JP2012171171A - ハードコートフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 透明性を損なうことなく、耐擦傷性、耐摩耗性に優れた硬質表面を有するとともに、可撓性に優れたハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】 基材となるプラスチックフィルムに、硬化性樹脂を主成分としキトサンナノファイバーを含有するハードコート層を形成したことを特徴とするハードコートフィルムであり、これにより、ハードコート層の樹脂中にキトサンナノファイバーを含有しているので、透明性が損なわれることなく優れた透明性を有するとともに、フィルムを撓ませた時でもハードコート層のクラックが生じにくく可撓性に優れ、耐擦傷性、耐摩耗性に優れたハードコートフィルムとなる。
【選択図】 なし
【解決手段】 基材となるプラスチックフィルムに、硬化性樹脂を主成分としキトサンナノファイバーを含有するハードコート層を形成したことを特徴とするハードコートフィルムであり、これにより、ハードコート層の樹脂中にキトサンナノファイバーを含有しているので、透明性が損なわれることなく優れた透明性を有するとともに、フィルムを撓ませた時でもハードコート層のクラックが生じにくく可撓性に優れ、耐擦傷性、耐摩耗性に優れたハードコートフィルムとなる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、画像表示装置等の保護膜として用いられるハードコートフィルムに関する。
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の画像表示装置における画像表示面は、使用時に傷がつかないように、耐擦傷性を付与することが要求される。そのため、基材フィルムにハードコート層を形成したハードコートフィルムを適用することにより、画像表示装置の画像表示面の耐擦傷性を向上させている。
基材フィルムにハードコート層を形成する方法としては、基材フィルム上に、熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂等の光重合性樹脂を用いてより硬い樹脂の塗膜を形成する方法など、種々の方法が提案されている。例えば、特許文献1に開示されているように、基材フィルム上に、ポリシラザンを塗布しセラミックス化して酸化ケイ素膜の表面層を形成する方法や、特許文献2に開示されているように、紫外線硬化性樹脂等の樹脂にコロイダルシリカ等の微粒子をフィラーとして含有させて、より硬い塗膜のハードコート層を形成する方法が、提案されている。
しかしながら、特許文献1に開示のものは、セラミックス化した酸化ケイ素膜そのものは十分な硬度を有するが、その酸化ケイ素膜の厚みが薄いと、十分な鉛筆硬度が得られない。また、硬度を向上させる方法として、酸化ケイ素膜の厚みを単純に増加させることが考えられる。しかし、酸化ケイ素膜の厚みを増加させると硬度は向上するものの、酸化ケイ素膜のクラックや剥離が生じやすくなるという問題や、フィルムの可撓性が損なわれ、フィルムを撓ませた時には、酸化ケイ素膜のクラックや剥離が発生するという課題があった。また、特許文献2に開示されているような、樹脂中にコロイダルシリカ等の微粒子をフィラーとして含有させて、より硬い塗膜のハードコート層を形成する方法は、含有するフィラーによりハードコート層の透明性が低下し、光学フィルム用途のハードコートフィルムとして透明性が損なわれるという課題があった。
本発明は、上記課題を解決するもので、透明性を損なうことなく、耐擦傷性、耐摩耗性に優れた硬質表面を有するとともに、フィルムを撓ませた時でもクラックが生じにくく、可撓性に優れたハードコートフィルムを提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明のハードコートフィルムは、基材となるプラスチックフィルムに、硬化性樹脂を主成分としキトサンナノファイバーを含有するハードコート層を形成したことを特徴とする。
そして、特に、本発明のハードコートフィルムは、キトサンナノファイバーの含有量が、ハードコート層の0.001〜30重量%であることを特徴とする。また、キトサンナノファイバーは、平均繊維径が4〜50nmであり、平均繊維長が100nm以上であることを特徴とする。
本発明のハードコートフィルムによれば、ハードコート層の樹脂中にキトサンナノファイバーを含有しているので、透明性が損なわれることなく優れた透明性を有するとともに、フィルムを撓ませた時でもハードコート層のクラックが生じにくく可撓性に優れ、十分な鉛筆硬度を有する、耐擦傷性、耐摩耗性に優れたハードコートフィルムとなる。
本発明のハードコートフィルムについて、以下に詳細に説明する。本発明のハードコートフィルムは、基材となるプラスチックフィルムに、硬化性樹脂を主成分としキトサンナノファイバーを含有するハードコート層を形成した構成としたものである。
本発明で用いられるプラスチックフィルムの材質は、透明性または透光性を有するものであれば特に限定されず、各種プラスチックフィルムを用いることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のプラスチックフィルムを用いることができ、これらの中でも、安価でかつ強度に優れ、透明性と柔軟性とを兼ね備えている等の観点から、PETフィルムまたはPENフィルムが好ましく、より高品質が求められる用途には、耐熱性ほか諸特性に優れているPENフィルムが特に好ましい。また、プラスチックフィルムの厚さは、25〜200μmが好ましい。
本発明のハードコートフィルムにおけるハードコート層は、硬化性樹脂を主成分とし、フィラーとしてキトサンナノファイバーを含有する塗料を、基材となるプラスチックフィルムに塗布し硬化して形成する。なお、塗料のフィルムへの塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法などを用いることができる。また、ハードコート層の膜厚としては、平均膜厚0.1〜20μmが好ましく、このために、塗料の塗布量は、ウェット膜厚として0.5〜40μmが適当である。
まず、本発明のハードコートフィルムにおけるハードコート層の形成に用いられる塗料の主成分である硬化性樹脂について、具体的に説明する。ハードコート層の形成に用いられる主成分の硬化性樹脂としては、紫外線や電子線のような活性エネルギー線照射により架橋反応等を経て硬化する活性線硬化樹脂、または熱硬化性樹脂が好ましい。特に、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化性樹脂が好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
また、紫外線硬化性樹脂を用いる際には光重合開始剤を用いることが好ましく、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノンやその誘導体、ベンジルジメチルケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、ヒドロキシケトン類、アミノアルキルフェノン類などが挙げられる。具体的には、市販品として、イルガキュア−184、イルガキュア−651(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、ダロキュア−1173(メルク社製、商品名)などの光重合開始剤を用いることができる。
紫外線硬化性樹脂を光重合させる紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
次に、本発明のハードコートフィルムにおけるハードコート層の形成に用いられるキトサンナノファイバーについて、具体的に説明する。
本発明に係るキトサンナノファイバーとは、セルロースと類似したD−グルコサミンが直鎖状に連なった多糖体の化学構造を有するキチン質をナノレベルの繊維径になるように解繊したナノファイバーをいう。このキトサンナノファイバーは、繊維径が可視光の波長(400から800nm)より小さく、光学的に透明であり、かつ繊維長方向に強度をもつアスペクト比の非常に高い添加材料である。
本発明に係るキトサンナノファイバーは、蟹や海老など甲殻類の殻に含まれる炭酸カルシウム、たんぱく質、脂質や色素を取り除き、アルファー型結晶のキチン質を得て、このキチン質をアルカリ水溶液中で加水分解により、脱アセチル化したのち、酢酸を添加し、グラインダーを用いて繊維の微細化を行うことによって作製することができる。すなわち、酸性条件下ではカチオン化され、電荷による反発により、強固な凝集をともなうことなく、繊維径50nm以下、条件によっては繊維径20nm以下に解繊することができる。なお、キトサンナノファイバーについて、脱アセチル化において一部加水分解されず、主としたD−グルコサミンの連なった化学構造にN−アセチル−D−グルコサミンが残る場合もある。
本発明のハードコート層の形成に用いられるキトサンナノファイバーは、平均繊維径が4〜50nmの範囲であるものが好ましい。平均繊維径が4nm未満では、繊維長も短く粉末状になってしまいファイバー状ではないため、これを添加してハードコート層に含有させても効果が少ない。一方、平均繊維径が50nmを超えると、可視光の波長の1/4または1/2に近づくため、光の散乱に影響し透明性を保つことが難しく、透明にするためには、色素分子の完全除去やプラスチックフィルムと厳密に屈折率をあわせる必要が生じるため、好ましくない。
本発明のハードコート層の形成に用いられるキトサンナノファイバーは、平均繊維長が100nm以上であるものが好ましい。平均繊維長が100nm未満では、ハードコート層に含有させても、可撓性を向上させる効果が、著しく低下するため好ましくない。
本発明のハードコート層におけるキトサンナノファイバーの含有量は、主成分である硬化性樹脂の量に対して0.001〜30重量%であることが好ましい。含有量が0.001重量%未満では、補強繊維としての量がすくなすぎるため、ハードコート層の全面についてクラックの発生を抑制することができない。また、含有量が30重量%を超えると、ハードコート層を塗工し、乾燥させる際に、キトサンナノファイバーの凝集がおこりやすくなり、塗工が困難になるばかりか、透明性を保つことが難しくなるため好ましくない。
さらに、本発明のハードコートフィルムにおけるハードコート層の形成に用いられる塗料には 透明性および可撓性を損なわない範囲で、耐擦傷性、耐摩耗性、滑り性を調整するために無機化合物または有機化合物の微粒子を含んでもよい。また、キトサンナノファイバーのほかに、キチンナノファイバーを含んでもよい。
ハードコート層に使用される無機微粒子としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。特に、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が好ましく用いられる。
また、有機粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等の紫外線硬化性樹脂組成物に加えることができる。
これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.01〜5μmであることが好ましい。また、粒径の異なる2種以上の微粒子を含有することが好ましい。ハードコート層の微粒子の割合は、硬化性樹脂に対して0.1〜10重量%となるように配合することが望ましい。
以下に、本発明のハードコートフィルムについて、実施例に基づき詳細に説明する。ただし、本発明は実施例に限定されるものではない。
まず、基材となるプラスチックフィルムとして、厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製)を準備した。
〈実施例1〉
また、実施例1のハードコートフィルムのハードコート層の形成に用いる実施例1の塗料を準備した。この実施例1の塗料は、以下のような配合組成とした。ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、6官能アクルレートモノマー)50重量部、2官能ウレタンアクリレート40重量部、α−ヒドロキシアルキルフェノン系の光重合開始剤3重量部、および、平均繊維径20nmで平均繊維長800nmのキトサンナノファイバー3重量部、溶剤としてトルエン100重量部を配合した組成とした。なお、キトサンナノファイバーは、10%濃度の酢酸にキトサンナノファイバー固形分30重量%を分散した分散液の形で10重量部加えた。この実施例1の塗料のキトサンナノファイバーの含有量は、主成分である硬化性樹脂の量に対して3.3重量%(90分の3)である。
また、実施例1のハードコートフィルムのハードコート層の形成に用いる実施例1の塗料を準備した。この実施例1の塗料は、以下のような配合組成とした。ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、6官能アクルレートモノマー)50重量部、2官能ウレタンアクリレート40重量部、α−ヒドロキシアルキルフェノン系の光重合開始剤3重量部、および、平均繊維径20nmで平均繊維長800nmのキトサンナノファイバー3重量部、溶剤としてトルエン100重量部を配合した組成とした。なお、キトサンナノファイバーは、10%濃度の酢酸にキトサンナノファイバー固形分30重量%を分散した分散液の形で10重量部加えた。この実施例1の塗料のキトサンナノファイバーの含有量は、主成分である硬化性樹脂の量に対して3.3重量%(90分の3)である。
この実施例1の塗料を用い、上記の厚さ175μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、マイヤーバーにより硬化後の厚さが3.5μmとなるように実施例1の塗料を塗布し、溶剤乾燥後、高圧水銀灯により紫外線を300mJ/cm2照射して硬化し、本発明の実施例1のハードコートフィルムを作製した。
〈実施例2〉
上記の実施例1の塗料におけるキトサンナノファイバーの含有量のみを代え、キトサンナノファイバーの含有量を、主成分である硬化性樹脂の量に対して0.001重量%として、実施例2の塗料を準備した。この実施例2の塗料を用い、上記実施例1と同一の条件で塗布、乾燥、硬化して、実施例2のハードコートフィルムを作製した。
上記の実施例1の塗料におけるキトサンナノファイバーの含有量のみを代え、キトサンナノファイバーの含有量を、主成分である硬化性樹脂の量に対して0.001重量%として、実施例2の塗料を準備した。この実施例2の塗料を用い、上記実施例1と同一の条件で塗布、乾燥、硬化して、実施例2のハードコートフィルムを作製した。
〈実施例3〉
上記の実施例1の塗料におけるキトサンナノファイバーの含有量のみを代え、キトサンナノファイバーの含有量を、主成分である硬化性樹脂の量に対して30重量%として、実施例3の塗料を準備した。この実施例3の塗料を用い、上記実施例1と同一の条件で塗布、乾燥、硬化して、実施例3のハードコートフィルムを作製した。
上記の実施例1の塗料におけるキトサンナノファイバーの含有量のみを代え、キトサンナノファイバーの含有量を、主成分である硬化性樹脂の量に対して30重量%として、実施例3の塗料を準備した。この実施例3の塗料を用い、上記実施例1と同一の条件で塗布、乾燥、硬化して、実施例3のハードコートフィルムを作製した。
〈比較例1〉
また、比較のために、比較例1のハードコートフィルムを作製した。比較例1のハードコートフィルムが実施例1のハードコートフィルムと異なる点は、ハードコート層の形成に用いた塗料である。比較例1の塗料は、上記の実施例1の塗料におけるキトサンナノファイバーに代えて、平均粒径20nmのコロイダルシリカ3重量部を加えて、準備した。この比較例1の塗料を用い、上記実施例1と同一の条件で塗布、乾燥、硬化して、比較例1のハードコートフィルムを作製した。
また、比較のために、比較例1のハードコートフィルムを作製した。比較例1のハードコートフィルムが実施例1のハードコートフィルムと異なる点は、ハードコート層の形成に用いた塗料である。比較例1の塗料は、上記の実施例1の塗料におけるキトサンナノファイバーに代えて、平均粒径20nmのコロイダルシリカ3重量部を加えて、準備した。この比較例1の塗料を用い、上記実施例1と同一の条件で塗布、乾燥、硬化して、比較例1のハードコートフィルムを作製した。
〈比較例2〉
さらにまた、比較のために、比較例2のハードコートフィルムを作製した。比較例2のハードコートフィルムが実施例1のハードコートフィルムと異なる点も、ハードコート層の形成に用いた塗料である。比較例2の塗料は、上記の実施例1の塗料におけるキトサンナノファイバーに代えて、平均繊維径20nmで平均繊維長800nmのセルロースナノファイバー(針葉樹クラフトパルプを高圧ホモジナイザーで粉砕処理したのち、グラインダーで解繊し、その縣濁液を乾燥後、メチレンクロライドに投入し、高圧ホモジナイザーで再度粉砕し、ビーズ分散器で分散し、メチレンクロライド液に50重量%分散したセルロースナノファイバーの分散液を得た。)3重量部を加えて、準備した。この比較例2の塗料を用い、上記実施例1と同一の条件で塗布、乾燥、硬化して、比較例2のハードコートフィルムを作製した。
さらにまた、比較のために、比較例2のハードコートフィルムを作製した。比較例2のハードコートフィルムが実施例1のハードコートフィルムと異なる点も、ハードコート層の形成に用いた塗料である。比較例2の塗料は、上記の実施例1の塗料におけるキトサンナノファイバーに代えて、平均繊維径20nmで平均繊維長800nmのセルロースナノファイバー(針葉樹クラフトパルプを高圧ホモジナイザーで粉砕処理したのち、グラインダーで解繊し、その縣濁液を乾燥後、メチレンクロライドに投入し、高圧ホモジナイザーで再度粉砕し、ビーズ分散器で分散し、メチレンクロライド液に50重量%分散したセルロースナノファイバーの分散液を得た。)3重量部を加えて、準備した。この比較例2の塗料を用い、上記実施例1と同一の条件で塗布、乾燥、硬化して、比較例2のハードコートフィルムを作製した。
以上により得られた実施例1〜3、比較例1および比較例2の5種のハードコートフィルムについて、全光線透過率(%)、ヘーズ値(%)、鉛筆硬度、および可撓性を評価した。これらの評価結果を、(表1)に示す。なお、それぞれの評価は、次のようにして行った。
全光線透過率の評価は、JIS K7361に準じて行い、日本電色工業(株)製ヘーズメーターNDH4000を用い測定した。ヘーズ値の評価は、JIS K7136に準じて行い、日本電色工業(株)製ヘーズメーターNDH4000を用い測定した。
鉛筆硬度の評価は、JIS K5600−5−4に準じて行い、各種硬度の鉛筆を45゜の角度で試料の表面にあて、荷重をかけて引っ掻き試験を行い、傷がつかない最も硬い鉛筆の硬さを鉛筆硬度とした。
また、可撓性の評価は、JIS K5600−5−1に準じて円筒形マンドレルを用いて行った。マンドレルとしては、4、8、12、16および20mm径のものを用い、折り曲げ後にハードコート層のクラックが発生の有無を観察し、4mm径でもクラック発生のないものを5級、8mm径でクラック発生のないものを4級、12mm径でクラック発生のないものを3級、16mm径でクラック発生のないものを2級、20mm径で漸くクラック発生しないものを1級とした。
(表1)の評価結果に示したように、キトサンナノファイバーを含有するハードコート層を形成した本発明の実施例1〜3のハードコートフィルムは、いずれも、全光線透過率が大きくヘーズ値が小さく透明性に優れており、また、鉛筆硬度が硬く耐擦傷性、耐摩耗性に優れ、フィルムを撓ませた時でもハードコート層のクラックが生じにくく可撓性に優れたものであった。したがって、画像表示装置等の保護膜として用いられるハードコートフィルムとしての実用性に優れていることが確認できた。
一方、キトサンナノファイバーに代えて、コロイダルシリカを含有するハードコート層を形成した比較例1のハードコートフィルムは、フィルムを撓ませた時にハードコート層のクラックが発生しやすく、可撓性に劣っていた。また、キトサンナノファイバーに代えて、セルロースナノファイバーを含有するハードコート層を形成した比較例2のハードコートフィルムは、実施例1〜3に比較して、特に全光線透過率が小さくヘーズ値が大きく透明性に劣り、また、鉛筆硬度および可撓性に劣っていた。
以上説明したように、本発明のハードコートフィルムは、基材となるプラスチックフィルムに、硬化性樹脂を主成分としキトサンナノファイバーを含有するハードコート層を形成した構成としたものである。そして、本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層の樹脂中にキトサンナノファイバーを含有しているので、透明性が損なわれることなく優れた透明性を有するとともに、フィルムを撓ませた時でもハードコート層のクラックが生じにくく可撓性に優れ、十分な鉛筆硬度を有する、耐擦傷性、耐摩耗性に優れたハードコートフィルムとなる。したがって、画像表示装置等の保護膜として用いられるハードコートフィルムとして実用的に優れたものとなる。
本発明に係るハードコートフィルムは、優れた透明性を有するとともに、可撓性に優れ、十分な鉛筆硬度を有する、耐擦傷性、耐摩耗性に優れたハードコートフィルムであるので、画像表示装置等の保護膜として使用される光学フィルムとして、特に有用である。
Claims (4)
- 基材となるプラスチックフィルムに、硬化性樹脂を主成分としキトサンナノファイバーを含有するハードコート層を形成したことを特徴とするハードコートフィルム。
- キトサンナノファイバーの含有量が、硬化性樹脂に対して0.001〜30重量%であることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
- キトサンナノファイバーは、平均繊維径が4〜50nmであり、平均繊維長が100nm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハードコートフィルム。
- ハードコート層は、キトサンナノファイバーのほかに他の微粒子を含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
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