JP2012171912A - N−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体の製造方法 - Google Patents
N−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】取り扱い容易な原料を用いて、温和な条件で収率良くN−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体を製造する方法を提供する。
【解決手段】特定のβ−ラクタム誘導体に対して、特定のα−ハロカルボン酸ハロゲン化物及び塩基を、系内に添加した塩基の総モル数が、系内に添加したα−ハロカルボン酸ハロゲン化物の総モル数を常に上回るようにして、塩基とα−ハロカルボン酸ハロゲン化物をそれぞれ独立して同時に添加することを特徴とする、下記一般式(III)
【化3】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびX2は、明細書に記載のとおりである。)
で示されるN−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】特定のβ−ラクタム誘導体に対して、特定のα−ハロカルボン酸ハロゲン化物及び塩基を、系内に添加した塩基の総モル数が、系内に添加したα−ハロカルボン酸ハロゲン化物の総モル数を常に上回るようにして、塩基とα−ハロカルボン酸ハロゲン化物をそれぞれ独立して同時に添加することを特徴とする、下記一般式(III)
【化3】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびX2は、明細書に記載のとおりである。)
で示されるN−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、機能性高分子の原料、医薬および農薬などの精密化学品の合成中間体として有用なN−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体の製造方法に関する。
N−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体の製造方法として、β−ラクタム誘導体とα−ハロカルボン酸ハロゲン化物を反応させる方法がある。例えば、β−ラクタム誘導体と2−クロロアセチルクロリドをn−ブチルリチウムの存在下で反応させる方法が知られている(非特許文献1参照)。
また、N−(α−ハロアシル)−γ−ラクタム誘導体やN−(α−ハロアシル)−δ−ラクタム誘導体の製造方法としても、ラクタム誘導体とα−ハロカルボン酸ハロゲン化物を反応させる方法が知られている。例えば、δ−ラクタム誘導体に、ピリジンと2−ブロモプロピオニルブロミドを添加する方法が挙げられる(特許文献1参照)。
アルチブ デア ファルマツィー(Archiv der Pharmazie),319巻、635−641頁(1986年発行)
N−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体を製造するに際し、非特許文献1の方法ではn−ブチルリチウムを用いているが、n−ブチルリチウムは禁水性で取り扱いが難しく、高価であるため、経済的かつ安定的に製造を行うには不利である。また、−78℃の極低温が必要となることや、収率が55%と低いことから、簡便性および経済性に乏しい。
そこで、本発明者らは特許文献1の方法のβ−ラクタム誘導体への適用を検討したが、目的物であるN−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体の収率は低かった(比較例1参照)。
しかして、本発明は、取り扱い容易な原料を用いて、温和な条件で収率良くN−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体を製造する方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは特許文献1の方法のβ−ラクタム誘導体への適用を検討したが、目的物であるN−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体の収率は低かった(比較例1参照)。
しかして、本発明は、取り扱い容易な原料を用いて、温和な条件で収率良くN−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、β−ラクタム誘導体に、塩基とα−ハロカルボン酸ハロゲン化物を、系内に添加した塩基の総モル数が系内に添加したα−ハロカルボン酸ハロゲン化物の総モル数を常に上回るように、それぞれ独立して同時に添加することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
下記一般式(I)
即ち、本発明は、
下記一般式(I)
で示されるβ−ラクタム誘導体(以下、β−ラクタム誘導体(I)と称する)に対して、下記一般式(II)
(式中、R5は水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜6の炭化水素基を表し、X1およびX2は、それぞれ独立してハロゲン原子を表す。)
で示されるα−ハロカルボン酸ハロゲン化物(以下、酸ハロゲン化物(II)と称する)及び塩基を、系内に添加した塩基の総モル数が、系内に添加した酸ハロゲン化物(II)の総モル数を常に上回るようにして、塩基と酸ハロゲン化物(II)をそれぞれ独立して同時に添加することを特徴とする、下記一般式(III)
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびX2は、前記定義のとおりである。)
で表されるN−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体の製造方法である。
上記のN−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体の製造方法において、塩基が含窒素芳香族複素環化合物であることが好ましい。
本発明によれば、取り扱い容易な原料を用いて、温和な条件で、経済的に収率よくN−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体を製造することが可能である。
本発明は、原料であるβ−ラクタム誘導体(I)に、塩基と酸ハロゲン化物(II)を、塩基の添加モル数が酸ハロゲン化物(II)の添加モル数を常に上回るように、それぞれ独立して同時に添加することによる、N−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体の製造方法である。
本発明では、β−ラクタム誘導体(I)を原料として用いる。
R1、R2、R3およびR4がそれぞれ独立して表す炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基などが挙げられる。
R1、R2、R3およびR4がそれぞれ独立して表す炭素数3〜10の環状炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル基などが挙げられる。
R1、R2、R3およびR4がそれぞれ独立して表す炭素数2〜6のアシルオキシ基としては、例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基などが挙げられる。
R1とR2、R3とR4がそれぞれ連結して、各々が結合している炭素原子と共に形成してもよい、任意の位置に酸素原子を有していてもよい環形成原子数3〜10の環としては、例えばシクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、カンファン環、ノルボルナン環、アダマンタン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環などが挙げられる。これらの環は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。
R2とR3が連結して、各々が結合している炭素原子と共に形成していてもよい、任意の位置に酸素原子を有していてもよい環形成原子数4〜10の環としては、例えばシクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環などが挙げられる。これらの環は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。
R1、R2、R3およびR4がそれぞれ独立して表す炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基などが挙げられる。
R1、R2、R3およびR4がそれぞれ独立して表す炭素数3〜10の環状炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル基などが挙げられる。
R1、R2、R3およびR4がそれぞれ独立して表す炭素数2〜6のアシルオキシ基としては、例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基などが挙げられる。
R1とR2、R3とR4がそれぞれ連結して、各々が結合している炭素原子と共に形成してもよい、任意の位置に酸素原子を有していてもよい環形成原子数3〜10の環としては、例えばシクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、カンファン環、ノルボルナン環、アダマンタン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環などが挙げられる。これらの環は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。
R2とR3が連結して、各々が結合している炭素原子と共に形成していてもよい、任意の位置に酸素原子を有していてもよい環形成原子数4〜10の環としては、例えばシクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環などが挙げられる。これらの環は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。
本発明では、酸ハロゲン化物(II)をβ−ラクタム誘導体(I)のN原子を置換する反応試剤として用いる。
R5が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。R5が示す炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基(「各種」は、直鎖状およびあらゆる分岐鎖状を示す。以下同様である。)、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環などの環状アルキル基が挙げられる。入手容易性の観点からは、R5は水素原子、塩素原子またはメチル基が好ましい。
X1およびX2が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
酸ハロゲン化物(II)の使用量は、後述する塩基の使用量を上回らなければよく、経済性および反応収率向上の観点から、β−ラクタム誘導体(I)1モルあたり、1〜10モルが好ましく、1.5〜3モルがより好ましい。
R5が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。R5が示す炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基(「各種」は、直鎖状およびあらゆる分岐鎖状を示す。以下同様である。)、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環などの環状アルキル基が挙げられる。入手容易性の観点からは、R5は水素原子、塩素原子またはメチル基が好ましい。
X1およびX2が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
酸ハロゲン化物(II)の使用量は、後述する塩基の使用量を上回らなければよく、経済性および反応収率向上の観点から、β−ラクタム誘導体(I)1モルあたり、1〜10モルが好ましく、1.5〜3モルがより好ましい。
本発明の方法で用いる塩基は、有機塩基でも無機塩基でもよい。有機塩基としては、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルピロール、N−メチルイミダゾール、キノリンなどの含窒素芳香族複素環化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのトリアルキルアミン;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなどの芳香族アミンが挙げられる。
無機塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
これらの塩基の中でも、β−ラクタム誘導体(I)との相溶性の観点から有機塩基が好ましく、反応収率向上の観点から含窒素芳香族複素環化合物が好ましい。
塩基の使用量は、経済性および反応収率向上の観点から、β−ラクタム誘導体(I)1モルに対して1〜15モルが好ましく、1.5〜5モルがより好ましいが、酸ハロゲン化物(II)の使用量を下回らないことが必要である。また、塩基は予め原料であるβ−ラクタム誘導体(I)を含む系中に一部を添加しておくこともできる。この場合、反応を妨げない範囲であれば添加量に特に制限はないが、反応収率の観点から、β−ラクタム誘導体(I)1モルあたり、0.01〜0.5モルが好ましく、0.1〜0.3モルがより好ましい。
無機塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
これらの塩基の中でも、β−ラクタム誘導体(I)との相溶性の観点から有機塩基が好ましく、反応収率向上の観点から含窒素芳香族複素環化合物が好ましい。
塩基の使用量は、経済性および反応収率向上の観点から、β−ラクタム誘導体(I)1モルに対して1〜15モルが好ましく、1.5〜5モルがより好ましいが、酸ハロゲン化物(II)の使用量を下回らないことが必要である。また、塩基は予め原料であるβ−ラクタム誘導体(I)を含む系中に一部を添加しておくこともできる。この場合、反応を妨げない範囲であれば添加量に特に制限はないが、反応収率の観点から、β−ラクタム誘導体(I)1モルあたり、0.01〜0.5モルが好ましく、0.1〜0.3モルがより好ましい。
(溶媒)
反応は、溶媒の存在下または非存在下に実施することができる。使用できる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない限りその種類に特に制限はなく、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどのエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶媒を使用する場合、その使用量に特に制限はないが、反応効率および製造コストの観点から、β−ラクタム誘導体(I)1質量部あたり0.5〜30質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましい。
反応は、溶媒の存在下または非存在下に実施することができる。使用できる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない限りその種類に特に制限はなく、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどのエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶媒を使用する場合、その使用量に特に制限はないが、反応効率および製造コストの観点から、β−ラクタム誘導体(I)1質量部あたり0.5〜30質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましい。
本発明の方法において、酸ハロゲン化物(II)と塩基の添加量の関係は重要である。
副反応抑制の観点から、系内に添加した塩基の総モル数が、系内に添加した酸ハロゲン化物(II)の総モル数を常に上回るように制御しながら、塩基と酸ハロゲン化物(II)を、それぞれ独立して同時に添加する。系内に添加した塩基の総モル数と、系内に添加した酸ハロゲン化物(II)の総モル数の差は、反応収率の観点から、系内に添加したβ−ラクタム誘導体(I)1モルあたり、常に0.5モル以下とするのが好ましく、0.3モル以下がより好ましい。
副反応抑制の観点から、系内に添加した塩基の総モル数が、系内に添加した酸ハロゲン化物(II)の総モル数を常に上回るように制御しながら、塩基と酸ハロゲン化物(II)を、それぞれ独立して同時に添加する。系内に添加した塩基の総モル数と、系内に添加した酸ハロゲン化物(II)の総モル数の差は、反応収率の観点から、系内に添加したβ−ラクタム誘導体(I)1モルあたり、常に0.5モル以下とするのが好ましく、0.3モル以下がより好ましい。
塩基および酸ハロゲン化物(II)を上記したように制御しながら独立して同時に添加するときの反応温度は、−20℃〜50℃が好ましく、0〜40℃がより好ましい。
添加時間は、1〜50時間が好ましく、経済性の観点から1〜10時間がより好ましい。
添加時間は、1〜50時間が好ましく、経済性の観点から1〜10時間がより好ましい。
塩基および酸ハロゲン化物(II)を添加終了後、反応を追い込む。その際の温度は、0〜50℃が好ましく、10℃〜40℃がより好ましい。追い込み反応の時間は、1〜50時間が好ましく、経済性の観点から1〜20時間がより好ましい。
このようにして得られたN−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体は、有機合成化学の分野において通常行われる単離・精製方法により単離・精製することができる。例えば、反応終了後の反応混合液を減圧下に濃縮し、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどで精製する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。各例における定量分析は、ガスクロマトグラフィー(GC)を下記条件にて行なった。GC定量分析は次の通りである。
検出:水素炎イオン化法
カラム:G−column(G−230、内径1.2mm、長さ20m)
インジェクション/ディテクション温度:250℃
カラム温度:50℃、4分保持→10℃/分で昇温→250℃、8分保持
検出:水素炎イオン化法
カラム:G−column(G−230、内径1.2mm、長さ20m)
インジェクション/ディテクション温度:250℃
カラム温度:50℃、4分保持→10℃/分で昇温→250℃、8分保持
<実施例1>
6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オン20.0g(0.180mol、1.00当量)にトルエン37.2gを加えた。続いて、2−クロロアセチルクロリド37.6g(0.333mol、1.85当量)とピリジン29.6g(0.376mol、2.09当量)を、20〜25℃を保つようにして、それぞれ独立して、6時間かけて同時に添加した。添加にはシリンジポンプを用いて、ピリジンの添加モル数が2−クロロアセチルクロリドの添加モル数を常に上回るように制御した。その後、同温度にて2時間攪拌し反応を追込んだ。反応液をGC定量分析した結果、6−クロロアセチル−6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オンの収率は87.4%(転化率97.7%、選択率89.5%)であった。
6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オン20.0g(0.180mol、1.00当量)にトルエン37.2gを加えた。続いて、2−クロロアセチルクロリド37.6g(0.333mol、1.85当量)とピリジン29.6g(0.376mol、2.09当量)を、20〜25℃を保つようにして、それぞれ独立して、6時間かけて同時に添加した。添加にはシリンジポンプを用いて、ピリジンの添加モル数が2−クロロアセチルクロリドの添加モル数を常に上回るように制御した。その後、同温度にて2時間攪拌し反応を追込んだ。反応液をGC定量分析した結果、6−クロロアセチル−6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オンの収率は87.4%(転化率97.7%、選択率89.5%)であった。
<実施例2>
6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オン350.0g(3.15mol、1.00当量)にトルエン650.0gを加え、20〜23℃でピリジン49.8g(0.63mol、0.20当量)を添加した。続いて、その温度を保ったまま、2−クロロアセチルクロリド657.6g(5.82mol、1.85当量)とピリジン467.8g(5.91mol、1.88当量)を、それぞれ独立して、プランジャーポンプを用いて6時間かけて同時に添加した。添加終了後、同温度で2時間攪拌し反応を追込んだ後、20〜23℃にて水1390.9gを添加した。ヘキサン117.0gを加えた後に分液操作を行い、有機層と水層を得た。水層をトルエン656.6gで再抽出し、先に得られた有機層と合わせた。かかる有機層を、水778.1g、7wt%炭酸ナトリウム水778.1g、水183.5gで順次洗浄した後、減圧下に濃縮することにより溶媒を除去し、粗6−クロロアセチル−6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オンを収率87.3%(転化率97.9%、選択率89.2%)にて得た。
6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オン350.0g(3.15mol、1.00当量)にトルエン650.0gを加え、20〜23℃でピリジン49.8g(0.63mol、0.20当量)を添加した。続いて、その温度を保ったまま、2−クロロアセチルクロリド657.6g(5.82mol、1.85当量)とピリジン467.8g(5.91mol、1.88当量)を、それぞれ独立して、プランジャーポンプを用いて6時間かけて同時に添加した。添加終了後、同温度で2時間攪拌し反応を追込んだ後、20〜23℃にて水1390.9gを添加した。ヘキサン117.0gを加えた後に分液操作を行い、有機層と水層を得た。水層をトルエン656.6gで再抽出し、先に得られた有機層と合わせた。かかる有機層を、水778.1g、7wt%炭酸ナトリウム水778.1g、水183.5gで順次洗浄した後、減圧下に濃縮することにより溶媒を除去し、粗6−クロロアセチル−6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オンを収率87.3%(転化率97.9%、選択率89.2%)にて得た。
<比較例1>
6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オン2.0g(18.0mmol、1.0当量)に塩化メチレン6.0gを加えた。氷浴下、2−クロロアセチルクロリド2.6g(23.4mmol、1.3当量)とピリジン1.7g(21.6mmol、1.2当量)を、0〜5℃を保つようにして、それぞれ独立して、シリンジポンプを用いて1時間かけて同時に滴下した。その後20℃にて4時間攪拌した。反応液をGC定量分析した結果、6−クロロアセチル−6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オンの収率は56.8%(転化率95.7%、選択率58.7%)であった。
6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オン2.0g(18.0mmol、1.0当量)に塩化メチレン6.0gを加えた。氷浴下、2−クロロアセチルクロリド2.6g(23.4mmol、1.3当量)とピリジン1.7g(21.6mmol、1.2当量)を、0〜5℃を保つようにして、それぞれ独立して、シリンジポンプを用いて1時間かけて同時に滴下した。その後20℃にて4時間攪拌した。反応液をGC定量分析した結果、6−クロロアセチル−6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オンの収率は56.8%(転化率95.7%、選択率58.7%)であった。
<比較例2>
6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オン2.0g(18.0mmol、1.0当量)にトルエン8.0gを加え、氷浴下にてピリジン1.7g(21.6mmol、1.2当量)、続いて2−クロロアセチルクロリド2.2g(19.8mmol、1.10当量)をそれぞれ一括添加した。氷浴下で5時間攪拌したところ、転化率は76%であった。そこで、ピリジン0.78g(9.9mmol、0.55当量)、続いて2−クロロアセチルクロリド0.58g(5.1mmol、0.28当量)をそれぞれ一括して追加添加した。氷浴下で2時間攪拌した後、17℃まで昇温し、同温度にて3時間攪拌した。反応液をGC定量分析した結果、6−クロロアセチル−6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オンの収率は36.9%(転化率87.7%、選択率42.1%)であった。
6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オン2.0g(18.0mmol、1.0当量)にトルエン8.0gを加え、氷浴下にてピリジン1.7g(21.6mmol、1.2当量)、続いて2−クロロアセチルクロリド2.2g(19.8mmol、1.10当量)をそれぞれ一括添加した。氷浴下で5時間攪拌したところ、転化率は76%であった。そこで、ピリジン0.78g(9.9mmol、0.55当量)、続いて2−クロロアセチルクロリド0.58g(5.1mmol、0.28当量)をそれぞれ一括して追加添加した。氷浴下で2時間攪拌した後、17℃まで昇温し、同温度にて3時間攪拌した。反応液をGC定量分析した結果、6−クロロアセチル−6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オンの収率は36.9%(転化率87.7%、選択率42.1%)であった。
<比較例3>
6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オン2.0g(18.0mmol、1.0当量)に、トルエン8.0g、ピリジン2.00g(25.4mmol、1.41当量)を加えた。続いて、2−クロロアセチルクロリド2.36g(20.9mmol、1.16当量)を、20〜22℃にてシリンジポンプを用いて2時間かけて添加した。その後同温度にて4時間攪拌した。反応液をGC定量分析した結果、6−クロロアセチル−6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オンの収率は38.1%(転化率60.2%、選択率63.3%)であった。
6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オン2.0g(18.0mmol、1.0当量)に、トルエン8.0g、ピリジン2.00g(25.4mmol、1.41当量)を加えた。続いて、2−クロロアセチルクロリド2.36g(20.9mmol、1.16当量)を、20〜22℃にてシリンジポンプを用いて2時間かけて添加した。その後同温度にて4時間攪拌した。反応液をGC定量分析した結果、6−クロロアセチル−6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オンの収率は38.1%(転化率60.2%、選択率63.3%)であった。
<比較例4>
6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オン2.0g(18.0mmol、1.0当量)に、トルエン8.0gを加えた。続いて、21〜23℃にて2−クロロアセチルクロリド2.37g(20.9mmol、1.16当量)を添加した。そこへ、同温度を保ちながら、ピリジン2.00g(25.4mmol、1.41当量)を、シリンジポンプを用いて2時間かけて添加した。その後同温度にて1時間攪拌した。反応液をGC定量分析した結果、6−クロロアセチル−6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オンの収率は18.9%(転化率100%、選択率18.9%)であった。
6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オン2.0g(18.0mmol、1.0当量)に、トルエン8.0gを加えた。続いて、21〜23℃にて2−クロロアセチルクロリド2.37g(20.9mmol、1.16当量)を添加した。そこへ、同温度を保ちながら、ピリジン2.00g(25.4mmol、1.41当量)を、シリンジポンプを用いて2時間かけて添加した。その後同温度にて1時間攪拌した。反応液をGC定量分析した結果、6−クロロアセチル−6−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オンの収率は18.9%(転化率100%、選択率18.9%)であった。
本発明の方法により得られるN−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体は、機能性高分子の原料、医薬および農薬などの精密化学品の合成中間体として有用である。
Claims (2)
- 下記一般式(I)
で示されるβ−ラクタム誘導体に対して、下記一般式(II)
(式中、R5は水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜6の炭化水素基を表し、X1およびX2は、それぞれ独立してハロゲン原子を表す。)
で示されるα−ハロカルボン酸ハロゲン化物及び塩基を、系内に添加した塩基の総モル数が、系内に添加したα−ハロカルボン酸ハロゲン化物の総モル数を常に上回るようにして、塩基とα−ハロカルボン酸ハロゲン化物をそれぞれ独立して同時に添加することを特徴とする、下記一般式(III)
(R1、R2、R3、R4、R5およびX2は、前記定義のとおりである。)
で示されるN−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体の製造方法。 - 前記塩基が、含窒素芳香族複素環化合物である、請求項1に記載のN−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2011035364A JP2012171912A (ja) | 2011-02-22 | 2011-02-22 | N−(α−ハロアシル)−β−ラクタム誘導体の製造方法 |
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Publications (1)
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2011
- 2011-02-22 JP JP2011035364A patent/JP2012171912A/ja not_active Withdrawn
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