JP2012172815A - 閉止栓 - Google Patents

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隆 窪田
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【課題】組付けの行い易さと高い保持機能とを有効に両立させた閉止栓を提供する。
【解決手段】閉止栓1は、開口を閉止するために開口内に挿入される開口の開口径kaよりも小さい径をなす軸本体21と、この軸本体21から外側に開口径ka以下の径22aまで突出する第1爪部22と、この第1爪部22よりも基端側に所定寸法離間して設けられ軸本体21から径方向に開口径kaよりも大きい径まで外側に突出し、基端側に撓む際には開口内に収り、先端側に撓む際には第1爪部22に外側からに重層し得るとともに当該重層箇所における径xが開口径kaよりも大きくなり得る第2爪部23とを具備する。
【選択図】図6

Description

本発明は、貫通孔や凹部といった開口を閉止するための閉止栓に関する。
従来、開口に挿入することにより、防水や防音を目的とした閉止栓が、種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような閉止栓は、例えば近年生産されている自動車の内部構造においても、特に防音を目的として、用いられている。つまりアイドリングストップ機能を搭載した自動車場合、エンジンを始動させるためのクランキングが運転中に以前に増して行なわれるようになっている。そこで近年ではエンジンのシリンダブロックに取り付けたオイルパンやギヤケースに設けられた開口を閉止栓により閉止することが考えられている。これにより、クランキング音が外部や運転席にまで漏れないようにするためである。
しかしながら上記特許文献1に記載したような閉止栓を含めこれまでの閉止栓では、主に素材の弾性や可撓性そのものを利用して組付け易いように形成されるとともに、開口からの抜け止めを含む保持機能に到っても、専ら素材の弾性や可撓性、若しくは素材表面の摩擦のみによって行うものとなっていた。そうなると、自動車のエンジン近傍に閉止栓を用いる場合には特に、エンジン自体の振動や走行中の振動等が顕著であるため、閉止栓自体には特に前記保持機能が強く求められるところ、素材の弾性や可撓性等により保持機能を高めれば、組付けが行い難くなったり、閉止栓自体の荷重も増大しまったりしてしまうという事が懸念されている。
特開2010−272351号公報
本発明は、上述したような事も鑑みてなされたものであり、組付けの行い易さと高い保持機能とを有効に両立させた閉止栓を提供することを目的としている。
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち本発明に係る閉止栓は、開口を閉止するために前記開口内に挿入される前記開口の開口径よりも小さい径をなす軸本体と、この軸本体から径方向に突出する第1爪部と、この第1爪部よりも基端側に所定寸法離間して設けられ前記軸本体から径方向に開口径よりも大きい径まで外側に突出し、基端側に撓む際には前記開口内に収まり、先端側に撓む際には前記第1爪部に外側からに重層し得るとともに当該重層箇所における外径が前記開口径よりも大きくなり得る第2爪部とを具備することを特徴とする。
このようなものであれば、第2爪部が先端側へ撓む際、つまり閉止栓を引き抜こうとする動作の際には第2爪部が第1爪部に重層するように動作することにより、当該重層箇所が開口径よりも大きくなるか、開口内で第1爪部と開口面との間に第2爪部が挟まってしまうので、閉止栓の引き抜きが禁止されるか、著しく阻害されてしまうものとなる。これにより、予め抜け難い形状とすることによる組付け難いものとすることを有効に回避することができる。その結果、組付け易く且つ抜け難い閉止栓を提供することが可能となる。
そして開口をより取り付け易くとともに上述した抜け難くする効果を有効に発揮させるためには、挿入方向に離間する複数の爪部を有するものであり、当該複数の爪部のうち最も先端側の爪部を前記第1爪部とし、当該第1爪部に隣接する爪部を前記第2爪部とすることが望ましい。このようなものであれば、挿入方向から数えて最初の爪部が他の爪と比べて小径となっているため、挿入動作が行い易くなる。
本発明によれば、組付けの行い易さと高い保持機能とを有効に両立させた閉止栓を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る閉止栓が適用される箇所を示す底面図。 同閉止栓が適用される箇所を示す他の正面図。 同閉止栓を示す正面図。 同断面図。 同作用説明図。 同上。 図6に係る要部を拡大して示す図。 同実施形態の変形例に係る作用説明図。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る閉止栓1は、例えば、自動車の内部におけるエンジン近傍に用いられているものである。なお当該図示例はあくまで閉止栓1を適用している一例に過ぎない。当該閉止栓1は勿論、他のあらゆる用途に適用し得るものである。
この閉止栓1は、図1に示すように、エンジンを構成しているオイルパンpとギヤケースgとを接合している箇所に用いられている。なお同図において、エンジンを構成するシリンダブロック等の他の構成部品やギヤケースgに組付けられる構成部品の図示は、便宜上省略して示している。そして接合面p1、g1付近には、図示しないエンジンの出力軸に取り付けられたフライホイールが位置付けられる。閉止栓1を取り付ける対象である開口kは、オイルパンpとシリンダブロックとを接合させる接合面p1、g1同士を接合させた際に形成される、工具挿入用のものである。
またオイルパンpには全周に亘ってフランジfが形成されており、このフランジfにはシリンダブロックとオイルパンpとを強固に結合させるための複数のボルト孔bが形成されている。
そして図2に示すように、オイルパンpにおけるギヤケースg側に設けられたボルト孔bは、接合面p1、g1の下端部分に覆われるように位置付けられている。そこで当該開口kを設けておくことより、ギヤケースg及びオイルパンpに干渉されずにボルト孔bの位置でシリンダブロックとオイルパンpとを強固に締結することができる。
しかして本実施形態では、この開口kを利用してボルトを取り付けた後、閉止栓1によって開口kを塞ぐようにしている。これにより、エンジンの動作音、特にフライホイール近傍にて起こるクランキング音が外方に漏れることを有効に回避している。その結果、アイドリングストップからの再始動時を含むクランキング音が運転者等の自動車の乗員にとって気になり難いものとなっている。
ここで、本実施形態に係る閉止栓1は、開口kを閉止するために開口k内に挿入される開口kの開口径kaよりも小さい径をなす軸本体21と、この軸本体21から外側に開口径kaと同程度の径22aまで突出する第1爪部22と、この第1爪部22よりも基端側に所定寸法離間して設けられ軸本体21から径方向に開口径kaよりも大きい径まで外側に突出し、基端側に撓む際には開口k内に収まり、先端側に撓む際には第1爪部22に外側からに重層し得るとともに当該重層箇所における径xが開口径kaよりも大きくなり得る第2爪部23とを具備することを特徴とするものである。
以下、図3乃至図7を参照しつつ、本実施形態に係る閉止栓1について詳細に説明する。
この閉止栓1は、例えば樹脂製の一体成形により形成されたものであり、樹脂の厚みが部分的にそれぞれ異なることにより、組付け・抜き取り作業時に弾性変形し易い部位と、弾性変形を起こし難い部位とを有している。この閉止栓1は、開口kを外側から塞ぎ得る頭部3と、この頭部3から延出し開口kに挿入される挿入軸2を有している。
頭部3は、平面視円形状をなし、開口kに取り付けたときに表出する面を組付け時に手指等で押圧される被押圧面31と、そしてこの被押圧面31の裏側の外周部分を、被押圧面31が押圧された時に開口kの縁部に当接することにより閉止栓1を挿入端の位置へ位置決めするための当接面32とを有している。
挿入軸2は、図3及び図4に示すように、当接面32の内側から所定の径21aにて円筒状に突出して設けられた軸本体21を主体とし、この軸本体21の外側には後に詳述する第1爪部22、第2爪部23及び補助爪部24を突出させることによって有している。当該軸本体21の径21aは開口径kaよりも小さく設定されている。具体的には第1爪部22の突出寸法だけ小さく設定されている。また軸本体21の内側には、先端部分から基端付近に亘って円柱状にくり抜かれた空洞部25が形成されている。この空洞部25はいわゆる「肉盗み」として作用するものである。すなわち、この空洞部25により閉止栓1自体の軽量化が有効に図られるとともに、軸本体21自体の適度な弾性変形が許容され得るものとなっている。
しかして本実施形態では上述の通り、軸本体21の外側に先端から、第1爪部22、第2爪部23、そして補助爪部24をそれぞれ突出させて設けている。
第1爪部22は、軸本体21の先端において外側に開口kに接し得る位置まで突出している。つまり第1爪部22の径22aは、開口径kaに略等しい。換言すれば、第1爪部22の平面視(底面視)外周形状は、開口kの形状にほぼ一致している。またこの第1爪部22はその突出寸法に対して厚み寸法を対応させることにより、通常の組付け動作では撓み変形を起こし難く調整されている。
第2爪部23は、第1爪部22の基端側に隣接する箇所に設けられている。この第2爪部23の径23aは、外縁が開口径kaよりも大きくように設定されている。そして第2爪部23の突出位置は第1爪部22に対し、当該第2爪部23の突出寸法よりも小さい寸法、具体的には突出寸法の半分程度の距離に設定されている。これにより、第2爪部23の先端27が挿入軸2の先端側に撓んだ際には第1爪部22の先端26に外側から重層し得るようになっている。他方、第2爪部23は基端側に隣接する補助爪部24に対して突出寸法に近い寸法で離間しているため、第2爪部23は基端側へ撓む際には開口k内部に好適に収容され得る。
補助爪部24は、第2爪部23からは上述したような所定間隔隔てられて3つ設けられている。また、本実施形態ではこれら補助爪部24の形状・寸法は、ともに第2爪部23のそれと略同じに設定されている。そして補助爪部24同士の距離は、互いに突出寸法に近い寸法で離間するように設定されている。これにより、これら補助爪部24は開口k内では適度に撓むことにより開口kに隙間無く接し、有効に防水・防音の効果を果たし得るとともに、挿入動作、抜き取り動作時には互いの補助爪部24にも第2爪部23にも干渉しないように設定されている。そのため、これら補助爪部24は開口k内への好適な位置決めに寄与するとともに特にスムーズな閉止栓1の挿入動作に寄与し得るものとなっている。
続いて、図5乃至図7を参照しながら、当該閉止栓1の組付け時、抜き取り動作時において起こる作用について説明する。
図5は、開口k内へ閉止栓1を挿入していく様子を図示している。同図に示すように、第1爪部22は開口kに殆ど干渉せずに開口k内に挿入されるとともに、第2爪部23及び補助爪部24は基端側へそれぞれ撓むことにより、速やかに開口k内へ挿入される。
図6は、閉止栓1を開口kへ位置決めした状態から、引き抜き動作を行なった際の様子を図示している。図7は、図6の要部拡大図である。同図に示すように、開口kを一端通過した第1爪部22及び第2爪部23が再び開口k内へ引き戻されると、先端側へ撓んだ第2爪部23の先端27が第1爪部22の先端26へ外側から重層する。このとき、当該重層箇所の挿入軸2自体の径xが開口径kaを上回る。そうなると、第2爪部23及び第1爪部22は開口k内へ再び侵入することが禁止された状態となる。その結果、上記実施形態同様この閉止栓1は開口kに対して安定して位置決めされ得るものとなっている。なお勿論、作業者により軸本体21自体が撓み変形を起こすまでの過度の外力が掛れば、閉止栓1は開口kから引き抜かれる。
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る閉止栓1は、閉止栓1を引き抜こうとする動作の際には第2爪部23が第1爪部22に重層するように動作することにより、当該重層箇所の径xが開口径kaよりも大きなるので、閉止栓1の引き抜きが禁止される。その結果、組付け時には第2爪部23及び補助爪部24の弾性変形により組付け作業が行い易く、且つ、抜け難いものとなっている。つまり、エンジンの動作による振動や自動車走行時の衝撃等によっても開口kから外れ難い閉止栓1となっている。
特に本実施形態では、爪部として、第1爪部22、第2爪部23そして補助爪部24で計5つの爪部を設けるとともに、最も先端に設けた爪部を第1爪部22とすることにより、閉止栓1の開口kへのスムーズな挿入に寄与し得るものとなっている。勿論、組付け時には3つの補助爪部24が開口kに係り合うことによる優れた位置決め効果も奏するものとなっている。
<変形例>
以下に、本実施形態の変形例について説明する。なお当該変形例において、上記実施形態における構成要素に相当する構成要素に対しては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略するものとする。
同変形例では、軸本体21の先端に貫通されて第1爪部22が通過し得るような開口kではなく、軸本体21の延出寸法以上の奥行き寸法を有する開口kに上記と同じ閉止栓1を適用した場合の作用について説明する。
同図のように、第1爪部22は開口kの内部に位置付けられている。これにより第1爪部22が弾性変形する。開口k内では勿論、第1爪部22、第2爪部23の重層箇所での径xは開口径kaを超えられない。しかし第2爪部23の先端は、開口kと第1爪部22の先端との間に侵入しようとする作用が強く働くことにより、著しく引き抜き動作が制限される状態となる。その結果、上記実施形態同様この閉止栓1は開口kに対して安定して位置決めされ得るものとなっている。なお勿論、作業者により軸本体21自体が撓み変形を起こすまでの過度の外力が掛れば、閉止栓1は開口kから引き抜かれる。
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
例えば、上記実施形態では第1爪部の径は開口径に等しい径としたが、勿論第1爪部の径が開口径以下の径であっても、或いは例えば開口径よりも大きくとも、開口への挿入に影響を与えない寸法の径であれば本発明に係る第1爪部として有効に上記効果を奏し得る。また例えば、上記実施形態では真円状に形成された開口に適用される態様を開示したが、勿論、矩形状や多角形状、または溝状や環状など、種々の開口に適用させたものであってもよい。そして上記実施形態では軸本体の全周に亘って爪部が形成されていたが勿論、爪部は第1爪部、第2爪部どちらとも、間欠的に設けられるものであったり一部にのみ設けられたもの、又は複数に分かれて設けられたものであったりしても良い。また閉止栓に用いる材質や爪部の突出寸法等の具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は貫通孔や凹部といった開口を閉止するための閉止栓として利用することができる。
1…閉止栓。
21…軸本体
22…第1爪部
23…第2爪部
24…爪部(補助爪部)
k…開口

Claims (2)

  1. 開口を閉止するために前記開口内に挿入される前記開口の開口径よりも小さい径をなす軸本体と、
    この軸本体から径方向に突出する第1爪部と、
    この第1爪部よりも基端側に所定寸法離間して設けられ前記軸本体から径方向に開口径よりも大きい径まで外側に突出し、基端側に撓む際には前記開口内に収まり、先端側に撓む際には前記第1爪部に外側からに重層し得るとともに当該重層箇所における外径が前記開口径よりも大きくなり得る第2爪部とを具備することを特徴とする閉止栓。
  2. 挿入方向に離間する複数の爪部を有するものであり、
    当該複数の爪部のうち最も先端側の爪部を前記第1爪部とし、当該第1爪部に隣接する爪部を前記第2爪部としている請求項1記載の閉止栓。
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