔24RにピストンロッドRが貫挿されている。また、ロッド摺動孔24Rの内周面である摺動面には、先端側に向けてピストンロッドRの径方向の内側に徐々に迫り出すかたちのオイルシール部24bが形成されている。さらに、ロッド摺動孔24Rの摺動面には、先端側にてピストンロッドRの径方向の内側に徐々に迫り出すかたちのダストシール部24aが形成されている。
次に、上述した構成からなるダンパーの作用のうち、特に、上記アキュムレーター内にてシリコンオイルがシールされる作用について、以下に説明する。
上述したように、先端掴持部22の先端摺動突条22Tは、大径部分C2の内周面に押し当てられるように大径部分C2内に固定されている。これによって、先端フランジ部12と大径部分C2との間が、ブラダ20の先端掴持部22によってシールされる。また、基端掴持部23の基端摺動突条23Tも、大径部分C2の内周面に押し当てられるように大径部分C2内に固定されている。これによって、基端フランジ部13と大径部分C2との間が、ブラダ20の基端掴持部23によってシールされる。このようにして、先端フランジ部12と大径部分C2との間、及び基端フランジ部13と大径部分C2との間がシールされると、ライナー10の外周面とシリンダーCの内周面との間に形成された環状空間が、上述したブラダ20によって二層の環状に分割される。
具体的には、スリーブ部11、先端フランジ部12、基端フランジ部13、及びブラダ20によって、流体室となる第三空間S3が区画される。なお、この第三空間S3は、流路12Hを介してアキュムレーターの外側と連通するようになる。また、このような第三空間S3の他、大径部分C2、先端フランジ部12、基端フランジ部13、及びブラダ20によって、空気室となる第四空間S4が区画される。この第四空間S4に対しては、大径部分C2に形成された空気流出入孔CHを介して、シリンダーCの外側が連通するようになる。
そして、ピストンロッドRの先端に固定されたピストンが先端側に押し込まれると、シリコンオイルの流体抵抗によって、ピストンロッドRが制動される。この際、小径部分C1内のシリコンオイルの一部が、上述した流路12Hを介して第三空間S3に流入し、第三空間S3の容積が大きくなることによって、小径部分C1内における容積の変化がアキュムレーターに吸収される。
また、ピストンロッドRの先端に固定されたピストンが基端側へ引き出されると、これもまたシリコンオイルの流体抵抗によって、ピストンロッドRが制動される。この際、小径部分C1内のシリコンオイルの一部が、上述した流路12Hを介して第三空間S3から流出し、第三空間S3の容積が小さくなることによって、小径部分C1内における容積の変化がアキュムレーターに吸収される。
ここで、第三空間S3の容積がシリコンオイルの流入によって過度に膨張すると、基端フランジ部13の外周面と基端掴持部23の内周面との間に間隙が形成される場合がある。こうした隙間を介して第三空間S3から溢れ出したシリコンオイルは、基端フランジ部13とロッドシール部24との隙間を伝わって、ピストンロッドRの外周面にまで到達する。この際、こうしたオイルの漏れ出す経路である基端フランジ部13とロッドシール部24との隙間は、そのキャップCP側にて、ロッド摺動孔24Rと連通する一方、このロッド摺動孔24Rの内周面には、上述したオイルシール部24bが形成されている。それゆえに、ピストンロッドRの外周面にまで漏れ出したシリコンオイルは、そのキャップCP側への流れがオイルシール部24bによって抑えられることとなる。その結果、第三空間S3からキャップCP側へのシリコンオイルの漏れ出しが抑えられることとなり、こうした漏れ出しが抑えられる分だけ、アキュムレーター内のオイルに対してそのシール性を高めることが可能となる。
なお、基端フランジ部13とロッドシール部24との隙間を伝わってピストンロッドRの外周面にまで到達するシリコンオイルが多くなると、該シリコンオイルの一部は、ロッド貫挿孔10HとピストンロッドRとの隙間を伝わって小径部分C1の内部へ還流されることとなる。そして、第三空間S3から漏れ出したシリコンオイルは、結局のところ、小径部分C1を介して再び第三空間S3に流入することとなる。
以上、第1実施形態によれば、以下列記するような効果が得られるようになる。
(1)ブラダ20の基端であるロッドシール部24には、ピストンロッドRが摺動するロッド摺動孔24Rが設けられるとともに、該ロッド摺動孔24Rの内周面には、オイルシール部24bとダストシール部24aとが形成されている。それゆえに、第三空間S3からのシリコンオイルの漏れが、ブラダ20のオイルシール部24bによって抑えられ、また、第三空間S3へのダストの進入が、これもまたブラダ20のダストシール部24aによって抑えられることとなる。
すなわち、ブラダ20とピストンロッドRとの間に必要とされるシール構造が、ブラダ20そのものによって構成されることとなる。その結果、ブラダ20とピストンロッドRとの間に、ライナー10の一部やシールリングSR等の他の部材が介在する構成と比べ、これらブラダ20とピストンロッドRとの間のシール性を高めることが可能である。ひいては、アキュムレーターの内部に流入したシリコンオイルのシール性を高めることが可能となる。
(2)ライナー10の端面全体を覆うロッドシール部24の厚さが、第三空間S3を区画するブラダ20の厚さよりも大きくなる分、オイルシール部24bやダストシール部24aの形成される部位を確保することが容易なものとなる。
(3)ライナー10の端面全体を覆うロッドシール部24が、第三空間S3を区画するブラダ20よりも硬くなる分、オイルシール部24bやダストシール部24aの耐久性を高めることが可能となる。
(第2実施形態)
以下、本発明のダンパーを具体化した第2実施形態について、図2を参照して説明する。なお、第2実施形態は、上記ロッドシール部24の構造と上記キャップCPの構造とが、第1実施形態とは異なるものである。そのため、以下では、第1実施形態とは異なる構成について主に説明し、第1実施形態と同じ構成についてはその重複する説明を割愛または簡略にする。
図2に示されるように、キャップCPには、ピストンロッドRの貫挿されるロッド貫挿孔CRが貫通しており、また、このロッド貫挿孔CRからアキュムレーターに向けて拡開されてピストンロッドRの軸方向に延びるブラダ嵌入孔CGが貫通している。
一方、ブラダ20のロッドシール部24には、ピストンロッドRに外嵌されて該ピストンロッドRと同心の円筒状をなす嵌入突部としてのシール突部24Tが、キャップCPに向けて突設されている。シール突部24Tの内周面には、上述したダストシール部24aとオイルシール部24bとが突設され、また、シール突部24Tの外径は、ブラダ嵌入孔CGの内径よりも若干大きくなるように形成されている。
そして、上述した構造からなるシール突部24Tが、ブラダ嵌入孔CGに嵌入されると、ピストンロッドRの外周面に対してシール突部24Tが押し付けられるようになる。その結果、ブラダ嵌入孔CGの内周面によってシール突部24TがピストンロッドRに押し付けられる分、ダストシール部24aとオイルシール部24bとが、より効果的にシール機能を発揮することとなる。また、ロッド摺動孔24Rが、ピストンロッドRの軸方向に延びる分、ダストシール部24aの大きさやオイルシール部24bの大きさを軸方向に大きくすること、またダストシール部24aの数量やオイルシール部24bの数量を軸方向に増やすことが可能にもなる。
以上、第2実施形態によれば、上記(1)〜(3)の効果に加えて、以下に記すような効果が得られるようになる。
(4)ピストンロッドRに外嵌されるシール突部24Tの内周面には、ダストシール部24aとオイルシール部24bとが突設されて、こうした構造からなるシール突部24Tが、キャップCPのブラダ嵌入孔CGに嵌入される。そのため、ダストシール部24aとオイルシール部24bとに対しては、これらをピストンロッドRに押し付ける力が、キャップCPからも加えられるようになる。その結果、ダストシール部24aとオイルシール部24bとにおけるシール機能が、さらに高められることとなる。
(5)また、ダストシール部24aとオイルシール部24bとを有するシール突部24Tが、ピストンロッドRの軸方向に延びるため、これらダストシール部24aとオイルシール部24bとを形成することの可能なロッド摺動孔24Rの面積が、同じく軸方向に広くなる。それゆえに、ダストシール部24aにてシール機能を発揮する領域のサイズやオイルシール部24bにてシール機能を発揮する領域のサイズを大きくすることが可能にもなる。具体的には、ダストシール部24aの大きさやオイルシール部24bの大きさを軸方向に大きくすること、またダストシール部24aの数量やオイルシール部24bの数量を軸方向に増やすことが可能にもなる。
(第3実施形態)
以下、本発明のダンパーを具体化した第3実施形態について、図3を参照して説明する。なお、第3実施形態は、上記ロッドシール部24の構造と上記キャップCPの構造とが、第1実施形態とは異なるものである。そのため、以下では、第1実施形態とは異なる構成について主に説明し、第1実施形態と同じ構成についてはその重複する説明を割愛または簡略にする。
図3に示されるように、基端フランジ部13の基端側には、ピストンロッドRの貫挿されるロッド貫挿孔10HからキャップCPに向けて拡開されてピストンロッドRの軸方向に延びるブラダ嵌入孔13Hが貫通している。
一方、ブラダ20のロッドシール部24には、ピストンロッドRに外嵌されて該ピストンロッドRと同心の円筒状をなす嵌入突部としてのシール突部24Tが、基端フランジ部13に向けて突設されている。シール突部24Tの内周面には、上述したダストシール部24aとオイルシール部24bとが突設され、また、シール突部24Tの外径は、ブラダ嵌入孔13Hの内径よりも若干大きくなるように形成されている。
そして、上述した構造からなるシール突部24Tが、ブラダ嵌入孔13Hに嵌入されると、ピストンロッドRの外周面に対してシール突部24Tが押し付けられるようになる。その結果、ブラダ嵌入孔13Hの内周面によってシール突部24TがピストンロッドRに押し付けられる分、ダストシール部24aとオイルシール部24bとが、より効果的にシール機能を発揮することとなる。また、ロッド摺動孔24Rが、ピストンロッドRの軸方向に延びる分、ダストシール部24aの大きさやオイルシール部24bの大きさを軸方向に大きくすること、またダストシール部24aの数量やオイルシール部24bの数量を軸方向に増やすことが可能にもなる。
以上、第3実施形態によれば、上記(1)〜(3)の効果に加え、以下に記すような効果が得られるようになる。
(4)ピストンロッドRに外嵌されるシール突部24Tの内周面には、ダストシール部24aとオイルシール部24bとが突設されて、こうした構造からなるシール突部24Tが、ライナー10のブラダ嵌入孔13Hに嵌入される。そのため、ダストシール部24aとオイルシール部24bとに対しては、これらをピストンロッドRに押し付ける力が、ライナー10からも加えられるようになる。その結果、ダストシール部24aとオイルシール部24bとにおけるシール機能が、さらに高められることとなる。
(5)また、ダストシール部24aとオイルシール部24bとを有するシール突部24Tが、ピストンロッドRの軸方向に延びるため、これらダストシール部24aとオイルシール部24bとを形成することの可能なロッド摺動孔24Rの面積が、同じく軸方向に広くなる。それゆえに、ダストシール部24aにてシール機能を発揮する領域のサイズやオイルシール部24bにてシール機能を発揮する領域のサイズを大きくすることが可能にもなる。具体的には、ダストシール部24aの大きさやオイルシール部24bの大きさを軸方向に大きくすること、またダストシール部24aの数量やオイルシール部24bの数量を軸方向に増やすことが可能にもなる。
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・上記第1実施形態は、第2実施形態のブラダ嵌入孔CGに対応する孔がキャップCPに形成され、また第3実施形態のブラダ嵌入孔13Hに対応する孔が基端フランジ部13に形成され、且つこれら2つのブラダ嵌入孔CG,13Hに嵌入されるシール突部24Tが、ロッドシール部24に形成されるという構成であってもよい。
・上記各実施形態におけるロッドシール部24の硬さは、ロッドシール部24にてシール性が発揮される構成であれば、ブラダ20における他の部位と同じ程度の硬さであってもよい。このような構成は、ブラダ20のうち、ロッドシール部24とそれ以外の部位とを互いに共通する材料や組成によって形成することが可能であるため、ブラダ20の生産性を高める観点では優位である。
・上記各実施形態におけるロッドシール部24の厚さは、ロッドシール部24にてシール性が発揮される構成であれば、ブラダ20における他の部位と同じ程度の厚さであってもよい。
・上記各実施形態は、先端掛止溝12Gが割愛されるとともに、ブラダ20の先端開口縁が先端フランジ部12における先端側の端面にて掛け止めされるという構成であってもよい。この場合、大径部分C2の先端側の端面にブラダ20の先端開口縁が押し付けられるようにすることが望ましい。このような構成とすることにより、上記(1)〜(5)に準じた効果を得つつ、大径部分C2の先端側の端面と先端フランジ部12の先端側の端面との間が先端開口縁によってシールされることになる。このような構成であれば、先端摺動突条22T及び基端摺動突条23Tの少なくとも一方を割愛することができる。その結果、ライナー10及びブラダ20の構成を簡素なものとすることが可能にもなる。
・上記各実施形態では、ブラダ20とキャップCPとが一体的に成型される構成であってもよい。この場合、基端掴持部23の外周面が大径部分C2の内周面に押圧されて、基端掴持部23が基端フランジ部13と大径部分C2との間で狭持されるようにすることが望ましい。このような構成であれば、シリンダーCの開口部とキャップCPとの密着性を高めることが可能となる。
C…シリンダー、C1…小径部分、C2…大径部分、CG…ブラダ嵌入孔、CH…空気流出入孔、CP…キャップ、CR…ロッド貫挿孔、P…ピストン、PH…絞り、12H,52H…流路、R…ピストンロッド、S1…第一空間、S2…第二空間、S3…第三空間、S4…第四空間、SH…嵌入孔、SR…シールリング、10,50…ライナー、10H…ロッド貫挿孔、11,51…スリーブ部、12,52…先端フランジ部、12G…先端掛止溝、13,53…基端フランジ部、13H…ブラダ嵌入孔、20,60…ブラダ、21…伸縮部、22…先端掴持部、22T…先端摺動突条、23…基端掴持部、23T…基端摺動突条、24…ロッドシール部、24a…ダストシール部、24b…オイルシール部、24R…ロッド摺動孔、24T…シール突部。

Claims (5)

  1. ピストンロッドが貫挿されるキャップが基端に嵌め込まれたシリンダーと、前記シリンダー内に収容されて前記ピストンロッドと同心の環状をなすアキュムレーターとを備え、
    前記アキュムレーターが、
    前記ピストンロッドに外嵌された糸巻き状の筒体であるライナーと、
    前記ライナーと前記シリンダーとの間に挟入され、前記ライナーの外周面と前記シリンダーの内周面との間の環状空間に容積の可変な流体室を区画する筒状のブラダとを備え、
    前記流体室に流体を流入及び流出させて前記シリンダー内で流体を流通させるとともに、該流体の流体抵抗によって前記ピストンロッドを制動するダンパーであって、
    前記ブラダの基端側が、前記ライナーにおける基端側の端面全体を覆うとともに、前記ピストンロッドが摺動するロッド摺動孔を有し、
    前記ロッド摺動孔の内周面には、前記ブラダと前記ピストンロッドとの間でオイルをシールするオイルシール部と、前記オイルシール部の基端側にて前記シリンダー内へのダストの侵入をシールするダストシール部とが形成されている
    ことを特徴とするダンパー。
  2. 前記ブラダのうち、前記ライナーにおける基端側の端面全体を覆う部位の厚さが、前記流体室を区画する部位の厚さよりも大きい
    請求項1に記載のダンパー。
  3. 前記ブラダのうち、前記ライナーにおける基端側の端面全体を覆う部位が、前記流体室を区画する部位よりも硬い
    請求項1又は2に記載のダンパー。
  4. 前記キャップが、
    前記ピストンロッドが貫挿されるロッド貫挿孔と、該ロッド貫挿孔から前記アキュムレーターに向けて拡開されて前記ピストンロッドの軸方向に延びるブラダ嵌入孔とを有し、
    前記ブラダが、
    前記ブラダ嵌入孔に嵌入される円筒状の嵌入突部を有し、該嵌入突部に前記ロッド摺動孔が形成されている
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のダンパー。
  5. 前記ライナーが、
    前記ピストンロッドが貫挿されるロッド貫挿孔と、該ロッド貫挿孔から前記キャップに向けて拡開されて前記ピストンロッドの軸方向に延びるブラダ嵌入孔とを有し、
    前記ブラダが、
    前記ブラダ嵌入孔に嵌入される円筒状の嵌入突部を有し、該嵌入突部に前記ロッド摺動孔が形成されている
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のダンパー。
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