JP2012174568A - 酸化物超電導線材とその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基板上に厚膜化されながら、全体に亘ってc軸配向した酸化物超電導層が形成されて、充分に高いIcを有する酸化物超電導線材とその製造方法を提供する。
【解決手段】 基板上に、有機金属化合物を原料とし、塗布熱分解法により酸化物超電導層を形成する酸化物超電導線材の製造方法であって、本焼成最適温度がそれぞれ異なる複数の仮焼膜を、本焼成最適温度の低い仮焼膜から、順次、基板上に積層して仮焼膜積層体を形成した後、仮焼膜積層体を本焼成する酸化物超電導線材の製造方法。基板上に形成される仮焼膜は、3層以上である。各仮焼膜から形成される酸化物超電導層の厚みは、0.05〜1.0μmである。
【選択図】図1

Description

本発明は、塗布熱分解法により、優れた臨界電流値Icを有する酸化物超電導層が基板上に形成された酸化物超電導線材とその製造方法に関する。
液体窒素の温度で超電導性を有する高温超電導体の発見以来、ケーブル、限流器、マグネットなどの電力機器への応用を目指した高温超電導線材の開発が活発に行われている。中でも、基板上に酸化物超電導層が形成された酸化物超電導線材が注目されている。
このような酸化物超電導線材の製造方法の1つに、塗布熱分解法(Metal Organic Deposition、略称:MOD法)がある(特許文献1)。
この方法は、Y(イットリウム)、Gd(ガドリニウム)、Ho(ホルミウム)などのRE(希土類元素)およびBa(バリウム)、Cu(銅)の各有機金属化合物を溶媒に溶解して製造された原料溶液(MOD溶液)を基板に塗布して塗布膜を形成した後、例えば、500℃付近で仮焼熱処理して、有機金属化合物を熱分解させ、熱分解した有機成分を除去することにより酸化物超電導体の前駆体である仮焼膜を作製し、作製した仮焼膜をさらに高温(例えば750〜800℃付近)で本焼熱処理することにより結晶化を行って、REBaCu7−Xで表されるRE123超電導層を形成させて酸化物超電導線材を製造するものであり、主に真空中で製造される気相法(蒸着法、スパッタ法、パルスレーザ蒸着法等)に比較して製造設備が簡単で済み、また大面積や複雑な形状への対応が容易である等の特徴を有しているため、広く用いられている。
前記MOD法としては、原料溶液にフッ素を含む有機金属化合物を用いるTFA−MOD法(Metal Organic Deposition using TriFluoroAcetates)とフッ素を含まない有機金属化合物を用いるフッ素フリーMOD法(FF−MOD法)とがある。
TFA−MOD法を用いると、面内配向性に優れた酸化物超電導層を得ることができる。しかし、この方法では、仮焼時にフッ化物であるBaF(フッ化バリウム)が生成され、このBaFが本焼時に分解して危険なフッ化水素ガスを発生する。このため、フッ化水素ガスを処理する装置、設備が必要となる。
これに対して、FF−MOD法は、フッ化水素ガスのような危険なガスを発生することがないため、環境にやさしく、また処理設備が不要であるという利点を有している。
特開2007−165153号公報
このようなMOD法において、従来より、より高い臨界電流値Icを有する酸化物超電導線材が求められており、その手段として、酸化物超電導層を厚膜化して、Icを向上させる技術の開発が求められている。
しかし、原料溶液の一回あたりの塗布量を多くして厚い塗布膜を作製し、これを仮焼熱処理することにより厚膜の仮焼膜とし、さらに本焼熱処理を行って、単層で厚膜の酸化物超電導層を作製しても、基板の界面付近では結晶がc軸配向するものの、基板面から離れた膜上部ではc軸配向せず、高いIcの酸化物超電導層を得ることができなかった。
そこで、本発明者は、薄膜の酸化物超電導層が積層された厚膜の酸化物超電導層を作製することを考え、基板上に薄膜の仮焼膜を複数積層させた後、全体を本焼熱処理して、厚膜の酸化物超電導層を形成させた。
しかしながら、この方法を用いても、前記と同様に、基板の界面付近では結晶がc軸配向するものの、基板面から離れた膜上部ではc軸配向せず、高いIcの酸化物超電導層を得ることができなかった。
そこで、本発明は、MOD法を用いて、基板上に厚膜化された酸化物超電導層を形成し、より高いIcの酸化物超電導線材を製造することができる酸化物超電導線材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記した従来の積層方法において、何故、高いIcの酸化物超電導層を得ることができなかったのか、その原因につき、鋭意検討した。その結果、従来は、同一の原料溶液を用いて、複数の仮焼膜を作製していたためであることが分かった。
即ち、積層された仮焼膜が同一の組成であるため、本焼熱処理時、仮焼膜全体で同時に結晶化が開始する。このとき、基板付近の仮焼膜は基板の配向性を受けてc軸配向して成長するが、基板面から離れた上部の仮焼膜には、無配向性の結晶粒が生成され、核となって結晶成長する。この結果、基板面から離れた上部には無配向の層が形成されて、高いIcの酸化物超電導層を得ることができなかった。
そこで、本発明者は、異なるREの原料溶液を用いて、異なる組成の仮焼膜を積層することを考え、種々の実験、検討を行った。
その結果、基板上に仮焼膜を積層するに際して、本焼成最適温度(超電導体の結晶化が開始して超電導層が成膜される温度)が低い順に、基板側から仮焼膜を積層し、その後、本焼成を行った場合、基板側から順に、c軸配向したRE123膜を形成させることができ、全体に亘ってc軸配向した酸化物超電導層を得ることができることが分かった。
即ち、温度が上昇して、第1層目の仮焼膜の本焼成最適温度に達した時点で、第1層目の仮焼膜では、超電導体の結晶化が開始し、基板の配向性を引き継いでc軸配向した薄膜の酸化物超電導層が形成される。しかし、第1層目以降の仮焼膜においては、いずれも各々の本焼成最適温度には達していないため、結晶化が開始せず、前記した無配向性の結晶粒が生成されることがない。
その後、第2層目の仮焼膜の本焼成最適温度に達した時点で、第2層目の結晶化が、第1層目の配向性を引き継いで開始する。このとき、第3層目以降の仮焼膜では結晶化が開始しないのは、前記と同様である。
このようなことが、最上層の仮焼膜に至るまで繰り返されることにより、全体に亘ってc軸配向した酸化物超電導層を形成させることができる。
そして、各酸化物超電導層の界面では、結晶格子の大きさの違いから若干の歪みが生じて、ピン止め点を形成するため、厚膜で高いIcの酸化物超電導層を得ることができる。
本発明は、上記の知見に基づく発明であり、請求項1に記載の発明は、
基板上に、有機金属化合物を原料とし、塗布熱分解法により酸化物超電導層を形成する酸化物超電導線材の製造方法であって、
本焼成最適温度がそれぞれ異なる複数の仮焼膜を、
本焼成最適温度の低い仮焼膜から、順次、基板上に積層して仮焼膜積層体を形成した後、
前記仮焼膜積層体を本焼成する
ことを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法である。
なお、前記の本焼成最適温度は、イオン半径と包晶温度との関係に類似しており、各酸化物超電導層を構成するREイオンのイオン半径が大きいほど高くなる。
具体的なREイオンのイオン半径の大小関係の一例を示すと、以下に示す通りであり、仮焼膜を積層するに際しては、各仮焼膜の本焼成最適温度を予め確認することなく、上記の大小関係を参照することにより、各仮焼膜の積層順序を設定することができる。なお、RE原料として、Y−Gdなどの希土類混晶系を用いることも可能であり、この場合の本焼成最適温度は両者の中間温度となる。
La>Nd>Sm>Eu>Gd>Dy>Ho=Y>Er>Tm>Yb>Lu
基板としては、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)単結晶や、CeOなどの中間層が表面に設けられた金属基板などが好ましく用いられる。
請求項2に記載の発明は、
基板上に形成される仮焼膜が、3層以上であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導線材の製造方法である。
3層以上の仮焼膜を、本焼成最適温度が順次高くなるように、基板上に積層することにより、本発明の効果をより顕著に発揮させることができ、高Icの酸化物超電導層を得ることができる。
請求項3に記載の発明は、
各仮焼膜から形成される酸化物超電導層の厚みが、0.05〜1.0μmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の酸化物超電導線材の製造方法である。
各酸化物超電導層の厚みが薄すぎると、全体の膜厚を確保するために、積層回数を増加する必要があり、効率的でない。一方、厚すぎると、前記したように、膜上面に無配向性の結晶粒が生成される恐れがある。両者を考慮した最適な各酸化物超電導層の厚みは、0.05〜1.0μmである。
請求項4に記載の発明は、
前記有機金属化合物が、フッ素を含まない有機金属化合物であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材の製造方法である。
フッ素を含まない有機金属化合物を用いるFF−MOD法は、TFA−MOD法のように、フッ化水素ガスなどの危険なガスを発生することがなく、環境にやさしく、また処理設備が不要となるため好ましい。
また、FF−MOD法を用いて作製された各酸化物超電導層は、TFA−MOD法と違い異相を含まない高密度な微細組織を有することから、電流パスを確保しやすい点で好ましい。
請求項5に記載の発明は、
基板上に、有機金属化合物を原料とした複数の酸化物超電導層が設けられた酸化物超電導線材であって、
本焼成最適温度がそれぞれ異なる複数の酸化物超電導層が、
本焼成最適温度の低い酸化物超電導層から、順次、基板上に積層されている
ことを特徴とする酸化物超電導線材である。
本焼成最適温度が低い酸化物超電導層から、順次、基板上に積層されているため、各酸化物超電導層の界面では、結晶格子の大きさの違いから若干の歪みが生じて、ピン止めサイトが形成される。この結果、高Icの酸化物超電導層を有する酸化物超電導線材を提供することができる。
本発明によれば、基板上に厚膜化されながら、全体に亘ってc軸配向した酸化物超電導層が形成されて、充分に高いIcを有する酸化物超電導線材とその製造方法を提供することができる。
実施例1の酸化物超電導線材を模式的に示す断面図である。 実施例2の酸化物超電導線材を模式的に示す断面図である。 比較例1の酸化物超電導線材を模式的に示す断面図である。 比較例2の酸化物超電導線材を模式的に示す断面図である。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお以下の実施例および比較例における酸化物超電導膜の形成には、フッ素フリーのMOD法を用いた。
1.酸化物超電導線材の作製
(実施例1)
実施例1は、中間層付き金属基板上に、基板側から、Er123仮焼膜、Y123仮焼、Gd123仮焼膜を積層して形成される仮焼膜積層体を本焼成して酸化物超電導線材を作製した例である(図1参照)。基板として、スパッタ法により成膜した中間層付きの配向金属基板を用いた。
(1)MOD溶液の作製
REとして、Er、Y、Gdを用い、RE、Ba、Cuの各アセチルアセトナート錯体を、RE:Ba:Cuのモル比が1:2:3となるように調整して溶媒に溶解させて各々のMOD溶液を作製した。
(2)各仮焼膜の作製
(a)Er123仮焼膜(第1層目)の作製
Er−MOD溶液を本焼成後の厚みが500nmとなるように基板上に塗布し、大気雰囲気の下で5℃/分の昇温速度で500℃まで昇温して、2時間保持後、炉冷し仮焼熱処理を施すことにより、Er123仮焼膜を作製した。
(b)Y123仮焼膜(2層目)の作製
次いで、Y−MOD溶液をEr123仮焼膜の上に塗布し、前記と同様にして仮焼熱処理を施すことにより、Y123仮焼膜を作製した。
(c)Gd123仮焼膜(3層目)の作製
次いで、Gd−MOD溶液をY123仮焼膜の上に塗布し、前記と同様にして仮焼熱処理を施すことにより、Gd123仮焼膜を作製した。
(d)これにより、中間層付き金属基板上に、基板側から、Er123仮焼膜、Y123仮焼膜、Gd123仮焼膜を積層して形成される仮焼膜積層体を作製した。
(3)本焼成
(a)前記の仮焼膜積層体を、アルゴン/酸素混合ガス(100ppm)雰囲気下で、Er123仮焼膜(第1層目)の本焼成最適温度である790℃になるまで、30℃/分の昇温スピードで昇温後、そのまま30分間保持してEr123仮焼膜の本焼熱処理を実施した。
(b)その後、Y123仮焼膜(第2層目)の本焼成最適温度である800℃になるまで、10℃/分の昇温スピードで昇温後、そのまま30分間保持してY123仮焼膜の本焼熱処理を実施した。
(c)その後、Gd123仮焼膜(第3層目)の本焼成最適温度である830℃になるまで、10℃/分の昇温スピードで昇温後、そのまま30分間保持してGd123仮焼膜の本焼熱処理を実施した。
(d)その後、500℃まで約3時間で降温しつつ、酸素濃度を100%に切り替え、その後、酸素濃度を保ちつつ、さらに5時間かけて室温まで炉冷した。
(4)酸化物超電導線材
以上により、各層の厚さが500nmで総厚が1500nmの3層構造の酸化物超電導層を有する酸化物超電導線材を作製した。
(実施例2)
実施例2は、中間層付き金属基板上に、基板側から、Dy123仮焼膜、DyとGdの混晶であるDy・Gd123仮焼膜、Gd123仮焼膜を積層して仮焼膜積層体を形成した後、仮焼膜積層体を本焼成して酸化物超電導線材を作製した例である(図2参照)。
(1)MOD溶液の作製
REとして、Dy、Gdを用い、RE、Ba、Cuの各アセチルアセトナート錯体を、RE:Ba:Cuのモル比が1:2:3となるように調整して溶媒に溶解させて各々のMOD溶液を作製した。
(2)各仮焼膜の作製
(a)Dy123仮焼膜(1層目)の作製
Dy−MOD溶液を基板上に塗布し、大気雰囲気の下で5℃/分の昇温速度で500℃まで昇温して、2時間保持後、炉冷し仮焼熱処理を施すことにより、Dy123仮焼膜を作製した。
(b)Dy・Gd123仮焼膜(2層目)の作製
Dy−MOD溶液とGd−MOD溶液を等モル混合したMOD溶液をDy123仮焼膜の上に塗布し、前記と同様にして仮焼熱処理を施すことにより、Dy・Gd123仮焼膜を作製した。
(c)Gd123仮焼膜(3層目)の作製
Gd−MOD溶液をDy・Gd123仮焼膜の上に塗布し、前記と同様にして仮焼熱処理を施すことにより、Gd123仮焼膜を作製した。
(3)本焼成
(a)前記の仮焼膜積層体を、アルゴン/酸素混合ガス雰囲気下で、Dy123仮焼膜(第1層目)の本焼成最適温度である810℃になるまで、30℃/分の昇温スピードで昇温後、そのまま30分間保持してDy123仮焼膜の本焼熱処理を実施した。
(b)その後、Dy・Gd123仮焼膜(第2層目)の本焼成最適温度である820℃になるまで、10℃/分の昇温スピードで昇温後、そのまま30分間保持してDy・Gd123仮焼膜の本焼熱処理を実施した。
(c)その後、Gd123仮焼膜(第3層目)の本焼成最適温度である830℃になるまで、10℃/分の昇温スピードで昇温後、そのまま30分間保持してGd123仮焼膜の本焼熱処理を実施した。
(d)その後、500℃まで約3時間で降温しつつ、酸素濃度を100%に切り替え、その後、酸素濃度を保ちつつ、さらに5時間かけて室温まで炉冷した。
(4)酸化物超電導線材
以上により、各層の厚さが500nmで総厚が1500nmの3層構造の酸化物超電導層を有する酸化物超電導線材を作製した。
(比較例1)
比較例1は、実施例1と同じ中間層付き金属基板上に、厚膜のY123層を一層のみ成膜して酸化物超電導線材を作製した例である(図3参照)。
具体的には、Y−MOD溶液を基板上に塗布し、大気雰囲気の下で5℃/分の昇温速度で500℃まで昇温して、2時間保持後、炉冷し仮焼熱処理を施した。次に、アルゴン/酸素混合ガス雰囲気下で、Y123の本焼成最適温度である800℃になるまで、10℃/分の昇温スピードで昇温後、そのまま90分間保持して本焼熱処理を実施した。本焼熱処理を実施後、500℃まで約3時間で降温しつつ、酸素濃度を100%に切り替え、その後、酸素濃度を保ちつつ、さらに5時間かけて室温まで炉冷した。
以上により、膜厚さ1500nmのY123層を有する酸化物超電導線材を作製した。
(比較例2)
比較例2は、中間層付き金属基板上に、3層構造のY123層を積層して酸化物超電導線材を作製した例であり(図4参照)、実施例1のY123層の作製と同様としてY123層を形成し、この作製方法を繰り返すことにより、各層の厚さが500nmで総厚が1500nmの3層構造のY123層を有する酸化物超電導線材を作製した。
2.超電導特性の評価
(1)c軸配向性の確認
実施例および比較例で得られた酸化物超電導膜表面の二次電子像観察を行い、c軸配向性の確認を行った。80%以上の面積割合でc軸配向している場合、酸化物超電導膜全体にわたってc軸配向していると判定し(○で示す)、80%未満を×で示した。測定結果を表1に示す。
(2)Icの測定
実施例および比較例で得られた酸化物超電導膜の超電導特性(Ic)を、77K、自己磁場下において測定した。表1に測定結果を示す。
Figure 2012174568
実施例1では、上層までc軸配向していることが確認できた。これは、前記の仮焼膜積層体について基板側の仮焼膜から順に、それぞれの本焼成最適温度で本焼成を行って、基板側の仮焼膜から順に、本焼成を開始させたため、上層に無配向の結晶核が形成されず、下層から順次c軸配向した結晶成長が行われたためであると考えられる。
実施例2についても、実施例1と同様であることが分かる。
比較例1は、Y123層単層で厚膜化したため、上層に無配向の結晶核が生成されて、上層でc軸配向せず、Icは0となっている。
比較例2は、Y123層を3層にしても、比較例1と同様に、上層に無配向の結晶核が生成されて、上層でc軸配向せず、Icは0となっている。
以上、本発明を実施の形態に基づき説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。

Claims (5)

  1. 基板上に、有機金属化合物を原料とし、塗布熱分解法により酸化物超電導層を形成する酸化物超電導線材の製造方法であって、
    本焼成最適温度がそれぞれ異なる複数の仮焼膜を、
    本焼成最適温度の低い仮焼膜から、順次、基板上に積層して仮焼膜積層体を形成した後、
    前記仮焼膜積層体を本焼成する
    ことを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
  2. 基板上に形成される仮焼膜が、3層以上であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  3. 各仮焼膜から形成される酸化物超電導層の厚みが、0.05〜1.0μmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  4. 前記有機金属化合物が、フッ素を含まない有機金属化合物であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材の製造方法。
  5. 基板上に、有機金属化合物を原料とした複数の酸化物超電導層が設けられた酸化物超電導線材であって、
    本焼成最適温度がそれぞれ異なる複数の酸化物超電導層が、
    本焼成最適温度の低い酸化物超電導層から、順次、基板上に積層されている
    ことを特徴とする酸化物超電導線材。
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