JP2011074335A - 凍結防止用粉粒体及び凍結防止施工方法 - Google Patents
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Abstract
中空粒子を含有した蓄熱効果及び遮熱効果のある塗料をコーティングした粉粒体で、道路や遊歩道及び公園や庭等のような広い場所に散布して使用することができ、しかも簡便な方法で凍結もしくは霜害を防止できる効果を長期間にわたって維持できる凍結防止用粉粒体及びこの粉粒体を用いた凍結防止施工方法を提供することを課題とする
【解決手段】
中空粒子を含有する蓄熱遮熱塗料により粉粒状の被着体表面をコーティングしてなることを特徴とする凍結防止用粉粒体を提供する。
【選択図】図1
Description
しかしながら、これらの塩類を主成分とする凍結防止剤は車両等の金属部品に付着し、それらを腐食させるという弊害があり、更に、水に溶けて流れ出した塩類が、道路近くに生息している植物に対して、塩害を引き起こし、枯死させるといった弊害もある。
この蓄熱と遮熱の2通りの効果を有する塗料の例として、中央に空洞を持ったビーズなどの中空粒子を含有する塗料が提案されている(例えば特許文献1)。中空粒子を含有した塗料は蓄熱性及び遮熱性があるため、構造物の屋根、内壁、外壁、天井などの限られた部分に使用すると、吸収した熱を徐々に外部に放出し、凍結防止効果を有する。しかしながら、道路や遊歩道のような広い場所には塗装する手間がかかり、また、十分な膜厚を得ようとすると何回も塗り重ねる必要があるため時間がかかる。まして、庭や公園などの芝生等の植物には使用することができない。また、外部にさらされているため、塗料が劣化すると、蓄熱効果や遮熱効果が弱まり、そのような場合には再度塗料を塗り直すという作業が必要である。
請求項2に係る発明は、前記蓄熱遮熱塗料に含まれる中空粒子が塗料の0.1〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載の凍結防止用粉粒体に関する。
請求項3に係る発明は、前記蓄熱遮熱塗料に含有される中空粒子が樹脂ビーズ、ガラスビーズ、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアの少なくともいずれか一種からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の凍結防止用粉粒体に関する。
請求項4に係る発明は、前記蓄熱遮熱塗料に含まれる顔料が赤外線反射顔料であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の凍結防止用粉粒体に関する。
請求項5に係る発明は、前記被着体が、スラッグ、プラスチックチップ、コルクチップ、培養土、珪砂、ガラス、貝殻、ゴムチップ、セラミックの少なくともいずれか一種からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の凍結防止用粉粒体に関する。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の凍結防止用粉粒体を凍結防止対象物の表面に散布することを特徴とする凍結防止施工方法に関する。
請求項2に係る発明によれば、塗料に含まれる中空粒子が0.1〜50重量%であることによって、赤外線を反射して中空粒子の表面の温度を下げることができ且つ、コーティング層を透過した赤外線は、被着体内で熱エネルギーに変換され中空粒子の断熱効果により蓄熱されるため、蓄熱性の良い凍結防止用粉粒体となる。
請求項3に係る発明によれば、蓄熱遮熱塗料に含有される中空粒子が樹脂ビーズ、ガラスビーズ、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアの少なくともいずれか一種からなることを特徴とするものであるから、強度が強く、塗料と混練しても破壊されずに塗料の中で中空粒子を維持することができる。
請求項4に係る発明によれば、蓄熱遮熱塗料中に赤外線を反射する顔料を含有するために、より一層赤外線を反射するので、凍結防止用粉粒体の表面の温度を下げることにより、粉粒体を散布した路面等の温度上昇を緩やかなものにできる。
請求項5に係る発明によれば、前記粉粒体が、スラッグ、プラスチックチップ、コルクチップ、培養土、珪砂、ガラス、貝殻、ゴムチップ、セラミックの少なくともいずれか一種からなることを特徴とするものであるから、廃材を利用して、凍結防止用粉粒体を作製することができる。
請求項6に係る発明によれば、凍結防止用粉粒体を、適宜散布することを特徴とする凍結防止施工方法であるから、非常に簡便に凍結や霜害を防止できる。
本発明に係る凍結防止用粉粒体(4)は、被着体(3)の表面に中空粒子(2)を含有する塗料(1)をコーティングしてなる。塗料(1)には中空粒子(2)が含有されているため、赤外線の一部を中空粒子(2)が反射して凍結防止用粉粒体の表面温度は低くなる。しかしながら中空粒子(2)によって反射されなかった赤外線は被着体(3)に達し、被着体(3)内で熱エネルギーに変換され被着体(3)の温度を上昇させる。また、反射されなかった赤外線は路面(5)に達し、路面(5)の温度を上昇させる。被着体(3)及び路面(5)の熱エネルギーは中空粒子(2)によって蓄熱される。中空粒子(2)によって蓄熱された熱エネルギーは徐々に放出されるので、路面(5)を凍結させることがない。
尚、本発明の凍結防止用粉粒体(4)は、凍結防止用のみならず、本発明の凍結防止用粉粒体を散布した路面の表面温度上昇を抑える作用も併せ持つ。塗料中に含まれる中空粒子(2)が赤外線の一部を反射するからである。従って冬に散布した凍結防止用粉粒体(4)を夏においても取り除く必要がない。
更に形態は蓄熱遮熱塗料と密着する形態であれば特に限定されず、球状、棒状、板状等適宜の形状を選択できる。
形態が球状である場合には、平均粒径は1mm〜10mmであることが好ましく、1mm〜2mmであることがさらに好ましい。1mmより小さければ、風等によって散布された凍結防止用粉粒体(4)が散ってしまう虞があり、10mmより大きければ被着体(3)にコーティングされる蓄熱遮熱塗料の量が、粒径が小さい場合に比べて相対的に少なくなるので、蓄熱できる熱エネルギーが少なくなり長時間に渡って凍結防止効果を維持できないからである。
また、必要に応じて硬化剤を使用しても良い。硬化剤としては酸、イソシアネート、メラミン樹脂の1種以上を含有する物から適宜選択することができる。
以下に本発明を、実施例を用いて説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
被着体として蘭用培養土を用いた。蓄熱遮熱塗料の樹脂はアクリル樹脂を用い、含有させる中空粒子としては樹脂ビーズを用いた。樹脂ビーズは塗料中8重量%となるように含有させた。顔料は二酸化チタンを8重量%混合した。
この蓄熱遮熱塗料を被着体である蘭用培養土に平均40μmの厚みとなるようにコーティングした。
試験方法はポリカップに上記蓄熱遮熱塗料でコーティングした本発明に係る凍結防止用粉粒体と、蓄熱遮熱塗料でコーティングしていない蘭用培養土を入れて、表面から3.5cm、5.0cm、6.5cm、8.0cmの位置に温度計を設置した。室温を23℃に保った部屋で、125Wの家畜用赤外線ランプを各試験体との距離が30cmで、均等に赤外線が照射されるように設置し、赤外線ランプで350分照射し、照射時350分及び消灯後400分間の温度の変化を測定した(図3)。表面の温度は照射350分後に赤外線カメラで測定した。その結果凍結防止用粉粒体の表面温度は45.4℃であるのに対して、蘭用培養土の表面温度は48.1℃であり、凍結防止用粉粒体の表面温度の方が低かった。
尚、図3中A〜Dが本発明に係る凍結防止用粉粒体の測定値を表わしており、E〜Hが蓄熱遮熱塗料でコーティングしていない蘭用培養土の測定値を表わしている。
この結果より、本発明の凍結防止用粉粒体は赤外線照射時においてコントロールである蘭用培養土に対して表面及び浅い個所の温度上昇は低いが、深い個所の温度上昇は高くなることが分かった。従って、長時間に渡って凍結防止効果を維持できることが示された。
被着体としてエチレンプロピレンゴムシート(EPDM)を用いた。蓄熱遮熱塗料の樹脂はアクリル樹脂を用い、含有させる中空粒子としては樹脂ビーズを用いた。顔料は二酸化チタン、フタロシアニングリーン、酸化鉄をそれぞれ4重量%、2重量%、0.5重量%混合した。
含有させる中空粒子の量は塗料に対して0重量%、2重量%、4重量%、6重量%、8重量%含有させた。
上記の割合で中空粒子を含有させた蓄熱遮熱塗料を夫々ゴムシートに刷毛で125g/m2になるように塗装を行った。
試験方法は、未塗装のゴムシートをコントロールとして、各試験体を並べて、室温を23℃に保った部屋で、125Wの家畜用赤外線ランプを各試験体との距離が30cmで、均等に赤外線が照射されるように設置した。該赤外線ランプを30分間照射した後、表面温度を赤外線カメラで測定した。結果を図4及び表1に示す。これにより樹脂ビーズの含有率が上がれば、凍結防止用粉粒体で塗装したゴムシートの表面の温度が上昇しないことが示された。従って、凍結防止用に散布した本発明の凍結防止用粉粒体は、夏の日差しが強い場合においては、粉粒体の表面の温度を下げるという役割も併せ持つため、路面等の温度上昇を抑える効果があり、夏の路面等の温度が上昇する時期においても取り除く必要がない。
被着体として廃タイヤを平均粒径1〜2mmに粉砕したゴムチップを用いた。蓄熱遮熱塗料の樹脂はアクリル樹脂を用い、含有させる中空粒子としては樹脂ビーズを用いた。樹脂ビーズは塗料中8重量%となるように含有させた。
顔料は二酸化チタン、フタロシアニングリーン、酸化鉄をそれぞれ4重量%、2重量%、0.5重量%混合した。
この蓄熱遮熱塗料を被着体であるゴムチップに平均40μmの厚みとなるようにコーティングした。
試験に用いた実験道具を図5に示す。図5に示すように20cm×20cmの木枠(34)の底部の中心に温度計(31)を設置した。その上に蓄熱遮熱塗料をコーティングしていないゴムチップ(33)を2.5cmの厚みになるまで敷き詰めた。その上に温度計(32)を設置し、本発明に係る凍結防止用粉粒体(4)を1.0cmの厚みになるように敷き詰めたものを実施例1とした(図5A)。また、蓄熱遮熱塗料でコーティングしていないゴムチップを3.5cmの厚みになるように敷き詰めたものを比較例1とした(図5B)。表面の温度は赤外線カメラで測定した。
屋外で36時間放置し温度変化を測定した。その結果を表2に示す。表の値は測定された値の最高値を表わしている。
表2によると、本発明に係る凍結防止用粉粒体を敷き詰めた実施例1は塗料中の中空粒子が赤外線を反射するため、表面の温度が比較例と比べて低く、比較例と実施例との温度差が−7.5℃であった。また、表面から1.0cmの場所の温度差は−3.8℃、表面から3.5cmの場所の温度差は−1.5℃、と深くなるほど温度差が縮まることから蓄熱性もあることが示された。よって、路面の凍結を防止するために散布した本発明に係る凍結防止用粉粒体は、路面温度が上昇する状況下であっても取り除くことなく散布したままにすることができる。
前記屋外における凍結防止用粉粒体の温度変化の測定実験を同じ装置を用いて光条件を変え屋内で行った。
室温を23℃に保った部屋に125Wの家畜用赤外線ランプを試験体との距離が30cmになるように設置して、赤外線ランプで約2時間照射し、その後3時間放置した。
ゴムチップの上に本発明に係る凍結防止用粉粒体を敷き詰めたものを実施例2(図5A)、ゴムチップのみを敷き詰めたものを比較例2(図5B)とした。測定された温度の最高値を表3に示す。
この結果も屋外で行った実験と同様に実施例2の表面の温度が比較例2と比べて低いものとなり、また、各深さの温度差から蓄熱性もあることが示された。よって、路面の凍結を防止するために散布した本発明に係る凍結防止用粉粒体は、路面温度が上昇する状況下であっても取り除くことなく散布したままにすることができる。
2 中空粒子
3 被着体
4 凍結防止用粉粒体
5 路面
31 温度計
32 温度計
33 ゴムチップ
34 木枠
Claims (6)
- 中空粒子を含有する蓄熱遮熱塗料により粉粒状の被着体表面をコーティングしてなることを特徴とする凍結防止用粉粒体。
- 前記蓄熱遮熱塗料に含まれる中空粒子が塗料の0.1〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載の凍結防止用粉粒体。
- 前記蓄熱遮熱塗料に含有される中空粒子が樹脂ビーズ、ガラスビーズ、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアの少なくともいずれか一種からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の凍結防止用粉粒体。
- 前記蓄熱遮熱塗料に含まれる顔料が赤外線反射顔料であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の凍結防止用粉粒体。
- 前記被着体が、スラッグ、プラスチックチップ、コルクチップ、培養土、珪砂、ガラス、貝殻、ゴムチップ、セラミックの少なくともいずれか一種からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の凍結防止用粉粒体。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の凍結防止用粉粒体を凍結防止対象物の表面に散布することを特徴とする凍結防止施工方法。
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