JP2012176534A - 液体吐出装置、ノズル検査方法及びそのプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】ノズルの吐出検査の信頼性を向上しながら総検査時間を長期化させない。
【解決手段】ヘッド62が有する複数のノズルを、2以上のノズルを有するブロックに分け、分けられたブロックを順次、検査対象ブロックに設定する。また、検査対象ブロックに含まれる2以上のノズルを順次、検査対象ノズルに設定する。検出制御部76は、ヘッド62のノズルプレート63と検査電極72とを対向させて両者の間に電圧を印加した状態で、検査対象ノズルごとに、検査電極72に向かって液体を吐出させたときの電圧信号を検出すると共にすべてのノズルから液体を吐出させないときの電圧信号を検出する。そして、検査対象ブロックに含まれるすべてのノズルの電圧信号の検出が終了した時点で、その検査対象ブロックに含まれるノズルの各々につき、該ノズルの吐出の良否及びノイズの有無を判定し、その判定結果をコントローラー20へ送信する。
【選択図】図7
【解決手段】ヘッド62が有する複数のノズルを、2以上のノズルを有するブロックに分け、分けられたブロックを順次、検査対象ブロックに設定する。また、検査対象ブロックに含まれる2以上のノズルを順次、検査対象ノズルに設定する。検出制御部76は、ヘッド62のノズルプレート63と検査電極72とを対向させて両者の間に電圧を印加した状態で、検査対象ノズルごとに、検査電極72に向かって液体を吐出させたときの電圧信号を検出すると共にすべてのノズルから液体を吐出させないときの電圧信号を検出する。そして、検査対象ブロックに含まれるすべてのノズルの電圧信号の検出が終了した時点で、その検査対象ブロックに含まれるノズルの各々につき、該ノズルの吐出の良否及びノイズの有無を判定し、その判定結果をコントローラー20へ送信する。
【選択図】図7
Description
本発明は、液体吐出装置、ノズル検査方法及びそのプログラムに関する。
従来より、液体吐出装置として、ヘッドに形成された複数のノズルから吐出される液体を第1電位にする第1電極と、その第1電位とは異なる第2電位である第2電極との間に電圧を印加した状態で、複数のノズルから第2電極に向かって順次液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化に基づいて各ノズルから液体が吐出されたか否かを判定するものが知られている。このようにノズルから液体が吐出されたか否かを判定する処理は、ノズル検査あるいは吐出検査と称される。
例えば、特許文献1の液体吐出装置では、ノズルプレートに1000個を超えるノズルが形成されたヘッドの吐出検査として、15個のノズルを1つのブロックとし、ブロックごとにノズルの吐出検査を行う。また、1ブロックの吐出検査を行うごとに、1つのノイズ検査期間(非吐出ダミー期間ともいう)を設け、この期間中にノイズが発生したか否かによって、吐出検査中にノイズが混入したか否かを検査する。すなわち、ノイズ検査期間中にノイズが発生しなければ、その直前のブロックの吐出検査を有効とし、ノイズが発生したならば、その直前のブロックの吐出検査を無効とする。その結果、実際には液体を吐出できないノズルであるにもかかわらず、吐出検査時に混入したノイズにより液体を吐出したと誤判定された場合でも、ノイズ検査を行うことによりその誤判定を無効にすることができる。
しかしながら、15個のノズルを1つのブロックとしているため、15個のノズルについて吐出検査を行っている間にノイズが混入したにもかかわらず、その後のノイズ検査期間にはノイズが消失していることもある。つまり、実際には液体を吐出できないノズルであるにもかかわらず、吐出検査時に混入したノイズにより液体を吐出したと誤判定されたものがそのまま有効になる可能性がある。その結果、液体吐出装置を商業産業系の用途に適用する場合、要求される検査の信頼性を満足しないおそれがある。
この点を考慮して、ブロックに属するノズルを1つにすることが考えられる。こうすれば、1つのノズルの吐出検査を行うごとにノイズ検査を行うことになるため、検査の信頼性が向上する。ところが、この場合には、吐出検査の良否及びノイズの有無の判定を、1ノズルごとに行うことになるため、判定の頻度が多くなり、その結果、総検査時間が長くなるという問題があった。
本発明は、ノズルの吐出検査の信頼性を向上しながら総検査時間を長期化させないことを主目的とする。
本発明の液体吐出装置は、
液体を吐出する複数のノズルを備えたヘッドと、
前記液体と接触する第1電極と、
前記第1電極に対向可能な位置に設けられた第2電極と、
前記複数のノズルを2以上のノズルを有するブロックに分け、該分けられたブロックを順次、検査対象ブロックに設定する検査対象ブロック設定手段と、
前記検査対象ブロックに含まれる2以上のノズルを順次、検査対象ノズルに設定する検査対象ノズル設定手段と、
前記第1電極と前記第2電極とを対向させて両電極間に電圧を印加した状態で、前記検査対象ノズルから前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化を検出すると共に前記複数のノズルのすべてから液体を吐出させないときの両電極間の電気的変化を検出する動作を、前記検査対象ノズルごとに行い、前記検査対象ブロックに含まれるすべてのノズルの前記電気的変化の検出が終了した時点で、該検査対象ブロックに含まれるノズルの各々につき前記電気的変化に関する信号に基づいて吐出の良否及びノイズの有無を判定する検査手段と、
前記検査対象ブロックに含まれる各ノズルの吐出の良否及びノイズの有無の結果に基づいて、前記検査対象ブロックに含まれる各ノズルが正常か異常かを決定する処理手段と、
を備えたものである。
液体を吐出する複数のノズルを備えたヘッドと、
前記液体と接触する第1電極と、
前記第1電極に対向可能な位置に設けられた第2電極と、
前記複数のノズルを2以上のノズルを有するブロックに分け、該分けられたブロックを順次、検査対象ブロックに設定する検査対象ブロック設定手段と、
前記検査対象ブロックに含まれる2以上のノズルを順次、検査対象ノズルに設定する検査対象ノズル設定手段と、
前記第1電極と前記第2電極とを対向させて両電極間に電圧を印加した状態で、前記検査対象ノズルから前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化を検出すると共に前記複数のノズルのすべてから液体を吐出させないときの両電極間の電気的変化を検出する動作を、前記検査対象ノズルごとに行い、前記検査対象ブロックに含まれるすべてのノズルの前記電気的変化の検出が終了した時点で、該検査対象ブロックに含まれるノズルの各々につき前記電気的変化に関する信号に基づいて吐出の良否及びノイズの有無を判定する検査手段と、
前記検査対象ブロックに含まれる各ノズルの吐出の良否及びノイズの有無の結果に基づいて、前記検査対象ブロックに含まれる各ノズルが正常か異常かを決定する処理手段と、
を備えたものである。
この液体吐出装置では、両電極間に電圧を印加した状態で、検査対象ノズルから第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化を検出すると共に、複数のノズルのすべてから液体を吐出させないときの両電極間の電気的変化を検出する動作を、検査対象ノズルごとに行う。そして、検査対象ブロックに含まれるすべてのノズルの電気的変化の検出が終了した時点で、該検査対象ブロックに含まれるノズルの各々につき、先ほどの電気的変化に関する信号に基づいて、吐出の良否及びノイズの有無を判定する。その後、検査対象ブロックに含まれる各ノズルの吐出の良否及びノイズの有無の結果に基づいて、その検査対象ブロックに含まれる各ノズルが正常か異常かを決定する。このように、1つのノズルに対してノイズ検査を行うため、複数のノズルに対してノイズ検査を行う場合に比べて、吐出検査へのノイズの影響を精度よく調べることができ、検査の信頼性が向上する。また、検査対象ブロックに含まれるすべてのノズルの電気的変化の検出が終了した時点で、それらのノズルの各々につき吐出の良否及びノイズの有無を判定するため、1つのノズルの電気的変化の検出が終了するごとにそのノズルにつき吐出の良否及びノイズの有無を判定する場合に比べて、総検査時間を短くすることができる。
本発明の液体吐出装置において、前記検査手段は、前記検査対象ブロックに含まれる各ノズルの吐出の良否及びノイズの有無の結果を前記処理手段へ送信してもよい。検査手段から処理手段への送信には時間がかかるが、このように検査対象ブロックに含まれるすべてのノズルの検出信号を取得した時点でそれらのノズルの判定結果をまとめて処理手段へ送信することにより、送信回数を少なくすることができ、ひいては総検査時間をより短くすることができる。
本発明の液体吐出装置において、前記ブロックに含まれるノズル数は、前記ブロックに含まれる各ノズルの吐出の良否及びノイズの有無の結果の総数が前記検査手段の判定結果を記憶する領域の容量を最大限利用する数となるように、決められていてもよい。こうすれば、検査手段が一度に判定するノズルの数が最大限になるため、総検査時間を短縮するという効果を顕著に得ることができる。
本発明の液体吐出装置において、前記検査対象ノズルにつき、検査対象ノズルから前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化を検出する期間である吐出検査期間が2以上設定され、該期間の前方、後方又はその両方に、複数のノズルのすべてから液体を吐出させないときの両電極間の電気的変化を検出する期間であるノイズ検査期間が設定されていてもよい。この場合、前記処理手段は、前記ノイズ検査期間でノイズありと判定された場合、該ノイズ検査期間の前方、後方又はその両方に位置する吐出検査期間における判定結果にかかわらず、統合判定の結果を不明ノズルとしてもよい。特に、検査精度の向上を考慮すれば、2以上の吐出検査期間の前後両方にノイズ検査期間を設定し、該前後両方のノイズ検査期間でノイズなしと判定された場合に限り、両ノイズ検査期間に挟まれた2以上の吐出検査期間の吐出良否の結果を採用して統合判定を行うことが好ましい。
本発明の液体吐出装置において、前記検査対象ブロック設定手段は、前記処理手段による統合判定が終了した時点で、前記検査対象ブロックに含まれていたノズルの中に正常か異常かを判定できない不明ノズルがあるか否かを判定し、不明ノズルがあったならば今回のブロックを再び検査対象ブロックに設定してもよい。こうすれば、1ブロック単位で再検査するため、不明ノズルだけを再検査する場合に比べて、新たなソフトウェアを別途準備する必要がない。
本発明のノズル検査方法は、液体を吐出する複数のノズルを備えたヘッドと、前記液体と接触する第1電極と、前記第1電極に対向可能な位置に設けられた第2電極とを備えた液体吐出装置のノズル検査方法であって、(a)前記複数のノズルを2以上のノズルを有するブロックに分け、該分けられたブロックを順次、検査対象ブロックに設定するステップと、(b)前記検査対象ブロックに含まれる2以上のノズルを順次、検査対象ノズルに設定するステップと、(c)前記第1電極と前記第2電極とを対向させて両電極間に電圧を印加した状態で、前記検査対象ノズルから前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化を検出すると共に前記複数のノズルのすべてから液体を吐出させないときの両電極間の電気的変化を検出する動作を、前記検査対象ノズルごとに行い、前記検査対象ブロックに含まれるすべてのノズルの前記電気的変化の検出が終了した時点で、該検査対象ブロックに含まれるノズルの各々につき前記電気的変化に関する信号に基づいて吐出の良否及びノイズの有無を判定するステップと、(d)前記ステップ(c)で判定した各ノズルの吐出の良否及びノイズの有無の結果に基づいて、各ノズルが正常か異常かを決定するステップと、を含むものである。
このノズル検査方法によれば、1つのノズルに対してノイズ検査を行うため、複数のノズルに対してノイズ検査を行う場合に比べて、吐出検査へのノイズの影響を精度よく調べることができ、検査の信頼性が向上する。また、検査対象ブロックに含まれるすべてのノズルの電気的変化の検出が終了した時点で、それらのノズルの各々につき吐出の良否及びノイズの有無を判定するため、1つのノズルの電気的変化の検出が終了するごとにそのノズルにつき吐出の良否及びノイズの有無を判定する場合に比べて、総検査時間を短くすることができる。なお、このノズル検査方法において、上述した液体吐出装置の種々の態様を採用してもよいし、上述した液体吐出装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
本発明のプログラムは、上述したノズル検査方法の各ステップをコンピューターに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターに配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムをコンピューターに実行させれば、上述した本発明のノズル検査方法の各ステップが実現されるため、本発明のノズル検査方法と同様の作用効果が得られる。
次に、本発明を具現化した一実施形態について説明する。図1はインクジェット型のプリンター10の構成を表すブロック図、図2はプリンター10の概略断面図、図3はプリンター10の概略平面図である。
プリンター10は、パーソナルコンピューターPCと通信可能に接続され、パーソナルコンピューターPCから印刷データを入力し、その印刷データに基づいて紙や布などの印刷媒体Sに画像を印刷する。このプリンター10は、種々の制御を実行したり指令を出力したりするコントローラー20と、コントローラー20と信号のやり取りを行いながら各種処理を実行するユニット群30とを備えている。
コントローラー20は、プリンター10の全体の制御を司るCPU22と、ユニット群30の各ユニットを制御するユニット制御回路24とを備えている。CPU22は、ユニット群30に備えられた各種検出器から入力した検出信号やインターフェース部26を介してパーソナルコンピューターPCから受信した印刷データに基づいて、メモリー28に記憶された各種プログラムを実行し、メモリー28にデータを一時記憶しながらユニット制御回路24を介して各ユニットを制御する。ユニット群30には、印刷媒体Sを搬送する搬送ユニット40、ヘッドユニット60を移動する移動ユニット50、ノズルからインクが吐出するようヘッド62を駆動するヘッドユニット60、ヘッド62に形成されたノズルの検査を行う検査ユニット70などが含まれる。搬送ユニット40は、図2及び図3に示すように、モーター駆動される上流側ローラー42及び下流側ローラー44によってロール状の印刷媒体Sを搬送方向(X方向)の上流側から下流側へ搬送し、巻取機構46によって巻き取るものである。印刷媒体Sは、両ローラー42,44の間の印刷領域においてプラテン48の下側からバキューム吸着される。これにより、印刷中の印刷媒体Sの位置が固定される。移動ユニット50は、図2及び図3に示すように、ヘッドユニット60を印刷媒体Sの搬送方向(X方向)と印刷媒体Sの幅方向(Y方向)に自在に移動させるものである。この移動ユニット50は、X軸ステージ52によってヘッドユニット60をX方向に移動させ、Y軸ステージ54によってヘッドユニット60をX軸ステージ52と共にY方向に移動させる。ヘッドユニット60は、図3に示すように、複数のノズルを有するヘッド62を備え、コントローラー20からの駆動信号によってノズルからインクを印刷媒体Sに向かって吐出させるものである。このヘッドユニット60は、後述するように複数のヘッド62を備えている。各ヘッド62は、ピエゾ素子を用いて圧力によりインクを吐出する。検査ユニット70は、ノズルの詰まりの有無を検査するものであり、図3に示すように、ヘッドユニット60のヘッド62と対向可能な位置に検査電極72を備えている。この検査ユニット70の詳細については後述する。
ヘッドユニット60について、更に詳しく説明する。図4は、ヘッドユニット60における複数のヘッド62の配置を示す説明図である。なお、図中では、ヘッド62の配置をプリンター10の上面から透視した状態を示した。図4に示すように、ヘッドユニット60は、15個のヘッド62を有する。15個のヘッド62は、Y方向に沿ってジグザグに並んでいる。説明の便宜上、Y方向の上端側から下端側に向かって、第1ヘッド62a,第2ヘッド62b,……、第14ヘッド62n,第15ヘッド62oと称することにする。このため、奇数番目のヘッド62a,62c,62e……はY方向に平行となるように直線状の列をなし、偶数番目のヘッド62b,62d,62f……はその隣でY方向に平行となるように直線状の列をなす。
図5は、第1ヘッド62aに形成された複数のノズルの配置を示す説明図である。なお、図中では、ノズルの配置を第1ヘッド62aの上面から透視した状態を示した。また、第2ヘッド62b〜第15ヘッド62oはいずれも第1ヘッド62aと同じ構成である。第1ヘッド62aは、8色のノズル列を有している。具体的には、図5の左側から順に、マットブラックインクを吐出するMk列、グリーンインクを吐出するGr列、オレンジインクを吐出するOr列、クリアインクを吐出するCl列、フォトブラックインクを吐出するPk列、シアンインクを吐出するCy列、マゼンタインクを吐出するMa列、イエローインクを吐出するYe列である。各ノズル列は、180個のノズルを有する。180個のノズルは、Y方向に沿って、一定のノズルピッチ(1/180インチ)で並んでいる。説明の便宜上、Y方向の上端側のノズルから順に#1,#2,……,#180と称することにする。第1ヘッド62bの各ノズル列と第2ヘッド62bの各ノズル列とを見ると、第1ヘッド62aのY方向の下端側の4つのノズルのそれぞれのY座標位置は、第2ヘッド62bのY方向の上端側の4つのノズルのそれぞれのY座標位置と一致している。このようにY座標位置が同じ2つのノズルは、互いに補間し合いながらドットを形成することが可能である。こうした関係は、第αヘッドと第(α+1)ヘッド(αは1〜14までの整数)との間でも同様である。
こうしたヘッドユニット60を用いて印刷媒体Sに印刷する手順を以下に概説する。まず、図2及び図3において、コントローラー20は、印刷領域に印刷媒体Sの新しい面が供給されるよう搬送ユニット40を制御すると共に、ヘッドユニット60が初期位置に来るように移動ユニット50を制御する。なお、初期位置とは、印刷領域におけるX方向の最上流の位置で且つY方向の最上端の位置である。初期位置に配置されているヘッドユニット60を、図2及び図3中、実線で示す。そして、コントローラー20は、ヘッドユニット60が印刷領域のX方向の最上流の位置から最下流の位置(図2及び図3中、1点鎖線で示す)まで移動するよう移動ユニット50を制御すると同時に、移動中のヘッド62のノズルからインクが吐出するようヘッドユニット60を制御することにより、X方向に並ぶドット列を形成する。この動作を1パスと称する。こうして1パス分のドット列を形成した後、コントローラー20は、ヘッドユニット60がY方向の下端側に移動するよう移動ユニット50を制御し、再び次の1パスを実行してX方向のドット列を形成する。Y方向の下端側に移動したヘッドユニット60の一例を図3の2点鎖線で示す。そして、印刷媒体Sの幅方向に応じて決まるパス数の動作を終了したとき、印刷媒体Sの印刷領域の画像が完成する。図6は、印刷の様子を示す説明図である。図6では、説明の便宜上、5つのノズルがY方向に平行に1列に並んだノズル列を例示した。この図6では、パス1〜パス4までの合計4パス分のX方向のドット列が順次形成されていく様子を示した。
検査ユニット70について、以下に詳しく説明する。図7は検査ユニット70の全体構成を表す説明図である。検査ユニット70は、ヘッド62に形成されたノズルから吐出されたインクを受ける金属板状の検査電極72と、この検査電極72とヘッド62のノズルプレート63との間に電圧を印加する高圧電源74と、検査電極72とノズルプレート63との間に電圧を印加した状態でノズルからインクを吐出させたときの電圧信号に基づいてその信号の大小を判定する検出制御部76とを備えている。なお、ノズルプレート63は複数のノズルが形成されたプレートであり、検査ユニット70の一部としても機能するものである。
検査電極72は、基本的には2つのヘッド62に1つの割合で形成されている。図8に検査電極72の平面図を示す。本実施形態では、ヘッド数は15個であるため、それに対応して検査電極72は8個形成されている。説明の便宜上、8個の検査電極72を第1検査電極72A,第2検査電極72B,……と称することにする。具体的には、図8に示すように、第1ヘッド62aと第3ヘッド62cに対して第1検査電極72A、第5ヘッド62eと第7ヘッド62gに対して第2検査電極72B、第9ヘッド62iと第11ヘッド62kに対して第3検査電極72C、第13ヘッド62mと第15ヘッド62oに対して第4検査電極72D、第2ヘッド62bと第4ヘッド62dに対して第5検査電極72E、第6ヘッド62fと第8ヘッド62hに対して第6検査電極72F、第10ヘッド62jと第12ヘッド62lに対して第7検査電極72G、第14ヘッド62nに対して第8検査電極72Hが形成されている。つまり、本実施形態ではヘッド62の数が15個であるため、第14ヘッド62nについては、1つのヘッド62に対して1つの検査電極72が対応している。このような検査電極72は、図3に示すように、印刷領域から左側(X方向の上流側)に外れた位置に設けられている。なお、図7には一つの検査電極72についての電気回路の構成を示したが、第1〜第8検査電極72A〜72Hのそれぞれについて、こうした電気回路が組まれている。
高圧電源74は、検査電極72を所定電位にするための電源であり、ここでは600〜1000Vの直流電源によって構成される。高圧電源74と検査電極72との間には、第1制限抵抗73と第2制限抵抗75とが配置されている。これらの制限抵抗73,75は、高圧電源74と検査電極72との間に流れる電流を制御するものであり、ここでは両者の抵抗値を共に1.6MΩとした。
検出制御部76は、高圧電源74による検査電極72とノズルプレート63との電圧印加を制御する。また、検出制御部76は、増幅器77で増幅された検査電極72の電圧信号(アナログ信号)に基づいて検査対象ノズルがインクを吐出したか否かを判定し、判定結果をデジタル信号としてコントローラー20に送信する。増幅器77と検査電極72との間には、検査電極72のバイアス成分(直流成分)を除去する検査用コンデンサー78が配置されている。また、第1制限抵抗73と第2制限抵抗75との間には、平滑コンデンサー79の一端が接続されている。この平滑コンデンサー79の他端は接地されている。平滑コンデンサー79は、電位の急激な変化を抑制するものである。ここでは、検査用コンデンサー78の容量を4700pF、増幅器77の増幅率を4000倍、平滑コンデンサー79の容量を0.1μFとした。
次に、本実施形態のプリンター10の動作、特にノズルを検査するときの動作について説明する。コントローラー20は、検査対象ノズルの検査において、インクを良好に吐出できるか否かを調べる吐出検査と、吐出検査中にその判定結果に影響を与えるノイズが発生したか否かを調べるノイズ検査とを実施する。
まず、吐出検査について説明する。図9は駆動信号COMとそれに対応した検出信号とを示す説明図であり、(a)は駆動信号COMの波形、(b)は増幅器77から出力される検出信号の波形を示す。コントローラー20は、ノズルプレート63と検査電極72との間に高圧電源74の電圧を印加した状態で、図9(a)に示すピエゾ素子を駆動する駆動信号COMを各ヘッド62に出力する。駆動信号COMは、20〜30個のインク吐出用パルスを出力するパルス出力区間と一定電位(中間電位)の休止区間との組み合わせとなっている。このような駆動信号COMがピエゾ素子に印加されると、そのピエゾ素子に対応するノズルから20〜30個のインク滴が吐出される。すると、これに対応して、増幅器77から検出信号(アナログ信号、図9(b)参照)が検出制御部76へ出力される。検出制御部76は、駆動信号COMに対応した検出信号の振幅Va(検出信号の最高電位VHと最低電位VLとの差)を検出し、検出された振幅Vaと予め定められた閾値Vth(例えば3V)とを比較する。そして、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも大きければ、検出制御部76は、「振幅大」(吐出良好)を表すデジタル信号を生成する。逆に、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも小さければ、「振幅小」(吐出不良)を表すデジタル信号を生成する。
ここで、吐出検査の原理について説明する。図7において、ノズルプレート63と検査電極72との間に電圧を印加した状態で、検査対象ノズルからインクが吐出するようにヘッドユニット60を制御したとき、実際にそのノズルからインクが吐出した場合には検査電極72の電圧信号が大きく変化するが、そのノズルからインクが吐出しなかった場合には検査電極72の電圧信号はほとんど変化しない。このため、その電圧信号の変化に基づいて検査対象ノズルがインクを吐出したか否かを判定することができる。この原理は正確には解明されていないが、次のように考えられる。一般的に、コンデンサーを構成する一対の電極板の間隔が変化すると、コンデンサーに蓄えられる電荷が変化することが知られている。グランド電位のノズルプレート63から高電位の検査電極72に向かってインクが吐出されると、グランド電位のインク滴と検査電極72との間隔d(図6参照)が変化し、コンデンサーの一対の電極板の間隔が変化したときのように、検査電極72に蓄えられる電荷が変化する。この結果、検査電極72に電荷が移動し、これに伴って変化する電圧を検査用コンデンサー78及び増幅器77が検出し、検出信号が検出制御部76に出力されると考えられる。
次に、ノイズ検査について説明する。ノイズ検査期間中は、コントローラー20は、ノズルプレート63と検査電極72との間に高圧電源74の電圧を印加した状態で、どのノズルのピエゾ素子にも駆動信号COMを付与しない。つまり、ノイズ検査期間は、インク滴を吐出させない非吐出期間になる。この期間中も、増幅器77から検出信号(アナログ信号)が検出制御部76へ出力される。検出制御部76は、この検出信号の振幅Vaと閾値Vthとを比較し、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも大きければ、「振幅大」(ノイズあり)を表すデジタル信号をコントローラー20へ送信する。逆に、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも小さければ、「振幅小」(ノイズなし)を表すデジタル信号をコントローラー20へ送信する。図7において、ノズルプレート63と検査電極72との間に電圧を印加した状態で、どのノズルのピエゾ素子にも駆動信号COMを付与しない場合、本来であれば検査電極72の電圧信号はほとんど変化しないが、検査電極72にノイズが発生するとそのノイズによって検査電極72の電圧信号が大きく変化する。このため、その電圧信号の変化に基づいてノイズの有無を判定することができる。
吐出検査とノイズ検査の具体例について説明する。ここでは、1つのノズルに対して、吐出検査を2回行い、その後ノイズ検査を1回行う場合を例に挙げて説明する。そのときの増幅器77から出力される検出信号及び検出制御部76での判定結果の例を図10に示す。図10(a)では、2回の吐出検査で共に検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えているため、検出制御部76で共に「振幅大」のデジタル信号が生成され、その後のノイズ検査で振幅Vaが閾値Vth以下のため「振幅小」のデジタル信号が生成される。これらの3つのデジタル信号を統合して判定すると、そのノズルは「正常」と決定される。図10(b)では、2回の吐出検査で共に検出信号の振幅Vaが閾値Vth以下のため、検出制御部76で共に「振幅小」のデジタル信号が生成され、その後のノイズ検査で振幅Vaが閾値Vth以下のため「振幅小」のデジタル信号が生成される。これらの3つのデジタル信号を統合して判断すると、そのノズルは「異常」と決定される。図10(c)の検出信号では、1回目の吐出検査で検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えたため、検出制御部76で「振幅大」のデジタル信号が生成され、2回目の吐出検査で振幅Vaが閾値Vth以下のため「振幅小」のデジタル信号が生成され、その後のノイズ検査で振幅Vaが閾値Vth以下のため「振幅小」のデジタル信号が生成される。これらの3つのデジタル信号を統合して判断すると、そのノズルは「異常」と決定される。つまり、複数の吐出検査のうち1回でも「振幅小」のものがあれば、そのノズルは詰まり等が生じている可能性があることから、「異常」と判定するのである。図10(d)では、2回の吐出検査で共に検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えているため、検出制御部76で共に「振幅大」のデジタル信号が生成され、その後のノイズ検査でも振幅Vaが閾値Vthを超えたため「振幅大」のデジタル信号が生成される。これらの3つのデジタル信号を統合して判断すると、そのノズルは「不明」と決定される。ノイズ検査で振幅Vaが閾値Vthを超えたということは、その前の吐出検査においてノイズが混入している可能性が高く、ノイズのせいで振幅Vaが閾値Vthを超えた可能性があるため、正常か異常かを判定できず、「不明」と判定するのである。このように、ノイズ検査の結果が「振幅大」の場合には、その直前の吐出検査はノイズの影響を受けている可能性が高いことから、統合判断では吐出検査の結果にかかわらず「不明」と判定する。
次に、コントローラー20が実行するノズルの統合判定ルーチンと、検査ユニット70の検出制御部76が実行するデジタル信号出力ルーチンについて、説明する。ここでは、ノズルをグループ単位で処理していく。このため、各ルーチンの説明に先立って、グループの分け方について説明する。グループは、ヘッド62ごとに、そのヘッド62が有する複数のノズルを12個のノズルが1つのグループになるように分ける。図11は、第1ヘッド62aが有する1440個(180個×8列)のノズルをブロック分けしたときの様子を示すテーブルである。具体的には、Mk列において、#1〜#15を第1ブロック、#16〜#30を第2ブロック、……という具合にブロック分けを行い、その後、Gr列、Or列、Cl列、Pk列、Cy列、Ma列、Ye列の順に同様にしてブロック分けを行う。なお、第2〜第15ヘッド62b〜62oについても図11と同様にしてブロック分けされる。
ノズルの統合判定ルーチンについて、図12のフローチャートを用いて説明する。コントローラー20は、統合判定の実行タイミングが到来するごとに、この統合判定ルーチンを開始する。このルーチンが開始されると、コントローラー20は、まず、移動ユニット50を制御して、ヘッドユニット60の各ヘッド62が各検査電極72に対向するようにヘッドユニット60を移動させる(ステップS100)。次いで、ブロックの番号を表す変数pに値1をセットする(ステップS110)。続いて、第pブロックを検査対象ブロックに設定し(ステップS120)、検査対象ブロックの検査を実行する(ステップS130)。具体的には、コントローラー20は、第pブロックに属する15個のノズルを順次、検査対象ノズルに設定し、検査対象ノズルのピエゾ素子に、図9(a)に示す駆動信号COMを2回連続して付与し、その後、駆動信号COMを所定期間付与しないようにする。これにより、検査対象ノズルは、2回の吐出検査と1回のノイズ検査とが実施されることになる。検査ユニット70の検出制御部76は、検査電極72とノズルプレート63との間に電圧を印加した状態で、増幅器77から出力される2回の吐出検査の検出信号と1回のノイズ検査の検出信号を取得し、検出制御部76の図示しない一時記憶領域に記憶する。そして、第pブロックに属する15個のノズルのすべてについて、各3つの検出信号を一時記憶した後、検出制御部76は、デジタル信号出力ルーチンを実行する。このときの検出制御部76の一時記憶領域に記憶されたデータを図13に示す。1〜3番目のデータは、第pブロックに属するノズルのうち番号(#1とか#2)の最小のものについての吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査の検出信号であり、4〜6番目のデータは、第pブロックに属するノズルのうち番号が2番目に小さいものについての吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査の検出信号である。これ以降のデータについても、意味するところは同じであるため説明を省略する。
ここで、検出制御部76が実行するデジタル信号出力ルーチンについて、図14のフローチャートを用いて説明する。このルーチンは、第pブロックに含まれるすべてのノズルの検出信号の検出が終了した時点、つまり、図13に示す一時記憶領域に1〜45個のデータがすべて記憶された時点で開始される。このルーチンが開始されると、検出制御部76は、まず、変数kに値1をセットする(ステップS310)。続いて、検出制御部76の一時記憶領域から第k番目のデータを読み出し(ステップS320)、そのデータつまり検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えるか否かを判定する(ステップS330)。そして、振幅Vaが閾値Vthを超えていたならば、「振幅大」を表すデジタル信号を検出制御部76の図示しない送信用レジスターの第k番目の位置に書き込む(ステップS340)。一方、振幅Vaが閾値Vth以下ならば、「振幅小」を表すデジタル信号を検出制御部76の送信用レジスターの第k番目の位置に書き込む(ステップS350)。そして、ステップS340又はステップS350で送信用レジスターへの書き込みが終了した後、変数kは上限値(ここでは1ブロックに含まれるノズル数は15個のため上限値は値45)に達しているか否かを判定し(ステップS360)、変数kが上限値に達していなければ、変数kを1インクリメントし(ステップS370)、再びステップS320に戻る。一方、変数kが上限値に達していたならば、送信用レジスターの内容をコントローラー20へ送信し(ステップS380)、このルーチンを終了する。つまり、検出制御部76は、送信用レジスターのフル容量分のデジタル信号(45個のデジタル信号)が格納されたあと、その送信用レジスターの内容をコントローラー20へ送信する。このときの送信用レジスターのデータを図15に示す。
図12に戻り、コントローラー20は、検出制御部76から1ブロック分のデジタル信号(45個のデジタル信号)を取得したか否かを判定し(ステップS140)、取得していなければ再びステップS140に戻る。一方、検出制御部76から1ブロック分のデジタル信号を取得したならば、統合判定を実施し、ノズルと統合判定結果との対応付けを行う(ステップS150)。例えば、検査対象ブロックが第1ブロックの場合には、45個のデジタル信号のうち1〜3番目のデジタル信号がMk列の#1のノズルの吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査の結果を表し、4〜6番目のデジタル信号がMk列の#2のノズルの吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査の結果を表す、という具合に、どのデジタル信号がどのノズルに対応しているかを特定していく。それと共に、特定したノズルにつき、それに対応した3つのデジタル信号を統合判定して正常か異常かを決定する。なお、正常か異常かの判定(統合判定)は、既に図10を用いて説明したとおりである。こうして統合判定を実施した後、特定したノズルにつき、統合判定の結果を対応づける。その一例を図16に示す。図16(a)は検査制御部76からのデジタル信号、図16(b)はノズルごとの統合判定の結果を示す。
続いて、コントローラー20は、第pブロックに含まれる15個のノズルの統合判定の結果に「不明」のものがあるか否かを判定する(ステップS160)。ステップS160で「不明」のものがあったならば、その第pブロックについて、前回までの統合判定の結果の履歴があるか否かを判定し(ステップS170)、履歴がなければ、今回の統合判定の結果を履歴に設定し(ステップS180)、今回の第pブロックを再度検査対象ブロックに設定し(ステップS210)、ステップ130に戻る。これにより、ブロック単位で再検査が実施される。一方、ステップS170で履歴があったならば、その履歴の中で「不明」のノズルにつき今回の統合判定の結果が「正常」か「異常」だった場合には、その統合判定の結果を反映させる(ステップS190)。前回までの履歴と、今回の統合判定結果と、反映後の統合判定結果との関係の一例を図17に示す。図17(a)の履歴中ではMk列の#2のノズルは「不明」だったが、図17(b)の今回の統合判定の結果ではその#2のノズルは「正常」になり、図17(c)の反映後においては履歴中の「不明」だった#2のみが「正常」に変わっている。今回の統合判定の結果ではMk列の#14,#15のノズルはいずれも「不明」だが、履歴を見ると、これらのノズルは既に「正常」と判定されているため、今回の統合判定の結果は反映されない。その結果、反映後においては、「不明」のものがなくなっている。
さて、ステップS190の後、コントローラー20は、反映後の統合判定の結果の中に「不明」があるか否かを判定し(ステップS200)、「不明」があったならば、今回の第pブロックを再度検査対象ブロックに設定し(ステップS210)、ステップ130に戻る。これにより、ブロック単位で再検査が実施されることになる。一方、ステップS200で「不明」がなかったか、あるいは、ステップS160で「不明」のものがなかったならば、第pブロックのうちの15個の特定されたノズルとその統合判定の結果との対応関係を確定してメモリー28に保存する(ステップS220)。その後、変数pは上限値(ここではブロックの総数)に達しているか否かを判定し(ステップS230)、変数pが上限値に達していなければ、変数pを1インクリメントし(ステップS240)、再びステップS120に戻る。これにより、次のブロックの検査が実施されることになる。一方、ステップS230で変数pが上限値に達していたならば、このルーチンを終了する。
なお、検出制御部76は、第1〜第8検査電極72A〜72Hのそれぞれに取り付けられているため、第1検査電極72Aを用いる第1ヘッド62aのノズル検査、第2検査電極72Bを用いる第5ヘッド62eのノズル検査、第3検査電極72Cを用いる第9ヘッド62iのノズル検査、第4検査電極72Dを用いる第13ヘッド62mのノズル検査、第5検査電極72Eを用いる第2ヘッド62bのノズル検査、第6検査電極72Fを用いる第6ヘッド62fのノズル検査、第7検査電極72Gを用いる第10ヘッド62jのノズル検査、第8検査電極72Hを用いる第14ヘッド62nのノズル検査を並列して実施する。また、第1検査電極72Aを用いる第3ヘッド62cのノズル検査、第2検査電極72Bを用いる第7ヘッド62gのノズル検査、第3検査電極72Cを用いる第11ヘッド62kのノズル検査、第4検査電極72Dを用いる第15ヘッド62oのノズル検査、第5検査電極72Eを用いる第4ヘッド62dのノズル検査、第6検査電極72Fを用いる第8ヘッド62hのノズル検査、第7検査電極72Gを用いる第12ヘッド62lのノズル検査を並列して実施する。
このような統合判定ルーチンを実行することにより、第1〜第15ヘッド62a〜62oがそれぞれ有する複数のノズルについて、どのノズルが正常でどのノズルが異常かを把握することができる。このため、その結果を用いて、異常ノズルを有するヘッドに対しクリーニングを実行したり、そのヘッドの交換を奨めるメッセージを出力したりすることができる。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のノズルプレート63が本発明の第1電極に相当し、検査電極72が第2電極に相当し、コントローラー20が検査対象ブロック設定手段、検査対象ノズル設定手段及び処理手段に相当し、検査ユニット70が検査手段に相当する。また、吐出検査における判定結果が「振幅大」の場合は吐出良好、「振幅小」の場合は吐出不良を意味する。また、ノイズ検査における判定結果が「振幅大」の場合はノイズあり、「振幅小」の場合はノイズなしを意味する。なお、本実施形態では、プリンター10の動作を説明することにより本発明のノズル検査方法の一例も明らかにしている。
以上説明した本実施形態のプリンター10によれば、1つのノズルに対してノイズ検査を行うため、複数のノズルに対してノイズ検査を行う場合に比べて、吐出検査へのノイズの影響を精度よく調べることができ、検査の信頼性が向上する。また、検査対象ブロックに含まれるすべてのノズルの検出信号を取得した時点で、それらのノズルの各々につき振幅の大小(つまり吐出の良否及びノイズの有無)を判定するため、1つのノズルの検出信号を取得するごとにそのノズルにつき振幅の大小を判定する場合に比べて、総検査時間を短くすることができる。特に、検出制御部76は判定結果をコントローラー20へ送信するため、その通信の回数が嵩むと時間がかかることから、検査対象ブロックに含まれるすべてのノズルの検出信号を取得した時点でそれらのノズルの判定結果をまとめて送信することで、通信に要する時間も短縮化できる。
また、検出制御部76が送信時に使用する送信用レジスターは、最大45個のデジタル信号を格納可能である。一方、1つのノズルについて2回の吐出検査と1回のノイズ検査とが行われることから、ノズルごとに3つのデジタル信号が生成する。本実施形態では、1つのブロックに含まれるノズル数を15個に設定しているため、そのブロックに含まれる各ノズルの吐出の良否及びノイズの有無の結果の総数が45個になり、送信用レジスターの容量を最大限利用することができる。その結果、検出制御部76が一度に判定するノズルの数が最大になり、この点でも総検査時間が短くなる。
更に、吐出要否判定ルーチンにおいて、ブロック単位で再検査するため、統合判定の結果が不明のノズルだけ再検査する場合に比べて、新たなソフトウェアを別途準備する必要がない。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、1つのノズルにつき、吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査をこの順に実施し、ノイズ検査の結果が「振幅 小」だった場合には、その直前に実施された2回の吐出検査の結果を採用し、「振幅 大」だった場合には、その直前に実施された2回の吐出検査の結果にかかわらず統合判定の結果を「不明」としたが、その代わりに次のようにしてもよい。すなわち、1つのノズルにつき、ノイズ検査、吐出検査(1回目)及び吐出検査(2回目)をこの順に実施し、ノイズ検査の結果が「振幅 小」だった場合には、その直後に実施された2回の吐出検査の結果を採用し、「振幅 大」だった場合には、その直後に実施された2回の吐出検査の結果にかかわらず統合判定の結果を「不明」としてもよい。あるいは、1つのノズルにつき、ノイズ検査(1回目)、吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査(2回目)をこの順に実施し、両方のノイズ検査の結果が「振幅 小」だった場合には、その間に挟まれた2回の吐出検査の結果を採用し、少なくとも一方のノイズ検査の結果が「振幅 大」だった場合には、その間に挟まれた2回の吐出検査の結果にかかわらず統合判定の結果を「不明」としてもよい。この場合、あるノズルの2回目のノイズ検査は、その次のノズルの1回目のノイズ検査とみなしてもよい。また、1つのノズルにつき実施する吐出検査の回数は、2回に限定されるものではなく、3回以上であってもよいし、1回であってもよい。
上述した実施形態では、統合判定ルーチンにおいて、同じ検査対象ブロックを再設定する回数(つまり再検査する回数)を制限しなかったが、その回数に上限を設けてもよい。こうすれば、統合判定ルーチンに想定外の時間がかかり、印刷作業に支障が生じるのを回避できる。なお、再設定の回数が上限に達した後も統合判定の結果の中に「不明」が存在した場合には、ノイズの影響によるノズル検査が完遂できない旨を知らせるメッセージを出力してもよい。メッセージは、聴覚に訴えるものでもよいし視覚に訴えるものでもよい。
上述した実施形態では、統合判定ルーチンにおいて、あるブロックに含まれるノズルの統合判定の結果に「不明」が存在すれば直ちにそのブロックを検査対象ブロックに再設定してもよい。但し、この場合、検査にかかる時間が極めて長くなるおそれがある。このため、検査にかかる時間を短くすることを考慮すれば、上述した実施形態のように、過去の履歴で統合判定の結果が「正常」又は「異常」だったノズルについては、その後「不明」になったとしても、その履歴の統合判定の結果を用いることが好ましい。
上述した実施形態では、1つのノズルにつき2回の吐出検査と1回のノイズ検査とを実施し、ノイズ検査でノイズありだった場合にはその前の2回の吐出検査の結果を採用しなかったが、そのようにノイズ検査でノイズありだった場合でもその前の2回の吐出検査の結果が共に「振幅小」だった場合には、吐出検査中にノイズが影響した可能性はほとんどないため、その結果を採用して統合判定の結果を「異常」と判定してもよい。
上述した実施形態では、ノズルプレート63をグランド電位、検査電極72を高電位にし、検査電極72の電圧変化を検出したが、ノズルプレート63を高電位、検査電極72をグランド電位にし、ノズルプレート63の電圧変化を検出してもよい。
上述した実施形態では、検査電極72はプラテン48の横の平坦面に設けたが、検査電極72はヘッド62のキャップの内部に設けてもよい。こうしたキャップは、ノズルの乾燥を防止する際に使用する保湿キャップでもよいし、ノズル内のゴミやインクを吸引してクリーニングする際に使用するクリーニングキャップでもよい。
上述した実施形態では、インクジェットの方式として、ピエゾ素子を用いて圧力によりインクを吐出させる方式を例示したが、例えば、熱によりノズル内に気泡を発生させる方式などを採用してもよい。
上述した実施形態では、本発明の流体吐出装置をインクジェットプリンター10に具体化した例を示したが、インク以外の他の液体や機能材料の粒子が分散されている液状体(分散液)、ジェルのような流状体などを吐出する流体吐出装置に具体化してもよいし、流体として吐出可能な固体を吐出する流体吐出装置に具体化してもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を溶解した液体を吐出する液体吐出装置、同材料を分散した液状体を吐出する液状体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置としてもよい。また、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する液体吐出装置、ジェルを吐出する流状体吐出装置、トナーなどの粉体を吐出する粉体吐出式記録装置としてもよい。
10 プリンター、20 コントローラー、22 CPU、24 ユニット制御回路、26 インターフェース部、28 メモリー、30 ユニット群、40 搬送ユニット、42 上流側ローラー、44 下流側ローラー、46 巻取機構、48 プラテン、50 移動ユニット、52 X軸ステージ、54 Y軸ステージ、60 ヘッドユニット、62 ヘッド、62a〜62o 第1〜第15ヘッド、63 ノズルプレート、70 検査ユニット、72 検査電極、72A〜72H 第1〜第8検査電極、73 第1制限抵抗、74 高圧電源、75 第2制限抵抗、76 検出制御部、77 増幅器、78 検査用コンデンサー、79 平滑コンデンサー
Claims (7)
- 液体を吐出する複数のノズルを備えたヘッドと、
前記液体と接触する第1電極と、
前記第1電極に対向可能な位置に設けられた第2電極と、
前記複数のノズルを2以上のノズルを有するブロックに分け、該分けられたブロックを順次、検査対象ブロックに設定する検査対象ブロック設定手段と、
前記検査対象ブロックに含まれる2以上のノズルを順次、検査対象ノズルに設定する検査対象ノズル設定手段と、
前記第1電極と前記第2電極とを対向させて両電極間に電圧を印加した状態で、前記検査対象ノズルから前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化を検出すると共に前記複数のノズルのすべてから液体を吐出させないときの両電極間の電気的変化を検出する動作を、前記検査対象ノズルごとに行い、前記検査対象ブロックに含まれるすべてのノズルの前記電気的変化の検出が終了した時点で、該検査対象ブロックに含まれるノズルの各々につき前記電気的変化に関する信号に基づいて吐出の良否及びノイズの有無を判定する検査手段と、
前記検査対象ブロックに含まれる各ノズルの吐出の良否及びノイズの有無の結果に基づいて、前記検査対象ブロックに含まれる各ノズルが正常か異常かを決定する処理手段と、
を備えた液体吐出装置。 - 前記検査手段は、前記検査対象ブロックに含まれる各ノズルの吐出の良否及びノイズの有無の結果を前記処理手段へ送信する、
請求項1に記載の液体吐出装置。 - 前記ブロックに含まれるノズル数は、前記ブロックに含まれる各ノズルの吐出の良否及びノイズの有無の結果の総数が前記検査手段の判定結果を記憶する領域の容量を最大限利用する数となるように、決められている、
請求項1又は2に記載の液体吐出装置。 - 前記検査対象ノズルにつき、検査対象ノズルから前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化を検出する期間である吐出検査期間が2以上設定され、該期間の前方、後方又はその両方に、複数のノズルのすべてから液体を吐出させないときの両電極間の電気的変化を検出する期間であるノイズ検査期間が設定され、
前記処理手段は、前記ノイズ検査期間でノイズありと判定された場合、該ノイズ検査期間の前方、後方又はその両方に位置する吐出検査期間における判定結果にかかわらず、統合判定の結果を不明ノズルとする、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。 - 前記検査対象ブロック設定手段は、前記処理手段による統合判定が終了した時点で、前記検査対象ブロックに含まれていたノズルの中に正常か異常かを判定できない不明ノズルがあるか否かを判定し、不明ノズルがあったならば今回のブロックを再び検査対象ブロックに設定する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。 - 液体を吐出する複数のノズルを備えたヘッドと、前記液体と接触する第1電極と、前記第1電極に対向可能な位置に設けられた第2電極とを備えた液体吐出装置のノズル検査方法であって、
(a)前記複数のノズルを2以上のノズルを有するブロックに分け、該分けられたブロックを順次、検査対象ブロックに設定するステップと、
(b)前記検査対象ブロックに含まれる2以上のノズルを順次、検査対象ノズルに設定するステップと、
(c)前記第1電極と前記第2電極とを対向させて両電極間に電圧を印加した状態で、前記検査対象ノズルから前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化を検出すると共に前記複数のノズルのすべてから液体を吐出させないときの両電極間の電気的変化を検出する動作を、前記検査対象ノズルごとに行い、前記検査対象ブロックに含まれるすべてのノズルの前記電気的変化の検出が終了した時点で、該検査対象ブロックに含まれるノズルの各々につき前記電気的変化に関する信号に基づいて吐出の良否及びノイズの有無を判定するステップと、
(d)前記ステップ(c)で判定した各ノズルの吐出の良否及びノイズの有無の結果に基づいて、各ノズルが正常か異常かを決定するステップと、
を含むノズル検査方法。 - 請求項6に記載のノズル検査方法の各ステップを1又は複数のコンピューターに実現させるプログラム。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20140513 |