JP2012167128A - 中枢神経系の虚血性損傷または出血性損傷を、抗α4インテグリンアンタゴニストを用いて処置する方法 - Google Patents
中枢神経系の虚血性損傷または出血性損傷を、抗α4インテグリンアンタゴニストを用いて処置する方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】インテグリンを含むα4サブユニットのアンタゴニストを用いて中枢神経損傷を処置するための方法および組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、一般的には、急性の中枢神経系(CNS)の損傷の処置方法に関する。詳細には、本発明は、外傷性の脳の損傷、脊髄の損傷、または発作によって生じるCNSの損傷を処置するための、α4インテグリンのアンタゴニストの使用に関する。選択されたα4インテグリンアンタゴニストは、単独で治療薬として、または他の薬学的な試薬と組合せて使用され得る。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、一般的には、急性の中枢神経系(CNS)の損傷の処置方法に関する。詳細には、本発明は、外傷性の脳の損傷、脊髄の損傷、または発作によって生じるCNSの損傷を処置するための、α4インテグリンのアンタゴニストの使用に関する。選択されたα4インテグリンアンタゴニストは、単独で治療薬として、または他の薬学的な試薬と組合せて使用され得る。
【選択図】なし
Description
(発明の分野)
本発明は、一般的には、急性の中枢神経系(CNS)の損傷の処置方法に関する。詳細には、本発明は、外傷性の脳の損傷、脊髄の損傷、または発作によって生じるCNSの損傷を処置するための、α4インテグリンのアンタゴニストの使用に関する。選択されたα4インテグリンアンタゴニストは、単独で治療薬として、または他の薬学的な試薬と組合せて使用され得る。
本発明は、一般的には、急性の中枢神経系(CNS)の損傷の処置方法に関する。詳細には、本発明は、外傷性の脳の損傷、脊髄の損傷、または発作によって生じるCNSの損傷を処置するための、α4インテグリンのアンタゴニストの使用に関する。選択されたα4インテグリンアンタゴニストは、単独で治療薬として、または他の薬学的な試薬と組合せて使用され得る。
(発明の背景)
急性の中枢神経系(「CNS」)の損傷は、脳および脊髄に対する広範囲の医学的および外傷性の結果を含む。例えば、発作は、先進国での死亡の第3番目の主要な原因であり、米国においては約1分間に1件の発作が生じている。死亡率は約30%であるが、400万人以上の発作の生存者が、現在生存している。これらの個体の大部分は種々の程度の障害を残している。虚血性の発作(すなわち、血餅/血栓の形成に起因する血液の流れの破壊に関連する発作)および脊髄における治療的な神経防御を実証するための臨床試験ななお、行われている。血栓溶解治療(血栓の溶解または分解を生じる試薬の使用として定義される)は、多くの限界を有するが、これは、唯一の急性の虚血性の発作のための処置の承認された形態である。虚血性の脳の損傷を阻害するための臨床的に試験されている現在のストラテジーは、興奮毒性(excitotoxic)機構、一酸化窒素に関連する神経の損傷、および虚血に関係するニューロンの細胞膜を標的とする。前臨床的な研究ストラテジーもまた、抗アポトーシスおよび抗炎症機構を標的化する。
急性の中枢神経系(「CNS」)の損傷は、脳および脊髄に対する広範囲の医学的および外傷性の結果を含む。例えば、発作は、先進国での死亡の第3番目の主要な原因であり、米国においては約1分間に1件の発作が生じている。死亡率は約30%であるが、400万人以上の発作の生存者が、現在生存している。これらの個体の大部分は種々の程度の障害を残している。虚血性の発作(すなわち、血餅/血栓の形成に起因する血液の流れの破壊に関連する発作)および脊髄における治療的な神経防御を実証するための臨床試験ななお、行われている。血栓溶解治療(血栓の溶解または分解を生じる試薬の使用として定義される)は、多くの限界を有するが、これは、唯一の急性の虚血性の発作のための処置の承認された形態である。虚血性の脳の損傷を阻害するための臨床的に試験されている現在のストラテジーは、興奮毒性(excitotoxic)機構、一酸化窒素に関連する神経の損傷、および虚血に関係するニューロンの細胞膜を標的とする。前臨床的な研究ストラテジーもまた、抗アポトーシスおよび抗炎症機構を標的化する。
外傷性の脳の損傷またはTBI(例えば、とりわけ、頭部の事故、および頭部の創傷によって引き起こされる脳の損傷)に対する病理生理学的応答は、発作に対する応答についての多くの局面において同様であり、そして同様のアプローチが、TBIの処置のための治療薬の開発のために行われている。発作が虚血性または出血性の機構によって引き起こされるか否かは、CATスキャンまたはたの臨床的な手順によって決定され得、そして続く処置の態様は、このスクリーニングの結果に依存する。
血管の界面での細胞性の接着およびそれを通過する通行は、急性の脳の損傷の生理学的プロセスおよび病理生理学的プロセスの両方において必須の役割を果たす。虚血性の脳の損傷の病理学における特定の目的は、多形核の白血球およびT細胞である。これは、実験的な発作の後での、脳の損傷の発症に関係している(Garciaら、1994、Am.K.Pathol.144;Beckerら、1997、PNAS 94:10873)。脳への細胞性の浸潤は、脳の損傷の後で生じると考えられ、そして疾患の進行に寄与し得る。従って、二次的な脳の損傷(例えば、出血性変化、大脳血管痙攣)もまた、被験体における急性の脳の損傷による結果であり得る。脊髄の損傷(SCI)は、TBIと同様に、若い健康な集団において生じるが、発作後の脳において生じる変化について多くの病理学的な類似点を共有する。このような一般的な機構を参照して、発作およびTBIについてのものと同様の治療的なアプローチが、SCIの処置のために開発されている。
細胞−細胞または細胞−マトリックス相互作用は、いくつかの細胞接着分子のファミリーを通じて媒介される。これらのうちの1つのこのようなファミリーは、インテグリンを含む。インテグリンは、実質的にあらゆる哺乳動物細胞型について種々の組合せで見出される、種々のα(α1、α2、から現在はα11まで)およびβ(β1およびβ7)ヘテロ二量体膜貫通レセプタードメインから構成される、構造的および機能的に関係している糖タンパク質である。(概説については、E.C.Butcher、Cell、67、1033(1991);D.Coxら、「The Pharmacology of the Integrins.」、Medicinal Research Rev.第195巻(1991)およびV.W.Englemanら、「Cell Adhesion Integrins as Pharmaceutical Targets」、Ann,Revs.Medicinal Chemistry、第31巻、J.A.Bristol編;Acad.Press,NY,1996、191頁)を参照のこと)。インテグリンを含有している2つのα4サブユニットが、記載されており、そしてα4β1(VLA−4)およびα4β7と命名されている。
以前の実験は、虚血性の損傷の後で、脳中のα4β1およびα4β7カウンターレセプターVCAM−1のアップレギュレーションを示したが、疾患における機能的な役割を実証しているデータは報告されていなかった(非特許文献1)。VLA−4およびα4β7は、単核の白血球上で発現される(非特許文献2を参照のこと)。
この状況においては、インテグリンファミリーのメンバーをアンタゴナイズする方法を開発することが有用である。さらに、損傷が虚血性であるかまたは出血性であるかどうかにはかかわらず、有効である発作についての治療形態を開発することが、有用である。
この状況においては、インテグリンファミリーのメンバーをアンタゴナイズする方法を開発することが有用である。さらに、損傷が虚血性であるかまたは出血性であるかどうかにはかかわらず、有効である発作についての治療形態を開発することが、有用である。
Janderら、1996、J.NeuroImmunol.70:75
LobbおよびAdams、1994;J.Clin.Invest.94:1722
(発明の要旨)
本発明の開示までには、CNSの損傷(例えば、大脳の虚血)におけるインテグリンを含有しているαサブユニットの病理学的役割は、定義されていない。本発明は、局所的な大脳の虚血のラットモデルにおける、インテグリンを含有している阻害性のα4サブユニットの防御効果に一部関係する。本発明は、α4β1および/またはα4β7のインヒビターを使用する、発作のようなCNSの損傷を処置するための方法を記載する。
本発明の開示までには、CNSの損傷(例えば、大脳の虚血)におけるインテグリンを含有しているαサブユニットの病理学的役割は、定義されていない。本発明は、局所的な大脳の虚血のラットモデルにおける、インテグリンを含有している阻害性のα4サブユニットの防御効果に一部関係する。本発明は、α4β1および/またはα4β7のインヒビターを使用する、発作のようなCNSの損傷を処置するための方法を記載する。
本発明の1つの局面は、インテグリンアンタゴニストを含有しているα4サブユニットの投与を包含する、このような処置を必要としている患者における急性のCNSを処置するための方法である。別の局面は、患者に対して薬理学的な試薬を投与することをさらに包含する方法である。好ましくは、急性のCNS損傷は発作、外傷性の脳の損傷、または脊髄の損傷である。いくつかの実施態様においては、発作は、虚血性または出血性である。
薬理学的薬剤は、組織プラスミノーゲン活性化因子またはウロキナーゼのような血栓崩壊剤であり得るか、あるいはこれは、神経保護剤または抗炎症剤であり得る。本発明の特定の局面においては、神経保護剤は、レセプターのアンタゴニストであり、レセプターは、以下からなる群より選択される:N−メチル−Dアスパラギンレセプター(NMDA)、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオン酸レセプター(AMPA)、グリシンレセプター、カルシウムチャンネルレセプター、ブラジキニンB2レセプター、およびナトリウムチャンネルレセプター。本発明の他の局面においては、抗炎症剤は、インターロイキン−1、および腫瘍壊死因子ファミリーのメンバーからなる群より選択される。神経保護剤はまた、レセプターのアゴニストでもあり得、レセプターは以下からなる群より選択される:ブラジキニンB1レセプター、γ−アミノ酪酸(GABA)レセプター、およびアデノシンA1レセプター。
本発明はさらに、虚血性の発作によって生じる二次的な脳の損傷を処置を必要としている患者において、このような処置をするための方法に関する。この方法は、インテグリンを含有しているα4サブユニットのインヒビターの投与を包含する。
本発明の1つの目的は、インテグリンα4β1もしくはα4β7を単独で、または治療薬とともに、あるいは単独でまたは他の治療薬として互いに組合せて含有している、α4サブユニットのインヒビターを使用して、虚血性または出血性の発作を処置するための方法を提供することである。
本発明の1つの目的は、インテグリンα4β1もしくはα4β7を単独で、または治療薬とともに、あるいは単独でまたは他の治療薬として互いに組合せて含有している、α4サブユニットのインヒビターを使用して、外傷性の脳の損傷を処置するための方法を提供することである。
本発明の1つの目的は、インテグリンα4β1もしくはα4β7を単独で、または治療薬とともに、あるいは単独でまたは他の治療薬として互いに組合せて含有している、α4サブユニットのインヒビターを使用して、脊髄の損傷を処置するための方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、インテグリンα4β1もしくはα4β7を単独で、または治療薬とともに、あるいは単独でまたは他の治療薬として互いに組合せて含有している、α4サブユニットのインヒビターを使用して、一時的な虚血の発作の結果として生じる二次的な脳の損傷(例えば、出血性変化、脳血管攣縮)を処置するための方法を提供することである。
例えば、本発明は以下を提供する:
(項目1) 中枢神経系損傷を処置する必要のある患者において中枢神経系損傷を処置する方法であって、該方法は、α4インテグリンアンタゴニストの投与を包含する、方法。
(項目2) 前記投与工程が、前記患者に薬理学的薬剤をさらに投与する工程を包含する、項目1に記載の方法。
(項目3) 前記中枢神経系損傷が、発作、外傷性脳損傷、または外傷性脊髄損傷である、項目1または2に記載の方法。
(項目4) 前記損傷が、虚血性または出血性である、項目3に記載の方法。
(項目5) 前記薬剤が、血栓崩壊性である、項目2に記載の方法。
(項目6) 前記血栓崩壊性薬剤が、組織プラスミノーゲン活性化因子およびウロキナーゼからなる群より選択される、項目5に記載の方法。
(項目7) 前記薬剤が、神経保護剤である、項目2に記載の方法。
(項目8) 前記薬剤が、抗炎症剤である、項目2に記載の方法。
(項目9) 前記薬剤が、ステロイドである、項目2に記載の方法。
(項目10) 前記薬剤が、サイトカインまたは成長因子である、項目2に記載の方法。
(項目11) 項目7に記載の方法であって、前記神経保護剤が、レセプターのアンタゴニストであり、該レセプターは、以下:
N−メチル−Dアスパラギン酸レセプター(NMDA)、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸レセプター(AMPA)、グリシンレセプター、カルシウムチャネルレセプター、ブラジキニンB2レセプター、およびナトリウムチャネルレセプター、
からなる群より選択される、方法。
(項目12) 項目8に記載の方法であって、前記抗炎症剤が、インターロイキン−1、および腫瘍壊死因子ファミリーメンバーからなる群より選択される、方法。
(項目13) 項目7に記載の方法であって、前記神経保護剤が、レセプターのアゴニストであり、該レセプターは、以下:
ブラジキニンB1レセプター、α−アミノ酪酸(GABA)レセプター、およびアデノシンA1レセプター、
からなる群より選択される、方法。
(項目14) 前記損傷が、虚血である、項目4に記載の方法。
(項目15) 前記薬学的薬剤が、血栓崩壊剤である、項目14に記載の方法。
(項目16) 前記血栓崩壊剤が、組織プラスミノーゲン活性化因子およびウロキナーゼからなる群より選択される、項目15に記載の方法。
(項目17) 前記薬剤が、神経保護剤である、項目14に記載の方法。
(項目18) 項目17に記載の方法であって、前記薬剤が、レセプターのアンタゴニストであり、該レセプターは、以下:
NMDAレセプター、AMPAレセプター、グリシンレセプター、カルシウムチャネルレセプター、ナトリウムチャネルレセプター、およびブラジキニンB2レセプター、
からなる群より選択される、方法。
(項目19) 前記薬剤が、抗炎症剤である、項目14に記載の方法。
(項目20) 前記抗炎症剤が、インターロイキン−1、および腫瘍壊死因子ファミリーからなる群より選択される、項目19に記載の方法。
(項目21) 項目17に記載の方法であって、前記神経保護剤が、レセプターのアゴニストであり、該レセプターは、以下:
ブラジキニンB1レセプター、GABAレセプター、およびアデノシンA1レセプター、からなる群より選択される、方法。
(項目22) 続発性中枢神経系損傷を処置する必要のある患者において、虚血性発作に起因する続発性中枢神経系損傷を処置する方法であって、該方法は、α4インテグリンアンタゴニストの投与を包含する、方法。
(項目23) 前記中枢神経系損傷が、発作、外傷性脳損傷、および外傷性脊髄損傷である、項目22に記載の方法。
(項目24) 前記発作が、虚血性発作または出血性発作である、項目22に記載の方法。
(項目25) 前記続発性脳損傷が、出血性変化(hemorrhagic transformation)または大脳血管痙攣(cerebral vasospasm)である、項目22に記載の方法。
(項目26) 前記α4インテグリンアンタゴニストが、抗体ホモログである、項目1または22に記載の方法。
(項目27) 前記抗体ホモログが、ヒト化抗体ホモログである、項目26に記載の方法。
(項目28) 前記抗体ホモログが、抗体ホモログのフラグメントである、項目26に記載の方法。
(項目29) 前記抗体ホモログが、ポリマー分子に連結される、項目26に記載の方法。
(項目30) 前記α4インテグリンアンタゴニストが、単一のα4サブユニットを含むインテグリンをアンタゴナイズし得る、項目1または22に記載の方法。
(項目31) 前記α4インテグリンアンタゴニストが、1を超えるα4サブユニットを含むインテグリンをアンタゴナイズし得る、項目1または22に記載の方法。
例えば、本発明は以下を提供する:
(項目1) 中枢神経系損傷を処置する必要のある患者において中枢神経系損傷を処置する方法であって、該方法は、α4インテグリンアンタゴニストの投与を包含する、方法。
(項目2) 前記投与工程が、前記患者に薬理学的薬剤をさらに投与する工程を包含する、項目1に記載の方法。
(項目3) 前記中枢神経系損傷が、発作、外傷性脳損傷、または外傷性脊髄損傷である、項目1または2に記載の方法。
(項目4) 前記損傷が、虚血性または出血性である、項目3に記載の方法。
(項目5) 前記薬剤が、血栓崩壊性である、項目2に記載の方法。
(項目6) 前記血栓崩壊性薬剤が、組織プラスミノーゲン活性化因子およびウロキナーゼからなる群より選択される、項目5に記載の方法。
(項目7) 前記薬剤が、神経保護剤である、項目2に記載の方法。
(項目8) 前記薬剤が、抗炎症剤である、項目2に記載の方法。
(項目9) 前記薬剤が、ステロイドである、項目2に記載の方法。
(項目10) 前記薬剤が、サイトカインまたは成長因子である、項目2に記載の方法。
(項目11) 項目7に記載の方法であって、前記神経保護剤が、レセプターのアンタゴニストであり、該レセプターは、以下:
N−メチル−Dアスパラギン酸レセプター(NMDA)、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸レセプター(AMPA)、グリシンレセプター、カルシウムチャネルレセプター、ブラジキニンB2レセプター、およびナトリウムチャネルレセプター、
からなる群より選択される、方法。
(項目12) 項目8に記載の方法であって、前記抗炎症剤が、インターロイキン−1、および腫瘍壊死因子ファミリーメンバーからなる群より選択される、方法。
(項目13) 項目7に記載の方法であって、前記神経保護剤が、レセプターのアゴニストであり、該レセプターは、以下:
ブラジキニンB1レセプター、α−アミノ酪酸(GABA)レセプター、およびアデノシンA1レセプター、
からなる群より選択される、方法。
(項目14) 前記損傷が、虚血である、項目4に記載の方法。
(項目15) 前記薬学的薬剤が、血栓崩壊剤である、項目14に記載の方法。
(項目16) 前記血栓崩壊剤が、組織プラスミノーゲン活性化因子およびウロキナーゼからなる群より選択される、項目15に記載の方法。
(項目17) 前記薬剤が、神経保護剤である、項目14に記載の方法。
(項目18) 項目17に記載の方法であって、前記薬剤が、レセプターのアンタゴニストであり、該レセプターは、以下:
NMDAレセプター、AMPAレセプター、グリシンレセプター、カルシウムチャネルレセプター、ナトリウムチャネルレセプター、およびブラジキニンB2レセプター、
からなる群より選択される、方法。
(項目19) 前記薬剤が、抗炎症剤である、項目14に記載の方法。
(項目20) 前記抗炎症剤が、インターロイキン−1、および腫瘍壊死因子ファミリーからなる群より選択される、項目19に記載の方法。
(項目21) 項目17に記載の方法であって、前記神経保護剤が、レセプターのアゴニストであり、該レセプターは、以下:
ブラジキニンB1レセプター、GABAレセプター、およびアデノシンA1レセプター、からなる群より選択される、方法。
(項目22) 続発性中枢神経系損傷を処置する必要のある患者において、虚血性発作に起因する続発性中枢神経系損傷を処置する方法であって、該方法は、α4インテグリンアンタゴニストの投与を包含する、方法。
(項目23) 前記中枢神経系損傷が、発作、外傷性脳損傷、および外傷性脊髄損傷である、項目22に記載の方法。
(項目24) 前記発作が、虚血性発作または出血性発作である、項目22に記載の方法。
(項目25) 前記続発性脳損傷が、出血性変化(hemorrhagic transformation)または大脳血管痙攣(cerebral vasospasm)である、項目22に記載の方法。
(項目26) 前記α4インテグリンアンタゴニストが、抗体ホモログである、項目1または22に記載の方法。
(項目27) 前記抗体ホモログが、ヒト化抗体ホモログである、項目26に記載の方法。
(項目28) 前記抗体ホモログが、抗体ホモログのフラグメントである、項目26に記載の方法。
(項目29) 前記抗体ホモログが、ポリマー分子に連結される、項目26に記載の方法。
(項目30) 前記α4インテグリンアンタゴニストが、単一のα4サブユニットを含むインテグリンをアンタゴナイズし得る、項目1または22に記載の方法。
(項目31) 前記α4インテグリンアンタゴニストが、1を超えるα4サブユニットを含むインテグリンをアンタゴナイズし得る、項目1または22に記載の方法。
(発明の詳細な説明)
(I.定義)
請求される本発明の検討事項をより明確にそして簡潔に示すために、以下の定義が、以下に記載される説明および添付される特許請求の範囲において使用される特異的な用語について提供される。
(I.定義)
請求される本発明の検討事項をより明確にそして簡潔に示すために、以下の定義が、以下に記載される説明および添付される特許請求の範囲において使用される特異的な用語について提供される。
本発明は、以下の定義が含まれる以下の詳細な記載を参照して、ここに記載される:
インテグリンの非常に後期の抗原(VLA)スーパーファミリーは、ほとんど全ての哺乳動物細胞型についての種々の組合せにおいて見出される、(αおよびβ)ヘテロ二量体の膜貫通レセプター分子から構成される、構造的および機能的に関係している糖タンパク質から作成される。(概説については、E.C.Butcher、Cell、67、1033(1991);D.Coxら、「The Pharmacology of the
Integrins.」、Medicinal Research Rev.(1994)およびV.W.Englemanら、「Cell Adhesion Integrins as Pharmaceutical Targets」、Ann.Reports in Medicinal Chemistry、第31巻、J.A.Bristol編;Acad.Press,NY,1996、191頁)を参照のこと)。VLAファミリーのインテグリンとして(現在は)、VLA−1、−2、−3、−4、−5、−6、−9、および−11が挙げられる。ここでは分子のそれぞれは、それぞれ、α鎖(α1、α2、α3、α4、α5、α6など)に非共有的に結合したβ1鎖を含む。
インテグリンの非常に後期の抗原(VLA)スーパーファミリーは、ほとんど全ての哺乳動物細胞型についての種々の組合せにおいて見出される、(αおよびβ)ヘテロ二量体の膜貫通レセプター分子から構成される、構造的および機能的に関係している糖タンパク質から作成される。(概説については、E.C.Butcher、Cell、67、1033(1991);D.Coxら、「The Pharmacology of the
Integrins.」、Medicinal Research Rev.(1994)およびV.W.Englemanら、「Cell Adhesion Integrins as Pharmaceutical Targets」、Ann.Reports in Medicinal Chemistry、第31巻、J.A.Bristol編;Acad.Press,NY,1996、191頁)を参照のこと)。VLAファミリーのインテグリンとして(現在は)、VLA−1、−2、−3、−4、−5、−6、−9、および−11が挙げられる。ここでは分子のそれぞれは、それぞれ、α鎖(α1、α2、α3、α4、α5、α6など)に非共有的に結合したβ1鎖を含む。
α4β1インテグリンは、VCAM−1フィブロネクチンおよび可能性のある他のリガンドについての細胞表面レセプターである(後者のリガンドが、個々におよびまとめて、「α4リガンド(単数または複数)」と呼ばれる)。従って、用語α4β1インテグリン(互換的に使用される、「VLA−4」または「a4b1」または「a4b1インテグリン」)は、本明細書中では、VCAM−1および細胞外マトリックスタンパク質のメンバー(最も詳細には、フィブロネクチンまたはそのホモログもしくはフラグメント)に対して結合し得るポリペプチドをいうが、VLA−4についての他のリガンドが存在し得、そして従来の方法を使用して分析され得ることが、当業者に明らかである。それにもかかわらず、α4サブユニットは、β1以外の他のベータサブユニットと会合することが公知であり、その結果、本発明者らは、用語「α(I)4インテグリン」または「α(I)4サブユニットを含有しているインテグリン」を、そのα4サブユニットが1つまたは別のβサブユニットと会合するインテグリンであるとして、定義し得る。VLA4以外の「α4」インテグリンの別の例は、α4β7である(LobbおよびAdams、前出を参照のこと)。
インテグリン「アンタゴニスト」は、インテグリンリガンドおよび/またはレセプターとの結合によってα4サブユニットを含有しているインテグリンを阻害する任意の化合物を含む。抗インテグリン抗体または抗体−ホモログを含有しているタンパク質(下記に議論される)、ならびに他の分子(例えば、インテグリンについてのリガンドタンパク質の可溶性の形態)が、有用である。α4サブユニットを含有しているインテグリンについてのリガンドタンパク質の可溶性の形態として、可溶性のVCAM−1、VCAM−1融合タンパク質、または二官能性のVCAM−1/Ig融合タンパク質が挙げられる。例えば、インテグリンリガンドまたはそのフラグメントの可溶性の形態は、インテグリンに結合するように投与され得、そして好ましくは、細胞上のインテグリン結合部位について競合し、それによって抗インテグリン(例えば、VLA−4)抗体のようなアンタゴニストの投与と同様の効果を導く。詳細には、リガンドに結合するが、インテグリン依存性のシグナル伝達は誘発しない可溶性のインテグリン変異体が、本発明の範囲内に含まれる。このようなインテグリン変異体は、野生型のインテグリンタンパク質の競合インヒビターとして作用し得、そして「アンタゴニスト」と考えられる。本発明の方法において使用される他のアンタゴニストは、以下に定義される「低分子」である。
1つ以上のα4サブユニットを含有しているインテグリンの作用をアンタゴナイズする分子(例えば、VLA4およびα4β7の両方、またはα4サブユニットを含有しているインテグリンの他の組合せをアンタゴナイズする、低分子または抗体ホモログ)を使用する方法もまた、本発明に含まれる。1つ以上のインテグリンの作用をアンタゴナイズするような分子の組合せを使用する方法もまた、本発明の範囲に含まれる。例えば、VLA4およびα4β7の両方、またはα4サブユニットを含有しているインテグリンの他の組合せをアンタゴナイズする組合せで、いくつかの低分子または抗体ホモログを使用する方法である。
本明細書中で議論されるように、特定のインテグリンアンタゴニストは、融合され得るか、またはそうでなければ、例えば、イムノグロブリンもしくはそのフラグメントのような抗体ホモログに対して結合させられ得、そしてこれらは、インテグリンまたはリガンドまたは他の分子の特定の型または構造には限定されない。従って、本発明の、目的のためには、キメラタンパク質(以下に定義される)を形成し得るそしてインテグリンリガンドに結合し得、そしてVLA−4(例えば、VLA−4)インテグリンを効果的にブロックまたはコーティングする任意の試薬は、本明細書中の実施例において使用されるアンタゴニストの等価物と考えられる。
「抗体ホモログ」として、ジスルフィド結合を通じて連結された、イムノグロブリン軽鎖および重鎖から構成されるインタクトな抗体が挙げられる。用語「抗体ホモログ」はまた、以下から選択される1つ以上のポリペプチドを含有しているタンパク質を含むことが意図される:イムノグロブリン軽鎖、イムノグロブリン重鎖、および1つ以上の抗原(すなわち、インテグリンまたはインテグリンリガンド)に結合し得るそれらの抗原結合フラグメント。1つ以上のポリペプチドから構成される抗体ホモログの成分ポリペプチドは、必要に応じて、ジスルフィド結合され得るか、またはそうでなければ共有的に架橋され得る。従って、「抗体ホモログ」は、IgA、gG、IgE、IgD、IgM(ならびにそれらのサブタイプ)のインタクトなイムノグロブリンを含む。ここでは、イムノグロブリンの軽鎖は、κ型またはλ型であり得る。「抗体ホモログ」はまた、抗原結合特異性を保持しているインタクトな抗体の一部(例えば、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメント、F(v)フラグメント、重鎖および軽鎖の単量体または二量体またはそれらの混合物)を含む。
「ヒト化抗体ホモログ」は、組換えDNA技術によって産生された抗体ホモログである。ここでは、抗原の結合のためには必要とされないヒトのイムノグロブリン軽鎖または重鎖のアミノ酸のいくつかまたは全てが、ヒト以外の哺乳動物のイムノグロブリン軽鎖または重鎖に由来する対応しているアミノ酸について置換されている。「ヒトの抗体ホモログ」は、イムノグロブリン軽鎖または重鎖の全てのアミノ酸(それらが抗原結合に必要とされるるかどうかにはかかわらず)がヒトの供給源に由来する、抗体ホモログである。
本明細書中で使用される場合には、「ヒトの抗体ホモログ」は、組換えDNA技術によって産生される抗体ホモログである。ここでは、イムノグロブリン軽鎖または重鎖のアミノ酸の全てが、ヒトの供給源に由来する。
インテグリン「アゴニスト」は、インテグリンリガンドを活性化する任意の化合物を含む。
「アミノ酸」は、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の単量体のユニットである。天然に存在しているペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質中には20個のアミノ酸が見出される。これらの全てが、L−イソマーである。この用語はまた、アミノ酸のアナログ、およびタンパク質、アミノ酸、およびそれらのアナログのD−イソマーをも含む。
「共有結合される」は、本発明の特定された部分(例えば、PEG化(ペグ化)(PEGylayed)されたα4インテグリンアンタゴニスト、イムノグロブリンフラグメント/α4インテグリンアンタゴニスト))が、互いに直接共有結合されるか、または他に、介入部分(単数または複数)(例えば、スペーサー部分(単数または複数))を通じて互いに間接的に共有的に連結されるかのいずれかであることを意味する。介入部分(単数または複数)は、「カップリング基」と呼ばれる。用語「結合された」は、「共有的にカップリングされた」と互換的に使用される。これに関して、「スペーサー」は、α4インテグリンアンタゴニストまたはフラグメントのアミノ酸または他の成分と、分子の残りとの間に挿入され得る部分をいう。スペーサーは、タンパク質機能を妨害することによって改変を妨げるため、および/またはアミノ酸または他の成分が別の部分と連結することを容易にするように、アミノ酸または他の成分と分子の残りとの間に分離を提供し得る。
「発現制御配列」は、それらの遺伝子に対して作動可能に連結された場合に、遺伝子の発現を制御しそして調節するポリヌクレオチドの配列である。
「発現ベクター」は、発現ベクターが宿主細胞中に導入された場合に、少なくとも1つの遺伝子の発現を可能にする、DNAプラスミドまたはファージ(他の一般例の中でも)のようなポリヌクレオチドである。ベクターは、細胞中で複製し得るか、または複製できない場合もある。
本発明の試薬の「有効量」は、処置される特定の症状に対する結果を生じるかまたは影響を発揮する量である。
アミノ酸残基の「機能的な等価物」は、(i)機能的な等価物によって置き換えられるアミノ酸残基と同様の反応特性を有しているアミノ酸;(ii)本発明のアンタゴニストのアミノ酸であって、機能的な等価物によって置き換えられるアミノ酸残基と同様の特性を有しているアミノ酸;(iii)機能的な等価物によって置換されるアミノ酸残基と同様の特性を有している、非アミノ酸である分子である。
本発明のタンパク質様アンタゴニストをコードする第1のポリヌクレオチドは、それが以下の条件の少なくとも1つを満たす場合、アンタゴニストタンパク質をコードする第2のポリヌクレオチドと比較して、「機能的に等価」である:
(a)「機能的な等価物」は、標準的なハイブリダイゼーション条件下で第2のポリヌクレオチドに対してハイブリダイズする第1のポリヌクレオチドであり、そして/または第1のポリヌクレオチド配列と縮重している。最も好ましくは、これは、インテグリンアンタゴニストタンパク質の活性を有している変異体タンパク質をコードする;
(b)「機能的な等価物」は、第2のポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列についての発現をコードする第1のポリヌクレオチドである。
(a)「機能的な等価物」は、標準的なハイブリダイゼーション条件下で第2のポリヌクレオチドに対してハイブリダイズする第1のポリヌクレオチドであり、そして/または第1のポリヌクレオチド配列と縮重している。最も好ましくは、これは、インテグリンアンタゴニストタンパク質の活性を有している変異体タンパク質をコードする;
(b)「機能的な等価物」は、第2のポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列についての発現をコードする第1のポリヌクレオチドである。
本発明において使用されるインテグリンアンタゴニストとして、本明細書中に列挙される因子、ならびにそれらの機能的な等価物が挙げられるがこれらに限定されない。従って、本明細書中で使用される場合には、用語「機能的な等価物」は、インテグリンアンタゴニストまたはインテグリンアンタゴニストをコードするポリヌクレオチドをいう。インテグリンアンタゴニストをコードするポリヌクレオチドは、インテグリンアンタゴニストとしてレシピエントに対して同じまたは改善された有利な効果を有し、機能的な等価物であると考えられる。当業者に明らかであるように、機能的に等価なタンパク質は、組換え技術によって(例えば、「機能的に等価なDNA」を発現することによって)産生され得る。従って、本発明は、天然に存在しているDNAによって、ならびに天然に存在しているDNAによってコードされるものと同じタンパク質をコードする天然には存在していないDNAによってコードされる、インテグリンタンパク質を含む。ヌクレオチドコード配列の縮重に起因して、他のポリヌクレオチドが、インテグリンタンパク質をコードするように使用され得る。これらは、配列中の同じアミノ酸残基をコードする種々のコドンの置換によって変更される上記の配列の全てまたは一部を含み、従って、サイレントな変異を生じる。このような変更された配列は、これらの配列の等価物と見なされる。例えば、Phe(F)は、2つのコドンTTCまたはTTTによってコードされ、Tyr(Y)はTACまたはTATによってコードされ、そしてHis(H)はCACまたはCATによってコードされる。一方、Trp(W)は、単一のコドンTGGによってコードされる。従って、特定のインテグリンをコードする所定のDNA配列について、それをコードする多くのDNAの縮重配列が存在することが、明らかである。これらの縮重DNA配列は、本発明の範囲内であると考えられる。
用語「キメラ」は、本発明のアンタゴニストに関して言及する場合には、アンタゴニストが異なる構造を有しているおよび/または異なる起源の供給源を有している2つ以上のタンパク質の連結(化学的な架橋もしくは共有または他のタイプ)から構成されることを意味する。従って、キメラα4インテグリンアンタゴニストは、α4インテグリンアンタゴニストまたはフラグメントである1つの部分、およびα4インテグリンアンタゴニストではない別の部分を含み得る。
「キメラ」タンパク質の種は、「融合」または「融合タンパク質」である。これは、それらの個々のペプチド骨格を通じて(最も好ましくは、それらのタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子の遺伝子の発現を通じて)、2つ以上のタンパク質またはフラグメントの、同じ直線の共有結合をいう。従って、好ましい融合タンパク質は、α4インテグリンアンタゴニストではない第2の部分に対して共有的に連結させられたα4インテグリンアンタゴニストまたはフラグメントを含む、キメラタンパク質である。本発明の好ましい融合タンパク質は、抗原結合特異性を保持しているインタクトな抗体の一部(例えば、(例えば、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、F(v)フラグメント、重鎖および軽鎖の単量体または二量体またはそれらの混合物など)を含み得る。
最も好ましい融合タンパク質はキメラであり、そしてイムノグロブリン軽鎖、重鎖、またはそれらの両方のヒンジおよび定常領域の全てまたは一部に対して融合させられたかまたはそうでなければ連結させられた、インテグリンアンタゴニスト部分を含む。従って、本発明は、以下を含有している分子を特徴とする:(I)インテグリンアンタゴニスト部分、(2)第2のペプチド(例えば、インテグリンアンタゴニスト部分の可溶性またはインビボでの寿命を増大させるペプチド(例えば、イムノグロブリンスーパーファミリーのメンバー、またはそれらのフラグメントもしくは一部(例えば、IgGの一部もしくはフラグメント(例えば、ヒトのIgG1重鎖定常領域(例えば、)CH2、CH3、およびヒンジ領域)))。詳細には、「インテグリンアンタゴニスト/Ig融合体」は、本発明の生物学的に活性なインテグリンアンタゴニスト分子(例えば、イムノグロブリン鎖のN末端に連結させられた可溶性のVLA−4リガンドまたはその生物学的に活性なフラグメント、ここでは、イムノグロブリンのN末端の一部がインテグリンアンタゴニストで置き換えられる)を含有しているタンパク質である。インテグリンアンタゴニスト/Ig融合体の種は、イムノグロブリンの定常ドメインの少なくとも一部に対して連結された本発明のインテグリンアンタゴニストを含有しているタンパク質である「インテグリン/Fc融合体」である。好ましいFc融合体は、重イムノグロブリン鎖のC末端ドメインを含有している抗体のフラグメントに対して連結させられた本発明のインテグリンアンタゴニストを含む。
用語「融合タンパク質」はまた、インテグリンアンタゴニストではなく(「キメラ分子を生じる」そして以下に記載されているような精製されたタンパク質から新しく作成される、第2の部分に対して、1官能性またはヘテロ官能性分子を通じて化学的に連結させられたインテグリンアンタゴニストを意味する。従って、組換えによって連結されたとは反対に、融合タンパク質である、化学的に連結されたキメラ分子の1つの例は、以下を含み得る:(1)α4インテグリンサブユニット標的化部分(例えば、VLA−4を保有している細胞の表面上に結合し得るVCAM−1部分VCAM−1部分);(2)標的化部分の可溶性またはインビボでの寿命を増大させる第2の部分(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)のようなポリアルキレングリコールポリマー)。α4標的化部分は、任意の天然に存在しているα4リガンドまたはそのフラグメント(例えば、VCAM−1ペプチドまたは同様の保存的に置換されたアミノ酸内列)であり得る。
「異種プロモーター」は、本明細書中で使用される場合には、遺伝子または精製された核酸と天然においては関係していないプロモーターである。
「相同性」は、本明細書中で使用される場合には、用語「同一性」と類義語であり、そして2つのポリペプチドまたは分子間、あるいは2つの核酸の間での配列類似性をいう。2つの比較される配列の両方における位置が、同じ塩基またはアミノ酸の単量体のサブユニットによって占有される場合には(例えば、2つのDNA分子中のそれぞれの中の1つの位置がアデニンによって占有されるか、または2つのポリペプチドのそれぞれの中の1つの位置がリジンによって占有される場合)、それぞれの分子はその位置で相同である。2つの配列間でのパーセント相同性は、比較される位置の数で割り算された2つの配列によって共有される適合しているまたは相同である位置の数×100の関数である。例えば、2つの配列中の10個の位置のうちの6個が適合しているかまたは相同である場合には、2つの配列は60%相同である。例示の方法によって、DNA配列CTGACTおよびCAGGTTは、50%の相同性を共有する(6個の全位置のうちの3個が適合している)。一般的には、比較は、2つの配列が最大の相同性を生じるようにアラインメントされた場合に作成される。このようなアラインメントは、例えば、以下により詳細に記載されるコンピュータープログラムによって簡単に実行される、Needlemanら、J.Mol.Biol.48:443−453(1970)の方法を使用して提供され得る。相同配列は、同一または類似のアミノ酸残基を共有する。ここでは、類似の残基は、アラインメントされた参照配列中の対応しているアミノ酸残基似ついての保存的置換または「許容される点変異」である。これに関して、参照配列中の残基の「保存的置換」は、対応している参照残基に対して物理的または機能的に類似であるそのような置換である。例えばこれは、同様の大きさ、形状、電荷、化学的な特性(共有結合または水素結合を形成する能力を含む)などを有する。特に好ましい保存的置換は、Dayhoffら、5:Atlas of Protein Sequence and Structure,5:補遣3、第22章:354−352、Nat.Biomed.Res.Foundation,Washington,D.C.(1978)の中の、「許容される点変異」について定義された基準を満たすものである。
「相同性」および「同一性」は、2つのポリペプチド配列間での配列類似性をいい、同一性はよりストリンジェントな比較である。相同性および同一性はそれぞれ、比較の目的のためにアラインメントされ得るそれぞれの配列中の位置を比較することによって決定され得る。比較される配列中の位置が同じアミノ酸残基によって占有される場合には、ポリペプチドは、その位置で同一であると言われ得る;等価な部位が同じアミノ酸(例えば、同一の)または類似のアミノ酸(例えば、立体的な性質および/もしくは電気的な性質において類似の)によって占有される場合には、分子は、その位置で相同であると言われ得る。配列間での相同性または同一性の割合は、配列によって共有される適合している位置または相同である位置の数の関数である。「関係していない」または「相同ではない」配列は、本発明のAR配列と、40パーセント未満の同一性を共有するが、好ましくは、25パーセント未満の同一性を共有する。
FASTA、BLAST、またはENTREZ、FASTA,およびBLASTを含む、種々のアラインメントアルゴリズムおよび/またはプログラムが、使用され得、GCG配列分析パッケージ(University of Wisconsin,Madison,Wis.)の一部として利用可能であり、そして例えば、デフォルトセッティングを用いて使用され得る。ENTREZは、National Center for Biotechnology Information,National Library
of Medicine,National Institutes of Health,Bethesda,Md.を通じて入手可能である。1つの実施態様においては、2つの配列のパーセント同一性は、1のギャップ重量を有するGCGプログラムによって決定され得る。例えば、それぞれのアミノ酸のギャップは、それが2つの配列間での単一のアミノ酸またはヌクレオチドの不適合である場合に、荷重される。
of Medicine,National Institutes of Health,Bethesda,Md.を通じて入手可能である。1つの実施態様においては、2つの配列のパーセント同一性は、1のギャップ重量を有するGCGプログラムによって決定され得る。例えば、それぞれのアミノ酸のギャップは、それが2つの配列間での単一のアミノ酸またはヌクレオチドの不適合である場合に、荷重される。
「単離された」(「実質的に純粋」と互換的に使用される)は、核酸(すなわち、インテグリンアンタゴニストをコードするポリヌクレオチド配列)に対して適用される場合は、RNAまたはDNAポリヌクレオチド、ゲノムポリヌクレオチドの一部、cDNA、または合成のポリヌクレオチドが、その起源または操作によって、:(i)それが天然において会合するポリヌクレオチドの全てと会合しないこと(例えば、発現ベクターまたはその一部として宿主細胞中に存在すること);あるいは(ii)天然においてそれが連結されるもの以外の核酸または他の化学的な部分に対して連結されること;あるいは(iii)天然においては存在しないこと、を意味する。「単離された」によって、さらに、以下であるポリヌクレオチド配列が意味される:(i)例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってインビトロで増幅される;(ii)化学的に合成される;(iii)クローニングによって組換え的に産生される;あるいは(iv)切断およびゲル分離によって精製される。従って、「実質的に純粋な核酸」は、核酸が由来する生物体の天然に存在しているゲノム中においては通常は連続しているコード配列の1つまたは両方と直接は連続していない核酸である。実質的に純粋なDNAはまた、さらなるインテグリン配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAを含む。
「単離された」(「実質的に純粋」と互換的に使用される)は、ポリペプチドまたはその一部に対して適用される場合には、その起源または操作によって:(i)発現ベクターの一部の発現産物として宿主細胞中の存在するか;あるいは(ii)それが天然において連結されるもの以外のタンパク質または他の化学的な部分に対して連結されるか;あるいは(iii)天然においては存在しない(例えば、タンパク質が天然においては見出されない形態で、タンパク質に対して少なくとも1つの疎水性部分を追加するかまたは付加することによって化学的に操作されるタンパク質)、ポリペプチドまたはその一部を意味する。「単離された」によってさらに、(i)化学的に合成されたか;または(ii)宿主細胞中で発現させられ、そして付随しているタンパク質および夾雑タンパク質から精製されたタンパク質が意味される。この用語は、一般的には、それが天然において一緒に存在する他のタンパク質および核酸から分離されているポリペプチドを意味する。好ましくは、ポリペプチドはまた、ポリペプチドを精製するために使用される抗体またはゲルマトリックス(ポリアクリルアミド)のような物質から分離される。
「多価タンパク質複合体」は、複数の(すなわち、1つ以上)インテグリンアンタゴニストをいう。抗インテグリン抗体ホモログまたはフラグメントは、別の抗体ホモログまたはフラグメントに対して架橋され得るかまたはそれらに対して結合させられ得る。それぞれのタンパク質は、同じであり得るかまたは異なり得、そしてそれぞれの抗体ホモログまたはフラグメントは同じであり得るかまたは異なり得る。
「変異」は、生物体の遺伝材料中での任意の変化、特に、野生型のポリヌクレオチド中での任意の変化(すなわち、欠失、置換、付加、または変更)あるいは野生型のタンパク質中での任意の変化である。用語「ムテイン」は、「変異体」と互換的に使用される。
「作動可能に連結される」−ポリヌクレオチド配列(DNA、RNA)が、発現制御配列がポリヌクレオチド配列の転写および翻訳を制御しそして調節する場合に、発現制御配列に対して作動可能に連結される。用語「作動可能に連結される」は、発現されるポリヌクレオチド配列の前に適切な開始シグナル(例えば、ATG)を有していること、そして発現制御配列の制御下にポリヌクレオチド配列の発現、およびこのポリヌクレオチド配列によってコードされる所望のポリペプチドの産生を可能にするための正確なリーディングフレームを維持していることを含む。
「薬理学的薬剤」は、アンタゴニストの作用に影響を与える、(本発明のアンタゴニストに加えて)被験体に対して投与される1つ以上の化合物または分子または他の化学実体として定義される。用語「薬理学的薬剤」は、本明細書中で使用される場合には、「組合せ治療」の間に投与されるような薬剤(単数または複数)をいい、ここでは、本発明のアンタゴニストが、1つ以上の薬理学的薬剤の投与の前に、後に、またはそれと同時に投与される。
「タンパク質」は、本質的に任意の20個のアミノ酸からなる任意のポリマーである。「ポリペプチド」はしばしば、比較的大きいポリペプチドを参照して使用され、そして「ペプチド」はしばしば、小さいポリペプチドを参照して使用されるが、当該分野でのこれらの用語の使用法は重複しており、そして変更される。用語「タンパク質」は、本明細書中で使用される場合には、他の場所で特に示されない限りは、ペプチド、タンパク質、およびポリペプチドをいう。
用語「ペプチド(単数または複数)」、「タンパク質((単数または複数))、および「ポリペプチド(単数または複数)」は、本明細書中では互換的に使用される。用語「ポリヌクレオチド配列」および「ヌクレオチド配列」もまた、本明細書中で互換的に使用される。
「組換え」は、本明細書中で使用される場合には、タンパク質が組換えの哺乳動物発現システムに由来することを意味する。インテグリンがグリコシル化されていないだけではなくジスルフィド結合も含まないので、インテグリンは、ほとんどの原核生物および真核生物の発現システムにおいて発現させられ得る。
「低分子」は、SectionA2中のような定義を有する。
句「表面アミノ酸」は、タンパク質がそのネイティブな形態で折り畳まれる場合に、溶媒に対して曝露される任意のアミノ酸を意味する。
「標準的なハイブリダイゼーション条件」は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の両方についての、0.5×SSCから約5×SSCまでおよび65℃と実質的に等価な塩および温度の条件である。従って、用語「標準的なハイブリダイゼーション条件」は、本明細書中で使用される場合、操作上の定義であり、ハイブリダイゼーション条件の範囲を含む。より高いストリンジェンシーの条件は、例えば、プラークスクリーニング緩衝液(0.2%のポリビニルピロリドン、0.2%のFicoll 400;0.2%のウシ血清アルブミン、50mMのTris−HCl(pH7.5);1MのNaCl;0.1%のピロリン酸ナトリウム;1%のSDS);10%のデキストランサルフェート、および100μg/mlの変性させた超音波処理したサケの精子DNAでの、65℃で12〜20時間のハイブリダイゼーション、ならびに75mMのNaCl/7.5mMのクエン酸ナトリウム(0.5×SSC)/1%のSDSで65℃での洗浄を含む。より低いストリンジェンシーの条件は、例えば、プラークスクリーニング緩衝液、10%のデキストランサルフェート、および110μg/mlの変性させた超音波処理したサケの精子DNAでの、55℃で12〜20時間のハイブリダイゼーション、ならびに300mMのNaCl/30mMのクエン酸ナトリウム(2.0×SSC)/1%のSDSで55℃での洗浄を含み得る。Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.New York,Section6.3.1−6.3.6(1989)をもまた参照のこと。
「治療用組成物」は、本明細書中で使用される場合には、本発明のアンタゴニストおよび他の生物学的に適合性である成分を含有しているとして定義される。治療用組成物は、水、ミネラルのような賦形剤、およびタンパク質のようなキャリアを含有し得る。
本発明のアンタゴニスト(およびその治療用組成物)は、「治療有効性」を有すると言われ、そして薬剤の量は、脳の損傷(例えば、大脳の虚血または発作)の後で被験体(例えば、動物モデルまたはヒトの患者)に投与された場合に、その薬剤の量が標準的な神経学的な試験(第IV節)において神経学的な回復の臨床的に有意な改善を生じるのに十分である場合に、「治療有効量」と言われる。
本発明の実施は、他の場所で特に記載されない限りは、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、微生物学、組換えDNA、タンパク質化学、薬理学、および免疫学の従来技術を使用し、そしてこれは、当業者の範囲内である。このような技術は、文献に記載されている。他に特に明記されていない限りは、発明の詳細な説明において引用される全ての参考文献が、本明細書中で参考として援用される。
(II.好ましい実施形態の説明)
(概論)
本発明者らは、αインテグリン:α4β1および/またはα4β7の阻害が、急性の発作によって誘導される損傷に対して脳を防御することを発見した。中央の大脳動脈の一時的な閉塞によって引き起こされる発作のラットのモデルを使用して、本発明者らは、α4インテグリンアンタゴニストでの処置の後の脳梗塞において有意な減少を実証した。発作の動物モデルの関連は、Hunterら(1996)Trends in Pharmacological Sciences 6:123によって概説されている。Sprague Dawley(SD)および自発的な高血圧症のラット(Spontaneously Hypertensive Rat(SHR))の両方における可逆的な中央の大脳動脈閉塞のラットモデルは、げっ歯類の発作のモデルのモットの臨床的な関連として広範囲に考察されている。(Hunterら(1996)Trends in Pharmacological Sciences 6:123)。
(概論)
本発明者らは、αインテグリン:α4β1および/またはα4β7の阻害が、急性の発作によって誘導される損傷に対して脳を防御することを発見した。中央の大脳動脈の一時的な閉塞によって引き起こされる発作のラットのモデルを使用して、本発明者らは、α4インテグリンアンタゴニストでの処置の後の脳梗塞において有意な減少を実証した。発作の動物モデルの関連は、Hunterら(1996)Trends in Pharmacological Sciences 6:123によって概説されている。Sprague Dawley(SD)および自発的な高血圧症のラット(Spontaneously Hypertensive Rat(SHR))の両方における可逆的な中央の大脳動脈閉塞のラットモデルは、げっ歯類の発作のモデルのモットの臨床的な関連として広範囲に考察されている。(Hunterら(1996)Trends in Pharmacological Sciences 6:123)。
(A.インテグリンアンタゴニス)
本発明の目的のために、インテグリンアンタゴニストは、インテグリンとその同族のリガンドとの間またはレセプターとの間での任意の相互作用のアンタゴニストであり得、その結果、リガンド−レセプター相互作用によって誘導される正常な機能は変更される(すなわち、妨げられるか、または遅延させられるか、またはそうでなければ改変される)。インテグリンアンタゴニストの1つの好ましい実施形態は、それらのリガンドとのα4インテグリンの相互作用(例えば、VCAM−1/VLA−4相互作用)のアンタゴニストである。これは、VCAM−1および/またはVLA−4によって媒介される結合を阻害またはブロックし得るか、あるいはそうでなければ、VCAM−1および/またはVLA−4機能を調節し得(例えば、VLA−4−リガンドによって媒介されるVLA−4シグナル伝達またはVCAM−1−リガンドによって媒介されるVCAM−1シグナル伝達を阻害またはブロックすることによる)、そして急性の脳の損傷の処置において有効である(好ましくは、抗VLA−4抗体と同じ様式で)因子(例えば、ポリペプチドまたは他の分子)である。
本発明の目的のために、インテグリンアンタゴニストは、インテグリンとその同族のリガンドとの間またはレセプターとの間での任意の相互作用のアンタゴニストであり得、その結果、リガンド−レセプター相互作用によって誘導される正常な機能は変更される(すなわち、妨げられるか、または遅延させられるか、またはそうでなければ改変される)。インテグリンアンタゴニストの1つの好ましい実施形態は、それらのリガンドとのα4インテグリンの相互作用(例えば、VCAM−1/VLA−4相互作用)のアンタゴニストである。これは、VCAM−1および/またはVLA−4によって媒介される結合を阻害またはブロックし得るか、あるいはそうでなければ、VCAM−1および/またはVLA−4機能を調節し得(例えば、VLA−4−リガンドによって媒介されるVLA−4シグナル伝達またはVCAM−1−リガンドによって媒介されるVCAM−1シグナル伝達を阻害またはブロックすることによる)、そして急性の脳の損傷の処置において有効である(好ましくは、抗VLA−4抗体と同じ様式で)因子(例えば、ポリペプチドまたは他の分子)である。
VCAM−1/VLA−4相互作用のアンタゴニストは、以下の特性の1つ以上を有している因子である:(1)この因子は、VLA−4−リガンド/VLA−4相互作用(例えば、VCMA−1/VLA−4相互作用)を阻害するための十分な特異性を有して、VLA−4を保有している細胞(例えば、内皮細胞)の表面上のVLA−4をコーティングするかまたはこのVLA−4に対して結合する;(2)この因子は、VLA−4によって媒介されるシグナルの伝達(例えば、VLA−4/VCAM−1によって媒介されるシグナル伝達)を改変するため、そして好ましくは、阻害するために十分な特異性を有して、VLA−4を保有している細胞の表面上のVLA−4をコーティングするかまたはこのVLA−4に対して結合する;(3)この因子は、VLA−4/VCAM−1の相互作用を阻害するために十分な特異性を有して内皮細胞上のVLA−4リガンド(例えば、VCM−1)をコーティングするかまたはこのVLA−4リガンドに対して結合する;(4)この因子は、VLA−4リガンドによって媒介されるVLA−4のシグナルの伝達(例えば、VCAM−1によって媒介されるVLA−4のシグナル伝達を改変するため、そして好ましくは、阻害するために十分な特異性を有して、VLA−4−リガンドをコーティングするかまたはそれに対して結合する。好ましい実施形態においては、アンタゴニストは、特性1および2の1つまたは両方を有する。他の好ましい実施形態においては、アンタゴニストは、特性3および4の1つまたは両方を有する。さらに、1つより多くのアンタゴニストが患者に投与され得る。例えば、VLA−4に結合する因子は、VCAM−1に結合する因子と組合せられ得る。
本明細書中で議論されるように、本発明の方法において使用されるアンタゴニストは、分子の特定の型または構造には限定されず、その結果、本発明の目的のためには、細胞の表面上のα4インテグリン(例えば、VLA−4)またはα4リガンド(例えば、α4リガンドを保有している細胞の表面上のVCAM−1)を結合し得、そしてα4インテグリン(例えば、VLA−4)またはα4インテグリンリガンド(例えば、VCAM−1)を効果的にブロックまたはコーティングする任意の因子(それぞれ、「αインテグリン結合因子」および「α4インテグリンリガンド結合因子」と呼ばれる)は、本明細書中の実施例において使用されるアンタゴニストの等価物であると考えられる。
例えば、抗体または抗体ホモログ(以下で議論される)、ならびにVLA−4およびVCAM−1に対する可溶性の形態の天然の結合タンパク質が、有用である。VLA−4に対する可溶性の形態の天然の結合タンパク質として、可溶性のVCAM−1ペプチド、VCAM−1融合タンパク質、二官能性のVCAM−1/Ig融合タンパク質(例えば、上記で議論される「キメラ」分子)、フィブロネクチン、別のスプライシングされた非III型結合セグメントを有しているフィブロネクチン、およびアミノ酸配列EILDVを含有しているフィブロネクチンペプチド、または同様の保存的に置換されたアミノ酸配列が挙げられる。VCAM−1に対する可溶性の形態の天然の結合タンパク質として、可溶性のVLA−4ペプチド、VLA−4融合タンパク質、二官能性のVLA−4/Ig融合タンパク質などが挙げられる。本明細書中で使用される場合には、「可溶性のVLA−4ペプチド」または「可溶性のVCAM−1ペプチド」は、膜内で自身を固定することができない、VLA−4またはVCAM−1ポリペプチドである。このような可溶性のポリペプチドとして、例えば、別のポリペプチドを固定するための膜貫通ドメイン(membrane spanning domain)の十分な部分を欠失しているか、または膜貫通ドメインが非機能的であるように改変されている、VLA−4およびVCAMポリペプチドが挙げられる。これらの結合因子は、VLA−4についての細胞表面結合タンパク質と競合することによって、またはそうでなければVLA−4の機能を変更することによって、作用し得る。例えば、VCAM−1の可溶性の形態(例えば、Osbornら、1989、Cell、59:1203−1211)またはそのフラグメントが、VLA−4に結合するために投与され得、そして好ましくは、VCAM−1を保有している細胞上のVLA−4結合部位と競合し、それによって、低分子または抗VLA−4抗体のようなアンタゴニストの投与と同様の効果を導く。
(1.抗インテグリン抗体ホモログ)
他の好ましい実施形態においては、細胞表面のα4インテグリン(例えば、VLA−4またはα4β7)および/またはα4インテグリンに対する細胞表面リガンド(例えば、VCAM−1)に結合する(それらをブロックするかまたはコーティングすることを含む)ために、本発明の方法において使用されるアンタゴニストは、先に定義されているような、抗VLA−4および/または抗VCAM−1モノクローナル抗体あるいは抗体ホモログである。処置のための(特に、ヒトの処置のための)好ましい抗体およびホモログとして、ヒトの抗体ホモログ、ヒト化抗体ホモログ、キメラ抗体ホモログ、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびF(v)抗体フラグメント、ならびに抗体重鎖もしくは軽鎖の単量体もしくは二量体またはこれらの混合物が挙げられる。VLA−4に対するモノクローナル抗体は、本発明の方法における好ましい結合因子である。
他の好ましい実施形態においては、細胞表面のα4インテグリン(例えば、VLA−4またはα4β7)および/またはα4インテグリンに対する細胞表面リガンド(例えば、VCAM−1)に結合する(それらをブロックするかまたはコーティングすることを含む)ために、本発明の方法において使用されるアンタゴニストは、先に定義されているような、抗VLA−4および/または抗VCAM−1モノクローナル抗体あるいは抗体ホモログである。処置のための(特に、ヒトの処置のための)好ましい抗体およびホモログとして、ヒトの抗体ホモログ、ヒト化抗体ホモログ、キメラ抗体ホモログ、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびF(v)抗体フラグメント、ならびに抗体重鎖もしくは軽鎖の単量体もしくは二量体またはこれらの混合物が挙げられる。VLA−4に対するモノクローナル抗体は、本発明の方法における好ましい結合因子である。
(2.低分子のインテグリンアンタゴニスト)
用語「低分子」のインテグリンアンタゴニストは、インテグリン/インテグリンリガンド相互作用を破壊し得る(例えば、細胞の表面上でVLA−4を結合するかまたは細胞の表面でVCAM−1を結合することによってVLA−4/VCAM−1相互作用をブロックすることによる)化学的な因子(すなわち、有機分子)をいう。このような低分子はまた、それぞれのVLA−4およびVCAM−1レセプターを結合し得る。VLA−4およびVCAM−1低分子インヒビターは、それら自体がペプチド、半ペプチド化合物、または非ペプチド化合物(例えば、VCAM−1/VLA−4相互作用のアンタゴニストである小さい有機分子)であり得る。「低分子」は、本明細書中で定義される場合は、抗体または抗体ホモログを含むことは意図されない。例示的な低分子の分子量は、一般的には、1000未満である。
用語「低分子」のインテグリンアンタゴニストは、インテグリン/インテグリンリガンド相互作用を破壊し得る(例えば、細胞の表面上でVLA−4を結合するかまたは細胞の表面でVCAM−1を結合することによってVLA−4/VCAM−1相互作用をブロックすることによる)化学的な因子(すなわち、有機分子)をいう。このような低分子はまた、それぞれのVLA−4およびVCAM−1レセプターを結合し得る。VLA−4およびVCAM−1低分子インヒビターは、それら自体がペプチド、半ペプチド化合物、または非ペプチド化合物(例えば、VCAM−1/VLA−4相互作用のアンタゴニストである小さい有機分子)であり得る。「低分子」は、本明細書中で定義される場合は、抗体または抗体ホモログを含むことは意図されない。例示的な低分子の分子量は、一般的には、1000未満である。
例えば、VLA−4リガンドの結合ドメインを模倣し、そしてVLA−4のレセプタードメインに適合するオリゴサッカライドのような低分子が、使用され得る。(J.J.Devlinら、1990、Science 249:400−406(1990)、J.K.ScottおよびG.P.Smith,1990、Science 249:386−390、ならびに米国特許第4,833,092号(Geysen)を参照のこと(これらの全てが、本明細書中で参考として援用されている))。反対に、VCAM−1リガンドの結合ドメインを模倣しそしてVCAM−1のレセプタードメインに適合する低分子が、使用され得る。
本発明において有用である他の低分子の例は、Komoriyaら(「The
Minimal Essential Sequence for a Major Cell Type−Specific Adhesion Site(CS1)Within the Alternatively Spliced TypeIII Connecting Segment Domain of Fibronectin Is Leucine−Aspartic Acid−Valine」、J.Biol.Chem.266(23)、15075−79頁(1991))において見出され得る。彼らは、VLA−4に結合するために必須の最少の活性なアミノ酸配列を同定し、そして特定の種のフィブロネクチンのCS−1領域(VLA−4結合ドメイン)のアミノ酸配列に基づいて種々の重複ペプチドを合成した。彼らは、8アミノ酸のペプチドGlu−Ile−Leu−Asp−Val−Pro−Ser−Thr、ならびに2つの比較的小さい重複ペンタペプチドGlu−Ile−Leu−Asp−ValおよびLeu−Asp−Val−Pro−Serを、同定した。これらは、フィブロネクチン依存性の細胞接着の対する阻害活性を有する。LDV配列を含有している特定の大きなペプチドが、続いて、インビボで活性であることが示された(T.A.Fergusonら、「Two Integrin Binding Peptides Abrogate T−cell−Mediated Immune Responses In Vivo」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88、8072〜76頁(1991);およびS.M.Wahlら、「Synthetic Fibronectin Peptides Suppress Arthritis in Rats by Interrupting Leukocyte Adhesion and Recruitment」、J.Clin.Invest.94、655−62頁(1994))。環状のペンタペプチドArg−Cys−Asp−TPro−Cys(ここでは、TProは4−チオプロリンを示す)(これは、VLA−4およびVLA−5の両方のフィブロネクチンに対する接着を阻害し得る)もまた記載されている(例えば、D.M.Nowlinら、「A Novel Cyclic Pentapeptide Inhibits Alpha4Beta1
Integrin−mediated Cell Adhesion」、J.Biol.Chem.268(27)、20352−59頁(1993);およびPCT公開PCT/US91/04862号を参照のこと)。このペンタペプチドは、いくつかの細胞外マトリックスタンパク質についての認識部位中の共通のモチーフとして公知である、フィブロネクチンに由来するトリペプチド配列Arg−Gly−Aspに基づく。他のVLA−4インヒビターの例が、例えば、Adamsら「Cell Adhesion Inhibitors」PCT US97/13013号において報告されている。これは、細胞接着阻害活性を有するβアミノ酸を含有している直鎖状のペプチジル化合物を記載している。国際特許出願WO94/15958およびWO92/00995は、細胞接着阻害活性を有する環状のペプチドおよびペプチド模倣化合物を記載する。国際特許出願WO93/08823およびWO92/08464は、グアニジル含有、尿素含有、およびチオ尿素含有の細胞接着阻害化合物を記載している。米国特許第5,260,277号は、グアニジル細胞接着調節化合物を記載している。VLA−4の他のペプチジルアンタゴニストが、以下に記載されている:D.Y.Jacksonら、「Potent α4β1 peptide antagonists as potential anti−inflammatory agents」J.Med.Chem.,40、3359(1997);H.Shroffら、「Small peptide inhibitors of α4β7 mediated MadCAM−1 adhesion to lymphocytes」、Bio.Med.Chem.Lett.,1、2495(1996);米国特許第5,510,332号、PCT公開WO98/53814、WO97/03094、WO97/02289、WO96/40781、WO96/22966、WO96/20216、WO96/01644、WO96106108、およびWO95/15973など。
Minimal Essential Sequence for a Major Cell Type−Specific Adhesion Site(CS1)Within the Alternatively Spliced TypeIII Connecting Segment Domain of Fibronectin Is Leucine−Aspartic Acid−Valine」、J.Biol.Chem.266(23)、15075−79頁(1991))において見出され得る。彼らは、VLA−4に結合するために必須の最少の活性なアミノ酸配列を同定し、そして特定の種のフィブロネクチンのCS−1領域(VLA−4結合ドメイン)のアミノ酸配列に基づいて種々の重複ペプチドを合成した。彼らは、8アミノ酸のペプチドGlu−Ile−Leu−Asp−Val−Pro−Ser−Thr、ならびに2つの比較的小さい重複ペンタペプチドGlu−Ile−Leu−Asp−ValおよびLeu−Asp−Val−Pro−Serを、同定した。これらは、フィブロネクチン依存性の細胞接着の対する阻害活性を有する。LDV配列を含有している特定の大きなペプチドが、続いて、インビボで活性であることが示された(T.A.Fergusonら、「Two Integrin Binding Peptides Abrogate T−cell−Mediated Immune Responses In Vivo」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88、8072〜76頁(1991);およびS.M.Wahlら、「Synthetic Fibronectin Peptides Suppress Arthritis in Rats by Interrupting Leukocyte Adhesion and Recruitment」、J.Clin.Invest.94、655−62頁(1994))。環状のペンタペプチドArg−Cys−Asp−TPro−Cys(ここでは、TProは4−チオプロリンを示す)(これは、VLA−4およびVLA−5の両方のフィブロネクチンに対する接着を阻害し得る)もまた記載されている(例えば、D.M.Nowlinら、「A Novel Cyclic Pentapeptide Inhibits Alpha4Beta1
Integrin−mediated Cell Adhesion」、J.Biol.Chem.268(27)、20352−59頁(1993);およびPCT公開PCT/US91/04862号を参照のこと)。このペンタペプチドは、いくつかの細胞外マトリックスタンパク質についての認識部位中の共通のモチーフとして公知である、フィブロネクチンに由来するトリペプチド配列Arg−Gly−Aspに基づく。他のVLA−4インヒビターの例が、例えば、Adamsら「Cell Adhesion Inhibitors」PCT US97/13013号において報告されている。これは、細胞接着阻害活性を有するβアミノ酸を含有している直鎖状のペプチジル化合物を記載している。国際特許出願WO94/15958およびWO92/00995は、細胞接着阻害活性を有する環状のペプチドおよびペプチド模倣化合物を記載する。国際特許出願WO93/08823およびWO92/08464は、グアニジル含有、尿素含有、およびチオ尿素含有の細胞接着阻害化合物を記載している。米国特許第5,260,277号は、グアニジル細胞接着調節化合物を記載している。VLA−4の他のペプチジルアンタゴニストが、以下に記載されている:D.Y.Jacksonら、「Potent α4β1 peptide antagonists as potential anti−inflammatory agents」J.Med.Chem.,40、3359(1997);H.Shroffら、「Small peptide inhibitors of α4β7 mediated MadCAM−1 adhesion to lymphocytes」、Bio.Med.Chem.Lett.,1、2495(1996);米国特許第5,510,332号、PCT公開WO98/53814、WO97/03094、WO97/02289、WO96/40781、WO96/22966、WO96/20216、WO96/01644、WO96106108、およびWO95/15973など。
このような低分子の因子は、複数のペプチド(例えば、5から20アミノ酸の長さ)、半ペプチド化合物、または非ペプチド有機化合物を合成することによって、そして次いで、VLA−4/VCAM相互作用を阻害するそれらの能力についてこれらの化合物をスクリーニングすることによって、産生され得る。一般的には、米国特許第4,833,092号、ScottおよびSmith、「Searching for Peptide Ligands with an Epitope Library」、Science、249、386−90頁(1990)、ならびにDevlinら「Random Peptide Libraries:A Source of Specific Protein
Binding Molecules」、Science、249、40407頁(1990)を参照のこと。
Binding Molecules」、Science、249、40407頁(1990)を参照のこと。
(B.抗インテグリン抗体ホモログを作製する方法)
本明細書中で意図される好ましいインテグリンアンタゴニストは、原核生物または真核生物の宿主細胞中の、インタクトもしくは短縮されたゲノムもしくはcDNAから、または合成のDNAから発現され得る。二量体タンパク質は、培養培地から単離され得、そして/または再度折り畳まれ得、そして生物学的に活性な組成物を形成するようにインビトロで二量体化され得る。ヘテロ二量体は、別々の異なるポリペプチド鎖を組合せることによって、インビトロで形成され得る。あるいは、ヘテロ二量体は、別々の異なるポリペプチド鎖をコードする核酸を同時に発現することによって、単一の細胞中で形成され得る。例えば、いくつかの例示的な組換えヘテロ二量体タンパク質の産生のプロトコールについては、WO93/09229号または米国特許第5,411,941号を参照のこと。現在好ましい宿主細胞として、原核生物細胞(E.coliを含む)または真核生物細胞(酵母、Saccharomyces、昆虫細胞、または哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞、またはBSC細胞)を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、他の宿主細胞が有利であるように使用され得ることを理解する。本発明の実施において有用であるタンパク質の詳細な記載(軟骨形成活性のためにこれらを作製し、使用し、そして試験するための方法を含む)が、米国特許第5,266,683号、および同第5,011,691号(これらの開示は本明細書中で参考として援用される)を含む多数の刊行物に開示されている。
本明細書中で意図される好ましいインテグリンアンタゴニストは、原核生物または真核生物の宿主細胞中の、インタクトもしくは短縮されたゲノムもしくはcDNAから、または合成のDNAから発現され得る。二量体タンパク質は、培養培地から単離され得、そして/または再度折り畳まれ得、そして生物学的に活性な組成物を形成するようにインビトロで二量体化され得る。ヘテロ二量体は、別々の異なるポリペプチド鎖を組合せることによって、インビトロで形成され得る。あるいは、ヘテロ二量体は、別々の異なるポリペプチド鎖をコードする核酸を同時に発現することによって、単一の細胞中で形成され得る。例えば、いくつかの例示的な組換えヘテロ二量体タンパク質の産生のプロトコールについては、WO93/09229号または米国特許第5,411,941号を参照のこと。現在好ましい宿主細胞として、原核生物細胞(E.coliを含む)または真核生物細胞(酵母、Saccharomyces、昆虫細胞、または哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞、またはBSC細胞)を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、他の宿主細胞が有利であるように使用され得ることを理解する。本発明の実施において有用であるタンパク質の詳細な記載(軟骨形成活性のためにこれらを作製し、使用し、そして試験するための方法を含む)が、米国特許第5,266,683号、および同第5,011,691号(これらの開示は本明細書中で参考として援用される)を含む多数の刊行物に開示されている。
モノクローナル抗体ホモログを産生するための技術は、周知である。簡潔には、不死細胞株(代表的には、骨髄腫細胞)が、所定の抗原(例えば、VAL−4)を発現する全細胞で免疫化された哺乳動物に由来するリンパ球(代表的には、脾臓細胞)に融合され、そして得られるハイブリドーマ細胞の培養上清が、抗原に対する抗体についてスクリーニングされる。一般的には、Kohlerら、1975、Nature、265:295−297を参照のこと。免疫は、標準的な手順を使用して達成され得る。単位用量および免疫化レジメンは、免疫化される哺乳動物の種、その免疫状態、哺乳動物の体重などに依存する。代表的には、免疫化された哺乳動物は採血され、そしてそれぞれの血液サンプルに由来する血清が、適切なスクリーニングアッセイを使用して特定の抗体についてアッセイされる。例えば、抗VLA−4抗体が、VLA−4を発現する細胞に由来する125−Iで標識された細胞溶解物の免疫沈降によって同定され得る(Sanchez−Madrisら、1986、Eur.J.Immunol.,16:1343−1349およびHemlerら、1987、J.Biol.Chem.、262、11478−11485を参照のこと)。抗VLA−4抗体はまた、フローサイトメトリー(例えば、VLA−4を認識すると考えられる抗体とともにインキュベートしたRamos細胞の蛍光染色を測定することによって、同定され得る(Elicesら、1990 Cell 650:577−584を参照のこと)。ハイブリドーマ細胞の産生において使用されるリンパ球は、代表的には、その血清がこのようなスクリーニングアッセイを使用して抗VLA−4抗体の存在についてポジティブであるとすでに試験された、免疫化された哺乳動物から単離される。
代表的には、不死細胞株(例えば、骨髄腫細胞株)は、リンパ球と同じ哺乳動物種由来である。好ましい不死細胞株は、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含有する培養培地(「HAT培地」)に対して感受性である、マウスの骨髄腫細胞株である。代表的には、HAT感受性マウスの骨髄腫細胞は、1500の分子量のポリエチレングリコール(「PEG 1500」)を使用してマウスの脾臓細胞に融合される。融合によって生じるハイブリドーマ細胞は、次いで、HAT培地を使用して選択される。HAT培地は、融合されていない骨髄腫細胞、および非生産的に融合された骨髄腫細胞を死滅させる(融合されていない脾臓細胞は、それらが形質転換されていないので、数日後に死滅する)。所望される抗体を産生するハイブリドーマは、ハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることによって検出される。例えば、抗VLA−4抗体を産生するために調製されたハイブリドーマは、組換えのα4サブユニットを発現する細胞株に結合する能力を有する分泌された抗体について、ハイブリドーマの培養上清を試験することによってスクリーニングされ得る(Elicesら、前出を参照のこと)。
インタクトなイムノグロブリンである抗VLA−4抗体ホモログを産生するために、このようなスクリーニングアッセイにおいてポジティブであると試験されたハイブリドーマ細胞を、このハイブリドーマ細胞が培養培地中にモノクローナル抗体を分泌することを可能にするために十分な条件下で、十分な時間、栄養培地中で培養する。ハイブリドーマ細胞について適切な組織培養技術および培養培地は、周知である。馴化されたハイブリドーマ培養上清が回収され得、そして抗VLA−4抗体が、必要に応じて、周知の方法によってさらに精製され得る。
あるいは、所望される抗体は、免疫化されていないマウスの腹膜腔中にハイブリドーマ細胞を注入することによって産生され得る。ハイブリドーマ細胞は、腹膜腔中で増殖し、腹水液として蓄積する抗体を分泌する。抗体が、シリンジを用いて腹膜腔から腹水液を抜くことによって回収され得る。
いくつかのマウスの抗VLA−4モノクローナル抗体は、以前に記載されている。例えば、Sanchez−Madrisら、1986、前出;Hemlerら、1987、前出;Pulidoら、1991、J.Biol.Chem.、266(16)、10241−10245;IssekutzおよびWykretowicz、1991、J.Immunol.,147:109(TA−2 mab)を参照のこと。これらの抗VLA−4モノクローナル抗体、およびVLA−4のαおよび/またはβ鎖を認識し得る他の抗VLA−4抗体(例えば、米国特許第5,888,507号−Biogen,Inc.およびその中で引用されている参考文献)が、本発明に従う処置方法において有用である。VCAM−1およびフィブロネクチンリガンドに対する結合に関係するVLA−4 α4鎖のエピトープを認識する抗VLA−4抗体(すなわち、リガンドの認識に関係している部位でVLA−4に結合し得、そしてVCAM−1およびフィブロネクチンの結合をブロックし得る抗体)が、好ましい。このような抗体は、Bエピトープ特異的抗体(B1またはB2)(Pulidoら、1991、前出)として規定されており、そして本発明に従う抗VLA−4抗体でもある。
VLA−4に対する完全なヒトモノクローナル抗体ホモログは、本発明の方法においてVLA−4リガンドをブロックおよびコーティングし得る、別の好ましい結合因子である。それらのインタクトな形態において、これらは、Boernerら、1991、J.Immunol.,147、86−95によって記載されるような、インビトロで感作させられたヒトの脾臓細胞を使用して調製され得る。あるいは、これらは、Perssonら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:2432−2436によって、またはHuangおよびStollar、1991、J.Immunol.Methods 141、227−236、米国特許第5,798,230号(1998年8月25日、「Process for the preparation of human monoclonal antibodies and their use」)によって記載されるような、レパートリークローニングによって調製され得、ヒトのB細胞由来のヒトモノクローナル抗体の調製を記載する。このプロセスに従うと、ヒトの抗体を産生するB細胞は、エプスタインバーウイルス、またはエプスタインバーウイルスの核抗原2(EBNA2)を発現するその誘導体での感染によって不死化させられる。EBNA2の機能(これは、不死化のために必要とされる)は、続いて、抗体の産生の増大を生じるシャットオフを必要とする。
完全なヒト抗体を産生するためのなお別の方法においては、米国特許第5,789,650号(1998年8月4日、「Transgenic non−human animals for producing heterologous antibodies」)は、異種抗体を産生し得るトランスジェニック非ヒト動物、および不活化させた内因性イムノグロブリン遺伝子を有するトランスジェニック非ヒト動物を記載する。内因性イムノグロブリン遺伝子は、アンチセンスポリヌクレオチドによって、および/または内因性イムノグロブリンに対して指向された抗血清によって、抑制される。異種抗体は、非ヒト動物腫のゲノム中には通常は見出されないイムノグロブリン遺伝子によってコードされる。再アラインメントされていない異種ヒトイムノグロブリン重鎖の配列を含有する1つ以上の導入遺伝子が、非ヒト動物中に導入され、これによってトランスジェニックイムノグロブリン配列を機能的に再アラインメントし得るトランスジェニック動物を形成し、そしてヒトのイムノグロブリン遺伝子によってコードされる種々のアイソタイプの抗体のレパートリーを産生し得る。このような異種ヒト抗体は、例えば、骨髄腫のような不死化細胞株と融合することによって、またはモノクローナルな異種の完全ヒト抗体のホモログを産生し得る細胞株を永存させるための他の技術によってこのようなB細胞を操作することによって、その後に不死化させられるB細胞中で産生される。
大きな非免疫化ヒトファージディスプレイライブラリーもまた、標準的なファージ技術を使用してヒトの治療薬として開発され得る高い親和性の抗体を単離するために使用され得る(Vaughanら、1996)。
本発明の方法においてインテグリンリガンドをブロックまたはコーティングし得るなお別の好ましい結合因子は、抗インテグリン特異性を有するヒト化された組換えの抗体ホモログである。真の「キメラ抗体」の調製のための初期の方法の後(ここでは、定常領域全体および可変領域全体が、異なる供給源に由来する)、新しいアプローチが、EP 0239400(Winterら)に記載された。ここでは、抗体は、別のものに由来する1つの種についてのそれらの相補性決定領域(CDR)の置換(所定の可変領域内)によって変更される。このプロセスを使用して、例えば、ヒトの重鎖および軽鎖のIg可変領域ドメインに由来するCDRを、マウスの可変領域ドメインに由来する別のCDRで置換し得る。これらの変更されたIg可変領域は、続いて、置換されたマウスのCDRを除く組成物中の全体がヒトである作成された抗体に対するヒトのIg定常領域と組合せられ得る。このようなCDRで置換された抗体は、CDRで置換された抗体がヒト以外の成分をあまり含まないと考えられるため、真のキメラ抗体と比較して、ヒトでの免疫応答をあまり誘発しないと推定される。CDR「移植」を介してモノクローナル抗体をヒト化するためのプロセスは、「リシェイピング」と呼ばれている。(Riechmannら、1988、Nature332、323−327;Verhoeyenら、1988、Science 239、1534−1536)。
代表的には、マウスの抗体の相補性決定領域(CDR)は、ヒトの抗体中の対応している領域上に移植される。なぜなら、これは、特異的な抗原に対して結合するマウスの抗体の領域であるCDR(抗体の重鎖中の3個、軽鎖中の3個)であるからである。CDRの移植は、遺伝子操作によって達成され、それによってCDR DNA配列が、マウスの重鎖および軽鎖の可変(V)領域の遺伝子セグメントのクローニングによって決定され、次いで部位特異的変異誘発によって対応しているヒトのV領域に導入させられる。プロセスの最終段階においては、所望されるアイソタイプのヒトの定常領域の遺伝子セグメント(通常は、CHについてのγIであり、そしてCLについてはκである)が付加され、そしてヒト化された重鎖および軽鎖の遺伝子が、可溶性のヒト化抗体を産生するように哺乳動物細胞中で同時に発現される。
ヒトの抗体へのこれらのCDRの導入によって、この抗体上にもともとのマウスの抗体の抗原結合特性を付与する。マウスの抗体中の6個のCDRが、V領域「フレームワーク」領域上に構造的に取り付けられる。CDR−移植が良好である理由は、マウスとヒトの抗体との間でのフレームワーク領域が、CDRSについての接着の同様の点を有して非常に類似している3次元構造を有し得、その結果、CDRが交換され得ることである。このようなヒト化抗体ホモログが、Jonesら、1986、Nature 321、522−525;Richman、1988、Nature 332、323−327;Queenら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86、10029;およびOrlandiら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
86、3833に説明されているように調製され得る。
86、3833に説明されているように調製され得る。
それにもかかわらず、フレームワーク領域中の特定のアミノ酸は、CDRと相互作用し、そして全体的な抗原結合親和性に影響を与えると考えられる。ヒトのV領域のフレームワークのどんな改変も伴わなずに、組換えのヒト化抗体を産生するための、マウスの抗体に由来するCDRの直接的な導入は、しばしば、結合親和性の部分的または完全な欠失を生じる。多くの場合において、結合活性を得るために、アクセプター抗体のフレームワーク領域中の残基を変更することが重要であるようである。
Queenら、1989(前出)および第WO90/07861号(Protein Design Labs)は、ヒトの免疫グロブリンフレームワークおよび定常領域とマウスのMAb(抗Tac)のCDRを組合せることによって、アクセプター抗体のフレームワーク領域中に改変された残基を含む、ヒト化抗体の調製を記載した。彼らは、ヒトのV領域のフレームワーク残基のどんな改変も伴わずに、直接的なCDRの導入によってしばしば生じる、結合親和性の欠失の問題の1つの解決を実証した;これらの解決方法は、2つの重要な工程を包含する。第1の工程は、ヒトのVフレームワーク領域が、もともとのマウスの抗体(この場合は、抗Tac MAb)のV領域のフレームワークに対して、最適なタンパク質配列相同性のコンピューターによる分析によって選択される。第2の工程においては、マウスのV領域の3次構造が、マウスのCDRとおそらく相互作用するフレームワークアミノ酸残基を可視化するためにコンピューターによってモデル化され、そしてこれらのマウスのアミノ酸残基が、次いで、相同なヒトのフレームワークの上に重ねられる。米国特許第5,693,762号;同第5,693,761号;同第5,585,089号;および同第5,530,101号(Protein Design Labs)もまた参照のこと。
種々のアプローチ(Tempestら、1991、Biotechnology 9、266−271)を使用し得、そして標準として、NEWMおよびREI重鎖および軽鎖に由来するV領域のフレームワークを、それぞれ、マウスの残基のラジカルの導入を伴わないCDRの移植のために、利用する。Tempestらの、NEWMおよびREIに基づくヒト化抗体を構築するためのアプローチを使用する利点は、NEWMおよびREIの可変領域の3次元構造が、x線結晶解析によって公知であり、従ってCDRとV領域のフレームワークの残基との間での特異的な相互作用がモデル化され得ることである。
利用されるアプローチにはかかわらず、今日までに調製された最初のヒト化抗体ホモログの例は、これがまっすぐなプロセスではないことを示した。しかし、このようなフレームワークの変化が必須であり得ると認めてさえも、利用可能な先行技術に基づいて、もしあれば、どのフレームワーク残基が所望の特異性を有する機能的なヒト化組換え抗体を得るために変更される必要があるかを推定することは不可能である。従って、結果は、変化が特異性を保存することが必須であり、そして/または親和性は、主として所定の抗体について特有であり、そして種々の抗体のヒト化に基づいては推定され得ないことを大いに示す。
本発明において有用である特定のα4サブユニットを含有しているインテグリンアンタゴニストとして、米国特許第5,932,214号において調製されておりそしてそこに記載されている、Bエピトープ特異性を有しているキメラおよびヒト化組換え抗体ホモログ(すなわち、インタクトな免疫グロブリンおよびその一部)(mab HP1/2)が挙げられる。キメラ(マウスの可変−ヒトの定常)およびヒト化抗インテグリン抗体ホモログの調製のための出発物質は、以前に記載されているようなマウスのモノクローナル抗インテグリン抗体、市販のモノクローナル抗インテグリン抗体(例えば、HP2/1、Amae International,Inc.,Westbrook,Maine)、または本明細書中の教示に従って調製されるモノクローナル抗インテグリン抗体であり得る。他の好ましいヒト化抗VLA−4抗体ホモログが、PCT/US95/01219(1995年7月27日)および米国特許第5,840,299号中で、Athena Meurosciences,Inc.によって記載されている。
これらのヒト化抗VLA−4抗体は、ヒト化された軽鎖およびヒト化された重鎖を含む。ヒト化された軽鎖は、マウスの21−6免疫グロブリン軽鎖の対応している相補性決定領域に由来するアミノ酸配列を有している、3個の相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)、ならびに少なくとも1つの位置においてアミノ酸位置がマウス21.6免疫グロブリン軽鎖の可変領域のフレームワークの等価な位置に存在している同じアミノ酸によって占有されていることを除いて、ヒトのκ軽鎖可変領域のフレームワーク配列に由来する可変領域のフレームワークを含む。ヒト化された重鎖は、マウスの21−6免疫グロブリン重鎖の対応している相補性決定領域に由来するアミノ酸配列を有している、3個の相補性決定量領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)、ならびに少なくとも1つの位置においてアミノ酸位置がマウス21−6免疫グロブリン重鎖の可変領域のフレームワークの等価な位置に存在している同じアミノ酸によって占有されていることを除いて、ヒトの重鎖可変領域のフレームワーク配列に由来する可変領域のフレームワークを含む。
(C.フラグメントおよびアナログの産生)
単離されたα4インテグリンアンタゴニストのフラグメント(例えば、本明細書中に記載されている抗体ホモログのフラグメント)はまた、組換え方法によって、タンパク質溶解による消化によって、または当業者に公知の方法を使用する化学合成によっても、効率的に産生され得る。組換え方法においては、ポリペプチドの内部または末端のフラグメントは、単離されたハリネズミのポリペプチドをコードするDNA配列の一方の末端(末端フラグメントについて)または両方の末端(内部フラグメントについて)から1つ以上のヌクレオチドを除去することによって生成され得る。変異させられたDNAの発現によって、ポリペプチドフラグメントを産生する。「末端を少しかじる(end−nibbling)」エンドヌクレアーゼでの消化によってもまた、フラグメントの配列(array)をコードするDNAを生じる。タンパク質のフラグメントをコードするDNAもまた、ランダム剪断、制限消化、またはそれらの組合せもしくは両方によって生成され得る。タンパク質フラグメントは、インタクトなタンパク質から直接生成され得る。ペプチドは、プラスミン、トロンビン、トリプシン、キモトリプシンまたはペプシンを含むがこれらに限定されないタンパク質分解性の酵素によって、特異的に切断され得る。これらの酵素のそれぞれが、それが攻撃するペプチド結合のタイプについて特異的である。トリプシンは、カルボニル基が塩基性のアミノ酸(通常は、アルギニンまたはリジン)に由来するペプチド結合の加水分解を触媒する。ペプシンおよびキモトリプシンは、トリプトファン、チロシン、およびフェニルアラニンのような、芳香族アミノ酸に由来するペプチド結合の加水分解を触媒する。切断されたタンパク質フラグメントの別のセットが、タンパク質分解性の酵素に対して感受性である部位での切断を妨げることによって、生成される。例えば、中程度の塩基性の溶液中のエチルトリフルオロチオアセテートとのリジンのε−アミノ酸基の反応によって、その隣接しているペプチド結合がトリプシンによる加水分解に対してもはや感受性でないブロックされたアミノ酸残基を生じる。タンパク質は、タンパク質分解性の酵素に対して感受性であるペプチド結合を作製するように改変され得る。例えば、β−ハロエチルアミンでのシステイン残基のアルキル化によって、トリプシンによって加水分解されるペプチド結合を生じる(Lindley、(1956)Nature 178、647)。さらに、特異的な残基でペプチド鎖を切断する化学的な試薬が使用され得る。例えば、臭化シアンは、メチオニン残基でペプチドを切断する(GrossおよびWitkip(1961)J.Am.Chem.Soc.83、1510)。従って、改変因子、タンパク質分解性の酵素、および/または化学的な試薬の種々の組合せを用いてタンパク質を処理することによって、タンパク質は、フラグメントの重複を有することなく所望される長さのフラグメントに分けられ得るか、または所望される長さの重複しているフラグメントに分けられ得る。
単離されたα4インテグリンアンタゴニストのフラグメント(例えば、本明細書中に記載されている抗体ホモログのフラグメント)はまた、組換え方法によって、タンパク質溶解による消化によって、または当業者に公知の方法を使用する化学合成によっても、効率的に産生され得る。組換え方法においては、ポリペプチドの内部または末端のフラグメントは、単離されたハリネズミのポリペプチドをコードするDNA配列の一方の末端(末端フラグメントについて)または両方の末端(内部フラグメントについて)から1つ以上のヌクレオチドを除去することによって生成され得る。変異させられたDNAの発現によって、ポリペプチドフラグメントを産生する。「末端を少しかじる(end−nibbling)」エンドヌクレアーゼでの消化によってもまた、フラグメントの配列(array)をコードするDNAを生じる。タンパク質のフラグメントをコードするDNAもまた、ランダム剪断、制限消化、またはそれらの組合せもしくは両方によって生成され得る。タンパク質フラグメントは、インタクトなタンパク質から直接生成され得る。ペプチドは、プラスミン、トロンビン、トリプシン、キモトリプシンまたはペプシンを含むがこれらに限定されないタンパク質分解性の酵素によって、特異的に切断され得る。これらの酵素のそれぞれが、それが攻撃するペプチド結合のタイプについて特異的である。トリプシンは、カルボニル基が塩基性のアミノ酸(通常は、アルギニンまたはリジン)に由来するペプチド結合の加水分解を触媒する。ペプシンおよびキモトリプシンは、トリプトファン、チロシン、およびフェニルアラニンのような、芳香族アミノ酸に由来するペプチド結合の加水分解を触媒する。切断されたタンパク質フラグメントの別のセットが、タンパク質分解性の酵素に対して感受性である部位での切断を妨げることによって、生成される。例えば、中程度の塩基性の溶液中のエチルトリフルオロチオアセテートとのリジンのε−アミノ酸基の反応によって、その隣接しているペプチド結合がトリプシンによる加水分解に対してもはや感受性でないブロックされたアミノ酸残基を生じる。タンパク質は、タンパク質分解性の酵素に対して感受性であるペプチド結合を作製するように改変され得る。例えば、β−ハロエチルアミンでのシステイン残基のアルキル化によって、トリプシンによって加水分解されるペプチド結合を生じる(Lindley、(1956)Nature 178、647)。さらに、特異的な残基でペプチド鎖を切断する化学的な試薬が使用され得る。例えば、臭化シアンは、メチオニン残基でペプチドを切断する(GrossおよびWitkip(1961)J.Am.Chem.Soc.83、1510)。従って、改変因子、タンパク質分解性の酵素、および/または化学的な試薬の種々の組合せを用いてタンパク質を処理することによって、タンパク質は、フラグメントの重複を有することなく所望される長さのフラグメントに分けられ得るか、または所望される長さの重複しているフラグメントに分けられ得る。
フラグメントはまた、Merrifieldの固相F mocまたはt−Boc化学のような、当該分野で公知の技術を使用して化学的に合成され得る。Merrifield,Recent Progress in Hormone Research 23:451(1967)。
フラグメントおよびアナログの産生および試験を可能にする先行技術の方法の例が、以下に議論される。これらまたは同様の方法が、生物学的活性を有することが示され得る単離されたα4インテグリンアンタゴニストのフラグメントおよびアナログを作製しそしてスクリーニングするために使用され得る。α4サブユニットを含有しているインテグリンアンタゴニストのフラグメントおよびアナログが生物学的活性を有するかどうかを試験するための例示的な方法は、第IV節および実施例において見出される。
(D.変更されたDNAおよびペプチド配列の産生:ランダム法)
タンパク質のアミノ酸配列変異体が、タンパク質またはその特定の部分をコードするDNAのランダム変異誘発によって調製され得る。有用な方法として、PCR変異誘発および飽和変異誘発が挙げられる。ランダムなアミノ酸配列変異体のライブラリーもまた、縮重オリゴヌクレオチド配列のセットの合成によって生成され得る。変更されたDNAおよびペプチドを使用して所定のタンパク質のアミノ酸変異体を作成する方法が、当該分野で周知である。このような方法の以下の例は、本発明の範囲を限定するこをと意図するのではなく、単に、例示的な代表的な技術を説明するために提供される。当業者は、これに関して、PCR変異誘発、飽和変異誘発、および縮重オリゴヌクレオチド変異誘発(以下で引用される参考文献に記載されており、そして本明細書中で参考として援用されている)のような他の方法もまた有用であることを、認識する。
PCR変異誘発:例えば、Leungら、(1989)Technique 1、11−15を参照のこと。
飽和変異誘発:1つの方法が、Mayersら(1989)Science 229、242に一般的に記載されている。
縮重オリゴヌクレオチド変異誘発:例えば、Harang,S.A.(1983)、Tetrahedron 39,3;Itakuraら(1984)、Ann.Rev.Biochem.53,323およびItakuraら、Recombinant DNA、Proc.3rd Cleveland Symposium on Macromolecules、273−289頁(A.G.Walton編)、Elsevier、Amsterdam、1981。
タンパク質のアミノ酸配列変異体が、タンパク質またはその特定の部分をコードするDNAのランダム変異誘発によって調製され得る。有用な方法として、PCR変異誘発および飽和変異誘発が挙げられる。ランダムなアミノ酸配列変異体のライブラリーもまた、縮重オリゴヌクレオチド配列のセットの合成によって生成され得る。変更されたDNAおよびペプチドを使用して所定のタンパク質のアミノ酸変異体を作成する方法が、当該分野で周知である。このような方法の以下の例は、本発明の範囲を限定するこをと意図するのではなく、単に、例示的な代表的な技術を説明するために提供される。当業者は、これに関して、PCR変異誘発、飽和変異誘発、および縮重オリゴヌクレオチド変異誘発(以下で引用される参考文献に記載されており、そして本明細書中で参考として援用されている)のような他の方法もまた有用であることを、認識する。
PCR変異誘発:例えば、Leungら、(1989)Technique 1、11−15を参照のこと。
飽和変異誘発:1つの方法が、Mayersら(1989)Science 229、242に一般的に記載されている。
縮重オリゴヌクレオチド変異誘発:例えば、Harang,S.A.(1983)、Tetrahedron 39,3;Itakuraら(1984)、Ann.Rev.Biochem.53,323およびItakuraら、Recombinant DNA、Proc.3rd Cleveland Symposium on Macromolecules、273−289頁(A.G.Walton編)、Elsevier、Amsterdam、1981。
(E.変更されたDNAおよびペプチド配列の産生:直接的な方法)
ランダムではない、または指向された変異誘発は、単離されたポリペプチドの公知のアミノ酸配列の残基の欠失、挿入、または置換を含む変異体を提供するための、単離されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の特異的な配列または特異的な部分中の変異を提供する。変異部位は、例えば、以下によって個々にまたは一連で改変され得る:(1)最初に保存されたアミノ酸で、次いで達成される結果に依存してさらなるラジカルなもの(radical choices)で置換すること;(2)標的の残基を欠失させること;または(3)配置された部位に隣接している同じまたは種々のクラスの残基を挿入すること、あるいは選択肢1〜3の組合せ。
ランダムではない、または指向された変異誘発は、単離されたポリペプチドの公知のアミノ酸配列の残基の欠失、挿入、または置換を含む変異体を提供するための、単離されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の特異的な配列または特異的な部分中の変異を提供する。変異部位は、例えば、以下によって個々にまたは一連で改変され得る:(1)最初に保存されたアミノ酸で、次いで達成される結果に依存してさらなるラジカルなもの(radical choices)で置換すること;(2)標的の残基を欠失させること;または(3)配置された部位に隣接している同じまたは種々のクラスの残基を挿入すること、あるいは選択肢1〜3の組合せ。
明らかに、このような部位特異的方法は、N末端のシステイン(または機能的に同等なもの)が疎水性部分についての接着部位を提供するように所定のポリペプチド配列中に導入され得る1つの方法である。部位特異的変異誘発の他の周知の方法は、本明細書中で参考として援用されている、下記の参考文献において詳細に記載されている。
アラニンスキャニング変異誘発:CunninghamおよびWells(1989)Science 244、1081−1085)を参照のこと。
オリゴヌクレオチドによって媒介される変異誘発:例えば、Adelmanら(1983)DNA 2、183を参照のこと。
カセット変異誘発:Wellsら(1985)Gene 34、315を参照のこと。
組合せ変異誘発:例えば、Ladnerら、第WO88/06630号を参照のこと。
ファージディスプレイストラテジー:例えば、Marksら、J.Biol.Chemistry:267、16007−16010(1992)による総説を参照のこと。
(F.α4インテグリンアンタゴニストの他の変異体)
変異体は、アミノ酸配列において、または配列を含まない様式において、あるいはそれらの両方において、他のα4インテグリンアンタゴニストとは異なり得る。本発明の最も好ましいポリペプチドは、インビボまたはインビトロでの(例えば、それらのN末端の)化学的な誘導、ならびにアセチル化、メチル化、リン酸化、アミド化、カルボキシル化、またはグリコシル化における可能性のある変化を含む、好ましい配列以外の改変を有する。
変異体は、アミノ酸配列において、または配列を含まない様式において、あるいはそれらの両方において、他のα4インテグリンアンタゴニストとは異なり得る。本発明の最も好ましいポリペプチドは、インビボまたはインビトロでの(例えば、それらのN末端の)化学的な誘導、ならびにアセチル化、メチル化、リン酸化、アミド化、カルボキシル化、またはグリコシル化における可能性のある変化を含む、好ましい配列以外の改変を有する。
他のアナログは、それらの配列が、TA2、あるいは米国特許第5,840,299号または米国特許第5,888,507号;同第US5,932,214号またはPCT US/94/00266に見出される配列とは、1つ以上の保存的なアミノ酸の置換によって、または1つ以上の非保存的なアミノ酸の置換によって、または単離されたタンパク質の生物学的活性を廃止しない欠失もしくは挿入によって異なる、タンパク質またはその生物学的に活性なフラグメントを含む。保存的な置換は、代表的には、以下のグループ内での置換のような、同様の特徴を有する別のアミノ酸についての1つのアミノ酸の置換を含む:バリン、アラニンおよびグリシン;ロイシンおよびイソロイシン;アスパラギン酸およびグルタミン酸;アスパラギンおよびグルタミン;セリンおよびスレオニン;リジンおよびアルギニン;ならびにフェニルアラニンおよびチロシン。非極性の疎水性アミノ酸として、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンがあげられる。極性の天然のアミノ酸として、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが挙げられる。正に荷電した(塩基性の)アミノ酸として、アルギニン、リジン、およびヒスチジンが挙げられる。負に荷電した(酸性の)アミノ酸として、アスパラギン酸およびグルタミン酸が上げられる。他の保存的置換は、当業者に容易に公知であり得る。例えば、アミノ酸アラニンについて、保存的な置換は、D−アラニン、グリシン、β−アラニン、L−システイン、およびD−システインの任意の1つから取り出され得る。リジンについては、置換は、D−リジン、アルギニン、D−アルギニン、ホモ−アルギニン、メチオニン、D−メチオニン、オルニチン、またはD−オルニチンの任意の1つであり得る。
本発明において使用される他のアナログは、ペプチドの安定性を増大させる改変を有するものである。このようなアナログは、例えば、ペプチド配列中に1つ以上の非ペプチド結合(ペプチド結合を置き換える)を含み得る。天然に存在しているL−アミノ酸以外の残基(例えば、D−アミノ酸)、または天然には存在していないかもしくは合成のアミノ酸(例えば、βもしくはγアミノ酸)を含むアナログおよび環状のアナログもまた、含まれる。単離されたハリネズミポリペプチド中でのL−アミノ酸の代わりのD−アミノ酸の取りこみは、プロテアーゼに対するその耐性を増大させ得る。米国特許第5,219,990号(前出)を参照のこと。
好ましい抗体ホモログは、TA2抗体のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、80%、90%、95%、98%、または99%相同であるアミノ酸配列、あるいは、例えば、米国特許第5,840,299号(例えば、配列番号15−軽鎖可変領域;配列番号17−重鎖可変領域);米国特許第5,932,214号(例えば、配列番号2および4);ならびに公開された特許出願番号第WO94/16094号(これらの配列は、細胞株ATCC CRL 11175の抗VLA4抗体中に見出される)に記載されているアミノ酸配列に対して少なくとも60%、80%、90%、95%、98%、または99%相同である配列を含む:。
(G.ポリマー結合体の形成)
本発明の広範な範囲内では、単一のポリマー分子は、α4インテグリンアンタゴニストと結合体化することで使用され得るが、1つより多いポリマー分子が十分に接着され得ることもまた意図される。本発明の結合体化されたα4インテグリンアンタゴニスト組成物は、インビボおよびインビボではない適用の両方において有用性を見出され得る。さらに、結合体化ポリマーは、目的の使用適用のために適切である場合、任意の他の基、部分、または他の結合体化された種を、利用し得る。例として、いくつかの適用においては、UV分解の耐性もしくは抗酸化、またはポリマーに対して他の特性もしくは特徴を与える機能的な部分をポリマーに共有結合させることが、有用であり得る。さらなる例として、結合体化された材料全体の種々の特性または特徴を増強させるために、それを薬物分子に対して反応性にし、そして架橋することを可能にするように、ポリマーを官能化することが、いくつかの適用において利点であり得る。したがって、ポリマーは、任意の官能基、反復している基、結合、または他の構成する構造を含み得る。これらは、その意図される目的のために、結合体化されたα4インテグリンアンタゴニスト組成物の効力を妨げない。本発明の他の目的および利点が、続く開示および添付される特許請求の範囲からより完全に明らかである。
本発明の広範な範囲内では、単一のポリマー分子は、α4インテグリンアンタゴニストと結合体化することで使用され得るが、1つより多いポリマー分子が十分に接着され得ることもまた意図される。本発明の結合体化されたα4インテグリンアンタゴニスト組成物は、インビボおよびインビボではない適用の両方において有用性を見出され得る。さらに、結合体化ポリマーは、目的の使用適用のために適切である場合、任意の他の基、部分、または他の結合体化された種を、利用し得る。例として、いくつかの適用においては、UV分解の耐性もしくは抗酸化、またはポリマーに対して他の特性もしくは特徴を与える機能的な部分をポリマーに共有結合させることが、有用であり得る。さらなる例として、結合体化された材料全体の種々の特性または特徴を増強させるために、それを薬物分子に対して反応性にし、そして架橋することを可能にするように、ポリマーを官能化することが、いくつかの適用において利点であり得る。したがって、ポリマーは、任意の官能基、反復している基、結合、または他の構成する構造を含み得る。これらは、その意図される目的のために、結合体化されたα4インテグリンアンタゴニスト組成物の効力を妨げない。本発明の他の目的および利点が、続く開示および添付される特許請求の範囲からより完全に明らかである。
これらの所望される特徴を達成するために有効に使用され得る例示的なポリマーは、例示的な反応スキームにおいて本明細書中の以下に記載される。共有結合されたアンタゴニスト/ポリマー結合体において、ポリマーは、官能化され得、次いで不安定な結合を形成するようにアンタゴニストの遊離のアミノ酸にカップリングされ得る。
α4インテグリンアンタゴニストは、最も好ましくは、ポリマー上の末端の反応性の基を介して結合体化されるが、結合体はまた、非末端の反応性の基から分岐され得る。反応性の基を有するポリマーは、本明細書中に「活性化されたポリマー」として称される。反応性の基は、遊離のアンタゴニスト分子上のアミノ基または他の反応性の基と選択的に反応する。活性化されたポリマーは、反応し、その結果、接着が任意の利用可能なα4インテグリンアンタゴニストのアミノ基(例えば、リジンのαアミノ基またはεアミノ基)で生じ得る。遊離のカルボン酸基、適切に活性化されたカルボニル基、ヒドロキシル、グアニジル、酸化された炭水化物部分、および(利用可能である場合)α4インテグリンアンタゴニストのメルカプト基もまた、接着部位として使用され得る。
ポリマーは、α4インテグリンアンタゴニスト分子上のどこにでも接着され得るが、インテグリンアンタゴニスト(詳細には、タンパク質であるもの)に対するポリマーのカップリングの他の好ましい部位は、α4インテグリンアンタゴニストのN末端である。第2の部位は、C末端またはその付近であり、そして(たとえあるとしても)糖部分を介する。従って、本発明は、以下を意図する:(i)α4インテグリンアンタゴニストのN末端にカップリングされたポリマー結合体;(ii)α4インテグリンアンタゴニストのC末端にカップリングされたポリマー結合体;(iii)糖カップリング結合体;ならびに(iv)α4インテグリンアンタゴニストのN−、C−、および糖−カップリングポリマー結合体。
一般的には、アンタゴニスト濃度に依存して、1モルのアンタゴニストあたり約1.0〜約10モルの活性化されたポリマーが使用される。最終的な量は、生成物の非特異的な改変を最少にしながら、反応の程度を最大にすることと、同時に、最適な活性を維持する化学的な性質を定義すること、一方、可能な場合、同時に、アンタゴニストの半減期を最適にすることの間での平衡である。好ましくは、少なくとも約50%のアンタゴニストの生物学的活性が保持され、そして最も好ましくは、100%が保持される。
反応は、不活性なポリマーと生物学的に活性な材料とを反応させるために使用される、任意の適切な当業者によって認識される方法によって行われ得る。一般的には、このプロセスは、活性化されたポリマー(これは、少なくとも1つの末端のヒドロキシル基を有し得る)を調製する工程、およびその後、処方のために適切な可溶性のタンパク質を生じるように活性化されたポリマーとアンタゴニストを反応させる工程を含む。上記の改変反応は、1つ以上の工程を包含し得るいくつかの方法によって行われ得る。
上記のように、本発明の特定の実施形態は、ポリマーに対する連結のように、α4インテグリンアンタゴニストのN末端を使用する。適切な従来の方法が、N末端を改変されたα4インテグリンアンタゴニストを選択的に得るために利用可能である。1つの方法は、減少アルキル化方法によって例示される。これは、適切なα4インテグリンアンタゴニスト上での誘導のために利用可能な種々のタイプの第1級アミノ基(リジン上のεアミノ基対N末端のメチオニン上のアミノ基)の異なる反応性を利用する。適切な選択条件下で、カルボニル基を含有するポリマーでの、そのN末端に適切なα4インテグリンアンタゴニストの実質的に選択的な誘導が、達成され得る。反応は、リジン残基のεアミノ基と、α4インテグリンアンタゴニストのN末端残基のαアミノ基のものとの間でのpKaの差異を利用することを可能にするpHで行われる。このタイプの化学反応は、当業者に周知である。
α4インテグリンアンタゴニスト(例えば、タンパク質)のC末端に対するPEGのようなポリアルキレングリコールポリマーを標的化するためのストラテジーは、化学的な接着であるか、またはポリマー部分を標的化するために使用され得る部位の遺伝的な操作である。例えば、タンパク質のC末端またはその付近の部位でのCysの取り込みは、当該分野で認識されているマレイミド、ビニルスルホン、またはハロ酢酸によって活性化されたポリアルキレングリコール(例えば、PEG)の誘導体を使用する特異的な改変を可能にする。これらの誘導体が、Cysについてのこれらの試薬の高い選択性に起因して、操作されたシステインの改変について特異的に使用され得る。標的化され得るヒスチジンタグ(Fancyら(1996)Chem.& Biol.3:551)またはタンパク質上のさらなるグリコシル化部位の取り込みのような他のストラテジーは、α4インテグリンアンタゴニストのC末端を改変するための他の代替方法を示す。
化学的な改変のために部位として糖を標的化するための方法もまた周知であり、そしてしたがって、ポリアルキレングリコールポリマーが、直接および特異的に、(たとえあるとしても)α4インテグリンアンタゴニスト上の糖に対して付加され得るようである。これは、酸化を介して活性化されている。例えば、ポリエチレングリコールヒドラジドが、作成され得る。これは、アルデヒドおよびケトンとの縮合によって比較的安定なヒドラゾン結合を形成する。この特性は、酸化されたオリゴ糖結合を介するタンパク質の改変のために使用されている。Andresz,H.ら(1978)、Makromol.Chem.179:301を参照のこと。詳細には、PEGカルボキシメチルヒドラジドの硝酸での処理は、PEGカルボキシメチルアジドを生じる。これは、アミノ基に対して反応性である、求電子性の活性基である。この反応は、ポリアルキレングリコールによって改変されたタンパク質を十分に調製するために使用され得る。米国特許第4,101,380号および同第4,179,337号を参照のこと。
当業者は、多価のα4インテグリンアンタゴニスト組成物を形成するために、タンパク質の架橋をさらに促進するための、チオールリンカーによって媒介される化学反応を認識される技術を使用し得る。詳細には、当業者は、過ヨウ素酸ナトリウムを用いて炭水化物部分に反応性のアルデヒドを作成し得、これによってアルデヒドを介してシスタミン結合体を形成し得、そしてシスタミン上のチオール基を介する架橋を誘導し得る。Pepinsky,B.ら(1991)、J.Biol.Chem.,266:18244−18249およびChen,L.L.ら(1991)J.Biol.Chem.,266:18237−18243を参照のこと。従って、このタイプの化学反応はまた、ポリアルキレングリコールポリマーを用いる改変のためにも適切であり、ここではリンカーは、糖中に取りこまれ、そしてポリアルキレングリコールポリマーがリンカーに対して付着される。アミノチオールまたはヒドラジンを含有しているリンカーは、単一のポリマー基の付加を可能にするが、リンカーの構造は変化し得、その結果、複数のポリマーが付加されそして/またはα4インテグリンアンタゴニストに関するポリマーの空間的な方向が変更される。
本発明の実施においては、C1〜C4アルキルポリアルキレングリコール(好ましくは、ポリエチレングリコール(PEG))残基、またはこのようなグリコールのポリ(オキシ)アルキレングリコール残基が、目的のポリマーシステム中に有利に取りこまれる。従って、タンパク質が付着されるポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)のホモポリマーであり得るか、または全ての場合においてポリマーが室温で水中に可溶性である場合、ポリオキシエチル化されたポリオールである。このようなポリマーの限定的ではない例として、ポリアルキレンオキサイドホモポリマー(例えば、PEG)またはポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化グリコール、それらのコポリマー、およびブロックコポリマーの水可溶性が維持される場合、それらのブロックコポリマーが挙げられる。ポリエチル化されたポリオールの例として、例えば、ポリオキシエチル化されたグリセロール、ポリオキシエチル化されたソルビトール、ポリオキシエチル化されたグルコースなどが挙げられる。ポリオキシエチル化されたグリセロールのグリセロール骨格は、例えば、動物およびヒトにおいてモノ−、ジ−、およびトリグリセリドで天然に存在している同じ骨格である。従って、この分岐は、身体において外来因子としては、必ずしも見られない。
ポリアルキレンオキサイドの代替として、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、炭水化物に基づくポリマーなどが、使用され得る。当業者は、上記のリストが単に例示であり、そして本明細書中に記載されている品質を有している全てのポリマー材料が意図されることを認識している。
ポリマーは、任意の特定の分子量を有する必要はないが、分子量が約300から100,000の間が好ましい、より好ましくは、10,000から40,000の間の分子量である。詳細には、20,000以上のサイズが、腎臓での濾過に起因する産物の損失を妨げる点で最良である。
ポリアルキレングリコール誘導体は、ポリアルキレングリコール誘導体の以下の特性に関係している、本発明の実施においてポリマー−α4インテグリンアンタゴニスト結合体の処方において多数の有利な特性を有する:抗原性または免疫原性の応答を同時に誘発する間の水可溶性の改善;高い程度の生体適合性;ポリアルキレングリコール誘導体のインビボでの生体分解の非存在;および生存している生物体による排泄の容易さ。
さらに、本発明の別の局面においては、当業者は、結合体の性質が切断可能な共有的な化学結合に関する、ポリマー成分に共有結合されたα4インテグリンアンタゴニストを利用し得る。これによって、ポリマーがα4インテグリンアンタゴニストから切断され得る時間経過に関する制御を可能にする。α4インテグリンアンタゴニストとポリマーとの間のこの共有結合は、化学的または酵素的反応によって切断され得る。ポリマー−α4インテグリンアンタゴニスト産物は、受容可能な量の活性を保持している。結果として、ポリエチレングリコールの一部は、高い水可溶性および延長された血液の循環能力を有するポリマー−α4インテグリンアンタゴニスト結合体を与えるために、結合体化ポリマー中に存在する。これらの改善された特徴の結果として、本発明は、活性なポリマー−α4インテグリンアンタゴニスト種、続くインビボでの適用におけるα4インテグリンアンタゴニスト自体の加水分解による切断、生体利用可能性の両方の、非経口的、鼻腔による、および経口による送達を意図する。
本明細書中に記載されている反応模式図が、説明の目的だけのために提供され、そして例えば、非経口および経口投与のための可溶性、安定性、ならびに細胞膜の親和性を達成するために、α4インテグリンアンタゴニストの改変において利用され得ることが、理解されるべきである。α4インテグリンアンタゴニスト結合体の活性および安定性は、いくつかの方法において、異なる分子サイズのポリマーを使用することによって、変更され得る。結合体の可溶性は、ポリマー組成物中に組み込まれるポリエチレングリコールフラグメントの割合および大きさを変化させることによって、変更され得る。
(III.治療適用)
単位投与量形態を生ずるようにキャリア物質と混合され得る有効成分の量は、処置される宿主、および特定の投与の形態に依存して変化する。しかし、任意の特定の患者についての特別な投与量および処置レジメンは、使用される特異的な化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時間、排出速度、薬物の組合せ、および処置する医師の判断、ならびに処置される特定の疾患の重篤度を含む、種々の因子に依存することが、理解されるべきである。有効成分の量はまた、任意の場合、成分が同時に投与される治療薬または予防薬に依存し得る。
単位投与量形態を生ずるようにキャリア物質と混合され得る有効成分の量は、処置される宿主、および特定の投与の形態に依存して変化する。しかし、任意の特定の患者についての特別な投与量および処置レジメンは、使用される特異的な化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時間、排出速度、薬物の組合せ、および処置する医師の判断、ならびに処置される特定の疾患の重篤度を含む、種々の因子に依存することが、理解されるべきである。有効成分の量はまた、任意の場合、成分が同時に投与される治療薬または予防薬に依存し得る。
細胞の接着を妨げる、抑制する、または阻害するために有効である本発明の化合物の投与量および用量の割合は、種々の因子(例えば、インヒビターの性質、患者の大きさ、処置の目的、処置される病因の性質、使用される特異的な薬学的組成物、および処置する医師の判断に依存する。1日あたり約0.001から約100mg/kg体重の間、好ましくは、1日あたり約0.1から約50mg/kg体重の間の有効成分化合物の投与量レベルが、有用である。最も好ましくは、VLA−4結合剤は、抗体または抗体誘導体の場合、約0.1mg/kg体重/日から約20mg/kg体重/日の間、好ましくは、約0.1mg/kg体重/日から約10mg/kg体重/日の間の用量の範囲で、そして1から14日ごとの間隔で、投与される。非抗体または低分子の結合剤については、用量の範囲は、好ましくは、等モル量からこれらの抗体の量までの間であるはずであり。好ましくは、抗体組成物は、少なくとも1mg/mlの抗体の血漿レベルを提供するために有効な量で投与される。投与量の最適化は、結合剤の投与、続くインビボで所定の用量で投与された後、経時的なこの薬剤によるインテグリン陽性細胞のコーティングの評価によって、決定され得る。
投与された因子の存在は、それ自体が標識されている(例えば、蛍光によって標識されている)、同じ因子に対して結合する個々の細胞の不能性または減少した能力によって、インビトロ(またはエキソビボ)で検出され得る。好ましい投与量は、インテグリン陽性細胞のほぼ大部分の検出可能なコーティングを生じる。好ましくは、抗体ホモログの場合において、コーティングは、1〜14日間維持される。
アンタゴニストを導入するための別の好ましい形態は、薬理学的薬剤との併用治療を通じたものである。薬理学的薬剤は、好ましくは、急性の脳の損傷を処置することにおいて、ある程度の治療効果を有する薬剤である。このような薬剤として、血栓崩壊因子(例えば、プラスミノーゲン、またはウロキナーゼ)、Selfotel tmまたはAptiganel tmのような興奮毒性の機構を標的化する薬剤、Lubeluzole tmのような、ニューロンの損傷に関係している酸化窒素を標的化する薬剤、Tirilizad tmのような、虚血に関係しているニューロンの細胞膜の損傷を標的化する薬剤、Enlimomab tmのような抗炎症機構を標的化する薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。薬剤は、アンタゴニストの投与の前、その間、またはその後のいずれかで、本発明のα4インテグリンアンタゴニスト組み合わせられ得る。
(IV.処置のための処方物および方法)
本発明に基く処置方法は、活性な化合物の有効量を被験体に対して内部的にまたは局所的に投与することを含む。本発明の方法における活性な化合物の用量は、有効であり、非毒性である量である。慣用的な臨床試験を利用する当業者は、処置される特定の病気についての最適な用量を決定することが可能である。
本発明に基く処置方法は、活性な化合物の有効量を被験体に対して内部的にまたは局所的に投与することを含む。本発明の方法における活性な化合物の用量は、有効であり、非毒性である量である。慣用的な臨床試験を利用する当業者は、処置される特定の病気についての最適な用量を決定することが可能である。
神経学的な回復のための標準的な試験(例えば、NIH Stroke Scale、Barthel Index,改変されたRankin Scale,Glasgow Outcome Scale)が当業者によって用いられ、効果を決定する。所望される用量が、1日に1回以上、静脈内で、経口的に、直腸的に、非経口的に、鼻腔内に、局所的に、または吸入によって、被験体に対して投与される。所望される用量はまた、連続的な静脈注入によっても与えられ得る。
本発明に基くα4インテグリンインヒビターの非経口的な投与においては、化合物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬などを含み得る、注射用水溶液中に処方され得る。即興的な注射溶液は、物質が実験する当業者に全て周知である希釈剤、分散および表面の活性化剤、結合剤、および潤滑剤を含み得る、滅菌の丸剤、顆粒剤、または錠剤から調製され得る。
経口投与の場合においては、化合物の細かい散剤または顆粒剤が、希釈剤、ならびに分散および表面の活性化因子とともに処方され得、そして水中またはシロップ中に、乾燥状態でカプセルまたはカシェ剤中に、あるいは懸濁剤が含まれ得る非水性の懸濁液中に調製され得る。化合物はまた、最適な結合剤および潤滑剤とともに錠剤の形態でも投与され得るか、あるいは水またはシロップもしくは油中に、あるいは水/油エマルジョン中の懸濁液で投与され得、そして香味剤、保存料、懸濁剤、増量剤、および乳濁剤を含み得る。経口投与のための顆粒剤または錠剤はコーティングされ得るか、または薬学分野の当業者に周知である他の薬学的に受容可能な薬剤および処方物が利用され得る。
固体キャリアおよび液体キャリアもまた使用され得る。固体のキャリアとして、デンプン、ラクトース、カルシウム、硫酸ニ水和物、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が挙げられる。液体のキャリアとして、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、生理食塩水、および水が挙げられる。軟膏およびクリーム剤が、所望される放出特性を提供するように選択された種々のアクリルベースのポリマーのような、公知のポリマー物質を使用して調製される。坐剤が、ポリエチレングリコールおよびココアバターのような標準的な基剤から調製される。
本発明によって提供される処置方法は、患者のCNSに対する損傷を処置するための方法に関する。この方法は、α4インテグリンを投与する工程を包含する。他の実施形態においては、この方法は、患者に対する薬理学的薬剤の投与をさらに包含する。好ましい実施形態においては、薬理学的薬剤は血栓崩壊剤、神経保護剤、抗炎症剤、ステロイド、サイトカイン、成長因子である。本発明において使用される血栓崩壊剤は、好ましくは、組織プラスミノーゲン活性化因子またはウロキナーゼである。本発明において使用される神経保護剤は、好ましくは、以下からなる群より選択されるレセプター:N−メチル−Dアスパラギンレセプター(NMDA)、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオン酸レセプター(AMPA)、グリシンレセプター、カルシウムチャンネルレセプター、ブラジキニンB2レセプター、およびナトリウムチャネルレセプター、あるいは以下からなる群より選択されるレセプター:ブラジキニンB1レセプター、α−アミノ酪酸(GABA)レセプター、およびアデノシンA1レセプター、に対するアゴニストである。本発明において使用される抗炎症剤は、インターロイキン−1および腫瘍壊死因子ファミリーのメンバーを含む。
本発明によって意図されるように、この処置方法において使用されるα4インテグリンアンタゴニストは、抗体ホモログであり得、そして好ましくは、ヒト化抗体ホモログまたは抗体ホモログのフラグメントであり得る。他の実施形態においては、抗体ホモログは、ポリマー分子に連結され得る。あるいは、本発明の方法において、α4インテグリンアンタゴニストは、単一のα4サブユニットを含有するインテグリン、または1つ以上のαサブユニットを含有するインテグリンをアンタゴナイズし得る。
(実施例)
(実施例1:ラットにおける可逆的な中大脳動脈の閉塞についてのプロトコール)
雄性のSprague Dawley(SD)または自然発生的な高血圧のラット(SHRS)を、イソフルランを使用して麻酔し、そして右側中大脳動脈(MCAO)を、内頚動脈から中大脳動脈(MCA)の起点まで、4−0のナイロンモノフィラメントの挿入によって閉塞させた(Zea Longaら、1989 Stroke 20:84)。1時間後、フィラメントを回収し、虚血性の領域を再潅流し、そして動物を回復させた。24時間後に、ラットを屠殺し、その時点で、脳を取りだし、そして梗塞の容量を定量するために組織学的に分析した。
(実施例1:ラットにおける可逆的な中大脳動脈の閉塞についてのプロトコール)
雄性のSprague Dawley(SD)または自然発生的な高血圧のラット(SHRS)を、イソフルランを使用して麻酔し、そして右側中大脳動脈(MCAO)を、内頚動脈から中大脳動脈(MCA)の起点まで、4−0のナイロンモノフィラメントの挿入によって閉塞させた(Zea Longaら、1989 Stroke 20:84)。1時間後、フィラメントを回収し、虚血性の領域を再潅流し、そして動物を回復させた。24時間後に、ラットを屠殺し、その時点で、脳を取りだし、そして梗塞の容量を定量するために組織学的に分析した。
動物のグループを、浸透圧ミニポンプを介した連続的な皮下注入によって、ビヒクル(PBS)またはブラジキニンB2レセプターアンタゴニストHoe 140(Hoechst)のいずれかで処置した。準備したミニ浸透圧ポンプ(Alza Corp.,)を、脳虚血の誘導の直前に、頚部の首筋で皮下の空間に移植した。ポンプを、300ng/kg/分のHoe 140を放出するように充填し、そして8μl/hの速度で化合物またはビヒクルを送達した。
別々の実験において、動物のグループを、ビヒクル(滅菌等張生理食塩水)、TA2(マウス抗ラットVLA4;Seikagaku America Inc.)、またはアイソタイプコントロール抗体(マウス抗ヒトLFA3;Biogen,Inc.から得た)のいずれかで処置した。全ての処置を、手術の24時間前に静脈投与した(2.5mg/kgまたは適切な容量のビヒクル)。
(実施例2:可逆的な中大脳動脈の梗塞のモデルの結果)
MCAOを受けたビヒクル処置コントロールラットは、脳の皮質から皮質下の領域にわたる広範囲の病変を維持した。虚血性の脳半球は、顕著に腫大し、そして有意な挙動の欠乏が観察された(例えば、順間および手足の衰弱を生じる半身麻痺)。自然発生的な高血圧のラットは、同じ外科手術手順に供したSprague Dawleyラットより顕著で再現性のある脳梗塞を維持した。梗塞の容量は、平均値±s.e.m.で示す。統計学的な分析を、不対のスチューデントtテスト(*は、p<0.05を示し、**はp<0.01を示す)を使用して行った。
MCAOを受けたビヒクル処置コントロールラットは、脳の皮質から皮質下の領域にわたる広範囲の病変を維持した。虚血性の脳半球は、顕著に腫大し、そして有意な挙動の欠乏が観察された(例えば、順間および手足の衰弱を生じる半身麻痺)。自然発生的な高血圧のラットは、同じ外科手術手順に供したSprague Dawleyラットより顕著で再現性のある脳梗塞を維持した。梗塞の容量は、平均値±s.e.m.で示す。統計学的な分析を、不対のスチューデントtテスト(*は、p<0.05を示し、**はp<0.01を示す)を使用して行った。
ブラジキニンB2レセプターアンタゴニストHoe 140(n=9)による処置は、SHR中の脳虚血の誘導の24時間後に測定したビヒクル処置コントロール(n=8)と比較して、総量、皮質および皮質下の梗塞の容量を、それぞれ、37%、43%、および17%、有意に減少させた。SDラットにおいて、同じ容量のHoe 140(n=6)での処置は、脳虚血の誘導の24時間後に測定したビヒクル処置コントロール(n=7)と比較して、総量、皮質および皮質下の梗塞の容量を、それぞれ、57%、93%、および24%に減少させた。これらのデータは、以前の知見(Reltonら、1997 Stroke 28:1430)と一致しており、そしてポジティブコントロールとして得られた。
抗α4抗体でのSHRの前処置においては、大脳の虚血の誘導の24時間前のTA−2(2.5mg/kgのiv、n=10)は、脳虚血の誘導の24時間後に測定した同じ用量のアイソタイプコントロール抗体で処置した動物(n=15)と比較して、総量、皮質および皮質下の梗塞の容量を、それぞれ、43%、47%、および33%、減少させた。同じプロトコルを使用するDEラットにおいては、総量、皮質および皮質下の梗塞の容量は、それぞれ、64%、65%、および38%、減少した。
図1Aおよび1Bのグラフは、Sprague Dawleyおよび自然発生的な高血圧のラットにおいて、60分間のMCAOの24時間後の梗塞の大きさに対するhoe140の影響を示す。図は、ビヒクル処置コントロール動物と比較した、連続的な皮下注射による、hoe 140(300ng/kg/分)での処置後の脳梗塞の阻害を示す。梗塞の大きさは、ラットの両方の株において脳の皮質および皮質下の領域において減少した。
図2Aおよび2Bのグラフは、Sprague Dawleyおよび自然発生的な高血圧のラットにおいて、60分間のMCAOの24時間後の梗塞の大きさに対するラットのα4抗体(TA−2、2.5mg/kg)の影響を示す。図は、アイソタイプコントロール抗体で処置した動物と比較した、TA−2抗体での静脈内での前処置後の脳梗塞の有意な阻害を示す。脳の損傷に対する防御が、ラットの両方の株において観察された。
これらのデータは、ラットの可逆的な限局的な脳虚血のモデルにおけるαインテグリンの阻害の防御効果を示す。このモデルの病理学は、ヒトの発作の状態の臨床的な表現であり、α4サブユニットを含有するインテグリンのインヒビターが、これおよび他の虚血に関係する障害の処置において大きな利益を有し得ることを示す。
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- 本明細書に記載される発明。
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