JP2004267866A - 塗膜の補修方法、自動車車体、及び、自動車用部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】色調作業等の工程を必要とせず簡便に塗膜の欠陥部の補修を行い、補修面及び非補修面の塗膜が同一の色調となる塗膜の補修方法を提供する。
【解決手段】水性ベース塗料により形成されたベース塗膜及びクリヤー塗料により形成されたクリヤー塗膜からなる複層塗膜の欠陥部位をサンディング処理する工程(1)、研ぎ出し部に補修用塗料を塗布する工程(2)、次いで補修用クリヤー塗料を塗布する工程(3)からなる塗膜の補修方法であって、上記補修用塗料は、上記水性ベース塗料、及び、水に対する溶解度が無限大で酢酸ブチルの蒸発速度を100としたときの蒸発速度が60以上であるアルコール系有機溶剤からなるものである塗膜の補修方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗膜の補修方法、自動車車体、及び、自動車用部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車車体等の外観の意匠性が重要となる製品は、顔料を含むベース塗膜及びクリヤー塗膜からなる複層塗膜を有することが一般的である。このような複層塗膜に、車体塗装ラインの工程でゴミ、ブツ等の付着物、タレ、凹み、ワキ等の塗装欠陥、又は、付着した塵埃が欠落して生じた局部的な塗膜の剥がれ等が発生した場合には、その欠陥部分又は剥がれ部分を、目視的に色調が同一になる程度まで塗装補修する必要がある。このような塗装補修の方法としては、欠陥部をサンディング処理した後(図2)、欠陥部と共に削り取られた研ぎ出し部にベース塗料と同一色調となるように色合わせした補修用塗料をエアスプレーガンを用いて複数回塗布し(図3)、補修用クリヤー塗料を塗布する(図4)方法がとられている。しかしながら、この種の部分的補修手段による場合には、同一色調を得るための補修作業や塗料の色調作業に極めて熟練した技能を要し、また、熟練した補修担当者であっても個人差がある関係で常に同一色調を得ることが困難であった。色調を合わせる作業は、淡彩系、特に光輝性塗膜において困難であることが知られている。
【0003】
このような問題を解決するために、ベース塗膜を形成するのに使用したベース塗料と顔料を含まないクリヤー塗料とを混合し、顔料濃度の低い補修用塗料を順次調製しながら、このような補修用塗料を複数回塗布する方法(特許文献1)や、光輝性塗膜の補修を目的として、ベース塗膜を形成するのに使用したベース塗料に白色顔料を添加したものを補修用塗料として塗布する方法(特許文献2)等が開示されている。しかしながら、このような技術は、同一色調の補修精度を充分に満足するものではなく、補修用塗料の調製を必要とすることから作業性にも改善の余地があった。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−239454号公報
【特許文献2】
特開平10−202186号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、色調作業等の工程を必要とせず簡便に塗膜の欠陥部の補修を行い、補修面及び非補修面の塗膜が同一の色調となる塗膜の補修方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水性ベース塗料により形成されたベース塗膜及びクリヤー塗料により形成されたクリヤー塗膜からなる複層塗膜の欠陥部位をサンディング処理する工程(1)、研ぎ出し部に補修用塗料を塗布する工程(2)、次いで補修用クリヤー塗料を塗布する工程(3)からなる塗膜の補修方法であって、上記補修用塗料は、上記水性ベース塗料、及び、水に対する溶解度が無限大で酢酸ブチルの蒸発速度を100としたときの蒸発速度が60以上であるアルコール系有機溶剤からなるものであることを特徴とする塗膜の補修方法である。
上記アルコール系有機溶剤は、メタノール、エタノール又はイソプロパノールからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
上記補修用塗料は、塗料固形分に対し、上記アルコール系有機溶剤を15.0〜60.0質量%含有するものであることが好ましい。
本発明は、上記塗膜の補修方法により得られた塗膜を有することを特徴とする自動車車体でもある。
本発明は、上記塗膜の補修方法により得られた塗膜を有することを特徴とする自動車用部品でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明の塗膜の補修方法は、補修面のベース塗膜を形成する時の水性ベース塗料にアルコール系有機溶剤を加えてなる補修用塗料を塗膜の欠陥部に塗布し、更に、補修用クリヤー塗料を塗布することにより塗膜の補修を行う方法であって、特に補修対象となる製品のインライン補修において好適に使用することができる。本発明の塗膜の補修方法によると、特別な補修用塗料を調製する工程、補修用塗料の色調作業等を必要とせず、コスト及び作業性の点から優れた方法である。また、非補修面と同一の水性ベース塗料を補修用塗料として使用するため、塗料の色調微調整を行わなくても視覚的に違和感のない補修塗膜を得ることができる。
【0008】
本発明で用いられる補修用塗料は、上述のように、特定のアルコール系有機溶剤を含有する水性ベース塗料である。上記アルコール系有機溶剤を加えることによって、共沸効果により、塗料に含まれる水の揮発速度が向上するため、プレヒート工程を必要とせずに効率よく乾燥することができる。また、従来、同一色調に補修することが困難であった光輝性顔料からなる光輝性塗膜の補修にも好適に用いることができる。
【0009】
上記アルコール系有機溶剤は、水に対する溶解度が無限大で蒸発速度が下限60であるアルコール化合物である。ここでいう蒸発速度とは、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした時の相対的蒸発速度のことである。上記蒸発速度の下限は、120が好ましく、上限は、400が好ましい。上記蒸発速度が60未満であると、補修用塗料の揮発速度が不充分となり、充分な乾燥を行うことが困難となり好ましくない。上記蒸発速度が400を超えると、蒸発速度が速すぎるため、良好な塗膜形成ができなくなることがある。
【0010】
上記アルコール系有機溶剤としては特に限定されないが、沸点が100℃以下のものが好ましい。このようなアルコール系有機溶剤としては特に限定されず、例えば、メタノール(沸点65℃:蒸発速度370)、エタノール(沸点78℃:蒸発速度203)、プロピルアルコール(沸点97℃:蒸発速度130)、イソプロパノール(沸点82℃:蒸発速度205)等を挙げることができる。なかでも、揮発性の観点から、沸点が85℃以下であるメタノール及びイソプロパノールが特に好ましい。これらの化合物を使用することによって、塗料の揮発速度が増加し、プレヒート工程が不要となる。
【0011】
上記アルコール系有機溶剤は、上記水性ベース塗料の固形分に対し、下限15.0質量%、上限60.0質量%の範囲内で含まれることが好ましい。上記アルコール系有機溶剤の含有量が15.0質量%未満であると、補修用塗料の乾燥速度が不充分となり、充分な乾燥を行うことが困難となり好ましくない。上記含有量が60.0質量%を超えると、補修用塗料の固形分含有量が低下しすぎるため塗装効率が低下するおそれがある。上記下限は、20質量%がより好ましく、上記上限は、50質量%がより好ましい。
【0012】
上記補修用塗料は、皮膜形成性を向上させるために、上記アルコール系有機溶剤に加えて水に一部溶解する有機溶剤を含有するものであっても良い。上記有機溶剤としては特に限定されず、例えば、酢酸エチル(沸点77℃)等のエステル系溶剤;アセトン(沸点56℃)、メチルエチルケトン(沸点80℃)等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン(沸点65℃)、ジプロピルエーテル(沸点90℃)、エチレングリコールジメチルエーテル(沸点82℃)等のエーテル等を挙げることができる。
【0013】
本発明で用いられる補修用塗料は、ベース塗膜の形成に使用した水性ベース塗料に上記アルコール系有機溶剤を添加して使用するものである。上記水性ベース塗料を使用することによって、補修前と同一色調を有する塗料を使用することができるため、色調の微調整が不要となり、工程の簡便化を図ることができる。
【0014】
本発明は、上記水性ベース塗料としてどのような塗料を使用した場合にも適用することができるが、なかでも、アクリルエマルション樹脂、ポリエーテルポリオール、ウレタンエマルションからなる水性ベース塗料に対してより好ましく適用することができる。
【0015】
上記アクリルエマルション樹脂としては、得られる塗膜の付着性、塗装作業性を高める作用があることから、エステル部の炭素数が1又は2の(メタ)アクリル酸エステルを65質量%以上含有し3〜50mgKOH/gかつ水酸基価10〜150であるα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物を乳化重合して得られるアクリルエマルション樹脂が好ましい。
【0016】
上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物に含まれるエステル部の炭素数が1又は2の(メタ)アクリル酸エステルの量が65質量%未満であると、得られる複層塗膜の外観が低下する。上記エステル部の炭素数が1又は2の(メタ)アクリル酸エステルとしては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等を挙げることができる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルとメタアクリル酸エステルとの両方を意味するものである。
【0017】
上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物の酸価は、下限3mgKOH/g、上限50mgKOH/gの範囲内である。上記酸価が3mgKOH/g未満である場合、塗装作業性が不充分であり、50mgKOH/gを超える場合、得られる塗膜の諸性能が低下する。上記酸価の下限は、7mgKOH/gがより好ましく、上記上限は、40mgKOH/gがより好ましい。なお、ここでいう酸価は、樹脂固形分酸価である。
【0018】
このようなα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物は、酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含有してなるものである。上記酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーとしては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、イソクロトン酸、α−ハイドロ−ω−[(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]ポリ[オキシ(1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル)]、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、3−ビニルサリチル酸、3−ビニルアセチルサリチル酸等を挙げることができる。これらの中で好ましいものは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体である。
【0019】
また、上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物の水酸基価は、下限10、上限150の範囲内である。上記下限は、20が好ましく、上記上限は、100が好ましい。上記水酸基価が10未満である場合、充分な硬化性が得られず、150を超える場合、得られる塗膜の諸性能が低下する。尚ここでいう水酸基価は樹脂固形分酸価である。このようなα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物は、水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含有してなるものである。上記水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーとしては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、アリルアルコール、メタクリルアルコール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物等を挙げることができる。なかでも、塗膜物性に与える影響から、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物が好ましい。
【0020】
更に、上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物は、その他のα,β−エチレン性不飽和モノマー、例えば、エステル部の炭素数3以上の(メタ)アクリル酸エステル(例えば(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニル等)、重合性アミド化合物(例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N−モノブチル(メタ)アクリルアミド、N−モノオクチル(メタ)アクリルアミド 2,4−ジヒドロキシ−4−ビニルベンゾフェノン、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等)、重合性芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルケトン、t−ブチルスチレン、パラクロロスチレン及びビニルナフタレン等)、重合性ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、α−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン等)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等)、ジエン(例えば、ブタジエン、イソプレン等)等を含むことができる。
【0021】
これらは目的により選択することができるが、親水性を容易に付与する場合には(メタ)アクリルアミドを用いることが好ましい。なお、これらのその他のα,β−エチレン性不飽和モノマーは、上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物中に含まれる場合、含有量が35質量%未満である必要がある。
【0022】
また、本発明の塗膜の補修方法で用いられるアクリルエマルション樹脂のガラス転移温度(Tg)は、得られる塗膜の物性の観点から、−20〜80℃であることが好ましい。なお、上記酸価、水酸基価及びTgは、上記アクリルエマルション樹脂を実測して求めることもできるが、上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物中の各種α,β−エチレン性不飽和モノマーの配合量から計算によって求めることもできる。
【0023】
上記アクリルエマルション樹脂は、上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物を乳化重合して得られるものである。ここで行われる乳化重合としては特に限定されず、通常よく知られている方法を用いて行うことができる。具体的には、水、又は必要に応じてアルコール等のような有機溶剤を含む水性媒体中に乳化剤を溶解させ、加熱撹拌下、上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物及び重合開始剤を滴下する方法や、乳化剤と水とを用いて予め乳化したα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物を同様に滴下する方法等を挙げることができる。
【0024】
上記重合開始剤としては特に限定されず、例えば、アゾ系の油性化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)及び2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等)、及び、水性化合物(例えば、アニオン系の4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及びカチオン系の2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン));並びにレドックス系の油性過酸化物(例えば、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド及びt−ブチルパーベンゾエート等)、及び、水性過酸化物(例えば、過硫酸カリ及び過酸化アンモニウム等)等を挙げることができる。
【0025】
上記乳化剤としては特に限定されず、当業者によってよく使用されているものを挙げることができるが、例えば、アントックス(Antox)MS−60(日本乳化剤社製)、エレミノールJS−2(三洋化成工業社製)、アデカリアソープNE−20(旭電化社製)及びアクアロンHS−10(第一工業製薬社製)等の反応性乳化剤が好ましい。
【0026】
また、上記乳化重合の際に、分子量を調節するために、ラウリルメルカプタン等のメルカプタン及びα−メチルスチレンダイマー等の連鎖移動剤を必要に応じて用いてもよい。
【0027】
反応温度は、重合開始剤により決定され、例えば、アゾ系開始剤では60〜90℃であり、レドックス系では30〜70℃で行うことが好ましい。一般に、反応時間は1〜8時間である。上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物の総量に対する重合開始剤の量は、一般に0.1〜5質量%であり、0.2〜2質量%であることが好ましい。
【0028】
上記乳化重合は、2段階で行うことが好ましい。すなわち、まず上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物のうちの一部(以下、α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物1と表す)を乳化重合し、ここに上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物の残り(以下、α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物2と表す)を更に加えて乳化重合を行うものである。上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物1と上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物2との配合組成は同一であっても異なってもよい。
上述のように、乳化重合を2段階で行うことにより、重合反応が効率よく行われるため好ましい。
【0029】
高外観な複層塗膜を形成するために、α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物1は、アミド基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含有していることが好ましく、この時、α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物2は、アミド基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含有していないことが更に好ましい。なお、α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物1及びα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物2を混合したものが、上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物であるため、先に示した上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物の条件は、α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物1及びα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物2を混合したものが満たすことになる。
【0030】
このようにして得られる上記アクリルエマルション樹脂の平均粒子径は、下限0.01μm、上限1.0μmの範囲内であることが好ましい。上記平均粒子径が0.01μm未満である場合、塗装作業性の向上が小さく、1.0μmを超える場合、得られる塗膜の外観が低下するおそれがある。上記平均粒子径の調節は、例えば、モノマー組成や乳化重合条件を調整することにより可能である。
【0031】
上記アクリルエマルション樹脂は、pH=5〜10における安定性が高いことから、この範囲内に調整することが好ましい。上述のように調整するために、必要に応じて塩基で中和してもよい。上記中和は、乳化重合の前又は後に、ジメチルエタノールアミンやトリエチルアミンのような3級アミンを系に添加することにより行うことが好ましい。
【0032】
上記水性ベース塗料は、上記アクリルエマルション樹脂を下限25質量部、上限70質量部の範囲内で含有することが好ましい。含有量が25質量部未満であると、付着性、強度等の塗膜物性が低下して好ましくない。70質量部を超えると、耐水性、耐温水性等が低下する。上記下限は、30質量部がより好ましい。上記上限は、55質量部がより好ましい。
【0033】
上記ポリエーテルポリオールとしては特に限定されず、例えば、1分子中に一級水酸基を平均0.02個以上有し、数平均分子量が300〜3000の範囲内であり、水トレランスが2.0以上であるものが好ましい。このようなポリエーテルポリオールを含有することにより、得られる塗膜のフリップフロップ性、耐水性、耐チッピング性を向上させることができる。
【0034】
上記ポリエーテルポリオール1分子中に含まれる一級水酸基が平均0.02個未満であると、得られる塗膜の耐水性、耐チッピング性が低下するため好ましくない。上記一級水酸基は、平均0.04個以上含まれることがより好ましく、平均1個以上含まれることが更に好ましい。この一級水酸基の他、二級及び三級水酸基を含めた水酸基の個数は、塗膜の耐水性、耐チッピング性の観点から、1分子中に少なくとも3個以上であることが好ましい。また、上記ポリエーテルポリオールの水酸基価は、下限30、上限700の範囲内であることが好ましい。上記水酸基価が30未満であると、硬化性が低下し、塗膜の耐水性、耐チッピング性が低下する。上記水酸基価が700を超えると、塗料安定性、塗膜の耐水性が低下する。上記下限は、50がより好ましく、上記上限は、500がより好ましい。
【0035】
上記ポリエーテルポリオールの数平均分子量が300未満であると、塗膜の耐水性が低下し、3000を超えると、塗膜の硬化性、耐チッピング性が低下する。上記下限は、400がより好ましく、上記上限は、2000がより好ましい。本明細書における分子量は、スチレンポリマーを標準とするGPC法により測定されたものである。
また、上記ポリエーテルポリオールの水トレランスが2.0未満であると、水分散性が低下し、塗膜外観が低下する保持水トレランスは、3.0以上であることがより好ましい。
【0036】
上記水トレランスは、親水性の度合いを評価するためのものであり、その値が高いほど親水性が高いことを意味する。本明細書における水トレランスの測定方法は、25℃の条件下で、100mlビーカー内に上記ポリエーテルポリオールを0.5gをアセトン10mlに混合して分散させ、この混合物にビュレットを用い、イオン交換水を徐々に加え、この混合物が白濁するまでに要するイオン交換水の量(ml)を測定する。このイオン交換水の量(ml)を水トレランス値とする。
【0037】
この方法では、例えば、ポリエーテルポリオールが疎水性である場合、最初はポリエーテルポリオールとアセトンとが良相溶状態であったものが、少量のイオン交換水の添加により、不相溶状態となり、測定系に白濁を生じる。逆に、ポリエーテルポリオールが親水性である場合、ポリエーテルポリオールの親水性が高いものほど白濁を生じるまでに多くのイオン交換水を要する。従って、この方法によりポリエーテルポリオールの親水性/疎水性の度合いを測定することができる。
【0038】
上記ポリエーテルポリオールは、塗料樹脂固形分中、下限1質量%、上限40質量%の範囲内で含有されることが好ましい。含有量が1質量%未満であると、塗膜の外観が低下し、40質量%を超えると、塗膜の耐水性、耐チッピング性が低下する。上記下限は、3質量%がより好ましく、上記上限は、30質量%がより好ましい。
【0039】
上記ポリエーテルポリオールとしては特に限定されず、例えば、多価アルコール、多価フェノール、多価カルボン酸類等の活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドが付加した化合物が挙げられる。上記活性水素含有化合物としては特に限定されず、例えば、水、多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、シクロヘキシレングリコール等の2価のアルコール、グリセリン、トリオキシイソブタン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、ペンタメチルグリセリン、ペンタグリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ソルビタン等の4価アルコール、アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグリセリン等の5価アルコール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、アロース等の6価アルコール、蔗糖等の8価アルコール、ポリグリセリン等);多価フェノール類[多価フェノール(ピロガロール、ヒドロキノン、フロログルシン等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールスルフォン等)];ポリカルボン酸[脂肪族ポリカルボン酸(コハク酸、アジピン酸等)、芳香族ポリカルボン酸(フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等)]等;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。特に一分子中に少なくとも3個以上の水酸基を有するポリエーテルポリオールを形成するのに用いられる3価以上のアルコールとして好ましいものは、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトール等を挙げることができる。
【0040】
上記ポリエーテルポリオールは、通常アルカリ触媒の存在下、上記活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドを、常法により常圧又は加圧下、60〜160℃の温度で付加反応を行うことにより得られる。上記アルキレンオキサイドとしては特に限定されず、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を併用することができる。2種以上を併用する場合の付加形式は、ブロック又はランダムのいずれでもよい。
【0041】
上記ポリエーテルポリオールとしては、市販されているものを使用することができ、例えば、プライムポールPX−1000、サンニックスSP−750、PP−400(上記いずれも三洋化成工業社製)、PTMG−650(三菱化学社製)等を挙げることができる。
【0042】
また、更に、上記ポリエーテルポリオールは、顔料分散性を向上させるために特開昭59−138269号公報で示されるように、後述するアミノ樹脂やヒドロキシエチルエチレンイミン(例えば、相互薬工の「HEA」)、2−ヒドロキシプロピル−2−アジリジニルエチルカルボキシレート(例えば相互薬工「HPAC」)等の塩基性物質により変性したものであってもよい。変性剤の量は、上記ポリエーテルポリオールに対し1〜10質量%が好ましい。1質量%未満では十分な変性効果が得られず、10質量%を越えると変性後のポリエーテルポリオールの安定性が悪くなる。
【0043】
上記ウレタンエマルションとしては特に限定されず、例えば、ジイソシアネートと、少なくとも2個の活性水素を含有するグリコール又はカルボン酸基を有するグリコール等とをNCO/OH当量比が0.5〜2.0で反応させてウレタンプレポリマーを作り、次いで、このプレポリマーを中和及び鎖伸長して、イオン交換水を添加することにより製造したもの等を挙げることができる。
【0044】
上記ウレタンエマルションの構成成分であるウレタンプレポリマーを作る際に用いられるジイソシアネートとしては特に限定されず、例えば、脂肪族、脂環式又は芳香族ジイソシアネートが挙げられ、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1、4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びそれらの誘導体等を挙げることができる。
【0045】
上記グリコール類としては特に限定されず、少なくとも2個の活性水素を含有するものであればよい。具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物等の低分子量グリコール、ポリオキシプロピレングリコール類、ポリオキシプロピレンとグリセリンとの付加物、ポリオキシプロピレンとトリメチロールプロパンとの付加物、ポリオキシプロピレンと1,2,6−ヘキサントリオールとの付加物、ポリオキシプロピレンとペンタエリスリットとの付加物、ポリオキシプロピレンとソルビットとの付加物、メチレン−ビス−フェニルジイソシアネート、ヒドラジンで鎖伸長したポリテトラフランポリエーテル及びそれらの誘導体等を挙げることができる。
【0046】
更に、アジピン酸又はフタル酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン又は1,1,1−トリメチロールエタン等の縮合物であるポリエステル類、ポリカプロラクトン等を挙げることができる。
【0047】
また、カルボン酸基を有するグリコールとしては特に限定されず、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸等を用いることもできる。
【0048】
上記ウレタンエマルションは、上述したようなグリコールと、過剰のイソシアネート化合物との反応生成物であるウレタンプレポリマーを、カチオン系、ノニオン系、又はアニオン系の界面活性剤を用いて、中和及び鎖伸長し、イオン交換水を添加して分散して得ることができる。
【0049】
上記中和の際に用いられる中和剤としては特に限定されず、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミンのようなアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等を挙げることができる。
【0050】
また、鎖伸長剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のポリオール類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、1,2−ビス(2−シアノエチルアミノ)エタン、イソホロンジアミン等の脂肪族、脂環式、又は、芳香族ジアミン、及び、水等を挙げることができる。
【0051】
上記ウレタンエマルションの市販品としては特に限定されず、例えば、大日本インキ製の「ボンディック」シリーズ、「ハイドラン」シリーズ、バイエル製の「インプラニール」シリーズ、例えば、ネオレッツR−940、R−941、R−960、R−962、R−966、R−967、R−962、R−9603、R−9637、R−9618、R−9619、XR−9624等のアビシア社製の「ネオレッツ」シリーズ、三洋化成工業製の「ユーコート」、「ユープレン」、「パーマリン」シリーズ、旭電化製の「アデカボンタイター」シリーズ等を挙げることができる。
上記ウレタンエマルションは、1種のみを使用してもよいし、又は、2種以上を併用してもよい。
【0052】
上記ウレタンエマルションの配合量は、塗料樹脂固形分100質量部当たり、下限3質量部、上限30質量部の範囲内であることが好ましい。配合量が3質量部未満であると、付着性等が低下し、30質量部を超えると、塗料の貯蔵安定性が低下する。上記下限は、10質量部がより好ましく、上記上限は、25質量部がより好ましい。
【0053】
本発明の塗膜の補修方法において用いられる水性ベース塗料は、顔料を含有するものであることが好ましい。上記顔料としては特に限定されず、例えば、光輝性顔料、着色顔料、体質顔料等を挙げることができる。
【0054】
上記光輝性顔料の形状としては特に限定されず、着色されたものであっても良いが、例えば、平均粒径(D50)が下限2μm、上限50μmの範囲内であり、厚みが下限0.1μm、上限5μmの範囲内であることが好ましい。また、上記平均粒径が下限10μm、上限35μmの範囲内であると、光輝感に優れるためより好ましい。
【0055】
上記光輝性顔料としては特に限定されず、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の金属又は合金等の無着色又は着色された金属製光輝材及びその混合物等を挙げることができる。更に、干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔料等もこのなかに含まれるものとする。本発明で用いる水性ベース塗料は、意匠性付与の観点から、少なくともこのような光輝性顔料を一部含むことが好ましい。
【0056】
上記水性ベース塗料が上記光輝性顔料を含有する場合、その顔料濃度は一般的に18.0質量%以下であることが好ましい。上記顔料濃度が18.0質量%を超えると、塗膜外観が低下するため好ましくない。上記顔料濃度の上限は、15.0質量%がより好ましく、13.0質量%が更に好ましい。上記顔料濃度の下限は、0.01質量%が好ましい。
【0057】
上記着色顔料としては特に限定されず、例えば、有機系のアゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等を挙げることができる。また、無機系の着色顔料としては特に限定されず、例えば、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等を挙げることができる。
上記体質顔料としては特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等を挙げることができる。
【0058】
上記水性ベース塗料中の全顔料濃度(PWC)は、下限0.1質量%、上限50質量%の範囲内であることが好ましい。上記上限は、40質量%がより好ましく、30質量%が更に好ましい。上記全顔料濃度が50質量%を超えると、塗膜外観が低下するため好ましくない。上記下限は、0.5質量%がより好ましく、1.0質量%が更に好ましい。なお、上記全顔料濃度は、〔(光輝性顔料及びその他の顔料の合計質量)/(光輝性顔料、その他の顔料、及び、全樹脂成分の合計質量)〕×100(質量%)で表されるものである。
【0059】
本発明の塗膜の補修方法において用いられる水性ベース塗料は、更に、硬化剤を含有することが好ましい。上記硬化剤を含有することにより、得られる塗膜に高い硬化性を付与することができる。上記硬化剤としては、塗料一般に使用されているものであれば限定されないが、得られる塗膜の諸性能、コストの点からアミノ樹脂、ブロックイソシアネートが好ましい。
【0060】
上記アミノ樹脂としては特に限定されず、例えば、水溶性メラミン樹脂、非水溶性メラミン樹脂等を挙げることができる。上記メラミン樹脂のなかでも、塗料の安定性の観点から、水トレランスが3.0以上のものが好ましい。なお、上記水トレランスは、上述のポリエーテルポリオールの場合と同様に測定することができる。
【0061】
上記ブロックイソシアネートとしては特に限定されず、例えば、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネートに活性水素を有するブロック剤を付加させることによって得ることができるものであって、加熱によりブロック剤が解離してイソシアネート基が発生し、樹脂成分中の官能基と反応し硬化するもの等を挙げることができる。
【0062】
上記硬化剤が含まれる場合、その含有量は、水性ベース塗料中の樹脂固形分100質量部に対し、下限15質量部、上限100質量部の範囲内であることが好ましい。上記含有量が15質量部未満であると、硬化性が低下し、100質量部を超えると、得られる塗膜の付着性、耐温水性等が低下する。上記上限は、35質量部がより好ましい。また、上記硬化剤が含まれる場合、上記ウレタンエマルションと上記硬化剤との合計含有量は、塗料樹脂固形分100質量部に対し、下限30質量部、上限60質量部の範囲内であることが好ましい。上記合計含有量が30質量部未満であると、塗装作業性が低下し、60質量部を超えると、塗料の貯蔵安定性が低下する。上記下限は、35質量部がより好ましく、上記上限は、55質量部がより好ましい。
【0063】
本発明で用いる水性ベース塗料は、必要によりその他の塗膜形成性樹脂を含んでいてもよい。上記塗膜形成性樹脂としては特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0064】
また、上記その他の塗膜形成性樹脂は、数平均分子量が下限3000、上限50000の範囲内であることが好ましい。3000より小さいと塗装作業性及び硬化性が十分でなく、50000を越えると塗装時の不揮発分が低くなりすぎ、かえって塗装作業性が悪くなる。上記下限は、6000がより好ましく、上記上限は、30000がより好ましい。
【0065】
上記その他の塗膜形成性樹脂は10〜100mgKOH/g、更に20〜80mgKOH/gの酸価を有することが好ましく、上限を越えると塗膜の耐水性が低下し、下限を下回ると樹脂の水分散性が低下する。また、20〜180mgKOH/g、更に30〜160mgKOH/gの水酸基価を有することが好ましく、上限を越えると塗膜の耐水性が低下し、下限を下回ると塗膜の硬化性が低下する。
【0066】
上記ポリエステル樹脂は、酸成分及びアルコール成分を宿重合して得られるものである。上記酸成分としては特に限定されず、例えば、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、無水フタル酸等の多価カルボン酸化合物及びそれらの無水物を挙げることができる。更に、酸成分として、ジメチロールプロピオン酸等の1分子中にカルボン酸基と水酸基とを有する化合物を用いることができる。また、上記アルコール成分としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール等の多価アルコール化合物を挙げることができる。
【0067】
上記アルキド樹脂としては特に限定されず、例えば、上記酸成分、上記アルコール成分、及び、ヤシ油、アマニ油等の油脂類を縮重合して得られるもの等を挙げることができる。更に、上記塗膜形成性樹脂は、必要に応じてジメチルエタノールやトリエチルアミン等の3級アミン等の塩基によって中和され、水に溶解又は分散されていてもよい。
【0068】
上記水性ベース塗料における樹脂成分の内、上記アクリルエマルション樹脂と上記その他の塗膜形成性樹脂との配合割合は、それらの樹脂固形分総量を基準にして、アクリルエマルション樹脂が5〜95重量%、更に好ましくは10〜85重量%、特に好ましくは20〜70重量%であり、その他の塗膜形成性樹脂が95〜5重量%、更に好ましくは90〜15重量%、特に好ましくは80〜30重量%である。エマルション樹脂の割合が5重量%を下回るとタレの抑制及び塗膜外観が低下し、95重量%より多いと塗膜外観が悪くなるおそれがある。
【0069】
上記水性ベース塗料は、クリヤー塗膜とのなじみ防止、塗装作業性を確保するために、粘性制御剤を含有するものであってもよい。上記粘性制御剤としては特に限定されず、一般にチクソトロピー性を示すものを使用でき、例えば、脂肪酸アマイドの膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイドのリン酸塩等のポリアマイド系の化合物、酸化ポリエチレンのコロイド状膨潤分散体等のポリエチレン系等の化合物、有機酸スメクタイト粘土、モンモリロナイト等の有機ベントナイト系の化合物、ケイ酸アルミ、硫酸バリウム等の無機顔料、顔料の形状により粘性が発現する扁平顔料、架橋又は非架橋の樹脂粒子等を粘性制御剤として挙げることができる。
【0070】
本発明に用いられるベース塗料中には、上記成分の他に塗料に通常添加される添加剤、例えば、表面調整剤、酸化防止剤、消泡剤等を配合してもよい。これらの配合量は当業者の公知の範囲であれば特に限定されない。
【0071】
上記水性ベース塗料の製造方法としては特に限定されず、例えば、顔料等の配合物をニーダー又はロール等を用いて混練、分散する方法等の当業者に公知の方法を用いることができる。
【0072】
本発明の塗膜の補修方法は、上記補修用塗料を研ぎ出し部に塗布した後、補修用クリヤー塗料を塗布する工程(3)からなるものである。上記補修用クリヤー塗料としては、補修前に使用したクリヤー塗料を使用することが好ましい。クリヤー塗料は、光輝性顔料に起因するベース塗膜の凹凸、チカチカ等を平滑にしたり、また、ベース塗膜を保護し、外観を向上させるために塗膜形成するものである。上記クリヤー塗料としては特に限定されず、例えば、塗膜形成性樹脂、硬化剤及びその他の添加剤からなるものを挙げることができる。
【0073】
上記塗膜形成性樹脂としては特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、これらはアミノ樹脂及び/又はポリイソシアネート樹脂等の硬化剤と組み合わせて用いることができる。透明性又は耐酸エッチング性等の点から、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂と、アミノ樹脂及び/又はポリイソシアネート樹脂との組み合わせ、又は、カルボン酸−エポキシ基硬化系を有するアクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂等を用いることが好ましい。
【0074】
また、上記塗膜形成性樹脂としては、これらの塗膜形成性樹脂を塩基で中和して水性化した樹脂を使用することもできる。この中和は、重合の前又は後に、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン等の3級アミンを添加することにより行うことができる。
【0075】
上記クリヤー塗料としては、上述した水性ベース塗料を塗装後、ウェット塗膜の状態で塗装するため、塗膜層間のなじみや反転、又は、タレ等の防止のため、粘性制御剤を添加剤として含有することが好ましい。上記粘性制御剤の添加量は、クリヤー塗料の樹脂固形分100質量部に対して、下限0.01質量部、上限10質量部の範囲内であることが好ましい。上記下限は、0.02質量部がより好ましく、0.03質量部が更に好ましい。上記上限は、8質量部がより好ましく、6質量部が更に好ましい。上記添加量が10質量部を超えると、得られる塗膜の外観が低下し、0.01質量部未満であると、粘性制御効果が得られず、塗膜形成時にタレ等の不具合を起こす原因となる。
【0076】
上記クリヤー塗料は、その他添加剤として硬化触媒、表面調製剤等を含有するものであってもよい。
上記クリヤー塗料の塗料形態としては特に限定されず、有機溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルション)、非水分散型、粉体型のいずれでもよい。
【0077】
本発明の塗膜の補修方法における被塗物としては特に限定されず、例えば、金属、プラスチック、発泡体等を挙げることができるが、なかでも特にカチオン電着塗装が可能な金属製品、又は、プラスチック製品が好ましい。上記金属製品としては特に限定されず、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛、及び、これらの金属を含む合金等を挙げることができるが、具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体及び部品等を挙げることができる。これらの金属製品は、予めリン酸塩、クロム塩等で化成処理されたものが好ましく、更に、化成処理されたうえに電着塗装を施されたものが特に好ましい。上記電着塗装としては特に限定されず、例えば、カチオン型、アニオン型の電着塗料のいずれも使用することができる。
【0078】
上記プラスチック製品としては特に限定されず、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等を挙げることができる。具体的には、スポイラー、バンパー、ミラーカバー、グリル、ドアノブ等の自動車用部品等を挙げることができる。これらのプラスチック製品は、トリクロロエタンを用いて蒸気洗浄されたもの又は中性洗剤で洗浄されたものが好ましい。また、更に、静電塗装を可能にするためのプライマー塗装が施されたものがより好ましい。
【0079】
このような金属製品又はプラスチック製品は、電着塗膜又はプライマー塗膜等の上に、更に中塗り塗膜を有するものであることが好ましい。上記中塗り塗膜を形成する中塗り塗料としては特に限定されず、例えば、水性型、溶剤型、粉体型等の当業者によく知られたものを使用することができる。本発明は、本発明の塗膜の補修方法により得られる塗膜を有する自動車車体及び自動車用部品でもある。上記自動車車体及び自動車用部品としては特に限定されず、例えば、上述の自動車車体及び自動車用部品を挙げることができる。
【0080】
本発明の塗膜の補修方法は、以下の工程に従って行われる。まず、工程(1)としてベース塗膜及びクリヤー塗膜からなる複層塗膜の欠陥部をサンドペーパー等によりサンディング処理する。通常、上記サンディング処理により、図2に示したようなクリヤー塗膜の表面だけでなく、ベース塗膜にまで達する研ぎ出し部が得られる。
【0081】
次に、工程(2)として、水性ベース塗料及びアルコール系有機溶剤からなる補修用塗料を塗装する(図3)。上記補修用塗料の塗装方法としては、研ぎ出し部に塗装することが可能な方法であれば特に限定されず、エアスプレー、エアレススプレー等によるスプレー塗装が好適に用いられる。補修用塗料により得られる補修塗膜の膜厚としては特に限定されないが、非補修面と補修面の色調を近づけるために、非補修面に形成されたベース塗膜の膜厚に対して0.5〜1.5の膜厚であることが好ましい。
【0082】
上述のように、スプレー塗装により補修用塗料を塗布した場合、図3に示したようにクリヤー塗膜にダストが付着することがある。従来、このようなダストが付着したままクリヤー塗料を塗装し、非補修面(図4の矢印8)と補修面(矢印10)だけでなく、非補修面とダスト部(矢印9)の色調にも違いが生じるという問題があった。しかしながら、本発明の塗膜の補修方法においては、ベース塗膜と同じ組成からなる補修塗膜が形成されることから、ダスト部及び補修面、共に非補修面と大差ない色調を有する複層塗膜が形成される。
【0083】
通常ベース塗膜は、良好な仕上がり塗膜とするために未硬化の状態でプレヒート工程を行い、塗膜中の水を蒸発させておくことが必要とされる。しかしながら、塗膜の補修は、自動車車体等の組み立て後に行われることが一般的であるため、車体全体を加熱することは困難であった。一方、本発明の塗膜の補修方法において、上記補修用塗料は上述したようなアルコール系有機溶剤を含有するため共沸効果により、塗料に含まれる水の蒸発速度が高まり、プレヒート工程を必要とせずに良好な皮膜を得ることができる。
【0084】
次に、工程(3)として、補修用塗料を塗布した後に補修用クリヤー塗料を塗装する。上記クリヤー塗料を塗装する方法としては特に限定されず、例えば、REAハンドガン等の静電塗装機による静電塗装、エアスプレー、エアレススプレー等によるスプレー塗装等を用いることが好ましい。
上記クリヤー塗料及び補修用クリヤー塗料は、希釈媒体として有機溶剤を用いて、上述した静電塗装機の霧化方式、又は、温度、湿度等の塗装環境等の要因を踏まえた経験的に求められた塗装粘度に調整される。一般に、温度が10℃〜40℃、湿度が10〜98%の範囲での塗装粘度は、12〜50秒(/20℃・No.4フォードカップ)であることが好ましい。塗装粘度が上記範囲外であると、タレ、ワキ等の外観上の不具合が発生し易い。更に好ましくは20〜40秒(/20℃・No.4フォードカップ)である。
【0085】
本発明において、上述のようにして得られた補修塗膜及び補修用クリヤー塗膜からなる複層塗膜は、同時に硬化させる、いわゆる2コート1ベークによって硬化させることが好ましい。この場合、焼き付け乾燥炉を省略することができるため、経済性及び環境面からも好ましい。
上記複層塗膜を硬化させる硬化温度は、120〜160℃の範囲内であることが好ましい。上限を越えると、塗膜が固く脆くなり、下限未満では硬化が充分でない。硬化時間は硬化温度により変化するが、130℃〜150℃で20〜60分が好ましい。硬化の際に使用する機器としては特に限定されず、例えば、IRランプ等の局所的に加熱できる機器を用いることができる
【0086】
本発明の塗膜の補修方法は、ベース塗膜を形成するために使用した水性ベース塗料にアルコール系有機溶剤を加えてなる補修用塗料を使用するため、非補修面と補修面で色調に大きな違いがみられず、色調の微調整を必要としないため、作業性に優れた方法である。また、塗装方法やダストの有無に関わらず、非補修面と同様の色調を有する塗膜を形成することができることから、従来補修が困難であった光輝性顔料を含むベース塗膜の補修に特に好適に用いることができる。更に、本発明で使用する補修用塗料はアルコール系有機溶剤を含有するため、プレヒート工程を必要とせずに良好な皮膜を得ることができる。
【0087】
【実施例】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また、実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味し、「%」は特に断りのない限り「質量%」を意味する。
【0088】
試験板の調製
市販の冷間圧延鋼板(SPCC−SD、日本テストパネル社製、70mm×150mm×0.8mm)に「パワーニクス110」(日本ペイント社製カチオン電着塗料)を用いて乾燥膜厚20μmになるように電着塗装し、水洗後、170℃で20分間加熱して焼き付けた。次に、25秒(No.4フォードカップを使用し、20℃で測定)に予め希釈されたオルガP−30(日本ペイント社製メラミン硬化型中塗り塗料、商品名)を、乾燥膜厚35μmとなるようにエアスプレーで2ステージ塗装し、140℃で30分間焼き付けた後冷却して、下塗り塗膜及び中塗り塗膜を有する試験板を得た。
【0089】
得られた試験板に、アクアレックスAR−2000シルバー(日本ペイント社製メタリック水性ベース塗料)を室温25℃、湿度75%の条件下で、乾燥膜厚15μmとなるようにメタリックベルCOPES−IV型(ABBインダストリー社製水系塗料塗装用回転霧化式静電塗装機)によって2ステージ塗装した。2回の塗布の間に、1.5分間のインターバルセッティングを行った。2回目の塗布後、5分間のインターバルをとって、セッティングを行った。その後、80℃で5分間のプレヒートを行った。
【0090】
プレヒート後、塗装板を室温まで放冷し、クリヤー塗料としてマックフローO−1810クリアー(日本ペイント社製溶剤型クリヤー塗料)を乾燥膜厚40μmとなるようにマイクロマイクロベル(ABBランズバーグ社製回転霧化式静電塗装機)にて1ステージ塗装し、7分間セッティングした。更に、140℃で30分間焼き付けて、試験板上に複層塗膜を形成した。
【0091】
実施例1
上述のようにして得られた試験板を、サンドペーパー1200番を用いてサンディング処理し、図2に示したような研ぎ出し部を作製した。次に、上記アクアレックスAR−2000にイソプロパノールを20質量%となるように添加し、補修用塗料とした。この補修用塗料を図3に示したように、研ぎ出し部にW−88(岩田冷装機社製)を用いて乾燥膜厚15μmになるように、ガンエア圧3Kでスプレー塗装した。得られた補修塗膜の勾配は、1〜5μmであった。
【0092】
室温で10分間放置した後、 マックフローO−1810クリアー(酸−エポキシ硬化系クリヤー塗料)を図4に示したように、W−88(岩田冷装機社製)を用いて乾燥膜厚40μmになるように塗布した。得られた皮膜をIRランプ(トリニティー社製、商品名遠赤外線ランプ10灯式)を用いて、140℃で30分間焼き付けた。
【0093】
実施例2
イソプロパノールの配合量を50%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験板の補修を行った。
【0094】
実施例3
イソプロパノールをメタノールに変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験板の補修を行った。
【0095】
実施例4
メタノールの配合量を50%に変更したこと以外は、実施例3と同様にして試験板の補修を行った。
【0096】
実施例5
イソプロパノールの配合量を10%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験板の補修を行った。
【0097】
実施例6
メタノールの配合量を80%に変更したこと以外は、実施例3と同様にして試験板の補修を行った。
【0098】
比較例1
イソプロパノールを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして試験板の補修を行った。
【0099】
比較例2
アクアレックスAR−2000を塗装後、10分間放置する代わりに80℃で5分間のプレヒートを行ったこと以外は、比較例1と同様にして試験板の補修を行った。
【0100】
比較例3
イソプロパノールに代えて、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃、蒸発速度1)を20質量%添加したこと以外は、実施例1と同様にして試験板の補修を行った。
【0101】
色差
図4に示したように、8(非補修面)の複層塗膜の色調を基準として、9(ダスト部)及び10(補修面)の複層塗膜との色差を測定した。測定は、ミノルタ社製CR300を用いた。結果を表1に示す。
【0102】
目視評価
得られた複層塗膜の補修面及び非補修面の色調を目視で評価した。評価は以下の基準に従って行った。結果を表1に示す。
×:違和感あり
△:若干違和感あり
〇:違和感無し
【0103】
【表1】
Figure 2004267866
【0104】
実施例により得られた補修塗膜を有する試験板は、ダスト部及び補修面において、非補修面と大差ない色調の塗膜を有することが示された。一方、比較例においては、ダスト部及び補修面と非補修面の塗膜を比較すると、色差の数値も大きく、目視でも違和感を感じるほど色調の違いがみられることが分かった。
【0105】
【発明の効果】
本発明により、特別な補修用塗料を使用することなく、塗膜の補修が簡便にできる。また、本発明の塗膜の補修方法により得られた複層塗膜は、補修面、ダスト部、及び、非補修面のそれぞれの箇所において、同一の色調を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベース塗膜、及び、クリヤー塗膜からなる複層塗膜の模式図。
【図2】サンディング処理により欠陥部を取り除いた状態の模式図。
【図3】補修用塗料を研ぎ出し部に塗布した状態の模式図。
【図4】補修用塗料を塗布した後にクリヤー塗料を塗布した状態の模式図。
【符号の説明】
1 下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜
2 ベース塗膜
3 クリヤー塗膜
4 研ぎ出し部
5 補修塗膜
6 ダスト
7 補修用クリヤー塗膜
8 非補修面
8 ダスト部
10 補修面

Claims (5)

  1. 水性ベース塗料により形成されたベース塗膜及びクリヤー塗料により形成されたクリヤー塗膜からなる複層塗膜の欠陥部位をサンディング処理する工程(1)、研ぎ出し部に補修用塗料を塗布する工程(2)、次いで補修用クリヤー塗料を塗布する工程(3)からなる塗膜の補修方法であって、
    前記補修用塗料は、前記水性ベース塗料、及び、水に対する溶解度が無限大で酢酸ブチルの蒸発速度を100としたときの蒸発速度が60以上であるアルコール系有機溶剤からなるものであることを特徴とする塗膜の補修方法。
  2. アルコール系有機溶剤は、メタノール、エタノール又はイソプロパノールからなる群より選択される少なくとも一種である請求項1記載の塗膜の補修方法。
  3. 補修用塗料は、塗料固形分に対し、前記アルコール系有機溶剤を15.0〜60.0質量%含有するものである請求項1又は2記載の塗膜の補修方法。
  4. 請求項1、2又は3記載の塗膜の補修方法により得られた塗膜を有することを特徴とする自動車車体。
  5. 請求項1、2又は3記載の塗膜の補修方法により得られた塗膜を有することを特徴とする自動車用部品。
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