JP2012180550A - 遮熱コーティングの補修方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】遮熱コーティングの補修方法は、耐熱合金基材上に金属結合層とセラミックス層3とが順に形成された部材の前記セラミックス層3の損傷部分に、バインダー材とセラミックスと所定温度以下の加熱により分解され気化する樹脂とを含むペースト材を塗布し、前記所定温度で熱処理して補修皮膜6を形成する。
【選択図】図3
Description
金属結合層は、耐酸化性に優れたMCrAlY合金(M:Co及びNiのうち少なくとも1種の元素を表す)を主として含有し、基板上に溶射施工される。金属結合層は、基材への耐食機能、及び、基材とセラミックス層とを結合する結合剤としての機能を備える。
(第1実施形態)
図1に、本実施形態における被補修部材の部分断面図を示す。被補修部材は、母材1上に、金属結合層2とセラミックス層3とからなるTBCが積層された構成とされ、セラミックス層の一部が損傷している。損傷とは、セラミックス層の一部が剥離し、金属結合層が露出されているものを含む。本実施形態では、半径20mm以下の損傷部4を主な補修対象とする。
金属結合層2は、母材1上に低圧プラズマ溶射法などにより形成される。金属結合層2は、MCrAlY合金(Mは、Ni、Coのうち少なくとも1種の元素を示す)などとされ、一般的に、0.05mm以上0.2mm以下の厚さとされる。
ペースト材はバインダー材とセラミックスと樹脂とを含む。バインダー材としては、一般的な遮熱コーティング補修用のペースト材に含まれる既知の結合剤を用いることができる。
前処理工程では、まず、損傷部及びその周辺のセラミックス層を適宜除去し、健全部と補修部を画定する。次に、補修部の表面を鋭利な破面のない滑らかな形状となるようグラインダ研磨などにより磨いた後、アイスブラストまたはグリッドブラストなどによりブラスト処理する。
上記で調製したペースト材を補修部に塗布した後、該補修部を大気雰囲気にて熱処理して補修皮膜を形成させる。熱処理時の温度は、ペースト材を焼結可能で、且つ、使用した樹脂粉末の熱分解温度以上とする。熱処理は、例えば、500℃〜1000℃で1〜10時間行う。
図2に、補修部にペースト材5を塗布したときのセラミックス層3の断面図を示す。図3に、補修部を熱処理して補修皮膜6を形成した後のセラミックス層3の断面図を示す。補修部を熱処理することでペースト材5が焼結されるとともに、ペースト材5中に含まれる樹脂が熱分解して消失する。この結果、ペースト材5中の樹脂が存在していた部分が気孔7となる。
本実施形態は、ペースト材に混合するセラミックス粒子に溶射済セラミックス粉末を使用する。それ以外の工程は、第1実施形態と同様とする。
セラミックス粉末を配合したペースト材を用いてTBCのセラミックス層を補修した場合、補修皮膜が健全部と異なる色に仕上がる。これは、健全部のセラミックス層が溶射によって形成されていることに起因する。そこで、本実施形態では、ペースト材に混合するセラミックスとして溶射済セラミックス粉末を使用する。
被補修部材は、母材上に金属結合層/セラミックス層からなるTBCが積層された部材とした。母材は、IN738LCからなる。母材上に積層された金属結合層は、CoNiCrAlYからなる。金属結合層上に積層されたセラミックス層は、イットリア部分安定化ジルコニアからなり、大気プラズマ溶射法によって形成されている。金属結合層及びセラミックス層の厚さは、それぞれ0.1mm及び0.5mmとした。
セラミックス層を一部除去し補修部(半径20mm程度)を画定し、該補修部に前処理を施した。
製品名:ポイズ532A)を使用してアルミナ微粒子(0.1μm〜1μm)をボールミルにより均一に分散させ、これにジルコニアの粗粒子(5μm〜10μm)をアルミナ微粒子の3倍(重量)添加して混合したスラリーを調製した。
樹脂としては、ポリエステル粉末(スルザーメテコ社製、Sulzer Meteco 2395、ZrO27.5Y2O30.7BN4.5Polyester、ポリエステル平均粒径30μm)を使用した。
セラミックスとしては、イットリア安定化ジルコニアの中空粒子(平均粒径57μm)を使用した。
被補修部材は、実施例1と同様とした。
樹脂としては、架橋ポリメタクリル酸メチル粉末(積水化成品工業株式会社製、MBX−5、平均粒径5μm)を使用した。
被補修部材は、実施例1と同様とした。
セラミックスとしては、イットリア安定化ジルコニアの中空粒子(平均粒径50μm)を使用した。
スラリーに添加するセラミックスが異なる以外は、実施例3と同様とした。
セラミックスとしては、イットリア安定化ジルコニアの中実粒子(造粒焼結粉:平均粒径65μm)を使用した。
スラリーに添加するセラミックスが異なる以外は、実施例3と同様とした。
セラミックスとしては、イットリア安定化ジルコニアの中空粒子(平均粒径50μm)とイットリア安定化ジルコニアの中実粒子(造粒焼結粉:平均粒径65μm)を1:1の重量比で混合したものを使用した。
被補修部材は、実施例1と同様とした。
配合比をスラリー100重量%としたペースト材を金属結合層上に塗布し、大気炉で500℃で2時間熱処理した。
2 金属結合層
3 セラミックス層
4 損傷部
5 ペースト材
6 補修皮膜
7 気孔
8 健全部
9 補修部
10 気孔(中空セラミックス由来)
11 気孔(樹脂由来)
Claims (2)
- 耐熱合金基材上に金属結合層とセラミックス層とが順に形成された部材の前記セラミックス層の損傷部分に、バインダー材とセラミックスと所定温度以下の加熱により分解され気化する樹脂とを含むペースト材を塗布し、前記所定温度で熱処理して補修皮膜を形成する遮熱コーティングの補修方法。
- 前記セラミックスが、溶射済セラミックス粒子を含む請求項1に記載の遮熱コーティングの補修方法。
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