JP2012166718A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コストの増大を抑制しつつ、ラトル音の発生を十分に抑制することのできる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】EPS1は、軸方向に往復動可能に支持されたラック軸3と、ラック軸3が挿通されるとともにモータ駆動により回転するモータシャフト16と、ラック軸3が収容されるハウジング5に対してモータシャフト16を回転可能に支持する転がり軸受18とを備えた。そして、モータシャフト16とハウジング5との間に設けられ、モータシャフト16のハウジング5に対する軸方向への相対移動に基づき、モータシャフト16の軸方向移動を抑制する減衰力を発生する減衰機構41を備えた。
【選択図】図1
【解決手段】EPS1は、軸方向に往復動可能に支持されたラック軸3と、ラック軸3が挿通されるとともにモータ駆動により回転するモータシャフト16と、ラック軸3が収容されるハウジング5に対してモータシャフト16を回転可能に支持する転がり軸受18とを備えた。そして、モータシャフト16とハウジング5との間に設けられ、モータシャフト16のハウジング5に対する軸方向への相対移動に基づき、モータシャフト16の軸方向移動を抑制する減衰力を発生する減衰機構41を備えた。
【選択図】図1
Description
本発明は、電動パワーステアリング装置に関する。
従来、ラック軸が挿通されるとともにモータ駆動により回転する中空シャフトを有し、同中空シャフトの回転をボール螺子機構によりラック軸の往復動に変換することによって操舵系にアシスト力を付与する所謂ラックアシスト型の電動パワーステアリング装置(EPS)がある(例えば、特許文献1参照)。
一般に、こうしたEPSでは、中空シャフトは転がり軸受を介してハウジングに支持されている。そのため、例えば縁石衝突により転舵輪に逆入力応力が印加された場合等には、ラック軸とともに中空シャフトが軸方向移動しようとすることで、その衝撃力が転がり軸受を介してハウジングに伝達される。そして、その際に発生する振動や異音が車室内に伝播することにより、運転者に不快感を与える可能性がある。
そこで、例えば特許文献2には、こうした振動や異音を抑制すべく、転がり軸受と中空シャフト又はハウジングとの間にバネ部材を設け、同転がり軸受をこれら中空シャフト又はハウジングに対して軸方向に弾性的に支持したEPSが提案されている。このEPSでは、逆入力応力等が印加された場合に、転がり軸受と中空シャフト又はハウジングとが軸方向に相対移動して弾性部材が変形することにより、その衝撃力を緩和している。
ところで、転がり軸受に内部隙間が存在する場合には、衝撃力が作用することで同転がり軸受においてラトル音が発生するようになる。しかし、上記特許文献2の構成では、転がり軸受に内部隙間が存在すると、その範囲で中空シャフトが転がり軸受の内輪と一体でハウジングに対して相対移動することになり、弾性部材が変形しないため、衝撃力が弾性部材により緩和されずに転がり軸受に作用することになる。従って、特許文献2のものでは、上記ラトル音の発生を十分に抑制することができるとは言い難い。
そこで、例えば転がり軸受の外輪とハウジングとの間にバネ部材を設けるとともに、転がり軸受の内輪に中空シャフトを圧入し、同内輪を拡径させることにより転がり軸受の内部隙間がマイナスの値となる、すなわち転がり軸受の内部隙間がなくなる設計にしてラトル音の発生を抑制することが考えられる。しかし、転がり軸受の内部隙間が詰まり過ぎる(内輪が拡径し過ぎる)と、内外輪間で転動体(ボール)に作用する負荷が大きくなり、転がり軸受の回転抵抗が増大して寿命の低下等を招く虞がある。従って、このようなマイナス隙間設計とする場合には、上記内部隙間の公差を厳しく管理する必要があり、コストが増大するという問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、コストの増大を抑制しつつ、ラトル音の発生を十分に抑制することのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、軸方向に往復動可能に支持されたラック軸と、前記ラック軸が挿通されるとともにモータ駆動により回転する中空シャフトと、前記ラック軸が収容されるハウジングに対して前記中空シャフトを回転可能に支持する転がり軸受とを備え、前記中空シャフトの回転を前記ラック軸の往復動に変換することにより操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する電動パワーステアリング装置において、前記中空シャフトと前記ハウジングとの間に設けられ、前記中空シャフトの前記ハウジングに対する軸方向への相対移動に基づき、前記中空シャフトの軸方向移動を抑制する減衰力を発生する減衰手段を備えたことを要旨とする。
上記構成によれば、逆入力応力等の印加により中空シャフトが軸方向に移動しようとすると、減衰手段で発生した減衰力により、中空シャフトの軸方向移動が抑制され、転がり軸受に作用する衝撃力が緩和される。そして、減衰手段は、中空シャフトのハウジングに対する軸方向への相対移動に基づいて減衰力を発生させるため、中空シャフトが転がり軸受の内部隙間の範囲でその内輪と一体で移動する状態でも、衝撃力を緩和することができ、ラトル音の発生を抑制することができる。従って、転がり軸受の内部隙間をなくす設計とせずともよく、コストの増大を抑制しつつ、ラトル音の発生を十分に抑制することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、前記減衰手段は、前記中空シャフト及び前記ハウジングのいずれか一方に対して軸方向への移動が拘束された状態で設けられる弾性部材と、いずれか他方に対して軸方向への移動が拘束された状態で前記弾性部材と径方向に対向して設けられるとともに該弾性部材と係合し、前記中空シャフトの前記ハウジングに対する軸方向への相対移動に基づいて前記弾性部材を軸方向に弾性変形させる係合部材とを備え、前記弾性部材及び前記係合部材は、前記中空シャフト又は前記ハウジングに対して相対回転可能に設けられることを要旨とする。
上記構成によれば、係合部材が弾性部材を軸方向に弾性変形させることで発生する弾性力が減衰力として中空シャフトに作用する。そのため、例えば中空シャフトの軸方向移動に伴ってハウジングとの間で摩擦力を発生させ、この摩擦力を減衰力として中空シャフトに作用させる場合に比べ、異音(摺動音)の発生を抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、前記係合部材には、前記弾性部材を径方向に圧縮させた状態で該弾性部材と係合する突起が形成されたことを要旨とする。
上記構成によれば、突起が弾性部材を径方向に圧縮した状態で係合しているため、係合部材を接着等により弾性部材に固定していなくても、中空シャフトの軸方向移動に伴って弾性部材がその軸方向に弾性変形するようになる。そのため、例えば係合部材を接着等により弾性部材に固定する場合に比べ、組み付け性の向上を図ることができる。
本発明によれば、コストの増大を抑制しつつ、ラトル音の発生を十分に抑制することのできる電動パワーステアリング装置を提供することができる。
以下、本発明を所謂ラックアシスト型の電動パワーステアリング装置(EPS)に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、EPS1は、ステアリング操作により回転するピニオン軸2と、同ピニオン軸2の回転に応じて軸方向に往復動することにより転舵輪(図示略)の舵角を変更するラック軸3とを備えている。
図1に示すように、EPS1は、ステアリング操作により回転するピニオン軸2と、同ピニオン軸2の回転に応じて軸方向に往復動することにより転舵輪(図示略)の舵角を変更するラック軸3とを備えている。
詳述すると、EPS1は、略円筒状のハウジング5を備えており、同ハウジング5内にラック軸3が貫設されている。なお、ハウジング5は、略円筒状に形成されたセンターハウジング6と、同センターハウジング6の両端に固定された第1及び第2サイドハウジング7,8とからなる。そして、ラック軸3は、第1サイドハウジング7に設けられたラックガイド9及び第2サイドハウジング8に設けられたすべり軸受(図示略)により、その軸方向に沿って往復動可能に支持されている。また、ハウジング5内には、ピニオン軸2がラック軸3と交差する状態で回転可能に支持されており、ラック軸3は、ラックガイド9に押圧されることにより同ピニオン軸2と噛合されている。なお、ピニオン軸2の一端には、ステアリングシャフトが連結されており、その先端にはステアリングホイール(ともに図示略)が固定されている。そして、ステアリング操作に伴いピニオン軸2が回転し、その回転がラック軸3の往復動に変換されることにより、転舵輪(図示略)の舵角、すなわち車両の進行方向が変更される。
また、EPS1は、その駆動源となるモータ11と、モータ11の回転をラック軸3の往復動に変換するボール螺子機構12を備えている。
モータ11は、センターハウジング6の内周に固定されるステータ14と、ステータ14の内側に回転可能に設けられるロータ15とを備えたブラシレスモータとして構成されている。ロータ15は、中空円筒状のモータシャフト16、及びモータシャフト16の外周に固定されるマグネット17を有しており、モータシャフト16の両端近傍に設けられた転がり軸受18,19によりハウジング5に対して回転可能に支持されている。そして、モータ11は、モータシャフト16内にラック軸3が挿通されることにより、同ラック軸3と同軸に配置されている。また、EPS1には、モータシャフト16の回転角を検出する回転角検出手段としてのレゾルバ21がモータ11と同軸に併置されている。レゾルバ21は、ハウジング5の内周に固定される円環状のセンサステータ22と、モータシャフト16に固定されるセンサロータ23とを備えたバリアブルリラクタンス型のレゾルバとして構成されている。そして、モータ11には、レゾルバ21により検出された回転角に応じて図示しない制御装置から駆動電流が供給される。
モータ11は、センターハウジング6の内周に固定されるステータ14と、ステータ14の内側に回転可能に設けられるロータ15とを備えたブラシレスモータとして構成されている。ロータ15は、中空円筒状のモータシャフト16、及びモータシャフト16の外周に固定されるマグネット17を有しており、モータシャフト16の両端近傍に設けられた転がり軸受18,19によりハウジング5に対して回転可能に支持されている。そして、モータ11は、モータシャフト16内にラック軸3が挿通されることにより、同ラック軸3と同軸に配置されている。また、EPS1には、モータシャフト16の回転角を検出する回転角検出手段としてのレゾルバ21がモータ11と同軸に併置されている。レゾルバ21は、ハウジング5の内周に固定される円環状のセンサステータ22と、モータシャフト16に固定されるセンサロータ23とを備えたバリアブルリラクタンス型のレゾルバとして構成されている。そして、モータ11には、レゾルバ21により検出された回転角に応じて図示しない制御装置から駆動電流が供給される。
ボール螺子機構12は、ラック軸3に形成された螺子部25、モータシャフト16の内周に固定されたボール螺子ナット26、及びこれら螺子部25とボール螺子ナット26との間に介在された複数のボール27により構成されている。
具体的には、ボール螺子ナット26は略円筒状に形成されており、同ボール螺子ナット26の内周及び螺子部25の外周には、それぞれ螺子溝が螺刻されている。各ボール27は、これら対向する各螺子溝により形成された螺旋状の転動路内に転動可能に配設されており、螺子部25及びボール螺子ナット26は、これら各ボール27を介して螺合されている。これにより、各ボール27は、ラック軸3とボール螺子ナット26(モータシャフト16)との間の相対回転に伴い、その負荷を受けつつ転動路内を転動する。そして、各ボール27の転動によってラック軸3とボール螺子ナット26との軸方向の相対位置が変位することにより、モータシャフト16の回転がラック軸3の往復動に変換され、操舵系にアシスト力が付与されるようになっている。すなわち、本実施形態では、モータシャフト16が中空シャフトに相当する。
次に、モータシャフトにおける第1サイドハウジング側の支持構造について説明する。
図2に示すように、モータシャフト16を支持する転がり軸受18には、単列アンギュラ型のボール軸受が採用されている。そして、転がり軸受18には、モータシャフト16をハウジング5に対して回転可能に支持した状態で、内部隙間が存在する設計となっている。具体的には、モータシャフト16における第1サイドハウジング7側の端部には、その外径が転がり軸受18の内輪18aの内径と略等しく形成された圧入部31が形成されている。圧入部31の外周には螺子山を有する螺合部31aが形成されている。そして、モータシャフト16は、その圧入部31が転がり軸受18の内輪18aに圧入され、螺合部31aに螺合されたナット32にて締め付けられることにより同内輪18aに固定されている。
図2に示すように、モータシャフト16を支持する転がり軸受18には、単列アンギュラ型のボール軸受が採用されている。そして、転がり軸受18には、モータシャフト16をハウジング5に対して回転可能に支持した状態で、内部隙間が存在する設計となっている。具体的には、モータシャフト16における第1サイドハウジング7側の端部には、その外径が転がり軸受18の内輪18aの内径と略等しく形成された圧入部31が形成されている。圧入部31の外周には螺子山を有する螺合部31aが形成されている。そして、モータシャフト16は、その圧入部31が転がり軸受18の内輪18aに圧入され、螺合部31aに螺合されたナット32にて締め付けられることにより同内輪18aに固定されている。
一方、第1サイドハウジング7の内周には、その内径が転がり軸受18の外輪18bの外径と略等しく設定された環状の嵌合凹部33が形成されている。嵌合凹部33の内周には、螺子山を有する螺合部33aが形成されている。そして、転がり軸受18は、その外輪18bが嵌合凹部33に嵌合されるとともに、螺合部33aに螺合された固定部材としてのナット34に締め付けられることにより、第1サイドハウジング7に固定されている。つまり、転がり軸受18は、モータシャフト16及び第1サイドハウジング7(ハウジング5)の双方に対して剛的に支持されている。
(ラトル音抑制構造)
次に、本実施形態のEPSにおける転がり軸受の内部隙間に起因したラトル音の発生を抑制するための構造について説明する。
次に、本実施形態のEPSにおける転がり軸受の内部隙間に起因したラトル音の発生を抑制するための構造について説明する。
上述のように、転がり軸受18に内部隙間が存在する場合には、例えば縁石衝突により転舵輪に逆入力応力が印加されてラック軸3とともにモータシャフト16が軸方向移動し、その衝撃力が転がり軸受18に作用することでラトル音が発生する虞がある。
この点を踏まえ、EPS1は、モータシャフト16とハウジング5との間に設けられ、モータシャフト16のハウジング5に対する軸方向への相対移動に基づき、モータシャフト16の軸方向移動を抑制する減衰力を発生する減衰手段としての減衰機構41を備えている。
詳述すると、減衰機構41は、第1サイドハウジング7に対してモータシャフト16の軸方向への移動が拘束された状態で設けられる弾性部材42と、モータシャフト16に対して相対回転可能且つその軸方向への移動が拘束された状態で弾性部材42と径方向に対向して設けられるとともに、同弾性部材42と係合する係合部材43とを備えている。
弾性部材42は、低反発性のゴム材料により構成されるとともに、モータシャフト16の周方向に延びる略円環状に形成されている。弾性部材42の外周面には、略円環状に形成されたスペーサ45が固定されている。なお、スペーサ45は、剛性材料により構成されている。そして、弾性部材42は、スペーサ45が転がり軸受18の外輪18bとナット34との間に挟持されることにより、第1サイドハウジング7に対して軸方向への移動が拘束された状態で固定されている。なお、スペーサ45におけるナット34側の端部には、径方向内側に延出されたフランジ部45aが形成されており、同フランジ部45aがナット34の端面に当接している。
係合部材43は、剛性材料により構成されるとともに、モータシャフト16の周方向に延びる略円環状に形成されている。係合部材43の内周面には、略半円球状の収容凹部46が周方向に等角度間隔で複数形成されている。一方、モータシャフト16の外周面における弾性部材42と径方向に対向する位置には、その周方向に延びる環状の転動溝47が形成されている。なお、モータシャフト16の転動溝47は、断面三角形状に形成されている。そして、係合部材43は、各収容凹部46と転動溝47との間にボール48を介してモータシャフト16の外周に嵌合されることにより、同モータシャフト16に対して相対回転可能且つその軸方向への移動が拘束された状態で設けられている。詳しくは、収容凹部46及び転動溝47は、ボール48に対してモータシャフト16の軸方向両側からそれぞれ2点で接触することにより、係合部材43がモータシャフト16に対してその軸方向に相対移動することが拘束されている。
また、係合部材43には、モータシャフト16の周方向に延びる環状の突起49が形成されている。突起49は、その外径が弾性部材42の内径よりも大きく形成されており、弾性部材42を径方向に弾性変形させた状態で同弾性部材42と係合している。つまり、係合部材43は、突起49の一部が弾性部材42に食い込んだ状態でモータシャフト16の外周に配置されている。
このように構成されたEPS1では、逆入力応力が印加されると、モータシャフト16はラック軸3とともに軸方向移動しようとし、転がり軸受18の内部隙間の範囲でハウジング5に対して軸方向に相対移動する。このとき、係合部材43は、モータシャフト16と一体で軸方向に移動し、同モータシャフト16のハウジング5に対する相対移動に基づいてその突起49が弾性部材42を軸方向に弾性変形させる。そして、弾性部材42で発生した弾性力が係合部材43を介してモータシャフト16に作用し、同モータシャフト16のハウジング5に対する軸方向移動が抑制されることにより、転がり軸受18に作用する衝撃力が緩和される。なお、転がり軸受18を介してハウジング5に伝達される衝撃力も緩和される。また、上記のように転がり軸受18は、モータシャフト16及び第1サイドハウジング7に対して剛的に支持されているため、モータシャフト16は、転がり軸受18の内部隙間の範囲を超えて軸方向に移動しないようになっている。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)EPS1は、モータシャフト16とハウジング5との間に設けられ、モータシャフト16のハウジング5に対する軸方向への相対移動に基づき、モータシャフト16の軸方向移動を抑制する減衰力を発生する減衰機構41を備えた。
(1)EPS1は、モータシャフト16とハウジング5との間に設けられ、モータシャフト16のハウジング5に対する軸方向への相対移動に基づき、モータシャフト16の軸方向移動を抑制する減衰力を発生する減衰機構41を備えた。
上記構成によれば、減衰機構41は、モータシャフト16のハウジング5に対する軸方向への相対移動に基づいて減衰力を発生させるため、モータシャフト16が転がり軸受18の内部隙間の範囲でその内輪18aと一体で移動する状態でも、同転がり軸受18に作用する衝撃力を緩和することができ、ラトル音の発生を抑制することができる。従って、転がり軸受18の内部隙間をなくす設計とせずともよく、コストの増大を抑制しつつ、ラトル音の発生を十分に抑制することができる。
(2)減衰機構41は、ハウジング5に対して軸方向への移動が拘束された状態で設けられ、ゴム材料からなる弾性部材42と、モータシャフト16に対して相対回転可能且つその軸方向への移動が拘束された状態で弾性部材42と径方向に対向して設けられる係合部材43とを備えた。そして、係合部材43に、弾性部材42を径方向に圧縮させた状態で同弾性部材42と係合する突起49を形成した。
上記構成によれば、係合部材43が弾性部材42を軸方向に弾性変形させることで発生する弾性力が減衰力としてモータシャフト16に作用する。そのため、例えばモータシャフト16の軸方向移動に伴ってハウジング5との間で摩擦力を発生させ、この摩擦力を減衰力としてモータシャフト16に作用させる場合に比べ、異音(摺動音)の発生を抑制することができる。また、突起49が弾性部材42を径方向に圧縮した状態で係合しているのみであるため、例えば係合部材43を接着等により弾性部材42に固定する場合に比べ、組み付け性の向上を図ることができる。
(3)減衰機構41は、弾性部材42が固定されるスペーサ45を備え、転がり軸受18とナット34との間にスペーサ45を挟持することにより、弾性部材42がハウジング5に対して軸方向への移動が拘束された状態で設けられるようにしたため、部品点数を増やすことなく容易に弾性部材42を固定することができる。
(4)EPS1は、ハウジング5に固定されたセンサステータ22と、モータシャフト16に固定されたセンサロータ23とからなり、同モータシャフト16の回転角を検出するためのレゾルバ21を備えた。そして、転がり軸受18をハウジング5及びモータシャフト16の双方に対して剛的に支持した。
上記構成によれば、転がり軸受18が剛的に支持されるため、同転がり軸受18がモータシャフト16又はハウジング5に対して軸方向に弾性的に支持される構成(例えば、特許文献2参照)と異なり、モータシャフト16が転がり軸受18の内部隙間の範囲を超えて軸方向に相対移動することが防止される。そのため、センサロータ23のセンサステータ22に対する軸方向位置が大きくずれず、モータシャフト16の回転角が誤検出されることを防止でき、モータ11を安定して駆動することができる。
ここで、例えば転がり軸受18をモータシャフト16及びハウジング5の双方に剛的に支持するとともに転がり軸受18の内部隙間をなくす設計とした場合、アシスト力が付与されない微小な操舵範囲では、操舵開始時(ラック軸の移動開始時)に、ラック軸3を軸方向移動させることによりモータシャフト16を回転させなければならない。つまり、操舵開始時に大きな操舵力が必要となり、これが引っ掛かり感となることで微小な操舵をしづらくなる虞がある。この点、上記構成では、内部隙間の範囲でモータシャフト16が軸方向移動可能であるため、同内部隙間の範囲でラック軸3を軸方向に移動させ易くなり、操舵開始時の引っ掛かり感を低減できる。つまり、本実施形態では、モータシャフト16の大きな移動を規制しつつ、操舵開始時の操舵フィーリングの向上を図ることができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記実施形態では、弾性部材42をスペーサ45に固定し、同スペーサ45を転がり軸受18とナット34との間に挟持することにより、同弾性部材42をハウジング5に対して固定したが、これに限らず、弾性部材42を転がり軸受18とナット34との間以外の位置に固定してもよい。
・上記実施形態では、弾性部材42をスペーサ45に固定し、同スペーサ45を転がり軸受18とナット34との間に挟持することにより、同弾性部材42をハウジング5に対して固定したが、これに限らず、弾性部材42を転がり軸受18とナット34との間以外の位置に固定してもよい。
・上記実施形態では、弾性部材42をハウジング5に固定し、係合部材43をモータシャフト16に対して相対回転可能に設けたが、これに限らず、例えば係合部材43をハウジング5に固定し、弾性部材42をモータシャフト16に対して相対回転可能且つその軸方向への移動が拘束された状態で設けてもよい。
・上記実施形態では、弾性部材42及び係合部材43をモータシャフト16に対して相対回転可能に設けた。しかし、これに限らず、例えばハウジング5の内周にボールを介して係合部材43を回転可能に設けるとともにモータシャフト16の外周に弾性部材42を固定する等、弾性部材42及び係合部材43をハウジング5に対して相対回転可能に設けてもよい。
・上記実施形態では、モータシャフト16の外周面に環状の転動溝47を形成し、係合部材43の内周面に略半円球状の収容凹部46を形成したが、これに限らず、例えばモータシャフト16の外周面に収容凹部を形成し、係合部材43の内周面に環状の転動溝を形成してもよい。また、例えばモータシャフト16の外周面及び係合部材43の内周面にそれぞれ環状の転動溝を形成し、隣接するボール48間の間隔を保つリテーナを設けてもよい。
・上記実施形態では、係合部材43を、各収容凹部46と転動溝47との間にボール48を介してモータシャフト16の外周に嵌合されることにより、同モータ11に対して相対回転可能且つその軸方向への移動が拘束されるように設けた。しかし、これに限らず、例えば図3(a)に示すように、係合部材43の内周面に径方向内側に突出する摺動部51を形成し、同摺動部51を転動溝47に対して相対回転可能且つ軸方向への移動が拘束されるように接触させる構成としてもよい。
・上記実施形態では、係合部材43を円環状に形成したが、これに限らず、例えば円弧状に形成し、複数の係合部材43をモータシャフト16の外周に等角度間隔で配置するようにしてもよい。
・上記実施形態では、突起49を環状に形成したが、これに限らず、弾性部材42を径方向に圧縮させた状態で同弾性部材42と係合できれば、例えば径方向外側に突出する棒状等、他の形状にしてもよい。
・上記実施形態では、突起49が弾性部材42を径方向に圧縮させた状態で同弾性部材42と係合部材43とが係合するようにしたが、これに限らず、モータシャフト16の軸方向移動に伴って弾性部材42が弾性変形すればよく、例えば係合部材43を接着等により弾性部材42に固定するようにしてもよい。
・上記実施形態では、弾性部材42をゴム材料により構成したが、これに限らず、例えば弾性部材42をモータシャフト16の軸方向に圧縮可能なコイルバネ等のバネ部材により構成してもよい。
・上記実施形態では、弾性部材42の弾性力により、モータシャフト16の軸方向移動を抑制するようにしたが、これに限らず、摩擦力によりモータシャフト16の軸方向移動を抑制するようにしてもよい。例えば図3(b)に示すように、弾性部材42を設けず、突起49の外周縁を同スペーサ45の内周面に摺接させることにより、モータシャフト16のハウジング5に対する軸方向への相対移動に基づいて、突起49とスペーサ45との間で発生する摩擦力が減衰力としてモータシャフト16に作用するようにしてもよい。また、突起49の外周縁をハウジング5の内周面に直接摺接させる構成としてもよい。
・上記実施形態では、転がり軸受18をモータシャフト16及びハウジング5の双方に対して剛的に支持したが、これに限らず、例えば転がり軸受18の両端にバネ部材を設け、転がり軸受18をモータシャフト16又はハウジング5に対して軸方向に弾性的に支持するようにしてもよい。
・上記実施形態では、本発明を、中空シャフトとしてのモータシャフト16がラック軸3と同軸に配置された同軸ラックアシスト型のEPS1に具体化した。しかし、これに限らず、所謂ラッククロス型やラックパラレル型等、ハウジング外部に設けられたモータにより、ラック軸の挿通された中空シャフトを駆動する形式のEPSに具体化してもよい。
・上記実施形態では、本発明を、中空シャフトとしてのモータシャフト16がラック軸3と同軸に配置された同軸ラックアシスト型のEPS1に具体化した。しかし、これに限らず、所謂ラッククロス型やラックパラレル型等、ハウジング外部に設けられたモータにより、ラック軸の挿通された中空シャフトを駆動する形式のEPSに具体化してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)請求項2又は3に記載の電動パワーステアリング装置において、前記減衰手段は、剛性材料からなり、前記弾性部材が固定されるスペーサを備え、前記弾性部材は、前記転がり軸受と該転がり軸受を前記中空シャフト及び前記ハウジングのいずれか一方に固定するための固定部材との間に前記スペーサが挟持されることにより、該いずれか一方に対して軸方向への移動が拘束された状態で設けられることを特徴とする電動パワーステアリング装置。上記構成によれば、弾性部材が転がり軸受を固定するための固定部材により中空シャフト及びハウジングのいずれか一方に対して固定されるため、部品点数を増やすことなく容易に弾性部材を固定することができる。
(イ)請求項2又は3に記載の電動パワーステアリング装置において、前記減衰手段は、剛性材料からなり、前記弾性部材が固定されるスペーサを備え、前記弾性部材は、前記転がり軸受と該転がり軸受を前記中空シャフト及び前記ハウジングのいずれか一方に固定するための固定部材との間に前記スペーサが挟持されることにより、該いずれか一方に対して軸方向への移動が拘束された状態で設けられることを特徴とする電動パワーステアリング装置。上記構成によれば、弾性部材が転がり軸受を固定するための固定部材により中空シャフト及びハウジングのいずれか一方に対して固定されるため、部品点数を増やすことなく容易に弾性部材を固定することができる。
(ロ)請求項1〜3、上記(イ)のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、前記中空シャフトは、前記ラック軸と同軸配置されたモータのモータシャフトであり、前記モータシャフトには、該モータシャフトの回転角を検出するための回転角検出手段が設けられるものであって、前記転がり軸受は、前記中空シャフト及び前記ハウジングの双方に対して剛的に支持されたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。上記構成によれば、転がり軸受が剛的に支持されるため、転がり軸受がモータシャフト又はハウジングに対して軸方向に弾性的に支持される構成(例えば、特許文献2参照)と異なり、中空シャフトが転がり軸受の内部隙間の範囲を超えて軸方向に相対移動することが防止される。そのため、回転角検出手段の軸方向位置が大きくずれず、モータシャフトの回転角が誤検出されることを防止できる。また、転がり軸受を中空シャフト及びハウジングに対して剛的に支持しても、内部隙間の範囲において、ラック軸はモータシャフトを回転させることなく軸方向に移動可能となるため、操舵開始時の引っ掛かり感を低減して操舵フィーリングの向上を図ることができる。
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、2…ピニオン軸、3…ラック軸、5…ハウジング、6…センターハウジング、7…第1サイドハウジング、8…第2サイドハウジング、11…モータ、12…ボール螺子機構、16…モータシャフト、18,19…転がり軸受、18a…内輪、18b…外輪、21…レゾルバ、31…圧入部、32,34…ナット、33…嵌合凹部、41…減衰機構、42…弾性部材、43…係合部材、45…スペーサ、46…収容凹部、47…転動溝、48…ボール、49…突起、51…摺動部。
Claims (3)
- 軸方向に往復動可能に支持されたラック軸と、前記ラック軸が挿通されるとともにモータ駆動により回転する中空シャフトと、前記ラック軸が収容されるハウジングに対して前記中空シャフトを回転可能に支持する転がり軸受とを備え、前記中空シャフトの回転を前記ラック軸の往復動に変換することにより操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する電動パワーステアリング装置において、
前記中空シャフトと前記ハウジングとの間に設けられ、前記中空シャフトの前記ハウジングに対する軸方向への相対移動に基づき、前記中空シャフトの軸方向移動を抑制する減衰力を発生する減衰手段を備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記減衰手段は、
前記中空シャフト及び前記ハウジングのいずれか一方に対して軸方向への移動が拘束された状態で設けられる弾性部材と、
いずれか他方に対して軸方向への移動が拘束された状態で前記弾性部材と径方向に対向して設けられるとともに該弾性部材と係合し、前記中空シャフトの前記ハウジングに対する軸方向への相対移動に基づいて前記弾性部材を軸方向に弾性変形させる係合部材とを備え、
前記弾性部材及び前記係合部材は、前記中空シャフト又は前記ハウジングに対して相対回転可能に設けられることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記係合部材には、前記弾性部材を径方向に圧縮させた状態で該弾性部材と係合する突起が形成されたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011029977A JP2012166718A (ja) | 2011-02-15 | 2011-02-15 | 電動パワーステアリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011029977A JP2012166718A (ja) | 2011-02-15 | 2011-02-15 | 電動パワーステアリング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012166718A true JP2012166718A (ja) | 2012-09-06 |
Family
ID=46971296
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011029977A Withdrawn JP2012166718A (ja) | 2011-02-15 | 2011-02-15 | 電動パワーステアリング装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2012166718A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014227047A (ja) * | 2013-05-22 | 2014-12-08 | 株式会社ジェイテクト | 電動パワーステアリング装置 |
US10787195B2 (en) | 2013-05-22 | 2020-09-29 | Jtekt Corporation | Electric power steering system |
-
2011
- 2011-02-15 JP JP2011029977A patent/JP2012166718A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014227047A (ja) * | 2013-05-22 | 2014-12-08 | 株式会社ジェイテクト | 電動パワーステアリング装置 |
US10787195B2 (en) | 2013-05-22 | 2020-09-29 | Jtekt Corporation | Electric power steering system |
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