JP2012176536A - 液体吐出装置、ノズル検査方法及びそのプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】液体吐出装置において、回復不能ノズルが発生した場合、それをオペレーターに知らせながらも印刷続行を可能にする。
【解決手段】インクジェット方式のプリンターにおいて、ノズルの吐出検査を含む統合判定を実行したあと該統合判定で異常ノズルが存在していたならば、ワイパーやノズル吸引によるクリーニングを実行し、その後、その統合判定を再実行するという手順を、所定回数に達するまで繰り返す。この手順の繰り返し回数が所定回数に達したとき(S30でYES)、統合判定で毎回同じノズルが異常ノズルとされていたか否かを判定し(ステップS32)、肯定判定されたならば、オペレーターに回復不能ノズルが発生したことを伝えるメッセージを出力すると共に、該ノズルを次回以降の先ほどの手順において吐出良好とみなすマスク対象ノズルに設定した上で、印刷停止を強制解除してヘッドによる画像形成を許容する(S38〜S42)。
【選択図】図14
【解決手段】インクジェット方式のプリンターにおいて、ノズルの吐出検査を含む統合判定を実行したあと該統合判定で異常ノズルが存在していたならば、ワイパーやノズル吸引によるクリーニングを実行し、その後、その統合判定を再実行するという手順を、所定回数に達するまで繰り返す。この手順の繰り返し回数が所定回数に達したとき(S30でYES)、統合判定で毎回同じノズルが異常ノズルとされていたか否かを判定し(ステップS32)、肯定判定されたならば、オペレーターに回復不能ノズルが発生したことを伝えるメッセージを出力すると共に、該ノズルを次回以降の先ほどの手順において吐出良好とみなすマスク対象ノズルに設定した上で、印刷停止を強制解除してヘッドによる画像形成を許容する(S38〜S42)。
【選択図】図14
Description
本発明は、液体吐出装置、ノズル検査方法及びそのプログラムに関する。
従来より、液体吐出装置として、ヘッドに形成された複数のノズルから吐出される液体を第1電位にする第1電極と、その第1電位とは異なる第2電位である第2電極との間に電圧を印加した状態で、複数のノズルから第2電極に向かって順次液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化に基づいて各ノズルから液体が吐出されたか否かを判定するものが知られている(例えば特許文献1)。このようにノズルから液体が吐出されたか否かを判定する処理は、ノズル検査あるいは吐出検査と称される。特許文献1では、吐出検査で異常ありと判定されたノズルが見つかったとき、ヘッドにキャップを被せた状態でキャップ内を負圧してノズルから異物を吸引するクリーニングを実行し、その後、ノズルの異常が解消されたか否かを調べるために再び吐出検査を実行する。こうした手順をノズルの異常が解消されるまで所定回数を限度として繰り返す。そして、所定回数繰り返してもノズルの異常が解消されなかったならば、異常が発生したノズルは回復不能とみなし、エラーメッセージを表示する。印刷の途中でこの一連の手順が実行され、エラーメッセージが表示された場合には、その印刷は再開されることなく強制終了になる。
しかしながら、印刷の途中でこの一連の手順が実行され、エラーメッセージが表示された場合であっても、少なくともその印刷については最後まで実施したいという要望があった。例えば、異常が発生したノズルが存在する場合には、そのまま印刷を続行すると印刷媒体に形成される画像の品質が劣化するため好ましくないが、そのノズルが今回の画像形成にあまり使用されない場合には、画像の品質はほとんど劣化しない。このため、とりあえず印刷を最後まで実施して、印刷媒体に形成された画像の品質をチェックした上で、その印刷媒体を良品とするか不良品とするかを決めたいことがあった。
本発明は、上述した要望に鑑みなされたものであり、液体吐出装置において、回復不能ノズルが発生した場合、それをオペレーターに知らせながらも印刷続行を可能にすることを主目的とする。
本発明の液体吐出装置は、
液体を吐出する複数のノズルを備えたヘッドと、
前記液体と接触する第1電極と、
前記第1電極に対向可能な位置に設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極とを対向させて両電極間に電圧を印加した状態で、前記複数のノズルから順次前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化を検出し、該電気的変化に基づいて各ノズルの液体吐出の良否を検査する吐出検査を実行する検査手段と、
前記ノズル又は前記ヘッドをクリーニングするクリーニング手段と、
前記検査手段による検査を実行したあと該検査で吐出不良のノズルが存在していたならば前記クリーニング手段によるクリーニングを実行し、その後、前記検査を再実行するという手順を、所定回数に達するまで繰り返し、前記手順の繰り返し回数が前記所定回数に達したとき、前記検査で毎回同じノズルが吐出不良とされていたならば、オペレーターに回復不能ノズルが発生したことを伝えるメッセージを出力すると共に該ノズルを次回以降の前記手順において吐出良好とみなすマスク対象ノズルに設定した上で前記ヘッドによる画像形成を許容する制御手段と、
を備えたものである。
液体を吐出する複数のノズルを備えたヘッドと、
前記液体と接触する第1電極と、
前記第1電極に対向可能な位置に設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極とを対向させて両電極間に電圧を印加した状態で、前記複数のノズルから順次前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化を検出し、該電気的変化に基づいて各ノズルの液体吐出の良否を検査する吐出検査を実行する検査手段と、
前記ノズル又は前記ヘッドをクリーニングするクリーニング手段と、
前記検査手段による検査を実行したあと該検査で吐出不良のノズルが存在していたならば前記クリーニング手段によるクリーニングを実行し、その後、前記検査を再実行するという手順を、所定回数に達するまで繰り返し、前記手順の繰り返し回数が前記所定回数に達したとき、前記検査で毎回同じノズルが吐出不良とされていたならば、オペレーターに回復不能ノズルが発生したことを伝えるメッセージを出力すると共に該ノズルを次回以降の前記手順において吐出良好とみなすマスク対象ノズルに設定した上で前記ヘッドによる画像形成を許容する制御手段と、
を備えたものである。
この液体吐出装置では、検査手段による検査を実行したあと該検査で吐出不良のノズルが存在していたならばクリーニング手段によるクリーニングを実行し、その後、その検査を再実行するという手順を、所定回数に達するまで繰り返す。この手順の繰り返し回数が所定回数に達したとき、検査で毎回同じノズルが吐出不良とされていたか否かを判定する。そして、検査で毎回同じノズルが吐出不良とされていたならば、オペレーターに回復不能ノズルが発生したことを伝えるメッセージを出力すると共に、該ノズルを次回以降の先ほどの手順において吐出良好とみなすマスク対象ノズルに設定した上でヘッドによる画像形成を許容する。したがって、回復不能ノズルが発生した場合、それをオペレーターに知らせながらも印刷の続行が可能となる。これにより、例えば、印刷の途中でこの一連の手順が実行されて回復不能ノズルが発生した場合であっても、とりあえず印刷を最後まで実施して印刷媒体に形成された画像の品質をオペレーターがチェックした上で、その印刷媒体を良品とするか不良品とするかを決めることが可能となる。
本発明の液体吐出装置において、前記制御手段は、前記手順の繰り返し回数が前記所定回数に達したとき、前記検査で毎回同じノズルが吐出不良とされていたならば、オペレーターに回復不能ノズルが発生したことを伝えるメッセージを出力すると共に、オペレーターからの画像形成続行の指示入力を待って、該ノズルを次回以降の前記手順において吐出良好とみなすマスク対象ノズルに設定した上で前記ヘッドによる画像形成を許容してもよい。こうすれば、オペレーターの判断によって、回復不能ノズルが発生しているにもかかわらず画像形成が許容されることになる。
本発明の液体吐出装置において、前記制御手段は、前記手順の繰り返し回数が前記所定回数に達したとき、前記検査で毎回同じノズルが吐出不良とされていたのでなければ、前記クリーニング手段のメンテナンス作業をオペレーターに指示するメッセージを出力すると共に該作業の終了後に再び前記手順を実行してもよい。吐出不良のノズルが毎回同じでなかった場合には、クリーニング手段の汚れ等によりヘッドのクリーニングの効果が十分得られなかったことに起因して、吐出不良のノズルが発生していることがある。この点を考慮して、ここでは、クリーニング手段のメンテナンス作業(清掃など)をオペレーターに指示するメッセージを出力すると共に該作業の終了後に再び先ほどの手順を実行するようにしている。こうすれば、クリーニング手段の汚れ等が解消されて吐出不良のノズルが回復した場合には、そのことを検査により確認することができる。また、メッセージは、クリーニング手段のうち吐出不良とされたノズルに対応する箇所のメンテナンス作業をオペレーターに指示するメッセージとしてもよい。こうすれば、オペレーターのメンテナンス作業の負担を軽くすることができる。
本発明の液体吐出装置において、前記制御手段は、前記マスク対象ノズルに設定されたノズルにつき、次回以降の前記手順において前記検査の結果が吐出良好に変わったとき、更に前記検査を所定の再検査回数実施し、該結果がすべて吐出良好だったならば、該ノズルをマスク対象ノズルから外し、前記結果の少なくとも1つが吐出不良だったならば、該ノズルをマスク対象ノズルに設定したままとしてもよい。吐出不良から吐出良好へ回復する可能性が極めて低いマスク対象ノズルに設定されたノズルについて、吐出良好の検査結果が得られたとしても、ノイズなどの外乱によって誤って吐出良好になった可能性があるため、直ちにマスク対象ノズルから外すのではなく、再検査の結果を待ってマスク対象ノズルから外すかどうかが決定される。したがって、マスク対象ノズルに設定されたノズルを、誤ってマスク対象ノズルから外してしまうおそれがない。この場合、前記制御手段は、前記検査を前記所定の再検査回数実施するにあたり、前記マスク対象ノズルに設定されたノズルのうち前記検査の結果が吐出良好に変わったもののみを再検査の対象としてもよい。こうすれば、再検査に要する時間を短くすることができる。
本発明の液体吐出装置において、前記制御手段は、前記マスク対象ノズルに設定されたノズルを次回以降の前記手順において検査対象から外してもよい。こうすれば、上述した手順の実行時間を短くすることができる。
本発明の液体吐出装置において、前記クリーニング手段は、前記ヘッドをワイピングするワイパー及び前記ヘッドに装着されて該ヘッドが有する複数のノズルを吸引する吸引キャップの少なくとも1つとしてもよい。ワイパーは、ヘッドをワイピングすることにより、ノズルやその近傍に付着した異物を掻き取ることができるが、ワイパーに異物が付着している場合には逆にノズルを異物で塞ぐこともある。吸引キャップは、ヘッドに装着されて内部を負圧にすることでノズル内の液体や異物を吸引するものであるが、吸引キャップの開口縁が汚れている場合にはノズルやその近傍を汚すこともある。こうしたことから、ワイパーや吸引キャップは、クリーニングの効果を十分発揮するにはオペレーターによるメンテナンス作業を必要とするものであるため、メンテナンス作業をオペレーターに指示するメッセージを出力する意義の高いものである。
本発明の液体吐出装置において、前記ヘッドは複数設けられ、前記第1電極は各ヘッドごとに設けられ、前記第2電極は前記第1電極と組を作るように設けられ、前記検査手段は、前記第2電極ごとに設けられていてもよい。このようにヘッドが複数設けられている場合には、ヘッドが一つだけ設けられている場合に比べて、先ほどの手順の繰り返し回数が所定回数に達したときに検査で毎回同じノズルが吐出不良されるというケースが起こりやすいため、本発明を適用する意義が高い。また、検査手段は、第1電極と組を作る第2電極ごとに設けられているため、検査結果からどの組で吐出不良が発生したのかを把握できる。
本発明のノイズ検査方法は、
液体を吐出する複数のノズルを備えたヘッドと、前記液体と接触する第1電極と、前記第1電極に対向可能な位置に設けられた第2電極と、を備え、前記第1電極と前記第2電極とを対向させて両電極間に電圧を印加した状態で、前記複数のノズルから順次前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化を検出し、該電気的変化に基づいて各ノズルの液体吐出の良否を検査する吐出検査を実行する検査機能と、前記ノズル又は前記ヘッドをクリーニングするクリーニング機能とを有する液体吐出装置における、ノズル検査方法であって、
前記検査機能による検査を実行したあと該検査で吐出不良のノズルが存在していたならば前記クリーニング機能によるクリーニングを実行し、その後、前記検査を再実行するという手順を、所定回数に達するまで繰り返し、前記手順の繰り返し回数が前記所定回数に達したとき、前記検査で毎回同じノズルが吐出不良とされていたならば、オペレーターに回復不能ノズルが発生したことを伝えるメッセージを出力すると共に該ノズルを次回以降の前記手順において吐出良好とみなすマスク対象ノズルに設定した上で前記ヘッドによる画像形成を許容する
ものである。
液体を吐出する複数のノズルを備えたヘッドと、前記液体と接触する第1電極と、前記第1電極に対向可能な位置に設けられた第2電極と、を備え、前記第1電極と前記第2電極とを対向させて両電極間に電圧を印加した状態で、前記複数のノズルから順次前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化を検出し、該電気的変化に基づいて各ノズルの液体吐出の良否を検査する吐出検査を実行する検査機能と、前記ノズル又は前記ヘッドをクリーニングするクリーニング機能とを有する液体吐出装置における、ノズル検査方法であって、
前記検査機能による検査を実行したあと該検査で吐出不良のノズルが存在していたならば前記クリーニング機能によるクリーニングを実行し、その後、前記検査を再実行するという手順を、所定回数に達するまで繰り返し、前記手順の繰り返し回数が前記所定回数に達したとき、前記検査で毎回同じノズルが吐出不良とされていたならば、オペレーターに回復不能ノズルが発生したことを伝えるメッセージを出力すると共に該ノズルを次回以降の前記手順において吐出良好とみなすマスク対象ノズルに設定した上で前記ヘッドによる画像形成を許容する
ものである。
このノズル検査方法によれば、回復不能ノズルが発生した場合、その旨をオペレーターに知らせながらも印刷の続行が可能となる。これにより、例えば、印刷の途中でこの一連の手順が実行されて回復不能ノズルが発生した場合であっても、とりあえず印刷を最後まで実施して印刷媒体に形成された画像の品質をオペレーターがチェックした上で、その印刷媒体を良品とするか不良品とするかを決めることが可能となる。
本発明のプログラムは、上述したノズル検査方法の各ステップをコンピューターに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターに配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムをコンピューターに実行させれば、上述した本発明のノズル検査方法の各ステップが実現されるため、本発明のノズル検査方法と同様の作用効果が得られる。
次に、本発明を具現化した一実施形態について説明する。図1はインクジェット型のプリンター10の構成を表すブロック図、図2はプリンター10の概略断面図、図3はプリンター10の概略平面図、図4はプリンター10の外観を表す斜視図である。
プリンター10は、パーソナルコンピューターPCと通信可能に接続され、パーソナルコンピューターPCから印刷データを入力し、その印刷データに基づいて紙や布などの印刷媒体Sに画像を印刷する。このプリンター10は、種々の制御を実行したり指令を出力したりするコントローラー20と、コントローラー20と信号のやり取りを行いながら各種処理を実行するユニット群30とを備えている。
コントローラー20は、プリンター10の全体の制御を司るCPU22と、ユニット群30の各ユニットを制御するユニット制御回路24とを備えている。CPU22は、ユニット群30に備えられた各種検出器から入力した検出信号やインターフェース部26を介してパーソナルコンピューターPCから受信した印刷データに基づいて、メモリー28に記憶された各種プログラムを実行し、メモリー28にデータを一時記憶しながらユニット制御回路24を介して各ユニットを制御する。ユニット群30には、印刷媒体Sを搬送する搬送ユニット40、ヘッドユニット60を移動する移動ユニット50、ノズルからインクが吐出するようヘッド62を駆動するヘッドユニット60、ヘッド62に形成されたノズルの検査を行う検査ユニット70、ヘッド62のクリーニングを行うキャップユニット80などが含まれる。搬送ユニット40は、図2及び図3に示すように、モーター駆動される上流側ローラー42及び下流側ローラー44によってロール状の印刷媒体Sを搬送方向(X方向)の上流側から下流側へ搬送し、巻取機構46によって巻き取るものである。印刷媒体Sは、両ローラー42,44の間の印刷領域においてプラテン48の下側からバキューム吸着される。これにより、印刷中の印刷媒体Sの位置が固定される。移動ユニット50は、図2及び図3に示すように、ヘッドユニット60を印刷媒体Sの搬送方向(X方向)と印刷媒体Sの幅方向(Y方向)に自在に移動させるものである。この移動ユニット50は、X軸ステージ52によってヘッドユニット60をX方向に移動させ、Y軸ステージ54によってヘッドユニット60をX軸ステージ52と共にY方向に移動させる。ヘッドユニット60は、図3に示すように、複数のノズルを有するヘッド62を備え、コントローラー20からの駆動信号によってノズルからインクを印刷媒体Sに向かって吐出させるものである。このヘッドユニット60は、後述するように複数のヘッド62を備えている。各ヘッド62は、ピエゾ素子を用いて圧力によりインクを吐出する。検査ユニット70は、ノズルの詰まりの有無を検査するものであり、図3に示すように、ヘッドユニット60のヘッド62と対向可能な位置に検査電極72を備えている。この検査ユニット70の詳細については後述する。キャップユニット80は、図3に示すように、検査ユニット70の隣に設けられ、ヘッド62と対向可能な位置にキャップ82を有している。キャップ82は、ヘッド62のノズルを覆うように装着され、ノズルからインクや異物を強制的に吸引するものである。このキャップユニット80の詳細については後述する。ディスプレイ12は、CPU22からの制御信号に応じた画像を表示するものである。カバーセンサー14は、検査ユニット70やキャップユニット80を覆う開閉可能な第1カバー16(図4参照)が閉じられているときにはオフ信号、開かれたときにはオン信号をCPU22へ信号を出力するものである。なお、プリンター10は、印刷領域を覆う開閉可能な第2カバー18も備えている。
ヘッドユニット60について、更に詳しく説明する。図5は、ヘッドユニット60における複数のヘッド62の配置を示す説明図である。なお、図中では、ヘッド62の配置をプリンター10の上面から透視した状態を示した。図5に示すように、ヘッドユニット60は、15個のヘッド62を有する。15個のヘッド62は、Y方向に沿ってジグザグに並んでいる。説明の便宜上、Y方向の上端側から下端側に向かって、第1ヘッド62a,第2ヘッド62b,……、第14ヘッド62n,第15ヘッド62oと称することにする。このため、奇数番目のヘッド62a,62c,62e……はY方向に平行となるように直線状の列をなし、偶数番目のヘッド62b,62d,62f……はその隣でY方向に平行となるように直線状の列をなす。
図6は、第1ヘッド62aに形成された複数のノズルの配置を示す説明図である。なお、図中では、ノズルの配置を第1ヘッド62aの上面から透視した状態を示した。また、第2ヘッド62b〜第15ヘッド62oはいずれも第1ヘッド62aと同じ構成である。第1ヘッド62aは、8色のノズル列を有している。具体的には、図6の左側から順に、マットブラックインクを吐出するMk列、グリーンインクを吐出するGr列、オレンジインクを吐出するOr列、クリアインクを吐出するCl列、フォトブラックインクを吐出するPk列、シアンインクを吐出するCy列、マゼンタインクを吐出するMa列、イエローインクを吐出するYe列である。各ノズル列は、180個のノズルを有する。180個のノズルは、Y方向に沿って、一定のノズルピッチ(1/180インチ)で並んでいる。説明の便宜上、Y方向の上端側のノズルから順に#1,#2,……,#180と称することにする。第1ヘッド62bの各ノズル列と第2ヘッド62bの各ノズル列とを見ると、第1ヘッド62aのY方向の下端側の4つのノズルのそれぞれのY座標位置は、第2ヘッド62bのY方向の上端側の4つのノズルのそれぞれのY座標位置と一致している。このようにY座標位置が同じ2つのノズルは、互いに補間し合いながらドットを形成することが可能である。こうした関係は、第αヘッドと第(α+1)ヘッド(αは1〜14までの整数)との間でも同様である。
こうしたヘッドユニット60を用いて印刷媒体Sに印刷する手順を以下に概説する。まず、図2及び図3において、コントローラー20は、印刷領域に印刷媒体Sの新しい面が供給されるよう搬送ユニット40を制御すると共に、ヘッドユニット60が初期位置に来るように移動ユニット50を制御する。なお、初期位置とは、印刷領域におけるX方向の最上流の位置で且つY方向の最上端の位置である。初期位置に配置されているヘッドユニット60を、図2及び図3中、実線で示す。そして、コントローラー20は、ヘッドユニット60が印刷領域のX方向の最上流の位置から最下流の位置(図2及び図3中、1点鎖線で示す)まで移動するよう移動ユニット50を制御すると同時に、移動中のヘッド62のノズルからインクが吐出するようヘッドユニット60を制御することにより、X方向に並ぶドット列を形成する。この動作を1パスと称する。こうして1パス分のドット列を形成した後、コントローラー20は、ヘッドユニット60がY方向の下端側に移動するよう移動ユニット50を制御し、再び次の1パスを実行してX方向のドット列を形成する。Y方向の下端側に移動したヘッドユニット60の一例を図3の2点鎖線で示す。そして、印刷媒体Sの幅方向に応じて決まるパス数の動作を終了したとき、印刷媒体Sの印刷領域の画像が完成する。図7は、印刷の様子を示す説明図である。図7では、説明の便宜上、5つのノズルがY方向に平行に1列に並んだノズル列を例示した。この図7では、パス1〜パス4までの合計4パス分のX方向のドット列が順次形成されていく様子を示した。
検査ユニット70について、以下に詳しく説明する。図8は検査ユニット70の全体構成を表す説明図である。検査ユニット70は、ヘッド62に形成されたノズルから吐出されたインクを受ける金属板状の検査電極72と、この検査電極72とヘッド62のノズルプレート63との間に電圧を印加する高圧電源74と、検査電極72とノズルプレート63との間に電圧を印加した状態でノズルからインクを吐出させたときの電圧信号に基づいてその信号の大小を判定する検出制御部76とを備えている。なお、ノズルプレート63は複数のノズルが形成されたプレートであり、検査ユニット70の一部としても機能するものである。
検査電極72は、基本的には2つのヘッド62に1つの割合で形成されている。図9に検査電極72の平面図を示す。本実施形態では、ヘッド数は15個であるため、それに対応して検査電極72は8個形成されている。説明の便宜上、8個の検査電極72を第1検査電極72A,第2検査電極72B,……と称することにする。具体的には、図9に示すように、第1ヘッド62aと第3ヘッド62cに対して第1検査電極72A、第5ヘッド62eと第7ヘッド62gに対して第2検査電極72B、第9ヘッド62iと第11ヘッド62kに対して第3検査電極72C、第13ヘッド62mと第15ヘッド62oに対して第4検査電極72D、第2ヘッド62bと第4ヘッド62dに対して第5検査電極72E、第6ヘッド62fと第8ヘッド62hに対して第6検査電極72F、第10ヘッド62jと第12ヘッド62lに対して第7検査電極72G、第14ヘッド62nに対して第8検査電極72Hが形成されている。つまり、本実施形態ではヘッド62の数が15個であるため、第14ヘッド62nについては、1つのヘッド62に対して1つの検査電極72が対応している。このような検査電極72は、図3に示すように、印刷領域から左側(X方向の上流側)に外れた位置に設けられている。なお、図8には一つの検査電極72についての電気回路の構成を示したが、第1〜第8検査電極72A〜72Hのそれぞれについて、こうした電気回路が組まれている。
高圧電源74は、検査電極72を所定電位にするための電源であり、ここでは600〜1000Vの直流電源によって構成される。高圧電源74と検査電極72との間には、第1制限抵抗73と第2制限抵抗75とが配置されている。これらの制限抵抗73,75は、高圧電源74と検査電極72との間に流れる電流を制御するものであり、ここでは両者の抵抗値を共に1.6MΩとした。
検出制御部76は、高圧電源74による検査電極72とノズルプレート63との電圧印加を制御する。また、検出制御部76は、増幅器77で増幅された検査電極72の電圧信号(アナログ信号)に基づいて検査対象ノズルがインクを吐出したか否かを判定し、判定結果をデジタル信号としてコントローラー20に送信する。増幅器77と検査電極72との間には、検査電極72のバイアス成分(直流成分)を除去する検査用コンデンサー78が配置されている。また、第1制限抵抗73と第2制限抵抗75との間には、平滑コンデンサー79の一端が接続されている。この平滑コンデンサー79の他端は接地されている。平滑コンデンサー79は、電位の急激な変化を抑制するものである。ここでは、検査用コンデンサー78の容量を4700pF、増幅器77の増幅率を4000倍、平滑コンデンサー79の容量を0.1μFとした。
キャップユニット80について、以下に詳しく説明する。図10はキャップユニット80の平面図、図11はキャップ82とワイパー88の概略斜視図である。キャップユニット80は、ヘッド62のノズルからインクや異物を強制的に吸引するキャップ82と、ヘッド62の表面(ノズルプレート63の表面)に溜まった異物を掻き取るワイパー88とを備えている。キャップ82は、ヘッド62ごとに形成されている。本実施形態では、ヘッド数は15個であるため、それに対応してキャップ82も15個形成されている。なお、15個のキャップ82は、説明の便宜上、第1ヘッド62aに対応するものを第1キャップ82a,第2ヘッド62bに対応するものを第2キャップ82b,……と称することがある。キャップ82の下面には、図11に示すように、チューブを介して吸引ポンプ86が接続されている。各キャップ82は、仕切り壁により2つのセル821,822に分割されている。一方のセル821は、ヘッド62に形成されたMk列、Gr列、Or列、Cl列のノズルを覆うように形成され、もう一方のセル822はPk列、Cy列、Ma列、Ye列のノズルを覆うように形成されている。各セル621,622の内部には、ノズルから吸引されるインクをしみ込ませたり異物を受け止めたりするためのスポンジが充填されている。ワイパー88も、ヘッド62ごとに形成されている。本実施形態では、ヘッド数は15個であるため、それに対応してワイパー88も15個形成されている。なお、15個のワイパー88は、説明の便宜上、第1ヘッド62aに対応するものを第1ワイパー88a,第2ヘッド62bに対応するものを第2ワイパー88b,……と称することがある。ワイパー88は、各キャップ82の横に立設され、高さはキャップ82よりも高くなっている。キャップユニット80は、ワイパー88の先端がヘッドユニット60のヘッド62の表面に接触するワイピング位置(図2の実線)と、キャップ82がヘッド62に密着するノズル吸引位置(図2の1点鎖線)のいずれかに位置決めされる。ワイピングは、キャップユニット80がワイピング位置に位置決めされた状態で、ヘッドユニット60をX方向に移動させることにより実施される。こうすると、ワイパー88に対してヘッド62がX方向に移動するため、ノズルやその近傍に付着した異物がワイパー88に掻き取られる。ノズル吸引は、キャップユニット80がノズル吸引位置に位置決めされた状態で、吸引ポンプ86を駆動して各セル821,822の内部を負圧にすることにより実施される。各セル821,822が負圧になると、ヘッド62に形成されたノズル内のインクや異物が吸い出され、スポンジに受け止められる。
次に、本実施形態のプリンター10の動作、特にノズルを検査するときの動作について説明する。コントローラー20は、検査対象ノズルの検査において、インクを良好に吐出できるか否かを調べる吐出検査と、吐出検査中にその判定結果に影響を与えるノイズが発生したか否かを調べるノイズ検査とを実施する。
まず、吐出検査について説明する。図12は駆動信号COMとそれに対応した検出信号とを示す説明図であり、(a)は駆動信号COMの波形、(b)は増幅器77から出力される検出信号の波形を示す。コントローラー20は、ノズルプレート63と検査電極72との間に高圧電源74の電圧を印加した状態で、図12(a)に示すピエゾ素子を駆動する駆動信号COMを各ヘッド62に出力する。駆動信号COMは、20〜30個のインク吐出用パルスを出力するパルス出力区間と一定電位(中間電位)の休止区間との組み合わせとなっている。このような駆動信号COMがピエゾ素子に印加されると、そのピエゾ素子に対応するノズルから20〜30個のインク滴が吐出される。すると、これに対応して、増幅器77から検出信号(アナログ信号、図12(b)参照)が検出制御部76へ出力される。検出制御部76は、駆動信号COMに対応した検出信号の振幅Va(検出信号の最高電位VHと最低電位VLとの差)を検出し、検出された振幅Vaと予め定められた閾値Vth(例えば3V)とを比較する。そして、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも大きければ、検出制御部76は、「振幅大」(吐出良好)を表すデジタル信号を生成する。逆に、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも小さければ、「振幅小」(吐出不良)を表すデジタル信号を生成する。
ここで、吐出検査の原理について説明する。図8において、ノズルプレート63と検査電極72との間に電圧を印加した状態で、検査対象ノズルからインクが吐出するようにヘッドユニット60を制御したとき、実際にそのノズルからインクが吐出した場合には検査電極72の電圧信号が大きく変化するが、そのノズルからインクが吐出しなかった場合には検査電極72の電圧信号はほとんど変化しない。このため、その電圧信号の変化に基づいて検査対象ノズルがインクを吐出したか否かを判定することができる。この原理は正確には解明されていないが、次のように考えられる。一般的に、コンデンサーを構成する一対の電極板の間隔が変化すると、コンデンサーに蓄えられる電荷が変化することが知られている。グランド電位のノズルプレート63から高電位の検査電極72に向かってインクが吐出されると、グランド電位のインク滴と検査電極72との間隔d(図8参照)が変化し、コンデンサーの一対の電極板の間隔が変化したときのように、検査電極72に蓄えられる電荷が変化する。この結果、検査電極72に電荷が移動し、これに伴って変化する電圧を検査用コンデンサー78及び増幅器77が検出し、検出信号が検出制御部76に出力されると考えられる。
次に、ノイズ検査について説明する。ノイズ検査期間中は、コントローラー20は、ノズルプレート63と検査電極72との間に高圧電源74の電圧を印加した状態で、どのノズルのピエゾ素子にも駆動信号COMを付与しない。つまり、ノイズ検査期間は、インク滴を吐出させない非吐出期間になる。この期間中も、増幅器77から検出信号(アナログ信号)が検出制御部76へ出力される。検出制御部76は、この検出信号の振幅Vaと閾値Vthとを比較し、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも大きければ、「振幅大」(ノイズあり)を表すデジタル信号をコントローラー20へ送信する。逆に、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも小さければ、「振幅小」(ノイズなし)を表すデジタル信号をコントローラー20へ送信する。図8において、ノズルプレート63と検査電極72との間に電圧を印加した状態で、どのノズルのピエゾ素子にも駆動信号COMを付与しない場合、本来であれば検査電極72の電圧信号はほとんど変化しないが、検査電極72にノイズが発生するとそのノイズによって検査電極72の電圧信号が大きく変化する。このため、その電圧信号の変化に基づいてノイズの有無を判定することができる。
吐出検査とノイズ検査の具体例について説明する。ここでは、1つのノズルに対して、吐出検査を2回行い、その後ノイズ検査を1回行う場合を例に挙げて説明する。そのときの増幅器77から出力される検出信号及び検出制御部76での判定結果の例を図13に示す。図13(a)では、2回の吐出検査で共に検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えているため、検出制御部76で共に「振幅大」のデジタル信号が生成され、その後のノイズ検査で振幅Vaが閾値Vth以下のため「振幅小」のデジタル信号が生成される。これらの3つのデジタル信号を統合して判定すると、そのノズルは「正常」と決定される。図13(b)では、2回の吐出検査で共に検出信号の振幅Vaが閾値Vth以下のため、検出制御部76で共に「振幅小」のデジタル信号が生成され、その後のノイズ検査で振幅Vaが閾値Vth以下のため「振幅小」のデジタル信号が生成される。これらの3つのデジタル信号を統合して判断すると、そのノズルは「異常」と決定される。図13(c)の検出信号では、1回目の吐出検査で検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えたため、検出制御部76で「振幅大」のデジタル信号が生成され、2回目の吐出検査で振幅Vaが閾値Vth以下のため「振幅小」のデジタル信号が生成され、その後のノイズ検査で振幅Vaが閾値Vth以下のため「振幅小」のデジタル信号が生成される。これらの3つのデジタル信号を統合して判断すると、そのノズルは「異常」と決定される。つまり、複数の吐出検査のうち1回でも「振幅小」のものがあれば、そのノズルは詰まり等が生じている可能性があることから、「異常」と判定するのである。図13(d)では、2回の吐出検査で共に検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えているため、検出制御部76で共に「振幅大」のデジタル信号が生成され、その後のノイズ検査でも振幅Vaが閾値Vthを超えたため「振幅大」のデジタル信号が生成される。これらの3つのデジタル信号を統合して判断すると、そのノズルは「不明」と決定される。ノイズ検査で振幅Vaが閾値Vthを超えたということは、その前の吐出検査においてノイズが混入している可能性が高く、ノイズのせいで振幅Vaが閾値Vthを超えた可能性があるため、正常か異常かを判定できず、「不明」と判定するのである。このように、ノイズ検査の結果が「振幅大」の場合には、その直前の吐出検査はノイズの影響を受けている可能性が高いことから、統合判断では吐出検査の結果にかかわらず「不明」と判定する。
次に、コントローラー20が実行するノズル検査のメインルーチンについて、図14のフローチャートを用いて説明する。コントローラー20は、ノズル検査のタイミングが到来するごとに、このメインルーチンを開始する。なお、ノズル検査のタイミングは、例えば20分とか60分とかをインターバル時間とし、そのインターバル時間が経過するごとのタイミングとしてもよい。このタイミングは、印刷途中であっても発生する。さて、メインルーチンが開始されると、コントローラー20は、まず、印刷停止状態にする(ステップS22)。すなわち、印刷途中でメインルーチンが開始された場合には、その印刷動作を途中で中断し、待機中にメインルーチンが開始された場合には、印刷ジョブが送信されてきても印刷動作を開始しないようにする。
続いて、コントローラー20は、クリーニングを実行する(ステップS24)。クリーニングには、ワイピングとノズル吸引とがあるが、これらについては既述したとおりである。続いて、コントローラー20は、統合判定ルーチンを実行する(ステップS26)。この統合判定ルーチンを実行することにより、第1〜第15ヘッド62a〜62oがそれぞれ有する複数のノズルについて、どのノズルが正常でどのノズルが異常かを把握することができるが、詳しくは後述する。
続いて、コントローラー20は、その統合判定の結果に基づいて異常ノズルの有無を判定する(ステップS28)。そして、異常ノズルがなかったならば、印刷停止を解除し(ステップS42)、このメインルーチンを終了する。その結果、例えば、印刷媒体Sへの印刷動作の途中でこのメインルーチンが開始されたときには、一時中断された印刷動作が再開される。
一方、ステップS28で異常ノズルがあったならば、その異常ノズルありとの判定結果が所定回数連続したか否かを判定する(ステップS30)。この所定回数は、実験データに基づいて経験的に設定されたものである。ここでは、異常ノズルについてクリーニングの回数と正常ノズルに復帰する確率との対応関係を調査し、正常ノズルに復帰する確率が予め定められた閾値(例えば90%とか95%とか99%)を超えるようなクリーニング回数を選定し、それを所定回数に設定するものとした。そして、ステップS30で異常ノズルありとの判定結果が所定回数連続したのでなければ、再びステップS24に戻る。つまり、クリーニングを実行し、そのクリーニングにより異常ノズルが正常ノズルに復帰したか否かを判定する(ステップS24〜S28)。
一方、ステップS30で異常ノズルありとの判定結果が所定回数連続したならば、毎回同じノズルが異常ノズルとされていたか否かを判定する(ステップS32)。毎回同じノズルが異常ノズルとされていたのでなければ、異常ノズルが発生していることを示すエラーメッセージとクリーニングに使用されるキャップ82やワイパー88のメンテナンス作業を指示する指示メッセージとをディスプレイ12に出力する(ステップS34)。クリーニングを実行しても異常ノズルが正常ノズルに回復しなかったのは、キャップ82やワイパー88が汚れている可能性があるため、それらのメンテナンス作業を指示するのである。指示メッセージを見たオペレーターは、第1カバー16を開いてキャップユニット80を露出させた状態で、クリーニング液(エタノール液又はイソプロピルアルコール液)を浸した不織布又は綿棒で各キャップ82の開口縁や各ワイパー88の先端を拭き取る。このようにしてメンテナンス作業が終了すると、オペレーターは第1カバー16を閉じる。すると、カバーセンサー14からコントローラー20へ出力される信号は、オンからオフに切り替わる。コントローラー20は、オペレーターによるメンテナンス作業が終了したか否かを、カバーセンサー14の信号がオンからオフに切り替わったか否かによって判定する(ステップS36)。そして、メンテナンス作業が終了していなければそのまま待機し、終了したならば、先ほどのメッセージを消去し(ステップS37)、再びステップS22に戻る。つまり、クリーニングを実行し、そのクリーニングにより異常ノズルが正常ノズルに復帰したか否かを判定する(ステップS24〜S28)。
一方、ステップS32で、毎回同じノズルが異常ノズルとされていたならば、そのノズルを回復不能ノズル(何度クリーニングを実行しても吐出不良から吐出良好へ回復する見込みのほとんどないノズル)とみなし、マスク対象ノズルに設定する(ステップS38)。そして、回復不能ノズルを有するヘッドつまり故障ヘッドが発生していることを示すエラーメッセージをディスプレイ12に出力し(ステップS40)、印刷停止を解除し(ステップS42)、このルーチンを終了する。こうしてメインルーチンを終了した後、次の検査タイミングが到来してメインルーチンが開始されると、マスク対象ノズルに設定されたノズルは、ステップS26の統合判定ルーチンにおいて、吐出検査の結果が「異常」だったとしても「正常」とみなされる。このため、他に異常ノズルがなければ、ステップS28で異常ノズルなしと判定され、印刷停止が解除される(ステップS42)。つまり、回復不能ノズルが発生した場合、それを知らせるメッセージをディスプレイ12に出力してオペレーターに知らせながらも印刷の続行が可能となる。その結果、例えば印刷媒体Sへの印刷動作の途中でこのメインルーチンが開始され、異常ノズルありとの判定結果が所定回数連続し且つ毎回同じノズルが異常ノズルとされていた場合には、一時中断された印刷動作が再開される。但し、異常ノズルは回復していないため、そのノズルが形成すべきドットは形成されずに抜け落ちることになる。
次に、統合判定ルーチン(ステップS26)について説明する。図15は、この統合判定ルーチンのフローチャートである。ここでは、ノズルをグループ単位で処理していく。このため、統合判定ルーチンの説明に先立って、グループの分け方について説明する。グループは、ヘッド62ごとに、そのヘッド62が有する複数のノズルを12個のノズルが1つのグループになるように分ける。図16は、第1ヘッド62aが有する1440個(180個×8列)のノズルをブロック分けしたときの様子を示すテーブルである。具体的には、Mk列において、#1〜#15を第1ブロック、#16〜#30を第2ブロック、……という具合にブロック分けを行い、その後、Gr列、Or列、Cl列、Pk列、Cy列、Ma列、Ye列の順に同様にしてブロック分けを行う。なお、第2〜第15ヘッド62b〜62oについても図16と同様にしてブロック分けされる。
統合判定ルーチンが開始されると、コントローラー20は、まず、移動ユニット50を制御して、ヘッドユニット60の各ヘッド62が各検査電極72に対向するようにヘッドユニット60を移動させる(ステップS100)。次いで、ブロックの番号を表す変数pに値1をセットする(ステップS110)。続いて、第pブロックを検査対象ブロックに設定し(ステップS120)、検査対象ブロックの検査を実行する(ステップS130)。具体的には、コントローラー20は、第pブロックに属する15個のノズルを順次、検査対象ノズルに設定し、検査対象ノズルのピエゾ素子に、図10(a)に示す駆動信号COMを2回連続して付与し、その後、駆動信号COMを所定期間付与しないようにする。これにより、検査対象ノズルは、2回の吐出検査と1回のノイズ検査とが実施されることになる。検査ユニット70の検出制御部76は、検査電極72とノズルプレート63との間に電圧を印加した状態で、増幅器77から出力される2回の吐出検査の検出信号と1回のノイズ検査の検出信号を取得し、検出制御部76の図示しない一時記憶領域に記憶する。そして、第pブロックに属する15個のノズルのすべてについて、各3つの検出信号を一時記憶した後、検出制御部76は、デジタル信号出力ルーチンを実行する。このときの検出制御部76の一時記憶領域に記憶されたデータを図17に示す。1〜3番目のデータは、第pブロックに属するノズルのうち番号(#1とか#2)の最小のものについての吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査の検出信号であり、4〜6番目のデータは、第pブロックに属するノズルのうち番号が2番目に小さいものについての吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査の検出信号である。これ以降のデータについても、意味するところは同じであるため説明を省略する。
ここで、検出制御部76が実行するデジタル信号出力ルーチンについて、図18のフローチャートを用いて説明する。このルーチンは、第pブロックに含まれるすべてのノズルの検出信号の検出が終了した時点、つまり、図17に示す一時記憶領域に1〜45個のデータがすべて記憶された時点で開始される。このルーチンが開始されると、検出制御部76は、まず、変数kに値1をセットする(ステップS310)。続いて、検出制御部76の一時記憶領域から第k番目のデータを読み出し(ステップS320)、そのデータつまり検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えるか否かを判定する(ステップS330)。そして、振幅Vaが閾値Vthを超えていたならば、「振幅大」を表すデジタル信号を検出制御部76の図示しない送信用レジスターの第k番目の位置に書き込む(ステップS340)。一方、振幅Vaが閾値Vth以下ならば、「振幅小」を表すデジタル信号を検出制御部76の送信用レジスターの第k番目の位置に書き込む(ステップS350)。そして、ステップS340又はステップS350で送信用レジスターへの書き込みが終了した後、変数kは上限値(ここでは1ブロックに含まれるノズル数は15個のため上限値は値45)に達しているか否かを判定し(ステップS360)、変数kが上限値に達していなければ、変数kを1インクリメントし(ステップS370)、再びステップS320に戻る。一方、変数kが上限値に達していたならば、送信用レジスターの内容をコントローラー20へ送信し(ステップS380)、このルーチンを終了する。つまり、検出制御部76は、送信用レジスターのフル容量分のデジタル信号(45個のデジタル信号)が格納されたあと、その送信用レジスターの内容をコントローラー20へ送信する。このときの送信用レジスターのデータを図19に示す。
図15に戻り、コントローラー20は、検出制御部76から1ブロック分のデジタル信号(45個のデジタル信号)を取得したか否かを判定し(ステップS140)、取得していなければ再びステップS140に戻る。一方、検出制御部76から1ブロック分のデジタル信号を取得したならば、統合判定を実施し、ノズルと統合判定結果との対応付けを行う(ステップS150)。例えば、検査対象ブロックが第1ブロックの場合には、45個のデジタル信号のうち1〜3番目のデジタル信号がMk列の#1のノズルの吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査の結果を表し、4〜6番目のデジタル信号がMk列の#2のノズルの吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査の結果を表す、という具合に、どのデジタル信号がどのノズルに対応しているかを特定していく。それと共に、特定したノズルにつき、それに対応した3つのデジタル信号を統合判定して正常か異常かを決定する。なお、正常か異常かの判定(統合判定)は、既に図13を用いて説明したとおりである。こうして統合判定を実施した後、特定したノズルにつき、統合判定の結果を対応づける。その一例を図20に示す。図20(a)は検出制御部76からのデジタル信号、図20(b)はノズルごとの統合判定の結果を示す。
続いて、コントローラー20は、第pブロックに含まれる15個のノズルの統合判定の結果に「不明」のものがあるか否かを判定する(ステップS160)。ステップS160で「不明」のものがあったならば、その第pブロックについて、前回までの統合判定の結果の履歴があるか否かを判定し(ステップS170)、履歴がなければ、今回の統合判定の結果を履歴に設定し(ステップS180)、今回の第pブロックを再度検査対象ブロックに設定し(ステップS210)、ステップ130に戻る。これにより、ブロック単位で再検査が実施される。一方、ステップS170で履歴があったならば、その履歴の中で「不明」のノズルにつき今回の統合判定の結果が「正常」か「異常」だった場合には、その統合判定の結果を反映させる(ステップS190)。前回までの履歴と、今回の統合判定結果と、反映後の統合判定結果との関係の一例を図21に示す。図21(a)の履歴中ではMk列の#2のノズルは「不明」だったが、図21(b)の今回の統合判定の結果ではその#2のノズルは「正常」になり、図21(c)の反映後においては履歴中の「不明」だった#2のみが「正常」に変わっている。今回の統合判定の結果ではMk列の#14,#15のノズルはいずれも「不明」だが、履歴を見ると、これらのノズルは既に「正常」と判定されているため、今回の統合判定の結果は反映されない。その結果、反映後においては、「不明」のものがなくなっている。
さて、ステップS190の後、コントローラー20は、反映後の統合判定の結果の中に「不明」があるか否かを判定し(ステップS200)、「不明」があったならば、今回の第pブロックを再度検査対象ブロックに設定し(ステップS210)、ステップ130に戻る。これにより、ブロック単位で再検査が実施されることになる。一方、ステップS200で「不明」がなかったか、あるいは、ステップS160で「不明」のものがなかったならば、第pブロック内にマスク対象ノズルに設定されたノズルがあるか否かを判定する(ステップS220)。ステップS220でマスク対象ノズルに設定されたノズルが存在しなければ、第pブロックのうちの15個の特定されたノズルとその統合判定の結果との対応関係を確定してメモリー28に保存する(ステップS230)。このときの一例を図21(d)に示す。この例では図21(c)の反映後の内容がそのままメモリー28に保存される。一方、ステップS220でマスク対象ノズルに設定されたノズルが存在したならば、マスク対象ノズル処理ルーチンを実行する(ステップS240)。マスク対象ノズル処理ルーチンでは、第pブロックのうちの15個の特定されたノズルとその統合判定の結果との対応関係のうち、マスク対象ノズルの統合判定の結果を「正常」に変更し、その変更後の対応関係をメモリー28に保存する(ステップS240)。このときの一例を図21(e)に示す。ここでは、マスク対象ノズルをMk列の#14のノズルとした。この例では図21(c)の反映後の内容のうちMk列の#14のノズルに対応する結果が「異常」から「正常」に変更されたあとメモリー28に保存される。そして、ステップS230又はS240の後、変数pは上限値(ここではブロックの総数)に達しているか否かを判定し(ステップS250)、変数pが上限値に達していなければ、変数pを1インクリメントし(ステップS260)、再びステップS120に戻る。これにより、次のブロックの検査が実施されることになる。一方、ステップS250で変数pが上限値に達していたならば、このルーチンを終了する。このような統合判定ルーチンを実行することにより、第1〜第15ヘッド62a〜62oがそれぞれ有する複数のノズルについて、どのノズルが正常でどのノズルが異常かを把握することができる。また、マスク対象ノズルに設定されたノズルは絶えず正常と判定されることになる。
なお、検出制御部76は、第1〜第8検査電極72A〜72Hのそれぞれに取り付けられているため、第1検査電極72Aを用いる第1ヘッド62aのノズル検査、第2検査電極72Bを用いる第5ヘッド62eのノズル検査、第3検査電極72Cを用いる第9ヘッド62iのノズル検査、第4検査電極72Dを用いる第13ヘッド62mのノズル検査、第5検査電極72Eを用いる第2ヘッド62bのノズル検査、第6検査電極72Fを用いる第6ヘッド62fのノズル検査、第7検査電極72Gを用いる第10ヘッド62jのノズル検査、第8検査電極72Hを用いる第14ヘッド62nのノズル検査を並列して実施する。また、第1検査電極72Aを用いる第3ヘッド62cのノズル検査、第2検査電極72Bを用いる第7ヘッド62gのノズル検査、第3検査電極72Cを用いる第11ヘッド62kのノズル検査、第4検査電極72Dを用いる第15ヘッド62oのノズル検査、第5検査電極72Eを用いる第4ヘッド62dのノズル検査、第6検査電極72Fを用いる第8ヘッド62hのノズル検査、第7検査電極72Gを用いる第12ヘッド62lのノズル検査を並列して実施する。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のノズルプレート63が本発明の第1電極に相当し、検査電極72が第2電極に相当し、検査ユニット70及びコントローラー20が検査手段、キャップユニット80がクリーニング手段に相当し、コントローラー20が制御手段に相当する。なお、本実施形態では、プリンター10の動作を説明することにより本発明のノズル検査方法の一例も明らかにしている。
以上説明した本実施形態のプリンター10によれば、回復不能ノズルが発生した場合、それを知らせるメッセージをディスプレイ12に出力してオペレーターに知らせながらも印刷の続行が可能となる。これにより、例えば、印刷の途中でこのメインルーチンが実行されて回復不能ノズルが発生した場合であっても、とりあえず印刷を最後まで実施して印刷媒体Sに形成された画像の品質をオペレーターがチェックした上で、その印刷媒体を良品とするか不良品とするかを決めることが可能となる。
また、異常ノズルありとの判定結果が所定回数連続したものの、毎回同じノズルが異常ノズルとされていたのでない場合には、キャップ82やワイパー88の汚れ等によりヘッド62のクリーニングの効果が十分得られなかったことに起因して、異常ノズルが発生していることがある。この点を考慮して、本実施形態では、キャップ82やワイパー88のメンテナンス作業をオペレーターに指示するメッセージをディスプレイ12に出力と共に、該作業の終了後に再びクリーニングを実行し、その後統合判定ルーチンを実行するようにしている。これにより、キャップ82やワイパー88の汚れ等が解消されて異常ノズルが回復した場合には、そのことを統合判定ルーチンの判定結果により確認することができる。
ちなみに、ワイパー88は、ヘッド62をワイピングすることにより、ノズルの近傍に付着した異物を掻き取ることができるが、掻き取った異物が堆積している場合には逆にノズルを異物で塞ぐこともある。キャップ82は、ヘッド62に装着されて内部を負圧にすることでノズル内の異物を吸引するものであるが、キャップ82の開口縁が汚れている場合にはノズル及びその周辺を汚すこともある。こうしたことから、ワイパー88やキャップ82がクリーニングの効果を十分発揮するために、これらのメンテナンス作業を指示することとした。
更に、ヘッド62が複数設けられているため、ヘッド62が一つだけ設けられている場合に比べて、クリーニングとそれに続く統合判定ルーチンの繰り返し回数が所定回数に達したときに毎回同じノズルが異常ノズルとされていたというケースが起こりやすい。このため、本発明を適用する意義が高い。また、図8の電気回路は検査電極72ごとに設けられているため、検査結果からどの組で吐出不良が発生したのかを把握でき、どのヘッドのどのノズルで吐出不良が生じたかを把握することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態のメインルーチンでは、異常ノズルありの判定結果が所定回数連続し且つ毎回同じノズルが異常ノズルとされていたならば(ステップS32でYES)、直ちにそのノズルをマスク対象ノズルに設定し、ヘッド故障のメッセージを出力し、印刷停止を解除したが(ステップS38〜S42)、その代わりに、図22のメインルーチンを実行してもよい。このメインルーチンでは、ステップS22〜S37は図14と同様のため、その説明を省略し、以下にはステップS50以降について説明する。異常ノズルありの判定結果が所定回数連続し且つ毎回同じノズルが異常ノズルとされていたならば(ステップS32でYES)、ヘッド故障を伝えるメッセージをディスプレイ12に出力する(ステップS50)。続いて、オペレーターが印刷停止の強制解除の指示を入力したか否かを判定する(ステップS52)。印刷停止の強制解除の指示は、画像形成続行の指示に相当するものであり、図示しない操作パネルにより行う。そして、強制解除の指示が入力されなければ、ヘッド交換の作業が実施されたか否かを判定し(ステップS54)、実施されていなければ再びステップS52に戻る。一方、ヘッド交換の作業が実施されたならば、先ほどのヘッド故障を伝えるメッセージをディスプレイ12から消去し(ステップS56)、印刷停止を解除し(ステップS64)、このルーチンを終了する。なお、ヘッド交換の作業が実施されたか否かは、図示しない操作パネルのヘッド交換完了ボタンが押下されたか否かにより行う。一方、ステップS52で印刷停止の強制解除の指示が入力されたならば、そのノズルをマスク対象ノズルに設定し(ステップS60)、印刷停止を解除し(ステップS64)、このルーチンを終了する。こうすれば、オペレーターの判断によって、回復不能ノズルが発生しているにもかかわらず印刷停止を解除して印刷を続行することが可能になる。
上述した実施形態のマスク対象ノズル処理ルーチンでは、マスク対象ノズルの統合判定の結果を「正常」に変更し、その変更後の対応関係を確定しメモリー28に保存したが、その代わりに図23に示すフローチャートのように処理してもよい。この処理が開始されると、コントローラー20は、まず、マスク対象ノズルの判定結果が「正常」か「異常」かを判定し(ステップS510)、「異常」ならば、そのノズルをマスク対象ノズルに設定したまま、そのノズルに対応する判定結果を「正常」に変更する(ステップS520)。一方、ステップS510で「正常」ならば、そのノズルを検査対象ノズルとして再検査を実行する(ステップS530)。すなわち、そのノズルについて2回の吐出検査と1回のノイズ検査を実行し、その結果に基づいて統合判定を行う。続いて、そのノズルの統合判定の結果が「正常」か「異常」かを判定し(ステップS540)、「異常」ならば、既述のステップS520に進む。一方、ステップS540で「正常」ならば、そのノズルについて再検査の回数が所定回数(例えば3回とか10回)に達したか否かを判定し(ステップS550)、所定回数に達していなければ、再びステップS530に戻る。一方、ステップS550で再検査の回数が所定回数に達していたならば、つまり、所定回数の再検査の結果がすべて「正常」だったならば、そのノズルをマスク対象ノズルから外し、そのノズルに対応する判定結果を「正常」とする(ステップS560)。そして、ステップS520のあと又はステップS560のあと、他にマスク対象ノズルがあるか否かを判定し(ステップS570)、肯定判定ならば、ステップS510に戻って他のマスク対象ノズルについて同様の処理を行う。一方、ステップS570で否定判定ならば、第pブロックに属するノズルと吐出良否との関係を確定しメモリー28に保存し(ステップS580)、本ルーチンを終了する。吐出不良から吐出良好へ回復する可能性が極めて低いマスク対象ノズルに設定されたノズルについて、1回の検査で吐出良好の結果が得られたとしても、ノイズなどの外乱によって誤って吐出良好になった可能性がある。このため、図23では、そうした場合に直ちにそのノズルをマスク対象ノズルから外すのではなく、再検査の結果を待ってマスク対象ノズルから外すかどうかを決定している。こうすることにより、マスク対象ノズルに設定されたノズルを、誤ってマスク対象ノズルから外してしまうおそれがない。また、再検査を実施するにあたり、マスク対象ノズルに設定されたノズルのうち検査結果が「正常」に変わったもののみを再検査の対象としているため、再検査に要する時間はブロック単位で再検査をする場合に比べて短くなる。
上述した実施形態では、マスク対象ノズルに設定されたノズルを、次回以降の統合判定ルーチンにおいても検査対象ノズルに設定するようにしたが、次回以降の統合判定ルーチンにおいて検査対象ノズルに設定せず、そのノズルの統合判定結果を「正常」とみなすようにしてもよい。こうすれば、統合判定ルーチンの実行時間を短くすることができる。
上述した実施形態では、メインルーチンのステップS34において、キャップ82とワイパー88のメンテナンス作業を指示する指示メッセージをディスプレイ12に出力したが、この指示メッセージは、異常ノズルに対応するキャップ82とワイパー88のメンテナンス作業をオペレーターに指示するものとしてもよい。例えば、第1ヘッド62aの#10のノズルが回復不能になった場合、第1ヘッド62aに対応する第1キャップ82aと第1ワイパー88aのメンテナンス作業をオペレーターに指示する。こうすることにより、オペレーターのメンテナンス作業の負担を軽くすることができる。
上述した実施形態では、メインルーチンのステップS36において、メンテナンス作業が終了したか否かの判定を、オペレーターがメンテナンス作業の清掃を実施したあとキャップユニット82を覆う第1カバー16が開から閉になったか否かによって行うこととしたが、その代わりに以下のようにしてもよい。すなわち、その判定を、オペレーターがメンテナンス作業を実施したあと、図示しない操作パネルを介してメンテナンス作業の終了の指示を入力したか否かよって行ってもよい。
上述した実施形態では、オペレーターに対してヘッド故障やメンテナンス作業の指示などを伝えるメッセージをディスプレイ12に表示したが、そのメッセージを図示しないスピーカーから音声で出力するようにしてもよい。
上述した実施形態では、1つのノズルにつき、2回の吐出検査と1回のノイズ検査を行うようにしたが、このうちの吐出検査の回数を1回にしてもよいし3回以上としてもよい。また、ノイズ検査は実施してもよいし、実施しなくてもよい。ノイズ検査を実施する場合、1つのノズルにつき1回としてもよいし、1つのブロックにつき1回としてもよい。
上述した実施形態では、統合判定ルーチンにおいて、同じ検査対象ブロックを再設定する回数(つまり再検査する回数)を制限しなかったが、その回数に上限を設けてもよい。こうすれば、統合判定ルーチンに想定外の時間がかかり、印刷作業に支障が生じるのを回避できる。なお、再設定の回数が上限に達した後も統合判定の結果の中に「不明」が存在した場合には、ノイズの影響によりノズル検査が完遂できない旨を知らせるメッセージを出力してもよい。メッセージは、聴覚に訴えるものでもよいし視覚に訴えるものでもよい。
上述した実施形態では、ノズルプレート63をグランド電位、検査電極72を高電位にし、検査電極72の電圧変化を検出したが、ノズルプレート63を高電位、検査電極72をグランド電位にし、ノズルプレート63の電圧変化を検出してもよい。
上述した実施形態では、インクジェットの方式として、ピエゾ素子を用いて圧力によりインクを吐出させる方式を例示したが、例えば、熱によりノズル内に気泡を発生させる方式などを採用してもよい。
上述した実施形態では、本発明の流体吐出装置をプリンター10に具体化した例を示したが、インク以外の他の液体や機能材料の粒子が分散されている液状体(分散液)、ジェルのような流状体などを吐出する流体吐出装置に具体化してもよいし、流体として吐出可能な固体を吐出する流体吐出装置に具体化してもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を溶解した液体を吐出する液体吐出装置、同材料を分散した液状体を吐出する液状体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置としてもよい。また、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する液体吐出装置、ジェルを吐出する流状体吐出装置、トナーなどの粉体を吐出する粉体吐出式記録装置としてもよい。
10 プリンター、12 ディスプレイ、14 カバーセンサー、16 第1カバー、18 第2カバー、20 コントローラー、22 CPU、24 ユニット制御回路、26 インターフェース部、28 メモリー、30 ユニット群、40 搬送ユニット、42 上流側ローラー、44 下流側ローラー、46 巻取機構、48 プラテン、50 移動ユニット、52 X軸ステージ、54 Y軸ステージ、60 ヘッドユニット、62 ヘッド、62a〜62o 第1〜第15ヘッド、63 ノズルプレート、70 検査ユニット、72 検査電極、72A〜72H 第1〜第8検査電極、73 第1制限抵抗、74 高圧電源、75 第2制限抵抗、76 検出制御部、77 増幅器、78 検査用コンデンサー、79 平滑コンデンサー、80 キャップユニット、82 キャップ、84 スポンジ、86 吸引ポンプ、88 ワイパー、821 セル、822 セル
Claims (8)
- 液体を吐出する複数のノズルを備えたヘッドと、
前記液体と接触する第1電極と、
前記第1電極に対向可能な位置に設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極とを対向させて両電極間に電圧を印加した状態で、前記複数のノズルから順次前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化を検出し、該電気的変化に基づいて各ノズルの液体吐出の良否を検査する吐出検査を実行する検査手段と、
前記ノズル又は前記ヘッドをクリーニングするクリーニング手段と、
前記検査手段による検査を実行したあと該検査で吐出不良のノズルが存在していたならば前記クリーニング手段によるクリーニングを実行し、その後、前記検査を再実行するという手順を、所定回数に達するまで繰り返し、前記手順の繰り返し回数が前記所定回数に達したとき、前記検査で毎回同じノズルが吐出不良とされていたならば、オペレーターに回復不能ノズルが発生したことを伝えるメッセージを出力すると共に該ノズルを次回以降の前記手順において吐出良好とみなすマスク対象ノズルに設定した上で前記ヘッドによる画像形成を許容する制御手段と、
を備えた液体吐出装置。 - 前記制御手段は、前記手順の繰り返し回数が前記所定回数に達したとき、前記検査で毎回同じノズルが吐出不良とされていたならば、オペレーターに回復不能ノズルが発生したことを伝えるメッセージを出力すると共に、オペレーターからの画像形成続行の指示入力を待って、該ノズルを次回以降の前記手順において吐出良好とみなすマスク対象ノズルに設定した上で前記ヘッドによる画像形成を許容する、
請求項1又は2に記載の液体吐出装置。 - 前記制御手段は、前記手順の繰り返し回数が前記所定回数に達したとき、前記検査で毎回同じノズルが吐出不良とされていたのでなければ、前記クリーニング手段のメンテナンス作業をオペレーターに指示するメッセージを出力すると共に該作業の終了後に再び前記手順を実行する、
請求項1又は2に記載の液体吐出装置。 - 前記制御手段は、前記マスク対象ノズルに設定されたノズルにつき、次回以降の前記手順において前記検査の結果が吐出良好に変わったとき、更に前記検査を所定の再検査回数実施し、該結果がすべて吐出良好だったならば、該ノズルをマスク対象ノズルから外し、前記結果の少なくとも1つが吐出不良だったならば、該ノズルをマスク対象ノズルに設定したままとする、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。 - 前記制御手段は、前記検査を前記所定の再検査回数実施するにあたり、前記マスク対象ノズルに設定されたノズルのうち前記検査の結果が吐出良好に変わったもののみを再検査の対象とする、
請求項4に記載の液体吐出装置。 - 前記制御手段は、前記マスク対象ノズルに設定されたノズルを次回以降の前記手順において検査対象から外す、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。 - 液体を吐出する複数のノズルを備えたヘッドと、前記液体と接触する第1電極と、前記第1電極に対向可能な位置に設けられた第2電極と、を備え、前記第1電極と前記第2電極とを対向させて両電極間に電圧を印加した状態で、前記複数のノズルから順次前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化を検出し、該電気的変化に基づいて各ノズルの液体吐出の良否を検査する吐出検査を実行する検査機能と、前記ノズル又は前記ヘッドをクリーニングするクリーニング機能とを有する液体吐出装置における、ノズル検査方法であって、
前記検査機能による検査を実行したあと該検査で吐出不良のノズルが存在していたならば前記クリーニング機能によるクリーニングを実行し、その後、前記検査を再実行するという手順を、所定回数に達するまで繰り返し、前記手順の繰り返し回数が前記所定回数に達したとき、前記検査で毎回同じノズルが吐出不良とされていたならば、オペレーターに回復不能ノズルが発生したことを伝えるメッセージを出力すると共に該ノズルを次回以降の前記手順において吐出良好とみなすマスク対象ノズルに設定した上で前記ヘッドによる画像形成を許容する、
ノズル検査方法。 - 請求項7に記載のノズル検査方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実現させるプログラム。
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JP2011040439A JP2012176536A (ja) | 2011-02-25 | 2011-02-25 | 液体吐出装置、ノズル検査方法及びそのプログラム |
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JP2020032590A (ja) * | 2018-08-29 | 2020-03-05 | セイコーエプソン株式会社 | 液滴吐出装置及び液滴吐出装置のメンテナンス方法 |
JP2022128596A (ja) * | 2021-02-23 | 2022-09-02 | 株式会社リコー | 印刷ジョブのための動的スキャン品質制御管理 |
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2011
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