JP2012169515A - Ptc素子および発熱モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも2つのオーミック電極と、前記電極の間に配置されたBaTiO3のBaの一部がBi−Naで置換された半導体磁器組成物とを有するPTC素子であって、前記半導体磁器組成物が、組成式を[(Bi-Na)x(Ba1−y−θRyAθ)1−x]Ti1−zMzO3(但し、Rは希土類元素のうち少なくとも一種、AはCa、Srのうち少なくとも一種、MはNb、Ta、Sbのうち少なくとも一種)と表し、前記x、y、z、θが、0<x≦0.30、0≦y≦0.020、0≦z≦0.010、0≦θ≦0.20を満足し、前記電極と半導体磁器組成物の界面において電極のオーミック成分と半導体磁器組成物が接触していない面積の割合が25%以下としたPTC素子である。
【選択図】 図5
Description
また、本発明の他の目的は、上記PTC素子を用いた安全性と耐久性の高い発熱モジュールを提供することである。
上記したPTC素子を用いることで効率が良く、経時変化の小さな安全性の高い発熱モジュールを提供することができる。
また、別の本発明によれば、上記PTC素子を用いた安全性と耐久性の高い発熱モジュールを提供できる。
まず、本発明で言う電極のオーミック成分とは卑金属元素を含有した成分を指す。本発明のPTC素子のような半導体材料と電極の接合では、通常のAgやAu、Ptなどの貴金属を接合させると界面に酸化物層が介在して非常に大きな界面抵抗が形成されることが知られている。この界面抵抗を小さくするには、ZnやNiなどの卑金属を第一層として形成して電極形成時に電極と材料の界面にできる酸化物層を卑金属が酸化されることで取り除いて界面抵抗を低減し、さらに使用中の卑金属電極の酸化による経時変化を防ぐためにAgなどの貴金属をカバー電極として用いる方法が採られている。しかし、電極形成時に卑金属成分が過度に酸化されることを防ぐため、貴金属成分と卑金属成分が混合された電極とすることも行われる。
そこで、本発明では電極とPTC材料の界面において、電極のオーミック成分とPTC材料との界面の形態に着目し、この界面において電極と材料が接触していない面積の割合を25%以下とすることで、素子全体の抵抗を下げ、よって経時変化を大幅に低減したPTC素子を実現することができたものである。
PTC材料の製造方法において、組成式[(Bi−Na)x(Ba1−yRy)1−x]Ti1−zMzO3の製造に際して、(BaR)TiMO3仮焼粉からなる各仮焼粉(以下、BT仮焼粉という。)と(Bi−Na)TiO3仮焼粉からなる仮焼粉(以下、BNT仮焼粉という。)を別々に用意する。その後、上記BT仮焼粉とBNT仮焼粉を適宜混合した混合仮焼粉を用いて成形体を製造する。このようにBT仮焼粉とBNT仮焼粉を別途用意し、これらを混合した混合仮焼粉を成形して焼結する分割仮焼法を採用することが好ましい。
分割仮焼法を用いて以下の半導体磁器組成物を得た。BaCO3、TiO2、La2O3の原料粉末を準備し、(Ba0.994La0.006)TiO3となるように配合し、純水で混合した。得られた混合原料粉末を900℃で4時間大気中で仮焼し、BT仮焼粉を用意した。
(抵抗温度係数α)
抵抗温度係数αは、恒温槽で260℃まで昇温しながら抵抗−温度特性を測定して算出した。
尚、抵抗温度係数αは次式で定義される。
α=(lnR1−lnRc)×100/(T1−Tc)
R1は最大抵抗率、T1はR1を示す温度、Tcはキュリー温度、RcはTcにおける抵抗率である。ここでTcは抵抗率が室温抵抗率の2倍となる温度とした。
室温抵抗率R25は、25℃、4端子法で測定した。
通電試験はアルミフィン付きのヒーターに組み込み、風速4m/sで冷却しながら13Vを印加して1000時間行った。この時のフィンの温度は70℃であった。通電試験後の25℃での室温抵抗率を測定し、通電試験前と1000時間通電後の室温抵抗率の差を通電試験前の室温抵抗率で除して抵抗変化率(%)を求め、経時変化を調べた。
よって、経時変化率は次式で定義される。
{(1000時間放置した時の室温抵抗値)−(初期室温抵抗値)}/(初期室温抵抗値)×100(%)
界面におけるオーミック成分とPTC材料が接触していない面積の割合は、EPMAの酸素マッピング(□50μmの領域を4箇所、計200μm)より算出した。上述したように材料成分は酸化物であるため酸素が検出され、また電極のオーミック成分は焼付け時に酸化されるために材料成分と同様に酸素が検出される。このため、電極のオーミック成分と材料が接触しているとEPMAでは連続的に酸素が検出されるが、界面に酸化され難い貴金属成分が偏析している箇所や、密着不良で隙間が存在する箇所は酸素が検出されない。このとき界面の酸素が検出されない部分はマップ上では酸素部分とは異なる色で表されるので、この領域を接触している部分と比較し、よってオーミック成分が接触していない面積(非接触面積)の割合を算出した。具体的には図5に示す酸素元素のマッピングを用いて50μmにおいて検出強度を示すカウント数16以下で黒っぽく見える線分La(図6の境界の外郭をなぞった部分10の合計)と、カウント数17以上で白っぽく見える線分Lz(図6の境界線部分9の合計)をそれぞれ測定し、Laの割合(La/La+Lz)を算出する。これを4箇所測定し、この平均値を算出した。この線分の割合は面積に反映され比例するのでLa=Saとし面積の割合として求めた。
また、電極とPTC材料との界面に形成される界面抵抗は、上記電極を設けた厚みの異なる1mm、0.75mm、0.5mm、0.25mmのPTC素子を、それぞれ25℃で抵抗値を測定し、横軸に厚み、縦軸に抵抗値をプロットしたデータを取る。このデータから厚みと抵抗値との間の近似直線を求める。この近似直線をR=a・Δt+R0と表すと(Δt:厚み、R:PTC素子の抵抗値、a:材料の抵抗率)、グラフ上で厚みΔtが0の時の抵抗値R0を便宜的に算出することができる。本発明ではこの抵抗値R0を界面抵抗と見なした。
その結果、室温抵抗率R25は24.1Ω・cm、電極のオーミック成分がPTC材料に接触していない面積の割合は21%、界面抵抗は0.41Ω/cm2、キュリー温度163℃、抵抗温度係数αは7.5%/℃、経時変化は2.5%であった。
以下の発明では、車載用の補助ヒータ等での用途を目的に、室温抵抗率R25が50Ω・cm以下、抵抗温度係数αが7%/℃以上、13Vで1000時間通電したときの室温抵抗率の経時変化が5%以下の特性値を目的に評価した。
実施例2〜6は、電極のAgとZnの比率を変えた例である。AgとZnの比率を変えた以外は半導体磁器組成物の製造方法や電極の形成方法、評価方法も実施例1と同様の方法で行った。得られた結果を表1に示す。
実施例2〜6の結果は、室温抵抗率R25、抵抗温度係数αおよび経時変化ともに目的の特性値を満足するものであった。
比較例1〜2は、電極のAgとZnの比率をさらに変えて本発明の範囲外とした例である。AgとZnの比率を変えた以外は半導体磁器組成物の製造方法や電極の形成方法、評価方法も実施例1と同様の方法で行った。得られた結果を表1に示す。
実施例1〜6と比較例1〜2の結果から、電極の卑金属元素の比率が49%を下回るとオーミック成分がPTC材料に接触していない面積の割合が25%超となってしまい、界面抵抗も1.0Ω/cm2を超え、経時変化が5%超になっていることが分かる。尚、卑金属元素の割合が増えるにつれてオーミック成分がPTC材料に接触していない面積は減少し、界面抵抗、室温抵抗率R25、経時変化は小さくなるが、卑金属元素の割合が70%を超えると、上記傾向は逆になり、界面抵抗、室温抵抗率、経時変化は大きくなる。これは卑金属元素の割合が多くなりすぎると、卑金属元素の酸化の影響が無視できなくなるためと考えられる。
実施例7〜9は、電極の卑金属成分にSnを用い、卑金属成分の量を変えた例である。電極の組成を変え、焼付け温度を500℃とした以外は半導体磁器組成物の製造方法や電極の形成方法、評価方法も実施例1と同様の方法で行った。得られた結果を表1に示す。
実施例7〜9の結果は、室温抵抗率R25、抵抗温度係数αおよび経時変化ともに目的の特性値を満足するものであった。
比較例3〜4は電極のAgとSnの組成を本発明の範囲外とした例である。電極の組成を変えた以外は半導体磁器組成物の製造方法や電極の形成方法、評価方法も実施例7と同様の方法で行った。得られた結果を表1に示す。
比較例3〜4の結果はオーミック成分がPTC材料に接触していない面積の割合が25%超となってしまい、界面抵抗も1.0Ω/cm2を超え、経時変化が5%超の素子となっていることが分かる。実施例7〜9、及び比較例3、4の結果より、電極の卑金属元素の比率が49%を下回ると経時変化が目的の特性値を満足できなくなることが分かる。得られた特性は卑金属成分にZnを用いた場合とほぼ同様の傾向が見られ、電極のオーミック成分がPTC材料に接触していない面積の割合が特性に及ぼす影響が大きいことが分かる。
実施例10は電極の卑金属成分にZnとSbを用いた例である。電極の金属成分をAg:45重量%、Zn:50重量%、Sb:5重量%とした以外は半導体磁器組成物の製造方法や電極の形成方法、評価方法も実施例1と同様の方法で行った。得られた結果を表1に示す。
実施例10の結果は、室温抵抗率R25、抵抗温度係数αおよび経時変化ともに目的の特性値を満足するものであった。
実施例11は電極の卑金属成分にAlを用いた例である。電極の金属成分をAl:100重量%とし、焼付け温度を650℃とした以外は半導体磁器組成物の製造方法や電極の形成方法、評価方法も実施例1と同様の方法で行った。得られた結果を表1に示す。
実施例11の結果は、室温抵抗率R25、抵抗温度係数αおよび経時変化ともに目的の特性値を満足するものであった。
実施例12は電極の卑金属成分にNiを用いた例である。電極の金属成分をNi:100重量%とし、焼付け温度を850℃とした以外は半導体磁器組成物の製造方法や電極の形成方法、評価方法も実施例1と同様の方法で行った。得られた結果を表1に示す。
実施例12の結果は、室温抵抗率R25、抵抗温度係数αおよび経時変化ともに目的の特性値を満足するものであった。
実施例13〜16は、電極の焼付け条件を変えた例である。実施例13では昇温時間60℃/分、600℃で10分保持、降温時間60℃/分(300℃以上に晒される時間20分)、実施例14では昇温時間30℃/分、600℃で10分保持、降温時間30℃/分(300℃以上に晒される時間30分)、実施例15では昇温時間15℃/分、600℃で10分保持、降温時間17℃/分(300℃以上に晒される時間45分)、実施例16では昇温時間12℃/分、600℃で10分保持、降温時間12℃/分(300℃以上に晒される時間60分)で電極を焼きつけた。電極の焼付け条件を変えた以外は半導体磁器組成物の製造方法や電極の形成方法、評価方法も実施例1と同様の方法で行った。得られた結果を表1に示す。
実施例13〜16の結果は、室温抵抗率R25、抵抗温度係数αおよび経時変化ともに目的の特性値を満足するものであった。
実施例17は電極の焼付け時の雰囲気を窒素中で行った例である。電極の焼付け条件は400℃まで30℃/分(大気)、脱バインダのため400℃で30分大気で保持、その後炉内に窒素を導入し、600℃まで30℃/分で昇温後(窒素中)、600℃で10分保持(窒素中)、降音時間30℃/分(窒素中)の条件で行った。電極の焼付け条件を変えた以外は半導体磁器組成物の製造方法や電極の形成方法、評価方法も実施例1と同様の方法で行った。得られた結果を表1に示す。
実施例17の結果は、室温抵抗率R25、抵抗温度係数αおよび経時変化ともに目的の特性値を満足するものであった。
比較例5〜6は電極の焼付け条件を変えた例である。比較例5では600℃の炉内に素子を投入し、10分間保持した後、炉から取り出した(300℃以上に晒される時間10分)。比較例6では昇温時間10℃/分、600℃で10分保持、降温時間10℃/分(300℃以上に晒される時間70分)、の条件で電極を焼きつけた。電極の焼付け条件を変えた以外は半導体磁器組成物の製造方法や電極の形成方法、評価方法も実施例1と同様の方法で行った。得られた結果を表1に示す。比較例5〜6の結果はオーミック成分がPTC材料に接触していない面積の割合が25%以上となってしまい、界面抵抗も1.0Ω/cm2を超え、経時変化が5%以上の素子となっていることが分かる。実施例14〜16、及び比較例5、6の結果より、300℃以上に晒される時間が20分未満と短いと電極とPTC材料の密着性が悪く、非接触面積の割合が極端に大きくなってしまうことが分かる。また、300℃以上に晒される時間が60分を越えてしまうと、卑金属が過度に酸化されてしまい、非接触面積の割合が大きくなってしまい、室温抵抗も高くなってしまうことが分かる。
実施例18〜22は、PTC材料の組成式を[(Bi−Na)x(Ba1−yRy)1−x]TiO3(但し、RはLa)と表しxとyの比率を変えた例である。PTC材料の組成を変えた以外の半導体磁器組成物の製造方法や評価方法は実施例1と同様の方法で行った。得られた結果を表2に示す。
実施例18〜22の結果は、室温抵抗率R25、抵抗温度係数αおよび経時変化ともに目的の特性値を満足するものであった。
比較例7〜10は、PTC材料の組成式を[(Bi−Na)x(Ba1−yRy)1−x]TiO3(但し、Rは希土類元素のうち少なくとも一種)と表しxとyの比率をさらに変えて本発明の範囲外とした例である。それ以外の半導体磁器組成物の製造方法や電極形成方法、評価方法は実施例17と同様の方法で行った。得られた結果を表2に示す。
実施例18〜20、比較例9〜10の結果より、BNTの量xが0.30を超えてしまうと室温抵抗率R25が50Ω・cm超と高くなり、経時変化も5%を超えてしまうことが分かる。これはBNTの量が多すぎて異相が増えてしまうためだと考えられる。また、実施例2、21、22と比較例7、8の結果より、希土類元素の量yが0.020を超えてしまうと室温抵抗率R25が50Ω・cm超と高くなってしまうことが分かる。希土類元素は半導体化させるために入れているが、0.02を超えると返って抵抗が高くなる傾向にある。これは異相の増加が原因と考えられる。
実施例23は半導体化元素として希土類元素を用いずにTiの一部をTaで置換した例である。分割仮焼法を用いて次のようにしてPTC材料を得た。
BaCO3、TiO2、Ta2O5の原料粉末を準備し、Ba(Ti0.991Ta0.009)O3となるように配合し、純水で混合した。得られた混合原料粉末を900℃で4時間大気中で仮焼し、BT仮焼粉を用意した。
室温抵抗率R25は48.7Ω・cm、抵抗温度係数αは8.1%/℃、経時変化は4.4%で目的の特性を満足するものであった。
実施例24〜25はTa置換の量を変えた例である。それ以外の半導体磁器組成物の製造方法や電極形成方法、評価方法は実施例22と同様の方法で行った。得られた結果を表2に示す。
実施例24、25の結果は、室温抵抗率R25、抵抗温度係数αおよび経時変化ともに目的の特性値を満足するものであった。
比較例11〜12はTa置換の量を変えた例である。それ以外の半導体磁器組成物の製造方法や電極形成方法、評価方法は実施例22と同様の方法で行った。得られた結果を表2に示す。
実施例23〜25、比較例11、12の結果より、Tiの置換量zが0.010を超えてしまうと室温抵抗率R25が目的の50Ω・cmを超えてしまい、目的の特性値を満足できなくなってしまうことが分かる。半導体化するためにTiの一部をTaで置換しているが、置換量が増えるにしたがって抵抗が単調に減少しないのは異相が増えているためであると考えられる。
但し、上述した比較例7や比較例11、12及び下記する比較例13、14は、経時変化だけをとると満足できる値を示している。これらの例については、非接触面積の割合が25%以下であることが経時変化の低減に寄与していると考えられ、経時変化低減の作用効果は必ずしもPTC材料の組成にはよらないと言える。従って、経時変化の低減効果だけを目的とする場合は、上記比較例7、11、12は実施例あるいは参考例とも言える。
実施例26は半導体化元素として希土類元素を用いずにTiの一部をNbで置換した例である。分割仮焼法を用いて次のようにしてPTC材料を得た。
BaCO3、TiO2、Nb2O5の原料粉末を準備し、Ba(Ti0.997Nb0.003)O3となるように配合し、純水で混合した。得られた混合原料粉末を900℃で4時間大気中で仮焼し、BT仮焼粉を用意した。
室温抵抗率R25は47.8Ω・cm、抵抗温度係数αは7.9%/℃、経時変化は3.9%で目的の特性を満足するものであった。
実施例27は半導体化元素としてBaサイトの一部をLaで、Tiの一部をTaで置換した例である。分割仮焼法を用いて次のようにしてPTC材料を得た。
BaCO3、TiO2、La2O3、Ta2O5の原料粉末を準備し、(Ba0.997La0.003)(Ti0.997Ta0.003)O3となるように配合し、純水で混合した。得られた混合原料粉末を900℃で4時間大気中で仮焼し、BT仮焼粉を用意した。
室温抵抗率R25は30.5Ω・cm、抵抗温度係数αは8.1%/℃、経時変化は3.3%で目的の特性を満足するものであった。
実施例28〜30は実施例1と同様の組成と製造方法を用いて焼結体を得たものである。但し、(Ba0.994R0.006)TiO3の希土類元素Rを変えた例である。実施例28ではY、実施例29ではSm、実施例30ではNdでBaサイトを置換した。希土類元素の種類を変えた以外の半導体磁器組成物の製造方法や評価方法は実施例1と同様の方法で行った。得られた結果を表2に示す。
実施例28〜30の結果は、室温抵抗率R25、抵抗温度係数αおよび経時変化ともに目的の特性値を満足するものであった。
実施例31は、組成式を[(Bi−Na)x(Ba1−y−θRyAθ)1−x]TiO3(但し、RはLa、AはCa)と表し、Baサイトの一部をCaで置換した例である。分割仮焼法を用いて次のようにしてPTC材料を得た。
BaCO3、La2O3、TiO2、CaCO3の原料粉末を準備し、(Ba0.944Ca0.05La0.006)TiO3となるように配合し、純水で混合した。得られた混合原料粉末を900℃で4時間大気中で仮焼し、BT仮焼粉を用意した。
室温抵抗率R25は23.5Ω・cm、抵抗温度係数αは7.3%/℃、経時変化は2.4%で目的の特性を満足するものであった。
実施例32〜35は、組成式を[(Bi−Na)x(Ba1−y−θRyAθ)1−x]TiO3(但し、RはLa、AはCa)と表し、Ca置換量θの比率を変えた例である。それ以外の半導体磁器組成物の製造方法や電極の形成方法、評価方法は実施例31と同様の方法で行った。得られた結果を表3に示す。
実施例32〜35の結果は、室温抵抗率R25、抵抗温度係数αおよび経時変化ともに目的の特性値を満足するものであった。
比較例13〜14は、組成式を[(Bi−Na)x(Ba1−y−θRyAθ)1−x]TiO3(但し、RはLa、AはCa)と表し、Ca置換量θの比率を請求項の範囲外とした例である。それ以外のPTC素子の作製方法及び評価方法は実施例31と同様の方法で行った。得られた結果を表3に示す。
実施例31〜35、比較例13、14の結果からθの値が増加し0.20に近づくほどオーミック成分がPTC材料の接触していない面積比率が減少し、密着性が高くなっていることが分かる。また、界面抵抗も減少し、室温抵抗率R25、抵抗温度係数α、経時変化が全て小さくなる傾向が見られた。ただし、θが0.20を超えてしまうと抵抗温度係数αが7.0を下回ってしまうため好ましくない。比較例14の結果から、θの値が0.20を大きく超えてしまうと、室温抵抗率R25が増加する傾向が見られたことから、θが0.20より多いCaの過剰な置換は逆効果になってしまうことが分かる。よって、θの値は0.20以下を目処に設定すると良い。
実施例36は、組成式を[(Bi−Na)x(Ba1−y−θRyAθ)1−x]TiO3(但し、RはLa、AはSr)と表し、Baサイトの一部をSrで置換した例である。分割仮焼法を用いて次のようにしてPTC材料を得た。
BaCO3、La2O3、TiO2、SrCO3の原料粉末を準備し、(Ba0.984Sr0.01La0.006)TiO3となるように配合し、純水で混合した。得られた混合原料粉末を900℃で4時間大気中で仮焼し、BT仮焼粉を用意した。
室温抵抗率R25は22.9Ω・cm、抵抗温度係数αは7.8%/℃、経時変化は2.7%で目的の特性を満足するものであった。
実施例37〜38は、組成式を[(Bi−Na)x(Ba1−y−θRyAθ)1−x]TiO3(但し、RはLa、AはSr)と表し、Sr置換量θの比率を変えた例である。それ以外の半導体磁器組成物の製造方法や電極の形成方法、評価方法は実施例35と同様の方法で行った。得られた結果を表3に示す。
実施例37〜38の結果は、室温抵抗率R25、抵抗温度係数αおよび経時変化ともに目的の特性値を満足するものであった。
実施例39は、組成式を[(Bi−Na)x(Ba1−y−θRyAθ)1−x]TiO3(但し、RはLa、AはCa、Sr)と表し、Baサイトの一部をCaとSrで置換した例である。分割仮焼法を用いて次のようにしてPTC材料を得た。
BaCO3、La2O3、TiO2、CaCO3、SrCO3の原料粉末を準備し、(Ba0.844Ca0.10Sr0.05La0.006)TiO3となるように配合し、純水で混合した。得られた混合原料粉末を900℃で4時間大気中で仮焼し、BT仮焼粉を用意した。
室温抵抗率R25は10.4Ω・cm、抵抗温度係数αは7.3%/℃、経時変化は1.6%で目的の特性を満足するものであった。
実施例40は、組成式を[(Bi−Na)x(Ba1−θAθ)1−x]Ti1−zMzO3(但し、AはCa、MはTa)と表し、Baサイトの一部をCa、Tiサイトの一部をTaで置換した例である。分割仮焼法を用いて次のようにしてPTC材料を得た。
BaCO3、TiO2、Ta2O5、CaCO3の原料粉末を準備し、(Ba0.99Ca0.05)TiO3となるように配合し、純水で混合した。得られた混合原料粉末を900℃で4時間大気中で仮焼し、BT仮焼粉を用意した。
室温抵抗率R25は35.3Ω・cm、抵抗温度係数αは7.7%/℃、経時変化は3.7%で目的の特性を満足するものであった。
実施例41〜42は、組成式を[(Bi−Na)x(Ba1−θAθ)1−x]Ti1−zMzO3(但し、AはCa、MはTa)と表し、Ca置換量θの比率を変えた例である。それ以外の半導体磁器組成物の製造方法や電極の形成方法、評価方法は実施例40と同様の方法で行った。得られた結果を表3に示す。
実施例41〜42の結果は、室温抵抗率R25、抵抗温度係数αおよび経時変化ともに目的の特性値を満足するものであった。
実施例43は、組成式を[(Bi−Na)x(Ba1−y−θRyAθ)1−x]Ti1−zMzO3(但し、RはLa、AはCa、MはTa)と表し、Baサイトの一部をCaとLa、Tiサイトの一部をTaで置換した例である。分割仮焼法を用いて次のようにしてPTC材料を得た。
BaCO3、La2O3、TiO2、CaCO3、Ta2O5の原料粉末を準備し、(Ba0.897Ca0.10La0.003)(Ti0.997Ta0.003)O3となるように配合し、純水で混合した。得られた混合原料粉末を900℃で4時間大気中で仮焼し、BT仮焼粉を用意した。
室温抵抗率R25は12.0Ω・cm、抵抗温度係数αは7.4%/℃、経時変化は1.5%で目的の特性を満足するものであった。
本発明のPTC素子を、図3に示すように金属製の放熱フィン20a1、20b1、20c1に挟み込んで固定し、発熱モジュール20を得た。PTC素子11はPTC材料1aからなり、電極2a、2cはそれぞれ正極側の電力供給電極20a、20cに熱的および電気的に密着され、他方の面に形成した電極2bは負極側の電力供給電極20bに熱的および電気的に密着される。
また、電力供給電極20a、20b、20cはそれぞれ放熱フィン20a1、20b1、20c1と熱的に接続している。なお、絶縁層2dは電力供給電極20aと電力供給電極20cの間に設けられ、両者を電気的に絶縁している。発熱体11で生じた熱は電極2a、2b、2c、電力供給電極20a、20b、20c、放熱フィン20a1、20b1、20c1の順に伝わり主に放熱フィン20a1、20b1、20c1から雰囲気中に放出される。
この加熱能力切り替え可能な発熱モジュール20を電源30cに接続することで加熱装置30を構成することができる。なお、電源30cは直流電源である。発熱モジュール20の電力供給電極20aと電力供給電極20cはそれぞれ別のスイッチ30a、30bを介して電源30cの一方の電極に並列接続され、電力供給電極20bは共通端子として電源30cの他方の電極に接続される。
スイッチ30a、30bの何れか一方のみを導通させれば加熱能力を小さくして電源30cの負荷を軽くすることができ、両方を導通すれば加熱能力を大きくすることができる。
この加熱装置30は、放熱フィン20a1〜20c1の間に空気を流して空気を暖めたり、放熱フィン20a1〜20c1の間に水などの液体を通す金属管を接続して液体を温めたりすることができる。このときもPTC素子11が一定温度に保たれるので、安全な加熱装置30とすることができる。
この発熱モジュール12は略扁平直方体状のモジュールであり、実施例の半導体磁器組成物が略直方体状に加工されたPTC素子3と、素子3の上下面に設けられた電極3a、3bと、PTC素子3及び電極3a、3bとを覆う絶縁コーティング層5と、それぞれ電極3a、3bに接続し絶縁コーティング層5から外部に露出された引き出し電極4a、4bとを有する。この発熱モジュール12には、発熱モジュール12の上下面を貫通し、その内周面が絶縁コーティング層5で覆われる複数の貫通孔6が設けられている。
この発熱モジュール12は、貫通孔6に流体を流すことで流体を加熱することができる。このとき、電流の流れるPTC素子3及び電極3a、4aは絶縁コーティング層5で覆われているので、流体と直接接触することがないので導電性の液体を加熱することができる。したがって発熱モジュール12は電気導電性を有する塩水等の流体を瞬間的に加熱する用途に適している。
Claims (3)
- 少なくとも2つのオーミック電極と、前記電極の間に配置されたBaTiO3のBaの一部がBi−Naで置換された半導体磁器組成物とを有するPTC素子であって、前記半導体磁器組成物が、組成式を[(Bi-Na)x(Ba1−y−θRyAθ)1−x]Ti1−zMzO3(但し、Rは希土類元素のうち少なくとも一種、AはCa、Srのうち少なくとも一種、MはNb、Ta、Sbのうち少なくとも一種)と表し、前記x、y、z、θが、0<x≦0.30、0≦y≦0.020、0≦z≦0.010、0≦θ≦0.20を満足し、前記電極と半導体磁器組成物の界面において電極のオーミック成分と半導体磁器組成物が接触していない面積の割合が25%以下であることを特徴とするPTC素子。
- 前記オーミック電極は、その電極材料を構成する金属成分を100重量%としたとき、Agが0重量%を含み51重量%以下、残部をNi、Al、Sn、Zn、Sbのいずれか一種以上の卑金属元素からなる合金もしくは混合物であることを特徴とする請求項1に記載のPTC素子。
- 請求項1または2に記載のPTC素子と、前記PTC素子に設けられた電力供給電極とを備えることを特徴とする発熱モジュール。
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