JP2012180486A - ポリアミド低重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のポリアミド低重合体の製造方法は、以下の工程(i)および(ii)を含むことを特徴とする。
工程(i):水の存在下でジカルボン酸とジアミンを反応させ、塩と水との混合物を得る工程。
工程(ii):工程(i)で得られた塩を用いて、高分子量化した場合に得られるポリアミドの融点未満の温度で低重合体の生成反応をおこないながら低重合体を破砕する工程。
【選択図】なし
Description
(1)以下の工程(i)および(ii)を含むことを特徴とする、ジカルボン酸およびジアミンを主成分とするポリアミド低重合体の製造方法。
工程(i):水の存在下でジカルボン酸とジアミンを反応させ、塩と水との混合物を得る工程。
工程(ii):工程(i)で得られた塩を用いて、高分子量化した場合に得られるポリアミドの融点未満の温度で低重合体の生成反応をおこないながら低重合体を破砕する工程。
(2)工程(i)を、モノマーとしてのジカルボン酸およびジアミンの合計100質量部に対して、5質量部を超える量の水の存在下でおこなうことを特徴とする(1)のポリアミド低重合体の製造方法。
(3)工程(ii)において、破砕混合物の体積平均粒径が5mm以下になるように破砕することを特徴とする(1)または(2)のポリアミド低重合体の製造方法。
(4)工程(ii)を、大気圧以上の圧力下でおこなうことを特徴とする(1)〜(3)いずれかのポリアミド低重合体の製造方法。
(5)工程(ii)において、低重合体の破砕を0.02kW/kg以上の攪拌動力/仕込み量でおこなうことを特徴とする(1)〜(4)のポリアミド低重合体の製造方法。
(6)(1)〜(5)で得られたポリアミド低重合体を高分子量化することによりポリアミドを得ることを特徴とするポリアミドの製造方法。
本発明においては、ジカルボン酸とジアミンとを、主成分のモノマーとして用いるものである。
工程(i):水の存在下でジカルボン酸とジアミンを反応させ、塩と水との混合物を得る工程。
工程(ii):工程(i)で得られた塩を、高分子量化した場合に得られるポリアミドの融点未満の温度で低重合体の生成反応をおこないながら低重合体を破砕し、ポリアミド低重合体を得る工程。
(1)モノマーの反応率
ポリアミド30mgにメタノール10mLを加え、懸濁液を作製した。この懸濁液を、1時間放置し、ディスクフィルターで濾過し、試料溶液を作製した。その後、この試料溶液を質量分析計付帯のガスクロマトグラフィー装置(アジレント・テクノロジー社製、商品名「Agilent 6890N」)で分析した。そして、原料モノマーのジアミンを標準試料として作成した検量線を用いて、ポリアミド中の未反応ジアミンを定量し、ジアミンの反応率を計算した。
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製 、LA920)を用いて測定した。なお、破砕混合物の体積平均粒径は、工程(ii)の直後にサンプリングしたものを用いた。
ポリアミド5mgに10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノール2mLを加えて溶解させて得られた溶解液を、ディスクフィルターで濾過し、試料溶液を調製した。この試料溶液を、示差屈折率検出器(東ソー社製、商品名「RI−8010」)を備えたゲル浸透クロマトグラフィ装置(GPC、東ソー社製)で分析した。溶離液として10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノールを用いた。分析条件は流速0.4mL/min、温度40℃とした。そして、ポリメチルメタクリレート(ポリマーラボラトリーズ社製)を標準試料として作成した検量線を用いて、重量平均分子量および数平均分子量を求め、(重量平均分子量)/(数平均分子量)の比を分子量分布とした。
サンプル10mgを、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、商品名「DSC−7」)を用いて、常温から350℃まで20℃/分で昇温し、5分間保持した。その後、500℃/分で25℃まで降温し、5分間保持後、400℃まで20℃/分で昇温した。2回目の昇温時に得られた曲線の融解に由来するピークの頂点を融点温度とした。
日本電色工業社製、商品名「Σ90 color measuring system」を用いて、C/2光源、反射にてL値を測定した。
ポリアミド10mgに47%臭化水素酸を3mL加え、130℃で16時間加熱後、室温まで放冷した。そこに20%水酸化ナトリウム水溶液を5mL加えて試料溶液をアルカリ性にした後、分液ロートに移してクロロホルムを8mL加えて撹拌した後静置し、クロロホルム相を採り、濃縮した。これにクロロホルム1.5mLを加え、これをメンブランフィルターで濾過したものを測定試料とした。この測定試料を、質量分析計を備えたガスクロマトグラフィー装置(アジレント・テクノロジー社製、商品名「Agilent 6890N」)で分析した。ジアミンとトリアミンを標準試料として作成した検量線を用いて、ポリアミド中のジアミンとトリアミンを定量し、ジアミンに対するトリアミンのモル比を算出した。ジアミンの標準物質は、重合に用いたジアミンを用いた。また、トリアミンの標準物質は、酸化パラジウムを触媒として、重合に用いたジアミンをオートクレーブ中にて240℃で3時間加熱攪拌して反応させて得たトリアミン化合物を用いた。
[工程(i)]
ジカルボン酸としてテレフタル酸58.8質量部、ジアミンとして1,6−ジアミノヘキサン41.2質量部、触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物0.12質量部、末端封鎖剤として安息香酸0.34質量部、水100.4質量部からなる混合物(ジカルボン酸:ジアミン:触媒:末端封鎖剤=50:50:0.16:0.39、モル比)を、ダブルヘリカル撹拌翼を備えたオートクレーブ中で、窒素雰囲気下、100℃において、1時間、20回転/分で撹拌した。
工程(i)で得た塩の水溶液を、上記のダブルヘリカル撹拌翼を備えたオートクレーブにて、窒素雰囲気下、20回転/分で攪拌しながら、230℃まで昇温した。温度230℃で3時間保ち、生成した低重合体を破砕しながら攪拌し、粉末状のポリアミド低重合体を得た。その後、反応により生じた水蒸気を放圧し、オートクレーブの圧力を常圧に戻した。そして、オートクレーブの排出バルブから水を留去させた。
工程(ii)で得られたポリアミド低重合体を250℃まで昇温した。温度を250℃に保ち、窒素気流下、5時間かけて固相重合をおこないポリアミドを得た。
工程(i)における水の添加量を10質量部、工程(ii)における温度を270℃、工程(ii)における圧力を3.3MPaに変更した以外は、実施例1と同様に行って、粉末状のポリアミドを得た。
工程(ii)における温度を150℃、圧力を0.5MPaに変更し、工程(iii)の温度を230℃に変更した以外は、実施例2と同様に行って、粉末状のポリアミドを得た。
ジアミンを1,10−デカンジアミン、工程(i)における水の添加量を15質量部に変更し、工程(ii)における温度を210℃、圧力を1.9MPaに変更し、工程(iii)における温度を180℃に変更した以外は、実施例1と同様に行って、粉末状のポリアミドを得た。
ジアミンを1,9−ノナンジアミンに変更し、工程(iii)における温度を230℃に変更した以外は実施例4と同様に行って、粉末状のポリアミドを得た。
ジアミンを1,12−ドデカンジアミンに変更し、工程(iii)における温度を270℃に変更した以外は実施例4と同様に行って、粉末状のポリアミドを得た。
工程(i)における水の添加量を15質量部、工程(ii)における攪拌動力/仕込み量を0.01kW/kgに変更した以外は、実施例1と同様に行って、粉末状のポリアミドを得た。
工程(i)における水の添加量を4質量部とし、工程(ii)における温度を210℃とし、工程(ii)における圧力を0.8MPaとした以外は、実施例1と同様に行って、粉末状のポリアミドを得た。
原料モノマー、工程(i)、(ii)および(iii)の条件を表1に示すように変更した以外は、実施例4と同様におこなって粉末状のポリアミド低重合体を得た。なお、実施例9および実施例10においては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸およびイソフタル酸を用いた。この場合のテレフタル酸とイソフタル酸の比率は、テレフタル酸/イソフタル酸=80/20(モル比)であった。
水の添加量を40質量部に変更し、工程(iii)を以下のように変更した以外は、実施例4と同様に行って、ペレット状のポリアミドを得た。
[工程(iii)]
工程(ii)で得られたポリアミド低重合体を、二軸押出機(30mmφ、L/D=45、2ベント)に供給して溶融重合に付し、ペレット状のポリアミドを得た。二軸押出機のシリンダー温度を330℃に設定し、樹脂温度を325〜330℃に調節した。平均滞留時間は3分に設定した。ホッパーは酸素含有量が50ppm以下の窒素ガスでシールした。また、第1ベントは開放し、前記の窒素ガスでシールし、第2ベントは真空ポンプを使用して50mmHgの減圧度を保った。スクリュー回転数は40rpmに設定し、ホッパーからの低重合体の供給量は1kg/時間とした。
工程(ii)を以下のように変更する以外は、実施例1と同様に行った。
[工程(ii)]
撹拌速度は20回転/分のまま昇温し、圧力を1.9MPa、温度を210℃で3時間保ち、アンカー型の攪拌翼を用いて破砕せずに攪拌し、ポリアミド低重合体の塊状物を得た。その後、反応により生じた水蒸気を放圧し、オートクレーブの圧力を常圧に戻した。
工程(ii)を以下のように変更し、工程(iii)における温度を230℃に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
[工程(ii)]
撹拌速度は20回転/分のまま昇温し、圧力を3.5MPa、温度をポリアミドの融点以上である400℃で3時間保ち、ポリアミド低重合体の溶融物を得た。その後、反応により生じた水蒸気を放圧し、オートクレーブの圧力を常圧に戻した。
工程(i)、(ii)を以下のように変更する以外は、実施例1と同様に行った。
[工程(i)および(ii)]
ジカルボン酸としてテレフタル酸58.8質量部、ジアミンとして1,6−ヘキサンジアミン41.1質量部、触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物0.12質量部、末端封鎖剤として安息香酸0.34質量部からなる混合物(ジカルボン酸:ジアミン:触媒:末端封鎖剤=50:50:0.16:0.39、モル比)を、ダブルヘリカル撹拌翼を備えたオートクレーブで、窒素雰囲気下、100℃、1時間、20回転/分で撹拌し、粉末状のポリアミド低重合体を得た。続いて、この塩を上記オートクレーブにて実施例1における工程(ii)と同様の反応を行った。
HA:1,6−ヘキサンジアミン
DA:1,10−デカンジアミン
NA:1,9−ノナンジアミン
DDA:1,12−ドデカンジアミン
TPA:テレフタル酸
実施例7および8は、攪拌動力が0.02kW/kg未満に制御されていたため、水の添加量が好ましい範囲であっても、得られたポリアミド低重合体の体積平均粒径が5mmを超えるものとなった。そのため、分子量分布が若干広いものとなったが、十分に実使用に耐えうるものであった。
Claims (6)
- 以下の工程(i)および(ii)を含むことを特徴とする、ジカルボン酸およびジアミンを主成分とするポリアミド低重合体の製造方法。
工程(i):水の存在下でジカルボン酸とジアミンを反応させ、塩と水との混合物を得る工程。
工程(ii):工程(i)で得られた塩を用いて、高分子量化した場合に得られるポリアミドの融点未満の温度で低重合体の生成反応をおこないながら低重合体を破砕する工程。 - 工程(i)を、モノマーとしてのジカルボン酸およびジアミンの合計100質量部に対して、5質量部を超える量の水の存在下でおこなうことを特徴とする請求項1に記載のポリアミド低重合体の製造方法。
- 工程(ii)において、破砕混合物の体積平均粒径が5mm以下になるように破砕することを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド低重合体の製造方法。
- 工程(ii)を、大気圧以上の圧力下でおこなうことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のポリアミド低重合体の製造方法。
- 工程(ii)において、低重合体の破砕を0.02kW/kg以上の攪拌動力/仕込み量でおこなうことを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のポリアミド低重合体の製造方法。
- 請求項1〜5で得られたポリアミド低重合体を高分子量化することによりポリアミドを得ることを特徴とするポリアミドの製造方法。
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