JPH11220150A - 太陽電池 - Google Patents

太陽電池

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JPH11220150A
JPH11220150A JP10020530A JP2053098A JPH11220150A JP H11220150 A JPH11220150 A JP H11220150A JP 10020530 A JP10020530 A JP 10020530A JP 2053098 A JP2053098 A JP 2053098A JP H11220150 A JPH11220150 A JP H11220150A
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well layer
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semiconductor
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Hiroyuki Otsuka
寛之 大塚
Yoshiaki Yazawa
義昭 矢澤
Takeshi Kitatani
健 北谷
Mitsunori Ketsusako
光紀 蕨迫
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Abstract

(57)【要約】 【課題】多重量子井戸層内におけるキャリヤ再結合を防
止するとともに、多重量子井戸層の直列抵抗の上昇を防
止して、太陽電池の出力特性を向上させる。 【解決手段】多重量子井戸層の障壁層と井戸層あるいは
障壁層のみに不純物をドープして、P型半導体層から多
重井戸層の中心付近に向かって不純物濃度を連続的ある
いは層毎に階段状に低下させ、続いてN型半導体層に向
かって不純物濃度を連続的、あるいは層毎に階段状に高
くする。 【効果】多重量子井戸層内におけるキャリヤの再結合が
低減し、開放電圧が向上する。また、直列抵抗が軽減し
てフィルファクタが向上し、結果的にエネルギー変換効
率が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は太陽電池に関し、詳
しくは、多重量子井戸層内におけるキャリアの再結合の
低減による開放電圧の向上、および直列抵抗の低減によ
るエネルギ変換効率の向上が可能な太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】多重量子井戸層を有する太陽電池は、例
えば1990年ジャーナル・オブ・アプライドフィジッ
クス(Journal of Applied Physics)、67巻、349
0ページから3493ページに記載されている。この太
陽電池は、図2に示したバンドプロファイルから明らか
なように、P型半導体層12とN型半導体層14および
これらのP型およびN型半導体層12、14の間に挟ま
れた真性半導体からなる多重量子井戸層13から構成さ
れている。この多重量子井戸層13は、バンドギャップ
エネルギーがEg1である障壁層と、バンドギャップエ
ネルギーがEg1より小さなEg2である井戸層からなっ
ている。
【0003】この多重量子井戸太陽電池は、基本的には
バンドギャップエネルギーがEg1である半導体から構
成された太陽電池として動作するが、バンドギャップエ
ネルギーがEg1より小さなEg2である井戸層の存在に
よって、吸収できる光の波長域が長波長側に拡大されて
いる点に特徴がある。
【0004】この太陽電池の井戸層13は単層であって
もよいが、通常、その厚さが量子準位が発現する20n
m以下にされているため、長波長光も充分に吸収できる
ように多重の膜が用いられる。このような量子井戸層の
導入によって、長波長光の吸収のみではなく、その励起
子効果による吸収係数の上昇も期待されている。
【0005】上記太陽電池は、図2(a)に示すように
短絡状態では多重量子井戸層13の全体に電界が加わる
ため、井戸層13で励起された電子15と正孔16を効
果的に分離することが可能であり、その結果、短絡電流
が増加することが分光感度の測定から確認されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記多重量子
井戸太陽電池は、多重量子井戸層13が真性半導体層か
ら構成されているため、太陽電池内のキャリヤ密度が全
体的に増してきた場合、図2(b)に示すように、多重
量子井戸層13のうち、バンドプロファイルが傾斜して
いるのは半導体層12、14との境界部の近傍のみとな
り、中央部17においてはバンドプロファイルの傾斜が
なくなってフラットになり、多重量子井戸層13の大部
分に電界がかからなくなる。
【0007】この問題は、PN階段接合に対して空乏領
域を仮定して空乏層幅Wを導き出した式である数1から
類推が可能である。ここで、εsは半導体の誘電率、q
は素電荷、Vbiはビルトインポテンシャル、VFは順方
向バイアス、NAはアクセプタ濃度、NDはドナー濃度を
示す。
【0008】
【数1】
【0009】数1より、VFが大きくなるとWが小さく
なるのがわかる。従来の多重量子井戸型太陽電池は、基
本的にはPIN型構造で構成され、PIおよびINの2
段の階段接合を有している。短絡状態では全体のキャリ
ヤ密度も低いため、それぞれの空乏層は延びて一つにつ
なががり、その結果、I層のポテンシャルは全域にわた
って傾きを持つようになる。しかし、キャリヤ密度が増
すと、それぞれの接合の空乏層幅が減少し、図2(b)
に示すように、I層である多重井戸層13のうち、ポテ
ンシャルが傾斜するのはP型半導体12およびN型半導
体14の近傍のみになり、多重井戸層13の中心領域1
7のポテンシャルはフラットとなる。
【0010】そのため、最適動作状態(最適な外部抵抗
を付加して最大出力が得られるようにした状態)や開放
状態(外部抵抗を付加しないで回路を開いた状態)で
は、井戸層13で生成された電子15と正孔16を有効
に分離できず、電子15と正孔16の再結合が増加す
る。その結果、得られる太陽電池出力特性は、短絡電流
から推定される出力特性より低くなってしまう。
【0011】また、多重量子井戸層全体に電界がかから
ない場合、真性半導体層であるこの層の直列抵抗は高く
なり、その影響によってフィルファクタが低減し、結果
としてエネルギー変換効率が低下して出力も低くなって
しまう。
【0012】本発明の目的は、多重量子井戸層を有する
従来の太陽電池の上記問題を解決し、最適動作状態や開
放状態における井戸層内のキャリヤ再結合を抑制して、
直列抵抗を低減し、さらにコンダクタンスを高めてエネ
ルギー変換効率を改善することにより、高い出力特性を
得ることができる太陽電池を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の太陽電池は、半導体基板上に順次積層して形
成された第1導伝型を有する第1の半導体層、多重井戸
層および上記第1導伝型とは逆の第2導伝型を有する第
2の半導体層を有し、上記多重井戸層は、第1のバンド
ギャップを有する半導体からなる障壁層と上記第1のバ
ンド層ギャップより小さい第2のバンドギャップを有す
る半導体からなる井戸層が複数回交互に積層されて形成
され、かつ上記多重井戸層における上記第1導伝型を有
する不純物の濃度は、上記多重井戸層と上記第1の半導
体層が接する部分から上記多重井戸層の厚さ方向の所定
の位置へ向かって順次低くなり、上記第2導伝型を有す
る不純物の濃度は、上記多重井戸層の厚さ方向における
所定の位置から上記第2の半導体層へ向かって順次高く
なることを特徴とする。
【0014】すなわち、上記従来の太陽電池の多重井戸
層は真性半導体のみからなっていた。そのため、上記の
ような種々な問題が生じたのであるが、本発明において
は、このような真性半導体層のみからなるのではなく、
第1のバンドギャップを有する半導体からなる障壁層と
上記第1のバンドギャップより小さい第2のバンドギャ
ップを有する半導体からなる井戸層が、複数回交互に積
層されて多重井戸層が構成されている。しかも、このよ
うな積層膜からなる多重井戸層には、上記第1導伝型
(例えばP型)を有する不純物の濃度は、上記多重井戸
層と上記第1の半導体層が接する部分から上記多重井戸
層の厚さ方向における所定の位置(例えば中央部近傍)
へ向かって順次低くなり、上記第2導伝型(例えばN
型)を有する不純物の濃度は、上記多重井戸層の厚さ方
向における所定の位置(例えば中央部近傍)から上記第
2の半導体層へ向かって順次高くなっている。
【0015】したがって、キャリヤ密度が増しても、各
接合の空乏層幅が減少することはなく、多重井戸層にお
けるポテンシャルがフラットとなることはない。そのた
め、最適動作状態や開放状態においても、生成された電
子と正孔は効果的に分離されて、両者の再結合が増加す
ることはなく、その結果、十分高い太陽電池出力特性が
得られる。
【0016】上記第1および第2の不純物は、上記障壁
層および井戸層の両者に添加してもよく、この場合、上
記多重井戸層における上記第1および第2の不純物濃度
は厚さ方向に連続的に変化させることができる。ただ
し、上記不純物濃度を段階的に変化させるようにするこ
とも可能である。
【0017】上記第1および第2の不純物を上記井戸層
には添加せずに、上記障壁層のみに添加し、上記井戸層
は真性半導体からなるようにしてもよい。この場合、隣
り合う上記障壁層における上記第1および第2の不純物
濃度が、厚さ方向において段階的に変化するようにして
もよく、また、上記第1および第2の不純物濃度が連続
的に変化するようにしてもよい。
【0018】上記半導体基板と上記第1の半導体層の間
には、上記第1の半導体層と同じ格子定数を有する半導
体からなるバッファ層が介在させることが好ましい。
【0019】また、上記第2の半導体層が、上記第1の
半導体層より大きなバンドギャップを有していれば、光
の透過に有利であり、太陽電池として実用上好ましい。
【0020】さらに、適当な値の外部抵抗を接続して、
最大出力が得られる電圧が太陽電池に印加されるように
した場合(最適動作状態)、多重井戸層の障壁層のみ、
あるいは障壁層と井戸層の両者の不純物添加量を制御し
て、少なくとも一組の隣り合う井戸層内の量子準位を一
致させることができる。このようにすれば、共鳴トンネ
ル準位が形成されて電子と正孔の波動関数が空間的に大
きく分離されて、従来の量子井戸型太陽電池の出力特性
を大きく上まわる特性が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の一つの形態は、N+型G
aAsからなる基板の上に、AlGaAsからなるバッ
ファ層、N+型Al0.2Ga0.8As層、Al0.2Ga0.8
As層とGaAs層を複数回交互に積層して形成された
多重量子井戸層、P型Al0.2Ga0.8As層、P型Al
As層、P型Al0.6Ga0.4Asからなる窓層およびP
型GaAs層、AuZn合金膜からなる表面フィンガー
電極が順次積層して形成され、上記GaAsからなる基
板の裏側には、例えばAu層からなる裏面電極が形成さ
れる。
【0022】上記のように、障壁層としては井戸層より
もバンドギャップの大きい材料からなっているが、この
ような障壁層と井戸層の組み合わせとしては、例えばA
lGaAsとGaAs、InGaAsとGaAs、In
PとInGaAsなどを用いることができる。これらの
化合物半導体の混晶比は、広い範囲で変えることが可能
である。
【0023】上記各層の成長には、MBE法が最も高い
精度も制御が可能であるが、LPE法(液相エピタキシ
ャル成長法)やCVD法(化学気相成長法)などを用い
ることも可能である。
【0024】多重量子井戸層内における不純物濃度は、
上記のよに厚さ方向に連続的(単調)あるいは段階的に
変化している。このような不純物濃度の変化は、例えば
MBE法などを用いて障壁層と井戸層の成長を複数回交
互に繰り返して行う際に、ドーパントの添加量を連続的
または段階的に変えることによって容易に制御すること
ができる。
【0025】多重量子井戸層に添加されるP型不純物と
してはBe、C、Mgなどを用いることができ、N型不
純物としてはSi、Sn、Geなどを用いることができ
る。
【0026】
【実施例】〈実施例1〉図1は本発明の第1の実施例を
示す断面図である。本実施例では、基板2としてSiド
ープ(ドーズ量1×1018cm-3)の(001)N+
GaAsウェハを用いた。まず、この基板2を有機系洗
浄液で洗浄した後、硫酸系エッチング液によってエッチ
ングし、さらに10分間流水洗浄を行った。
【0027】次に、周知のMBE装置に搬入し、成長温
度580度、成長速度1.0μm/時間、As4圧1.
3〜1.8×10-5Torrという条件で、バッファ層
3、N+型Al0.2Ga0.8As層4、Al0.2Ga0.8
s/GaAs多重量子井戸層5、P型Al0.2Ga0.8
s層6、P型AlAs層7、P型Al0.6Ga0.4As層
8およびP型GaAs層9を順次成長させた。基板2お
よび上記AlGaAs層のAl混晶比を0.2とし、ま
た、N型ドーパントとしてSiを、P型ドーパントとし
てBeをそれぞれ用いた。
【0028】従来のAlGaAs/GaAs多重量子井
戸層は、ノンドープ層から形成されていたが、本実施例
では障壁層および井戸層は、いずれもグレーディドに不
純物濃度を変化させて、30周期の多重量子井戸層5を
成長させた。多重量子井戸層5の厚さは480nm、各
障壁層の厚さはそれぞれ6nm、各井戸層の厚さはそれ
ぞれ9nmとした。多重量子井戸層5のうち、はじめの
15周期はドーパントであるSiのみを添加してその添
加量を順次減少させ、次の15周期はBeのみを添加し
てその添加量を順次増加させた。
【0029】このようにして得られた多重量子井戸層5
の不純物プロファイルを図3に示す。図3から明らかな
ように、N型ドーパントであるSiの濃度はN+型Al
0.2Ga0.8As層4から離れるにともなって次第に低下
し、N+型Al0.2Ga0.8As層4と多重量子井戸層5
の界面においては、Siの濃度18はほぼ2.0×10
18cm-3であるが、上記界面からの距離がほぼ0.2μ
mである位置では、ほぼ1.0×1014cm-3に低下し
た。
【0030】一方、上記界面からの距離がほぼ0.2μ
mの位置では、P型ドーパントであるBeの濃度19は
ほぼ1.0×1014cm-3であるが、N+型Al0.2Ga
0.8As層4からの距離が大きくなりP型Al0.2Ga
0.8As層6に接近するにともなってBeの濃度19は
次第に大きくなり、P型Al0.2Ga0.8As層6との界
面においては、ほぼ3.0×1017cm-3に達した。
【0031】上記成長の後、基板2の裏面上にAu電極
1を形成し、表面上にはCVD法によって堆積したSi
2膜を用いたリフトオフ法によってAuZn合金膜か
らなる表面フィンガー電極11を形成した。
【0032】次に、過酸化水素水とアンモニア水の混合
液を用いてP型GaAs層9の所定部分を選択エッチン
グして、窓層であるP型Al0.6Ga0.4As層8の表面
を露出させ、その上部に電子ビーム蒸着法によってMg
2/ZnSからなる二層反射防止膜10を形成して、
図1に示す構造を形成した。
【0033】一方、比較のため量子井戸層全層が真性半
導体である以外は、本実施例の太陽電池と同じ構造のリ
ファレンス用太陽電池を形成した。
【0034】本実施例の太陽電池の電流電圧特性を、A
M1.5Global、100mW/cm2の条件で測
定し、太陽電池特性を調べたところ、開放電圧1.15
V、短絡電流密度12.8mA/cm2、フィルファク
タ0.825、変換効率12.1%であった。しかし、
上記リファレンス用太陽電池の特性は、開放電圧1.1
0V、短絡電流密度13.2mA/cm2、フィルファ
クタ0.815、変換効率11.8%であり、短絡電流
以外は本実施例の特性の方がリファレンス用太陽電池の
特性よりすぐれていた。
【0035】本実施例の短絡電流がリファレンス太陽電
池に比べて劣ったのは、本実施例では多重量子井戸層に
不純物をドーピングした結果、これらの層のライフタイ
ムがリファレンス太陽電池のものより短くなったためで
ある。短絡状態では両太陽電池のバンドプロファイルに
大きな差はないため、多重量子井戸層のライフタイムが
最も特性に影響をおよぼしている。しかし、キャリヤ密
度が高くなると、本実施例では、図2(c)に示すよう
に多重量子井戸層のバンドプロファイルが傾斜を持つた
めキャリヤを有効に分離することが可能であり、結果的
に再結合割合も低くなる。井戸層に電界がかかると、量
子閉じこめシュタルク効果によって吸収係数の波長依存
性はブロードになり、吸収ピークは低くなるが、吸収係
数の波長域が長波長側に伸びるため全体としての光の吸
収は減少しない。
【0036】以上の結果、本実施例は、リファレンス太
陽電池に比べてエネルギー変換効率および開放電圧より
すぐれていることが確認された。
【0037】なお、本実施例ではAlGaAs層のAl
混晶比を0.2としたが、0.2以外の値であっても、
本実施例と同様な電気特性が得られた。また、太陽電池
の材料としては、バルクおよび障壁層はAlGaAs
層、井戸層はGaAs層をそれぞれ用いたバンドギャッ
プの異なる半導体材料の組み合わであれば、例えばAl
GaAsとGaAsのように格子定数の差が小さい整合
系、および例えばInGaAsとGaAsのように格子
定数の差が大きいひずみ系材料であっても同様の効果が
得られた。また、各膜の作製には本実施例ではMBE法
を用いたが、LPE法やCVD法など本実施例の構造を
形成できる方法であれば、いずれを用いてもよいことは
いうまでもない。
【0038】〈実施例2〉図4は本発明の第2の実施例
を示す断面図である。本実施例はガスソースMBE法を
用いて太陽電池を作製した例であり、III族原料にはG
aおよびIn金属を、V族原料には気体であるアルシン
を用いたことが特徴である。これにより急峻なヘテロ界
面を容易に作製することができた。
【0039】基板2としては上記実施例1と同様に、S
iドープ(ドーズ量1×1018cm-3)の(001)N
型GaAsウェハを用いた。この基板2に実施例1と同
じ前処理を施した後、ガスソースMBE装置に基板2を
導入し、GaAs成長温度600℃、InGaAs成長
温度を450℃、成長速度を1.0μm/時間という条
件で、AlGaAsからなるバッファ層3、N+型Al
0.36Ga0.64As/GaAs超格子20、N型GaAs
層21、In0.15Ga0.85As/GaAs多重量子井戸
層22およびP型Al0.2Ga0.8As層23を順次成長
させた。基板2および上記AlGaAs層のAl混晶比
を0.2とし、また、N型ドーパントとしてSiを、P
型ドーパントとしてBeをそれぞれ用いた。
【0040】本実施例では上記実施例1と異なり、井戸
層にはドーピングを行わず、障壁層のみに層毎に階段状
に不純物濃度を変化させた。井戸層の層数は10、多重
井戸層の厚さは650nm、各井戸層の厚さは10n
m、各障壁層の厚さは50nm、井戸層のインジウム混
晶比は0.15とした。前半の障壁層形成時のみに量を
順次減少させながらSiを添加し、後半の障壁層形成時
にはSiをBeに切り替え、Beの添加量を順次増加さ
せた。このようにして得られた多重量子井戸層22の不
純物プロファイルを図5に示す。
【0041】図5に示したように、本実施例では井戸層
としてノンドープのGaAs層を用いたため、その不純
物濃度は1.0×1014cm-3程度の低い値に保たれ、
障壁層の不純物濃度のみが段階的に変化した。すなわ
ち、N型GaAs層21に接する部分におけるSiの濃
度19はほぼ5.0×1016cm-3であるが、N型Ga
As層21から離れるにともなって次第に低下し、ほぼ
2.0×1015cm-3になった。
【0042】一方、Beの濃度18は、Be添加の当初
ではほぼ1.0×1015cm-3であったが、P型GaA
s層9に近づくにともなって次第に大きくなり、P型G
aAs層9に接する部分ではほぼ5.0×1016cm-3
に達した。
【0043】各層を成長した後、実施例1と同様に電極
1、11や反射防止膜10などを形成して図4に示す構
造を形成した。
【0044】実施例1と同様に、多重量子井戸層がノン
ドープ層である以外は本実施例と同じ構造のリファレン
ス用太陽電池を形成し、本実施例の太陽電池と比較し
た。
【0045】本実施例では、井戸層にはドーピングを行
わず、障壁層のみにドーピングする変調ドーピングを行
ったため、実施例1と比較して井戸層内のキャリヤライ
フタイムが長くなり、井戸層内のキャリヤの再結合が減
少した。本実施例の電流電圧特性をAM1.5Glob
al、100mW/cm2の条件の下、測定したとこ
ろ、リファレンス太陽電池の特性が開放電圧0.783
V、短絡電流密度33.1mA/cm2、フィルファク
タ0.783、変換効率20.5%であったのに対し
て、本実施例の特性は開放電圧0.808V、短絡電流
密度32.7mA/cm2、フィルファクタ0.79
4、変換効率21.0%を示し、改善が認められた。
【0046】開放電圧の改善は図6に示したように、従
来型太陽電池による暗電流特性24にくらべて本実施例
による特性25は低く、本実施例の方がリファレンス太
陽電池に比べて高注入領域で再結合が少いことが確認さ
れた。
【0047】なお、本実施例では多重量子井戸層22と
してIn0.15Ga0.85As/GaAs歪み超格子を用い
たが、インジウムの混晶比を変えることができるばかり
でなく、バンドギャップの異なる半導体材料の組み合わ
せならば、例えばAlGaAsとGaAsのような格子
定数の差が小さい整合系、あるいは例えばInGaAs
とGaAsのように、格子定数の差が比較的大きなひず
み系材料でも同様の効果が得られた。また、作製プロセ
スにおいても本実施例ではガスソースMBE法を用いた
が、LPE法、CVD法など本発明の構造を形成できる
技術ならば、他の方法を用いてもよい。
【0048】〈実施例3〉図7は本発明の第3の実施例
を示す断面図である。本実施例ではMOCVD法によっ
て太陽電池を作製した。基板(図示せず)としてはは実
施例1と同様に、Siドープ(ドーズ量1×1018cm
-3)の(001)N型GaAsウェハを用いた。実施例
1と同様の前処理を施した後、MOCVD装置に搬入
し、成長温度900度で図1に示す構造と同様の太陽電
池を成長させた。ただし、バルクおよび障壁層のアルミ
ニウムの混晶比を0.3とし、多重井戸層5は図7に示
す構造とした。
【0049】井戸層26としては厚さ10nmの真性の
GaAs層を用いた。障壁層27はP型Al0.3Ga0.7
As層、障壁層28は真性Al0.3Ga0.7As層、障壁
層29はN型Al0.3Ga0.7As層であり、厚さはいず
れも8nm、アクセプタおよびドナー濃度は両者とも
1.0×1016cm-3に設定した。
【0050】この多重量子井戸層の設計は、後で説明す
るデバイスシミュレータの計算結果に基づいて行った。
成長後の電極および反射防止膜は実施例1と同様にして
形成した。
【0051】デバイスシミュレータによって計算したバ
ンドプロファイルを図8に示す。本デバイスシミュレー
タはヘテロ構造半導体用2次元デバイスシミュレータを
太陽電池解析用に改良したものである。基本的にはドリ
フト拡散モデルを用いてポテンシャルおよび電子正孔密
度を計算するが、トンネル電流も別途モデル式を用いて
計算し、境界条件を電流で与えることにより擬似的に取
り扱えるようになっている。図8(b)より最適動作電
圧でそれぞれ隣り合った量子井戸層の量子準位が一致
し、共鳴トンネル準位を形成していることがわかる。
【0052】本実施例の電流電圧特性をAM1.5Gl
obal、100mW/cm2の条件の下、測定したと
ころ図9に示すような電流−電圧特性が得られた。最適
動作電圧付近で負性抵抗が観察されるが、これは共鳴ト
ンネル効果によって電子と正孔の波動関数が空間的に大
きく分離し、バンド間の再結合が低減したためである。
図9において、点線は井戸層間にトンネル電流が流れな
かった場合に予想される電流電圧特性を示しており、本
実施例によって従来技術の量子井戸型太陽電池の出力特
性を改善できたことを示している。
【0053】
【発明の効果】上記説明から明らかなように、本発明に
よれば、開放電圧条件下でも多重量子井戸層にビルトイ
ンポテンシャルがかかるため、多重量子井戸層内のキャ
リヤ再結合が低減し、開放電圧が向上する。また、直列
抵抗が軽減することによってフィルファクタが向上し、
結果的に変換効率が向上する。
【0054】また、最適動作電圧下で隣り合う井戸層内
に生じる量子準位を一致するように多重量子井戸層に不
純物をドープすることにより、共鳴トンネル効果によっ
て電子の波動関数と正孔の波動関数の空間的な分離が大
きくなり、井戸層内の再結合電流が減少して特性が改善
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す断面図。
【図2】従来技術および本発明の第1の実施例における
バンドプロファイルを示す図。
【図3】本発明の第1の実施例における不純物分布を示
す図。
【図4】本発明の第2の実施例を示す断面図。
【図5】本発明の第2の実施例における不純物分布を示
す図。
【図6】本発明の第2の実施例の効果を示す図。
【図7】本発明の第3の実施例を示す断面図。
【図8】本発明の第3の実施例におけるバンドプロファ
イルを示す図。
【図9】本発明の第3の実施例における電流−電圧特性
を示す図。
【符号の説明】
1:裏面Au電極、2:N+GaAs基板、3:バッフ
ァ層、4:N+型Al0.2Ga0.8As、5:Al0.2Ga
0.8As/GaAs多重量子井戸層、6:P型Al0.2
0.8As、7:P型AlAs、8:P型Al0.6Ga
0.4As、9:P型GaAs、10:二層反射防止膜、
11:表面フィンガー電極、12:P型半導体、13:
多重井戸層、14:N型半導体、15:電子、16:正
孔、17:フラットバンド領域、18:アクセプタ濃
度、19:ドナー濃度、20:N+型Al0.36Ga0.64
As/GaAs超格子、21:N型GaAs、22:I
0.15Ga0.85As/GaAs多重量子井戸層、23:
P型Al0.2Ga0.8As、26:真性GaAs井戸層、
27:P型Al0.3Ga0.7As障壁層、28:真性Al
0.3Ga0.7As障壁層障壁層、29:N型Al0.3Ga
0.7As障壁層障壁層、30:伝導帯、31:価電子
帯、32:電子の擬フェルミレベル33:正孔の擬フェ
ルミレベル、34:n=1量子準位、35:n=2量子
準位、36:形成された共鳴量子準位。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蕨迫 光紀 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基板上に順次積層して形成された第
    1導伝型を有する第1の半導体層、多重井戸層および上
    記第1導伝型とは逆の第2導伝型を有する第2の半導体
    層を有し、上記多重井戸層は、第1のバンドギャップを
    有する半導体からなる障壁層と上記第1のバンド層ギャ
    ップより小さい第2のバンドギャップを有する半導体か
    らなる井戸層が複数回交互に積層されて形成され、かつ
    上記多重井戸層における上記第1導伝型を有する不純物
    の濃度は、上記多重井戸層と上記第1の半導体層が接す
    る部分から上記多重井戸層の厚さ方向の所定の位置へ向
    かって順次低くなり、上記第2導伝型を有する不純物の
    濃度は、上記多重井戸層の厚さ方向における所定の位置
    から上記第2の半導体層へ向かって順次高くなることを
    特徴とする太陽電池。
  2. 【請求項2】上記第1および第2の不純物は、上記障壁
    層および井戸層に添加されていることを特徴とする請求
    項1記載の太陽電池。
  3. 【請求項3】上記多重井戸層における上記第1および第
    2の不純物濃度は連続的に変化していることを特徴とす
    る請求項2記載の太陽電池。
  4. 【請求項4】上記第1および第2の不純物は上記障壁層
    のみに添加され、上記井戸層は真性半導体からなること
    を特徴とする請求項1記載の太陽電池。
  5. 【請求項5】隣り合う上記障壁層における上記第1およ
    び第2の不純物濃度は段階的に変化していることを特徴
    とする請求項4記載の太陽電池。
  6. 【請求項6】隣り合う上記障壁層における上記第1およ
    び第2の不純物濃度は連続的に変化していることを特徴
    とする請求項4記載の太陽電池。
  7. 【請求項7】上記半導体基板と上記第1の半導体層の間
    には、上記第1の半導体層と同じ格子定数を有する半導
    体からなるバッファ層が介在していることを特徴とする
    請求項1から6のいずれか一に記載の太陽電池。
  8. 【請求項8】上記第2の半導体層は、上記第1の半導体
    層より大きなバンドギャップを有していることを特徴と
    する請求項1から7のいずれか一に記載の太陽電池。
  9. 【請求項9】最大出力が得られる電圧が印加された場
    合、少なくとも一組の隣り合う井戸層内の量子準位が一
    致することを特徴とする太陽電池。
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