JP2020203978A - 蓄熱塗料およびこれを用いた蓄熱性塗膜 - Google Patents

蓄熱塗料およびこれを用いた蓄熱性塗膜 Download PDF

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Abstract

【課題】潜熱蓄熱材を含む蓄熱性塗料は、潜熱蓄熱材の滲み出しによる塗膜機能の低下や外観の劣化が生じる。そのため、潜熱蓄熱材を含まない蓄熱塗料を提供する。【解決手段】樹脂成分、蓄熱機能を有する生物由来ナノファイバー、塗膜形成性に優れる膨潤性層状無機化合物、熱伝導を抑える断熱性中空構造フィラーを塗膜形成成分とすることで、潜熱蓄熱材を含まない蓄熱塗料を提供できる。【選択図】なし

Description

本発明は、蓄熱機能を備える塗料およびそれを用いた蓄熱性塗膜に関し、特にアスペクト比の高い生物由来ナノファイバーを構成成分とすることで、塗膜割れが起こりにくい塗膜形成に優れる蓄熱機能を備える塗料およびこれを用いた蓄熱性塗膜に関する。
近年、生活環境における快適性が問われる中、住宅市場における省エネや快適・健康に対するニーズは年々高まっており、建築材料、内装材、塗料には、外気温等の温度変化に対して温度調節機能を有する潜熱蓄熱材を含有する材料が提案されている(特許文献1)。
潜熱蓄熱材は、固体−液体間での相転移時の温度特性を利用した材料であるため、融点以上の温度では液状化する。このため、潜熱蓄熱材を含有する蓄熱性塗料では、潜熱蓄熱材をマイクロカプセルに包摂した蓄熱性塗料が開示されている(特許文献2)。また、潜熱蓄熱材層を内層とした蓄熱積層体も開示されている(特許文献3)。さらに、熱可塑性エラストマーを加えることで、潜熱蓄熱材の滲み出しを抑制した蓄熱性シート材が開示されている(特許文献4)。
一方で、環境への配慮、資源枯渇の恐れが少ないことからセルロース、キチン等の生物由来材料(バイオマス)からセルロースナノファイバー(CNF)、キチンナノファイバー(ChNF)を得て、これらを利用することについても盛んに研究がなされている。
生物由来材料(バイオマス)は、水との親和性に優れるため分散溶液を容易に作製できて、皮膜形成性が高い。また、生物由来材料(バイオマス)は、アスペクト比が高いため繊維が折り重なって形成される網目構造にナノレベルの空隙を無数に存在するという特徴がある。さらには、建築材料において、木材(杉、ひのき)は、ガラス、漆喰、石膏等の無機材料に比べて熱伝導率が低くいことが知られている。
しかしながら、セルロースナノファイバー(CNF)、キチンナノファイバー(ChNF)を、蓄熱機能を有する成分とした蓄熱性塗料は、開示されていない。
特開2004−331822号公報 特開2006−045347号公報 特開2018−114728号公報 WO2017−010410号公報
潜熱蓄熱材を含む蓄熱性塗料は、潜熱蓄熱材の相転移時の温度特性を蓄熱性付与に採用しているため、潜熱蓄熱材のマイクロカプセルへの包摂、熱可塑性エラストマーの添加によっても、潜熱蓄熱材の滲み出しを完全に抑制することはできない。このため、塗膜の軟化により、塗膜の密着性が低下し、塗膜が脆弱となり、塗膜機能と外観が損なわれるという課題がある。
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、環境への配慮、資源枯渇の恐れが少ないセルロース、キチン等の生物由来材料(バイオマス)から得られる生物由来ナノファイバー、具体的には、セルロースナノファイバー(CNF)、キチンナノファイバー(ChNF)が蓄熱特性に優れることを見出した。
そして、熱伝導を抑える機能を有する公知成分に、生物由来ナノファイバーを配合することで、塗膜密着性に優れ、かつ塗膜強度が高く塗膜のひび割れが生じにくい、蓄熱機能を有する塗料を提案することができ、上記課題を解決することができた。
具体的には、以下の態様により解決できる。
(態様1) 樹脂成分、生物由来ナノファイバーを塗膜形成成分とする蓄熱機能を有する蓄熱塗料である。
生物由来ナノファイバーは、水との親和性が高いため水分散性に優れ、水分散型樹脂に配合して塗膜形成性に優れる塗料を作製することができる。また、生物由来ナノファイバーは、アスペクト比が高いため繊維が折り重なって形成される網目構造にナノレベルの空隙を無数に存在するという特徴がある。さらに、生物由来ナノファイバーであるセルロースナノファイバー(CNF)、キチンナノファイバー(CNF)は、その熱伝導率(W/m・k)が、CNFで0.128、ChNFで、0.107、0.109と優れた断熱特性を示すことから、ナノレベルの空隙に生成された蓄熱を保持する役割を果たすからである。
(態様2) 樹脂成分、膨潤性層状無機化合物と生物由来ナノファイバーを塗膜形成成分とする蓄熱機能を有する蓄熱塗料である。
膨潤性層状無機化合物は、溶媒(特に、水)で膨潤させることで、水との親和性が高い生物由来ナノファイバーと嵌入構造を形成することができ、塗膜強度と可撓性を向上できるからである。また、上述した生物由来ナノファイバーによる網目構造由来のナノレベルの空隙に生成された蓄熱を保持する役割を果たすからである。さらに、塗膜密着性に優れ、かつ塗膜強度が高い塗膜を形成できるからである。
(態様3) 樹脂成分、膨潤性層状無機化合物と生物由来ナノファイバーと断熱性中空構造フィラーを塗膜形成成分とする蓄熱機能を有する蓄熱塗料である。
熱伝導を抑える機能を有する成分である断熱性中空構造フィラーを加えることで、生物由来ナノファイバーによる蓄熱保持機能を高めることができるからである。
(態様4) (態様1)から(態様3)のいずれかに記載した蓄熱塗料により形成された蓄熱性塗膜である。建築物の外装、外装に形成された蓄熱性塗膜は、外気温等の温度変化に対して温度調節機能を有する潜熱蓄熱材として、生活環境における快適性が問われる住宅市場における省エネや快適・健康に対するニーズに寄与するからである。
樹脂成分、蓄熱機能を有する生物由来ナノファイバー、塗膜形成性に優れる膨潤性層状無機化合物、熱伝導を抑える断熱性中空構造フィラーを塗膜形成成分とすることで、潜熱蓄熱材を含まない蓄熱塗料を提供でき、潜熱蓄熱材を含む蓄熱性塗料の課題である潜熱蓄熱材の滲み出しを完全に抑制できる。これにより、塗膜の軟化により、塗膜の密着性が低下し、塗膜が脆弱となり、塗膜機能と外観が損なわれるという課題も解決できる。
本発明を実施するための態様を以下に説明する。ただし、記載した実施態様に限定されるものではない。
本発明の第1の実施態様は、樹脂成分、生物由来ナノファイバーを塗膜形成成分とする蓄熱機能を有する蓄熱塗料である。樹脂成分、生物由来ナノファイバーについて、以下に説明する。
1.樹脂成分
本発明の蓄熱塗料は、水系エマルジョン塗料である。近年、大気中への揮発性有機化合物の放出などによる環境問題を回避するために、水溶性樹脂、エマルジョンなどの水分散型樹脂を含有する水系塗料が用いられている。本発明の塗料組成物において、使用される樹脂に関しては特に制限はなく、用途、要求品質等から、適した樹脂が選定される。好適な例としては、水溶性樹脂及び/または水分散型樹脂で、その種類としては、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの混合系や変性もしくは共重合系等が挙げられる。以下、水溶性樹脂、水分散型樹脂、分散剤について具体例を挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
(1−1)水溶性樹脂
水溶性樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂がある。
水溶性樹脂として好適に用いられるポリエステル樹脂は、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、水素化ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、ジペンタエリトリット等)及び多塩基酸(例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水トリメリット酸等)を樹脂原料として用いて得られる。
水溶性樹脂として好適に用いられるアクリル樹脂は、ビニル系モノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類、アクリル酸またはメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、シクロヘキシル、ステアリル等のアルキルエステル類、アクリル酸またはメタクリル酸の2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、分子量1000以下のポリエチレングリコール等のヒドロキシアルキルエステル類、アクリル酸またはメタクリル酸のアミド類またはそれらのアルキルエーテル類、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等)を樹脂原料として、有機過酸化物(例えば、アシルパーオキシド類(例えば、過酸化ベンゾイル)、アルキルヒドロパーオキシド類(例えば、t−ブチルヒドロパーオキシド、p−メタンヒドロパーオキシド)、ジアルキルパーオキシド類(例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド)等)を開始剤とする公知の溶液重合法等によって、容易に得ることができる。
水溶性樹脂として好適に用いられるポリウレタン樹脂は、ポリオール(例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール等)とポリイソシアネート(例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビスフェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、メチルシクロへキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、エチルエチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等)を原料として付加重合することによって、容易に得ることができる。
(1−2)水分散型樹脂
水分散型樹脂としては、スチレン−アクリル系樹脂がある。スチレン単量体と芳香族または芳香族系以外のアクリル系単量体を単独もしくは2種以上を乳化重合して合成する。
スチレン系単量体は、スチレン骨格を有する単量体を意味する。スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。スチレン系単量体は、ベンゼン環にメチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシル基、アシル基、スルホン基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子などの官能基が存在していてもよい。スチレン系単量体のなかでは、塗膜の耐候性を高める観点から、スチレンが好ましい。
芳香族系アクリル単量体としては、例えば、アラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アラルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレートなどの炭素数が7〜18のアラルキル基を有するアラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族単量体以外のアクリル系単量体の具体例としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有単量体、カルボニル基含有単量体、オキソ基含有単量体、フッ素原子含有単量体、窒素原子含有単量体、エポキシ基含有単量体などが挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が1〜18のアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(1−3)分散剤
分散剤としては、界面活性剤または樹脂型分散剤を使用することができる。界面活性剤は主にアニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性に分類され、要求特性に応じて適宜好適な種類、配合量を選択して使用することができる。好ましくは、樹脂型分散剤である。
アニオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、具体的には脂肪酸塩、ポリスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸スルホン酸塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステルなどが挙げられ、具体的にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステル塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩などが挙げられる。
カチオン性活性剤としては、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類があり、具体的にはステアリルアミンアセテート、トリメチルアンモニウムクロリド、トリメチル牛脂アンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、メチルオレイルジエタノールクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムジサルフェート、セチルピリジニウムブロマイド、4−アルキルメルカプトピリジン、ポリ(ビニルピリジン)−ドデシルブロマイド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩などが挙げられる。
ノニオン性活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルアリルエーテルなどが挙げられ、具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等などが挙げられる。
界面活性剤の選択に際しては1種類に限定されるものではなく、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤など、2種以上の界面活性剤を併用して使用することも可能である。その際の配合量は、それぞれの活性剤成分に対して前述した配合量とすることが好ましい。好ましくは、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の併用が良く、アニオン性界面活性剤としては、ポリカルボン酸塩、ノニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンフェニルエーテルが好ましい。
樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン;ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル;不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤;(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物;ポリエステル系樹脂、変性ポリアクリレート系樹脂、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系樹脂等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
2.生物由来ナノファイバー
近年、物質をナノメートルレベルまで微細化し、物質が持つ従来の性状と異なる新たな物性を得ることを目的としたナノテクノロジーが注目されている。ナノファイバーは、直径が1〜100nmで、長さが直径の100倍以上ある繊維をいい、従来の繊維と比べて優れた特性を有する。具体的には、比表面積が大きく、吸着性能、接着力、分子認識性が優れるという超比表面積特性、繊維径が光の波長400〜700nmより小さいため乱反射が少なく透明性が優れるというナノサイズ特性、分子配向性が高いため強度に優れるという分子配列特性である。とりわけ、環境への配慮、資源枯渇の恐れが少ないセルロース、キチン等の生物由来材料(バイオマス)から得られるバイオナノファイバー、具体的には、セルロースナノファイバー(CNF)、キチンナノファイバー(ChNF)が注目されている。本発明は、バイオナノファイバー、すなわちセルロースナノファイバー(CNF)、キチンナノファイバー(ChNF)の断熱特性に注目して断熱機能と遮熱機能を有する断熱性コーティング組成物、遮熱性コーティング組成物、およびこれらを含む断熱遮熱塗料としたものである。以下に説明する。
(2−1)セルロースナノファイバー(CNF)
本発明のコーティング組成物と断熱遮熱塗料を構成するセルロースナノファイバー(CNF)は、パルプ繊維などのセルロース系原料を機械的な処理により解繊することにより得ることができる。機械的処理のみでセルロースナノファイバーを製造する場合、多数回の機械的処理が必要となり、エネルギー消費が非常に大きくなる。そのため、機械的な処理の前に、酸化処理やエステル化処理などを施す方法が検討されている。中でも、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシラジカル(TEMPO)と次亜塩素酸ナトリウムとを用いてパルプを酸化する方法(特開2008−1728号公報,特開2010−235679号公報参照)が後工程の機械的処理を効果的に低減できるとして採用されている。
セルロースナノファイバー(CNF)は、強度、弾性、熱安定性等に優れることから、ろ過材、ろ過助剤、イオン交換体の基材、クロマトグラフィー分析機器の充填材、樹脂及びゴムの配合用充填剤等の工業用途として利用されている。また、口紅、粉末化粧料、乳化化粧料等の化粧品の配合剤の用途にも利用されている。さらには、水系分散性に優れているため、食品、化粧品、塗料等の粘性保持剤、食品原料生地の強化剤、水分保持剤、食品安定化剤、低カロリー添加物、乳化安定化助剤などの多くの用途における利用が期待されている。
しかしながら、断熱特性に着目した用途については開示されていない。
(2−2)キチンナノファイバー(ChNF)
本発明のコーティング組成物と断熱遮熱塗料を構成するキチンナノファイバー(ChNF)は、エビ、カニをはじめとして、昆虫、貝、キノコにいたるまで、極めて多くの生物に含まれるキチン(生物由来材料)を原料として、機械的な処理により解繊処理することにより得ることができる。ここで、キチンとは、N-アセチル-D-グルコサミンが鎖状に長く(数百から数千)つながった繊維構造を有するアミノ多糖である。
生物由来キチンの形態は、繊維状、粒状などの任意の形態であってもよい。甲殻類、昆虫類またはオキアミの殻及び外皮などから採取加工したものである。なお、本発明においては、キチンをアルカリ処理してアセチル基を除いたキトサンを用いることができる。
キチンナノファイバーの製造方法においては、(a)脱蛋白処理及び脱灰処理を行ったキチン含有生物由来の材料、(b)脱蛋白処理及び脱灰処理及び脱アセチル化処理を行ったキチン含有生物由来の材料、のように解繊処理を効率的に行うための前処理を行った生物由来の材料が好ましい。また、前処理を行った市販の精製キチン・キトサンを用いることができる。
解繊処理は、脱蛋白・脱灰処理されたキチンナノファイバーを弱酸(pH3〜4)処理後、石臼式摩砕器、高圧ホモジナイザー、凍結粉砕装置などの機械的解繊処理が採用されている。
生物由来ナノファイバーの解繊処理方法としては、セルロース、キチン、キトサン等の多糖類の分散液を一対のノズルから70〜250MPaの高圧で噴射させた噴射流を互いに衝突させて粉砕する湿式粉砕法(特開2005−270891号公報参照)、バイオマスの分散流体を100〜240MPaで高圧噴射して衝突用硬質体に衝突させて粉砕する高圧噴射法(特開2011−056456号公報参照)が開示されている。
しかしながら、上述した機械的な解繊処理では、いずれも生物由来ナノファイバーへの負荷、エネルギー損失が大きく、必ずしもナノファイバーとしての特性(超比表面積特性、ナノサイズ特性、分子配列特性)に優れた細く、長く、均質なナノファイバーを低エネルギーかつ低コストで得ることができなかった。
このため、解繊処理を旋 回液流式マイクロバブル発生装置により生じたマイクロバブルの存在下で行うことが開示されている(特開2017−94218号公報参照)。旋回流式マイクロバブル発生装置では、気液発生槽の内部の旋回により、旋回による剪断力とマイクロバブルが同時に相乗的に作用する。このため、解繊処理に旋回流マイクロバブル発生装置により生じたマイクロバブルを使用することで、低エネルギーかつ低コストで効率よく、超比表面積特性、ナノサイズ特性、分子配列特性に優れ、細く、長く、均質なバイオナノファイバーを得ることができる。
(2−3)エレクトロスピニング法ナノファイバー
本発明には、アスペクト比が高く、折り重なって網目構造を形成することでナノレベルの空隙を塗膜中に形成できるナノファイバーであって、塗膜形成が容易なものであれば、生物由来ナノファオバーに限定されるものではない。具体的には、エレクトロスピニング法により製造されたナノファイバーがある。
エレクトロスピニング法は、20kV程度の高電圧をノズルに加え、そこから噴霧される高分子溶液に電圧を印加させることによりナノファイバーを製造する方法である。素材の選択幅が広がる特徴がある。エレクトロスピニング法により製造可能なナノファイバーの素材としては、天然資源由来素材(例えば、ポリ乳酸、セルロース、キトサン、シルクフィブロイン、コラーゲン)、石油資源由来素材(例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリウレタン)がある。
本発明の第1の実施態様における蓄熱塗料を構成する塗膜形成成分に占める配合量としては、樹脂成分の固形分濃度は、50〜90wt%、好ましくは50〜80wt%、さらに好ましくは50〜70wt%であり、生物由来ナノファイバーの固形分濃度は、10〜90wt%、好ましくは10〜50wt%、さらに好ましくは20〜40wt%である。
本発明の第2の実施態様は、樹脂成分、膨潤性層状無機化合物と生物由来ナノファイバーを塗膜形成成分とする蓄熱機能を有する蓄熱塗料である。樹脂成分、生物由来ナノファイバーについては上述したとおりである。以下、膨潤性層状無機化合物について説明する。
3.膨潤性層状無機化合物
膨潤性層状無機化合物は、単位結晶層が積層した構造を有し、層間に溶媒(特に水)を配位又は吸収することにより膨潤又は劈開する性質を示す無機化合物である。このような無機化合物としては、膨潤性の含水ケイ酸塩、例えば、スメクタイト群粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなど)、バーミキュライト群粘土鉱物(バーミキュライトなど)、カオリン型鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイトなど)、フィロケイ酸塩(タルク、パイロフィライト、マイカ、マーガライト、白雲母、金雲母、テトラシリリックマイカ、テニオライトなど)、ジャモン石群鉱物(アンチゴライトなど)、緑泥石群鉱物(クロライト、クックアイト、ナンタイトなど)などが例示できる。これらの膨潤性層状無機化合物は、天然物でも合成物でもよい。これらの層状無機化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
膨潤性層状無機化合物は、生物由来ナノファイバーとの密着性、相互作用性を両立させる点から、微粒子化処理されているのが好ましい。微粒子化処理された膨潤性層状無機化合物は、通常、板状又は扁平状であり、平面形状は特に制限されず、無定形状などであってもよい。微粒子化処理された膨潤性層状無機化合物の平均粒子径(平面形状の平均粒子径)は、例えば、0.01〜5μm、好ましくは0.1〜3μm、さらに好ましくは0.5〜2μm程度である。
これらの膨潤層状無機化合物のうち、スメクタイト群粘土鉱物、特にベントナイトの主成分であるモンモリロナイトが好ましい。以下に説明する。
(3−1)モンモリロナイト
モンモリロナイトは、水と接触すると、層間陽イオンと水分子が水和し、単位層間の距離が増加する膨潤性を有する。この膨潤による単位層間の距離の増加が、生物由来ナノファイバーの層間嵌入を促してコーティング組成物の相互作用性、製膜性に寄与すると考えられる。特に、層間陽イオンとしてNaイオンを多く含むモンモリロナイトは、Naイオンによる単位層同士の電気的引力が弱いため、水に分散させると単位層間の距離が4nm以上にも広がるためより好ましい。
(3−2)その他
本発明では、膨潤性層状無機化合物に添加剤として、水溶性高分子を用いることができる。具体的には、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースアンモニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体を好適に用いることができる。
本発明の第2の実施態様における蓄熱塗料を構成する塗膜形成成分に占める配合量としては、樹脂成分の固形分濃度は、50〜90wt%、好ましくは50〜80wt%、さらに好ましくは50〜70wt%であり、生物由来ナノファイバーの固形分濃度は、10〜90wt%、好ましくは10〜50wt%、さらに好ましくは20〜40wt%であり、膨潤性層状無機化合物の固形分濃度は、10〜90wt%、好ましくは10〜50wt%、さらに好ましくは20〜40wt%である。
本発明の第3の実施態様は、樹脂成分、膨潤性層状無機化合物と生物由来ナノファイバーと断熱性中空構造フィラーを塗膜形成成分とする蓄熱機能を有する蓄熱塗料である。樹脂成分、生物由来ナノファイバー、膨潤性層状無機化合物と上述したとおりである。以下、断熱性中空構造フィラーについて説明する。
4.断熱性中空構造フィラー
断熱性中空構造フィラーは、赤外線反射性を有するとともに、断熱性を付与する成分である。断熱性中空構造フィラーを含有することにより、外部への放射熱の供給を断熱し、蓄熱層の温度低下を抑制することができる。
断熱性中空構造フィラーとしては、例えば、中空セラミックビーズ、中空樹脂ビーズ等が挙げられる。中空セラミックビーズを構成するセラミック成分としては、例えば、珪酸ソーダガラス、非結晶性珪酸(シリカ)、球状珪酸(球状シリカ)、アルミ珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス、カーボン、アルミナ、シラス、パーライト、黒曜石等が挙げられる。中空樹脂ビーズを構成する樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、アクリル−アクリロニトリル共重合樹脂、アクリル−スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、アクリロニトリル−メタアクリロニトリル共重合樹脂、アクリル−アクリロニトリル−メタアクリロニトリル共重合樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合樹脂等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
断熱性中空構造フィラーの形状としては、球形、楕円球形、偏平球形等が挙げられる。
断熱性中空構造フィラーは中空構造を有するものであり、その構造に着目すると開気泡型中空粒子と閉気泡型中空粒子に分類される。このうち本発明では、閉気泡型中空粒子が好適である。閉気泡型中空粒子を用いた場合は、気泡中への樹脂成分等の侵入を防止することができるため、高い断熱性能を発揮することができる。閉気泡型中空粒子の内部構造は、粒子1個当たり1個の中空を有する単一中空型であってもよいし、粒子1個当たり2個以上の中空を有する多中空型であってもよい。
断熱性中空構造フィラーの中空部分には通常、気体が充填されているが、中空部分が真空であるものを使用することも可能である。中空部分に充填可能な気体としては、例えば、空気、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、フッ素化塩素化炭化水素、揮発性モノマー等が挙げられる。このうち空気が好適である。
断熱性中空構造フィラーの平均粒子径は通常0.1〜200μm、好ましくは1〜150μmである。平均粒子径がこのような範囲であることにより、平滑性が高い塗膜を形成することができる。
断熱性中空構造フィラーの密度は通常0.01〜1g/cm、好ましくは0.01〜0.5g/cmである。密度がこのような範囲であることにより、断熱性、軽量性等を高めることができる。
本発明の第3の実施態様における蓄熱塗料を構成する塗膜形成成分に占める配合量としては、樹脂成分の固形分濃度は、50〜90wt%、好ましくは50〜80wt%、さらに好ましくは50〜70wt%であり、生物由来ナノファイバーの固形分濃度は、10〜90wt%、好ましくは10〜50wt%、さらに好ましくは20〜40wt%であり、膨潤性層状無機化合物の固形分濃度は、10〜90wt%、好ましくは10〜50wt%、さらに好ましくは20〜40wt%であり、断熱性中空構造フィラーの固形分濃度は、10〜90wt%、好ましくは10〜50wt%、さらに好ましくは20〜40wt%である。
本発明の第4の実施態様は、樹脂成分と生物由来ナノファイバー、次いで、膨潤性層状無機化合物、断熱性中空構造フィラーのいずれかを塗膜形成成分とする蓄熱性塗膜である。潜熱蓄熱材を含まない蓄熱塗料からなる塗膜であり、潜熱蓄熱材の滲み出しによる塗膜の軟化による塗膜の密着性低下、塗膜の脆化等の塗膜機能低下による外観が損なわれるという問題を生じない。
以下に、実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、本発明を実施例に限定するものと解してはならない。
表1は、本発明の蓄熱機能を有する蓄熱塗料の実施態様を実施例としてまとめたものである。
5.評価項目及び測定方法
(5−1)蓄熱温度
本発明の実施例における蓄熱温度は、赤外線照射前後の温度変化(ΔT)であり、測定方法は以下のとおりである。
(5−2)蓄熱温度測定
本測定は、断熱箱の上部に載置した塗膜形成金属板の表面温度の経時変化を測定するものであり、塗膜を形成した建材(例、屋根)の蓄熱量をモデル測定するものである。
具体的には、発泡体で成形された断熱容器(縦480mm×横430mm×高さ210mm)の上面に金属板(ボンデ鋼板 200mm×300mm 厚み0.8mm)が載置できる開口部を設けた試験装置を用いた。実施例、比較例で示す構成成分からなる塗膜を金属板(ボンデ鋼板 200mm×300mm 厚み0.8mm)上に形成した試験品を前記試験装置の開口部に載置した。
塗膜形成金属板の表面温度(塗膜面温度)は、赤外線電球(アイ赤外線IR100−110V375WRH 岩崎電機社製)を塗膜面から33cmの距離に設置し、表面に設置した温度センサー(TP−01 YFE社製)により、前記赤外線電球照射後0min〜30minの温度を測定し、赤外線照射前後の温度変化(ΔT)を算出した。
(5−3)製膜性
実施例、比較例で示す構成成分からなる塗膜について、塗膜形成性(塗面に塗膜を形成できる)と塗膜安定性(乾燥塗膜に割れが生じない)を以下の基準から評価したものである。
○ 塗膜形成性と塗膜安定性のいずれもある
△ 塗膜形成性はあるが、塗膜安定性がない
× 塗膜形成性がない
(5−4)引張強度測定
実施例、比較例で示す塗膜について、塗膜をJISK7139 ダンベル型試験片 タイプA22による試験片とし、材料強度試験機(5581 インストロン社製)を用いて、引張速度10mm/minで塗膜引張強度(MPa)を測定した。
<実施例1>
(1)塗料分散液の調製
以下の構成成分を水100gに加え、撹拌条件(3000rpm,3min)で塗料分散液を調製した。
Ac−St系水分散型樹脂 55wt%水溶液(ボンコートCG DIC社製) 22g
生物由来ナノファイバー キチンナノファイバー(SFo−20002 スギノマシン社製;1wt%溶液) 800g
(2)塗膜製作
ボンデ鋼板上に、調製した塗料分散液を塗布量170g/mで塗工し、乾燥条件(23℃,RH50%)で3日乾燥して、鋼板塗膜試験品(実施例品1)を制作した。膜厚は、0.335mmであった。
(3)蓄熱温度測定
鋼板塗膜の赤外線照射前後の温度差は、58.7℃(照射前温度18.4℃,照射後温度77.1℃)であった。
(4)製膜性
製膜性は「〇」判定であった。
<実施例2>
(1)塗料分散液の調製
以下の構成成分を水100gに加え、撹拌条件(3000rpm,3min)で塗料分散液を調製した。
Ac−St系水分散型樹脂 55wt%水溶液(ボンコートCG DIC社製) 22g
膨潤性層状無機化合物 (クニピアF クニミネ工業社製) 16g
生物由来ナノファイバー キチンナノファイバー(SFo−20002 スギノマシン社製;1wt%溶液) 1200g
(2)塗膜製作
ボンデ鋼板上に、調製した塗料分散液を塗布量170g/mで塗工し、乾燥条件(23℃,RH50%)で3日乾燥して、鋼板塗膜試験品(実施例品2)を制作した。膜厚は、0.335mmであった。
(3)蓄熱温度測定
鋼板塗膜の赤外線照射前後の温度差は、59.3℃(照射前温度18.4℃,照射後温度77.7℃)であった。
(4)製膜性
製膜性は「〇」判定であった。
<実施例3>
(1)塗料分散液の調製
以下の構成成分を水100gに加え、撹拌条件(3000rpm,3min)で塗料分散液を調製した。
Ac−St系水分散型樹脂 55wt%水溶液(ボンコートCG DIC社製) 22g
膨潤性層状無機化合物 (クニピアF クニミネ工業社製) 16g
生物由来ナノファイバー キチンナノファイバー(SFo−20002 スギノマシン社製;1wt%溶液) 200g
断熱性中空構造フィラー パーライト(太平洋パーライト 太平洋マテリアル社製) 4g
(2)塗膜製作
ボンデ鋼板上に、調製した塗料分散液を塗布量170g/mで塗工し、乾燥条件(23℃,RH50%)で3日乾燥して、鋼板塗膜試験品(実施例品3)を制作した。膜厚は、0.335mmであった。
(3)蓄熱温度測定
鋼板塗膜の赤外線照射前後の温度差は、61.9℃(照射前温度18.4℃,照射後温度80.3℃)であった。
(4)製膜性
製膜性は「〇」判定であった。
(5)皮膜引張強度
皮膜引張強度は、24.5MPaであった。
<比較例1>
(1)塗料分散液の調製
以下の構成成分を水100gに加え、撹拌条件(3000rpm,3min)で塗料分散液を調製した。
Ac−St系水分散型樹脂 55wt%水溶液(ボンコートCG DIC社製) 22g
膨潤性層状無機化合物 (クニピアF クニミネ工業社製) 12g
生物由来ナノファイバー キチンナノファイバー(SFo−20002 スギノマシン社製;1wt%溶液) 400g
断熱性中空構造フィラー パーライト(太平洋パーライト 太平洋マテリアル社製) 8g
遮熱性無機粉体 酸化チタン(JR−1000 テイカ社製) 8g
(2)塗膜製作
ボンデ鋼板上に、調製した塗料分散液を塗布量170g/mで塗工し、乾燥条件(23℃,RH50%)で3日乾燥して、鋼板塗膜試験品(比較例品1)を制作した。膜厚は、0.335mmであった。
(3)蓄熱温度測定
鋼板塗膜の赤外線照射前後の温度差は、29.8℃(照射前温度19.0℃,照射後温度48.8℃)であった。
(4)製膜性
製膜性は「〇」判定であった。
<比較例2>
ボンデ鋼板上について、実施例1〜比較例1と同様に評価した。
本発明は、蓄熱塗料の分野において利用可能である。

Claims (4)

  1. 樹脂成分、生物由来ナノファイバーを塗膜形成成分とする蓄熱機能を有する蓄熱塗料。
  2. 樹脂成分、膨潤性層状無機化合物と生物由来ナノファイバーを塗膜形成成分とする蓄熱機能を有する蓄熱塗料。
  3. 樹脂成分、膨潤性層状無機化合物と生物由来ナノファイバーと断熱性中空構造フィラーを塗膜形成成分とする蓄熱機能を有する蓄熱塗料。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載した蓄熱塗料により形成された蓄熱性塗膜。
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