JP2012169306A - 光電変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子及び正孔の再結合寿命の影響を低減することが可能な光電変換素子を提供する。
【解決手段】p層と、n層と、p層及びn層の間に配設された中間準位を有する中間準位部とを有し、熱平衡状態におけるフェルミ準位が中間準位よりも高いレベルである高領域と、熱平衡状態におけるフェルミ準位が中間準位よりも低いレベルである低領域との境界部の少なくとも1つにおいて、不純物の濃度が段階的に変化している、光電変換素子とする。
【選択図】図8

Description

本発明は、バンドギャップ中に中間準位を有する層を備えた光電変換素子に関する。
太陽電池は、発電量当たりの二酸化炭素排出量が少なく、発電用の燃料が不要という利点を有している。そのため、様々な種類の太陽電池に関する研究が、盛んに進められている。現在、実用化されている太陽電池の中では、単結晶シリコン又は多結晶シリコンを用いた、一組のpn接合を有する単接合太陽電池が主流となっている。ところが、単接合太陽電池の光電変換効率の理論限界(以下において、「理論限界効率」という。)は約30%に留まっているため、理論限界効率をさらに向上させる新たな方法が検討されている。
これまでに検討されている新たな方法の1つに、バンドギャップ中に狭いバンドあるいは準位を有する中間準位型太陽電池がある。中間準位を生成させる方法としては、量子ドット等の量子構造を用いる方法や、深い準位を生成する特殊な不純物を用いる方法が知られている。これらの構造を用いることにより、これまで用いられていた半導体のバンドギャップ中に中間準位を形成することが可能になり、従来の太陽電池では吸収することができなかった帯域の太陽光スペクトルをも吸収させることが可能になる。そのため、量子構造を利用した太陽電池によれば、理論限界効率を60%以上にまで向上させることも可能になると考えられている。
このような太陽電池に関する技術として、例えば特許文献1には、pin構造で構成され、光検知層であるi層に3次元量子閉じ込め作用をもつ量子ドットを含み、量子ドット及びそれを囲むバリア層のエネルギ・バンド構造がtypeIIを成すことを特徴とする太陽電池が開示されている。また、特許文献2には、p型半導体及びn型半導体の間に配設された多重量子井戸層内における不純物濃度を、厚さ方向に連続的又は段階的に変化させた太陽電池が開示されている。また、特許文献3には、特殊な不純物として酸素を用いて中間準位を生成させた太陽電池が開示されている。
特開2006−114815号公報 特開平11−220150号公報 特開2009−117431号公報
特許文献1に開示されている技術によれば、量子ドットを用いているので、従来よりも広い帯域の太陽光スペクトルを吸収可能な太陽電池を提供することが可能になると考えられる。しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、光が照射されて生成された電子及び正孔(以下において、これらをまとめて「キャリア」ということがある。)が高密度に存在すると、p型半導体層(p層)及びn型半導体層(n層)の間に配設されたi層のバンドの傾斜がなくなるため、i層で生成された電子及び正孔が再結合しやすく、その結果、太陽電池の出力が低減しやすいという問題があった。また、特許文献2には、多重量子井戸層内における不純物濃度を変化させる思想が開示されているが、異なる原理を用いる中間準位型太陽電池への応用については、言及がない。また、特許文献3には、特殊な不純物として酸素を用いる形態が開示されているが、特許文献1に開示されている技術と同様に、中間準位の存在する層のバンド傾斜がなく、電子と正孔が再結合しやすい。それゆえ、特許文献1乃至特許文献3に開示されている技術を単に用いても、中間準位を用いた光電変換素子における、電子及び正孔の再結合の頻度を低減することは困難であった。
そこで本発明は、電子及び正孔の再結合寿命の影響を低減することが可能な、中間準位を用いた光電変換素子を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。すなわち、
本発明は、p層と、n層と、p層及びn層の間に配設された中間準位を有する中間準位部と、を有し、熱平衡状態におけるフェルミ準位が上記中間準位よりも高いレベルである高領域と、熱平衡状態におけるフェルミ準位が上記中間準位よりも低いレベルである低領域との境界部の少なくとも1つにおいて、不純物の濃度が段階的に変化していることを特徴とする、光電変換素子である。
本発明において、「中間準位部」とは、例えば、量子ドット、量子井戸、及び、量子細線等に代表される量子構造部のほか、深い準位を生成する特殊な不純物(例えば、ZnTe中の酸素やSi(シリコン)中のTi、Au(チタン、金)等)を用いて生成した中間準位を有する部位をいう。また、「不純物の濃度が段階的に変化している」とは、n型不純物(中間準位部へと添加することにより中間準位部に電子を生じさせることができる物質)やp型不純物(中間準位部へと添加することにより中間準位部に正孔を生じさせることができる物質)の添加濃度が段階的に(不連続に)変化していることをいう。本発明において、「不純物の濃度が、段階的に変化している」には、例えば、中間準位部の厚さ方向(p層、中間準位部、及び、n層の積層方向)の中央からn層側の領域にn型不純物を添加し、且つ、中間準位部の厚さ方向の中央からp層側の領域にp型不純物を添加する(又は、n型不純物もp型不純物も添加しない)形態も含まれる。本発明において、「光電変換素子」は、光検出素子や太陽電池等を含む概念である。
また、上記本発明において、不純物の濃度が段階的に変化している部位において、高領域の熱平衡状態におけるフェルミ準位と、低領域の熱平衡状態におけるフェルミ準位との差が、少なくとも60meVであることが好ましい。
本発明の光電変換素子では、中間準位部の境界部の少なくとも一つにおいて、不純物の濃度が、段階的に変化している。不純物の濃度を段階的に変化させることにより、電子及び正孔が高密度に存在している場合においても、中間準位部のバンドを傾斜させることが可能になる。中間準位部のバンドを傾斜させることにより、電子をn層側へ、正孔をp層側へ、それぞれ移動させやすくなるので、中間準位部で電子及び正孔が再結合する頻度を低減することが可能になる。また、中間準位部に高領域及び低領域が含まれていることにより、中間準位部における電子及び正孔の再結合寿命の影響を低減することが容易になる。したがって、本発明によれば、電子及び正孔の再結合寿命の影響を低減することが可能な、中間準位を用いた光電変換素子を提供することができる。
また、本発明の光電変換素子において、不純物の濃度が段階的に変化している部位で、高領域の熱平衡状態におけるフェルミ準位と、低領域の熱平衡状態におけるフェルミ準位との差が、少なくとも60meVであることにより、電子と正孔が共に高密度に存在する領域を狭くすることができ、電子及び正孔が再結合する頻度を低減することが容易になる。
太陽電池10を説明する断面図である。 太陽電池10を説明するバンド図である。 太陽電池90を説明するバンド図である。 太陽電池10を説明する図である。 太陽電池10の不純物の添加形態を説明する図である。 太陽電池10を説明する図である。 太陽電池20を説明する断面図である。 太陽電池20の不純物の添加形態を説明する図である。 太陽電池20を説明する図である。 太陽電池30の不純物の添加形態を説明する図である。 太陽電池30を説明する図である。 太陽電池40を説明する図である。 急峻pn型の太陽電池を説明するバンド図である。 従来のpin型太陽電池を説明するバンド図である。 計算結果を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一形態である太陽電池について説明する。なお、以下の説明では、量子構造部として量子ドットを用いた形態、及び、深い準位を生成する特殊な不純物として酸素を用いた形態を例示するが、これらの形態は本発明の例示であり、本発明は以下に示す形態に限定されるものではない。
図1は、第1実施形態にかかる本発明の太陽電池10を簡略化して示す断面図である。図1では、一部符号の記載を省略している。図1に示すように、太陽電池10は、n層11と、p層12と、n層11とp層12との間に配設された中間準位部13と、n層11に接続された透明電極14と、透明電極14に接続された第1電極15と、p層12に接続された第2電極16と、を有している。中間準位部13は、n型不純物が添加されている第1部位13a(高領域。以下において同じ。)と、p型不純物が添加されている第2部位13b(低領域。以下において同じ。)とを有し、第1部位13aはn層11側に、第2部位13bはp層12側に、それぞれ位置している。第1部位13aは、量子ドット13ax、13ax、…(以下において、単に「量子ドット13ax」ということがある。)、及び、該量子ドット13axと接触し且つその周囲に形成された第2半導体部13ay、13ay、…(以下において、単に「第2半導体部13ay」ということがある。)を有し、第2部位13bは、量子ドット13bx、13bx、…(以下において、単に「量子ドット13bx」ということがある。)、及び、該量子ドット13bxと接触し且つその周囲に形成された第2半導体部13by、13by、…(以下において、単に「第2半導体部13by」ということがある。)を有している。
図2は、太陽電池10を説明するバンド図であり、図3は、従来の太陽電池90を説明するバンド図である。図2及び図3の紙面上側ほど電子のエネルギーが高く、紙面下側ほど正孔のエネルギーが高い。図2の紙面左右方向は、太陽電池10の厚さ方向と対応しており、図3の紙面左右方向は、太陽電池90の厚さ方向と対応している。図2では、太陽電池10の各構成要素と対応する符号を付し、一部符号の記載を省略している。また、図3において、太陽電池10と同様の構成には図1及び図2で使用した符号と同一の符号を付している。図2において、紙面右側から左側へと向かう矢印は、電子の移動形態を示しており、紙面左側から右側へと向かう矢印は、正孔の移動形態を示している。便宜上、図2及び図3では、バンド構造を簡略化して示している。
図2に示すように、太陽電池10は、主にn層11及びp層12によって内部電界が形成されており、第1部位13a及び第2部位13bのバンドが傾斜している。これに対し、図3に示すように、太陽電池90は、n層11及びp層12と、n層11及びp層12の間に配設されたi層91(中間準位部)と、を有しており、i層91には量子ドット91a、91a、…が設けられている。このように構成される太陽電池90において、i層91の少なくとも厚さ方向中央部ではバンドがほとんど傾斜していない。それゆえ、太陽電池90では、i層91で生成されたキャリアがi層91に留まりやすく、電子及び正孔がi層91において出会いやすかったため、i層91で再結合が生じやすかった。これに対し、太陽電池10では、第1部位13a及び第2部位13bのバンドが傾斜しているので、第1部位13a及び第2部位13bで生成されたキャリアは、内部電界に起因する力によってn層11又はp層12へ向かって移動することができる。それゆえ、厚さ方向中央部のバンドがほとんど傾斜していないi層91とは異なり、第1部位13a及び第2部位13bにおいて電子と正孔とが出会う頻度を低減することが可能になるので、再結合の発生頻度を低減することができる。
図2に戻って太陽電池10の説明を続ける。図2に示すように、量子ドット13axを構成する半導体(第1半導体)のバンドギャップは、第2半導体部13ayを構成する半導体(第2半導体)のバンドギャップよりも小さい。そして、SK成長法等によって製造時に適切な大きさ(例えば、図2の紙面左右方向の長さが最大20nm程度)に制御された量子ドット13axにより、第2半導体部13ayのバンドギャップの中間に、複数の電子を収容可能な1つの量子準位(中間準位)が形成されている。第1部位13aにおいて、中間準位は、第2半導体部13ayの伝導帯下端と価電子帯上端との間に位置しており、図2において第2半導体部13ayの価電子帯上端よりも上方に位置している量子ドット13axの価電子帯上端と第2半導体部13ayの価電子帯上端とのエネルギー差は、太陽電池10の使用時に熱エネルギーを付与された正孔が乗り越えられるエネルギー差とされている。また、量子ドット13bxを構成する半導体(第1半導体)のバンドギャップは、第2半導体部13byを構成する半導体(第2半導体)のバンドギャップよりも小さい。そして、SK成長法等によって製造時に適切な大きさ(例えば、図2の紙面左右方向の長さが最大20nm程度)に制御された量子ドット13bxにより、第2半導体部13byのバンドギャップの中間に、複数の電子を収容可能な1つの量子準位(中間準位)が形成されている。第2部位13bにおいて、中間準位は、第2半導体部13byの伝導帯下端と価電子帯上端との間に位置しており、図2において第2半導体部13byの価電子帯上端よりも上方に位置している量子ドット13bxの価電子帯上端と第2半導体部13byの価電子帯上端とのエネルギー差は、太陽電池10の使用時に熱エネルギーを付与された正孔が乗り越えられるエネルギー差とされている。
太陽電池10では、中間準位部13へと光が入射すると、主に、量子ドット13ax、第2半導体部13ay、量子ドット13bx、及び、第2半導体部13byで、電子−正孔対が発生する。第2半導体部13ayや第2半導体部13byは比較的高エネルギーで短波長の光を吸収して電子−正孔対を生じ、発生したキャリアは第2半導体部13ayや第2半導体部13byをドリフト移動し、電子はn層11へ、正孔はp層12へと達する。
一方、量子ドット13axでは中間準位を形成する量子準位が電子で満たされており、この電子が比較的低エネルギーで長波長の光を吸収して第2半導体部13ayの伝導帯と同じか又はより高いエネルギーレベルにたたき上げられて第2半導体部13ayの伝導帯に移動し、同時に量子準位に正孔が生じる。ここで、第2半導体部13ayの伝導帯に移動した電子は、上記比較的高エネルギーで短波長の光を吸収して生じた電子と同様に、第2半導体部13ayをドリフト移動し、n層11へ達する。
量子ドット13bxにおいては、中間準位を形成する量子準位が空であり、すなわち正孔で満たされている。ここで量子ドット13bxの価電子帯の電子が比較的低エネルギーで長波長の光を吸収して量子ドット13bxの量子準位に飛び込み、同時に量子ドット13bxの価電子帯に正孔が生じる。この正孔は、上記比較的高エネルギーで短波長の光を吸収して生じた正孔と同様に、第2半導体部13byをドリフト移動し、p層12へ達する。
ここで、太陽電池10は、隣り合う量子ドット13ax、13ax、隣り合う量子ドット13ax、13bx、及び、隣り合う量子ドット13bx、13bx(以下において、これらをまとめて単に「隣り合う量子ドット」という。)の間を電子がトンネル伝導により移動可能なように、隣り合う量子ドットの間隔が調節されている。すなわち、量子準位(中間準位)に存在している電子は、トンネル伝導により隣り合う量子ドットの間を移動することができるので、マクロに見ると、隣り合う量子ドットの量子準位(中間準位)が繋がって、1つのミニバンドが形成されているとみなすこともできる。
このように、量子ドット13axの量子準位に生じた正孔や量子ドット13bxの量子準位に生じた電子は、トンネル伝導によって隣り合う量子ドットの間を容易に移動することができ、最終的に量子ドット13axの量子準位に生じた正孔は量子ドット13bxの量子準位に移動し、量子ドット13bxの量子準位に生じた電子は量子ドット13axの量子準位に移動して、再び比較的低エネルギーで長波長の光を吸収することができる。
このようにして、太陽電池10は従来の単接合型太陽電池では利用できなかった比較的低エネルギーで長波長の光を吸収、利用することができ、高いエネルギー変換効率を達成することができる。
図4は、太陽電池10に光を照射しない状態におけるフェルミ準位の形態を説明する図であり、図5は、太陽電池10の不純物の添加形態を説明する図である。また、図6は、太陽電池10のバンド構造を説明する図である。図4及び図6の紙面上側ほど電子のエネルギーが高く、紙面下側ほど正孔のエネルギーが高い。また、図4乃至図6の紙面左右方向は、太陽電池10の厚さ方向に対応している。上述のように、太陽電池10をマクロに見ると、隣り合う量子ドットの量子準位が繋がって、1つのミニバンドが形成されているとみなすことができる。そこで、図4及び図6では、この1つのミニバンドを「中間準位」として記載した。なお、図4における「CBM」は伝導帯下端を意味し、「VBM」は価電子帯上端を意味し、「DOS」は状態密度を意味する。
図4に示すように、第1部位13aのフェルミ準位は、中間準位と第2半導体部13ayの伝導帯下端との間に位置しており、第2部位13bのフェルミ準位は、中間準位と第2半導体部13byの価電子帯上端との間に位置している。半導体内部ではフェルミ準位を水平に保とうとする働きが生じるため、太陽電池10に光を照射しない状態では、中間準位部13のフェルミ準位は水平の直線状になり、中間準位部のバンドは左下がりに傾斜する。ここで、フェルミ準位の高さは、n型不純物又はp型不純物をドープすることによって制御が可能である。ドープ強度に対するフェルミ準位の高さの感度は、フェルミ準位での状態密度(DOS)に依存し、DOSが小さいとドープ強度に極めて敏感に変化する。したがって、フェルミ準位が中間準位よりも高くCBMよりも低い中間準位部13a(第1部位13a)、及び、フェルミ準位が中間準位よりも低くVBMよりも高い中間準位部13b(第2部位13b)では、フェルミ準位でのDOSがほとんどゼロであるため、ドープ強度をわずかに変化させただけで大きくフェルミ準位が変化する。一方、中間準位部13a(第1部位13a)と中間準位部13b(第2部位13b)との間の領域である中間準位部13cでは、フェルミ準位におけるDOSが有限の値を持っているため、ドープ強度変化に対してフェルミ準位の変化は小さく、所望のフェルミ準位の変化を得るためにはドープ強度を大きく変化させる必要がある。このような中間準位部13を備える太陽電池10は、図5に示すような形態で、第1部位13aにn型不純物を添加し、且つ、第2部位13bにp型不純物を添加することによって、作製することができる。ここで、図5の縦軸である「ドープ強度」とは、中間準位の半分が電子で埋められた状態と等価である中間準位の中央にフェルミ準位が位置する状態を基準として、不純物添加や欠陥の導入によって新たに加えられた電子又は正孔の密度を言うために新たに導入した概念である。したがって、ドープ強度は相対的な概念であり、ドープ濃度と同一の概念ではない。例えばドープ強度がp型を示していても、アクセプタ不純物(p型不純物)が添加されていない、ということがあり得る。太陽電池10のように、量子ドットによって中間準位を形成する場合、量子ドットにドープをしていなければ中間準位を埋める電子は全く存在しないため、この場合は、中間準位の半分を埋める量の電子を供給するドナー不純物(n型不純物)のドープが、図5におけるドープ強度ゼロに相当する。太陽電池10において、第1部位13aは、中間準位をちょうど埋める電子を供給する濃度のn型不純物を添加する不純物添加形態であるのに対し、第2部位13bには、第1部位13aに添加したn型不純物よりも低い濃度のp型不純物が添加されている。電気エネルギーを取り出しやすい形態にする等の観点から、太陽電池10において、n層11及びp層12は、強いn型、p型であることが好ましいので、従来の太陽電池と同様に、十分に濃いn型不純物、p型不純物を添加すれば良い。図5に示す不純物添加形態とすることにより、図6に示すように、第1部位13a及び第2部位13bの厚さ方向の略全長に亘って、伝導帯下端、中間準位、及び、価電子帯上端を傾斜させることができる。
太陽電池10のような、中間準位を有する太陽電池は、バンドギャップが狭い半導体の微粒子をバンドギャップが広い半導体の中に埋め込んだり、不純物を濃く添加したりする等の方法を用いて中間準位を形成するため、中間準位部に欠陥が生じやすい。欠陥が多量に存在すると、電子及び正孔の再結合寿命が短くなるため、電子及び正孔の再結合頻度を低減するためには、欠陥による再結合を生じ難くする対策を施すことが好ましい。そこで、以下に、欠陥による再結合を生じ難くする対策を施した、本発明の他の実施形態について説明する。
図7乃至図9は、第2実施形態にかかる本発明の太陽電池20を説明する図である。図7は図1と対応する図であり、図8は図5と対応する図であり、図9は図6と対応する図である。図8では、太陽電池20における不純物添加形態を実線で、太陽電池10における不純物添加形態を点線で、それぞれ示している。図9において、ΔEはエネルギー差、ΔEは熱平衡状態でのエネルギー差、Egはバンドギャップエネルギー、Vは出力電圧である。図7乃至図9において、太陽電池10と同様の構成には、図1乃至図6で使用した符号と同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。図1及び図7に示すように、太陽電池10と太陽電池20とは、太陽電池10における中間準位部13に代えて中間準位部21が備えられているほかは、構成が共通している。中間準位部21は、n型不純物が添加されている第1部位21a(高領域。以下において同じ。)と、p型不純物が添加されている第2部位21b(低領域。以下において同じ。)と、を有し、第1部位21aはn層11側に、第2部位21bはp層12側に、それぞれ位置している。第1部位21aは、量子ドット13ax、及び、該量子ドット13axと接触し且つその周囲に形成された第2半導体部21ay、21ay、…(以下において、単に「第2半導体部21ay」ということがある。)を有し、第2部位21bは、量子ドット13bx及び該量子ドット13bxと接触し且つその周囲に形成された第2半導体部21by、21by、…(以下において、単に「第2半導体部21by」ということがある。)を有している。
図8に示すように、第1部位21aには第1部位13aよりもn型不純物が多く添加されており、第2部位21bには第1部位13bよりもp型不純物が多く添加されている。具体的には、第1部位21aには、中間準位がちょうど電子で埋まるよりもわずかに多いn型不純物(=原子数にして6〜9×1010cm−2のn型不純物)が添加されており、第2部位21bには、中間準位がちょうど空になるよりもわずかに多いp型不純物(=原子数にして3×1010cm−2以下のp型不純物)が添加されている。n型不純物やp型不純物をこのように添加することにより、第1部位21aと第2部位21bのバンドに高さΔEの段差を与えることができる。ΔEが常温での熱エネルギーに相当する30meV以上であれば、第1部位21aの電子は段差を乗り越えて第2部位21bに移動することができず、また、第2部位21bの正孔は段差を乗り越えて第1部位21aに移動することができないので、電子及び正孔の再結合頻度を低減することが可能になる。ΔEの値は図9に示した式から導出できる。この式において、「(E−V)/E」の値は、一般的に0.5から0.3の値をとるので、熱平衡状態でのエネルギー差ΔEの値は、60meV以上であることが好ましい。加えて、図9に示すように、太陽電池20によれば、第1部位21a及び第2部位21bのバンドを傾斜させることができるので、第1部位21a及び第2部位21bで生成されたキャリアは、内部電界に起因する力によってn層11又はp層12へ向かって移動することができる。それゆえ、太陽電池20によれば、第1部位21a及び第2部位21bにおいて電子と正孔とが出会う頻度を低減することが可能になるので、再結合の発生頻度を低減することができる。
このように構成される太陽電池20は、例えば以下の方法により製造することができる。
分子線エピタキシャル成長装置(MBE装置)内に配置した、1019cm−3程度の電子密度が得られるように強いn型不純物ドープ(Siドープ)を施した厚さ50nm程度のGaAs層であるn層11の上に、InAsを照射し、SK(Stranski-Krastanov)成長法によって量子ドット13axを形成する。ここで照射するInAsの量は、蒸発分を除いたInAsを2〜7分子層堆積させる量である。こうして量子ドット13axを形成したら、量子ドット13axの上に、GaAsを照射し、30nm程度の厚さのGaAsを成長させることにより、第2半導体部21ayを形成する。ここで、GaAsを成長させることにより第2半導体部21ayを形成している間に、Siの分子線照射を行い、中間準位がちょうど電子で埋まるよりもわずかに濃いnドープ(=原子数にして6〜9×1010cm−2のnドープ)を行う。ここで、Siの分子線照射時間は、例えば数秒程度とすることができる。Siの分子線照射時間は、分子線源の温度を予め固定した上で、InAsの照射量に比例させ、比例係数は予め行った予備実験の結果に基づいて決定しておくことで、Si添加量を高精度に制御することが可能になる。こうして第2半導体部21ayを形成したら、第2半導体部21ayの上に上記方法で量子ドット13axを形成する工程と、量子ドット13axの上に上記方法で第2半導体部21ayを形成する工程とを所定回数繰り返すことにより、第1部位21aを作製することができる。
こうして第1部位21aを作製したら、第1部位21aの上に、InAsを照射し、量子ドット13axの形成法と同様の方法によって、量子ドット13bxを形成する。こうして量子ドット13bxを形成したら、量子ドット13bxの上に、GaAsを照射し、20nm程度の厚さのGaAsを成長させることにより、第2半導体部21byを形成する。ここで、GaAsを成長させることにより第2半導体部21byを形成している間に、Beの分子線照射を行い、ごく薄いpドープ(=原子数にして3×1010cm−2以下のpドープ)を行う。ここで、Beの分子線照射時間は、Siの分子線照射時間の1/2〜1/3程度とすることができる。こうして第2半導体部21byを形成したら、第2半導体部21byの上に上記方法で量子ドット13bxを形成する工程と、量子ドット13bxの上に上記方法で第2半導体部21byを形成する工程とを所定回数繰り返すことにより、第2部位21bを作製することができる。
こうして第2部位21bを作製して中間準位部21を作製したら、第2部位21bの上(中間準位部21の上)に、1019cm−3程度の正孔濃度が得られるように強いp型不純物ドープ(Beドープ)が施された厚さ20nm程度のGaAs層を成長させ、p層12を作製する。このようにしてn層11、中間準位部21、及び、p層12を作製したら、酸化インジウムスズ(ITO)等の公知の透明電極である透明電極14を公知の方法によってn層11の上に形成し、Ag等の公知の材料によって構成される第1電極15を公知の方法によって透明電極14の上に形成し、Ag等の公知の材料によって構成される第2電極16をp層12の上に形成する過程を経て、太陽電池20を製造することができる。
太陽電池10に関する上記説明では、図5に示したように、第1部位13aと第2部位13bとで、不純物の添加形態を急激に(階段状に)変化させるとともに、第1部位13aや第2部位13bを作製している途中においても不純物の添加形態を変化させる形態を例示したが、本発明の太陽電池は当該形態に限定されるものではない。図10に、第1部位や第2部位を作製している途中において不純物の添加形態(ドープ強度)を変化させない他は、太陽電池10と同様に構成した本発明の第3実施形態にかかる太陽電池30の不純物添加形態を示す。図10では、太陽電池30における不純物添加形態を実線で、太陽電池10における不純物添加形態を点線で、それぞれ示している。また、太陽電池30のバンド構造を図11に示す。図11は図6と対応する図である。図6及び図11に示すように、太陽電池10と太陽電池30とは、太陽電池10の中間準位部13に代えて中間準位部31が備えられているほかは、構成が共通している。中間準位部31は、n型不純物が添加されている第1部位31aと、p型不純物が添加されている第2部位31bと、を有し、第1部位31aはn層11側に、第2部位31bはp層12側に、それぞれ位置している。第1部位31aは、量子ドット及び該量子ドットと接触し且つその周囲に形成された第2半導体部を有し、第2部位31bは、量子ドット及び該量子ドットと接触し且つその周囲に形成された第2半導体部を有している。図10に示す形態で不純物を添加して作製した太陽電池30は、図11に示すように、中間準位部31のバンドが曲線状に傾斜する。中間準位部31のバンドが曲線状に傾斜していても、内部電界により中間準位部31で電子及び正孔を移動させることが可能になるので、電子及び正孔が再結合する頻度を、従来の太陽電池よりも低減することが可能になる。
本発明に関する上記説明では、量子構造部の一形態である量子ドットを用いて中間準位を生成した形態について言及したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明の光電変換素子は、量子構造部を用いることなく、特殊な不純物を用いて生成した中間準位を有する形態とすることも可能である。そこで、量子構造部を用いない形態について、以下に説明する。
図12は、第4実施形態にかかる本発明の太陽電池40を説明する図である。図12において、太陽電池10と同様の構成には、図1乃至図6で使用した符号と同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。図12に示すように、太陽電池40は、n層41と、p層42と、n層41とp層42との間に配設された中間準位部43と、n層41に接続された第1電極15と、p層42に接続された第2電極16と、を有している。中間準位部43は、第1部位43a(高領域。以下において同じ。)と第2部位43b(低領域。以下において同じ。)とを有し、第1部位43aはn層41側に、第2部位43bはp層42側に、それぞれ位置している。太陽電池40において、n層41は、n型不純物としてガリウム(Ga)をドープしたZnOであり、p層42は、窒素(N)をドープしてp型にしたZnTeである。また、第2部位43bは、酸素(O)をドープしたZnTe(ZnTe(1−x)。xは酸素濃度を表わす添え字。以下において同じ。)であり、第1部位43aは、ガリウム(Ga)をドープしたZnTe(1−x)である。
太陽電池40を作製する場合には、窒素(N)をドープしてp型にしたZnTeを基板とし、これをp層42とする。そして、p層42の上に、酸素(O)をドープした第2部位43bを成長させ、ZnTe(1−x)で表わされる第2部位43bを作製する。本発明において、xの値は0.001以上0.05以下程度(Teに対して0.1%以上5%以下程度)とすることが好ましい。ここで、酸素(O)は、深い準位を生じさせる特殊な不純物として働き、中間準位が生じることは特許文献3の記載等から明らかである。酸素(O)をドープすることで生成する中間準位はそのままでは電子を含まないため、酸素(O)以外に何もドープしないことでフェルミ準位を中間準位よりも下にすることができるが、結晶欠陥等によって生じる電子の影響を打ち消すために、p型不純物である窒素(N)等を適宜ドープしても良い。こうして第2部位43bを作製したら、続いて、第2部位43bの上に、中間準位が電子で満たされた第1部位43aを作製する。具体的には、n型不純物から生じた電子が酸素(O)で生じた中間準位をほぼ埋め尽くすようにnドープを行うために、n型不純物であるガリウム(Ga)と酸素(O)とがほぼ同じ濃度、好ましくは酸素(O)濃度がテルル(Te)に対して0.1%以上5%以下程度、且つ、ガリウム(Ga)濃度がテルル(Te)に対して0.08%以上4%以下程度となる範囲で、ガリウム(Ga)の濃度が酸素(O)の濃度よりも若干低くなるように、酸素(O)及びガリウム(Ga)をドープしながら、第1部位43aを作製する。こうして第1部位43aを作製したら、その上に、中間準位を有しないn層41を作製する。ここでは、n型不純物としてガリウム(Ga)をドープしたZnOを形成することで、n層41を作製することができる。n層41と第1部位43aとの間には、結晶成長を良好にするための薄いバッファ層(例えば、ZnSによって構成される層)を形成しても良い。なお、第1電極15は、公知の方法によってn層41の表面に形成することができ、第2電極16は、公知の方法によってp層42の表面に形成することができる。
本発明に関する上記説明では、バンドギャップ中に1つの中間準位が存在する中間準位部を設け、中間準位部に第1部位及び第2部位が備えられる形態の太陽電池を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。量子ドットの大きさを量子ドット13axや量子ドット13bxよりも大きくすることによって、中間準位部のバンドギャップ中に存在する中間準位の数を2以上にすることも可能である。本発明の光電変換素子において、量子ドットによる中間準位の数をnとするとき、中間準位部の不純物濃度をn+1段階に変化させることによって、中間準位部のバンドを傾斜させることが可能になる。それゆえ、中間準位部のバンドギャップ中に複数の中間準位が存在する場合であっても、中間準位部の不純物濃度をn+1段階に変化させることにより、電子及び正孔の再結合寿命の影響を低減することが可能な、量子ドットを用いた光電変換素子を提供することができる。
また、これまで、本発明を太陽電池に適用した場合について説明したが、本発明の光電変換素子は太陽電池に限定されるものではない。本発明は、光検出素子等の他の光電変換素子にも適用することができる。
i層を有しておらずp層とn層との界面において不純物の添加形態を急激に変化させた急峻pn型の太陽電池、少なくともi層の厚さ方向中央においてはバンドが傾斜していない従来のpin型構成の中間準位型太陽電池、及び、本発明の太陽電池10、20について、欠陥や不純物の影響を評価するため、Shockley-Read-Hallモデル(SRHモデル)を用いてモデル計算を行った。計算に用いた式を以下に示す。また、急峻pn型の太陽電池のバンド図を図13に、従来のpin型太陽電池のバンド図を図14に示す。
上記式1乃至式5において、Jexは出力電流、Jabは太陽光によるキャリア発生、Jemは輻射再結合ロス、Jdは欠陥起因の再結合ロス、pは正孔密度、nは電子密度、niは真性キャリア密度である。また、τn、τp、及び、τdは欠陥・不純物による再結合の寿命、τeは理想状態における発光再結合の寿命、dは光吸収層の厚さ、Eはエネルギー、Dos(E)は状態密度、F(E、Efc)はキャリア分布関数、Efcは電子の擬フェルミ準位、Efvは正孔の擬フェルミ準位である。式4は、SRH再結合の式である。
上記式1乃至式5を用いた計算においては、中間準位を介して励起される電子・正孔もJabに含まれる。それゆえ、中間準位に関するパラメータは特に含まれない。本モデル計算において、欠陥や不純物の影響は、再結合寿命τn、τp、τdの値の低下として現れる。ここでは簡単のため、τn=τp=τdとした。
バンド構造の形は、Dos(E)の関数形として現れる。急峻pn型の太陽電池の場合においては、p層及びn層は対称とみなし、電子に対して考慮すべき領域(=図13に点線で囲んだ領域)について計算を行った。また、従来のpin型構成の中間準位型太陽電池の場合においては、図14に点線で囲んだ領域について計算を行った。急峻pn型の太陽電池における状態密度は下記式6で表すことができ、従来のpin型構成の中間準位型太陽電池における状態密度は下記式7で表すことができる。下記式6及び式7において、Egはバンドギャップエネルギー、kはボルツマン定数、Tは温度である。
今回のモデル計算では、適切なτe及びniの値を予め固定しておき、τn=τp=τdの値を与えた上でnの値を探索し、出力Jex×Vの最大値を求めた。なお、Eg=2eV、d=1500nmとした。計算結果を図15に示す。図15の縦軸は太陽電池の出力、横軸はτdである。
図15に示すように、従来のpin型構成の中間準位型太陽電池は、再結合寿命が100μsec以上のときは出力がほぼ一定であったが、再結合寿命が100μsec未満になると出力が大きく低下した。これに対し、太陽電池10は再結合寿命が10μsec未満になると出力が低下し始め、太陽電池20は再結合寿命が1μsec未満になると出力が低下し始めた。また、急峻pn型の太陽電池は、再結合寿命が100nsec未満になると出力が低下し始めた。太陽電池10は再結合寿命が10nsecの時に図15にXで示した出力(以下において、「出力X」という。)が得られ、太陽電池20は再結合寿命が1nsecの時に出力Xが得られたが、従来のpin型構成の中間準位型太陽電池は再結合寿命が100nsecの時に出力Xが得られた。一般的な半導体の再結合寿命は10nsec程度と考えられるので、太陽電池10、20は一般的な半導体を用いても出力Xが得られるが、従来のpin型構成の中間準位型太陽電池は一般的な半導体を用いると出力Xが得られない。すなわち、従来のpin型構成の中間準位型太陽電池は、再結合寿命が低下すると出力が大きく低下しやすい。これに対し、太陽電池10、20は、再結合寿命が低下しても、従来のpin型構成の中間準位型太陽電池よりも出力が低下し難い。なお、急峻型の太陽電池は、太陽電池10、20よりも、再結合寿命が低下しても出力が低下し難い。
ところで、今回のモデル計算では、電子及び正孔の、半導体中における移動のしやすさは、理想状態であると仮定している。しかしながら、実際の半導体中では、電子及び正孔の移動しやすさは有限である。急峻pn型の太陽電池や従来のpin型構成の中間準位型太陽電池では、傾斜しているバンドと傾斜していないバンドとの境目以外では内部電界がほとんど存在しないため、電子や正孔の移動は、拡散によるゆっくりとした移動が主になると考えられる。拡散による移動が主になると、電子や正孔の移動は極めて非効率になるため、実際の太陽電池では性能が低下しやすいと考えられる。
これに対し、太陽電池10、20や太陽電池30に代表される本発明の光電変換素子では、中間準位部のバンドを中間準位部の厚さ方向の全体に亘って傾斜させることができ、中間準位部の厚さ方向の全体に亘って内部電界を存在させることができる。それゆえ、本発明の光電変換素子では、内部電界によって、電子及び正孔を効率良く移動させることができる。したがって、実際に太陽電池を作製し作動させた場合であっても、本発明の太陽電池における移動のしやすさが有限であることに起因する性能の低下は、急峻pn型の太陽電池や従来のpin型構成の中間準位型太陽電池における移動のしやすさが有限であることに起因する性能の低下よりも小さいと考えられる。
図15に示すように、太陽電池20は、太陽電池10と比較して、再結合寿命が低下した場合であっても出力が低下し難い。また、太陽電池20によれば、急峻pn型の太陽電池において懸念される、電子や正孔の移動が非効率になる事態を防止することが可能になる。したがって、太陽電池10と太陽電池20とを比較すると、太陽電池20の方が実用性能を高くしやすいと考えられる。
本発明の光電変換素子は、電気自動車の動力源や太陽光発電システム等に利用することができる。
10、20、30、40…太陽電池(光電変換素子)
11、41…n層
12、42…p層
13、21、31、43…中間準位部
13a、21a、31a、43a…第1部位
13ax…量子ドット
13ay、21ay…第2半導体部
13b、21b、31b、43b…第2部位
13bx…量子ドット
13by、21by…第2半導体部
14…透明電極
15…第1電極
16…第2電極
90…太陽電池
91…i層
91a…量子ドット

Claims (2)

  1. p層と、n層と、前記p層及び前記n層の間に配設された中間準位を有する中間準位部と、を有し、
    熱平衡状態におけるフェルミ準位が前記中間準位よりも高いレベルである高領域と、熱平衡状態におけるフェルミ準位が前記中間準位よりも低いレベルである低領域との境界部の少なくとも1つにおいて、不純物の濃度が段階的に変化していることを特徴とする、光電変換素子。
  2. 前記不純物の濃度が段階的に変化している部位において、
    前記高領域の熱平衡状態におけるフェルミ準位と、前記低領域の熱平衡状態におけるフェルミ準位との差が、少なくとも60meVであることを特徴とする、請求項1に記載の光電変換素子。
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