JP2012172272A - 抄紙方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
澱粉を含有する製紙原料を用いて製造する抄紙法に関するものであり、地合いを損なうことなく、歩留の向上や生産性の向上ができる抄紙方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
澱粉を含有する抄紙前の製紙原料において、ビニル系カチオン性単量体を10〜40モル%とビニル系アニオン性単量体を8〜30モル%、及び共重合可能な非イオン性単量体を30〜82モル%含有する単量体混合物水溶液を重合して得た高分子量両性水溶性重合体は、両性水溶性重合体中のアニオン基の割合が澱粉中のカチオン基とイオンコンプレックスを形成するのに有効且つ適正なアニオン度を有しており、当該両性水溶性重合体を適用した抄紙方法により、上記課題を解決することができる。

【選択図】 なし

Description

本発明は、澱粉を含有する製紙原料を用いた抄紙条件で製造する抄紙法に関するものであり、地合いを損なうことなく、製紙原料の歩留向上や生産性の向上ができる抄紙方法に関するものである。
紙の抄紙工程において中性抄造化が進行しており、それに伴い酸性抄造時とは大きく抄造条件が異なるために安定して品質の高い紙を抄紙し更に生産効率を上げることは極めて困難な状況になっている。中性抄造時では、填料として安価で且つ高品質な紙を製造することができるため炭酸カルシウムの使用割合が増加している。しかし、酸性抄造時に使用されていた硫酸バンドが炭酸カルシウムと反応し硫酸カルシウムを生成、系内汚れや断紙の要因となるため中性抄造では添加量低減或いは無添加となっている。従来、硫酸バンドは、紙力増強剤や歩留向上剤といった製紙用薬剤のパルプ繊維への定着の阻害要因となる抄紙系内の所謂アニオントラッシュであるアニオン成分を凝結作用により封鎖する役割も担っていたが、中性抄造ではその役割が低下し、炭酸カルシウムが微粒なこともありワイヤー上での歩留率が低下、品質及び生産性の低下を招く要因の一つとなっている。
近年では製紙会社間で差別化を図ることから紙品質の向上が要望されており、特に紙に強度を付与する目的として合成高分子系紙力増強剤あるいは澱粉系紙力増強剤が使用されているが、硫酸バンドの低減、用水のクローズド化の進行等による抄紙系内のアニオントラッシュ増加のため、パルプ繊維とこれら紙力剤との定着が不良となり問題となっている。そのため、満足な紙力効果を得るには紙力剤の添加率を増加する必要があるが、合成系紙力剤はある一定の定着率で頭打ちとなり紙力効果が得られないという難点がある。一方、澱粉系紙力剤は合成系紙力剤に比べて安価なため高い添加率でパルプスラリーへ添加することが可能であり多用されている。特にカチオン化あるいは両性化した澱粉は凝集作用も有しており、パルプ繊維への安定な定着が得られる。しかし、パルプ繊維と澱粉系紙力剤の定着性は高いもののパルプ繊維表面の電荷がプラスに近づき、製紙工程で澱粉系紙力剤添加以降の製紙用薬剤を定着させるためのパルプ繊維上の吸着サイトが少なくなり、定着性が低下する。
近年、製紙原料中の微細繊維分の増加やマシン抄速の向上のためワイヤー上での製紙原料の歩留が低下傾向にある。そのため、歩留率の向上を図るため製紙工程の最後の内添薬剤である歩留向上剤として高分子量のカチオン性ポリマーが汎用されており、極限粘度法による重量平均分子量が1000万以上を有する従来よりも高分子量のポリマーが適用されるようになってきている。例えば、特許文献1には、極限粘度法による重量平均分子量が1500万以上のエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質を添加する製造方法が開示されている。しかし、対象とする紙の種類は中性新聞印刷用紙であり、カチオン化あるいは両性化澱粉との反応性についての記載はない。
特許文献2では、陽イオン性澱粉と両性アクリルアミド系ポリマーと親水性合成スメクタイトを用いた製紙方法について開示されているが、使用される両性アクリルアミド系ポリマーの形態は溶液重合して得られた粘性の高いものであり、実施例では両性アクリルアミド系ポリマーのアニオン性単量体は3〜7モル%の低アニオンの範囲内である。
特許文献3では、カチオン性澱粉、アニオン性澱粉及び/又は両性澱粉のための歩留まり向上剤として、ジアルキルアミノアルキルアクリレート又はジアルキルアミノアルキルメタクリレートを有するポリマー等を使用する方法が開示されているが、ポリマーの形態及び両性ポリマーについての記載は無い。
特許文献4の様に、澱粉粒子に高度構造型分子構造を有する高分子量カチオン性ポリアクリルアミドを用いてパルプ繊維に定着させ紙力効果を得る方法も開示されているが、歩留向上剤を規定する記載はない。
特開2006−16716号公報 特開平8−13382号公報 特開2001−518988号公報 特開2008−202173号公報
本発明は、澱粉を含有する製紙原料を用いた抄紙条件で製造する抄紙法に関するものであり、地合いを損なうことなく、製紙原料の歩留向上や生産性の向上ができる抄紙方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため鋭意検討を行なった結果、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体と下記一般式(3)で表される単量体、及び共重合可能な非イオン性水溶性単量体を含有する単量体混合物水溶液を重合して製造された両性水溶性重合体を歩留向上剤として澱粉を含有した製紙原料に使用した場合、地合いを損なうことなく、歩留の向上、生産性の向上を図ることが可能であることが分かり本発明に到達した。
一般式(1)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(2)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(3)
は水素、メチル基又はカルボキシメチル基、QはSO、CSO、CONHC(CHCHSO、CCOOあるいはCOO、Rは水素又はCOOY、YあるいはYは水素又は陽イオンをそれぞれ表わす。
また本発明の両性水溶性重合体は、前記単量体混合物水溶液が、前記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体10〜40モル%、前記一般式(3)で表される単量体8〜30モル%、及び共重合可能な非イオン性水溶性単量体30〜82モル%からなることを特徴とする。
本発明の両性水溶性重合体は、前記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体と前記一般式(3)で表される単量体、及び共重合可能な非イオン性水溶性単量体を含有する単量体混合物水溶液を重合して製造された両性水溶性重合体である。澱粉を含有する抄紙前の製紙原料中に本発明の両性水溶性重合体を添加すると澱粉に付与されたカチオン基と両性水溶性重合体中のアニオン基がイオンコンプレックスを形成する。これは、両性水溶性重合体中のアニオン基の割合が澱粉中のカチオン基とイオンコンプレックスを形成するのに有効且つ適正なアニオン度を有しているためである。形成されたイオンコンプレックスは、抄紙工程でシェアが掛かることにより破壊されると両性水溶性重合体中のアニオン基によりフロック間で再凝集が起こり、地合いを損なうことなく高い歩留効果が得られる。
本発明の両性水溶性重合体は、前記単量体混合物水溶液が、前記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体10〜40モル%、前記一般式(3)で表される単量体8〜30モル%、及び共重合可能な非イオン性水溶性単量体30〜82モル%からなる単量体を必須として含有する単量体混合物の水溶液を重合して製造することができる。
本発明の両性水溶性重合体を製造する際使用するイオン性単量体のうち、カチオン性単量体、即ち一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体は10〜40モル%であり、好ましくは15〜35モル%の範囲である。
本発明で使用するカチオン性単量体は、以下の様なものがある。すなわち、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチルジアリルアミン等の塩化メチルや塩化ベンジルによる四級化物である。その例として一般式(1)で表わされる単量体は、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物である。一般式(2)で表わされる単量体は、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物等がある。
本発明の両性水溶性重合体を製造する際使用するイオン性単量体のうち、アニオン性単量体、即ち前記一般式(3)で表される単量体は8〜30モル%、好ましくは10〜20モル%の範囲である。8モル%より低いとカチオン化あるいは両性化澱粉とのコンプレックスの形成あるいは再凝集性は認められず、30モル%より多いと高い分子量のものが製造できないため、全単量体中8〜30モル%が望ましい。
本発明で使用するアニオン性単量体は、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸あるいは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フタル酸あるいはp−カルボキシスチレン酸等が挙げられる。
本発明で使用する非イオン性単量体は、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
本発明の両性水溶性重合体の重合時に架橋性単量体を添加することができる。架橋性単量体の具体例としてはN,N’−メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物、メチロールアクリルアミド、メチロールメタクリルアミドなどのビニル系メチロール化合物、アクロレインなどのビニル系アルデヒド化合物あるいはこれらの混合物が挙げられるが、これらの中でもN,N’−メチレンビスアクリルアミドの使用が好ましい。
本発明の両性水溶性重合体は、イオン性単量体、あるいはイオン性単量体および非イオン性単量体からなる単量体混合物を共重合することによって製造することができる。重合はこれら単量体を混合した水溶液を調製した後、通常の重合法によって行なうことができる。
重合法としては、水溶液重合、油中水型エマルジョン重合、油中水型分散重合、塩水中分散重合等によって重合した後、水溶液、分散液、エマルジョンあるいは粉末等任意の製品形態にすることができる。好ましい形態としては、高分子量のものが得られやすい油中水型エマルジョン重合である。
油中水型エマルジョンの製造方法としては、カチオン性単量体、アニオン性単量体及び非イオン性単量体からなる単量体混合物を水、水と非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させた後、重合する。
油中水型エマルジョンからなる両性水溶性重合体を用いる場合、無機塩を添加することができる。塩を添加するタイミングは、イオン性単量体と非イオン性単量体からなる単量体混合物を混合した水溶液中や共重合後の油中水型エマルジョン中或いは油中水型エマルジョン希釈液中、等である。
添加する無機塩は、ナトリウムやカリウムの様なアルカリ金属イオンやアンモニウムイオン等の陽イオンと、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン等の陰イオンとを組み合わせた塩が使用可能である。これら塩類の濃度としては、0.5質量%〜15質量%である。
また、分散媒として使用する炭化水素からなる油状物質の例としては、パラフィン類或いは灯油、軽油、中油等の鉱油、或いはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度等の特性を有する炭化水素系合成油、或いはこれらの混合物が挙げられる。含有量としては、油中水型エマルジョン全量に対して20質量%〜50質量%の範囲であり、好ましくは20質量%〜35質量%の範囲である。
油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤の例としては、HLB3〜11のノニオン性界面活性剤であり、その具体例としては、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。これら界面活性剤の添加量としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%の範囲である。
重合後は、転相剤と呼ばれる親水性界面活性剤を添加して油の膜で被われたエマルジョン粒子が水になじみ易くし、中の水溶性高分子が溶解しやすくする処理を行ない、水で希釈しそれぞれの用途に用いる。親水性界面活性剤の例としては、カチオン性界面活性剤やHLB9〜15のノ二オン性界面活性剤であり、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレンアルコールエーテル系等である。
重合条件は通常、使用する単量体や共重合モル%によって適宜決めていき、温度としては0〜100℃の範囲で行なう。特に油中水型エマルジョン重合法を適用する場合は、20〜80℃、好ましくは20〜60℃の範囲で行なう。重合開始はラジカル重合開始剤を使用する。これら開始剤は油溶性或いは水溶性のどちらでも良く、アゾ系、過酸化物系、レドックス系何れでも重合することが可能である。油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、1、1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2、2’−アゾビス−2−メチルプロピオネート、4、4’−アゾビス−(4−メトキシ−2、4−ジメチル)バレロニトリル等が挙げられる。
水溶性アゾ開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス[2−(5−メチル−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。またレドックス系の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等との組み合わせが挙げられる。更に過酸化物の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウム或いはカリウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等を挙げることができる。
単量体の重合濃度は20〜50質量%の範囲であり、好ましくは25〜40質量%の範囲であり、単量体の組成、重合法、開始剤の選択によって適宜重合の濃度と温度を設定する。
塩水中分散重合は、特開2007−16086号公報などによって製造することができる。塩水溶液中において、該塩水溶液中に溶解可能な高分子分散剤を共存させビニル系単量体或いはビニル系単量体混合物を分散重合する場合、重合遅延性物質を全単量体に対し0.5〜5モル%添加することにより、増粘が抑制可能であり、重量平均分子量が高い水溶性高分子を製造することができる。又、前記重合遅延性物質はイタコン酸、マレイン酸、フタル酸、アリルアミンおよびジアリルジメチルアンモニウムクロライドから選択される一種以上である。
塩水中分散重合に使用する高分子分散剤は、イオン性、非イオン性とも使用可能であるが、好ましくはイオン性、更に好ましくはカチオン性である。カチオン性高分子分散剤の場合、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物やジメチルジアリルアンモニウム塩化物などのカチオン性単量体の(共)重合体を高分子分散剤として使用するが、カチオン性単量体と非イオン性単量体との共重合体も使用可能である。非イオン性単量体の例としては、アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N、N−ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等であるが、アクリルアミドとの共重合体が好ましい。
又、非イオン性高分子分散剤としては、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/ポリビニルカプロラクタム共重合体、アクリルアミド/スチレン共重合体、無水マレイン酸/ブテン共重物の完全アミド化物などアミド基と若干の疎水性基を有する水溶性高分子も有効である。
前記カチオン性高分子分散剤の分子量としては、高いと分散液の粘性が高くなり好ましくない。従って5,000〜200万、好ましくは5万〜100万である。又、非イオン性高分子分散剤の分子量としては、1,000〜10万、好ましくは1,000〜5万である。これらカチオン性或いは非イオン性高分子分散剤の添加量は、単量体に対して1〜20質量%であり、好ましくは5〜15質量%である。
使用する塩類としては、ナトリウムやカリウムのようなアルカリ金属イオンやアンモニウムイオン等の陽イオンとハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオンなどの陰イオンとを組み合わせた塩が使用可能であるが、多価陰イオンとの塩がより好ましい。これら塩類の塩濃度としては、10%以上の水溶液として用いることが好ましい。この中に前記単量体類を溶解させ、更にイオン性高分子からなる分散剤を共存させ、pHを2〜5に調製した後、窒素置換後、重合開始剤によって重合を開始させる。
重合濃度としては、単量体濃度として15質量%〜35質量%であるが、好ましくは20質量%〜30質量%である。単量体供給方法としては、重合開始時、一括してし込んでも良いし、適宜分割して仕込んでも良い。
重合条件は通常、使用する単量体や共重合モル%によって適宜決定し、温度としては0〜100℃の範囲で行う。重合開始はラジカル重合開始剤を使用する。これら開始剤は油溶性或いは水溶性のどちらでも良く、アゾ系、過酸化物系、レドックス系の何れでも重合することが可能である。油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、1、1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)、4、4−アゾビス(4−メトキシ−2、4ジメチル)バレロニトリル等が挙げられ、水混溶性溶剤に溶解し添加する。
水溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。又、レドックス系の例としては、ペルオクソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等との組み合わせが挙げられる。更に過酸化物の例としては、ペルオクソ二硫酸アンモニウム或いはカリウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t-ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエ−ト等を挙げることができる。これら開始剤の中で最も好ましいのは、水溶性アゾ開始剤の2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物である。アゾ系開始剤の添加量は、重合開始時、単量体当たり50〜500ppm、好ましくは70〜200ppm添加する。しかし、一回の添加では重合率が低くなるので、数回に分けて添加することが好ましい。
又、レドックス系開始剤で共重合する場合、40℃以上の条件で重合を開始させると重合の制御は難しく、急激な温度上昇や重合液の塊状化などが起きて、高重合度で安定な分散液が得られないため、15〜35℃が好ましい。この開始剤の添加量は、重合開始時、単量体当たり5〜100ppm、好ましくは10〜50ppm添加する。しかし、一回の添加では重合率が低くなるので、数回添加することが好ましい。添加回数としては、2〜5回、好ましくは2〜3回である。これらイオン性高分子からなる高分子分散剤の添加量としては、対単量体1〜30質量%であり、好ましくは2〜20質量%である。1%以下では、分散剤としての効果がなく、30%以上では、分散液の粘性が高くなる上、コスト的に不利になる。
本発明の両性水溶性重合体は、澱粉を含有している製紙原料において歩留効果が最大限に発揮される。澱粉としては、具体的には、馬鈴薯澱粉、モチ馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、モチトウモロコシ澱粉、高アミローストウモロコシ澱粉、小麦粉澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、グルコマンナン及びガラクタン等が挙げられる。本発明の両性水溶性重合体とコンプレックスを形成させるには、これら原料澱粉をカチオン化澱粉あるいは両性化澱粉としたものが必要である。澱粉のカチオン化としては、原料澱粉をカチオン化剤で処理する方法が挙げられる。カチオン化剤の具体例としては、ジエチルアミノエチルクロライド等の3級アミン、並びに3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド及びグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。カチオン化された澱粉のカチオン置換度は、窒素原子換算で0.01〜0.06質量/質量%であることが好ましい。
両性化については、カチオン化後に公知のアニオン化反応がなされたものであっても良い。アニオン化反応の具体例としては、無機リン酸等によるリン酸エステル化、尿素リン酸化及び次亜ハロゲン酸塩等による酸化、モノクロロ酢酸によるカルボキシメチル化あるいは硫酸化等が挙げられる。
澱粉は糊液として使用することが好ましく、糊化温度以上に加熱処理して使用する。加熱温度は澱粉の種類に応じて適宜設定すれば良いが、70℃以上が好ましい。
澱粉の添加率としては、0.1〜5%(対紙料固形分)が好ましい。0.1%より低いとパルプ繊維の表面電荷がマイナス側に大きいままなので両性水溶性重合体を使用するよりもカチオン性水溶性重合体を使用する方がパルプ繊維と吸着しやすいため高い歩留効果が得られることから好ましくはない。又、十分な紙力効果が得られない。一方、5%より高いとパルプスラリーと過凝集を引き起こし、ワイヤーでの濾水性が悪化、歩留も低下し、澱粉がパルプ繊維に定着せず白水中の含有量が増加することからCOD値(化学的酸素要求量)やBOD値(生物学的酸素要求量)が増加し、排水負荷の増大となり好ましくはない。
本発明の両性重合体を使用する紙の種類としては、澱粉が含有されていれば何れでも良く、上質印刷用紙、中質印刷用紙、グラビア印刷用紙、PPC用紙、レーザープリンター用紙、フォーム用紙、板紙原紙等が挙げられる。又、アート紙、キャストコート紙、上質コート紙、熱転写用紙等の各種のコート原紙にも適用できる。抄紙前の製紙原料のpHは、両性重合体中のアニオン基の解離度が高い必要があることから6〜9が好ましい。
パルプ原料の種類としては、LBKP(広葉樹パルプ)あるいはNBKP(針葉樹パルプ)が主体であれば、ケミカルパルプ(CP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、セミケミカルパルプ(SCP)、脱墨パルプ(DIP)、ブローク原料等、通常、一般的に使用されている原料を含んでいても良いが、DIP原料は製造工程でアルカリ処理を施すため表面電荷がアニオン性となっており、本発明の両性水溶性重合体中のアニオン基と澱粉中のカチオン基とのイオンコンプレックス形成の阻害要因となるため全パルプ原料中のDIP配合割合は20%(対紙料固形分)以下が好ましく、更には10%以下が好ましい。
製紙工場での生産性向上の観点から抄紙速度の高速化が進行しており、1000m/分以上の高速、中には1500m/分を超える場合もある。抄紙速度が速くなると製紙原料に掛かるせん断力が強くなるため、歩留向上剤の添加による凝集、形成したフロックが壊れやすくなる。特に1000m/分以上の高速においてその傾向が大きく、高いシェアにおいてもフロックを保持する歩留向上剤が求められており、本発明の両性水溶性重合体の性能は高シェアにおいてより発揮される。
高シェアにおいて高い凝集力を得るには高分子量のカチオン性高分子が有効であるが、せん断力が掛かると形成したフロックが壊れていき、歩留率は低下していく。一方、本発明の両性水溶性重合体を添加すると高分子量であるため高い凝集力を有するが、せん断力が強いと高分子量のカチオン性高分子と同様に形成したフロックが壊れるが、両性高分子中に有するアニオン基の存在により破壊されたフロック間で再凝集が起こり、カチオン性高分子より高い歩留効果が得られると考えられる。低シェアではこの再凝集は生じ難いが高シェアにおいてアニオン基との再凝集が促進された結果、歩留効果は高くなる。又、この再凝集性により緻密なフロックを形成するため地合いが良好になる。
高い凝集力を得るには高分子量が必要であるため、本発明の両性水溶性重合体の分子量は、固有粘度で表わすと、油中水型エマルジョンを構成する水溶性重合体の1規定NaCl水溶液中、25℃で測定した固有粘度が10〜25dl/gであることが好ましいが、更に好ましくは15〜25dl/gである。固有粘度が10dl/gより低いと歩留向上効果が低下する場合があり、25dl/gより高いと紙の品質、特に地合いが低下する場合がある。
本発明の両性水溶性重合体の製紙工程における添加場所は、従来の歩留向上剤として、せん断工程であるファンポンプやスクリーンの前後が一般的であり、本発明の両性水溶性重合体も同様な添加場所が適用される。少ない添加率で最も歩留率を向上させるには最終せん断工程であるスクリーン前後に添加するのが好ましい。
本発明の両性水溶性重合体は、澱粉の他に、サイズ剤、硫酸バンド、凝結剤やその他の製紙用薬品と同時に添加することができ、アニオン性水溶性高分子、ベントナイトあるいはコロイダルシリカなどとも併用することができる。
以下に示す合成例によって本発明の両性水溶性重合体を具体的に説明するが、本発明は以下の合成例に限定されるものではない。
(合成例1)
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン127.5gにソルビタンモノオレート7.5g及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート5.0gを仕込み溶解させた。別に脱イオン水55.3g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)134.5g、80質量%アクリル酸(AACと略記)25.0g、50質量%アクリルアミド(AAMと略記)144.8g、イソプロピルアルコール0.4g(対単量体0.2質量%)を各々採取し添加した。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで2分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/AAc/AAM=30/15/55(モル%)である。
得られたエマルジョン単量体溶液の温度を40〜43℃に保ち、窒素置換を30分行なった後、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬V−601)0.7g(対単量体0.35質量%)を加え、重合反応を開始させた。42±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンデシルエーテル10.0g(対液1.9質量%)を添加混合した。この分散液は、顕微鏡観察の結果、1〜30μmの粒子であり、固有粘度は15.8dl/gであった。これを試作−1とする。更に試作−1の製造と同様の操作によりDMQ/AAC/AAM=40/20/40(モル%)、固有粘度13.8dl/g(試作−2)、DMQ/AAC/AAM=20/8/72(モル%)、固有粘度15.3dl/g(試作−3)、DMQ/AAC/AAM=30/15/55(モル%)、固有粘度18.8dl/g(試作−4)、DMQ/AAC/AAM=30/30/40(モル%)、固有粘度15.2dl/g(試作−5)、DMQ/DMC/AAC/AAM=20/10/15/55(モル%)、固有粘度15.3dl/g(試作−6)、DMQ/DMC/AAC/AAM=10/10/20/60(モル%)、固有粘度14.5dl/g(試作−7)である水溶性高分子を合成した。結果を表1に示す。
(合成例2)
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン127.5gにソルビタンモノオレート7.5g及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート5.0gを仕込み溶解させた。別に脱イオン水54.3g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物134.5g、80質量%アクリル酸25.0g、50質量%アクリルアミド144.8g、イソプロピルアルコール0.4g(対単量体0.2質量%)及びメチレンビスアクリルアミド0.2%水溶液1.0g(対単量体0.001質量%)を各々採取し添加した。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで2分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/AAC/AAM=30/15/55(モル%)である。
得られたエマルジョン単量体溶液の温度を40〜43℃に保ち、窒素置換を30分行なった後、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬V−601)0.7g(対単量体0.35質量%)を加え、重合反応を開始させた。42±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンデシルエーテル10.0g(対液2.0質量%)を添加混合した。この分散液は、顕微鏡観察の結果、1〜30μmの粒子であり、固有粘度16.8dl/gであった。これを試作−8とする。更に試作−8の製造と同様の操作によりDMQ/AAC/AAM=20/20/60(モル%)、固有粘度15.2dl/g(試作−9)である水溶性高分子を合成した。結果を表1に示す。
(合成例3)
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン127.5gにソルビタンモノオレート7.5g及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート5.0gを仕込み溶解させた。別に脱イオン水29.7g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物134.5g、80質量%アクリル酸25.0g、50質量%アクリルアミド144.8g、イソプロピルアルコール0.4g(対単量体0.2質量%)及び硫酸アンモニウム25.6g(対液5質量%)を各々採取し添加した。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで2分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/AAC/AAM=30/15/55(モル%)である。
得られたエマルジョン単量体溶液の温度を40〜43℃に保ち、窒素置換を30分行なった後、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬V−601)0.7g(対単量体0.35質量%)を加え、重合反応を開始させた。42±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンデシルエーテル10.2g(対液2.0質量%)を添加混合した。この分散液は、顕微鏡観察の結果、1〜30μmの粒子であり、試作−10とする。更に試作−10の製造と同様の操作によりDMQ/AAC/AAM=20/20/60(モル%)、固有粘度16.7dl/g(試作−11)である水溶性高分子を合成した。結果を表1に示す。
(合成例4)
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに脱イオン水228.3g、硫酸アンモニウム96.6g、カチオン性単量体として80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQ)50.4g、アニオン性単量体として80質量%アクリル酸(以下AAC)9.4g、50質量%アクリルアミド(以下AAM)54.3g、前記単量体総量に対しイタコン酸を1モル%(1.1g)、分散剤としてアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物単独重合体(20質量%液、粘度6800mPa・s)37.5g(対単量体;10.0%)をそれぞれ仕込んだ。その後、攪拌しながら窒素導入管より窒素を導入し溶存酸素の除去を行った。この間、恒温水槽により35±2℃に内部温度を調整した。窒素導入30分後、開始剤として2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物の1質量%水溶液0.75g(対単量体100ppm)を添加し重合を開始させた。内部温度を35±2℃に保ち重合開始後6時間たったところで上記開始剤を0.75g追加し、さらに10時間反応させた。その後、硫酸アンモニウムを22.4g入れ、30分攪拌することで目的の分散液を得た。得られた塩水中分散液を試作−1とする。このDMQ/AAC/AAMのモル比は30/15/55であり、分散液粘度は380mPa・s、顕微鏡観察の結果、1〜10μmの粒子であった。又、固有粘度は15.2dl/gであり、これを試作−12とした。結果を表1に示す。
合成例4と同様な操作で、DMQ/AAC/AAM=20/20/60(モル%)、固有粘度13.3dl/g(試作−13)である水溶性高分子を合成した。結果を表1に示す。
(合成例5)
合成例1で得られた試作−1の油中水型エマルジョンをアセトンによりポリマー洗浄を行ない、油分、界面活性剤および水を除去した後、乾燥してアセトンを除去することにより粉末状水溶性高分子を得た(試作−14)。結果を表1に示す。
(比較合成例)
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン127.5gにソルビタンモノオレート7.5g及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート5.0gを仕込み溶解させた。別に80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)93.0g、50質量%アクリルアミド(AAMと略記)307.0g、イソプロピルアルコール0.4g(対単量体0.2質量%)を各々採取し添加した。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで2分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/AAM=10/90(モル%)、固有粘度20.2dl/gである。
得られたエマルジョンを単量体溶液の温度を40〜43℃に保ち、窒素置換を30分行なった後、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート(和光純薬製V−601)1.9g(対単量体0.34質量%)を加え、重合反応を開始させた。42±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。重合後、生成した油中水型エマルジョンに転相剤としてポリオキシエチレンデシルエーテル10.0g(対液1.9質量%)を添加混合した。この分散液は、顕微鏡観察の結果、1〜30μmの粒子であった。固有粘度15.9dl/gであり、これを試作−15とする。結果を表1に示す。更に試作−15の製造と同様の操作によりDMQ/AAM=20/80(モル%)、固有粘度21.5dl/g(試作−16)、DMQ/AAC/AAM=30/5/65(モル%)、固有粘度15.9dl/g(試作−17)DMQ/AAC/AAM=30/40/30(モル%)、固有粘度11.6dl/g(試作−18)である水溶性高分子を合成した。
(表1)
DMQ:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物
DMC:メタアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物
AAC:アクリル酸、AAM:アクリルアミド
無機塩;AS:硫酸アンモニウム、SC:塩化ナトリウム
製品形態;E:油中水型エマルジョン、D:塩水溶液中分散液、P:粉末状
ブリット式ダイナミックジャーテスターによる歩留率の測定試験を行なった。200メッシュワイヤー使用。使用原料は、固形分濃度0.61質量%で、軽質炭酸カルシウム等Ash分として28.3%対紙料固形分濃度含んだ塗工原紙抄造原料でパルプ原料の配合割合がLBKP:NBKP:コートブローク=60:30:10(対紙料固形分)のものを用いた。紙力剤としてカチオン化澱粉0.74%(対紙料固形分)を含有しており、製紙原料の物性値は、pH7.5、Whatman No.41濾紙濾過液のミューテック社製PCD−03型を使用したカチオン要求量は、0.004meq/Lである。ブリット式ダイナミックジャーテスターの攪拌回転数は1300rpmに設定した。これは、製紙会社の抄紙マシンや抄紙条件によって様々であるが、少なくとも抄紙速度1000m/分は超える高速抄紙のせん断力に匹敵する攪拌回転数である。合成例の試作−1〜14を対紙料固形分に対して300ppm添加し、攪拌回転数1300rpmで30秒間攪拌後、濾液を採取しADVANTEC、No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を測定後、濾紙を525℃で2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。結果を表2に示す。
実施例1と同様な製紙原料を所定量採取、合成例の試作−1〜14を対紙料固形分に対して300ppm添加し、攪拌回転数1300rpmで30秒間攪拌した。その後、TAPPIスタンダード抄紙機(60メッシュワイヤー使用)により坪量80g/mの紙を抄いた。抄紙した湿紙を4.1kgf/cmで5分間、プレス機にてプレス脱水し、回転式ドラムドライヤーで105℃、3分間乾燥後、25℃、RH65%の条件で18時間調湿し、地合い指数及び内部結合強度を測定した。地合い指数はM/K System Inc.社製「3−D Sheet Analyzer」により測定した。この数値は高い程、地合いは良いことを表わしている。又、内部結合強度(JAPAN−TAPPI−No.18−1:2000)は、オリエンテック社製テンシロン−RTC−1210A、移送速度20mm/min.により測定した。結果を表2に示す。
(比較例1)実施例1と同様な製紙原料を用いて、比較合成例の試作−15〜18を対紙料固形分に対して300ppm添加し、攪拌回転数1300rpmで30秒間攪拌後、濾液を採取しADVANTEC、No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を測定後、濾紙を525℃で2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。結果を表2に示す。
(比較例2)実施例1と同様な製紙原料を所定量採取、合成例の試作−15〜18を対紙料固形分に対して300ppm添加し、攪拌回転数1300rpmで30秒間攪拌した。その後、TAPPIスタンダード抄紙機(60メッシュワイヤー使用)により坪量60g/mの紙を抄いた。抄紙した湿紙を4.1kgf/cmで5分間、プレス機にてプレス脱水し、回転式ドラムドライヤーで105℃、3分間乾燥後、25℃、RH65%の条件で18時間調湿し、地合い指数及び内部結合強度を測定した。結果を表2に示す。
(表2)
合成例の試作−1〜14を添加した場合、比較合成例の試作−15〜18を添加した場合よりも高い歩留効果を示した。特に試作−15及び試作−16は固有粘度が20dl/g以上と高分子量を有するにも関わらず低下を示した。カチオン化澱粉を含有している中性紙抄造原料に対しては、カチオン化澱粉と試作の両性重合体がイオンコンプレックスを形成し、更に高速条件下では高分子量カチオン性高分子により形成したフロックが経時と共に壊れていくのに対して本発明の高分子量両性高分子では壊れたフロック間の再凝集性により、カチオン性高分子よりも本発明の両性高分子の方の歩留率が高くなったことが確認できた。又、地合い指数は合成例の試作−1〜14の方が試作−15〜16よりも高く地合いが良好であることが確認できた。これは、合成例の試作−1〜14の再凝集性により緻密なフロックを形成した結果であると考えられる。更に合成例の試作−1〜14の方が試作−15〜18よりも高い内部結合強度を示した。これは、カチオン化澱粉の定着率が高まったことによると考えられる。
パルプ原料の配合割合がLBKP:NBKP:コートブローク=65:25:10(対紙料固形分)で、カチオン化澱粉が0.75%(対紙料固形分)添加されている、抄紙前の製紙原料のpH7.5の塗工原紙抄紙マシンで抄速1100m/分、坪量82.5g/mの条件で、スクリーン通過前に固有粘度19.3dl/gのカチオン性油中水型エマルジョンポリマーを260ppm対紙料固形分添加していたが、現行油中水型エマルジョンポリマー使用時のワイヤー総歩留率67.5%、灰分歩留率29.1%であった。これに対して本発明の合成例、試作−10の両性水溶性重合体を、同添加場所に260ppm添加した結果、ワイヤー総歩留率71.0%、灰分歩留率35.3%に向上した。又、歩留率が向上したにも関わらず、カチオン性油中水型エマルジョンポリマーに対して本発明の合成例、試作−10添加時では地合いの低下は認められなかった。

Claims (6)

  1. 澱粉を含有する抄紙前の製紙原料に下記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体を10〜40モル%と下記一般式(3)で表される単量体を8〜30モル%、及び共重合可能な非イオン性水溶性単量体を30〜82モル%を含有する単量体混合物水溶液を重合して製造された両性水溶性重合体を添加することを特徴とする抄紙方法。
    一般式(1)
    R1は水素又はメチル基、R2、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、R4は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、X1は陰イオンをそれぞれ表わす。
    一般式(2)
    R5は水素又はメチル基、R6、R7は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X2は陰イオンをそれぞれ表わす。
    一般式(3)
    R8は水素、メチル基又はカルボキシメチル基、QはSO3、C6H4SO3、CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R9は水素又はCOOY2、Y1あるいはY2は水素又は陽イオンをそれぞれ表わす。
  2. 前記両性水溶性重合体が1規定NaCl水溶液中、25℃で測定した固有粘度が10〜25dl/gであることを特徴とする請求項1に記載の抄紙方法。
  3. 前記両性水溶性重合体が、前記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体と前記一般式(3)で表される単量体、及び共重合可能な非イオン性水溶性単量体を含有する単量体混合物水溶液を、界面活性剤により水に非混和性の炭化水素を連続相、該単量体混合物水溶液を分散相となるよう乳化し、重合した後、転相剤を添加して製造された油中水型エマルジョンであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の抄紙方法。
  4. 前記両性水溶性重合体が、前記一般式(1)及び/又は(2)で表される単量体と前記一般式(3)で表される単量体、及び共重合可能な非イオン性水溶性単量体を含有する単量体混合物水溶液を、塩水溶液中において、該塩水溶液中に溶解可能な高分子分散剤を共存させビニル系単量体或いはビニル系単量体混合物を分散重合して製造された微細粒子の分散液であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の抄紙方法。
  5. 前記油中水型エマルジョンが無機塩を含有することを特徴とする請求項3に記載の抄紙方法。
  6. 前記澱粉がカチオン化澱粉あるいは両性化澱粉の何れか一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の抄紙方法。








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