本発明に係る放射線撮像装置の好適な実施形態について、図1〜図32を参照しながら以下詳細に説明する。
[第1実施形態に係る放射線撮像装置の構成の説明]
先ず、第1実施形態に係る放射線撮像装置としての電子カセッテ20Aについて、図1〜図12を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aが適用される放射線撮像システム10の構成図である。
放射線撮像システム10は、ベッド等の撮影台12に横臥した被写体14である患者に対して、放射線16を照射する放射線源18と、被写体14を透過した放射線16を検出して放射線画像に変換する電子カセッテ20Aと、放射線源18及び電子カセッテ20Aを制御するコンソール22と、放射線画像を表示する表示装置24とを備える。
コンソール22と電子カセッテ20Aと表示装置24との間には、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、IEEE802.60.a/b/g/n等の無線LAN(Local Area Network)、又は、ミリ波等を用いた無線通信により信号の送受信が行われる。なお、ケーブルを用いた有線通信により信号の送受信を行ってもよい。
コンソール22には、病院内の放射線科において取り扱われる放射線画像やその他の情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS)26が接続され、RIS26には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)28が接続されている。
図2は、図1に示す電子カセッテ20Aの斜視図である。
電子カセッテ20Aは、撮影台12と被写体14との間に配置される略矩形状(六面体)の筐体29を有する。
筐体29は、中空の角筒状のハウジング本体30と、ハウジング本体30の開口部分を両側から閉塞する2つの蓋部材32、34とを有するモノコック構造の筐体であり、外部からの応力(例えば、筐体29の落下、被写体14からの荷重、外部からの衝撃)を筐体29全体として受ける構造となっている。また、筐体29(のハウジング本体30及び蓋部材32、34)は、放射線16を透過可能なカーボンやプラスチック等の材料から形成されている。
被写体14が横臥する筐体29の上面は、放射線16が照射される照射面36とされている。照射面36には、被写体14の撮像領域及び撮像位置を示すガイド線38が形成され、ガイド線38の外枠は、放射線16の最大照射範囲(照射野)を示す撮像可能領域40とされている。また、ガイド線38の中心位置(十字状に交差する2本のガイド線38の交点)は、該撮像可能領域40の中心位置である。
図2〜図4に示すように、ハウジング本体30を構成する4つの側面42a〜42dのうち、側面42aと側面42bとの間にはx方向に沿って中空部41が形成され、中空部41に連通する側面42aの開口部44aを蓋部材32で閉塞すると共に、中空部41に連通する側面42bの開口部44bを蓋部材34で閉塞することにより、筐体29が構成される。従って、筐体29は、照射面36と、蓋部材32の側面52と、蓋部材34の側面81と、ハウジング本体30の2つの側面42c、42dを含む2つの側面43、45と、ハウジング本体30の底面47を含む底面46とを有する六面体として構成される。
また、ハウジング本体30の底面47(も含む筐体29の底面46)には、円形状の蓋部材48が複数のネジ部材(取付部材)50によって該底面46と略面一となるように取り付けられている。
蓋部材32のx2方向側の側面52には、電子カセッテ20Aを起動するための電源スイッチ54、各種情報を表示するディスプレイ(残量通知部)56、外部から充電を行なうためのACアダプタの入力端子58、外部機器との間で情報の送受信が可能なインターフェース手段としてのUSB(Universal Serial Bus)端子60、PCカード等のメモリカード62を装填するためのカードスロット64、及び、電子カセッテ20Aの各種の状況等を表示するLED等のインジケータ(残量通知部)66が配設されている。
なお、入力端子58は、図示しないクレードルに電子カセッテ20Aを充電する際に使用されるものであり、図1のような電子カセッテ20Aを用いた被写体14の撮像時には使用されない。また、後述するように、電子カセッテ20Aが電源部を交換することにより撮像に必要な電力量を確保するような場合には、上述の入力端子58は不要である。
さらに、電子カセッテ20Aでは、インジケータ66とディスプレイ56とが配設されているが、インジケータ66の表示機能をディスプレイ56が代行することで、インジケータ66を不要にすることができる。また、ディスプレイ56での一部の表示機能をインジケータ66が代行することで、ディスプレイ56を不要にすることもできる。
蓋部材32は、側面52を備え且つ電源スイッチ54、ディスプレイ56、入力端子58、USB端子60、カードスロット64及びインジケータ66が配設された蓋本体68と、該蓋本体68のx1方向側に形成され、開口部44aに嵌合可能な挿入部70と、挿入部70のy方向に沿った両端から開口部44aに向かって突出する係合片72とから構成されている。また、2つの係合片72の外側面(図4の左側の係合片72ではy1方向の側面、及び、右側の係合片72ではy2方向の側面)には係合凸部74が形成され、ハウジング本体30内壁の開口部44a側には、係合凸部74に係合可能な係合凹部76が形成されている。
従って、蓋部材32をx1方向に進行させて、開口部44aと挿入部70とを嵌合させ、且つ、ハウジング本体30の中空部分に進入した2つの係合片72の係合凸部74と係合凹部76とをそれぞれ係合させると、蓋部材32とハウジング本体30とを一体化した状態で開口部44aを蓋部材32により閉塞することができる。
一方、蓋部材34は、電源スイッチ54、ディスプレイ56、入力端子58、USB端子60、カードスロット64及びインジケータ66が配設されていない点を除いては、前述の蓋部材32と略同じ構成である。すなわち、蓋部材34は、蓋本体68と略同一形状であり且つ側面52と対向するx1方向の側面81を有する蓋本体80と、該蓋本体80のx2方向側に形成され、開口部44bに嵌合可能な挿入部82と、挿入部82のy方向に沿った両端から開口部44bに向かって突出する係合片84とから構成されている。また、2つの係合片84の外側面(図4の左側の係合片84ではy1方向の側面、及び、右側の係合片84ではy2方向の側面)にも係合凸部86が形成され、ハウジング本体30内壁の開口部44b側には、係合凸部86に係合可能な係合凹部88が形成されている。
従って、蓋部材32の場合と同様に、蓋部材34をx2方向に進行させて、開口部44bと挿入部82とを嵌合させ、且つ、ハウジング本体30の中空部分に進入した2つの係合片84の係合凸部86と係合凹部88とをそれぞれ係合させると、蓋部材34とハウジング本体30とを一体化した状態で開口部44bを蓋部材34により閉塞することができる。
ここで、筐体29の底面46の略中央部に取り付けられた蓋部材48について、図3及び図5A〜図7を参照しながら説明する。
蓋部材48は、図5A及び図5Bに示すように、平面視で、電子カセッテ20Aのx方向に沿った中心軸90xと、y方向に沿った中心軸90yとの交点である投影点92を含むように底面46に取り付けられている。後述するように、略矩形状の筐体29内には、電子カセッテ20Aの各種の構成要素が、平面視で、投影点92を中心に配置されている。そのため、該投影点92は、電子カセッテ20A及び筐体29の幾何学的中心位置の底面46への投影点であると共に、電子カセッテ20A及び筐体29の重心位置の底面46への投影点でもある。なお、蓋部材48の形状は、図3及び図5Aのような円形状に限定されるものではなく、図5Bのように、矩形状であってもよい。
また、蓋部材48は、筐体29の底面46側に形成された開口部98を介して、電子カセッテ20Aの電源である電源部94がハウジング本体30の中空部分に配置された後に、開口部98を閉塞するための部材である。従って、開口部98も、平面視で、投影点92を含むように形成されている。なお、電源部94を交換する際には、ハウジング本体30から蓋部材48を取り外して開口部98を露出させ、前記中空部分と外部とをアクセス可能とした状態にすれば、電源部94の交換が実施可能となる。
ここで、ハウジング本体30に対する蓋部材48の取付構造について、図6を参照しながら具体的に説明する。
図6に示すように、蓋部材48には複数の孔96が形成されている。各孔96は、ネジ部材50の頭部50aを収容可能な凹部96aと、ネジ部材50の軸部50bが挿通可能な孔部96bとからそれぞれ構成されている。一方、ハウジング本体30における開口部98近傍の箇所には、蓋部材48を収容可能な段差部100と、段差部100における複数の孔96と対向する箇所に形成され、且つ、軸部50bと螺合する複数のネジ穴102とが形成されている。
従って、図6のように、開口部98と蓋部材48とを離間させて、ハウジング本体30の中空部分と外部とをアクセス可能とした状態において、電源部94を開口部98を介して前記中空部分に配置し、次に、段差部100に蓋部材48を配置して、各孔96と各ネジ穴102との位置合わせを行った後に、ネジ部材50の軸部50bを孔部96bに挿通させ、図示しないドライバーを用いて各ネジ部材50の軸部50bと各ネジ穴102とをそれぞれ螺合させることにより、ハウジング本体30内部に電源部94を収容させると共に、蓋部材48で開口部98を閉塞して、底面46と略面一に蓋部材48をハウジング本体30に取り付けることができる。なお、電源部94は、図5A及び図5Bの平面視で示すように、投影点92を含むようにハウジング本体30の中空部分に配置されていればよい。
一方、ハウジング本体30から電源部94を取り出す場合には、前記ドライバーを用いてネジ穴102及び孔96からネジ部材50を取り外し、次に、段差部100から蓋部材48を離間させて開口部98を露出させ、ハウジング本体30の中空部分と外部とをアクセス可能な状態にすればよい。
上記のように、図5A及び図5Bの平面視で、蓋部材48と電源部94とが重なり合うので、図7に示すように、蓋部材48の開口部98側に電源部94を固定するための固定部材104を配設してもよい。固定部材104は、電源部94の側面及び上面の一部を覆うように配設された断面略L字状の部材であり、蓋部材48と共働して電源部94を該蓋部材48の開口部98側に固定する。
これにより、蓋部材48を段差部100に配置して、各孔96と各ネジ穴102との位置合わせを行った後に、前記ドライバーを用いて各ネジ部材50の軸部50bと各ネジ穴102とをそれぞれ螺合させれば、ハウジング本体30の中空部分における開口部98側の箇所(蓋部材48の箇所)に電源部94を配置することが可能となる。
図8〜図10は、筐体29内を図示した電子カセッテ20Aの断面図である。
ハウジング本体30の開口部44a、44bを2つの蓋部材32、34でそれぞれ閉塞することにより、筐体29内には、中空部41である室110が形成される。
室110の中央部には基台112が配置され、該基台112の表面114(照射面36側の面)には、ハウジング本体30の照射面36側を透過して室110に入射した放射線16を放射線画像に変換する放射線変換パネル116が配置されている。
放射線変換パネル116は、図8の平面視で、基台112よりも僅かに小さな平面積を有し、撮像可能領域40に対応する程度の大きさであることが望ましい。なお、基台112は、図示しない支持部材によって室110の中央部で支持されている。また、放射線変換パネル116は、図示しない固定手段によって基台112に固定されてもよいし、ハウジング本体30の照射面36側の内壁に接着されてもよい。
また、図8の平面視で、室110では、投影点92を中心として、電源部94、蓋部材48、放射線変換パネル116及び基台112が配置されている。すなわち、平面視では、放射線変換パネル116及び基台112の中心位置(投影点92)に電源部94及び蓋部材48が配置されている。
放射線変換パネル116は、放射線16を可視光等の他の波長の電磁波に変換するシンチレータ118と、該シンチレータ118により変換された電磁波を電気信号に変換する光電変換層120とから構成された、いわゆる間接変換型の放射線検出器である。
また、シンチレータ118と光電変換層120とは、熱による反りの発生を考慮して、分離可能な状態で積層してもよい。あるいは、シンチレータ118に光電変換層120を直接形成するか、又は、光電変換層120にシンチレータ118を直接形成してもよい。
なお、図9及び図10では、放射線16の照射方向に沿って光電変換層120とシンチレータ118との順に配置された表面読取方式としてのISS(Irradiation Side Sampling)方式の放射線検出器を図示しているが、放射線16の照射方向に沿ってシンチレータ118と光電変換層120との順に配置された、裏面読取方式であるPSS(Penetration Side Sampling)方式の放射線検出器であってもよい。また、シンチレータ118としては、例えば、ヨウ化セシウム(CsI)又はガドリニウム・オキサイド・サルファ(GOS)から構成されるシンチレータを用いればよい。さらに、第1実施形態では、上述した間接変換型の放射線検出器に代えて、シンチレータ118を用いずに放射線16を電気信号に直接変換する、いわゆる直接変換型の放射線検出器を使用することも可能である。以下の説明では、ISS方式の放射線変換パネル116を用いた場合について説明する。
また、放射線変換パネル116(の光電変換層120)のy1方向の側面には、光電変換層120を駆動するための制御信号を光電変換層120に供給するための複数のフレキシブル基板122が所定間隔毎に配置され、各フレキシブル基板122には、前記制御信号を生成する駆動用IC(駆動回路部)124がそれぞれ配置されている。一方、放射線変換パネル116(の光電変換層120)のx1方向の側面には、制御信号の供給によって駆動された光電変換層120から放射線画像に応じた電気信号を読み出すための複数のフレキシブル基板126が所定間隔毎に配置され、各フレキシブル基板126には、前記電気信号を読み出して所定の信号処理を行う読出用IC(読出回路部)128がそれぞれ配置されている。
基台112の裏面129(底面46側の面)には、前述した電源部94が配置されている。この場合、電源部94は、基台112と接触するように配置されてもよいし、基台112の裏面129側に設けられた図示しない連結部材に連結されてもよい。また、基台112の裏面129における電源部94の周囲には、該電源部94を取り囲むように(避けるように)、複数の回路基板130が取り付けられ、該回路基板130には電子部品132が配設されている。図9に示すように、一部の回路基板130には、フレキシブル基板126が接続され、一方で、図10に示すように、他の回路基板130には、フレキシブル基板122が接続されている。
なお、放射線16の照射による電源部94と回路基板130及び電子部品132との劣化を防止するために、基台112は、放射線16を遮蔽可能な鉛板で構成されてもよいし、あるいは、鉛を含むように構成されてもよい。
図11は、電子カセッテ20Aのブロック構成図である。
光電変換層120は、放射線16(図1、図2、図9及び図10参照)を電荷に変換して蓄積可能なpin型のフォトダイオードやフォトトランジスタ等の光電変換素子140と、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(Thin Film Transitor;TFT)142とを有する。なお、図11では、光電変換素子140がpin型のフォトダイオードである場合を図示している。
この場合、光電変換層120では、ガラス又は樹脂からなる基板の一面に複数の信号線144とゲート線146とを互いに交差させるように配設し、各ゲート線146と各信号線144とにより区画された小領域に光電変換素子140とTFT142とをそれぞれ設けることで、前記基板に複数の光電変換素子140及び複数のTFT142を二次元マトリクス状に配列させている。また、1つの光電変換素子140には1本のバイアス線148が接続され、各バイアス線148は、1本の結線150を介してバイアス電源172に接続されている。
ここで、光電変換素子140のアノード電極は、バイアス線148に接続され、カソード電極は、TFT142のソース電極Sに接続されている。一方、TFT142のゲート電極Gは、ゲート線146を介してゲート駆動回路152に接続され、ドレイン電極Dは、信号線144を介して信号読出回路154に接続されている。この場合、ゲート駆動回路152は、複数の駆動用IC124に対応する放射線変換パネル116を駆動するための駆動回路部であり、一方で、信号読出回路154は、複数の読出用IC128に対応する放射線画像に応じた電気信号を読み出す読出回路部である。
バイアス電源172は、結線150及び各バイアス線148を介して各光電変換素子140に逆方向にバイアス電圧(逆バイアス電圧)を印加する。なお、図11では、pin型の光電変換素子140のp層側にアノード電極を介してバイアス線148が接続されているので、バイアス電源172からは、光電変換素子140のアノード電極に結線150及びバイアス線148を介して逆バイアス電圧として負の電圧(カソード電極よりも所定電圧以上低い電圧であればよい。)が印加されるようになっている。なお、光電変換素子140のpin型の積層順を逆に形成して(光電変換素子140の極性が逆となるように形成して)カソード電極にバイアス線148を接続する場合には、バイアス電源172からはカソード電極に逆バイアス電圧として正の電圧(アノード電極よりも所定電圧以上高い電圧であればよい。)が印加される。その場合には、図11における光電変換素子140のバイアス電源172に対する接続の向きが逆向きになる。
ゲート駆動回路152からゲート線146を介してTFT142のゲート電極Gに信号読み出し用の電圧(制御信号)が印加されると、TFT142のゲートが開き、光電変換素子140に蓄積された電荷、すなわち、電気信号(放射線画像信号)が、TFT142のソース電極Sを介してドレイン電極Dから信号線144に読み出される。
信号読出回路154では、各信号線144に対して、増幅器160、サンプルホールド回路162、マルチプレクサ164及びAD変換器166が順に接続されている。従って、各信号線144を介して読み出された電気信号は、チャージアンプからなる増幅器160によって増幅され、サンプルホールド回路162によってサンプリングされた後、マルチプレクサ164を介してAD変換器166に順次供給され、デジタル信号(デジタル値)に変換される。AD変換器166は、デジタル値に変換された各光電変換素子140の電気信号を後述するカセッテ制御部174に順次出力する。
また、電子カセッテ20Aは、装置全体を制御するための制御部170を有する。
制御部170は、前述した電源スイッチ54、ディスプレイ56、入力端子58、USB端子60、カードスロット64、インジケータ66、電源部94及びバイアス電源172に加え、放射線変換パネル116、ゲート駆動回路152及び信号読出回路154等を制御するカセッテ制御部174と、コンソール22との間で無線通信により信号の送受信を行う通信部176とを有する。
電源部94は、電源回路178と電源(蓄電部)180とを有する。電源180は、バッテリ又はキャパシタ(例えば、電気二重層キャパシタ)等の蓄電手段である。また、電源回路178は、電源180の電圧を所望の電圧に変換して電子カセッテ20A内の各部に供給可能なDC/DCコンバータ等の電力変換回路である。
カセッテ制御部174は、マイクロコンピュータを含む計算機であり、図示しないCPUがROMに記録されているプログラムを読み出し実行することで各種機能を実現する。
具体的に、カセッテ制御部174は、画像メモリ182、残量検出部184及び記憶部186を有する。画像メモリ182は、放射線変換パネル116から信号読出回路154を介して取得した放射線画像を記憶する。残量検出部184は、電源180の現在の残量を検出する。記憶部186は、電子カセッテ20Aを特定するためのカセッテID情報を記憶する。
なお、制御部170中、バイアス電源172、カセッテ制御部174及び通信部176は、前述した回路基板130に搭載される電子部品132によって実現される。
[第1実施形態に係る放射線撮像装置の動作]
次に、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aを含む放射線撮像システム10の動作について、図12のフローチャートに従って説明する。なお、この動作説明では、必要に応じて、図1〜図11も参照しながら説明する。
ステップS1において、ユーザは、病院内の放射線科等の所定の保管場所から撮影台12(図1参照)にまで電子カセッテ20Aを運搬する。この場合、電子カセッテ20Aは、電源部94(図5A〜図11参照)がカセッテ制御部174にのみ電力供給を行って、該カセッテ制御部174のみが動作しているスリープ状態である。
次に、ユーザは、照射面36を上方に向けた状態で電子カセッテ20Aを撮影台12に配置した後に、電源スイッチ54を投入する。これにより、先ず、カセッテ制御部174は、該カセッテ制御部174に加え、ディスプレイ56、インジケータ66及び通信部176にも電力供給を行うように電源部94を制御する。この結果、ディスプレイ56は、電子カセッテ20Aの起動を画面表示する。また、インジケータ66は、LED等によって電子カセッテ20Aの起動を示す発光を行う。ユーザは、ディスプレイ56の画面表示又はインジケータ66の発光を視認することにより、電子カセッテ20Aが起動したことを把握することができる。さらに、通信部176は、コンソール22との間での無線による信号の送受信が可能となる。
次に、ユーザは、コンソール22を操作することにより、撮像対象である被写体14に関わる被写体情報等の撮像条件(例えば、放射線源18の管電圧や管電流、放射線16の曝射時間)を含めた撮影オーダを登録する。なお、撮像枚数や撮像部位や撮像方法が予め決まっている場合に、ユーザは、これらの条件も撮影オーダに含めて登録しておく。前述のように、コンソール22と通信部176との間は、無線による信号の送受信が可能であるため、カセッテ制御部174は、通信部176を介して無線通信によりコンソール22に撮影オーダの送信を要求し、コンソール22は、電子カセッテ20Aからの送信要求に応じて、前記撮影オーダを無線通信により電子カセッテ20Aに送信する。
通信部176で受信された前記撮影オーダは、記憶部186に記憶される。次に、カセッテ制御部174の残量検出部184は、電源180の現在の残量を検出し、検出した残量をディスプレイ56に画面表示する。ユーザは、ディスプレイ56の画面表示を視認することで、電源180の現在の残量を容易に把握することができる。
次に、カセッテ制御部174は、電源180の現在の残量が、記憶部186に記憶された撮影オーダに応じた分の残量以上であるか否かを判断する(ステップS2)。
ここで、現在の残量が撮影オーダに応じた分の残量に満たない場合(ステップS2:NO)、カセッテ制御部174は、撮像に必要な電力量が確保されていない、すなわち、現在の残量では撮影オーダに従った撮像を遂行することができないと判断し、次に、ディスプレイ56に対して電源部94の交換を外部に通知するための画面表示を行わせると共に、インジケータ66に対して電源部94の交換を外部に通知するための発光を行わせる。ユーザは、ディスプレイ56の画面表示又はインジケータ66の発光を視認することにより、電源部94の交換が必要と直ちに把握し、次に、電源部94の交換作業を実施する。
すなわち、ステップS3において、ユーザは、先ず、電源スイッチ54を押す。これにより、カセッテ制御部174は、該カセッテ制御部174にのみ電力供給を行うよう電源部94を制御し、この結果、電子カセッテ20Aは、スリープモードに移行する。
次に、ユーザは、撮影台12上で電子カセッテ20Aの天地を逆転し、底面46を上方に向けた状態で、図示しないドライバーを用いてネジ穴102及び孔96からネジ部材50を取り外し、段差部100から蓋部材48を離間させて開口部98を露出させる。これにより、ハウジング本体30の中空部分(室110)と外部とのアクセスが可能な状態に至る。
この状態で、ユーザは、撮影オーダに応じた残量に満たない電源部94をハウジング本体30から開口部98を介して取り出し、次に、撮影オーダに応じた残量以上の電源180(例えば、満充電の電源180)を備えた新たな電源部94を、開口部98を介してハウジング本体30内の所定位置(交換前の電源部94の配置箇所)に配置する。次に、ユーザは、段差部100に蓋部材48を配置して、各孔96と各ネジ穴102との位置合わせを行った後、ネジ部材50の軸部50bを孔部96bに挿通させ、前記ドライバーを用いて軸部50bとネジ穴102とを螺合させ、底面46と蓋部材48とが略面一となるように蓋部材48で開口部98を閉塞する。これにより、ハウジング本体30の室110に新たな電源部94を収容させることができる。
その後、ユーザは、電子カセッテ20Aの天地を再度逆転して照射面36を上方に向けた状態にした後に、電源スイッチ54を再度投入する。
これにより、カセッテ制御部174は、ディスプレイ56、インジケータ66及び通信部176に対する電力供給を再開するように電源部94を制御する。また、残量検出部184は、交換後の新たな電源部94の電源180の残量を検出する。そして、カセッテ制御部174は、記憶部186に記憶された撮影オーダに応じた残量と、残量検出部184が検出した新たな電源180の残量とを比較する。
前述のように、新たな電源180は、撮影オーダに応じた残量以上の残量を持つ満充電の状態である。そのため、カセッテ制御部174は、交換後の新たな電源180の残量と共に、撮影オーダに従った被写体14に対する撮像が可能であることを、ディスプレイ56に画面表示させる。また、カセッテ制御部174は、撮影オーダに従った被写体14に対する撮像が可能であることを示す発光をインジケータ66に行わせる。ユーザは、ディスプレイ56の画面表示又はインジケータ66の発光を視認することにより、電源部94の交換によって電子カセッテ20Aが使用可能になったことを容易に把握することができる。
なお、交換後の新たな電源180の残量が、撮影オーダに応じた残量に満たなかった場合には、ステップS2及びS3の処理を行って、新たな電源部94に対する交換作業(再交換)を行えばよい。
また、ステップS2において、現在の残量が撮影オーダに応じた分の残量以上である場合(ステップS2:YES)、カセッテ制御部174は、撮像に必要な電力量が確保されており、撮影オーダに従った撮像を遂行することが可能であることを通知するための画面表示をディスプレイ56に行なわせると共に、インジケータ66に対して撮像の遂行が可能であることを通知するための発光を行わせる。ユーザは、ディスプレイ56の画面表示又はインジケータ66の発光を視認することにより、電源部94の交換を行なわなくても、撮像が可能であることを容易に把握することができる。
次のステップS4において、ユーザ及び電子カセッテ20Aは、撮影準備を行う。
この場合、カセッテ制御部174は、ディスプレイ56、インジケータ66、カセッテ制御部174及び通信部176以外の電子カセッテ20A内の各部にも電力供給を行うように、電源部94を制御する。これにより、電源部94からの電力供給を受けたバイアス電源172は、逆バイアス電圧を各光電変換素子140に印加し、該各光電変換素子140は、電荷蓄積が可能な状態に至る。また、カセッテ制御部174は、ゲート駆動回路152を制御して、全てのTFT142をオフ状態とする。
一方、ユーザは、放射線源18と放射線変換パネル116との間の距離をSID(線源受像画間距離)に調整すると共に、照射面36に被写体14を配置させて、該被写体14の撮像部位が撮像可能領域40に入り、且つ、該撮像部位の中心位置が撮像可能領域40の中心位置と略一致するように、該被写体14のポジショニングを行う。
このようにして撮影準備が完了した後のステップS5において、ユーザがコンソール22又は放射線源18に備わる図示しない曝射スイッチを投入する。コンソール22に曝射スイッチが備わっている場合には、曝射スイッチの投入後、コンソール22から無線通信によって撮像条件が放射線源18に送信される。また、放射線源18に曝射スイッチが備わっている場合には、曝射スイッチの投入後、放射線源18から無線通信によりコンソール22に対して撮像条件の送信が要求され、該コンソール22は、放射線源18からの送信要求に応じて、前記撮像条件を無線通信により放射線源18に送信する。
放射線源18は、撮像条件を受信すると、該撮像条件に従って、所定の線量からなる放射線16を所定の曝射時間だけ被写体14に照射する。放射線16は、被写体14を透過してハウジング本体30内の放射線変換パネル116に至る。この場合、シンチレータ118は、放射線16の強度に応じた強度の可視光を発光し、光電変換層120を構成する各光電変換素子140は、可視光を電気信号に変換し、電荷として蓄積する(ステップS6)。
次のステップS7において、カセッテ制御部174は、ゲート駆動回路152を制御して、ゲート駆動回路152から1本のゲート線146に信号読み出し用の電圧(制御信号)を印加させる。これにより、該ゲート線146にゲート電極Gが接続されている全てのTFT142のゲートが開き、これらのTFT142が接続されている各光電変換素子140に蓄積された電荷(図11のpin型の光電変換素子140では電子)が、電気信号として各信号線144にそれぞれ読み出される。各増幅器160は、読み出された電気信号を増幅し、各サンプルホールド回路162は、増幅後の電気信号をサンプリングし、マルチプレクサ164を介してAD変換器166に順次供給する。AD変換器166は、順次供給された電気信号に対するAD変換を行い、デジタル信号に変換する。デジタル信号に変換された電気信号に応じた放射線画像は、カセッテ制御部174の画像メモリ182に一旦記憶される(ステップS8)。
このようにして、1本のゲート線146に接続された各光電変換素子140に対する電気信号(に応じた放射線画像)の読み出しの完了後、カセッテ制御部174は、ゲート駆動回路152を制御して、信号読み出し用の電圧を印加するゲート線146を順次切り替え、切り替えたゲート線146に接続された各光電変換素子140に対する電気信号の読み出しを順次行う。従って、電子カセッテ20Aでは、全てのゲート線146に接続された各光電変換素子140からの放射線画像の読み出しが完了するまで、ステップS7及びS8の処理を繰り返し行う。
このようにして、全ての光電変換素子140からの放射線画像の読み出しが完了し、被写体14の放射線画像が画像メモリ182に記憶された後のステップS9において、カセッテ制御部174は、画像メモリ182に記憶された放射線画像をディスプレイ56に表示させると共に、当該放射線画像と、記憶部186に記憶されたカセッテID情報とを共に通信部176を介して無線通信によりコンソール22に送信する。コンソール22は、受信した放射線画像に対して所定の画像処理を行い、画像処理後の放射線画像を無線通信により表示装置24に送信する。表示装置24は、受信した放射線画像を表示する。従って、ユーザは、ディスプレイ56に表示された放射線画像、又は、表示装置24に表示された放射線画像を視認することにより、被写体14に対して撮影オーダに応じた適切な撮像が行われたか否かを容易に判断することができる。
そして、ステップS10において、被写体14に対する撮像が完了した場合(ステップS10:YES)、ユーザは、被写体14を解放して撮像を終了させ(ステップS11)、次に、電源スイッチ54を押して、電子カセッテ20Aをスリープ状態に移行させる。その後、ユーザは、電子カセッテ20Aを所定の保管場所まで運搬する(ステップS12)。
一方、被写体14に対して複数枚の撮像を行う場合であって、全ての撮像が完了していない場合には(ステップS10:NO)、カセッテ制御部174の残量検出部184は、電源180の現在の残量を検出し、次に、カセッテ制御部174は、電源180の現在の残量が、残りの撮像枚数に応じた残量以上であるか否かを判断する(ステップS13)。
電源180の現在の残量が、残りの撮像枚数に応じた残量以上であれば(ステップS13:YES)、ステップS4又はステップS5に戻り、次の撮像が行われる。この場合、カセッテ制御部174は、ディスプレイ56に対して現在の残量と撮像が可能であることとを通知するための画面表示を行わせると共に、インジケータ66に対して撮像が可能であることを通知するための発光を行わせる。ユーザは、ディスプレイ56の画面表示又はインジケータ66の発光を視認することにより、次の撮像が可能であることを容易に把握することができる。
一方、電源180の現在の残量が、残りの撮像枚数に応じた残量に満たない場合(ステップS13:NO)、カセッテ制御部174は、現在の残量と電源部94の交換の指示とを示す画面表示をディスプレイ56に行わせると共に、電源部94の交換を指示するための発光をインジケータ66にも行わせる。ユーザは、ディスプレイ56の画面表示、又は、インジケータ66の発光を視認することにより、電源部94の交換が必要であることを把握し、次に、前述したステップS3と同様な方法で電源部94の交換作業を実施する(ステップS14)。そして、ステップS14の交換作業の完了後、ステップS4又はステップS5に戻り、次の撮像が行われる。
[第1実施形態に係る放射線撮像装置の効果]
以上説明したように、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aによれば、筐体29の底面46の略中央部に開口部98を形成することにより、モノコック構造の筐体29の剛性を確保しつつ、電源部94を容易に交換することが可能となる。また、電源部94が筐体29内の略中央部(平面視で室110の略中央部)に配置されている場合でも、開口部98を介して電源部94を容易に出し入れすることができる。さらに、照射面36ではない底面46に開口部98を形成するので、開口部98の存在が放射線変換パネル116への放射線16の照射にとり障害となることもない。
また、開口部98は、電子カセッテ20Aの重心位置又は幾何学的中心位置の底面46への投影点、あるいは、筐体29の重心位置又は幾何学的中心位置の底面46への投影点である投影点92を含むように、底面46に形成されているので、筐体29の略中央部に配置された電源部94の交換が容易になると共に、筐体29の剛性を容易に確保することができる。
さらに、蓋部材48は、開口部98を閉塞した状態で底面46と略面一となるので、筐体29内に電源部94を確実に収容することができると共に、蓋部材48が筐体29に対する突起となることもない。
さらにまた、ネジ部材50によって蓋部材48を筐体29(のハウジング本体30)に着脱可能に取り付けることで、電源部94を筐体29内に容易に収容することができる。また、ネジ部材50の軸部50bとネジ穴102とを螺合させることで、開口部98を閉塞するように、蓋部材48がハウジング本体30に対して一体的に取り付けられるので、該蓋部材48もモノコック構造の筐体29の一部として機能し、筐体29と共働して外部からの応力(例えば、被写体14から照射面36への荷重)を受けることができる。この結果、電源部94を前記応力から解放することができる。
また、固定部材104によって蓋部材48の開口部98側に電源部94を固定した状態で、蓋部材48により開口部98を閉塞すれば、電源部94を筐体29内に容易に収容することができる。
そして、電源部94は、蓄電手段としての電源180と、電源回路178とを有すると共に、筐体29内の放射線変換パネル116及び基台112と底面46との間の空間において、平面視で、放射線変換パネル116の略中央部(投影点92)に配置される。このように配置すれば、移動時の重量バランスに優れた電子カセッテ20Aを実現することができると共に、放射線16の照射による電源部94の劣化を回避することも可能となる。
また、筐体29内において、平面視で、矩形状の放射線変換パネル116の一側面に駆動用IC124(ゲート駆動回路152)が配置されると共に、一側面に隣接する他の側面に読出用IC128(信号読出回路154)が配置されている。このように、平面視で、電源部94が放射線変換パネル116の略中央部に配置されると共に、駆動用IC124(ゲート駆動回路152)及び読出用IC128(信号読出回路154)が放射線変換パネル116の側面に配置されることで、ノイズ源である電源回路178と駆動用IC124(ゲート駆動回路152)及び読出用IC128(信号読出回路154)との距離を稼ぐことができ、この結果、電子カセッテ20Aの移動時の重量バランスを確保しつつ、耐ノイズ性を向上することができる。
また、制御部170を構成するバイアス電源172、カセッテ制御部174及び通信部176は、回路基板130に搭載される電子部品132によって実現され、回路基板130及び電子部品132は、筐体29内の放射線変換パネル116及び基台112と底面46との間の空間において、平面視で、電源部94以外の箇所に配置される。このように配置すれば、放射線16が回路基板130及び電子部品132に照射されることを回避することも可能となる。
さらに、残量検出部184は、電源180の現在の残量を検出し、検出された残量は、ディスプレイ56に画面表示されるので、ユーザは、電源180の現在の残量や、電源部94の交換に要する残量にまで低下しているか否かを容易に把握することができる。
また、残量検出部184が検出した残量が撮影オーダに応じた残量に満たない場合に、ディスプレイ56は、電源部94の交換を通知する画面表示を行うと共に、インジケータ66は、電源部94の交換を通知する発光を行うので、ユーザは、通知内容に従って電源部94を速やかに交換することができる。この結果、電子カセッテ20Aの使い勝手を向上させることができる。
なお、上述のように、筐体29がモノコック構造であるため、装置全体の軽量化を実現できると共に、外部からの応力(例えば、筐体29の落下、被写体14からの荷重、外部からの衝撃)を筐体29全体として受けることができるので、該筐体29の機械的強度(耐落下性、耐荷重性、耐衝撃性)を向上させることができる。
また、第1実施形態では、図5A〜図10に示すように、円柱状又は矩形状の電源部94を筐体29に収容した場合について説明したが、例えば、シート型のポリマーリチウムイオン二次電池を含むシート状の電源部94を筐体29に収容してもよい。電源部94をシート状とすることで、電子カセッテ20Aのさらなる薄型化及び軽量化を実現することができる。
また、シート状の電源部94を基台112側から放射線変換パネル116に接触させると(放射線変換パネル116と基台112との間にシート状の電源部94を介挿させると)、放射線16の照射を受けることなく、該電源部94の熱で放射線変換パネル116を均一に温めることができる。これにより、a−Siの光電変換層120を用いた放射線変換パネル116において、可視光の入射に起因してa−Siの欠陥に一時的にトラップされた電荷を、電源部94の熱により予め吐き出させることができ、この結果、撮像時における前記電荷の放出に起因した意図しない感度上昇(感度ムラ)を抑制し、高画質の放射線画像を取得することが可能となる。
さらに、上記の説明では、開口部98を介して筐体29内の電源部94を出し入れする(交換する)場合について説明したが、第1実施形態は、上記の説明に限定されるものではなく、筐体29内に収容された電源部94以外の他の構成要素についても、開口部98を介して交換してもよい。例えば、回路基板130や電子部品132の交換に開口部98を利用してもよいし、カードスロット64が筐体29内に配置されている場合には、開口部98を介してメモリカード62を出し入れしてもよい。
さらにまた、上記の説明では、ハウジング本体30に対する蓋部材48の取付部材としてネジ部材50を採用した場合について説明したが、第1実施形態では、底面46と蓋部材48とが略面一となるように、蓋部材48によって開口部98を閉塞できるものであれば、ネジ部材50以外の取付部材を使用してもよいことは勿論である。
一方、固定部材104についても、蓋部材48の開口部98側に電源部94を確実に固定できるものであれば、図7の形状以外の固定部材を使用してもよいことは勿論である。
さらに、上記の説明では、投影点92が、電子カセッテ20A及び筐体29の幾何学的中心位置の底面46への投影点であると共に、電子カセッテ20A及び筐体29の重心位置の底面46への投影点でもあり、開口部98は、平面視で投影点92を含むように配置され、電源部94及び蓋部材48は、平面視で、投影点92を含むように配置される場合について説明した。
第1実施形態では、図1〜図10の構造に限定されることはなく、筐体29の形状や電子カセッテ20Aの重量バランスとの関係で、電子カセッテ20Aの幾何学的中心位置及び重心位置がずれたり、筐体29の幾何学的中心位置及び重心位置がずれることにより、これらの位置の底面46への投影点が、投影点92のように一点とはならない場合も想定される。
そこで、第1実施形態では、電子カセッテ20Aの重量バランスを重視する場合には、例えば、平面視で、電子カセッテ20Aの重心位置の底面46への投影点を含むように、開口部98を底面46に形成すると共に、電源部94及び蓋部材48を配置してもよい。また、第1実施形態では、モノコック構造の筐体29の剛性確保を重視する場合には、例えば、平面視で、電子カセッテ20A又は筐体29の幾何学的中心位置の底面46への投影点を含むように、開口部98を底面46に形成すると共に、電源部94及び蓋部材48を配置してもよい。
いずれの場合であっても、電子カセッテ20A又は筐体29の重心位置の底面46への投影点、あるいは、電子カセッテ20A又は筐体29の幾何学的中心位置の底面46への投影点を含むように、開口部98を底面46に形成すると共に、電源部94及び蓋部材48を配置すれば、モノコック構造の筐体29の剛性を確保しつつ、開口部98を介して筐体29内に収容された電源部94等を容易に交換することが可能となる。
[第2実施形態に係る放射線撮像装置の説明]
次に、第2実施形態に係る電子カセッテ20Bについて図13及び図14を参照しながら説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて、その詳細な説明を省略し、以下同様とする。
第2実施形態に係る電子カセッテ20Bでは、図13及び図14に示すように、底面46ではなく、側面42d(を含む筐体29の側面45)の略中央部に開口部190を形成している。開口部190の箇所には段差部192が設けられ、該段差部192は、略矩形状の蓋部材194に嵌合可能である。この場合、電源部94は、開口部190を介してハウジング本体30内に出し入れされる。また、蓋部材194には、複数のネジ部材196を挿通可能な複数の孔198が形成され、段差部192には、各孔198と対向し且つネジ部材196と螺合するネジ穴200が形成されている。
そして、開口部190は、図14に示すように、電子カセッテ20Bのz方向に沿った中心軸90zと中心軸90xとの交点である投影点202を含むように形成されている。図13及び図14において、投影点202は、電子カセッテ20Bの幾何学的中心位置又は重心位置の側面42dへの投影点、あるいは、筐体29の幾何学的中心位置又は重心位置の側面42dへの投影点である。
従って、第1実施形態の蓋部材48の場合と同様に、電源部94をハウジング本体30内に配置して、段差部192と蓋部材194とを嵌合し、各ネジ穴200と各孔198とが位置合わせされた状態で、孔198を介して、各ネジ部材196と各ネジ穴200とをそれぞれ螺合させれば、投影点202を含むように蓋部材194が開口部190を閉塞した状態で、電源部94を筐体29内部に収容させることができる。
このように、第2実施形態においては、側面42dの略中央部に開口部190を形成し、この開口部190を蓋部材194で閉塞するので、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、第2実施形態では、筐体29内の略中央部に電源部94を配置することができ、且つ、筐体29に対する電源部94の出し入れが可能であれば、側面42dに代えて、側面42c(を含む筐体29の側面43)の略中央部に開口部190を形成してもよい。
また、第2実施形態では、図13及び図14に示すように、側面42c、42dが筐体29の長辺側であると共に、側面52、81が短辺側であるため、筐体29内の略中央部までの距離は、側面42c、42dからの方が短い。従って、側面42c、42dに開口部190を形成すれば、筐体29内の略中央部に配置された電源部94とのアクセスが容易となる。
一方、側面42c、42dが筐体29の短辺側となり、側面52、81が長辺側となるように筐体29を構成した場合には、側面52又は側面81に開口部190を形成することにより、筐体29内の電源部94とのアクセスが容易になることは勿論である。
従って、第2実施形態の場合には、筐体29内の略中央部に配置された電源部94との距離も考慮して、側面42c、42d、52、81のうち、いずれか1つの側面の略中央部に開口部190を形成することで、第1実施形態の場合と同様に、モノコック構造の筐体29の剛性を確保しつつ、電源部94の出し入れを容易に行うことが可能となる。
また、第2実施形態においても、筐体29の形状や電子カセッテ20Bの重量バランスとの関係で、電子カセッテ20Bの幾何学的中心位置及び重心位置がずれたり、筐体29の幾何学的中心位置及び重心位置がずれることにより、これらの位置の側面42c、42d、52、81への投影点が、投影点202のように一点とならない場合には、いずれかの投影点を含むように、開口部190を側面42c、42d、52、81に形成して、蓋部材194を配置すれば、モノコック構造の筐体29の剛性を確保しつつ、開口部190を介して筐体29内に収容された電源部94等を容易に交換することが可能となる。
[第3実施形態に係る放射線撮像装置の説明]
次に、第3実施形態に係る電子カセッテ20Cについて図15及び図16を参照しながら説明する。
第3実施形態に係る電子カセッテ20Cでは、筐体29の底面46(ハウジング本体30及び蓋本体68、80の各底部)に、複数の半球状の突起204が配置されている。このようにすることで、図16に示すように、電子カセッテ20Cの底面46側を摺動させながら該電子カセッテ20Cを所望の場所(例えば、被写体14と撮影台12との間)に配置することができ、撮影準備に関わるユーザの作業負担を軽減することができる。
[第4実施形態に係る放射線撮像装置の説明]
次に、第4実施形態に係る電子カセッテ20Dについて図17〜図20を参照しながら説明する。
第4実施形態に係る電子カセッテ20Dでは、筐体29におけるx2方向側が薄板状の蓋部材32とされ、x1方向側がユーザが把持可能な把持部206とされている。従って、ユーザは、把持部206の取っ手208を把持した状態で電子カセッテ20Dを運搬することが可能である。
また、電子カセッテ20Dでは、図18及び図19に示すように、ハウジング本体30に対してx方向に沿った両側に形状の異なる蓋部材32と把持部206とが配置されている。この場合、把持部206は、蓋部材32よりも大きな形状であるため、電子カセッテ20D又は筐体29の幾何学的中心位置と重心位置とが互いに異なる位置となって、これらの位置の底面46への投影点が異なる点になってしまう。すなわち、図19の平面視で、底面46において、中心軸90x上の投影点210は、電子カセッテ20D又は筐体29の重心位置の底面46への投影点であり、投影点212は、電子カセッテ20D又は筐体29の幾何学的中心位置の底面46への投影点である。
この場合、蓋部材48、電源部94及び開口部98は、図19の平面視で、例えば、投影点210、212を含むように配置されている。
このように、電子カセッテ20Dでは、いずれかの投影点210、212を含むように、電源部94を配置し、開口部98を形成し、蓋部材48を配設することにより、第1実施形態の場合と同様に、運搬時の重量バランスに優れた電子カセッテを実現することができる。なお、電子カセッテ20Dにおいて、蓋部材32は、例えば、図20に示すように、図示しないヒンジ部材を中心として回動するように開口部44aを閉塞する。
[第5実施形態に係る放射線撮像装置の説明]
次に、第5実施形態に係る電子カセッテ20Eについて図21〜図24を参照しながら説明する。
第5実施形態に係る電子カセッテ20Eは、筐体29の厚みが全体的に薄く、ハウジング本体30の側面42aが湾曲面となっていると共に、該湾曲面に合わせて、蓋部材32も湾曲形状となっている。この場合、側面42aの中央部は、x1方向に向かって凹み、蓋部材32の中央部は、側面42aの凹部に対応してx1方向に膨出した凸部となっている。この凸部に取っ手220が設けられている。
一方、ハウジング本体30のx1方向の2つの角部226(側面42bと側面42c、42dとを連結する2つの角部)は、ハウジング本体30の中心に向かって凹んでおり、この凹部にはL字状の緩衝部材222が嵌合している。
なお、電子カセッテ20Eは、筐体29が薄厚であるため、ディスプレイ56は、照射面36における撮像可能領域40外に配置され、電源スイッチ54、入力端子58、USB端子60及びカードスロット64は、側面42dに配置されている。
電子カセッテ20Eでは、図23に示すように、平面視で、中心軸90x上の投影点224を含むように蓋部材48及び電源部94が配置されている。投影点224は、電子カセッテ20Eの幾何学的中心位置又は重心位置の底面46への投影点である。
このように、電子カセッテ20Eでは、投影点224を含むように電源部94及び蓋部材48を配置することにより、第4実施形態の場合と同様に、運搬時の重量バランスに優れた電子カセッテを実現することができる。
[第6実施形態に係る放射線撮像装置の説明]
次に、第6実施形態に係る電子カセッテ20Fについて図25〜図27を参照しながら説明する。
第6実施形態に係る電子カセッテ20Fは、底面46に形成された凹部105に配置されるスライドボタン107をx1方向にスライドさせることにより、蓋部材48とスライドボタン107との係合状態が解除されて、筐体29から電源部94及び蓋部材48をワンタッチで取り外すことができる点で、第1〜第5実施形態(図1〜図24参照)とは異なる。
図26Aに示すように、スライドボタン107のx2方向の先端部には、蓋部材48のx1方向の側部に形成された係止溝109に係合可能な係合爪111が設けられている。また、スライドボタン107のx1方向の基端部は、バネ部材113を介してハウジング本体30の底面47側に連結されており、ユーザは、バネ部材113の弾発力に抗して、スライドボタン107をx1方向に移動させることができる。また、蓋部材48のx2方向の側部には、ハウジング本体30の底面47側に形成された係止用突起115に係合可能な係止溝117が形成されている。
ここで、係止溝109と係合爪111とが係合すると共に、係止用突起115と係止溝117とが係合することにより、蓋部材48と筐体29の底面46とが略面一となり、電源部94が筐体29内に収容される。この状態において、スライドボタン107のx2方向の側部は、凹部105のx2方向側に形成された段差部119に接触している。
そして、筐体29から電源部94を取り出す場合、先ず、ユーザは、バネ部材113の弾発力に抗してスライドボタン107をx1方向にスライドさせる。これにより、係合爪111は、凹部105まで後退するので、係合爪111と係止溝109との係合状態が解除され、この結果、図26Bに示すように、蓋部材48をハウジング本体30から離間させて、電源部94を容易に取り出すことができる。
このようにして取り出された電源部94を交換した後に、新たな電源部94を蓋部材48に固定した場合、ユーザは、図27に示すように、係止用突起115と係止溝117とを一部接触させた状態で、蓋部材48の係止溝109側を開口部98側へ変位させる。このとき、スライドボタン107は、バネ部材113の弾発力によってx2方向に変位し、係合爪111が開口部98に進入している。従って、蓋部材48の係止溝109側を係合爪111に当接させながら、蓋部材48を筐体29側に変位させると、バネ部材113の弾発力に抗してスライドボタン107をx1方向に変位させることができる。そして、係止溝109と係合爪111とが対向する位置にまで蓋部材48の係止溝109側を変位させると、係合爪111は、蓋部材48による当接状態から解放されるので、バネ部材113の弾発力によってスライドボタン107がx2方向に変位し、この結果、係止溝109と係合爪111とが係合すると共に、係止用突起115と係止溝117とが係合して、蓋部材48と底面46とを略面一とした状態で新たな電源部94を筐体29内に収容することができる。
このように、第6実施形態に係る電子カセッテ20Fでは、スライドボタン107をスライドさせるだけで、筐体29に対して電源部94及び蓋部材48を容易に着脱できるワンタッチリリース方式を採用しているので、電源部94の交換時間を大幅に短縮することができる。
[第7実施形態に係る放射線撮像装置の説明]
次に、第7実施形態に係る電子カセッテ20Gについて図25及び図28〜図30を参照しながら説明する。
第7実施形態に係る電子カセッテ20Gは、ハウジング本体30の底面47の略中央部に矩形状の凹部121を形成すると共に、該凹部121に矩形状の電源部94を着脱可能に装着する点で、第6実施形態(図25〜図27参照)とは異なる。
この場合、凹部121に係止用突起115や突起状の2つの接続端子123を設けると共に、係止用突起115及び各接続端子123に対応して、係止溝117と、各接続端子123に嵌合可能な接続端子125とが電源部94にそれぞれ設けられている。また、スライドボタン107は、係合爪111が凹部121に進退可能となるように底面47側に設けられている。従って、電源部94には、係合爪111に係合可能な係止溝109も設けられている。
第7実施形態においても、第6実施形態と同様に、係止溝109と係合爪111とが係合すると共に、係止用突起115と係止溝117とが係合することにより、電源部94は、筐体29の底面46と略面一となって、筐体29の凹部121に収容される(図29A参照)。
ここで、ユーザがバネ部材113の弾発力に抗してスライドボタン107をx1方向にスライドさせれば、係合爪111と係止溝109との係合状態が解除されるので、電源部94を筐体29の凹部121から容易に取り出すことができる(図29B参照)。
このようにして取り出された電源部94に代えて、新たな電源部94を凹部121に装着する場合、ユーザは、図30に示すように、係止用突起115と係止溝117とを一部接触させた状態で、電源部94の係止溝109側を凹部121に変位させる。このとき、バネ部材113の弾発力によって係合爪111が凹部121に進入しているため、ユーザは、電源部94の係止溝109側を係合爪111に当接させながら凹部121側に変位させて、バネ部材113の弾発力に抗してスライドボタン107をx1方向に変位させる。そして、係止溝109と係合爪111とが対向する位置にまで電源部94の係止溝109側が変位すると、係合爪111が電源部94からの当接状態から解放されるので、バネ部材113の弾発力によってスライドボタン107はx2方向に変位する。これにより、係止溝109と係合爪111とが係合すると共に、係止用突起115と係止溝117とが係合し、この結果、電源部94と底面46とを略面一とした状態で新たな電源部94を凹部121に装着することができる。
このように、第7実施形態に係る電子カセッテ20Gにおいても、スライドボタン107をスライドさせるだけで、筐体29の凹部121に対して電源部94を容易に着脱できるワンタッチリリース方式を採用しているので、電源部94の交換時間を大幅に短縮することができる。また、第7実施形態では、凹部121に電源部94を装着する方式を採用しているので、第1〜第6実施形態の蓋部材48のように、電源部94の交換時に筐体29内が開放されることはない。従って、電子カセッテ20Gの防水性を向上させることができる。
[第8実施形態に係る放射線撮像装置の説明]
第8実施形態に係る電子カセッテ20Hについて、図31を参照しながら説明する。
第8実施形態に係る電子カセッテ20Hは、筐体29の側面43がy1方向に向かって円弧状に膨出すると共に、側面45がy2方向に向かって円弧状に膨出している点で、第1〜第7実施形態(図1〜図30参照)とは異なる。従って、図示はしないが、開口部44a、44b及び室110は、側面視で、y方向に沿って長円状となる。
第8実施形態では、筐体29の側面43、45を円弧状に膨出する形状とすることで、筐体29の製造が容易になると共に、機械的強度が増加する。また、第8実施形態では、側面43、45の形状をy方向にテーパ状に膨出する形状としてもよい。この場合でも、円弧状の側面43、45と同様の効果が得られる。
[第9実施形態に係る放射線撮像装置の説明]
第9実施形態に係る電子カセッテ20Iについて、図32を参照しながら説明する。
電子カセッテ20Iでは、筐体29(のうち、少なくともハウジング本体30)が繊維強化プラスチック(例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP))から成形される場合に、開口部98又は凹部121は、平面視で、繊維強化プラスチックを構成する繊維127の方向(図32では中心軸90x、90yに対して45°傾いた方向)に沿って形成されている。従って、蓋部材48又は電源部94は、繊維127の方向に沿って筐体29に装着される。
このように、第9実施形態では、繊維127の方向に沿って開口部98又は凹部121を形成することにより、繊維127がささくれ立つ状態になることを回避することができる。
図32は、一例であって、開口部98又は凹部121の位置、大きさ、形状及び形成方向は、前述した繊維127の方向に加え、筐体29の大きさ及び形状や、筐体29内の各部品の出し入れの容易さも考慮の上、適宜設定すればよい。また、繊維強化プラスチック以外の金属又は樹脂からなる筐体29の場合には、上述した方向性がないため、筐体29の大きさ及び形状や、筐体29内の各部品の出し入れの容易さも考慮の上、開口部98又は凹部121の位置、大きさ、形状及び形成方向を適宜設定すればよいことは勿論である。
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。