JP2012180537A - 電解槽の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】構成要素として少なくとも陽極、イオン交換膜及び陰極を有する電解槽の製造方法であって、水酸化ナトリウム水溶液を蒸発濃縮することによって発生する蒸発蒸気を凝縮して凝縮水を準備する、準備工程S1と、イオン交換膜及び陰極のうちの少なくとも一つと、凝縮水とを接触させる、接触工程とS2、接触工程とともに、又は、接触工程の後、構成要素を組み立てる、組み立て工程S3とを有する、電解槽の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明の第1の態様は、構成要素として少なくとも陽極、イオン交換膜及び陰極を有する電解槽の製造方法であって、水酸化ナトリウム水溶液を蒸発濃縮することによって発生する蒸発蒸気を凝縮して凝縮水を準備する、準備工程と、イオン交換膜及び陰極のうちの少なくとも一つと当該凝縮水とを接触させる、接触工程と、接触工程とともに、又は、接触工程の後、構成要素を組み立てる、組み立て工程とを有する、電解槽の製造方法である。
第1実施形態に係る本発明は、構成要素として少なくとも陽極、イオン交換膜及び陰極を有する電解槽の製造方法である。
工程S1は、水酸化ナトリウムを蒸発濃縮することによって発生する蒸発蒸気を凝縮して凝縮水を準備する工程である。該工程は、水酸化ナトリウムの製造プロセスから得られた所定濃度の水酸化ナトリウム溶液(水溶液)に対して、蒸発処理を施し、高濃度の水酸化ナトリウム溶液(水溶液)を得る工程を言う。例えば、電解槽を用いて食塩水を電解することにより所定濃度の水酸化ナトリウム水溶液を得ることができるが、得られた水酸化ナトリウム水溶液は、流通効率を向上させるため、通常、複数の蒸発缶を経て蒸発濃縮される。図2に、水酸化ナトリウムの蒸発濃縮工程の一形態を示す。図2に示すように、水酸化ナトリウムの製造プロセスから得られた低濃度の水酸化ナトリウム水溶液は、第三蒸発缶から第二蒸発缶、第一蒸発缶を経て徐々に濃縮され、最終的に高濃度の水酸化ナトリウムとされる。一方、水酸化ナトリウムとは対向流となるように第一蒸発缶から第二蒸発缶、第三蒸発缶に向かって一定圧力の蒸気が流されており、蒸発缶内の蒸発物を伴って系外へと排出されるようにされている。すなわち、蒸気は第一蒸発缶から第二、第三蒸発缶を経て徐々に蒸発物濃度が上昇することとなり、これを凝縮することで、最終的に弱アルカリの凝縮水が得られる。尚、図示した態様では蒸発缶が3つの態様であるが、無論これ以外の数でもなんら問題は無い。また、蒸気による蒸発濃縮に限らず、ヒーターやバーナー等により直接加熱して蒸発濃縮させてもよい。本発明では、この凝縮水を下記工程S2における電解槽の洗浄水、湿潤水として用いることに特徴を有する。
工程S2は、イオン交換膜及び陰極のうちの少なくとも一つと凝縮水とを接触させる工程である。すなわち、工程S2では、工程S1にて準備した凝縮水を、少なくともイオン交換膜の洗浄・湿潤水又は陰極の洗浄水として用いる。工程S2は、イオン交換膜が電極に貼り付く程度にイオン交換膜を凝縮水によって洗浄し、湿潤させる、或いは、陰極表面の塵等が除去される程度に、陰極を凝縮水によって洗浄する工程であればよい。また、この洗浄する工程の際に、電解槽を構成する他の部材(陽極、電解槽枠、背面隔壁、弾性材、ガスケット等)も同時に洗浄することが好ましい。該洗浄により、これら部材が湿潤化するため、イオン交換膜が陽極に張り付き組込みやすくなるという効果も副次的に得られる。
すなわち、洗浄・湿潤水として凝縮水を用いること以外は、従来から行われてきたイオン交換膜の洗浄・湿潤、或いは、陰極の洗浄と同様の操作で工程S2を実施することが可能である。例えば、イオン交換膜や陰極に対して、ホース等を用いて凝縮水を流しかける形態や、凝縮水を噴霧する形態が挙げられる。特に、凝縮水の使用量を削減可能なことから、噴霧により接触させることが好ましい。
工程S3は、工程S2とともに、又は、工程S2の後、構成要素を組み立てる工程である。すなわち、構成要素と凝縮水とを接触させつつ構成要素を組み立てる工程、又は、構成要素と凝縮水との接触が完了した後で構成要素を組み立てる工程である。
該ガスケットとしては、各々、陽極液、陰極液に対して耐性を有するもので、電解槽のシール性を維持するための強度を有するものであれば特に限定されず、各種ゴム系の材料、より具体的には、耐薬品性や硬度よりエチレン・プロピレン・ジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等が挙げられる。
第2実施形態に係る本発明は、水酸化ナトリウムの蒸発濃縮工程において発生する蒸発蒸気を凝縮してなる凝縮水の、電解槽組み立て時の洗浄水及び/又は湿潤水としての使用である。「電解槽組み立て時」とは、上述したように、イオン交換膜の更新時も含む概念である。電解槽組み立て時において、凝縮水を洗浄水及び/又は湿潤水として用いることにより、電解槽の起動前において、系内をアルカリ雰囲気とすることができる。これにより、電解槽を起動させるまでの間における陰極からの金属イオンの溶出が抑制され、電解槽の起動直後において良好な電解性能を発揮させることができる。
第3実施形態に係る本発明は、第1実施形態に係る本発明の製造方法により製造された電解槽に食塩水を供給するとともに、陰極と陽極との間に直流電流を流すことによって食塩水を電解する、水酸化ナトリウム、塩素及び/又は水素の製造方法である。
水酸化ナトリウム水溶液の蒸発濃縮缶から発生した蒸発蒸気を凝縮してなる凝縮水を複数種類用意し、電解槽組み立て時の洗浄・湿潤水として用いて、小型電解実験装置としての電解槽を製造した。電解槽の形態としては、図4で示されるようなゼロギャップ式イオン交換膜食塩電解槽とした。陽極はDSE(ペルメレック社製)を、イオン交換膜はデュポン社製の陽イオン交換膜ナフィオンを、陰極はスズ−ニッケル系の活性陰極を使用した。当該電解槽を用いて食塩電解実験を行った。食塩電解実験においては、まず、陰極室に希薄な水酸化ナトリウム溶液を供給し、ついで、陽極室に精製塩水を供給した。その後、両液の張込みが完了した時点から液循環を行なうとともに予備電解を開始し、一定時間(2時間)経過後、本通電を開始させた。電解槽の通電面積は0.5dm2とし、電解条件は、食塩水供給量が200g/L、水酸化ナトリウムの出口濃度が32%、系内温度が85℃となるように制御し、運転時の電流密度は50A/dm2とした。
電解槽組み立て時の洗浄・湿潤水として単なる純水を用いた以外は、実施例1〜4と同様にして電解槽を製造し、食塩電解実験を行った。
1a 電解槽枠
1b 背面隔壁
1c 陽極
1d リブ
1e 空間
2 イオン交換膜
3 陰極室
3a 電解槽枠
3b 背面隔壁
3c 陰極
3d 弾性材
3e 陰極集電体
3f リブ
3g 空間
4 ガスケット
10 電解槽
10a 電解槽ユニット
Claims (8)
- 構成要素として少なくとも陽極、イオン交換膜及び陰極を有する電解槽の製造方法であって、
水酸化ナトリウム水溶液を蒸発濃縮することによって発生する蒸発蒸気を凝縮して、凝縮水を準備する、準備工程と、
前記イオン交換膜及び前記陰極のうちの少なくとも一つと、前記凝縮水とを接触させる、接触工程と、
前記接触工程とともに、又は、前記接触工程の後、前記構成要素を組み立てる、組み立て工程と、
を有する、電解槽の製造方法。 - 前記接触工程において、少なくとも前記陰極と前記凝縮水とを接触させる、請求項1に記載の電解槽の製造方法。
- 前記凝縮水は、水酸化ナトリウムが含まれるとともにpHが8.0以上9.5以下である、請求項1又は2に記載の電解槽の製造方法。
- 前記電解槽が、電気分解によって食塩水から少なくとも水酸化ナトリウムを製造するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解槽の製造方法。
- 前記陰極が、ニッケル及びスズを含む活性陰極である、請求項4に記載の電解槽の製造方法。
- 前記電解槽が、ゼロギャップ式イオン交換膜食塩電解槽である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解槽の製造方法。
- 水酸化ナトリウムの蒸発濃縮工程において発生する蒸発蒸気を凝縮してなる凝縮水の、電解槽組み立て時の洗浄水及び/又は湿潤水としての使用。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により製造された電解槽に食塩水を供給するとともに、前記陰極と前記陽極との間に直流電流を流すことによって前記食塩水を電解する、水酸化ナトリウム、塩素及び/又は水素の製造方法。
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