JP2012172158A - 有効塩素の除去方法及びコバルトの回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩化コバルト溶液から有効塩素を除去する。
【解決手段】有効塩素を含有するpHが3.0以下の塩化コバルト溶液を、コバルトを充填したカラムに通すことによって、有効塩素がコバルトに吸着し、流出液として有効塩素が除去された塩化コバルト溶液を得ることができる。

Description

本発明は、塩化コバルト溶液に含有されている有効塩素をカラムを利用して除去する有効塩素の除去方法、及び不純物を除去する際にこの有効塩素の除去方法を用いることで有効塩素を除去し、コバルトを回収するコバルトの回収方法に関する。
コバルトは、特殊合金や磁性材料として工業的用途に広く使用されている金属である。通常、コバルトは、酸化物や硫化物の形で産出されるが、ニッケル製錬や銅製錬の副産物として産出するものが大半を占めている。このため、コバルトを採取するには、副産物からニッケル、銅等の不純物を分離除去することが不可欠である。
一般に、不純物を除去するには、まず、コバルトを含む原料を塩酸、硫酸等の鉱酸で溶解してコバルト溶液を得る。得られたコバルト溶液には、原料に含まれていた種々の元素が含まれるため、様々な不純物が含有されている。次に、このコバルト溶液中の不純物を除去し、その後、電解採取により金属としてコバルトを回収するのが一般的な方法である。
このように電解採取で得られる金属コバルトは、使用される電解液の組成によって、その純度が定まるため、高純度の金属コバルトを得るためにはコバルト溶液中の不純物を除去しておく必要がある。
例えば、コバルト溶液から不純物のニッケルを除去する場合には、コバルトとニッケルを分離して、ニッケルを除去する。現在ニッケルとコバルトの分離を効率的に行う方法としては、溶媒抽出法が実施されている。塩化浴での溶媒抽出法では、安定なクロロ錯体を形成するコバルトを有機相に抽出してニッケルと分離し、その後、有機相から水などの塩化物イオン濃度の低い水溶液でコバルトを逆抽出する。逆抽出液となる塩化コバルト溶液には、コバルトと抽出挙動が酷似しているマンガン及び亜鉛が含まれている。このため、この逆抽出液の塩化コバルト溶液から不純物のマンガンや亜鉛を取り除く必要がある。
まず、マンガンを次のようにして除去する。マンガンを除去するには、酸化剤として塩素、中和剤として炭酸コバルトを使用した酸化中和法により、塩化コバルト溶液から不純物であるマンガンを除去する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
次に、マンガンを除去した塩化コバルト溶液から亜鉛を除去する。亜鉛を除去するには、強塩基性陰イオン交換樹脂により、塩化コバルト溶液から不純物である亜鉛を除去する方法がある。
しかしながら、この塩化コバルト溶液には、脱マンガン工程で酸化剤として使用した塩素が有効塩素として含まれている。塩素ガスは、水に溶けると、水と反応して次亜塩素酸と塩酸が発生し、更に次亜塩素酸の一部は次亜塩素酸イオンと水素イオンとに解離する。塩素ガス、次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンは、有効塩素と呼ばれ、強い酸化力を持っている。このため、塩化コバルト溶液から亜鉛を除去する際に、有効塩素が強塩基性陰イオン交換樹脂を酸化し、交換基の弱塩基化、交換基の脱落及び樹脂基材の塩素化し、樹脂が劣化してしまう。これにより、強塩基性陰イオン交換樹脂の総イオン交換容量が低下してしまう。したがって、脱亜鉛工程の前に、塩化コバルト溶液から有効塩素を除去する必要がある。
塩化コバルト溶液から有効塩素を除去する方法としては、還元剤を用いて有効塩素を除去する方法がある。しかしながら、塩化コバルト溶液に還元剤を添加した場合には、塩化コバルト溶液の組成が変わってしまうという問題が生じる。還元剤としては、アスコルビン酸、二価スズイオン、二価鉄イオン、ヒドラジンが挙げられる。例えば、アスコルビン酸を使用した場合には、塩化コバルト溶液中の全有機炭素濃度が高くなり、排水処理が困難となる。二価スズイオン及び二価鉄イオンを使用した場合には、これらの金属イオンが残留するため、高純度塩化コバルト溶液を得るには更に脱スズ及び脱鉄工程が必要となる。ヒドラジンを使用した場合は、毒性が問題となる。また、これらの還元剤は、水溶液中での分解が速いため、水溶液での長期保存が不可能であり、一定濃度に管理することが困難である。また、活性炭を用いた場合は、活性炭の購入及び再生にコストがかかってしまう。
したがって、塩化コバルト溶液から有効塩素を除去するにあたって、塩化コバルト溶液の組成に影響がない条件で、上述の還元剤を用いた場合の問題が生じることなく、有効塩素を除去することが求められている。
特開2004−123469号公報
そこで、本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、塩化コバルト溶液の組成に影響のない条件で、塩化コバルト溶液から有効塩素を除去することができる有効塩素の除去方法、及び不純物を除去する際にこの有効塩素の除去方法を用いることで有効塩素を除去し、コバルトを回収するコバルトの回収方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成する本発明に係る有効塩素の除去方法は、有効塩素を含有するpHが3.0以下の塩化コバルト溶液をコバルトを充填したカラムに通すことによって、有効塩素をコバルトに吸着させ、塩化コバルト溶液から有効塩素を除去する。
また、上述した目的を達成する本発明に係るコバルトの回収方法は、ニッケル又は銅の湿式製錬法で生成された不純物を含有する塩化コバルト溶液に塩素を添加して不純物を除去し、コバルトを回収するコバルトの回収方法であり、塩素を有効塩素として含有し、pHが3.0以下の塩化コバルト溶液をコバルトを充填したカラムに通し、有効塩素を除去する。
本発明によれば、有効塩素を含有する塩化コバルト溶液をコバルトを充填したカラムに通すことによって、有効塩素がコバルトに吸着されるため、塩化コバルト溶液から有効塩素を還元剤等を用いずに除去することができる。したがって、本発明では、塩化コバルト溶液の組成が変わることなく、組成に影響のない条件で有効塩素を除去することができる。
また、本発明によれば、ニッケル又は銅を湿式製錬法で生成された不純物を含有する塩化コバルト溶液に塩素を添加して不純物を除去し、コバルトを回収する際に、添加された塩素を有効塩素として含有し、pHが3.0以下の塩化コバルト溶液をコバルトを充填したカラムに通すことによって、有効塩素を除去することができます。これにより、本発明では、副産物からコバルトを回収する際に、有効塩素が不純物を除去する他の工程に影響を与えることを防止できる。
以下、本発明に係る有効塩素の除去方法及びコバルトの回収方法について詳細に説明する。なお、本実施の形態に係る有効塩素の除去方法は、本発明の要旨を変更しない限りにおいて、適宜変更することができる。
有効塩素の除去方法は、塩化コバルト溶液から有効塩素を除去する方法である。この有効塩素の除去方法は、例えばニッケル製錬や銅製錬で生成される副産物のコバルトを電解採取する際に、前処理でニッケルや銅の不純物を除去するときに生成される塩化コバルト溶液から有効塩素を除去するのに用いることができる。
コバルトを電解採取する際には、電解前にコバルトを含む溶液から不純物のニッケルを除去する。ニッケルの除去は、塩化浴で溶媒抽出によりニッケルとコバルトを分離し、逆抽出によりコバルトを抽出することで、溶液からニッケルを除去する。逆抽出液の塩化コバルト溶液には、コバルトと抽出挙動が酷似しているマンガン等が不純物として含まれている。このため、塩化コバルト溶液からマンガンを除去しなければならない。マンガンの除去は、塩化コバルト溶液に酸化剤として塩素を添加し、酸化中和法により行う。このため、酸化剤として添加した塩素により、塩化コバルト溶液には、有効塩素の塩素ガス、次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンが含まれる。この有効塩素は、次の亜鉛を除去する工程において、強塩基性陰イオン交換樹脂に悪影響を及ぼすため、塩化コバルト溶液から除去する必要がある。
そこで、本発明の有効塩素の除去方法を用いることで、塩化コバルト溶液から有効塩素を除去することができる。なお、有効塩素の除去方法は、上述のようなニッケル製錬等の副産物のコバルトを電解採取する前処理で生じる塩化コバルト溶液に限らず、有効塩素を含有するその他の塩化コバルト溶液から有効塩素を除去する場合であっても適用することができる。
具体的に、有効塩素の除去方法は、塩化コバルト溶液をコバルトを充填したカラムに通し、有効塩素をコバルトに吸着させることによって、カラムを通って流出した流出液は有効塩素が除去された塩化コバルト溶液として得ることができる。
カラムに充填する充填剤は、コバルトである。このコバルトとしては、金属コバルト、電解精製や電解採取により得られた電気コバルト、工程に繰返すサイズ不良の電気コバルト等が挙げられる。工程に繰返すサイズ不良の電気コバルトを用いた場合には、従来から有効塩素を除去するために用いられている活性炭を用いる場合よりもコストを削減することができる。この有効塩素の除去方法では、充填剤にコバルトを用いることによって、カラムを通液した塩化コバルト溶液に充填剤が混入してもコバルトであるため、塩化コバルト溶液への影響がない。
充填剤の充填率は、充填するコバルトの有効塩素に対する吸着能を考慮して適宜決定されるが、例えば20%〜80%程度であり、50%程度充填することが好ましい。また、この充填剤の形状は、粒状(顆粒状)、ペレット状(小塊状)、ブロック状、板状等のいずれでもよく、球状とすることにより、表面積を増大させることができ、吸着能を向上させることができる。
カラムに通液させる塩化コバルト溶液は、pHが3.0以下である。塩化コバルト溶液のpHが3.0より大きい場合には、塩素ガスが発生せず、有効塩素は次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンの形態で存在しているため、カラムに充填した充填剤のコバルトと反応し、酸化コバルトを生成し、pH7.0以上では水酸化コバルトを生成する。酸化コバルト及び水酸化コバルトは、塩化コバルト溶液中では不溶性である。このため、酸化コバルト及び水酸化コバルトの生成は、カラムの閉塞を生じさせたり、有効塩素の除去を不完全なものとしてしまう。塩化コバルト溶液のpHが1.8における有効塩素の形態は、約80%が次亜塩素酸、約20%が塩素ガスであるため、有効塩素濃度は時間の経過と共に減少する。これらの理由から、塩化コバルト溶液のpHは、3.0以下とし、1.7以上2.4以下とすることが好ましく、1.8とすることがより好ましい。
塩化コバルト溶液のカラムへの通液速度は、SV=1〜12h−1程度であり、SV=6h−1が好ましい。通液速度(Space Velocity:SV)とは、1時間あたりに、カラムに充填された充填剤の容量に対して、どの程度の量の溶液を通液させたかを示す単位であり、(通液量/充填剤容量/時間)で示される。通液速度が12h−1よりも大きく、速い場合には、有効塩素を除去することは可能であるが、除去が不完全になるおそれがあり、また過大な能力ポンプを使用することとなるため、このポンプを作動させるためのコストがかかってしまう。一方、通液速度が1h−1よりも小さく、遅い場合には、有効塩素の除去に時間がかかるため、除去効率が低下する。したがって、通液速度を1〜12h−1程度とすることが好ましい。
ここで、コバルトを充填したカラムを利用して有効塩素がどの程度除去できるかを次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて行った結果を示す。
次亜塩素酸ナトリウム溶液は、アルカリ性であるため、6N塩酸を用いてpHを1.8に調製した。使用する次亜塩素酸ナトリウム溶液は、pHが1.8であり、有効塩素濃度が7〜9mg/Lの範囲内のもの、34〜53mg/Lの範囲内のものをそれぞれ200mLとなるように複数調製した。厚さ1mmの電気コバルトを5mm角に裁断し、直径15mmのガラスカラムに充填率約50%となるよう充填した。そして、作製した次亜塩素酸ナトリウム溶液を通液速度SV=6h−1で、カラムに通液した。通液して得られた流出液中の有効塩素濃度を30分毎に確認した。
その結果、有効塩素濃度7〜9mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム溶液を2.8L、有効塩素濃度34〜53mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム溶液を1.6L通液すると、いずれの濃度においてもコバルトを充填したカラムに通液することにより、流出液から有効塩素は検出されなかった。即ち、流出液中の有効塩素濃度は、<0.5mg/Lであった。
なお、得られた流出液には、コバルトが含まれていた。これは、有効塩素によって酸化された充填剤のコバルト及び希塩酸によって溶解した充填剤のコバルトが溶出したものと考えられる。流出液中のコバルト濃度を測定した結果、pH1.8の塩酸溶液を0.2L通液すると約40mg/L、有効塩素濃度7〜9mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム溶液を2.8L通液すると約60mg/L、有効塩素濃度34〜53mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム溶液を1.6L通液すると約120mg/Lのコバルトが溶出していることがわかった。また、流出液のpHは、1.8であり、コバルトが充填されたカラムへ通液することによるpHの変化はなく、次亜塩素酸ナトリウム溶液の組成への影響はなかった。
以上のように、有効塩素の除去方法では、有効塩素が含有されている次亜塩素酸ナトリウム溶液をコバルトが充填されたカラムに通液することによって、有効塩素が充填剤のコバルトに吸着されるため、流出液として有効塩素が除去された次亜塩素酸ナトリウム溶液が得られる。
したがって、次亜塩素酸ナトリウム溶液を塩化コバルト溶液に変えた場合であっても、同様に、塩化コバルト溶液をコバルトが充填されたカラムに通液することで、有効塩素が充填剤のコバルトに吸着され、塩化コバルト溶液から有効塩素を除去することができる。このように、有効塩素の除去方法を用いることによって、塩化コバルト溶液に従来用いていた還元剤が添加されないため、塩化コバルト溶液の組成が変わることなく、有効塩素が除去された塩化コバルト溶液を得ることができる。
また、この有効塩素の除去方法では、塩化コバルト溶液のpHを3.0以下とすることによって、酸化コバルト及び水酸化コバルトが生成されず、カラムが閉塞したりせず、また有効塩素の除去が不完全なものとならず、有効塩素を除去することができる。
また、この有効塩素の除去方法では、塩化コバルト溶液の通液速度(SV)を6〜12h−1とすることによって、有効塩素の除去が不完全となることなく、有効塩素を除去することができる。
以上より、この有効塩素の除去方法は、例えばニッケル製錬や銅製錬から生成された副酸物のコバルトを電解採取する際に、不純物を除去する前処理の工程で生成される塩化コバルト溶液から有効塩素を除去するのに有効である。
例えば、ニッケル製錬や銅製錬の副産物には、コバルトのほかにニッケル等の不純物が含まれている。この副産物からコバルトを電解採取するには、不純物を除去する複数の工程を経て前処理された溶液を電解液として用いる。以下に、ニッケル製錬や銅製錬の副産物からニッケル等の不純物を除去する工程について簡単に説明する。
先ず、副産物から不純物のニッケルを除去する。ニッケルを除去する方法としては、コバルト及びニッケル等の不純物を塩酸、硫酸等の鉱酸で溶解したコバルト溶液から塩化浴を用いた溶媒抽出法よりコバルトとニッケルを分離し、コバルトを逆抽出して、ニッケルを除去する。この際、逆抽出液の塩化コバルト溶液には、コバルトのほかに、コバルトと抽出挙動が酷似しているマンガン及び亜鉛が含まれる。そこで、次工程で塩化コバルト溶液からマンガンを除去する。
マンガンを除去する方法は、酸化剤として塩素、中和剤として炭酸コバルトを使用した酸化中和法により、塩化コバルト溶液から不純物であるマンガンを除去する。マンガンを除去した塩化コバルト溶液には、酸化剤として添加した塩素によって有効塩素の塩素ガス、次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンが含有されてしまう。この有効塩素は、次に亜鉛を除去する際に、強塩基性陰イオン交換樹脂に悪影響を及ぼす。なお、マンガンを除去した塩化コバルト溶液のpHは、1.8程度となっている。
そこで、上述した有効塩素の除去方法を用いて、コバルトが充填されたカラムに塩化コバルト溶液を通液することによって、充填剤のコバルトに有効塩素が吸着され、有効塩素を除去することができる。
そして、次に、有効塩素を除去した塩化コバルト溶液を強塩基性陰イオン交換樹脂により亜鉛を除去する際に、塩化コバルト溶液から有効塩素が除去されているため、強塩基性陰イオン交換樹脂を酸化したり、交換基の弱塩基化、交換基の脱落及び樹脂基材の塩素化を防止できる。これにより、強塩基性陰イオン交換樹脂が劣化しないため、塩化コバルト溶液から亜鉛を除去することができる。その他、適宜、ニッケル、マンガン、亜鉛以外の不純物を適切な方法により除去する。
次に、ニッケル、マンガン、亜鉛等の不純物が除去された塩化コバルト溶液を電解液として用い、電解採取することにより、高純度のコバルトを採取することができる。
以上より、ニッケル製錬や銅製錬の副産物からコバルトを電解採取する際に、不純物を除去する前処理において生成された塩化コバルト溶液から有効塩素を除去するにあたって、上述した有効塩素の除去方法を用いることで、塩化コバルト溶液に還元剤を添加することなく有効塩素を除去することができる。したがって、不純物を除去する際に塩化コバルト溶液の組成が還元剤によって変わることなく、また亜鉛を除去する際にイオン交換樹脂に不具合を生じることなく、塩化コバルト溶液から有効塩素を除去することができる。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(サンプル1)
サンプル1では、先ず、有効塩素濃度が1.0mg/L、pHが1.8の塩化コバルト溶液を準備した。また、厚さ1mmの電気コバルトを5mm角に裁断し、直径15mmのガラスカラムに充填率約50%となるよう充填した。作製した塩化コバルト溶液を通液速度SV=6h−1で、カラムに通液した。そして、流出液中の有効塩素濃度をヨウ素滴定法(ヨウ化カリウムを加え、遊離したヨウ素をチオ硫酸ナトリウム溶液により滴定することによって有効塩素濃度を測定する方法)で測定し、pHをpHメーター((株)日伸理化製、デジタルpHコントローラー、NPH−690D)で測定した。
その結果、サンプル1では、表1に示すように、電気コバルトを充填したカラムに通液することにより、流出液から有効塩素は検出されなかった(流出液の有効塩素濃度:<0.5mg/L)。また、流出液のpHは1.8であり、電気コバルトを充填したカラムへの通液によるpH変化は無かった。
(サンプル2)
サンプル2では、サンプル1と同様に、先ず、有効塩素濃度が1.0mg/L、pHが1.8の塩化コバルト溶液を通液速度SV=6h−1で、カラムに通液した。そして、通液時間300分からは、塩化コバルト溶液に次亜塩素酸ナトリウム溶液を有効塩素濃度7.4mg/Lとなるように標準添加し、6N塩酸を用いてpH1.8に調製した溶液をカラムに通液した。そして、サンプル1と同様に、流出液中の有効塩素濃度及びpHを測定した。
その結果、サンプル2では、表1に示すように、コバルトを充填したカラムに通液することにより、流出液から有効塩素は検出されなかった(流出液の有効塩素濃度:<0.5mg/L)。また、流出液のpHは1.8であり、電気コバルトを充填したカラムへの通液によるpH変化は無かった。
(サンプル3〜サンプル41)
サンプル3〜サンプル41では、通液時間300分から、塩化コバルト溶液に次亜塩素酸ナトリウム溶液を有効塩素濃度が表1に示すようになるように標準添加し、6N塩酸を用いて表1に示すpHに調製し、表1に示す通液速度でカラムに通液したこと以外はサンプル2と同様に、試験を行った。
以下の表1に、サンプル1〜サンプル41の結果を示す。
Figure 2012172158
表1に示す結果から、サンプル1〜サンプル39では、流出液の有効塩素濃度が、カラムに通液前の塩化コバルト溶液の有効塩素濃度よりも非常に低くなっていることから、カラムに通液することによって、塩化コバルト溶液から有効塩素が除去されていることがわかる。
また、サンプル1〜サンプル33の結果から、塩化コバルト溶液のpHを1.8とすることによって、塩化コバルト溶液の有効塩素濃度、通液速度に関わらず、有効塩素を適切に除去できることがわかる。
サンプル34〜サンプル39の結果から、塩化コバルト溶液のpHが3.0以下であれば、適切に有効塩素を除去できることがわかる。
一方、サンプル40、41の結果から、塩化コバルト溶液のpHが4.0になると、十分に有効塩素を除去できないことがわかる。
また、ニッケル又は銅を湿式製錬法で生成された副産物から不純物のマンガンを除去し、コバルトを回収するにあたって、マンガンを除去する工程では、操業状況によって有効塩素濃度が変動するおそれがあるが、サンプル1〜サンプル39に示すように、有効塩素濃度が変動しても適切に有効塩素を除去できることがわかる。

Claims (3)

  1. 有効塩素を含有するpHが3.0以下の塩化コバルト溶液をコバルトを充填したカラムに通すことを特徴とする塩化コバルト溶液の有効塩素の除去方法。
  2. 上記塩化コバルト溶液の通液速度は、1〜12h−1であることを特徴とする請求項1項記載の有効塩素の除去方法。
  3. ニッケル又は銅の湿式製錬法で生成された不純物を含有する塩化コバルト溶液に塩素を添加して上記不純物を除去し、コバルトを回収するコバルトの回収方法において、
    上記塩素を有効塩素として含有し、pHが3.0以下の上記塩化コバルト溶液をコバルトを充填したカラムに通し、上記有効塩素を除去することを特徴とするコバルトの回収方法。
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