JP2012167319A - Cu−Co−Si系合金、伸銅品、電子部品、コネクタ及びCu−Co−Si系合金の製造方法 - Google Patents

Cu−Co−Si系合金、伸銅品、電子部品、コネクタ及びCu−Co−Si系合金の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた強度及び曲げ加工性を有するCu−Co−Si系合金及びその製造方法を提供する。
【解決手段】Coを0.1〜3.5質量%、Siを0.02〜0.9質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物からなるCu−Co−Si系合金であって、電子顕微鏡による圧延平行断面の組織観察において、平均結晶粒径が20μm以下、結晶粒内に存在する粒径1μmより大きい第二相粒子の平均個数密度(X)が3×104個/mm2以下、結晶粒内に存在する粒径100nm〜1μmの第二相粒子の平均個数密度(Y)が5×104個/mm2以下であり、せん断帯の本数が130本/10000μm2〜330本/10000μm2であるCu−Co−Si系合金である。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばコネクタ等の電子部品用部材に好適なCu−Co−Si系合金、伸銅品、電子部品、コネクタ及びCu−Co−Si系合金の製造方法に関する。
近年では携帯端末などに代表される電子機器の小型化が益々進み、従ってそれに使用されるコネクタは狭ピッチ化及び低背化の傾向が著しい。小型のコネクタほどピン幅が狭く、小さく折り畳んだ加工形状となるため、使用する部材には、必要なバネ性を得るための高い強度と、過酷な曲げ加工に耐えることのできる、優れた曲げ加工性が求められる。この点、CuにNi、Co、Si等の添加元素を含有する析出硬化型の銅合金(以下「コルソン合金」という)は、比較的強度が高く、高い導電率を持つため、特に強度が要求される信号系端子用部材として古くから使用されてきた。
コルソン合金(Cu−Co−Si系合金)は、一般的に合金の強度を高めると曲げ性が悪化し、また、曲げ性が良いものは強度が低い。そこで、強度と曲げ性を両立させる改善が種々行われてきた。コルソン合金は、時効硬化型の銅合金である。溶体化処理によって溶質原子であるCoとSiの過飽和固溶体を形成させ、その状態から低温で比較的長時間の熱処理を施すと、時効析出現象によって、強度が向上する。一般的にコルソン合金の製造方法としては溶体化→冷間圧延→時効処理が知られている。この工程のうち、冷間圧延の加工度を高くすると、強度は高くなるが曲げ加工性は悪化する。逆に、冷間圧延の加工度を低くすると、曲げ加工性は悪化するが、所望の強度が得られない。このため、強度及び曲げ加工性の両立を図ることが課題とされてきた。
特許文献1には、高強度、高導電性および、高曲げ加工性の実現を目的として開発されたCu−Co−Si系合金が記載されており、結晶粒径とアスペクト比について着目している。特許文献2では、銅合金の組成と共に、銅合金中に析出する介在物の大きさ及び総量に着目したCu−Co−Si系合金が記載されている。特許文献3では、高強度、高導電性、高曲げ加工性および耐疲労特性の実現を目的として開発されたCu−Co−Si系合金が記載されており、銅合金組織中の無析出帯(PFZ)の幅と結晶粒界上の粒子径について着目している。特許文献4では、高強度、高導電性および、高曲げ加工性の実現を目的として開発されたCu−Co−Si系合金が記載されており、結晶粒径と結晶粒径の標準偏差について着目している。特許文献5は、強度、導電率、及び曲げ加工性に優れたCu−Co−Si系合金が記載されており、熱処理時の昇温速度、降温速度に着目している。
特開平9−20943号公報 特開2008−56977号公報 特開2010−215976号公報 特開2010−59543号公報 国際公開第2009−116649号
このように、これまでコルソン合金の高導電率を保ったまま、強度及び曲げ加工性の改善のために各種の手法が研究されてきているが、未だその改善の余地は残されている。
そこで、本発明はこれまでとは別異の観点からコルソン合金の特性改善を試み、優れた強度及び曲げ加工性を有するコルソン合金及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、強度及び曲げ加工性の両立を図るための検討過程において、コルソン合金の製造工程を、従来一般的に行われる手法とは異なる方法で実施することを考えた。即ち、従来は、溶体化処理→冷間圧延→時効処理の順序によりコルソン合金を製造していたものを、本発明においては、溶体化処理→時効処理→冷間圧延の順序でコルソン合金を製造し、この場合の溶体化処理および仕上げ圧延の条件を適正な条件とすることにより、強度及び曲げ加工性の双方に優れたコルソン合金が得られることを見出した。
本発明者はその原因を調査するために、本発明の実施の形態に係るコルソン合金の組織を調査したところ、結晶粒径、結晶粒内(結晶粒界上に存在する第二相粒子も含む)に存在する第二相粒子の個数密度及びせん断帯の発生頻度の関係に特徴点を見出した。つまり、本発明の実施の形態に係るCu−Co−Si系合金は、結晶粒径が小さく、結晶粒界内には第二相粒子が適切な量存在し、一定の量で筋状のせん断帯が存在していることが分かった。
上記知見を基礎として完成した本発明は一側面において、Coを0.1〜3.5質量%、Siを0.02〜0.9質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物からなるCu−Co−Si系合金であって、電子顕微鏡による圧延平行断面の組織観察において平均結晶粒径が20μm以下、結晶粒内に存在する粒径1μmより大きい第二相粒子の平均個数密度(X)が3×104個/mm2以下、結晶粒内に存在する粒径100nm〜1μmの第二相粒子の平均個数密度(Y)が5×104個/mm2以下であり、せん断帯の本数が130本/10000μm2〜330本/10000μm2であるCu−Co−Si系合金である。
本発明に係るCu−Co−Si系合金の一実施態様では、CoとSiの質量比が2:1〜6:1である。
本発明に係るCu−Co−Si系合金の別の一実施態様では、伸びが5.0%以上、0.2%耐力が560MPa以上である。
本発明に係るCu−Co−Si系合金の更に別の一実施形態では、曲げ表面の平均粗さRaが1.0μm以下である。
本発明に係るCu−Co−Si系合金の更に別の一実施形態では、第3元素群としてMn、Fe、Mg、Ni、Cr、V、Nb、Zn、Sn、Mo、Zr、B、Ag、Be、ミッシュメタル及びPよりなる群から選択される1種又は2種以上を、合計で0〜1.0質量%含有する。
本発明は別の一側面において、上記Cu−Co−Si系合金からなる伸銅品である。
本発明は更に別の一側面において、上記Cu−Co−Si系合金からなる電子部品である。
本発明は更に別の一側面において、上記Cu−Co−Si系合金を備えたコネクタである。
本発明は更に別の一側面において、Coを0.1〜3.5質量%、Siを0.02〜0.9質量%含有し、第3元素群としてMn、Fe、Mg、Ni、Cr、V、Nb、Zn、Sn、Mo、Zr、B、Ag、Be、ミッシュメタル及びPよりなる群から選択される1種又は2種以上を合計で0〜1.0質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物からなる銅合金素材に対して、銅合金素材を、350〜1000℃においてCu中のCoの固溶限が添加量と同じになる固溶限温度になるまで加熱し、銅合金素材が固溶限温度に達した直後に、急冷する溶体化処理を行い、溶体化処理に続いて時効処理を行い、時効処理に続いて最終冷間圧延を行うことを含む、Cu−Co−Si系合金の製造方法である。
本発明に係るCu−Co−Si系合金の製造方法の別の一実施形態では、溶体化処理が、銅合金素材が固溶限温度に達してから5秒以内に銅合金素材を冷却する。
本発明に係るCu−Co−Si系合金の製造方法の更に別の一実施形態では、溶体化処理が、Cu中のCoの固溶限が添加量と同じになる固溶限温度に比べて0〜20℃高い温度になるまで加熱する。
本発明に係るCu−Co−Si系合金の製造方法の更に別の一実施形態では、最終冷間圧延が、加工度2〜30%で行う。
本発明に係るCu−Co−Si系合金の製造方法の更に別の一実施形態では、最終冷間圧延が、幅方向の単位長さ当たりの圧延荷重115kg/mm以下で行う。
本発明に係るCu−Co−Si系合金の製造方法の更に別の一実施形態では、最終冷間圧延が、圧延油の粘度を5〜13cSTで行う。
本発明によれば、優れた強度及び曲げ加工性を有するCu−Co−Si系合金及びその製造方法が得られる。
本発明の実施の形態に係るCu−Co−Si系合金を電子顕微鏡で観察した写真である。
−Cu−Co−Si系合金の組成−
<Co含有量>
Coが0.1質量%未満ではCu−Co−Si系合金本来の析出強化による強化機構を充分に得ることができない場合があることから十分な強度が得られず、逆に3.5質量%を超えると粗大なCoや添加元素を含む第二相粒子が析出し易くなり、強度及び曲げ加工性が劣化する傾向にある。従って、本発明の実施の形態に係る銅合金中のCoの含有量は、0.1〜3.5質量%であり、好ましくは0.2〜3.0質量%、更に好ましくは1.5〜3.0質量%である。このようにCoの含有量を適正化することで、電子部品用に適した強度及び曲げ加工性を共に実現することができる。
<Si含有量>
Siの含有量は析出強化による強化機構を十分に発揮するために、例えばCo:Si=2:1〜6:1(質量%)の範囲であるのが適切であり、Co:Si=4.2:1(質量%)である場合に、導電率と強度の関係がより適切である。Co:Si=2:1よりもSi量が多い場合には、Siが母相に残留し導電率を低下させる場合がある。Co:Si=6:1よりもSi量が少ない場合には、Si量が少なすぎるために、析出強化による強化機構を十分に発揮されず、強度が低下する場合がある。本発明の実施の形態に係る銅合金中のSiの含有量は、0.02〜1.8質量%であるのが好ましく、より好ましくは0.02〜0.9質量%、更に好ましくは0.1〜0.9質量%である。
<その他の添加元素>
その他の添加元素(第3元素)をCu−Co−Si系合金に添加すると、Coが十分に固溶する高い温度で溶体化処理をしても結晶粒が容易に微細化し、強度を向上させる効果がある。
その他の添加元素としては、Mn、Fe、Mg、Ni、Cr、V、Nb、Zn、Sn、Mo、Zr、B、Ag、Be、ミッシュメタル及びPを単独で添加するか、又は2種以上を複合添加してもよい。ここで「ミッシュメタル」とは、Ce、La、Dy、Nd、Yなどを含む希土類元素の混合物である。
これらの元素は、合計で0.05質量%以上含有するとその効果が現れだすが、合計で1.0質量%を超えるとCoの固溶限を狭くして粗大な第二相粒子を析出し易くなり、強度は若干向上するが曲げ加工性が劣化する。同時に、粗大な第二相粒子は、曲げ部の肌荒れを助長し、また、プレス加工での金型磨耗を促進させる。従って、その他の元素群としてMn、Fe、Mg、Ni、Cr、V、Nb、Zn、Sn、Mo、Zr、B、Ag、Be、ミッシュメタル及びPよりなる群から選択される1種又は2種以上を合計で0〜1.0質量%含有することができ、合計で0.05〜1.0質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%含有するのが好ましい。
−Cu−Co−Si系合金の性状−
<結晶粒径>
本発明の実施の形態に係るCu−Co−Si系合金の一例を図1に示す。Cu−Co−Si系合金の強度を向上させるためには結晶粒が小さいほど好ましい。そこで、好ましい平均結晶粒径は20μm以下、より好ましくは15μm以下であり、例えば5〜15μmである。下限について特に制限はないが、未再結晶領域が無く均一に再結晶させるためには、1μm以上が好ましい。本実施形態において「平均結晶粒径」は、光学顕微鏡又は電子顕微鏡による観察で圧延平行断面(圧延平行方向に沿う断面)のエッチング後の表面の組織観察に対してJIS G0551の直線交差線分法により測定する。
<第二相粒子>
本発明において「第二相粒子」とは母相の成分組成とは異なる組成の粒子を指す(例えば図1の粒子11参照)。第二相粒子は種々の熱処理途中に析出するCo、Siを主成分とした粒子(例えばCo2Si粒子、Co−Si系粒子、Cu−Co−Si系粒子)であり、具体的には合金成分の金属間化合物又はその他の添加元素群の構成要素X(具体的にはMn、Fe、Mg、Co、Ni、Cr、V、Nb、Zn、Sn、Mo、Zr、B及びPの何れか)を含む金属間化合物粒子(例えば、Co−Si−X系粒子、Cu−Co−Si−X系粒子)として現れる。また、Coを含まないSi−X系粒子やCu−Si−X系粒子、Siを含まないCo−X系粒子やCu−Co−X系粒子、CoとSiの両方を含まないCu−X系粒子もこの「第二相粒子」に含む。
本発明では、第二相粒子を粒径100nm以上1.0μm以下のものと、粒径1.0μmを超えるものの二種類に分け、それらの平均個数密度(Y)、(X)を規定している。粒径100nm以上1.0μm以下の第二相粒子(Y)は主に時効処理時に析出したものであり、粒径1.0μmを超える第二相粒子(X)は主に時効処理を行う前に析出して残留していたものが時効処理時に更に成長したものであると考えられる。なお、前者の粒径を100nm以上としたのは、あまりにも微細な第二相粒子はカウントするのが困難だからである。
粒径100nm以上1.0μm以下の第二相粒子の平均個数密度(Y)は、時効処理における条件を反映し、粒径1.0μmを超える第二相粒子の平均個数密度(X)は時効処理における条件に加えて溶体化処理終了時までの熱処理条件も反映する。
粒径粒径100nm以上1.0μm以下の第二相粒子の平均個数密度(Y)は、時効処理の度合を小さく(例:低温短時間)行うと小さくなり、時効処理の度合を大きく(例:高温長時間)で行うと大きくなる。平均個数密度(Y)が小さ過ぎると時効処理の度合が不十分であること(亜時効)を示し、必要な強度が得られない。一方、平均個数密度(Y)が大きすぎても、今度は時効処理の度合が過剰であったこと(過時効)を示し、ピーク強度が得られる時効処理条件を超えて強度が低下するとともに曲げ加工性が悪化する。
本実施形態に係るCu−Co−Si系合金では、圧延平行断面の電解研磨後の表面の検鏡によって観察される粒径100nm以上1.0μm以下の第二相粒子の平均個数密度(Y)が5.0×104個/mm2以下であることが、強度及び曲げ加工性の良好なバランスを得る上で適切であり、より好ましくは0.5×104〜3.0×104個/mm2、更に好ましくは1.0×104〜2.5×104個/mm2である。
一方、粒径1.0μmを超える第二相粒子の平均個数密度(X)は、平均個数密度(Y)と同様に時効処理の影響も受けるが、時効処理前の熱処理条件、とりわけ最終段階の溶体化処理条件に影響を受ける。最終段階の溶体化処理を適切に行うことにより、それ以前の工程で析出した第二相粒子を固溶させることができるが、溶体化処理の条件が不適切であれば第二相粒子が残留したり、新たに析出したりする。粒径1.0μmを超える第二相粒子は粒径1.0μm以下のものに比べて強度及び曲げ加工性に与える悪影響が大きいので、極力少ないことが望ましい。
従って、本発明に係るCu−Co−Si系合金の好ましい一実施形態においては、圧延平行断面の電解研磨後の表面の検鏡によって観察される粒径1.0μmを超える第二相粒子の平均個数密度(X)が3.0×104個/mm2以下であり、より好ましくは2.0×104個/mm2以下であり、例えば0.2×104〜1.5×104個/mm2とすることができる。
本発明においては、第二相粒子の粒径を顕微鏡によって観察したときに、第二相粒子を取り囲む最小円の直径として定義する。
<せん断帯>
本実施形態に係るCu−Co−Si系合金は、結晶粒内に、筋状の凹凸を持ったせん断帯(例えば図1のせん断帯12参照)が形成されている。本実施形態において「せん断帯」とは、金属材料を圧延加工した後に現れる筋状又は線状の深さ0.05〜1μmの段差を意味する。なお、この段差はサンプルを研磨後エッチングした際に観察される。せん断帯の本数は結晶粒に加わったひずみの量により決まる。ひずみの量が多くなるほどせん断帯の本数は増え、せん断帯が存在する結晶粒の割合も増える。そのためせん断帯が多いと結晶粒に多くのひずみがたまっているため、曲げ性が低下する場合がある。逆に、せん断帯が少なすぎると、加工硬化の度合いが小さく、強度が不足する場合がある。
なお、従来の手順(溶体化処理→圧延→時効処理)によりCu−Co−Si系合金を製造する場合は、時効の熱処理により結晶粒内のひずみが解放され、せん断帯が消滅するため、エッチングを実施しても結晶粒内にはせん断帯が表れない。
本実施形態に係るCu−Co−Si系合金においては、せん断帯の本数が130〜330本/10000μm2になるように制御することが好ましく、より好ましくは180〜330本/10000μm2、更に好ましくは200〜330本/10000μm2である。
せん断帯の発達を制御する方法としては、圧延加工度を変更すること、冷間圧延時の圧延油の粘度を変更すること、圧延荷重を変更すること等によって行うことができる。具体的には、圧延加工度、圧延油の粘度、圧延荷重を高くするなどして、金属材料に歪みが入りやすい状態とすることにより、せん断帯の発生頻度を上げることができる。
本実施形態においては、せん断帯の有無を、Cu−Co−Si系合金の圧延面に対して機械研磨後にエッチングすることにより組織を現出させ、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、結晶粒の表面(圧延平行断面)から深さが0.01μm以上のものをカウントする。深さの下限を0.01μm以上としたのは、あまりにも微細なせん断帯はカウントするのが困難だからである。
−Cu−Co−Si系合金の特性−
本実施形態に係る銅合金は一実施形態において以下の特性を兼備することができる。
(A)圧延平行方向の0.2%耐力が400MPa以上、好ましくは560MPa以上
(B)BadwayのW曲げ試験を行う際、R/t=0の条件で曲げ変形後の曲げ部表面の平均粗さRaが1.0μm以下、好ましくは0.8μm以下
(C)圧延平行方向の伸びが5%以上、好ましくは7%以上
(D)導電率が65%IACS以上
−用途−
本実施形態に係るCu−Co−Si系合金は種々の伸銅品、例えば板、条、箔、管、棒及び線として提供されることができる。本発明に係るCu−Co−Si系合金は、限定的ではないが、スイッチ、コネクタ、ジャック、端子、リレー、電池等の電子部品の材料として好適に使用することができる。
−Cu−Co−Si系合金の製造方法−
本実施形態に係るCu−Co−Si系合金は、特に溶体化処理及びそれ以降の工程で適切な熱処理及び冷間圧延を実施することにより製造可能である。以下に、好適な製造例を工程毎に順次説明する。
1)インゴット製造
溶解及び鋳造によるインゴットの製造は、基本的に大気中で行う。真空中又は不活性ガス雰囲気中で溶解鋳造を行うことも可能である。溶解において添加元素の溶け残りがあると、強度の向上に対して有効に作用しない場合がある。溶け残りをなくすため、FeやCr等の高融点の第3元素は、添加してから十分に攪拌したうえで、一定時間保持する必要がある。従って、Cuに、Mn、Fe、Mg、Ni、Cr、V、Nb、Zn、Sn、Mo、Zr、B、Ag、Be、ミッシュメタル及びPよりなる群から選択される1種又は2種以上を合計で0〜1.0質量%含有するように添加し、次いでCoやSiを目的の添加量含有するように添加してインゴットを製造することが望ましい。
2)均質化焼鈍及び熱間圧延
インゴット製造時に生じた凝固偏析や晶出物は粗大なので、均質化焼鈍によりできるだけ母相に固溶させて小さくし、可能な限り無くすことが望ましい。これは曲げ割れの防止に効果があるからである。具体的には、インゴット製造工程後には、900〜1000℃に加熱して3〜24時間均質化焼鈍を行った後に、熱間圧延を実施するのが好ましい。液体金属脆性を防止するために、熱延前及び熱延中は980℃以下とするのが好ましい。
3)中間圧延
後述する溶体化処理前の中間圧延における加工度を高くするほど、溶体化処理における再結晶粒が均一かつ微細に生成するので、中間圧延の加工度は高めに設定する。加工度は好ましくは70〜99%である。加工度は{((圧延前の厚み−圧延後の厚み)/圧延前の厚み)×100%}で定義される。また、中間圧延の途中で溶体化処理を数回行うことも可能である。溶体化条件は850℃〜900℃程度で2〜10分程度行えばよい。
4)溶体化処理
中間圧延に続く溶体化処理(最終溶体化処理)を行う前の銅合金素材中には、鋳造又中間圧延過程で生成された析出物が存在する。この析出物は、曲げ性及び時効後の機械的特性増加を妨げる場合があるため、この溶体化処理では、銅合金素材中の析出物を完全に固溶させる温度に銅合金素材を加熱することが望ましい。しかしながら、析出物を完全に無くすまで高温に加熱すると、析出物による粒界のピン止め効果が無くなり、結晶粒が急激に粗大化する。結晶粒が急激に粗大化すると強度が低下する傾向にある。
このため、加熱温度としては、溶体化処理前の銅合金素材が、第二相粒子組成の固溶限付近の温度になるまで加熱することが好ましい。Coの添加量が0.1〜3.5質量%の範囲でCoの固溶限が添加量と等しくなる温度(本発明では「固溶限温度」という。)は350〜1000℃程度であり、例えばCoの添加量が2.0質量%では895℃程度である。典型的には、溶体化前の銅合金素材が、350〜1000℃のCoの固溶限温度、より典型的には350〜1000℃のCoの固溶限温度に比べて0〜20℃高い温度、好ましくは0〜15℃高い温度になるまで加熱する。
溶体化処理における粗大な第二相粒子の発生を抑制するために、銅合金素材の加熱及び冷却は、出来るだけ急速に行うのが好ましい。具体的には、第二相粒子組成の固溶限付近の温度よりも50〜500℃程度、好ましくは150〜500℃程度高くした雰囲気中に銅合金素材を配置することにより急速加熱を行える。この場合、銅合金素材が200℃に達した後の昇温速度を40℃/s以上、好ましくは45℃/s以上として、銅合金素材を加熱する。冷却は水冷等により行われる。この場合、銅合金素材が加熱最高温度から200℃に冷却されるまでの冷却速度を90℃/s以上、好ましくは冷却速度100℃/s以上として、銅合金素材を冷却するのが好ましい。
更に、本実施形態に係る溶体化処理においては、加熱から冷却までの時間、即ち、銅合金素材がCoの固溶限温度付近の温度に至った時から冷却を開始するまでの時間(=保持時間)をできるだけ短くするのが好ましい。本実施形態では、保持時間を5秒以下、更には3秒以下とすることが好ましい。保持時間をできるだけ短くすることにより、結晶粒の粗大化を抑制できる。
5)時効処理
溶体化処理に引き続いて、時効処理を行う。本実施形態に係るCu−Co−Si系合金を得る上では溶体化処理の後、冷間圧延を行わずに直ちに時効処理を行うことが好ましい。従来のように溶体化処理の後、冷間圧延工程を行う場合は、曲げ性と強度の向上を両立することが困難であった。また、冷間圧延工程において高加工度にして得られる合金は高強度であるが曲げ性が悪く、低加工度にして得られる合金は曲げ性には優れるが強度は不足する場合がある。時効処理は金属間化合物の微細な析出物が、適切な大きさと間隔で均質に分布するように、ピーク強度が得られる時効処理条件で実施することが好ましい。ここで、「ピーク強度」とは例えば時効処理時間を一定として(例えば15時間)、時効処理温度を変化させた場合(例えば450、475、500、525、550、575、600℃の各時効処理温度で時効処理をした場合)に、最も強度(引張強さ)が高くなる条件で時効処理した場合の強度をいう。具体的には、材料温度475〜580℃では1〜30時間加熱することが好ましく、材料温度480〜580℃で1.5〜25時間加熱することがより好ましく、材料温度480〜580℃で5〜25時間加熱することがより好ましい。
6)最終冷間圧延(仕上げ圧延)
上記時効処理後、最終冷間圧延を行うことにより、Cu−Co−Si系合金の強度を高めることができる。高い強度を得ることを目的とする場合は加工度を2%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは7%以上とする。但し、加工度が高すぎるとせん断帯の存在する結晶粒の割合が多くなり曲げ性が悪化することから加工度を25%以下、好ましくは20%以下とする。なお、時効後の圧延方法を歪みが入りやすい条件にすると、せん断帯の本数が急激に増加するため、本実施形態では、同一加工度でも材料表面に歪みの入りにくい条件で圧延することが好ましい。
本実施形態においては、最終冷間圧延の圧延荷重は材料の幅方向の単位長さ当たりで115kg/mm以下とするのが好ましく、より好ましくは105kg/mm以下であり、例えば、100〜85kg/mmである。なお、通常は、最終冷間圧延の圧延荷重は工業的に短時間で圧延するために、通常150〜200kg/mmからそれ以上の圧延荷重で実施される。圧延荷重が高ければ高いほど、板厚方向に材料を圧縮する力が強くなり、より短時間で所望の板厚まで材料を薄くすることができるからである。圧延油の粘度は本発明では13cST未満とするのが好ましく、10cST以下とするのが更に好ましく、より好ましくは7cST以下、更に好ましくは6.8〜3cSTである。なお、通常は、工業的に短時間で圧延するためには7〜25cST程度からそれ以上の粘度の圧延油を使用するのが一般的である(例えば特開2006−307288号では7〜13cSTである)。圧延油の粘度が高いほど、速い圧延速度でも圧延に最適な潤滑油厚みを得られるため、圧延速度を高めることが可能となり、より短時間で圧延できる。
7)歪取焼鈍
最終の冷間圧延の後、電子部品に適用するのに必要な応力緩和特性を得るため、歪取焼鈍を行う。歪取焼鈍の条件は慣用の条件でよいが、具体的には、材料温度200℃以上550℃未満で0.001〜20時間加熱の条件で行うのが好ましく、低温であれば長時間(例えば材料温度200〜300℃で12〜20時間加熱)、高温であれば短時間(例えば材料温度300〜400℃で0.001〜12時間加熱)の条件で行うのがより好ましい。また要求特性によっては本工程を省略することも可能である。
なお、当業者であれば、上記各工程の合間に適宜、表面の酸化スケール除去のための研削、研磨、ショットブラスト、酸洗等の工程を行なうことができることは理解できるだろう。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
実施例の銅合金を製造するに際しては、溶製には大気溶解炉を用いた。また、本発明で規定した元素以外の不純物元素の混入による予想外の副作用が生じることを未然に防ぐため、原料は比較的純度の高いものを厳選して使用した。
表1に記載の濃度のCo、Siを添加し、場合により第3元素を更に添加して、残部銅及び不可避的不純物の組成を有するインゴットに対して980℃で3時間加熱する均質化焼鈍の後、900〜950℃で熱間圧延を行い、板厚10mmの熱延板を得た。面削による脱スケール後、冷間圧延して素条の板厚(2.0mm)とした。次いで、中間の冷間圧延では最終板厚が0.10mmとなるように中間の板厚を調整して冷間圧延した。その後、急速加熱が可能な焼鈍炉に挿入して溶体化処理を行い、銅合金素材が所定の材料温度に達した時点で直ぐに焼鈍炉から取り出し水冷した。
溶体化処理は、試験片の材料最高温度がCoの固溶限温度(Co濃度0.1質量%で約370℃、Co濃度0.2質量%で約490℃、Co濃度0.3質量%で約560℃、Co濃度0.5質量%で約650℃、Co濃度0.7質量%で約710℃、Co濃度0.8質量%で約730℃、Co濃度0.9質量%で約750℃、Co濃度1.0質量%で約770℃、Co濃度1.5質量%で約840℃、Co濃度1.7質量%で約865℃、Co濃度1.8質量%で約875℃、Co濃度1.9質量%で約885℃、Co濃度2.0質量%で約890℃、Co濃度2.2質量%で約910℃、Co濃度2.6質量%で約940℃、Co濃度3.0質量%で約960℃、Co濃度3.5質量%で約990℃)程度又はそれ以上となるように、表1に記載の昇温速度及び冷却速度で加熱及び冷却した。表1中「保持時間」とは、試験片が材料最高温度に達した時から水冷を開始するまでの時間を示す。「200℃以上の昇温速度」は、試験片が200℃に達してから材料最高温度に達するまでの平均昇温速度を表す。具体的には(昇温速度(℃/s))=(材料最高温度(℃)−200(℃))/(試験片が200℃に達してから材料最高温度に達するまでに要した時間(s))で算出した。「200℃以上の冷却速度」は、試験片が材料最高温度から200℃まで冷却されるまでの平均冷却速度を表す。具体的には(冷却速度(℃/s))=(材料最高温度(℃)−200(℃))/(水冷を開始してから試験片の温度が200℃になるまでに要した時間(s))で算出した。なお、昇温速度、及び冷却速度の基準を、試験片が200℃に達した後又は200℃に冷却されるまでの時間と規定したのは、200℃以下の温度域では析出物の消滅、生成、成長の駆動力となる原子の拡散距離が無視できるくらい小さいからである。その後、溶体化処理後の試験片に対してそれぞれピーク強度が得られる時効処理条件(例えば、500℃、15時間)で時効処理を行った後、表1に示す条件で仕上げ圧延を行い、実施例及び比較例の試験片を作製した。なお、表1中「幅あたりの圧延荷重」は、試験片の幅方向の単位長さあたりの圧延荷重を示す。(幅方向の単位長さあたりの圧延荷重(kg/mm))=(圧延荷重(kg))/(サンプル幅(mm))
得られた各試験片について以下の条件で特性評価を行った。結果を表2に示す。
<結晶粒径>
結晶粒径(平均結晶粒径)の測定は、圧延平行断面をリン酸67%+硫酸10%+水の溶液に15V60秒の条件で電解研磨により組織を現出させ、水洗乾燥させ観察に供した。これをFE−SEM(電解放射型走査電子顕微鏡)を用いて組織を観察し、JIS G0551の交差線分法により平均結晶粒径を求めた。
<第二相粒子の個数密度>
圧延平行断面を機械研磨後、50質量%の濃度の硫酸によるエッチングにより組織を現出させた。粒径と析出物の複数の元素が含まれることは、FE−SEMのEDS(エネルギー分散型X線分析)を用いて全ての析出物に対して成分分析することにより確認した。粒径100nm以上1.0μm以下の第二相粒子と、粒径1.0μmを超える第二相粒子に分けて数え、それぞれの個数密度(Y)及び(X)を測定した。
<せん断帯>
Cu−Co−Si系合金の圧延平行断面に対して第二相粒子の個数密度と同一条件のエッチングにより組織を現出させた。そして、エッチングにより現出させた表面の組織の凹凸を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定した。そして、結晶粒の表面から深さが0.01μm以上のものをせん断帯としてカウントした。具体的には、100μm×100μmの枠を作製し、この中に存在するせん断帯の本数をカウントした。枠を横切っているせん断帯についても、1本としてカウントした。カウントした本数を、せん断帯の面積(10000μm2)当たりの本数と規定した。
<0.2%耐力>
引張方向が圧延方向と平行になるように、プレス機を用いてJIS13B号試験片を作製した。JIS−Z2241に従ってこの試験片の引張試験を行ない、圧延平行方向の0.2%公称ひずみ時の強度を測定した。
<導電率>
JIS H 0505に準拠し、4端子法で導電率(EC:%IACS)を測定した。
<伸び>
引張試験を実施したサンプルに対して、JIS−Z2241に従って、破断伸びを測定した。
<曲げ表面>
JIS Z 2248に従いW曲げ試験をBadway(曲げ軸が圧延方向と同一方向)、R/t=0で実施し、この試験片の曲げ表面を観察した。観察方法はレーザーテック社製コンフォーカル顕微鏡HD100を用いて曲げ表面を撮影し、付属のソフトウェアを用いて平均粗さRaを測定し、比較した。なお、曲げ加工前の試料表面はコンフォーカル顕微鏡を用いて観察したところ凹凸は確認できなかった。曲げ加工後の表面平均粗さRaが1.0μmを超える場合を曲げ加工後の外観に劣ると評価した。
<考察>
実施例1〜10は、Co濃度とそのCo濃度に好適な材料最高温度で溶体化処理を実施し、かつ好適な最終冷間圧延(仕上げ圧延)を実施した場合の例を示す。いずれの実施例も引張強さ、伸びおよび曲げ性が良好であった。
実施例11〜18および実施例24〜33は、第3元素として単一の元素を添加した例である。また実施例19〜23および実施例34は複数の元素を第3元素として添加したものである。いずれの実施例11〜34も第二相粒子の個数密度(X)、(Y)が小さく、結晶粒の大きさ及びせん断帯の本数が適正な範囲にあり、引張強さ、伸びおよび曲げ性が良好であった。
実施例35、36はCoとSiの質量比を2:1、6:1に調整した例である。実施例35、36においても引張強さ、伸びおよび曲げ性において良好であった。
一方、比較例1は、溶体化処理時の材料温度が低すぎるために、第二相粒子(X)の個数が多くなりすぎ、強度は低下し、曲げ表面が粗くなった。比較例2は、溶体化処理時の材料温度が高すぎるため、結晶粒径が大きくなり強度が低下し、曲げ表面が粗くなった。比較例3〜7は溶体化時の保持時間が長すぎるために、結晶粒径が大きくなりすぎて、曲げ表面が粗くなった。比較例8は溶体化処理時の材料温度を低く、保持時間を長くしたが、結晶粒径が大きくなり過ぎ、曲げ表面が粗くなった。比較例9〜13は第3元素を添加し、比較例8と同様に溶体化の温度を低く、保持時間を長くしたが、第3元素添加の影響は無く、結晶粒径が大きくなりすぎて、強度が低く曲げ表面が粗くなった。
比較例14は溶体化処理時の200℃以上の昇温速度を遅くしたため、結晶粒径が大きくなりすぎて、曲げ表面が粗くなった。比較例15は、溶体化時の200℃以上の冷却速度を遅くしすぎたため、個数密度(Y)が大きくなりすぎて、強度は低く、曲げ表面が粗くなった。比較例16は仕上げ圧延加工を実施していないため、強度が低くなった。比較例17は仕上げ圧延加工度が高すぎるため、せん断帯の本数が多くなりすぎて、曲げ表面が粗くなった。
比較例18〜32は仕上げ圧延時の条件が適切でない例を示す。比較例19、20、23、24、27、28、31、32は仕上げ圧延時の圧延油の粘度が高すぎるために、せん断帯の本数が多くなりすぎて、曲げ表面が粗くなった。比較例21、22、25、26、29、30は仕上げ圧延時の幅あたりの圧延荷重が大きすぎるために、せん断帯の本数が多くなりすぎて、曲げ表面が粗くなった。
比較例33はCo、Siの量が多すぎるために、個数密度(X)、(Y)が大きくなり過ぎて、曲げ表面が粗くなった。比較例34は製造工程の仕上げ圧延と時効の順序を入れ替えたため、強度が低下した。比較例35は製造工程の仕上げ圧延と時効の順序を入れ替え、仕上げ圧延加工度を高くしたが、せん断帯は存在せず曲げ表面に亀裂を発生した。比較例36は製造工程の仕上げ圧延と時効の順序を入れ替え、溶体化時の保持時間を長くして、仕上げ圧延加工度を高くした例であるが、せん断帯は存在せず、曲げ表面に亀裂を発生した。比較例37は製造工程の仕上げ圧延と時効の順序を入れ替え、溶体化時の保持時間を長くした例であるが、せん断帯は存在せず、曲げ表面に亀裂を発生した。
比較例38は、溶体化時の溶体化処理時の材料最高温度を低く、保持時間を長時間にした上、仕上げ圧延時の幅あたりの圧延荷重が大きく、圧延油の粘度を高くしため、結晶粒径は大きく、せん断帯の本数も多くなり曲げ表面が粗くなった。比較例39〜43は、第3元素を添加した例であるが、比較例38と同様に、溶体化処理時の材料最高温度を低く、保持時間を長時間にした上、仕上げ圧延時の幅あたりの圧延荷重が大きく、圧延油の粘度を高くしため、結晶粒径は大きく、せん断帯の本数も多くなり曲げ表面が粗くなった。
11 第二相粒子
12 せん断帯

Claims (14)

  1. Coを0.1〜3.5質量%、Siを0.02〜0.9質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物からなるCu−Co−Si系合金であって、電子顕微鏡による圧延平行断面の組織観察において、平均結晶粒径が20μm以下、結晶粒内に存在する粒径1μmより大きい第二相粒子の平均個数密度(X)が3×104個/mm2以下、前記結晶粒内に存在する粒径100nm〜1μmの第二相粒子の平均個数密度(Y)が5×104個/mm2以下であり、せん断帯の本数が130本/10000μm2〜330本/10000μm2であるCu−Co−Si系合金。
  2. CoとSiの質量比が2:1〜6:1である請求項1に記載のCu−Co−Si系合金。
  3. 伸びが5.0%以上、0.2%耐力が560MPa以上である請求項1又は2に記載のCu−Co−Si系合金。
  4. 曲げ表面の平均粗さRaが1.0μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のCu−Co−Si系合金。
  5. 第3元素群としてMn、Fe、Mg、Ni、Cr、V、Nb、Zn、Sn、Mo、Zr、B、Ag、Be、ミッシュメタル及びPよりなる群から選択される1種又は2種以上を、合計で0〜1.0質量%含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のCu−Co−Si系合金。
  6. 請求項1〜5いずれか1項記載のCu−Co−Si系合金からなる伸銅品。
  7. 請求項1〜5いずれか1項記載のCu−Co−Si系合金からなる電子部品。
  8. 請求項1〜5いずれか1項記載のCu−Co−Si系合金を備えたコネクタ。
  9. Coを0.1〜3.5質量%、Siを0.02〜0.9質量%含有し、第3元素群としてMn、Fe、Mg、Ni、Cr、V、Nb、Zn、Sn、Mo、Zr、B、Ag、Be、ミッシュメタル及びPよりなる群から選択される1種又は2種以上を合計で0〜1.0質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物からなる銅合金素材に対して、前記銅合金素材を、350〜1000℃においてCu中のCoの固溶限が添加量と同じになる固溶限温度になるまで加熱し、前記銅合金素材が前記固溶限温度に達した直後に、急冷する溶体化処理を行い、溶体化処理に続いて時効処理を行い、時効処理に続いて最終冷間圧延を行うことを含む、Cu−Co−Si系合金の製造方法。
  10. 前記溶体化処理が、前記銅合金素材が前記固溶限温度に達してから5秒以内に前記銅合金素材を冷却することを含む請求項9に記載のCu−Co−Si系合金の製造方法。
  11. 前記溶体化処理が、Cu中のCoの固溶限が添加量と同じになる固溶限温度に比べて0〜20℃高い温度になるまで加熱することを含む請求項9又は10に記載のCu−Co−Si系合金の製造方法。
  12. 前記最終冷間圧延が、加工度2〜30%で行うことを含む請求項9〜11のいずれか1項に記載のCu−Co−Si系合金の製造方法。
  13. 前記最終冷間圧延が、幅方向の単位長さ当たりの圧延荷重115kg/mm以下で行うことを含む請求項9〜12のいずれか1項に記載のCu−Co−Si系合金の製造方法。
  14. 前記最終冷間圧延が、圧延油の粘度を5〜13cSTで行うことを含む請求項9〜13のいずれか1項に記載のCu−Co−Si系合金の製造方法。
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