JP2012180880A - ダンパー - Google Patents

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Abstract

【課題】キャップがシリンダーから外れることを抑えることの可能なダンパーを提供する。
【解決手段】流体室に流体を流入及び流出させてシリンダーC内で流体を流通させるとともに、流体の流体抵抗によってピストンロッドRを制動するダンパーであって、シリンダーCの開口部を閉じるキャップ30が、ピストンロッドRの貫挿される貫挿孔と、該貫挿孔からシリンダーCの内部に向けて拡開されてピストンロッドRの軸方向に延びるライナー嵌合孔30Hとを有し、該ライナー嵌合孔30Hには、ライナー10の基端部である基端フランジ部13が嵌め込まれ、ライナー嵌合孔30Hの周壁部が、ライナー10の外周面とシリンダーCの内周面とに挟持されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、キャップによって流体が封入されたシリンダーを有するダンパーに関するものであり、特に、キャップに貫挿されたピストンロッドを介して衝撃力を緩和するダンパーに関するものである。
従来から、例えば特許文献1に記載のように、物体同士の衝撃力を緩和するダンパーが知られている。図5は、こうしたダンパーの内部構造の一例を示す断面図である。
図5に示されるように、有底の二段円筒状に形成されたシリンダーCの基端には、シリンダーCの内部に各構成部品を封入するためのキャップCPが嵌め込まれている。このシリンダーCの内部には、シリンダーCの中心軸に沿って延びるピストンロッドRが、キャップCPを貫挿するように挿設されている。このピストンロッドRのうち、シリンダーCの小径部分C1内には、円柱状のピストンPが外嵌されて、また、ピストンロッドRのうち、シリンダーCの大径部分C2内には、大径部分C2内に位置決めされた糸巻き状のライナー50が外嵌されている。また、ピストンロッドRのうち、ライナー50の基端には、ライナー50とピストンロッドRとの間をシールするシールリングSRが外嵌されている。
上記ピストンPは、小径部分C1の内周面を摺動可能な円筒状に形成され、小径部分C1の内部空間をピストンPの先端側とピストンPの基端側とに分割している。ピストンPは、ピストンロッドRの軸方向に延びる絞りPHを有することにより、ピストンPの先端側の空間とピストンPの基端側の空間との間で、所定の流体抵抗のもと、例えばシリコンオイル等の流体を流通させる。
上記ライナー50のうち、ピストンロッドRの軸方向における中央には、円筒状のスリーブ部51がピストンロッドRに外嵌されている。スリーブ部51における軸方向の両端部には、スリーブ部51よりも大径の先端フランジ部52と、同じく、スリーブ部51よりも大径の基端フランジ部53とが連結されている。また、先端フランジ部52は、ピストンロッドRの軸方向に延びる流路52Hを有し、先端フランジ部52の先端側である小径部分C1内とスリーブ部51の径方向の外側との間で、所定の流体抵抗のもと、流体を流通させる。
ライナー50の外周面には、該外周面の全体が覆われるように、ブラダ60が巻装されている。ブラダ60は、エラストマーや樹脂などから形成される弾性体であって、ピストンロッドRの軸方向に延びる糸巻き状に形成されている。このブラダ60における先端側の開口部は、ピストンロッドRの径方向の内側に折り曲げられて、流路52Hの先端側が開放されるように、先端フランジ部52の先端に掛け止めされている。また、ブラダ60における基端側の開口部は、これもまた径方向の内側に折り曲げられて、基端フランジ部53の基端に掛け止めされている。こうしたブラダ60のうち、一対のフランジ部52,53の外周面を覆う部位は、該外周面と大径部分C2の内周面とに押圧されている。そして、このような構成からなるダンパーでは、シリンダーC内の空間がピストンPとブラダ60とによって、下記四つの空間に分割される。
・小径部分C1内のうち、ピストンPに対する先端側の空間(第一空間S1)。
・小径部分C1内のうち、ピストンPに対する基端側の空間(第二空間S2)。
・大径部分C2内のうち、ブラダ60の内側の空間(第三空間S3)。
・大径部分C2内のうち、ブラダ60の外側の空間(第四空間S4)。
上記第一空間S1と第二空間S2との間では、ピストンPの絞りPHを介し、所定の流体抵抗のもと、流体が流通する。また、第二空間S2と第三空間S3との間では、流路52Hを介し、流体が流通する。これに対して、第二空間S2と第四空間S4との間、及び第三空間S3と第四空間S4との間は、ブラダ60によって区画されている。
そして、ピストンロッドRがシリンダーC内に押し込まれると、絞りPHにて流体の流通が制限され、こうした流体の流体抵抗によって、ピストンロッドRが制動される。この際、第一空間S1の容積が減少するものの、こうした容積の変化は、ブラダ60がピストンロッドRの径方向の外側へ撓むことによって吸収される。また、ピストンロッドRがシリンダーC内から引き出されると、これもまた流体の流体抵抗によって、ピストンロッドRが制動される。そして、第一空間S1の容積が拡大するものの、こうした容積の変化は、ブラダ60がピストンロッドRの径方向の内側へ撓むことによって吸収される。
特開2007−270951号公報
ところで、上述したキャップCPは、シリンダーCの開口部C3の内周面とキャップCPの外周面とが溶着されることによって、シリンダーCに固定されている。一方、近年では、こうしたダンパーの生産コストの削減を図るために、上述した溶着等に必要とされる設備を簡略化して安価にすることが要求されている。ただし、溶着に必要とされる設備を省略するために溶着以外の方法で固定すると、シリンダーCとキャップCPとの接合が自ずと弱められることにもなる。そこで、上述したダンパーにおいては、シリンダーCとキャップCPとの溶着方法を変更した場合、あるいは溶着を省略した場合であっても、キャップCPがシリンダーCから外れ難くする構造が新たに求められている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、キャップがシリンダーから外れることを抑えることの可能なダンパーを提供することにある。
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ピストンロッドが貫挿されるキャップが基端に嵌め込まれたシリンダーと、前記シリンダー内に収容されて前記ピストンロッドと同心の環状をなすアキュムレーターとを備え、前記アキュムレーターが、前記ピストンロッドに外嵌された糸巻き状の筒体であるライナーと、前記ライナーと前記シリンダーとの間に挟入され、前記ライナーの外周面と前記シリンダーの内周面との間の環状空間に容積の可変な流体室を区画する筒状のブラダとを備え、前記流体室に流体を流入及び流出させて前記シリンダー内で流体を流通させるとともに、該流体の流体抵抗によって前記ピストンロッドを制動するダンパーであって、前記キャップが、前記ピストンロッドの貫挿される貫挿孔と、前記貫挿孔から前記シリンダーの内部に向けて拡開されて前記ピストンロッドの軸方向に延びる嵌入孔とを有し、前記嵌入孔には、前記ライナーの基端部が嵌め込まれ、前記嵌入孔の周壁部が、前記ライナーの外周面と前記シリンダーの内周面とに挟持されていることを要旨とする。
請求項1に記載の発明によれば、キャップに形成された嵌入孔の周壁部が、ライナーの外周面とシリンダーの内周面とに挟持される。そのため、ライナーの外周面とシリンダーの内周面との間にキャップが挟まれない構成と比較して、キャップがシリンダーから外れることを抑えることができる。
請求項2に記載の発明は、前記キャップが、前記ピストンロッドの貫挿される貫挿孔を有し、前記貫挿孔の内周面には、前記ブラダと前記ピストンロッドとの間でオイルをシールするオイルシールと、前記オイルシールの基端側にて前記シリンダー内へのダストの侵入をシールするダストシールとが形成されている。
請求項2に記載の発明によれば、キャップには、ピストンロッドの貫挿される貫挿孔が設けられ、該貫挿孔の内周面には、オイルシールとダストシールとが形成されている。それゆえに、流体室からのオイルの漏れが、ブラダのオイルシールによって抑えられ、また、流体室へのダストの進入が、これもまたブラダのダストシールによって抑えられることとなる。すなわち、キャップとピストンロッドとの間に必要とされるシール構造が、キャップそのものによって構成されることとなる。それゆえに、キャップとピストンロッドとの間に別途シールリングが設けられる構成と比較して、部品点数を少なくすること、及びダンパーの組み立て工数を少なくすることが可能となる。
請求項3に記載の発明は、前記キャップと前記ブラダとが一体的に成型されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明によれば、キャップとブラダとが一体的に成型されているため、ダンパーを構成する部品の点数を少なくすること、及びダンパーの組み立て工数を少なくすることが可能になる。
請求項4に記載の発明は、前記キャップが、前記シリンダーの内周面と互いに咬持するように固定されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明によれば、シリンダーの内周面とキャップとが互いに咬持するように固定されているため、キャップがシリンダーから外れることをさらに抑えることが可能となる。
請求項5に記載の発明は、前記キャップが、前記ライナーの外周面と互いに咬持するように固定されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明によれば、ライナーの外周面とキャップとが互いに咬持するように固定されているため、キャップがシリンダーから外れることをさらに抑えることが可能となる。
本発明の第1実施形態におけるダンパーの断面構造の一部を拡大して示す部分断面図。 第1実施形態のダンパーを組み立てる過程を示す分解斜視図。 本発明の第2実施形態におけるダンパーの断面構造の一部を拡大して示す部分断面図。 本発明の第3実施形態におけるダンパーの断面構造の一部を拡大して示す部分断面図。 従来のダンパーの断面構造を示す断面図。
(第1実施形態)
以下、本発明のダンパーを具体化した第1実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。本実施形態では、ダンパーが、住宅設備の引出しや扉等の開閉体と、開閉体を固定する固定側部材との間に架設され、開閉体と固定部材とが衝突する際の衝撃や騒音を緩衝するものとして説明する。
図1に示されるように、ピストンロッドRに外嵌された樹脂製のライナー10には、糸巻き状のブラダ20が巻装されている。ブラダ20は、エラストマーや樹脂などからなる弾性体であって、ライナー10の外周面上では、ライナー10の略全体を覆う一方、ピストンロッドRの軸方向では、ライナー10の両端部を開放するように形成されている。
糸巻き状の筒体であるライナー10の中心には、ピストンロッドRが貫挿されるロッド貫挿孔10Hが、ピストンロッドRの軸方向に沿って延びるように貫通している。ライナー10のうち、ピストンロッドRの軸方向における中央では、円筒状のスリーブ部11が、ピストンロッドRに外嵌されている。
スリーブ部11のうち、ピストンロッドRの軸方向における一端部には、スリーブ部11の外径よりも大きな外径からなる円筒状の先端フランジ部12が、スリーブ部11と一体的に成形されている。先端フランジ部12は、ピストンロッドRの軸方向に延びる流路12Hを有し、先端フランジ部12の先端側である小径部分C1の内部とスリーブ部11の径方向の外側との間で、例えばシリコンオイル等の流体を流通させる。この先端フランジ部12の外周面には、周方向の全体にわたる先端掛止溝12Gが凹設されている。先端フランジ部12においては、上記先端掛止溝12Gに対する先端側の外径が、該先端掛止溝12Gに対する基端側の外径よりも大きい。
スリーブ部11のうち、ピストンロッドRの軸方向における他端部には、スリーブ部11の外径よりも大きな外径からなる基端フランジ部13が、これもまた、スリーブ部11と一体的に成形されている。この基端フランジ部13の外周面にも、周方向の全体にわたる基端掛止溝13Gが凹設されている。基端フランジ部13においては、上記基端掛止溝13Gに対する基端側、すなわちライナー10の基端部10Eの外径が、該基端掛止溝13Gに対する先端側の外径よりもブラダ20の厚さだけ大きく、且つ大径部分C2の内径よりも嵌入幅Dだけ小さい。
そして、こうした構造からなるライナー10が、円筒状のシリンダーC内に配設されると、スリーブ部11の外周面とシリンダーCの内周面との間には、ピストンロッドRと同心の環状空間が、上記先端フランジ部12と基端フランジ部13とに挟まれるように形成される。
基端フランジ部13の基端部には、基端フランジ部13とピストンロッドRとの間をシールするシールリングSRを嵌め込むためのシール嵌入孔13Hが、ピストンロッドRの軸方向に沿って延設されている。ライナー10に挿通されるピストンロッドRは、このシール嵌入孔13Hに嵌め込まれるシールリングSRを介して、ライナー10とのシール性を保ちつつ、ライナー10に対して軸方向へ移動する。
なお、本実施形態では、ピストンロッドRの軸方向のうち、スリーブ部11に対する先端フランジ部12の側を先端側とし、スリーブ部11に対する基端フランジ部13の側を基端側とする。
糸巻き状をなすブラダ20の外形は、上述したライナー10の外周面に倣うように形成されている。ブラダ20のうち、ピストンロッドRの軸方向における中央には、ピストンロッドRの径方向の内側に撓んだ領域であるブラダ伸縮部21が区画されている。ブラダ伸縮部21は、径方向の内側に撓んだ状態と、該状態から径方向の外側に変位した状態との間の遷移を許容する。
このブラダ伸縮部21の先端側には、ブラダ伸縮部21の内径よりも大きな内径からなる円筒状のブラダ先端掴持部22が、先端フランジ部12の外周面に密着するように区画されている。ブラダ先端掴持部22の内径は、先端フランジ部12の外径よりも小さく、これにより、ブラダ先端掴持部22は、径方向の内側に収縮する収縮力を有した状態で、上記先端フランジ部12を掴持するようになる。
ブラダ先端掴持部22における先端側の開口部は、ピストンロッドRにおける径方向の内側へ折り曲げられて先端フランジ部12の先端掛止溝12Gに掛け止めされる。この際、上述したように、先端掛止溝12Gに対する先端側の外径が、該先端掛止溝12Gに対する基端側の外径よりも大きく、特にブラダ20の厚さだけ大きければ、ブラダ先端掴持部22のうち、ブラダ先端突条22T以外の外表面と、先端フランジ部12のうち、先端側の外表面とが、略面一となる。それゆえに、シリンダーC内にライナー10が組み込まれる際には、ピストンロッドRの軸方向においてブラダ先端掴持部22の先端が、大径部分C2の内周面と干渉し難くすること、ひいては、こうした干渉に起因するブラダ先端掴持部22の捲れを抑えることが可能である。
ブラダ先端掴持部22の外周面には、径方向の外側に突出する突条であるブラダ先端突条22Tが、ブラダ先端掴持部22の周方向の全体にわたり突設されている。ブラダ先端突条22Tは、ピストンロッドRの軸方向を含む断面にて円弧状に形成され、また、ピストンロッドRの軸方向におけるブラダ先端掴持部22の先端よりも若干基端側となる部位に配設されている。このブラダ先端突条22Tの外径は、ブラダ20における他の部位の外径よりも大きく、大径部分C2の内径と同じである。
上記ブラダ伸縮部21の基端側には、ブラダ伸縮部21の内径よりも大きな内径からなる円筒状のブラダ基端掴持部23が、基端フランジ部13の外周面に密着するように区画されている。ブラダ基端掴持部23の内径は、基端フランジ部13の外径よりも小さく、これにより、ブラダ基端掴持部23は、径方向の内側に収縮する収縮力を有した状態で基端フランジ部13を掴持するようになる。また、ブラダ基端掴持部23における基端側の開口部は、ピストンロッドRにおける径方向の内側へ折り曲げられて基端フランジ部13の基端掛止溝13Gに掛け止めされる。この際、上述したように、基端掛止溝13Gに対する基端側の外径が、該基端掛止溝13Gに対する先端側の外径よりもブラダ20の厚さだけ大きいため、ブラダ基端掴持部23の外表面と基端フランジ部13における先端側の外表面とが、略面一となる。
基端フランジ部13のシール嵌入孔13Hには、ピストンロッドRに外嵌されたシールリングSRが嵌め込まれている。シールリングSRのうち、ピストンロッドRの軸方向における先端側は、二重円筒状に形成されている。この二重円筒のうち、内筒における内周面は、先端側に向けてピストンロッドRの径方向の内側に徐々に迫り出すように形成されて、ピストンロッドRの外周面を押圧し続ける。これにより、ピストンロッドRの外周面を伝って小径部分C1から漏出しようとするオイルが、シールリングSRによってシールされる。また、二重円筒のうち、外筒における外周面は、先端側に向けてピストンロッドRの径方向の外側に徐々に迫り出すように形成されて、シール嵌入孔13Hの内周面を押圧し続ける。これにより、シールリングSRの位置が、シール嵌入孔13Hにて保たれるようになる。
また、シールリングSRのうち、ピストンロッドRの軸方向における基端側は、一重の円筒状に形成されている。この一重円筒の内周面は、上述した二重円筒における内筒の内周面と連続する。また、一重円筒の内周面には、その周方向に沿って、ピストンロッドRの径方向の内側に突出した突条であるダストシールが形成されている。これにより、ピストンロッドRの外周面に付着したダストが、ダンパーの外部からアキュムレーターの内部、ひいてはシリンダーCの内部に侵入することが、シールリングSRによって抑えられる。
基端フランジ部13の基端側には、ピストンロッドRの軸方向に延びる多段円筒状のキャップ30が、シリンダーCの開口部に嵌め込まれている。キャップ30には、ピストンロッドRが貫挿されるロッド貫挿孔CRと、該ロッド貫挿孔CRからシリンダーの内部に向けて拡開されてピストンロッドRの軸方向に延びるライナー嵌入孔30Hとが貫通している。ライナー嵌入孔30Hの内径は、ライナー10における基端部10Eの外径やブラダ基端掴持部23の外径よりも若干小さい。そして、これらライナー10の基端部10Eやブラダ基端掴持部23がライナー嵌入孔30Hに嵌め込まれることによって、該ライナー嵌入孔30Hの周壁部が、ライナー10の外周面と大径部分C2の内周面とに挟持され、また、ブラダ20の外周面と大径部分C2の内周面とに挟持される。
次に、上述した構成からなるダンパーの作用のうち、特に、シリンダーCの開口部C3にキャップ30が嵌め込まれる際の作用について、以下に説明する。
上述したダンパーが組み立てられる際には、まず、図2に示されるように、ピストンPが固定されたピストンロッドRが、ブラダ20の巻装されたライナー10のロッド貫挿孔10Hに貫挿される。次いで、ライナー10に形成されたシール嵌入孔13Hに、ライナー10とピストンロッドRとの間をシールするシールリングSRが嵌め込まれる。そして、ライナー10の基端部10Eとブラダ基端掴持部23とが、シールリングSRと共々、キャップ30のライナー嵌入孔30Hに嵌め込まれる。続いて、流体としてのオイルが小径部分C1に注入されたシリンダーCに対し、該シリンダーCの基端である開口部C3からピストンロッドRが、小径部分C1の内周面にてピストンPの外周面を摺動させつつ挿入される。そして、先端フランジ部12における先端側の端面が、大径部分C2の先端側の端面に当接するとともに、ライナー嵌入孔30Hの周壁部が、シリンダーCの開口部C3に嵌め込まれることによって、ライナー10とブラダ20とから構成されるアキュムレーターが、大径部分C2に固定される。
この際、ライナー嵌入孔30Hの内周面は、基端部10Eの外周面とブラダ基端掴持部23の外周面とに密着し、また、ライナー嵌入孔30Hの外周面は、開口部C3の内周面と密着する。すなわち、ライナー嵌入孔30Hは、その基端側において共に樹脂製であるシリンダーC及びライナー10によって狭持されるとともに、ライナー嵌入孔30Hは、その先端側において樹脂製であるシリンダーCと弾性部材であるブラダ20とによって狭持される。その結果、キャップ30はライナー嵌入孔30Hの基端側において拘持されるとともに、ライナー嵌入孔30Hの先端側においてブラダ20の弾性力によって大径部分C2の内周面に押し当てられるように狭持されることになる。
このような構成によれば、ライナー嵌入孔30Hの底面とピストンPとの距離は、ライナー嵌入孔30Hの深さ分だけ、常に、シリンダーCの開口端とピストンPとの距離よりも短くなる。それゆえに、例えば、ピストンPを支点として、ピストンロッドRの基端側に何らかの衝撃力が加えられた場合であっても、ライナー嵌入孔30Hの周壁部が受ける振動は、シリンダーCの開口端が受ける振動よりも小さくなる。そのため、大径部分C2と基端フランジ部13との間のシール性が高められるとともに、キャップ30とシリンダーCとの接合の強度を高めることができる。
なお、ブラダ先端掴持部22の外周面に設けられたブラダ先端突条22Tは、大径部分C2の内周面に押し当てられるように大径部分C2内に固定される。すなわち、ブラダ先端突条22Tの突端部分と大径部分C2の内周面とが周方向に沿って接触するようになる。それゆえに、先端フランジ部12と大径部分C2との間が、ブラダ20によって確実にシールされるようになる。
このようにして、先端フランジ部12と大径部分C2との間、及び基端フランジ部13と大径部分C2との間がシールされると、ライナー10の外周面とシリンダーCの内周面との間に形成された環状空間が、上述したブラダ20によって二層の環状に分割される。
具体的には、スリーブ部11、先端フランジ部12、基端フランジ部13、及びブラダ20によって、流体室となる第三空間S3が区画される。なお、この第三空間S3は、流路12Hを介してアキュムレーターの外側と連通するようになる。また、このような第三空間S3の他、大径部分C2、先端フランジ部12、基端フランジ部13、及びブラダ20によって、空気室となる第四空間S4が区画される。この第四空間S4に対しては、大径部分C2に形成された空気流出入孔CHを介して、シリンダーCの外側が連通するようになる。
そして、このようにして組み立てられたダンパーにて、ピストンロッドRがシリンダーC内に押し込まれると、シリコンオイル等の流体抵抗によって、ピストンロッドRが制動される。この際、シリンダーC内のシリコンオイル等の流体の一部が、上述した流路12Hを介して第三空間S3に流入し、第三空間S3の容積が大きくなることによって、小径部分C1内における容積の変化がアキュムレーターに吸収される。また、ピストンロッドRがシリンダーC内から引き出されると、これもまたシリコンオイル等の流体抵抗によって、ピストンロッドRが制動される。そして、シリンダーC内のシリコンオイル等の流体の一部が、上述した流路12Hを介して第三空間S3から流出し、第三空間S3の容積が小さくなることによって、小径部分C1内における容積の変化がアキュムレーターに吸収される。
以上、第1実施形態によれば、以下に記すような効果が得られるようになる。
(1)キャップ30に形成されたライナー嵌入孔30Hの周壁部が、ライナー10における基端部10Eの外周面とシリンダーCの内周面とに挟持され、且つブラダ20におけるブラダ基端掴持部23の外周面とシリンダーCの内周面とに挟持される。そのため、ライナー10の外周面とシリンダーCの内周面との間にキャップ30が挟まれない構成、またブラダ20の外周面とシリンダーCの内周面との間にキャップ30が挟まれない構成と比較して、キャップ30がシリンダーCから外れることを抑えることができる。
(第2実施形態)
以下、本発明のダンパーを具体化した第2実施形態について図3を参照して説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態におけるキャップ30とシールリングSRとが一体的に成型されることが第1実施形態とは異なる。そのため、以下では、第1実施形態とは異なる構成について主に説明し、第1実施形態と同じ構成についてはその重複する説明を割愛または簡略にする。
図3に示されるように、キャップ30が有するライナー嵌入孔30Hには、該ライナー嵌入孔30Hの底面からライナー10に向けて延びる円筒状のシールリング部30Tが形成されている。シールリング部30Tの先端側は、二重円筒状に形成されている。この二重円筒のうち、内筒における内周面であるオイルシール30bは、先端側に向けてピストンロッドRの径方向の内側に徐々に迫り出すように形成されて、ピストンロッドRの外周面を押圧し続ける。これにより、ピストンロッドRの外周面を伝って小径部分C1から漏出しようとするオイルが、シールリング部30Tによってシールされる。また、二重円筒のうち、外筒における外周面は、先端側に向けてピストンロッドRの径方向の外側に徐々に迫り出すように形成されて、シール嵌入孔13Hの内周面を押圧し続ける。これにより、シールリング部30Tの位置が、シール嵌入孔13Hにて保たれるようになる。
また、シールリング部30Tのうち、ピストンロッドRの軸方向における基端側は、一重の円筒状に形成されている。この一重円筒の内周面は、上述した二重円筒における内筒の内周面と連続する。また、一重円筒の内周面には、その周方向に沿って、ピストンロッドRの径方向の内側に突出した突条であるダストシール30aが形成されている。これにより、ピストンロッドRの外周面に付着したダストが、ダンパーの外部からアキュムレーターの内部、ひいてはシリンダーCの内部に侵入することが、シールリング部30Tによって抑えられる。なお、ダストシール30aにてダストのシール機能が発揮され、また、オイルシール30bにてオイルのシール機能が発揮されるように、キャップ30は弾性部材によって形成されている。
以上、第2実施形態によれば、上記(1)に加えて、以下に記すような効果が得られるようになる。
(2)キャップ30のシールリング部30Tが、オイルのシール機能とダストのシール機能とを発揮するため、シールリングSRを割愛することが可能である。それゆえに、ダンパーを構成する部品の点数を少なくすること、さらには、部品管理の手間を軽減することが可能にもなる。
(第3実施形態)
以下、本発明のダンパーを具体化した第3実施形態について図4を参照して説明する。なお、第3実施形態は、第2実施形態におけるキャップ30とブラダ20とが一体的に成型されることが第1実施形態とは異なる。そのため、以下では、第2実施形態とは異なる構成について主に説明し、第2実施形態と同じ構成についてはその重複する説明を割愛または簡略にする。
図4に示されるように、キャップ30が有するライナー嵌入孔30Hの周壁部は、ライナー10の外周面に倣う糸巻き状に形成されている。ライナー嵌入孔30Hの周壁部のうち、ピストンロッドRの軸方向における中央には、ピストンロッドRの径方向の内側に撓んだ領域であるキャップ伸縮部31が区画されている。キャップ伸縮部31は、上述したブラダ伸縮部21に対応する機能を有し、上述した径方向の内側に撓んだ状態と、該状態から径方向の外側に変位した状態との間の遷移を許容する。
このキャップ伸縮部31の先端側には、上述したブラダ先端掴持部22に対応する機能を有するキャップ先端掴持部32が、先端フランジ部12の外周面に密着するように区画されている。キャップ先端掴持部32における先端側の開口部は、ピストンロッドRにおける径方向の内側へ折り曲げられて先端フランジ部12の先端掛止溝12Gに掛け止めされる。このキャップ先端掴持部32の外周面には、上述したブラダ先端突条22Tに対応する機能を有したキャップ先端突条32Tが、キャップ先端掴持部32の周方向の全体にわたり突設されている。
上記キャップ伸縮部31の基端側には、上述したブラダ基端掴持部23に対応する機能を有したキャップ基端掴持部33が、基端フランジ部13の外周面に密着するように区画されている。また、キャップ基端掴持部33の外周面には、ピストンロッドRにおける径方向の外側に突出する突条が、大径部分C2の内周面に刻設されたシリンダー掛止溝CGに嵌入するように形成されている。さらにまた、キャップ基端掴持部33の内周面には、ピストンロッドRにおける径方向の内側に突出する突条が、基端フランジ部13の基端掛止溝13Gに嵌入するように形成されている。
以上、第3実施形態によれば、上記(1)、(2)に加え、以下に記すような効果が得られるようになる。
(3)キャップ30のシールリング部30Tが、オイルのシール機能及びダストのシール機能だけでなく、ブラダの機能を発揮するため、シールリングSRに加えてブラダ20を割愛することが可能である。それゆえに、ダンパーを構成する部品の点数を少なくすること、さらには、部品管理の手間を軽減することが可能にもなる。
(4)基端フランジ部13は、キャップ30によって囲繞されているとともに、ピストンロッドRの外周面は、オイルシール30bによってシールされている。それゆえに、たとえ基端フランジ部13とキャップ30との間を流れてシール嵌入孔13HにおけるピストンロッドRの外周面にまで第三空間S3に圧入されたシリコンオイル等の流体が到達した場合であっても、シリンダーCの外に流体が漏出することを抑制することが可能となる。すなわち、第三空間S3に圧入される流体が、第三空間S3から第四空間S4に流出し難くすることが可能となる。そして、第四空間S4はキャップ先端突条32Tによって小径部分C1からシールされている。その結果、第四空間S4には流体が漏出し難い構造となっている。それゆえに、空気流出入孔CHから流体がシリンダーCの外に漏出し難くすることが可能である。ひいては、ダンパーの製品寿命を長くすることが可能となる。
(5)キャップ基端掴持部33は、樹脂製であるシリンダーC及びライナー10によって狭持される。また、キャップ基端掴持部33の外周面には、ピストンロッドRにおける径方向の外側に突出する突条が、大径部分C2の内周面に刻設されたシリンダー掛止溝CGに嵌入するように形成されている。その結果、キャップ30はキャップ基端掴持部33において咬持されることになる。それゆえに、キャップ30をシリンダーCに対してさらに確実に固定させることが可能となる。
(6)キャップ基端掴持部33は、樹脂製であるシリンダーC及びライナー10によって狭持される。また、キャップ基端掴持部33の内周面には、ピストンロッドRにおける径方向の内側に突出する突条が、基端フランジ部13の基端掛止溝13Gに嵌入するように形成されている。その結果、キャップ30はキャップ基端掴持部33において咬持されることになる。それゆえに、キャップ30がシリンダーCから外れることをさらに抑えることが可能となる。
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・シリンダーCの開口部C3の外縁は、キャップ30によって被覆されていることが望ましい。このような構成とすることにより、キャップ30を貫挿してシリンダーCから突出するピストンロッドRの基端側の突端に取り付けられる引出し等の部品が、開口部C3の外縁に直接衝突しないようになる。その結果、上記引出し等がダンパーの緩衝能力を超える力で押し込まれた場合であっても、弾性部材であるキャップ30に衝突するようになる。それゆえに、上記(1)〜(6)に準じた効果を得るとともに、剛性部材が互いに衝突しないようになるため、該衝突に起因する衝突音が発生しないようにすることができる。
・第3実施形態において、キャップ基端掴持部33の内径はライナー10の基端フランジ部13の外径よりも小さく形成されていることが望ましい。このような構成とすることにより、キャップ基端掴持部33はピストンロッドRにおける径方向の内側に収縮する収縮力を有した状態で、ライナー10を掴持するようになる。それゆえに、上記(1)〜(6)に準じた効果を得るとともに、キャップ30とライナー10の連結をより強固にすることができる。
・第3実施形態において、キャップ基端掴持部33の外周面には、ピストンロッドRにおける径方向の外側に突出する突条が形成されており、キャップ基端掴持部33の内周面には、ピストンロッドRにおける径方向の内側に突出する突条が形成されているとしたがこれに限られない。これらの突条のうちの少なくとも一方が、所謂ラチェット構造となるように形成されていてもよい。このようにしても、上記(1)〜(6)に準じた効果を得ることができる。
・第1実施形態のキャップ30は、ライナー10とシリンダーCとの押圧によって変形する材料であればよく、例えば、樹脂製の弾性部材であってもよい。
・第2実施形態及び第3実施形態にて説明されたダストシール30aとオイルシール30bとが、第1実施形態のキャップ30に設けられる構成であってもよい。この際、シールリングSRの割愛される構成が好ましい。
・第3実施形態にて、シリンダーCに対してキャップ30が十分に強固な力で固定される場合には、キャップ基端掴持部33の外周面に形成される突条が割愛されてもよい。また、第3実施形態にて、ライナー10に対してキャップ30が十分に強固な力で固定される場合には、キャップ基端掴持部33の内周面に形成される突条が割愛されてもよい。
・上記各実施形態において、ライナー嵌入孔30Hの内径はライナー10の基端側の外径よりも小さく形成されていることが望ましい。このような構成であれば、ライナー嵌入孔30Hは、径方向の内側に収縮する収縮力を有した状態でライナー10を掴持するようになる。それゆえに、キャップ30がシリンダーCに嵌め込まれる前であっても、キャップ30とアキュムレーターとの連結をより強固にすることができる。
・上記各実施形態におけるシール嵌入孔が、ライナー10の基端側の端面の他、キャップ30の先端側の端面にも設けられる、あるいはキャップ30の先端側の端面にのみ設けられる構成であってもよい。
・上記各実施形態におけるシリンダーCは、三段以上の円筒状であってもよく、あるいは、段なしの円筒状であってもよい。要は、ピストンPを摺動可能に収容する部分と、アキュムレーターが固定される部分とが、シリンダーCの内部に確保されるようなシリンダーCであればよい。
C…シリンダー、C1…小径部分、C2…大径部分、C3…開口部、CG…シリンダー掛止溝、CH…空気流出入孔、CP…キャップ、CR,10H…ロッド貫挿孔、D…嵌入幅、P…ピストン、PH…絞り、12H,52H…流路、R…ピストンロッド、S1…第一空間、S2…第二空間、S3…第三空間、S4…第四空間、SR…シールリング、10,50…ライナー、10E…基端部、11,51…スリーブ部、12,52…先端フランジ部、12G…先端掛止溝、13,53…基端フランジ部、13G…基端掛止溝、13H…シール嵌合孔、20,60…ブラダ、21…ブラダ伸縮部、22…ブラダ先端掴持部、22T…ブラダ先端突条、23…ブラダ基端掴持部、30…キャップ、30a…ダストシール、30b…オイルシール、30H…ライナー嵌入孔、30T…シールリング部、31…キャップ伸縮部、32…キャップ先端掴持部、32T…キャップ先端突条、33…キャップ基端掴持部。

Claims (5)

  1. ピストンロッドが貫挿されるキャップが基端に嵌め込まれたシリンダーと、前記シリンダー内に収容されて前記ピストンロッドと同心の環状をなすアキュムレーターとを備え、
    前記アキュムレーターが、
    前記ピストンロッドに外嵌された糸巻き状の筒体であるライナーと、
    前記ライナーと前記シリンダーとの間に挟入され、前記ライナーの外周面と前記シリンダーの内周面との間の環状空間に容積の可変な流体室を区画する筒状のブラダとを備え、
    前記流体室に流体を流入及び流出させて前記シリンダー内で流体を流通させるとともに、該流体の流体抵抗によって前記ピストンロッドを制動するダンパーであって、
    前記キャップが、前記ピストンロッドの貫挿される貫挿孔と、前記貫挿孔から前記シリンダーの内部に向けて拡開されて前記ピストンロッドの軸方向に延びる嵌入孔とを有し、
    前記嵌入孔には、前記ライナーの基端部が嵌め込まれ、前記嵌入孔の周壁部が、前記ライナーの外周面と前記シリンダーの内周面とに挟持されている
    ことを特徴とするダンパー。
  2. 前記キャップが、前記ピストンロッドの貫挿される貫挿孔を有し、
    前記貫挿孔の内周面には、前記ブラダと前記ピストンロッドとの間でオイルをシールするオイルシールと、前記オイルシールの基端側にて前記シリンダー内へのダストの侵入をシールするダストシールとが形成されている
    請求項1に記載のダンパー。
  3. 前記キャップと前記ブラダとが一体的に成型されている
    請求項2に記載のダンパー。
  4. 前記キャップが、前記シリンダーの内周面と互いに咬持するように固定されている
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のダンパー。
  5. 前記キャップは、前記ライナーの外周面と互いに咬持するように固定されている
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のダンパー。
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