JP2012170376A - 即席乾燥米の製造方法及びこれにより製造した即席乾燥米 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原料米を、アルファ化工程でアルファ化し、当該アルファ化した原料米を乾燥処理して、即席乾燥米を製造する際に、アルファ化工程の途中で、原料米を乾式加熱処理することにより、米粒の内部の水分を蒸発させ、米粒の内部組織に空隙を形成する、即席乾燥米の製造方法、上記製造法により製造した即席乾燥米であって、a.米粒の内部組織に工程途中の加熱処理による空隙が形成されている、b.比容積が2(ml/g)以下である、c.注湯後、5分間における応力(g/cm2)が、同じ原料米を使用した炊飯米の上記応力の70%以上である、の性能を有する即席乾燥米。
【効果】湯戻し5分以内で復元する簡便性と、炊飯米の食感(応力値)に匹敵する良好な食感(応力値)とを両立させた高品質の即席乾燥米を提供できる。
【選択図】なし
Description
(1)原料米を、アルファ化工程でアルファ化し、当該アルファ化した原料米を乾燥処理して、即席乾燥米を製造する際に、上記アルファ化工程の途中で、原料米に加熱処理を施すことにより、米粒の内部の水分を蒸発させ、米粒の内部組織に空隙を形成することを特徴とする即席乾燥米の製造方法。
(2)加熱処理が、熱風処理、過熱水蒸気による加熱処理及びマイクロ波による加熱処理から選ばれた1つ以上である、前記(1)記載の即席乾燥米の製造方法。
(3)即席乾燥米の加熱処理による膨化度が、1.3〜1.6である、前記(1)又は(2)に記載の即席乾燥米の製造方法。
(4)即席乾燥米の比容積の値が、2.2(ml/g)以下である、前記(1)から(3)のいずれかに記載の即席乾燥米の製造方法。
(5)前記(1)から(4)のいずれかに記載の製造法により製造した即席乾燥米であって、
次のa.b.c.の性能;
a.米粒の内部組織にアルファ化工程途中の加熱処理による空隙が形成されている、
b.比容積の値が2.2(ml/g)以下である、
c.注湯後、5分間における応力(g/cm2)が、同じ原料米を使用した炊飯米の上記応力の少なくとも70%以上である[但し、ここで、応力は、テンシプレッサー(MyBoyII;タケトモ)で90%圧縮したときの応力を測定した値(テンシプレッサー値)を表わす。]、
を有することを特徴とする即席乾燥米。
(6)前記(1)から(4)のいずれかに記載の製造法により製造した即席乾燥米であって、
次のa.b.d.の性能;
a.米粒の内部組織にアルファ化工程途中の加熱処理による空隙が形成されている、
b.比容積の値が2.2(ml/g)以下である、
d.注湯後、米の芯がなくなり、復元が完了した状態における応力を測定した値(テンシプレッサー値)が、炊飯米の上記応力に対して、低アミロースうるち米の場合で少なくとも70%以上、通常のうるち米の場合で少なくとも95%以上の値である、
を有することを特徴とする即席乾燥米。
本発明は、即席乾燥米を製造する方法において、原料米を、アルファ化工程でアルファ化し、当該アルファ化した原料米を乾燥処理して、即席乾燥米を製造する際に、アルファ化工程の途中で、原料米を加熱処理することにより、米粒の内部の水分を蒸発させ、米粒の内部組織に空隙を形成することを特徴とするものである。
(1)比容積を膨化米のように大きくすることなく、膨化度の低い乾燥米の状態で、かつ特殊な原料米を使用することなしに、原料米の種類を問わず、注湯後5分間で良好に復元させることができる即席乾燥米を製造し、提供することができる。
(2)湯戻し5分以内で復元する簡便性と、復元後の食感(歯応え)が良好な高品質の即席乾燥米を提供することができる。
(3)原料米をアルファ化工程の途中で、空隙処理を施すことにより、米粒の粒中心部までアルファ化を促進させることで、従来製品にない復元後の良好な食感を有する即席乾燥米を製造することができる。
(4)同じ比容積であっても、従来製品と比べて、復元後の食感が損なわれにくく、優れた歯応えを示す即席乾燥米を提供することができる。
(5)原料米を、アルファ化後に、乾燥して即席乾燥米を製造する従来製品と比べて、原料米のアルファ化工程の途中で空隙処理を施すことにより、アルファ化のむらを抑制し、米粒の粒中心部までアルファ化を促進させた高品質の即席乾燥米とすることができる。
(6)湯戻し後の食感(応力値)が、通常の炊飯米の食感(応力値)と遜色のない高品質の即席乾燥米を製造することが実現できる。
本実施例では、低アミロース米のミルキークイーン(うるち種)を使用し、洗米浸漬−1次蒸煮−熱風処理−吸水処理−2次蒸煮−乾燥処理の工程により、各処理工程を以下のように実施して即席乾燥米を製造した。
(1)洗米浸漬
ミルキークイーン精米(92%搗精品、アミロース含量12%)を、洗米後、2時間水浸漬を行なった。
(2)1次蒸煮(アルファ化工程)
水切りした米(水分33%)を、せいろ式の蒸煮機により、100℃で、30分間蒸煮して、蒸煮米を得た。
(3)熱風処理(加熱処理)
蒸煮米を、熱風噴射装置(JETZONE OVEN;荒川製作所)のコンベア上に拡げて、260℃、風速35m/sで、35秒間熱風処理を行なって、熱風処理米を得た。熱風処理米の加熱処理による膨化度は、1.6であった。
(4)吸水処理 熱風処理米に、加水して、水分64%となるように吸水させた。
(5)2次蒸煮(アルファ化工程)
吸水させた米を、前記せいろ式の蒸煮機により、100℃で、30分間蒸煮した。以上により、炊飯を完了した。
(6)乾燥処理
炊飯米を、恒温恒湿乾燥機のネット上に拡げて、50℃の温風にて、水分約10%まで乾燥させた。乾燥米の比容積は、1.9(ml/g)であった。
本比較例では、実施例1で用いたものと同じ低アミロース米のミルキークイーンを使用し、熱風処理(加熱処理)なしで、乾燥後に、膨化のための焙煎を行ない、各処理工程を以下のように実施して即席乾燥米を製造した(=特許第3568520号の実施例1に準じた方法に相当する)。
(1)洗米浸漬−(2)1次蒸煮の工程
実施例1と同様に行なった。
(3)吸水処理
蒸煮米に、加水して、水分64%となるように吸水させた。
(4)2次蒸煮
吸水させた米を、実施例1と同様に、せいろ式の蒸煮機により、2次蒸煮し、炊飯を完了した。
(5)乾燥処理
炊飯米を、実施例1と同様に、恒温恒湿乾燥機のネット上に拡げて、50℃の温風にて、水分10%まで乾燥させた。
(6)調湿処理
乾燥米を、恒温恒湿槽にて、調湿処理して、乾燥米の水分を12%とした。
(7)焙煎
乾燥米を、実施例1の熱風処理で用いた熱風噴射装置のネット上に拡げて、150℃で、90秒間熱風処理を行なった。乾燥米の水分は、約10質量%で、比容積は、1.9(ml/g)であった。
本比較例では、実施例1で用いたものと同じ低アミロース米のミルキークイーンを使用し、(7)焙煎の工程における焙煎の条件を変えた以外は比較例1と同様に行ない、各処理工程を以下のように実施して即席乾燥米を製造した(=特許第3568520号の実施例1に準じた方法に相当する)。
(1)洗米浸漬−(2)1次蒸煮−(3)吸水処理−(4)2次蒸煮−(5)乾燥処理−(6)調湿処理の工程
比較例1と同様に行なった。
(7)焙煎
乾燥米を、実施例1の熱風処理で用いた熱風噴射装置のコンベア上に拡げて、175℃で、60秒間熱風処理を行なった。乾燥米の水分は、約10質量%で、比容積は、3.2(ml/g)であった。
本比較例では、実施例1で用いたものと同じ低アミロース米のミルキークイーンを使用し、熱風処理(加熱処理)なしで、100℃以上で熱風乾燥を行ない、各処理工程を以下のように実施した(=特開昭61−81756号の実施例1Aに準じた方法)。
(1)洗米浸漬−(2)1次蒸煮の工程
実施例1と同様に行なった。
(3)吸水処理
蒸煮米に、加水して、水分64%となるように吸水させた。
(4)2次蒸煮
吸水させた米を、実施例1と同様に、せいろ式の蒸煮機により、2次蒸煮し、炊飯を完了した。
(5)乾燥処理
炊飯米を、コンベクションオーブンにて、120℃で、60分間熱風処理した。乾燥米の水分は、約10質量%で、比容積は、1.9(ml/g)であった。
本比較例では、実施例1で用いたものと同じ低アミロース米のミルキークイーンを使用し、(5)乾燥処理の工程における乾燥処理の条件を変えた以外は比較例3と同様に行ない、各処理工程を以下のように実施して即席乾燥米を製造した(=特開昭61−81756号の実施例1Aに準じた方法)。
(1)洗米浸漬−(2)1次蒸煮−(3)吸水処理−(4)2次蒸煮の工程
比較例3と同様に行なった。
(6)乾燥処理
炊飯米を、熱風噴射装置(スーパージェットオーブン;フジマック)のコンベア上に拡げて、120℃で、20分間熱風処理した。乾燥米の水分は、約10質量%で、比容積は、2.4(ml/g)であった。
本実施例では、中アミロース含量のあきたこまち(うるち種)を使用した。
(1)洗米浸漬
あきたこまち精米(92%搗精品、アミロース含量18%)を、洗米後、2時間水浸漬を行なった。
(2)1次蒸煮(アルファ化工程)
水切りした米(水分29%)を、実施例1と同様に、せいろ式の蒸煮機により、100℃で、30分間1次蒸煮して、蒸煮米を得た。
(3)熱風処理(加熱処理)
蒸煮米を、実施例1と同様の熱風噴射装置のコンベア上に拡げて、300℃、風速35m/sで、20秒間熱風処理を行なって、熱風処理米を得た。熱風処理米の加熱処理による膨化度は、1.3であった。
(4)吸水処理
熱風処理米に、加水して、水分64%となるように吸水させた。
(5)2次蒸煮(アルファ化工程)
吸水させた米を、実施例1と同様に、せいろ式の蒸煮機により、100℃で、30分間2次蒸煮し、炊飯を完了した。
(6)乾燥処理
炊飯米を、恒温恒湿乾燥機により、50℃の温風にて、水分10%まで乾燥させた。乾燥米の比容積は、2.0(ml/g)であった。
本比較例では、実施例2で用いたものと同じうるち種のあきたこまちを使用し、熱風処理(加熱処理)なしで、乾燥後に膨化のための焙煎を行ない、各処理工程を以下のように実施して即席乾燥米を製造した(=特許第3568520号の比較例1に準じた方法)。
(1)洗米浸漬−(2)1次蒸煮の工程
実施例2と同様に行なった。
(3)吸水処理
蒸煮米に、加水して、水分64%となるように吸水させた。
(4)2次蒸煮
吸水させた米を、実施例2と同様に、せいろ式の蒸煮機により、2次蒸煮し、炊飯を完了した。
(5)乾燥処理
炊飯米を、実施例2と同様に、恒温恒湿乾燥機により、50℃の温風にて、水分10%まで乾燥させた。
(6)調湿処理
乾燥米を、恒温恒湿槽にて、調湿処理して、乾燥米の水分を13%とした。
(7)焙煎
乾燥米を、実施例2と同様の熱風噴射装置のコンベア上に拡げて、157℃で、60秒間熱風処理した。乾燥米の水分は、約10質量%で、比容積は、2.0(ml/g)であった。
本比較例では、実施例2で用いたものと同じうるち種のあきたこまちを使用し、(7)焙煎の工程における焙煎の条件を変えた以外は比較例5と同様に行ない、各処理工程を以下のように実施して即席乾燥米を製造した(=特許第3568520号の比較例1に準じた方法)。
(1)洗米浸漬−(2)1次蒸煮−(3)吸水処理−(4)2次蒸煮−(5)乾燥処理−(6)調湿処理の工程
比較例5と同様に行なった。
(7)焙煎
乾燥米を、実施例2と同様の熱風噴射装置のネット上に拡げて、175℃で、60秒間熱風処理した。乾燥米の水分は、約10質量%で、比容積は、2.7(ml/g)であった。
本比較例では、実施例2で用いたものと同じうるち種のあきたこまちを使用し、熱風処理(加熱処理)なしで、100℃以上で熱風乾燥を行ない、各処理工程を以下のように実施した(=特開昭61−81756号の実施例1Aに準じた方法)。
(1)洗米浸漬−(2)1次蒸煮の工程
実施例2と同様に行なった。
(3)吸水処理
蒸煮米に、加水して、水分64%となるように吸水させた。
(4)2次蒸煮
吸水させた米を、実施例2と同様に、せいろ式の蒸煮機により、2次蒸煮し、炊飯を完了した。
(5)乾燥処理
炊飯米を、コンベクションオーブンにて、120℃で、60分間熱風処理した。乾燥米の水分は、約10質量%で、比容積は、2.0(ml/g)であった。
本比較例では、実施例2で用いたものと同じうるち種のあきたこまちを使用し、(5)乾燥処理の工程における乾燥処理の条件を変えた以外は比較例5と同様に行ない、各処理工程を以下のように実施して即席乾燥米を製造した(=特開昭61−81756号の実施例1Aに準じた方法)。
(1)洗米浸漬−(2)1次蒸煮−(3)吸水処理−(4)2次蒸煮の工程
比較例7と同様に行なった。
(5)乾燥処理
炊飯米を、熱風噴射装置(スーパージェットオーブン;フジマック)のコンベア上に拡げて、120℃で、20分間熱風処理した。乾燥米の水分は、約10質量%で、比容積は、2.2(ml/g)であった。
(1)食感:
乾燥米に、熱湯(95℃)を注湯して、各時間経過後に、湯を切った米の食感を調べた。復元が完了して米の芯がなくなっているかどうか、及び炊飯米と比べた食感(歯応えを含む)(炊飯米と同等に良いか、炊飯米より食感が硬いか、弱いか)、を調べた。
(2)応力:
テンシプレッサー(MyBoyII;タケトモ)で、90%圧縮したときの応力を測定した(gw・cm/cm^2)。値は、各復元時間経過後、前記の食感において、復元が完了し、米の芯がなくなった米粒20粒の平均値である。本願明細書において、応力は、すべて上記のようにして測定した値である。
本実施例では、低アミロース米のミルキークイーン(うるち種)を使用した。
(1)洗米浸漬
ミルキークイーン精米(92%搗精品、アミロース含量12%)を、洗米後、2時間水浸漬を行なった。
(2)1次蒸煮(アルファ化工程)
水切りした米(水分33%)を、せいろ式の蒸煮機により、100℃で、30分間蒸煮した。
(3)過熱水蒸気処理(加熱処理)
蒸煮米を、過熱水蒸気処理装置(過熱水蒸気乾燥機;ダイキン製)により、250℃の過熱水蒸気中で、45秒処理(空隙処理)して過熱水蒸気処理米を得た。過熱水蒸気処理米の加熱処理による膨化度は、1.5であった。
(4)吸水処理
過熱水蒸気処理米に、加水して、水分64%となるように吸水させた。
(5)2次蒸煮(アルファ化工程)
吸水させた米を、せいろ式の蒸煮機により、100℃で、30分間蒸煮した。以上により、炊飯を完了した。
(6)乾燥処理
炊飯米を、恒温恒湿乾燥機のネット上に拡げて、50℃の温風にて、水分10%まで乾燥させた。乾燥米の比容積は、1.9(ml/g)であった。
Claims (6)
- 原料米を、アルファ化工程でアルファ化し、当該アルファ化した原料米を乾燥処理して、即席乾燥米を製造する際に、上記アルファ化工程の途中で、原料米に加熱処理を施すことにより、米粒の内部の水分を蒸発させ、米粒の内部組織に空隙を形成することを特徴とする即席乾燥米の製造方法。
- 加熱処理が、熱風処理、過熱水蒸気による加熱処理及びマイクロ波による加熱処理から選ばれた1つ以上である、請求項1記載の即席乾燥米の製造方法。
- 即席乾燥米の加熱処理による膨化度が、1.3〜1.6である、請求項1又は2に記載の即席乾燥米の製造方法。
- 即席乾燥米の比容積の値が、2.2(ml/g)以下である、請求項1から3のいずれかに記載の即席乾燥米の製造方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載の製造方法により製造した即席乾燥米であって、
次のa.b.c.の性能;
a.米粒の内部組織にアルファ化工程途中の加熱処理による空隙が形成されている、
b.比容積の値が2.2(ml/g)以下である、
c.注湯後、5分間における応力(g/cm2)が、同じ原料米を使用した炊飯米の上記応力の少なくとも70%以上である[但し、ここで、応力は、テンシプレッサー(MyBoyII;タケトモ)で90%圧縮したときの応力を測定した値(テンシプレッサー値)を表わす。]、
を有することを特徴とする即席乾燥米。 - 請求項1から4のいずれかに記載の製造方法により製造した即席乾燥米であって、
次のa.b.d.の性能;
a.米粒の内部組織にアルファ化工程途中の加熱処理による空隙が形成されている、
b.比容積の値が2.2(ml/g)以下である、
d.注湯後、米の芯がなくなり、復元が完了した状態における応力を測定した値(テンシプレッサー値)が、炊飯米の上記応力に対して、低アミロースうるち米の場合で少なくとも70%以上、通常のうるち米の場合で少なくとも95%以上の値である、
を有することを特徴とする即席乾燥米。
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