JP2012167182A - ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤ用トレッド部材に適用した際、低発熱性と悪路外観性との両立を充分に図ることが可能なゴム組成物を提供する。
【解決手段】セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m2/g)とインクボトル状細孔指数(IB)とが、下記式(I)及び(II):
IB≦−0.56×CTAB+110.4(但し、CTAB≦140)・・・(I)
IB≦−0.20×CTAB+60.0(但し、140<CTAB)・・・(II)
の関係を満たすシリカを、少なくとも天然ゴムを含むゴム成分に配合してなるゴム組成物である。
【選択図】図1
【解決手段】セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m2/g)とインクボトル状細孔指数(IB)とが、下記式(I)及び(II):
IB≦−0.56×CTAB+110.4(但し、CTAB≦140)・・・(I)
IB≦−0.20×CTAB+60.0(但し、140<CTAB)・・・(II)
の関係を満たすシリカを、少なくとも天然ゴムを含むゴム成分に配合してなるゴム組成物である。
【選択図】図1
Description
本発明は、ゴム組成物及びそれを用いたタイヤに関し、特には、タイヤ用トレッド部材に適用した際、低発熱性と悪路外観性との両立を充分に図ることのできるゴム組成物およびそれを用いたタイヤに関するものである。
一般にタイヤは複数の性能を同時に満たす高い性能が求められる。タイヤの中でもトレッドゴムは、路面と直接接触する重要な部材であり、耐摩耗性と耐久性を向上させるためにタイヤ内部の発熱低減すなわち低発熱性が求められる。さらに悪路重荷重用タイヤは耐摩耗性に加えて、悪路走行時におけるトレッド部のモゲやカケを防止するなどの悪路外観性と低発熱性を両立することが強く望まれ、これらの性能は一般的には背反関係にあるため、試行錯誤が繰り返されている。
例えば、特開平9−254606号公報には、悪路外観性と耐摩耗性を両立するために、天然ゴム(NR)とポリブタジエンゴム(BR)とからなるゴム成分に、特定のカーボンブラックと、特定のポリエチレンとを配合して成るゴム組成物をトレッドゴムとして使用することが開示されており、また、特開平5−117450号公報には、悪路外観性と耐摩耗性、低発熱性を向上させるために、リチウム化合物を重合開始剤として溶液重合して得たスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を30〜60重量部、天然ゴム又はポリイソプレンゴムを40〜70重量部、ポリブタジエンゴムを0〜30重量部よりなるゴム成分100重量部に、窒素吸着比表面積(N2SA)が150〜200m2/g、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が90〜130ml/100gのカーボンブラックを40〜65重量部配合してなり、加硫後の破壊時伸びが500%以上、スプリング硬さが60以上、レジリエンス(反発弾性)が40以上のゴム組成物を悪路向大型空気入りタイヤのトレッドゴムとして使用することが開示されているが、いずれの手法も十分とはいえず、さらなる悪路外観性、低発熱性の向上が望まれている。
一方、悪路重荷重用タイヤのトレッドゴムにおいては、カーボンブラックに加え、シリカが充填剤として用いられることがある。シリカを配合することで、悪路外観を悪化させるような入力を緩和させることができ、さらには繰り返し入力に耐えることが可能となる。しかしながら、シリカの配合量を増やすと、ある程度外観状態は維持できるものの、発熱性能が悪化するデメリットがありタイヤ内部の温度が上昇し、タイヤの耐久性が悪化する。特に、トラック・バス用タイヤやオフロードタイヤ等の大型タイヤにおいては、放熱が充分でないために低発熱による耐久性向上が重要である、さらに未加硫ゴムの粘度が必要以上に上昇して、工場作業性が低下してしまう。
そこで、本発明は、タイヤ用トレッド部材に適用した際、低発熱性と悪路外観性との両立を充分に図ることが可能なゴム組成物及びそれを用いたタイヤを提供することを課題とする。
本発明者は、シリカとポリマーの関係に注目し、シリカの細孔がポリマーを捕捉し、更に捕捉したポリマーを解放することで、悪路外観を悪化させるような入力を緩和できること、さらに再びポリマーを捕捉することで、それらの繰り返し入力に耐えることが可能となることに注目し、粒子の外表面に開口部を備えた細孔の形状にも関与する特定の物性を有するシリカと特定のポリマーを配合することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のゴム組成物は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m2/g)とインクボトル状細孔指数(IB)とが、下記式(I)及び(II):
IB≦−0.56×CTAB+110.4(但し、CTAB≦140)・・・(I)
IB≦−0.20×CTAB+60.0(但し、140<CTAB)・・・(II)
[式(I)及び式(II)中、インクボトル状細孔指数(IB)は、下記式(X):
IB=M2−M1 ・・・(X)
で求められる値であり、式(X)中、M1は、直径1.2×105nm〜6nmの範囲にある開口部を外表面に具えた細孔を有するシリカに対し、水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定において、圧力を1〜32000PSIまで上昇させた際に水銀圧入量の最大値を示す開口部の直径(nm)であり、M2は、該測定において、圧力を32000〜1PSIまで下降させた際に水銀排出量の最大値を示す開口部の直径(nm)である]の関係を満たすシリカを、少なくとも天然ゴムを含むゴム成分に配合してなることを特徴とする。
IB≦−0.56×CTAB+110.4(但し、CTAB≦140)・・・(I)
IB≦−0.20×CTAB+60.0(但し、140<CTAB)・・・(II)
[式(I)及び式(II)中、インクボトル状細孔指数(IB)は、下記式(X):
IB=M2−M1 ・・・(X)
で求められる値であり、式(X)中、M1は、直径1.2×105nm〜6nmの範囲にある開口部を外表面に具えた細孔を有するシリカに対し、水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定において、圧力を1〜32000PSIまで上昇させた際に水銀圧入量の最大値を示す開口部の直径(nm)であり、M2は、該測定において、圧力を32000〜1PSIまで下降させた際に水銀排出量の最大値を示す開口部の直径(nm)である]の関係を満たすシリカを、少なくとも天然ゴムを含むゴム成分に配合してなることを特徴とする。
ここで、上記シリカは、灼熱減量(750℃で3時間加熱した時の質量減少分)(質量%)と加熱減量(105℃で2時間加熱した時の質量減少分)(質量%)とが、下記式(III):
灼熱減量−加熱減量≧2.5(質量%)・・・(III)
の関係を満たすことが好ましい。
灼熱減量−加熱減量≧2.5(質量%)・・・(III)
の関係を満たすことが好ましい。
上記シリカは、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)は、50〜250m2/gであることが好ましい。
上記シリカの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して3〜70質量部であることが好ましい。
上記ゴム成分中の上記天然ゴムの含有量は、100〜80質量%であることが好ましい。
また、本発明のゴム組成物は、前記ゴム成分が天然ゴム及びジエン系合成ゴムからなり、かつ前記ゴム成分100質量部に対し、前記シリカを1〜150質量部の量で配合してなるものであってもよい。
また、本発明のゴム組成物は、前記シリカ100質量部に対し、さらにシランカップリング剤を1〜30質量部の量で配合してなるものであってもよい。
また、前記シランカップリング剤は、
下記式(IV):
AmB3−mSi−(CH2)a−Sb−(CH2)a−SiAmB3−m・・・(IV)
[式(IV)中、AはCnH2n+1O(nは1〜3の整数)又は塩素原子であり、Bは炭素数1〜3のアルキル基であり、mは1〜3の整数、aは1〜9の整数、bは1以上の整数である。但し、mが1の時、Bは互いに同一であっても異なっていてもよく、mが2又は3の時、Aは互いに同一であっても異なっていてもよい。]で表される化合物、
下記式(V):
AmB3−mSi−(CH2)c−Y・・・(V)
[式(V)中、AはCnH2n+1O(nは1〜3の整数)又は塩素原子であり、Bは炭素数1〜3のアルキル基であり、Yはメルカプト基、ビニル基、アミノ基、グリシドキシ基又はエポキシ基であり、mは1〜3の整数、cは0〜9の整数である。但し、mが1の時、Bは互いに同一であっても異なっていてもよく、mが2又は3の時、Aは互いに同一であっても異なっていてもよい。]で表される化合物、
下記式(VI):
AmB3−mSi−(CH2)a−Sb−Z・・・(VI)
[式(VI)中、AはCnH2n+1O(nは1〜3の整数)又は塩素原子であり、Bは炭素数1〜3のアルキル基であり、Zはベンゾチアゾリル基、N,N−ジメチルチオカルバモイル基又はメタクリロイル基であり、mは1〜3の整数、aは1〜9の整数、bは1以上の整数で分布を有していてもよい。但し、mが1の時、Bは互いに同一であっても異なっていてもよく、mが2又は3の時、Aは互いに同一であっても異なっていてもよい。]で表される化合物、及び
下記式(VII):
R1 xR2 yR3 zSi−R4−S−CO−R5・・・(VII)
[式(VII)中、R1は、R6O−、R6C(=O)O−、R6R7C=NO−、R6R7NO−、R6R7N−及び−(OSiR6R7)n(OSiR5R6R7)から選択され、かつ炭素数が1〜18であり(但し、R6及びR7は、それぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基から選択され、かつ炭素数が1〜18であり、nは0〜10である);
R2は、水素、又は炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基から選択され;
R3は、−[O(R8O)m]0.5−(但し、R8は、アルキレン基及びシクロアルキレン基から選択され、かつ炭素数が1〜18であり、mは1〜4である)であり;
x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たし;
R4は、アルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びアラルキレン基から選択され、かつ炭素数が1〜18であり;
R5は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基及びアラルキル基から選択され、かつ炭素数が1〜18である。]で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが望ましい。
下記式(IV):
AmB3−mSi−(CH2)a−Sb−(CH2)a−SiAmB3−m・・・(IV)
[式(IV)中、AはCnH2n+1O(nは1〜3の整数)又は塩素原子であり、Bは炭素数1〜3のアルキル基であり、mは1〜3の整数、aは1〜9の整数、bは1以上の整数である。但し、mが1の時、Bは互いに同一であっても異なっていてもよく、mが2又は3の時、Aは互いに同一であっても異なっていてもよい。]で表される化合物、
下記式(V):
AmB3−mSi−(CH2)c−Y・・・(V)
[式(V)中、AはCnH2n+1O(nは1〜3の整数)又は塩素原子であり、Bは炭素数1〜3のアルキル基であり、Yはメルカプト基、ビニル基、アミノ基、グリシドキシ基又はエポキシ基であり、mは1〜3の整数、cは0〜9の整数である。但し、mが1の時、Bは互いに同一であっても異なっていてもよく、mが2又は3の時、Aは互いに同一であっても異なっていてもよい。]で表される化合物、
下記式(VI):
AmB3−mSi−(CH2)a−Sb−Z・・・(VI)
[式(VI)中、AはCnH2n+1O(nは1〜3の整数)又は塩素原子であり、Bは炭素数1〜3のアルキル基であり、Zはベンゾチアゾリル基、N,N−ジメチルチオカルバモイル基又はメタクリロイル基であり、mは1〜3の整数、aは1〜9の整数、bは1以上の整数で分布を有していてもよい。但し、mが1の時、Bは互いに同一であっても異なっていてもよく、mが2又は3の時、Aは互いに同一であっても異なっていてもよい。]で表される化合物、及び
下記式(VII):
R1 xR2 yR3 zSi−R4−S−CO−R5・・・(VII)
[式(VII)中、R1は、R6O−、R6C(=O)O−、R6R7C=NO−、R6R7NO−、R6R7N−及び−(OSiR6R7)n(OSiR5R6R7)から選択され、かつ炭素数が1〜18であり(但し、R6及びR7は、それぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基から選択され、かつ炭素数が1〜18であり、nは0〜10である);
R2は、水素、又は炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基から選択され;
R3は、−[O(R8O)m]0.5−(但し、R8は、アルキレン基及びシクロアルキレン基から選択され、かつ炭素数が1〜18であり、mは1〜4である)であり;
x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たし;
R4は、アルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びアラルキレン基から選択され、かつ炭素数が1〜18であり;
R5は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基及びアラルキル基から選択され、かつ炭素数が1〜18である。]で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが望ましい。
また、本発明のゴム組成物は、前記ゴム100質量部に対し、さらにカーボンブラックを80質量部以下の量で配合してなり、かつ前記シリカと前記カーボンブラックとの総配合量が120質量部以下であってもよい。
本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を、タイヤ用部材、特には、トレッドに適用したことを特徴とする。
本発明のゴム組成物によれば、粒子の外表面に開口部を具えた細孔の形状にも関与する特定の物性を有するシリカと天然ゴムが配合されているため、タイヤに用いた際に優れた悪路外観性と低発熱性とを兼ね備えることができる。したがって、かかるゴム組成物をタイヤ用部材、特には、トレッドとして用いることにより、高性能なタイヤを実現することが可能となる。
以下、本発明について、必要に応じて図面を参照しつつ具体的に説明する。
本発明のゴム組成物は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m2/g)とインクボトル状細孔指数(IB)とが、下記式(I)及び(II):
IB≦−0.56×CTAB+110.4(但し、CTAB≦140)・・・(I)
IB≦−0.20×CTAB+60.0(但し、140<CTAB)・・・(II)
の関係を満たすシリカを、少なくとも天然ゴムを含むゴム成分に配合してなることを特徴とする。ここで、式(I)及び式(II)において、インクボトル状細孔指数(IB)は、下記式(X):
IB=M2−M1 ・・・(X)
で求められる値であり、式(X)中、M1は、直径1.2×105nm〜6nmの範囲にある開口部を外表面に具えた細孔を有するシリカに対し、水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定において、圧力を1〜32000PSIまで上昇させた際に水銀圧入量の最大値を示す開口部の直径(nm)であり、M2は、該測定において、圧力を32000〜1PSIまで下降させた際に水銀排出量の最大値を示す開口部の直径(nm)である。本発明に従う、少なくとも天然ゴムを含むゴム成分に上記式(I)及び(II)の関係を満たすシリカを配合してなるゴム組成物は、タイヤ用トレッド部材に適用した際に、タイヤの低発熱性と悪路外観性との向上を可能とする。なお、上記シリカは、灼熱減量(750℃で3時間加熱した時の質量減少分)(質量%)と加熱減量(105℃で2時間加熱した時の質量減少分)(質量%)とが、下記式(III):
灼熱減量−加熱減量≧2.5(質量%)・・・(III)
の関係を満たすことが好ましい。
本発明のゴム組成物は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m2/g)とインクボトル状細孔指数(IB)とが、下記式(I)及び(II):
IB≦−0.56×CTAB+110.4(但し、CTAB≦140)・・・(I)
IB≦−0.20×CTAB+60.0(但し、140<CTAB)・・・(II)
の関係を満たすシリカを、少なくとも天然ゴムを含むゴム成分に配合してなることを特徴とする。ここで、式(I)及び式(II)において、インクボトル状細孔指数(IB)は、下記式(X):
IB=M2−M1 ・・・(X)
で求められる値であり、式(X)中、M1は、直径1.2×105nm〜6nmの範囲にある開口部を外表面に具えた細孔を有するシリカに対し、水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定において、圧力を1〜32000PSIまで上昇させた際に水銀圧入量の最大値を示す開口部の直径(nm)であり、M2は、該測定において、圧力を32000〜1PSIまで下降させた際に水銀排出量の最大値を示す開口部の直径(nm)である。本発明に従う、少なくとも天然ゴムを含むゴム成分に上記式(I)及び(II)の関係を満たすシリカを配合してなるゴム組成物は、タイヤ用トレッド部材に適用した際に、タイヤの低発熱性と悪路外観性との向上を可能とする。なお、上記シリカは、灼熱減量(750℃で3時間加熱した時の質量減少分)(質量%)と加熱減量(105℃で2時間加熱した時の質量減少分)(質量%)とが、下記式(III):
灼熱減量−加熱減量≧2.5(質量%)・・・(III)
の関係を満たすことが好ましい。
本発明のゴム組成物のゴム成分としては、天然ゴムを単独で、或いは天然ゴムとジエン系合成ゴムを併用して用いることができる。かかるジエン系合成ゴムとしては、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)等が挙げられる。悪路外観性能向上の観点では天然ゴムがゴム成分中80質量%以上含まれることが好ましい。なお、ゴム成分が天然ゴムを含まない場合、悪路外観性能を向上させることができない。
本発明のゴム組成物は、上記ゴム成分に対し、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m2/g)と水銀ポロシメータによって求められるインクボトル状細孔指数(IB)とが、下記式(I)及び(II):
IB≦−0.56×CTAB+110.4(但し、CTAB≦140)・・・(I)
IB≦−0.20×CTAB+60.0(但し、140<CTAB)・・・(II)
の関係を満たすシリカを配合してなる。
IB≦−0.56×CTAB+110.4(但し、CTAB≦140)・・・(I)
IB≦−0.20×CTAB+60.0(但し、140<CTAB)・・・(II)
の関係を満たすシリカを配合してなる。
ここで、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m2/g)とは、ASTM D3765−92に準拠して測定された値を意味する。ただし、ASTM D3765−92はカーボンブラックのCTABを測定する方法であるため、本明細書では、標準品であるIRB#3(83.0m2/g)の代わりに、別途セチルトリメチルアンモニウムブロミド(以下、CE−TRABと略記する)標準液を調製し、これによってシリカOT(ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)溶液の標定を行い、上記シリカ表面に対するCE−TRAB1分子当たりの吸着断面積を0.35nm2として、CE−TRABの吸着量から算出される比表面積(m2/g)をCTABの値とする。これは、カーボンブラックとシリカとでは表面が異なるので、同一表面積でもCE−TRABの吸着量に違いがあると考えられるためである。
また、インクボトル状細孔指数(IB)とは、直径1.2×105nm〜6nmの範囲にある開口部を外表面に具えた細孔を有するシリカに対し、水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定において、圧力を1〜32000PSIまで上昇させた際における水銀圧入量の最大値を示す開口部の直径(M1)(nm)、及び圧力を32000PSI〜1PSIまで下降させた際における水銀排出量の最大値を示す開口部の直径(M2)(nm)により、下記式(X):
IB=M2−M1・・・(X)
で求められる値を意味する。水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定は、従来より細孔の形態を評価するのに多く採用される電子顕微鏡を用いた測定よりも簡便であり、かつ定量性に優れるので有用な方法である。
IB=M2−M1・・・(X)
で求められる値を意味する。水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定は、従来より細孔の形態を評価するのに多く採用される電子顕微鏡を用いた測定よりも簡便であり、かつ定量性に優れるので有用な方法である。
一般に、シリカの粒子は、その外表面に開口部を具えた凹状を呈した細孔を多数有している。図1に、シリカの粒子における内心方向断面でのこれら細孔の形状を模した概略図を示す。粒子における内心方向断面でかかる凹状を呈した細孔は、様々な形状を呈しており、粒子の外表面における開口部の直径Maと粒子内部における細孔径(内径)Raとが略同一の形状、すなわち粒子の内心方向断面において略円筒状を呈する細孔Aもあれば、粒子内部における細孔径(内径)Rbよりも粒子の外表面における開口部の直径Mbの方が狭小である形状、すなわち粒子の内心方向断面においてインクボトル状を呈する細孔Bもある。しかしながら、粒子の内心方向断面においてインクボトル状を呈する細孔Bであると、粒子の外表面から内部へとゴム分子鎖が侵入しにくいため、シリカをゴム成分に配合した際にゴム分子鎖を充分に吸着させることができず、低発熱性が低下するおそれがあるとともに補強性が不充分となって耐摩耗性の向上を図るのが困難となるおそれがある。したがって、かかるインクボトル状を呈する細孔B数を低減し、粒子の内心方向断面において略円筒状を呈する細孔A数を増大させれば、ゴム分子鎖の侵入を効率的に促進することができ、低発熱性を低下させることなく、充分な補強性を発揮して耐摩耗性の向上に寄与することが可能となる。
上記観点から、本発明では、ゴム成分に配合するシリカに関し、粒子の内心方向断面においてインクボトル状を呈する細孔B数を低減すべく、上記インクボトル状細孔指数(IB)を規定する。上述のように、水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定において圧力を上昇させた際、略円筒状を呈する細孔Aは外表面の開口部が開放的であるために細孔内部に水銀が圧入されやすいが、インクボトル状を呈する細孔Bは外表面の開口部が閉鎖的であるために細孔内部に水銀が圧入されにくい。一方、圧力を下降させた際には、同様の理由により、略円筒状を呈する細孔Aは細孔内部から細孔外部へ水銀が排出されやすいが、インクボトル状を呈する細孔Bは細孔内部から細孔外部へ水銀がほとんど排出されない。
したがって、図2に示すように、水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定では、水銀の圧入排出曲線C−Dにヒステリシスが生じる。すなわち、比較的低圧力下では略円筒状を呈する細孔A内に徐々に水銀が圧入されるが、ある圧力に達した時点で、それまで水銀が侵入しにくかったインクボトル状を呈する細孔Bを含む、略円筒状を呈する細孔以外の細孔内にも一気に水銀が圧入され、急激に圧入量が増大して、縦軸を微分水銀圧入量(−dV/d(log d))、横軸をシリカの細孔における開口部の直径M(nm)とした場合に圧入曲線Cを描くこととなる。一方、圧力を充分に上昇させた後に圧力を下降させていくと、比較的高圧力下では水銀が排出されにくい状態が継続するものの、ある圧力に達した時点で、細孔内に圧入されていた水銀が細孔外に一気に排出され、急激に排出量が増大して、縦軸を微分水銀排出量(−dV/d(log d))、横軸をシリカの細孔における開口部の直径M(nm)とした場合に排出曲線Dを描くこととなる。一旦細孔内に圧入された水銀は、圧力の下降時には細孔外に排出されにくい傾向にあるため、圧力の下降時では上昇時における圧入量の増大を示す直径(M1)の位置よりも大きい値を示す直径(M2)の位置で排出量の増大が見られ、これらの直径の差(M2−M1)が図2のIBに相当する。特にインクボトル状を呈する細孔Bにおいては、圧入された水銀が排出されにくい傾向が顕著であり、圧力上昇時には細孔B内に水銀が圧入されるものの、圧力下降時には細孔B外に水銀がほとんど排出されない。
こうした測定方法を採用し、細孔の性質に起因して描かれる水銀圧入排出曲線C−Dを活用して、上記式(X)に従い、水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定において圧力を1〜32000PSIまで上昇させた際に水銀圧入量の最大値を示す開口部の直径(M1)(nm)と、圧力を32000PSI〜1PSIまで下降させた際における水銀排出量の最大値を示す開口部の直径(M2)(nm)との差IBを求めれば、かかる値が見かけ上はこれらの直径の差(長さ:nm)を示すものの、実質的にはシリカに存在するインクボトル状を呈する細孔Bの存在割合を示す細孔指数を意味することとなる。すなわち、充分に狭小な開口部を有するインクボトル状を呈する細孔Bの占める存在割合が小さいほど、水銀圧入量と水銀排出量とがほぼ同量に近づき、水銀圧入量の最大値を示す開口部の直径(M1)と水銀排出量の最大値を示す開口部の直径(M2)との差が短縮してIB値が小さくなる。一方、インクボトル状を呈する細孔Bの占める存在割合が大きいほど、水銀圧入量よりも水銀排出量が減少し、水銀圧入量の最大値を示す開口部の直径(M1)と水銀排出量の最大値を示す開口部の直径(M2)との差が拡大してIB値が大きくなる。
こうしたIBは、上記CTABの値によっても変動し得る性質を有しており、CTABが増大するにつれ、IB値が低下する傾向にある。したがって、本願で用いるシリカは、CTABが140(m2/g)である場合を境にして、下記式(I)及び(II):
IB≦−0.56×CTAB+110.4(但し、CTAB≦140)・・・(I)
IB≦−0.20×CTAB+60.0(但し、140<CTAB)・・・(II)
を満たし、下記式(I−1)及び(II−1):
IB≦−0.48×CTAB+97.2(但し、CTAB≦140)・・・(I−1)
IB≦−0.20×CTAB+58.0(但し、140<CTAB)・・・(II−1)
を満たすのが好ましい。IB及びCTABが上記式(I)〜(II)、好ましくは(I−1)〜(II−1)を満たすシリカであると、狭小な開口部を有するインクボトル状を呈する細孔B数が有効に低減され、略円筒状を呈する細孔Aが占める存在割合が増大するため、ゴム分子鎖を充分に侵入させて吸着させることができ、充分な補強性を発揮して、タイヤにおける低発熱性を低下させることなく耐摩耗性の向上を図ることが可能となる。
IB≦−0.56×CTAB+110.4(但し、CTAB≦140)・・・(I)
IB≦−0.20×CTAB+60.0(但し、140<CTAB)・・・(II)
を満たし、下記式(I−1)及び(II−1):
IB≦−0.48×CTAB+97.2(但し、CTAB≦140)・・・(I−1)
IB≦−0.20×CTAB+58.0(但し、140<CTAB)・・・(II−1)
を満たすのが好ましい。IB及びCTABが上記式(I)〜(II)、好ましくは(I−1)〜(II−1)を満たすシリカであると、狭小な開口部を有するインクボトル状を呈する細孔B数が有効に低減され、略円筒状を呈する細孔Aが占める存在割合が増大するため、ゴム分子鎖を充分に侵入させて吸着させることができ、充分な補強性を発揮して、タイヤにおける低発熱性を低下させることなく耐摩耗性の向上を図ることが可能となる。
上記シリカは、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が好ましくは50〜300m2/g、より好ましくは50〜250m2/g、より一層好ましくは90〜220m2/gである。CTABが50m2/g未満であると、得られるタイヤの耐摩耗性が著しく低下するおそれがある。一方、CTABが300m2/gを超えると、シリカがゴム成分中で良好に分散できず、ゴムの加工性が著しく低下するおそれがあり、ひいては耐摩耗性等の物性が低下する傾向にある。また、CTABが250m2/g以下であれば、シリカがゴム成分中で良好に分散でき、ゴムの加工性を良好に維持できる。
上記シリカは、上記式(I)〜(II)を満たすほか、さらに灼熱減量(750℃で3時間加熱した時の質量減少分)(質量%)と加熱減量(105℃で2時間加熱した時の質量減少分)(質量%)とが、下記式(III):
灼熱減量−加熱減量≧2.5(質量%)・・・(III)
の関係を満たすことが好ましい。さらに上記式(III)は、下記式(III−1)であるのが好ましい。
灼熱減量−加熱減量≧3.0(質量%)・・・(III−1)
上記「灼熱減量−加熱減量」は、シリカ表面にあるシラノール基密度の指数であり、シリカとゴム分子鎖との相互作用の観点から、シリカが式(I)及び(II)に加えて上記(III)を満たすことにより、低発熱性と耐摩耗性との良好なバランスを発揮するのに大きく寄与することとなる。
灼熱減量−加熱減量≧2.5(質量%)・・・(III)
の関係を満たすことが好ましい。さらに上記式(III)は、下記式(III−1)であるのが好ましい。
灼熱減量−加熱減量≧3.0(質量%)・・・(III−1)
上記「灼熱減量−加熱減量」は、シリカ表面にあるシラノール基密度の指数であり、シリカとゴム分子鎖との相互作用の観点から、シリカが式(I)及び(II)に加えて上記(III)を満たすことにより、低発熱性と耐摩耗性との良好なバランスを発揮するのに大きく寄与することとなる。
上記シリカの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1〜150質量部、より好ましくは3〜70質量部の量である。シリカの配合量が1質量部未満であると、ゴム組成物の低発熱性が損なわれるおそれがあり、150質量部を超えると、ゴムの加工性が低下するとともに得られるタイヤの耐摩耗性をも低下させるおそれがある。一方、シリカの配合量が3〜70質量部の範囲であれば、ゴム組成物の低発熱性が十分に確保でき、また、ゴムの加工性を良好に維持でき、また、得られるタイヤの耐摩耗性も良好となる。
本発明のゴム組成物は、上記シリカ100質量部に対し、さらにシランカップリング剤を30質量部未満、好ましくは3〜16質量部、より好ましくは5〜12質量部の量で配合されてなるのが望ましい。シランカップリング剤をシリカ100質量部に対して1質量部以上の量で配合することで、シリカ配合の効果をさらに向上させ、ゴム組成物の低発熱性及び貯蔵弾性率等の物性をさらに向上させることができる一方、30質量部を超えた量で配合しても、低発熱性及び貯蔵弾性率等をさらに向上させることができず、コスト高となるおそれがある。
上記シランカップリング剤としては、下記式(IV):
AmB3−mSi−(CH2)a−Sb−(CH2)a−SiAmB3−m・・・(IV)
[式(IV)中、A、B、m、a、及びbは上記で定義した通りである]で表される化合物、下記式(V):
AmB3−mSi−(CH2)c−Y・・・(V)
[式(V)中、A、B、Y、m、及びcは上記で定義した通りである]で表される化合物、下記式(VI):
AmB3−mSi−(CH2)a−Sb−Z・・・(VI)
[式(VI)中、A、B、Z、m、a、及びbは上記で定義した通りである]で表される化合物、及び下記式(VII):
R1 xR2 yR3 zSi−R4−S−CO−R5・・・(VII)
[式(VII)中、R1、R2、R3、R4、R5、x、y及びzは上記で定義した通りである]で表される化合物が好ましく、これらシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
AmB3−mSi−(CH2)a−Sb−(CH2)a−SiAmB3−m・・・(IV)
[式(IV)中、A、B、m、a、及びbは上記で定義した通りである]で表される化合物、下記式(V):
AmB3−mSi−(CH2)c−Y・・・(V)
[式(V)中、A、B、Y、m、及びcは上記で定義した通りである]で表される化合物、下記式(VI):
AmB3−mSi−(CH2)a−Sb−Z・・・(VI)
[式(VI)中、A、B、Z、m、a、及びbは上記で定義した通りである]で表される化合物、及び下記式(VII):
R1 xR2 yR3 zSi−R4−S−CO−R5・・・(VII)
[式(VII)中、R1、R2、R3、R4、R5、x、y及びzは上記で定義した通りである]で表される化合物が好ましく、これらシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記式(IV)で表される化合物としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド等が挙げられる。
また、上記式(V)で表される化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの市販品としては、例えば、エボニック・デグッサ社製の商品名「VP Si363」が挙げられる。
さらに、上記式(VI)で表される化合物としては、3−トリメトキシシリルプロピル-N,N−ジメチルカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリロイルモノスルフィド等が挙げられる。
また、上記式(VII)で表される化合物については、式(VII)中、R2、R5、R6及びR7において、アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。また、アルケニル基も、直鎖状でも分岐状でもよく、該アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メタニル基等が挙げられる。さらに、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等が、シクロアルケニル基としては、シクロヘキセニル基、エチルシクロヘキセニル基等が、アリール基としては、フェニル基、トリル基等が挙げられる。またさらに、R5において、アラルキル基としては、フェネチル基等が挙げられる。
上記式(VII)中、R4及びR8において、アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよく、該アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が挙げられる。また、シクロアルキレン基としては、シクロヘキシレン基等が挙げられる。またさらに、R4において、アルケニレン基は、直鎖状でも分岐状でもよく、該アルケニレン基としては、ビニレン基、プロペニレン基等が挙げられる。また、シクロアルキルアルキレン基としては、シクロヘキシルメチレン基等が、アリーレン基としては、フェニレン基等が、アラルキレン基としては、キシリレン基等が挙げられる。
上記式(VII)中、R3において、−[O(R8O)m]0.5−基としては、1,2−エタンジオキシ基、1,3−プロパンジオキシ基、1,4−ブタンジオキシ基、1,5−ペンタンジオキシ基、1,6−ヘキサンジオキシ基等が挙げられる。上記式(VII)で表される化合物は、特表2001−505225号に記載の方法と同様に合成することができ、また、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の商品名「NXT」(式(VII)のR1=C2H5O、R4=C3H6、R5=C7H15、x=3、y=0、z=0:3−オクタノイルチオ−プロピルトリエトキシシラン)等の市販品を利用することもできる。
上記式(IV)、(V)、(VI)又は(VII)で表される化合物の中でも、上記式(V)で表される化合物、及び上記式(VII)で表される化合物が好ましい。
また、前記シランカップリング剤として、分子内に、窒素原子(N)及びケイ索原子(Si)を含む環状構造と、一つ以上の硫黄原子(S)とを有する所定の有機ケイ素化合物を用いることができる。
前記有機ケイ素化合物は、シリカ等の無機充填剤の表面との親和性が高いアミノ基、イミノ基、置換アミノ基、置換イミノ基等の含窒素官能基を含むため、窒素原子の非共有電子対が、有機ケイ棄化合物と無機充填剤の反応に関与でき、カップリング反応の速度が速い。しかし、窒素原子(N)とケイ素原子(Si)とを含む環状構造が二環性の構造の場合、ケイ素原子(Si)周辺の立体障害が大きいため、無機充填剤との反応性が低く、カップリング効率が大幡に低下してしまう。本発明で使用する有機ケイ素化合物は、立体障害の小さな基が一つ以上ケイ素原子に結合している部位を有するため、シリカ等の無機充填剤との反応性が高い。そのため、従来のシランカップリング剤に代えて、この有機ケイ素化合物を無機充填剤配合ゴム組成物に添加することで、カップリング効率が向上し、その結果として、ゴム組成物のヒステリシスロスを大幅に低下させつつ、耐摩耗性を大幅に向上させることが可能となる。また、本発明の有機ケイ素化合物は、添加効率が高いため、少量でも高い効果が得られ、配合コストの低減にも寄与する。
前記立体障害の小さな基としては、水素原子(−H)、メチル基(−CH3)及びヒドロキシル基(−OH)等が好ましい。水素原子、メチル基又はヒドロキシル基がケイ素原子(Si)に結合している場合、有機ケイ素化合物と無機充填剤との反応性が特に高く、カップリング効率を大幅に向上させることができる。また、前記有機ケイ素化合物は、ケイ素−酸素結合(Si−O)を1〜6個有することが好ましい。有機ケイ素化合物がケイ素−酸素結合(Si−O)を1〜6個有する場合、シリカ等の無機充填剤との反応性が高く、カップリング効率が更に向上するためである。
本発明で使用することができる有機ケイ素化合物として、具体的には、下記一般式(XI)で表わされる化合物が好ましい。該有機ケイ素化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一般式(XI)において、Aは、硫黄原子(S)を含み且つゴム成分と反応する基である。式(XI)で表わされる有機ケイ素化合物は、環状構通部分がシリカ等の無機充填剤と反応するため、分子内に更にゴム成分と反応する基を有することで、ゴム成分と無機充填剤とのカップリング能力を有することとなる。ここで、硫黄原子(S)を含み且つゴム成分と反応する基は、ポリサルファイド基、チオエステル基、チオール基、ジチオカーボネート基、ジチオアセタール基、ヘミチオアセタール基、ビニルチオ基、α−チオカルボニル基、β−チオカルボニル基、S−CO−CH2−O部分、S−CO−CO部分(チオジケトン基)、及びS−CH2−Si部分からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、ポリサルファイド基及びチオエステル基の少なくとも一方を含むことが特に好ましい。
一般式(XI)において、R11及びR12はそれぞれ独立して−M−ClH2l−で表され、ここで、Mは−O−又は−CH2であり、lは0〜10である。但し、R11及びR12の一つ以上は、Mが−O−である。−ClH2l−は、lが0〜10であるため、単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基であり、ここで、炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が挙げられ、該アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。
一般式(XI)において、R13は、水素原子、メチル基又はヒドロキシル基である。該R13は、立体障害が小さいため、ゴム成分とシリカ等の無機充填剤とのカップリング反応の向上に大きく寄与する。
一般式(XI)において、R14は−CnH2n+1で、nは0〜20である。なお、−CnH2n+1は、nが0〜20であるため、水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基ペンチル基、へキシル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル墓、ドデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等が挙げられ、該アルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよい。
上記一般式(XI)中のAは、下記一般式(XII)、(XIII)又は(XIV)で表わされことが好ましい。
[式(XII)中のR11、R12、R13及びR14は上記と同義であり、式(XII)、式(XIII)及び式(XIV)中のR15は下記一般式(XV)又は(XVI):
式(XIII)中のR16は下記一般式(XVII)又は(XVIII):
(式中、M、X、Y、R17、l及びmは上記と同義であり、R19は−NR14R15、−NR14NR14R15、−N=NR14である)或いは−ClH2l−R20(R20は−NR14R15、−NR14−NR14R15、−N=NR14又は−M−CmH2m+1或いは炭素6〜20の芳香族炭化水素基であり、但し、R14、R15、M、l及びmは上記と同義である)で表わされ、
式(XII)及び(XIII)中のxは1〜10であるが、好ましくは2〜4である。
式(XII)及び(XIII)中のxは1〜10であるが、好ましくは2〜4である。
上記式(XV)及び(XVI)において、Mは−O−又は−CH2−であり、l及びmは0〜10である。また、上記式(XV)おいて、X及びYはそれぞれ独立して−O−、−NR14−又は−CH2−であり、R17は−OR14、−NR14R15又は−R14であり、ここで、R14は−CnH2n+1で、R15は−CqH2q+1である。更に、上記式(XVI)において、R18は、−NR14−、−NR14−NR14−又は−N=N−であり、ここで、R14は−CnH2n+1である。
−CnH2n+1については、上述の通りであり、−CmH2m−は、mが0〜10であるため、単結合又は炭素教1〜10のアルキレン基である。ここで、炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が挙げられ、該アルキレン基臆、直鏡状でも分岐状でもよい。
また、−CqH2q+1は、qが0〜10であるため、水素又は炭素数1〜10のアルキル基である。ここで、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、該アルキル基は直鎖状でも、分岐状でもよい。
−CnH2n+1については、上述の通りであり、−CmH2m−は、mが0〜10であるため、単結合又は炭素教1〜10のアルキレン基である。ここで、炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が挙げられ、該アルキレン基臆、直鏡状でも分岐状でもよい。
また、−CqH2q+1は、qが0〜10であるため、水素又は炭素数1〜10のアルキル基である。ここで、炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、該アルキル基は直鎖状でも、分岐状でもよい。
上記式(XIII)中のR16は、上記一般式(XVII)又は式(XVIII)、或いは−ClH2l−R20で表わされ、特には−ClH2l+1で表わされることが好ましい。但し、M、X、Y、R17、R19、l及びmは上記と同義である。ここで、R20は−NR14R15、−NR14N14R15、−N=NR14又は−M-CmH2m+1或いは炭素6〜20の芳香族炭化水素基であり、R14、R15、M、l及びmは上記と同義である。
なお、−ClH2l-については、上述の通りであり、また、−CmH2m+1は、mが0〜10であるため水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、炭素数1〜10のアルキル基としてメチル基、エチル基、プロビル基、プチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、該アルキル基は直鎖状でも、分岐状でもよい。また、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチレン基、トリレン基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が挙げられる。
なお、−ClH2l-については、上述の通りであり、また、−CmH2m+1は、mが0〜10であるため水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、炭素数1〜10のアルキル基としてメチル基、エチル基、プロビル基、プチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、該アルキル基は直鎖状でも、分岐状でもよい。また、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチレン基、トリレン基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が挙げられる。
また、式(XVI)中の−CpH2p+1−は、pが0〜20であるため、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基である。ここで、炭素数1〜20のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、デカメチレン基、エイコサメチレン基等が挙げられ、該アルキレン基は直鎖状でも分岐状でもよい。
上記式(XI)の化合物において、Mは−O−(酸素)であることが好ましい。この場合、Mが−CH2−である化合物と比べてシリカ等の無機充項剤との反応性が高い。
また、式(XI)において、R1及びR2はそれぞれ独立して−O−ClH2l−で表わされることが好ましく、R3は水素原子、メチル基又はヒドロキシル基であり、上記R6は−O−ClH2l−で表わされることが好ましく、上記R7は、−O−ClH2l−で表わされる直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
前記有機ケイ素化合物、例えば、(ClH2l+1O)2R13Si−A[式中、l、R13及びAは上記と同義である]で表わされる化合物に対し、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等のアミン化合物を加え、さらに触媒としてp−トルエンスルホン酸、塩酸等の酸や、チタンテトラn−ブトキシド等のチタンアルコシドを添加し、加熱して、2つのClH2l+1O−を−R11−NR14−R12−で表わされる二価の基で置換することで合成できる。
前記有機ケイ素化合物は、窒素原子(N)とケイ素原子(Si)とを含む環状構造を有し、該環状構造は、ケイ素−酸素結合(Si−O)を含む場合であっても、安定である。そのため、ケイ素−酸素結合(Si−O)が加水分解してアルコール成分が発生することがなく、使用中の揮発性有機化合物(VOC)ガスを低減できる点で有効である。
本発明のゴム組成物には、さらに補強用充填剤としてカーボンブラックを配合してもよく、該カーボンブラックの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して80質量部以下、好ましくは60質量部以下の量であるのが望ましい。カーボンブラックの配合量が上記ゴム成分100質量部に対して80質量部を超えると、ゴム組成物の低発熱性が悪化するおそれがある。また、この場合、該カーボンブラックと上記シリカとの総配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して120質量部以下、好ましくは100質量部以下の量であるのが望ましい。カーボンブラックとシリカとの総配合量を上記ゴム成分100質量部に対して120質量部以下とすることで、ゴム組成物の低発熱性を充分に向上させることができる。
本発明のゴム組成物には、通常のゴム組成物に配合する添加剤を本発明の効果を損なわない程度に配合することができ、例えば、ゴム工業で通常使用されている老化防止剤、加硫促進剤、硫黄、酸化亜鉛、ステアリン酸、オゾン劣化防止剤等の添加剤を適宜配合することができる。なお、本発明のゴム組成物は、ロール等の開放式混練機や、バンバリーミキサー等の密閉式混練機等を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後に加硫を行い、各種ゴム製品に適用可能である。
本発明のタイヤは、上記ゴム組成物をタイヤ用トレッド部材に適用したことを特徴とする。上記ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、該ゴム組成物が低発熱性に優れ、また耐摩耗性にも優れる。なお、本発明のタイヤに充填する気体としては、通常の又は酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスが挙げられる。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、シリカの物性は、下記の方法で評価した。
《インクボトル状細孔指数(IB)の測定》
水銀ポロシメータ POREMASTER-33(Quantachrome社製)を用いて、上述したように、水銀圧入法に基づき、まず圧力を1〜32000PSIまで上昇させて、シリカの外表面において開口部の直径1.2×105nm〜6nmである細孔について水銀圧入量を測定し、図2に示したように圧入量のピークに位置する直径(M1)を求めた。次に、圧力を32000PSI〜1PSIまで下降させて、水銀を細孔内から排出した。このときの排出曲線から得られた排出量のピークに位置する直径(M2)を求めた。これらM1及びM2の値から上記式(X)によりIBを算出した。
水銀ポロシメータ POREMASTER-33(Quantachrome社製)を用いて、上述したように、水銀圧入法に基づき、まず圧力を1〜32000PSIまで上昇させて、シリカの外表面において開口部の直径1.2×105nm〜6nmである細孔について水銀圧入量を測定し、図2に示したように圧入量のピークに位置する直径(M1)を求めた。次に、圧力を32000PSI〜1PSIまで下降させて、水銀を細孔内から排出した。このときの排出曲線から得られた排出量のピークに位置する直径(M2)を求めた。これらM1及びM2の値から上記式(X)によりIBを算出した。
《CTABの測定》
ASTM D3765−92記載の方法に準拠して実施した。この際、上述したように、カーボンブラックの標準品であるIRB#3(83.0m2/g)を使用せず、別途セチルトリメチルアンモニウムブロミド(以下、CE−TRABと略記する)標準液を調製し、これによってシリカOT(ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)溶液の標定を行い、シリカ表面に対するCE−TRAB1分子当たりの吸着断面積を0.35nm2として、CE−TRABの吸着量から比表面積(m2/g)を算出した。
ASTM D3765−92記載の方法に準拠して実施した。この際、上述したように、カーボンブラックの標準品であるIRB#3(83.0m2/g)を使用せず、別途セチルトリメチルアンモニウムブロミド(以下、CE−TRABと略記する)標準液を調製し、これによってシリカOT(ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)溶液の標定を行い、シリカ表面に対するCE−TRAB1分子当たりの吸着断面積を0.35nm2として、CE−TRABの吸着量から比表面積(m2/g)を算出した。
《灼熱減量及び加熱減量の測定》
シリカサンプルを秤量し、灼熱減量の場合は750℃でサンプルを3時間加熱した後に減少分の質量を測定し、加熱減量の場合は105℃でサンプルを2時間加熱した後に減少分の質量を測定し、加熱前のサンプル質量との差を加熱前の質量に対して百分率(%)で表した。
シリカサンプルを秤量し、灼熱減量の場合は750℃でサンプルを3時間加熱した後に減少分の質量を測定し、加熱減量の場合は105℃でサンプルを2時間加熱した後に減少分の質量を測定し、加熱前のサンプル質量との差を加熱前の質量に対して百分率(%)で表した。
[製造例1:シリカAの製造]
撹拌機を備えた180リットルのジャケット付きステンレス反応槽に、水65リットルとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2 160g/リットル、SiO2/Na2Oモル比3.3)1.25リットルを入れ、85℃に加熱した。生成した溶液中のNa2O濃度は0.015mol/リットルであった。
撹拌機を備えた180リットルのジャケット付きステンレス反応槽に、水65リットルとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2 160g/リットル、SiO2/Na2Oモル比3.3)1.25リットルを入れ、85℃に加熱した。生成した溶液中のNa2O濃度は0.015mol/リットルであった。
この溶液の温度を85℃に維持しながら、上記と同様のケイ酸ナトリウム水溶液を流量750ミリリットル/分で、硫酸(18mol/リットル)を流量33ミリリットル/分で同時に滴下した。流量を調整しつつ、反応溶液中のNa2O濃度を0.005〜0.035mol/リットルの範囲に維持しながら中和反応を行った。反応途中から反応溶液は白濁をはじめ、31分目に粘度が上昇してゲル状溶液となった。さらに、添加を続けて100分で反応を停止した。生じた溶液中のシリカ濃度は85g/リットルであった。引き続いて、上記と同様の硫酸を溶液のpHが3になるまで添加してケイ酸スラリーを得た。得られたケイ酸スラリーをフィルタープレスで濾過、水洗を行って湿潤ケーキを得た。次いで湿潤ケーキを乳化装置を用いてスラリーとして、噴霧式乾燥機で乾燥し、湿式法シリカAを得た。
[製造例2:シリカBの製造]
製造例1と同じステンレス反応槽に、水89リットルとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2 160g/リットル、SiO2/Na2Oモル比3.3)1.70リットルを入れ、80℃に加熱した。生成した溶液中のNa2O濃度は0.015mol/リットルであった。
製造例1と同じステンレス反応槽に、水89リットルとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2 160g/リットル、SiO2/Na2Oモル比3.3)1.70リットルを入れ、80℃に加熱した。生成した溶液中のNa2O濃度は0.015mol/リットルであった。
この溶液の温度を80℃に維持しながら、上記と同様のケイ酸ナトリウム水溶液を流量520ミリリットル/分で、硫酸(18mol/リットル)を流量23ミリリットル/分で同時に滴下した。流量を調整しつつ、反応溶液中のNa2O濃度を0.005〜0.035mol/リットルの範囲に維持しながら中和反応を行った。反応途中から反応溶液は白濁をはじめ、45分目に粘度が上昇してゲル状溶液となった。さらに、添加を続けて100分で反応を停止した。生じた溶液中のシリカ濃度は60g/リットルであった。引き続いて、上記と同様の硫酸を溶液のpHが3になるまで添加してケイ酸スラリーを得た。その後、製造例1と同様にして湿式法シリカBを得た。
[比較例1〜9、実施例1〜3]
表1に示す配合処方により各々表2に示すシリカを用いたゴム組成物を常法に従って調製した。さらにかかる該ゴム組成物をトレッドゴムに適用した、サイズ:3700R57のタイヤを常法に従って試作して、低発熱性及び悪路外観指数を下記の方法により評価した。結果を表3〜4に示す。
表1に示す配合処方により各々表2に示すシリカを用いたゴム組成物を常法に従って調製した。さらにかかる該ゴム組成物をトレッドゴムに適用した、サイズ:3700R57のタイヤを常法に従って試作して、低発熱性及び悪路外観指数を下記の方法により評価した。結果を表3〜4に示す。
《低発熱性》
東洋精機社製スペクトロメーターを用い、歪1%、周波数52Hz、温度100℃の条件下で、損失正接(tanδ)を測定した。比較例1のtanδを100として指数表示した。指数値が大きい程、発熱性が大きく、低発熱性に劣ることを示す。
東洋精機社製スペクトロメーターを用い、歪1%、周波数52Hz、温度100℃の条件下で、損失正接(tanδ)を測定した。比較例1のtanδを100として指数表示した。指数値が大きい程、発熱性が大きく、低発熱性に劣ることを示す。
《悪路外観指数の評価》
2000時間走行後のタイヤにおけるトレッドゴムを観察し、カットの数とチッピングの数の和を測定して、比較例1を対照値(コントロール)100として、各例の逆数を指数化して表示した。指数の値が大きい程、悪路外観指数の改良効果がある。
2000時間走行後のタイヤにおけるトレッドゴムを観察し、カットの数とチッピングの数の和を測定して、比較例1を対照値(コントロール)100として、各例の逆数を指数化して表示した。指数の値が大きい程、悪路外観指数の改良効果がある。
*1: デグッサ社製、商標Si69、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
*2: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
*3: N,N'-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
*4: ジフェニルグアニジン
*5: ジベンゾチアジルジスルフィド
*2: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
*3: N,N'-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
*4: ジフェニルグアニジン
*5: ジベンゾチアジルジスルフィド
*6: ニプシールAQ、東ソー・シリカ社製
*7: VN2、デグッサ社製
*7: VN2、デグッサ社製
*8: #1500、JSR社製
表1及び表2の結果から、天然ゴムを含むゴム成分に、上記式(I)及び(II)の関係を満たすシリカを配合してなるゴム組成物をトレッドに使用することで、低発熱性を向上させつつ、タイヤの悪路外観性を大幅に改良できることが分かる。
Claims (6)
- セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m2/g)とインクボトル状細孔指数(IB)とが、下記式(I)及び(II):
IB≦−0.56×CTAB+110.4(但し、CTAB≦140)・・・(I)
IB≦−0.20×CTAB+60.0(但し、140<CTAB)・・・(II)
[式(I)及び式(II)中、インクボトル状細孔指数(IB)は、下記式(X):
IB=M2−M1 ・・・(X)
で求められる値であり、式(X)中、M1は、直径1.2×105nm〜6nmの範囲にある開口部を外表面に具えた細孔を有するシリカに対し、水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定において、圧力を1〜32000PSIまで上昇させた際に水銀圧入量の最大値を示す開口部の直径(nm)であり、M2は、該測定において、圧力を32000〜1PSIまで下降させた際に水銀排出量の最大値を示す開口部の直径(nm)である]の関係を満たすシリカを、少なくとも天然ゴムを含むゴム成分に配合してなるゴム組成物。 - 前記シリカの灼熱減量(750℃で3時間加熱した時の質量減少分)(質量%)と加熱減量(105℃で2時間加熱した時の質量減少分)(質量%)とが、下記式(III):
灼熱減量−加熱減量≧2.5(質量%)・・・(III)
の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。 - 前記シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が50〜250m2/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物。
- 前記シリカの配合量が前記ゴム成分100質量部に対して3〜70質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
- 前記ゴム成分中の前記天然ゴムの含有量が100〜80質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴム組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴム組成物をトレッドに適用したことを特徴とするタイヤ。
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-
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