以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1には本第1実施形態に係る画像形成装置10が示されている。画像形成装置10には装置制御部12が設けられている。装置制御部12はマイクロコンピュータを含んで構成され、CPU14、メモリ16、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成り画像形成装置10の各部の動作を制御するための装置制御プログラム(図示省略)を記憶する不揮発性の記憶部18、及び、通信回線46を介してホストPC48に接続された通信I/F(インタフェース)部20を備えている。装置制御部12は用紙上に形成すべき原稿のデータ(例えばページ記述言語で記述されたデータ)をホストPC48から通信回線46を介して受信する。
なお、上記の装置制御プログラムには、後述する印刷制御処理を行うための印刷制御プログラムが含まれている。印刷制御プログラムは本発明に係る画像処理プログラムの一例であり、装置制御部12は、CPU14が印刷制御プログラムを実行することで、本発明に係る画像処理装置の一例として機能する。また記憶部18には、過去に演算された使用色材量の予測値(詳細は後述)を記憶するための使用色材量DB(データベース)が記憶されている。
また装置制御部12には画像処理回路22及びデータ出力回路24が設けられている。画像処理回路22は、画像メモリ28に記憶された原稿のデータに対して予め設定された画像処理(例えばビットマップ形式のデータへ展開する展開処理、ガンマ補正等)を行うことで、画像形成部32へ出力するための印刷用画像データを生成して画像メモリ28に再度格納する処理を行う。なお、画像処理回路22における画像処理は、当該画像処理によって生成された印刷用画像データが装置制御部12から画像形成部32へ出力されるよりも前で、かつ装置制御部12から画像形成部32への印刷用画像データの出力と非同期のタイミングで実行される。また、データ出力回路24は、画像形成部32における画像形成と同期したタイミングで、画像メモリ28に記憶された印刷用画像データに対して画像処理(例えば色空間変換やスクリーン処理等)を行った後に、装置制御部12から画像形成部32へ出力する処理を行う。
また、画像形成装置10には原稿読取部26、画像メモリ28、操作パネル30及び画像形成部32が設けられており、これらは装置制御部12に各々接続されている。原稿読取部26はセットされた原稿の画像を読み取り、この読み取りによって得られた画像データを装置制御部12へ出力する。画像メモリ28には、装置制御部12がホストPC48から受信した原稿のデータや、原稿読取部26から装置制御部12に入力された画像データ、画像処理回路22によって生成された印刷用画像データが記憶される。操作パネル30は、LCD等から成り各種情報を表示する表示部30Aと、複数のキーを備え利用者による情報入力操作を受け付ける操作受付部30Bを含んで構成されており、表示部30Aへの情報表示は装置制御部12によって制御され、利用者によって入力されて操作受付部30Bによって受け付けられた情報は装置制御部12に入力される。
また画像形成部32は、装置制御部12から入力された印刷用画像データが表す画像を、色材としてのトナーを用いて電子写真方式により形成し、用紙上に転写・定着させる構成であり、画像形成ユニット34、走査露光部36、用紙供給部38、定着部40、トナー補給部42及び色材量計数部44が設けられている。画像形成ユニット34は感光体を備えており、感光体の周囲に、感光体を帯電させる帯電部、感光体上に形成された静電潜像をトナーによって現像してトナー像を形成させる現像器、感光体上に形成されたトナー像を用紙へ転写する転写部、及び、感光体上を除電及び清掃する除電清掃部が順に設けられて構成されている。
なお、より詳しくは、装置制御部12から画像形成部32へはC,M,Y,K各色の印刷用画像データが入力され、画像形成部32は、C,M,Y,K各色の印刷用画像データが表すC,M,Y,K各色の画像を、色材としてのC,M,Y,K各色のトナーを用いて電子写真方式により各々形成すると共に、形成したC,M,Y,K各色の画像を重ね合わせた画像を形成する。このように、C,M,Y,K各色の画像を重ね合わせた画像を形成することは、画像形成ユニット34をC,M,Y,K各色に対応して4個設け、各画像形成ユニット34で形成したC,M,Y,K各色の画像を重ね合わせるか、或いは、C,M,Y,K各色の現像器を備えた1個の画像形成ユニット34でC,M,Y,K各色の画像を順次形成して重ね合わせることで実現される。
また、走査露光部36は半導体レーザやLED等から成る露光光源を備え、露光光源から射出される露光光を、装置制御部12から入力された印刷用画像データに応じて変調し、画像形成ユニット34の感光体上に照射させることで、感光体上に静電潜像を形成させる。なお、C,M,Y,K各色に対応して画像形成ユニット34が4個設けられている場合、走査露光部36としては、C,M,Y,K各色に対応する4個の露光光源を備え、個々の露光光源から射出される露光光を、互いに異なる色の印刷用画像データに応じて変調し、互いに異なる画像形成ユニット34の感光体上に照射させる構成が採用される。また、画像形成ユニット34が1個のみ設けられている場合、走査露光部36としては、単一の露光光源から射出される露光光をC,M,Y,K各色の印刷用画像データに応じて順に変調し、画像形成ユニット34の感光体上に照射させる構成が採用される。
用紙供給部38は、用紙装填部に装填された用紙を引き出して画像形成ユニット34の転写部へ搬送する。定着部40は、定着器、定着器の温度を検出する温度センサ、ヒータ等から成り定着器を加熱する加熱部、温度センサによって検出された温度とC,M,Y,K各色毎の使用色材量の予測値に基づいて、加熱部による定着器の加熱を制御する制御部を備えており、画像形成ユニット34の転写部によってトナー像が転写された用紙を加熱し、トナーを溶融させることで用紙上に画像を定着させる。またトナー補給部42は、画像形成ユニット34の現像器内に貯留されている現像剤のトナー濃度が予め設定された範囲内となるように、C,M,Y,K各色毎の使用色材量の予測値(後述)に基づいて、トナー貯留部に貯留されているトナーを現像器内へ補給する。
色材量計数部44は、装置制御部12から入力された印刷用画像データに基づき、画像形成部32による画像形成での使用色材量の予測値(使用トナー量の予測値)として、印刷用画像データが表す画像の各画素毎の濃度値を、頁毎かつC,M,Y,K各色毎に積算する処理を行う。なお、色材量計数部44は請求項1等に記載の演算手段の一例である。
次に本実施形態の作用を説明する。電子写真方式で画像を形成するにあたり、用紙に転写した画像(トナー像)を溶融定着させるために必要なエネルギーは、用紙に画像として付着しているトナーの量が増加するに従って増大する。従来、画像形成装置の定着器の目標温度としては、実際に定着を行う画像におけるトナーの量に拘わらず、全画素が最大濃度のベタ画像(付着トナー量が最大の画像)であってもトナーの溶融定着が可能な温度が固定的に設定されていたが、画像形成装置に対する消費電力量低減のニーズの高まりに伴い、実際に定着を行う画像のトナー量を事前に検知し、検知したトナー量に応じて定着器の目標温度を変化させる制御を行うことが検討されている。
画像形成での使用トナー量を事前に検知する技術として、特許文献1には、記録画像の展開処理前にレイアウト情報を解析し、レイアウト情報に基づいて配置されるオブジェクト情報の記録面積を算出し、算出した記録面積に基づいて記録剤の使用量を予測する技術が提案されている。この技術では、簡易な処理で記録剤の使用量を画像形成前に算出できるものの、この技術で演算される記録剤の使用量は概算値であり、定着温度の制御等に用いるには精度が不十分である。
また、特許文献2には、RGBグラフィックデータに基づき、ホストコンピュータ上で動作するプリンタドライバは、CMYKへの色変換や圧縮処理を行って画像データを作成すると共に、各トナードット毎の階調値及びその出現個数の情報からドットカウントデータを作成し、これらのデータを受信したプリンタは、画像データを伸長処理しビットマップデータを復元して画像を形成すると共に、ドットカウントデータに基づきトナーカウンタがトナー消費量を算出する技術が提案されている。この技術は、画像形成前にトナー消費量を高精度に算出できるものの、原稿の印刷を指示する度にホストコンピュータに多大な負荷が掛かり、ホストコンピュータで処理遅延が発生する恐れがある。
なお、画像形成での使用トナー量の検知結果は、現像器へのトナーの補給におけるトナー補給量の演算等にも用いられる。例えば特許文献3には、ビデオカウント数に基づいて算出した現像剤消費量の積算値が補給閾値を超えるたびに現像剤補給装置によって現像剤の補給動作を行わせると共に、現像剤量検知装置により検知した現像装置内の現像剤量に基づいて補給閾値を補正する技術が開示されている。しかし、上記技術は現像剤消費量の積算を画像形成と並列に行うものであり、現像剤消費量の積算が完了するのは画像形成も完了した時点であり、現像剤消費量の積算結果を定着温度の制御に用いることはタイミング的に不可能である。
このため、本実施形態では、以下で説明するように、原稿の印刷が指示されて画像形成が行われる際に、画像形成部32の色材量計数部44で演算された使用色材量の予測値を使用色材量DBに記憶しておき、同一の原稿の再印刷が指示された場合に、色材量計数部44で使用色材量の予測値の演算を行わせることなく、使用色材量DBに記憶されている使用色材量を読み出して画像形成部32へ出力している。
以下、画像形成装置10に対して利用者から原稿の印刷が指示された場合に、装置制御部12のCPU14が印刷制御プログラムを実行することで実現される印刷制御処理について、図2を参照して説明する。
印刷制御処理では、まずステップ100において、今回の印刷指示がホストPC48から印刷対象の原稿のデータ及び印刷条件を表す印刷条件情報を受信することによって成されたか否か判定する。なお、本実施形態における印刷条件には、1頁当り複数の画像を縮小配置する複数画像配置モードの適用の有無、複数画像配置モードにおける1頁当りの配置画像数N、印刷倍率、モノクロ画像へ変換して印刷するモノクロ変換モードの適用の有無、画像中のK色の線の太さを予め設定された最小太さ以上に維持する細線補正処理の適用の有無、画像中の一定面積以上のK色領域に対し、エッジ部以外の部分のK色のトナーの使用量を低下させる使用色材量抑制モードの適用の有無、等の条件が含まれている。
詳細は後述するが、本実施形態に係る画像形成装置10は、利用者が操作パネル30を操作することで、ホストPC48から受信したデータに基づき用紙への印刷を一旦行った原稿について、印刷条件の変更等を行って再印刷を指示することも可能とされている。このように、操作パネル30を介して原稿の再印刷が指示された場合はステップ100の判定が否定されるが、ホストPC48から印刷対象の原稿のデータを受信することで今回の印刷指示が成された場合には、ステップ100の判定が肯定されてステップ102へ移行し、ホストPC48から受信されて画像メモリ28に格納されている印刷対象の原稿のデータに対し、予め設定された画像処理を行って印刷用画像データを生成するよう画像処理回路22へ指示する。これにより、画像メモリ28に記憶されている原稿のデータに対し、画像処理回路22により、前述の展開処理や色空間変換等の画像処理を行って印刷用画像データを生成し、生成した印刷用画像データを画像メモリ28に再度格納する処理が行われる。
ステップ104では、ホストPC48から今回受信した印刷対象の原稿のデータのファイル名及び更新日時をキーにして使用色材量DBを検索し、次のステップ106では、ステップ104の検索によって該当するデータ(色材使用量の予測値)が抽出されたか否か判定する。後述のように、画像形成部32で用紙への印刷が行われた原稿については、画像形成部32の色材量計数部44によって演算された使用色材量の予測値が、印刷対象の原稿のデータのファイル名及び更新日時等の情報を対応付けて登録される。このため、今回の印刷指示でホストPC48からデータを受信した印刷対象の原稿が、過去に用紙への印刷が行われていない原稿であれば、ステップ106の判定が否定されてステップ108へ移行し、画像処理回路22によって生成されて画像メモリ28に格納された印刷用画像データをデータ出力回路24によって画像形成部32へ出力させると共に、画像形成部32に対して使用色材量の予測値の演算を指示する。
これにより、画像形成部32では、まず色材量計数部44により、装置制御部12から入力された印刷用画像データが表す画像の各画素毎の濃度値を頁毎かつC,M,Y,K各色毎に積算し、使用色材量の予測値を頁毎かつC,M,Y,K各色毎に演算する処理が行われる。続いて、色材量計数部44によって演算された使用色材量の予測値は定着部40及びトナー補給部42へ各々通知され、定着部40では、色材量計数部44から通知された頁毎かつC,M,Y,K各色毎の使用色材量の予測値に基づいて定着器の目標温度を頁単位で決定し、定着器の温度が1頁目の画像に対する目標温度に達するように定着器の加熱を開始する。画像形成ユニット34及び走査露光部36による画像形成は、1頁目の画像が形成された用紙が定着器が設けられた位置に到達する迄に、定着器の温度が1頁目の目標温度に達するタイミングで開始される。また、トナー補給部42では、C,M,Y,K各色の現像器内のトナー濃度が予め設定された範囲内に収まるように、色材量計数部44から通知された頁毎かつC,M,Y,K各色毎の使用色材量の予測値に応じて、C,M,Y,K各色の現像器内へ対応する色のトナーを補給する処理が行われる。
また、色材量計数部44によって頁毎かつC,M,Y,K各色毎に演算された使用色材量の予測値は画像形成部32から装置制御部12へ送信され、次のステップ110では、この使用色材量の予測値を画像形成部32から受信する。そしてステップ112では、ステップ112で受信した頁毎かつC,M,Y,K各色毎の使用色材量の予測値を、印刷対象の原稿のデータのファイル名、更新日時、印刷対象の原稿のデータ、印刷日時、今回の印刷指示で指定された印刷条件を表す印刷条件情報と対応付けて使用色材量DBに登録し、印刷制御処理を終了する。なお、上記のステップ112は本発明に係る書込手段(より詳しくは請求項2〜4に記載の書込手段)による処理の一例である。
また、今回の印刷指示でホストPC48からデータを受信した印刷対象の原稿が、過去に用紙への印刷が行われた原稿であれば、ステップ104の検索で該当するデータ(色材使用量の予測値)が抽出されることで、ステップ106の判定が否定されてステップ114へ移行し、印刷対象の原稿のデータのファイル名及び更新日時と対応付けて使用色材量DBに登録された使用色材量の予測値及び印刷条件情報を読み出し、ステップ126へ移行する。
一方、利用者によって操作パネル30が操作され、過去に印刷が行われた原稿の再印刷が指示された場合には、ステップ100の判定が否定されてステップ116へ移行し、使用色材量DBに使用色材量の予測値と対応付けて登録されている原稿のデータのファイル名、更新日時及び印刷日時を全て読み出し、操作パネル30の表示部30Aに一覧表示させる(一例を図3に示す)。次のステップ118では、表示部30Aに一覧表示させた原稿のうちの何れかが利用者によって印刷対象として選択されたか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ118を繰り返す。
前述のように、個々の原稿毎にファイル名、更新日時及び印刷日時を表示部30Aに各々表示させることで、利用者は、再印刷を所望している原稿を容易に特定することができ、再印刷を所望している原稿を選択する操作を容易に行うことができる。再印刷対象の原稿を選択する操作が利用者によって行われると、ステップ118の判定が肯定されてステップ120へ移行し、印刷条件設定画面を表示部30Aに表示させることで、原稿の再印刷における印刷条件を利用者に設定させる。次のステップ122では利用者による印刷条件の設定が完了したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ122を繰り返す。
利用者による印刷条件の設定が完了すると、ステップ122の判定が肯定されてステップ124へ移行し、利用者によって選択された原稿のデータ、使用色材量の予測値及び印刷条件情報を使用色材量DBから各々読み出し、このうち読み出した原稿のデータを画像処理回路22に与え、予め設定された画像処理を行って印刷用画像データを生成するよう画像処理回路22へ指示した後に、ステップ126へ移行する。これにより、原稿のデータに対して画像処理を行って印刷用画像データを生成し、生成した印刷用画像データを画像メモリ28に格納する処理が画像処理回路22によって行われる。
ステップ126では、今回の印刷における印刷条件(ホストPC48から受信した印刷条件情報が表す印刷条件又は利用者が操作パネル30を介して設定した印刷条件)を、同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件(使用色材量DBから読み出した印刷条件情報が表す印刷条件)と比較し、両者の印刷条件が一致しているか否か判定する。この判定が肯定された場合、使用色材量DBから読み出した使用色材量の予測値(同一の原稿の印刷が過去に行われた際に演算された使用色材量の予測値)は、補正することなく今回の印刷でも使用可能であるので、ステップ126〜ステップ132へ移行し、使用色材量DBから読み出した使用色材量の予測値(頁毎かつC,M,Y,K各色毎の使用色材量の予測値)を、データ出力回路24によってそのまま画像形成部32へ通知させる。
なお、ステップ132は、先に説明したステップ100,104,106,114,116〜122と共に、本発明に係る出力手段(より詳しくは請求項2,3に記載の出力手段)による処理の一例である。
そしてステップ134では、画像処理回路22によって生成されて画像メモリ28に格納された印刷用画像データをデータ出力回路24によって画像形成部32へ出力させ、印刷制御処理を終了する。なお、この場合は先のステップ132で使用色材量の予測値を既に画像形成部32へ通知しているので、画像形成部32に対する使用色材量の予測値の演算は指示されない。
このように、今回の印刷指示における印刷対象の原稿が、過去に用紙への印刷が行われた原稿であった場合には、画像形成部32へ印刷用画像データが出力される前に使用色材量の予測値が通知されるので、画像形成部32の定着部40は、装置制御部12から通知された使用色材量の予測値に基づいて定着器の目標温度を頁単位で決定し、定着器の温度が1頁目の画像に対する目標温度に達するように定着器の加熱を開始する処理を開始する。従って、画像形成部32の画像形成ユニット34及び走査露光部36による画像形成も早期に開始される。
また、今回の印刷における印刷条件が同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件と不一致の場合は、ステップ126の判定が否定されてステップ128へ移行し、印刷条件が不一致となった内容が、過去に演算された使用色材量の予測値を今回の印刷における使用色材量の予測値へ補正可能な内容か否か判定する。具体的には、同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件がモノクロ変換モードの適用「有り」で、今回の印刷条件がモノクロ変換モードの適用「無し」の場合、過去に演算された使用色材量の予測値はC,M,Y各色の値が各々0となっており、K色の使用色材量の予測値からC,M,Y,K各色毎の使用色材量の予測値は算出できない。この場合はステップ128の判定が否定されてステップ108へ移行し、過去に用紙への印刷が行われていない原稿の印刷が指示された場合と同様に、画像形成部32の色材量計数部44によって使用色材量の予測値を演算させる。
また、ステップ128の判定が肯定された場合はステップ130へ移行し、過去に演算された使用色材量の予測値を今回の印刷における使用色材量の予測値へ補正する使用色材量補正処理を行った後に、画像形成部32への補正後の使用色材量の予測値の通知(ステップ132)、画像形成部32への印刷用画像データの出力(ステップ134)を順に行って印刷制御処理を終了する。なお、ステップ126〜ステップ130は請求項4(より詳しくは請求項5〜請求項8)に記載の補正手段による処理の一例である。
次に、印刷制御処理(図3)のステップ130における使用色材量補正処理の詳細について、図4を参照して説明する。ステップ200では、今回の印刷条件における複数画像配置モードでの1頁当りの配置画像数N1(但し、複数画像配置モードの適用「無し」の場合は配置画像数N1=1)と、同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件における複数画像配置モードでの1頁当りの配置画像数N0(但し、複数画像配置モードの適用「無し」の場合は配置画像数N0=1)と、を比較し、比較結果に応じて分岐する。今回の印刷条件と同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件とで1頁当りの配置画像数Nが同一であった場合は、ステップ202へ移行し、今回の印刷条件における印刷倍率と、同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件における印刷倍率と、を比較し、印刷倍率が変化しているか否か判定する。
ステップ202の判定が否定された場合はステップ204へ移行し、倍率補正係数Sに1(補正無し)を設定し、ステップ212へ移行する。また、ステップ202の判定が肯定された場合はステップ210へ移行し、同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件における印刷倍率を基準としたときの、今回の印刷条件における印刷倍率の比率を倍率補正係数Sに設定し、ステップ212へ移行する。
また、先のステップ200の判定で、今回の印刷条件における配置画像数N1が、同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件における配置画像数N0よりも大きいと判定された場合はステップ206へ移行し、変数i、変数j及び変数jの上限値jmaxに各々1を、変数iの上限値imaxに配置画像数N1を配置画像数N0で除算した値を設定する。また、先のステップ200の判定で、今回の印刷条件における配置画像数N1が、同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件における配置画像数N0よりも小さいと判定された場合はステップ208へ移行し、変数i、変数iの上限値imax及び変数jに各々1を、変数jの上限値jmaxに配置画像数N0を配置画像数N1で除算した値を設定する。そしてステップ210では、同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件での印刷倍率(この印刷倍率は配置画像数N0に応じて定まる)を基準としたときの、今回の印刷条件における印刷倍率(この印刷倍率は配置画像数N1に応じて定まる)の比率を倍率補正係数Sに設定し、ステップ212へ移行する。
ステップ212では、頁毎かつC,M,Y,K各色毎の使用色材量の予測値の出力値Co,Mo,Yo,Koを各々0に初期設定する。ステップ214では、同一の原稿の印刷が過去に行われた際に演算された1頁分の使用色材量の予測値C,M,Y,Kを読み出す。ステップ216では、ステップ214で読み出した使用色材量の予測値C,M,Y,Kを、使用色材量の予測値の出力値Co,Mo,Yo,Koに加算する(次式参照)。
Co←Co+C,Mo←Mo+M,Yo←Yo+Y,Ko←Ko+K
次のステップ218では、変数iが変数iの上限値imaxと等しいか否か判定する。判定が肯定された場合はステップ222へ移行して変数iに1を設定した後にステップ224へ移行する。また、ステップ218の判定が否定された場合はステップ220へ移行し、変数iを1だけインクリメントした後にステップ212に戻し、ステップ218の判定が肯定される迄ステップ214〜ステップ220を繰り返す。従って、配置画像数N1>N0の場合は、(N1/N0)頁分の使用色材量の予測値C,M,Y,Kが、同一頁の使用色材量の予測値の出力値Co,Mo,Yo,Koに積算される。
ステップ224では、使用色材量の予測値の出力値Co,Mo,Yo,Koに倍率補正係数Sを乗ずることで、今回の印刷条件と同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件との印刷倍率の相違に応じて使用色材量の予測値の出力値Co,Mo,Yo,Koを補正する倍率補正を行う(次式参照)。
Co←Co・S,Mo←Mo・S,Yo←Yo・S,Ko←Ko・S
なお、今回の印刷条件と同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件の印刷倍率が同一の場合は、先のステップ204で倍率補正係数S=1とされているので、上記の倍率補正では使用色材量の予測値の出力値Co,Mo,Yo,Koの値は変化しない。
ステップ226では、同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件がモノクロ変換モードの適用「無し」で、今回の印刷条件がモノクロ変換モードの適用「有り」に変化しているか否か判定する。判定が否定された場合はステップ230へ移行するが、判定が肯定された場合はステップ228へ移行し、使用色材量の予測値の出力値Koとして使用色材量の予測値の出力値Co,Mo,Yo,Koの重み付き加算値を演算・設定する一方、使用色材量の予測値の出力値Co,Mo,Yoを各々0に設定するモノクロ変換補正(次式参照)を行った後にステップ230へ移行する。
Ko←Co・Cc+Mo・Cm+Yo・Cy+Ko・Ck
Co,Mo,Yo←0
但し、Cc,Cm,Cy,Ckはモノクロ変換補正用にC,M,Y,K各色毎に予め設定された補正係数である。
ステップ230では、今回の印刷条件及び同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件における細線補正の設定を比較し、比較結果に応じて分岐する。今回の印刷条件と同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件とで細線補正の設定が同一であれば、ステップ230からステップ236へ移行する。また、同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件では細線補正処理が「適用無し」で今回の印刷条件では細線補正処理が「適用有り」に変化している場合には、ステップ230からステップ232へ移行し、K色の使用色材量の予測値の出力値Koに面積比率及び予め設定された細線補正係数を各々乗ずる(次式参照)ことで、細線補正処理の「適用無し」から「適用有り」への変化に応じてK色の使用色材量の予測値の出力値Koを補正する細線補正を行い、ステップ236へ移行する。
Ko←Ko・面積比率・細線補正係数
また、ステップ230において、同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件では細線補正処理が「適用有り」で今回の印刷条件では細線補正処理が「適用無し」に変化している場合はステップ234へ移行し、K色の使用色材量の予測値の出力値Koに面積比率及び細線補正係数の逆数を各々乗ずる(次式参照)ことで、細線補正処理の「適用有り」から「適用無し」への変化に応じてK色の使用色材量の予測値の出力値Koを補正する細線補正を行い、ステップ236へ移行する。
Ko←Ko・面積比率・1/細線補正係数
ステップ236では、今回の印刷条件及び同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件における使用色材量抑制モードの設定を比較し、比較結果に応じて分岐する。今回の印刷条件と同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件とで使用色材量抑制モードの設定が同一であれば、ステップ236からステップ242へ移行する。また、同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件では使用色材量抑制モードが「適用無し」で今回の印刷条件では使用色材量抑制モードが「適用有り」に変化している場合には、ステップ236からステップ238へ移行し、K色の使用色材量の予測値の出力値Koに予め設定された使用色材量抑制補正係数を乗ずる(次式参照)ことで、使用色材量抑制モードの「適用無し」から「適用有り」への変化に応じてK色の使用色材量の予測値の出力値Koを補正する使用色材量抑制補正を行い、ステップ242へ移行する。
Ko←Ko・使用色材量抑制補正係数
また、ステップ236において、同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件では使用色材量抑制モードが「適用有り」で今回の印刷条件では使用色材量抑制モードが「適用無し」に変化している場合はステップ240へ移行し、K色の使用色材量の予測値の出力値Koに使用色材量抑制補正係数の逆数を乗ずる(次式参照)ことで、使用色材量抑制モードの「適用有り」から「適用無し」への変化に応じてK色の使用色材量の予測値の出力値Koを補正する使用色材量抑制補正を行い、ステップ242へ移行する。
Ko←Ko・1/使用色材量抑制補正係数
ステップ242では、現在の使用色材量の予測値の出力値Co,Mo,Yo,Koを変数jの上限値jmaxで各々除算した値を1頁分の使用色材量の予測値の出力値Co,Mo,Yo,Koとしてメモリ16に記憶させる等によって出力する。次のステップ244では、変数jが変数jの上限値jmaxと等しいか否か判定する。判定が肯定された場合はステップ248へ移行して変数jに1を設定した後にステップ250へ移行する。また、ステップ244の判定が否定された場合はステップ246へ移行し、変数jを1だけインクリメントした後にステップ242に戻し、ステップ248の判定が肯定される迄ステップ242〜ステップ246を繰り返す。従って、配置画像数N1<N0の場合は、1頁分の使用色材量の予測値C,M,Y,Kが、倍率補正係数Sによって倍率補正された上で(N0/N1)頁分の使用色材量の予測値の出力値Co,Mo,Yo,Koに分割されて出力される。
ステップ250では、使用色材量DBに記憶されていた全頁分の使用色材量の予測値を読み出したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ212に戻り、ステップ250の判定が肯定される迄、ステップ212〜ステップ250を繰り返す。そしてステップ250の判定が肯定されると使用色材量補正処理を終了する。
今回の印刷における印刷条件が同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件と相違していた場合に、上記のように、過去に演算された使用色材量の予測値を、印刷条件の変化に応じて今回の印刷における使用色材量の予測値へ補正する使用色材量補正処理を行うことで、今回の印刷における印刷条件が同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件と相違していた場合にも、画像形成部32へより正確な使用色材量の予測値が通知されることになる。
なお、上記では原稿読取部26によって読み取られた原稿の画像の印刷が指示された場合に、画像形成部32へ使用色材量の予測値を通知する処理については説明を省略したが、例えば原稿読取部26によって読み取られた原稿の画像を複数部数印刷することが指示された場合には、装置制御部12により、1部目の印刷で画像形成部32の色材量計数部44によって演算されて画像形成部32から受信した使用色材量の予測値をメモリ16に記憶し、2部目以降の印刷において、画像データを画像形成部32へ再度出力する前に、メモリ16に記憶されている使用色材量の予測値を読み出して画像形成部32へ通知する処理が行われることは言うまでもない。
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
上述した第1実施形態では、画像形成部32の色材量計数部44が、印刷用画像データが表す画像の各画素毎の濃度値を、頁毎かつC,M,Y,K各色毎に積算する処理を行っていたが、本第2実施形態に係る色材量計数部44は、印刷用画像データが表す画像の各画素毎の濃度値を、印刷用画像データが表す画像を複数の領域に分割したときの個々の分割領域毎かつC,M,Y,K各色毎に積算する処理を行う。上記の分割領域としては、例えば画像形成における主走査方向に沿ったX方向(第1方向)及びX方向に交差するY方向(第2方向:例えば副走査方向)に各々複数画素から成るブロックを適用することができる。ブロック毎に使用色材量の予測値を演算する色材量計数部44は、例えば図5(A)に示す構成によって実現できる。
図5(A)に示す色材量計数部44は加算器60とブロックコントローラ76を備え、ブロックコントローラ76にはメモリ78が接続されている。色材量計数部44にはクロック信号CLK(図5(B)参照)が入力され、色材量計数部44の加算器60及びブロックコントローラ76はクロック信号CLKに同期して動作する。加算器60の2個のデータ入力端の一方には印刷用画像データDATAが1画素毎に入力され、加算器60の2個のデータ入力端の他方には加算器60の出力データ(カウント値BLOCK_COUNT)が入力される。また、加算器60にはデータ有効信号DATA_ENも入力されると共に、ブロックコントローラ76からブロック開始信号BLOCK_START及びカウント初期値INITIALIZE_VALUEも入力される。加算器60はデータ有効信号DATA_ENがハイレベルの期間加算を行うが、ブロック開始信号BLOCK_STARTがハイレベルの場合、印刷用画像データDATAをカウント初期値INITIALIZE_VALUEに加算し、加算結果を次の周期にカウント値BLOCK_COUNTとして出力し、ブロック開始信号BLOCK_STARTがローレベルの場合には、印刷用画像データDATAをカウント値BLOCK_COUNTに加算した結果を次の周期にカウント値BLOCK_COUNTとして出力する。
ブロックコントローラ76には、データ有効信号DATA_EN、カウント値BLOCK_COUNT、ブロックのX方向サイズBLOCK_X及びブロックのY方向サイズBLOCK_Yが各々入力される。図5(B)には、ブロックのX方向サイズBLOCK_X=2(画素)でブロックのY方向サイズBLOCK_Y=2(画素)の場合を示すが、ブロックコントローラ76は、データ有効信号DATA_ENがローレベルの間はブロック開始信号BLOCK_STARTをハイレベルに維持し、データ有効信号DATA_ENがローレベルからハイレベルに変化した場合、ブロック開始信号BLOCK_STARTを次の1周期ハイレベルに維持した後にローレベルへ切り替えることで、X方向に沿って1番目のブロック内の画素の濃度値の積算を開始させ、以後、(BLOCK_X−1)周期おきにブロック開始信号BLOCK_STARTを1周期だけハイレベルにすることで、X方向に沿って2番目以降の各ブロック内の濃度値の積算を順に行わせる。
また、ブロックコントローラ76は、X方向に沿った各ブロック毎にカウント値BLOCK_COUNTをメモリ78に記憶させており(初期値=0)、ブロック開始信号BLOCK_STARTを1周期だけハイレベルにしてX方向に沿ってi番目のブロック内の画素の濃度値の積算を開始させる際には、メモリ78に記憶されているi番目のブロックのカウント値BLOCK_COUNTをカウント初期値INITIALIZE_VALUEとして加算器60へ出力すると共に、ブロック開始信号BLOCK_STARTをハイレベルにした周期に加算器60から出力されるカウント値BLOCK_COUNTをi−1番目のブロックのカウント値BLOCK_COUNTとしてメモリ78に上書き記憶させる。更に、ブロックコントローラ76は、ブロック内の濃度値の積算を行ったライン数を計数しており、ブロック内の最終ライン(ブロック内のBLOCK_Y番目のライン)の濃度値の積算を行う期間には、カウント値BLOCK_COUNTとして何れかのブロック内の画素の濃度値の積算結果(すなわち使用色材量の予測値)が出力される周期に計数終了信号BLOCK_COUNT_ENDをハイレベルにし、メモリ78に記憶されている各ブロックのカウント値BLOCK_COUNTを前記期間の最後に0へリセットする。
色材量計数部44を上記構成とすることで、印刷用画像データDATAが表す画像の各ブロック毎に使用色材量の予測値(濃度値の積算値)が演算される。また、上記はC,M,Y,Kのうちの何れか1色についての処理であるが、C,M,Y,K各色の画像データが色材量計数部44に順次入力されることで、C,M,Y,K各色について、使用色材量の予測値(濃度値の積算値)が画像の各ブロック毎に演算される。そして、画像の各ブロック毎かつC,M,Y,K各色毎に演算された使用色材量の予測値は、画像形成部32の定着部40及びトナー補給部42へ通知されると共に、装置制御部12へも通知される。なお、上述した構成の色材量計数部44は請求項9,10に記載の演算手段の一例である。
本第2実施形態において、装置制御部12は、色材量計数部44によって画像の各ブロック毎かつC,M,Y,K各色毎に演算された使用色材量の予測値が画像形成部32から通知されると、通知された使用色材量の予測値を、印刷対象の原稿のデータのファイル名、更新日時、印刷対象の原稿のデータ、印刷日時、今回の印刷指示で指定された印刷条件を表す印刷条件情報と対応付けて使用色材量DBに登録する。また、ホストPC48から印刷対象の原稿のデータ及び印刷条件情報を受信するか、又は、利用者によって操作パネル30が操作されることで、過去に印刷が行われた原稿の再印刷が指示された場合、装置制御部12は、同一の原稿の印刷が過去に行われた際に演算された使用色材量の予測値を使用色材量DBから読み出して画像形成部32へ通知する。
但し、本第2実施形態では使用色材量の予測値がブロック毎に演算されるのに対し、今回の印刷における印刷条件と同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件とでは、画像の向きが相違している可能性もある。このため、本第2実施形態において、装置制御部12は、過去に印刷が行われた原稿の再印刷が指示された場合、今回の印刷における印刷条件での画像の向きと、同一の原稿の印刷が過去に行われた際の印刷条件での画像の向きと、を比較し、ブロック毎の使用色材量の予測値を、比較結果に応じた読出順序で使用色材量DBから読み出して、画像形成部32へ順に出力する(必要であれば第1実施形態で説明した補正を行った上で出力する)。
具体的には、例えば今回の印刷における画像の向きと同一の原稿の印刷が過去に行われた際の画像の向きが同じである場合は、ブロック毎の使用色材量の予測値を、図6(A)に矢印で示す通常の順序(ラスタ順)で使用色材量DBから読み出して画像形成部32へ順に出力する。これにより、画像形成部32へのブロック毎の使用色材量の予測値の入力順序は、図6(A)に「回転後データ」と表記して示す配列を図6に「元データ」と表記して示す配列と比較しても明らかなように、元の配列と同じ順序になる。
また、例えば今回の印刷における画像の向きと同一の原稿の印刷が過去に行われた際の画像の向きが180°相違している場合は、ブロック毎の使用色材量の予測値を、図6(B)に矢印で示す読出順序(ラスタ順に対して180°回転させた順序)で使用色材量DBから読み出して画像形成部32へ順に出力する。これにより、画像形成部32へのブロック毎の使用色材量の予測値の入力順序は、図6(B)に「回転後データ」と表記して示す配列を図6に示す「元データ」の配列と比較しても明らかなように、画像を180°回転させたに等しい順序になる。
また、例えば今回の印刷における画像の向きと同一の原稿の印刷が過去に行われた際の画像の向きが時計回りに270°相違している場合は、ブロック毎の使用色材量の予測値を、図6(C)に矢印で示す読出順序(ラスタ順に対して時計回りに270°回転させた順序)で使用色材量DBから読み出して画像形成部32へ順に出力する。これにより、画像形成部32へのブロック毎の使用色材量の予測値の入力順序は、図6(C)に「回転後データ」と表記して示す配列を図6に示す「元データ」の配列と比較しても明らかなように、画像を時計回りに270°回転させたに等しい順序になる。
更に、例えば今回の印刷における画像の向きと同一の原稿の印刷が過去に行われた際の画像の向きが時計回りに90°相違している場合は、ブロック毎の使用色材量の予測値を、図6(D)に矢印で示す読出順序(ラスタ順に対して時計回りに90°回転させた順序)で使用色材量DBから読み出して画像形成部32へ順に出力する。これにより、画像形成部32へのブロック毎の使用色材量の予測値の入力順序は、図6(D)に「回転後データ」と表記して示す配列を図6に示す「元データ」の配列と比較しても明らかなように、画像を時計回りに90°回転させたに等しい順序になる。
また、例えば今回の印刷における画像の向きが、同一の原稿の印刷が過去に行われた際の画像の向きに対して鏡像反転に相当する向きである場合は、ブロック毎の使用色材量の予測値を、図6(E)に矢印で示す読出順序(ラスタ順に対して主走査方向に沿った向きのみ逆向きにした順序)で使用色材量DBから読み出して画像形成部32へ順に出力する。これにより、画像形成部32へのブロック毎の使用色材量の予測値の入力順序は、図6(E)に「回転後データ」と表記して示す配列を図6に示す「元データ」の配列と比較しても明らかなように、画像を鏡像反転させたに等しい順序になる。
上記のように、使用色材量DBからのブロック毎の使用色材量の予測値の読み出しを、今回の印刷における画像の向きと同一の原稿の印刷が過去に行われた際の画像の向きとを比較した結果に応じた読出順序で行うことで、画像形成部32側で、装置制御部12から通知されたブロック毎の使用色材量の予測値を蓄積し、今回の印刷における画像の向きと同一の原稿の印刷が過去に行われた際の画像の向きとの相違に応じて並べ替える等の処理を行う必要がなくなり、前記並べ替え等を行うための構成が不要となる。なお、ブロック毎の使用色材量の予測値を上記順序で読み出して出力することは、請求項9,10に記載8の出力手段による処理の一例である。
続いて、本第2実施形態に係る定着温度の制御について説明する。従来の画像形成装置では、定着器の目標温度として、全画素が最大濃度のベタ画像(付着トナー量が最大の画像)でもトナーの溶融定着が可能な温度が固定的に設定され、例えば図7(B)に「従来制御での定着器の温度」と表記して示すように、定着器の温度が常に目標温度に一致するように制御される。これに対し、本第2実施形態に係る定着部40は、ブロック毎の使用色材量の予測値が色材量計数部44又は装置制御部12から通知され、通知されたブロック毎の使用色材量の予測値に基づき、定着処理中の各時刻における溶融定着対象のトナー量を演算し、定着処理中の各時刻における溶融定着対象のトナー量に応じて、例えば図7(B)に「ブロック単位の色材量予測値に基づく目標定着温度の推移」と表記して示すように、定着処理中の各時刻における定着器の目標温度を事前に決定する。
具体的には、通知されたブロック毎の使用色材量の予測値(画素毎の濃度値の1ブロック毎の積算値)をブロック毎の使用トナー量へ換算する。次に、定着器による定着処理では用紙の搬送方向に直交する方向(画像形成における主走査方向)に沿って用紙の全幅分で、かつ用紙の搬送方向(画像形成における副走査方向)に沿って複数画素分の領域が同時に加熱されるので、用紙の搬送方向に直交する方向に沿って一列に並ぶ複数のブロックから成るブロック列を単位としてC,M,Y,K各色の使用トナー量を全て加算し(演算結果の一例を図7(A)に示す)、個々のブロック列毎の使用トナー量の加算結果と個々のブロック列毎の定着処理時間とに基づいて、溶融定着対象のトナー量を定着処理中の各時刻毎に各々演算する。そして、各時刻毎の溶融定着対象のトナー量から定着器の目標温度を各時刻毎に求めた後に、定着器の目標温度の変化の傾きが、定着器のヒータをオンした際の定着器の温度の上昇速度及び定着器のヒータをオフした際の定着器の温度の低下速度に相当する傾き以下となるように、定着器の各時刻毎の目標温度を必要に応じて修正する。
これにより、例えば図7(A)に示すブロック列毎の使用トナー量から、図7(B)に「ブロック単位の色材量予測値に基づく目標定着温度の推移」と表記して示す定着処理中の各時刻毎の目標温度が得られる。そして、この各時刻毎の目標温度に基づいて定着処理中の各時刻に定着器のヒータをオンオフすることで、定着処理中の各時刻における定着器の温度が、定着不良等が生じない最低の温度で推移するように制御され、従来の画像形成装置と比較して、定着処理に要する消費電力量が図7(B)に斜線で示す領域に相当する分だけ削減される。
なお、従来の定着温度の他の制御として、定着器に用紙が接触している期間中は、定着器を全画素が最大濃度のベタ画像でもトナーの溶融定着が可能な温度以上に維持する一方、定着器に用紙が接触していない期間中は、定着器を予め設定された最低温度以上に維持する制御も知られているが、使用色材量の予測値に基づく定着温度制御は、定着器に用紙が接触している期間中にも、各時刻における溶融定着対象のトナー量に応じて目標温度を変化させるので、上記他の制御と比較しても定着処理に要する消費電力量が削減される。
トナー補給部42によるブロック毎の使用色材量の予測値を用いたトナー補給については詳細な説明を省略するが、ブロック毎の使用色材量の予測値からブロック列毎の使用トナー量を演算し、演算したブロック列毎の使用トナー量に基づき画像形成ユニット34による画像形成と並行して現像器へのトナーの補給を行うことで、現像器内の現像剤のトナー濃度の変動が抑制される。これにより、現像器内の現像剤のトナー濃度の変動抑制を目的として、現像器内に一定量以上の現像剤を貯留しておく必要がなくなる。
次に本発明の他の態様を説明する。上記では、使用色材量の予測値の演算を、画像形成部32に設けた色材量計数部44で行う態様を説明したが、これに限定されるものではない。例えば図8に示す画像形成装置50では、画像形成部32の色材量計数部44が省略され、これに代えて画像処理回路22に色材量計数部58が設けられている。
画像形成装置50の画像処理回路22は、例えば図10に示すように、入力された画像データに対してRGB→CMYKへの色空間変換やスクリーン処理、ガンマ補正等の予め設定された画像処理を行う画像処理部52、画像処理部52による画像処理を経た画像データを圧縮する画像圧縮部54、画像メモリ28に記憶された画像データを画像処理部52へ転送すると共に、画像圧縮部54から出力された圧縮データを画像メモリ28に再度格納するDMAC(Direct Memory Access controller)56を備えている。なお、画像処理回路22における画像処理は、当該画像処理によって生成された画像データが装置制御部12から画像形成部32へ出力されるよりも前で、かつ装置制御部12から画像形成部32への前記画像データの出力と非同期のタイミングで実行される。
画像処理回路22に設けられた色材量計数部58は、画像処理部52の画像データ出力側に接続されており、画像処理回路22における画像処理と同期したタイミング(すなわち装置制御部12から画像形成部32へ画像データが出力されるよりも前で、かつ装置制御部12から画像形成部32への画像データの出力と非同期のタイミング)で、画像処理部52による画像処理を経た画像データ(画像形成部32へ出力される圧縮前の画像データ)に基づき、画像形成部32による画像形成での使用色材量の予測値として、画像データが表す画像の各画素毎の濃度値をC,M,Y,K各色毎に積算し、演算した使用色材量の予測値をDMAC56経由で画像メモリ28に格納する処理を行う。
また、画像形成装置50のデータ出力回路24は、画像メモリ28に記憶された画像データ及び使用色材量の予測値を装置制御部12から画像形成部32へ出力する。図10に示すように、データ出力回路24は、入力された圧縮データを元の画像データへ伸長してビデオデータ出力部72へ出力する伸長部66、画像メモリ28に記憶された画像データを伸長部66へ転送するDMAC68、画像メモリ28に記憶された使用色材量の予測値をビデオデータ出力部72へ転送するDMAC70、及び、伸長部66から入力された画像データに、DMAC70によって転送された分割領域毎の使用色材量の予測値を付加し、ビデオデータとして画像形成部32へ出力するビデオデータ出力部72を備えている。データ出力回路24による画像データ(ビデオデータ)の出力は画像形成部32における画像形成と同期したタイミングで行われる。
このように、画像形成装置50では、装置制御部12から画像形成部32へ画像データが出力されるよりも前で、かつ装置制御部12から画像形成部32への画像データの出力と非同期のタイミングで、色材量計数部58によって使用色材量の予測値を演算し、データ出力回路24により、使用色材量の予測値を画像データに付加したビデオデータを画像形成部32へ出力しているので、画像形成部32では、過去に印刷が指示されていない原稿の画像を印刷する場合であっても、装置制御部12から入力されたビデオデータに含まれる使用色材量の予測値に基づいて画像形成を早期に開始できる。
また、画像処理回路22に設けられた色材量計数部58としては、第1実施形態で説明したように、使用色材量の予測値を頁単位で演算する構成であってもよいが、画像データが表す画像を複数の領域に分割したときの個々の分割領域毎に使用色材量の予測値を演算する構成であることが好ましい。また、この分割領域は、第2実施形態で説明したブロックであってもよいが、これに限られるものではなく、装置制御部12から画像形成部32への画像データの出力順に沿った1ライン又は複数ラインであってもよい。使用色材量の予測値を1ライン毎に演算する色材量計数部58の構成の一例を図11に示す。
図11に示す色材量計数部58は、加算器60とFF62とで構成される。色材量計数部58にはクロック信号CLK(図11(B)参照)が入力され、色材量計数部58の加算器60及びFF62はクロック信号CLKに同期して動作する。加算器60の2個のデータ入力端の一方には画像処理部52から出力された画像データDATAが1画素毎に入力され、加算器60の2個のデータ入力端の他方には加算器60の出力データが入力される。また、加算器60には画像データDATAとして有効なデータが入力されている期間ハイレベルとなるデータ有効信号DATA_ENも入力され、加算器60はデータ有効信号DATA_ENがハイレベルの期間、2個のデータ入力端に入力されたデータの値を加算し、加算結果をカウント値LINE_COUNTとして出力する。
また、FF62には、画像データDATAとして画像の1ラインの末尾のデータが入力されたときにハイレベルとなるライン終了信号LINE_ENDが入力される。FF62は、ライン終了信号LINE_ENDに対して1周期遅れてレベルが変化する信号を生成し、生成した信号を、画像1ラインの使用色材量の予測値の演算(濃度値の積算)が終了したことを表す計数終了信号LINE_COUNT_ENDとして出力すると共に、カウント値LINE_COUNTの初期化(値を0にリセットする)を指示するカウント値初期化信号COUNT_INITIALIZEとして加算器60のリセット端子へ出力する。
上記構成により、データ有効信号DATA_ENがハイレベルになると、加算器60は画像データDATAとして入力された各画素の濃度値の積算を開始する。また、画像データDATAとして画像の1ラインの末尾のデータが入力されると、次の周期に計数終了信号LINE_COUNT_END及びカウント値初期化信号COUNT_INITIALIZEが各々ハイレベルとなることで、カウント値LINE_COUNTが計数対象ラインの濃度値の積算結果(すなわち使用色材量の予測値)であることが示されると共に、カウント値LINE_COUNTが0にリセットされる。
これにより、装置制御部12から画像形成部32へ画像データが出力されるよりも前のタイミングで、使用色材量の予測値(濃度値の積算値)が画像の1ライン毎に演算される。また、上記はC,M,Y,Kのうちの何れか1色についての処理であるが、C,M,Y,K各色の画像データが色材量計数部58に順次入力されることで、C,M,Y,K各色について、使用色材量の予測値(濃度値の積算値)が画像の1ライン毎に演算される。そして、画像の1ライン毎かつC,M,Y,K各色毎に演算された使用色材量の予測値(濃度値の積算値)はDMAC56経由で画像メモリ28に順次格納される。
なお、上記では使用色材量DBに原稿のデータも記憶させる態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。使用色材量DBに記憶させた原稿のデータは、操作パネル30を介して再印刷が指示された場合に使用されるデータであり、操作パネル30を介して再印刷を指示可能とする機能を画像形成装置に搭載しない等の場合には、使用色材量DBへの原稿のデータの記憶を省略してもよい。
また、上記では使用色材量の予測値として、画像データの各画素の濃度値を積算した値を用いていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像形成部32における追跡パターン(機種名やシリアルナンバ等の情報をコード化したコード化情報を、予め設定された色(例えばイエロー)かつ微小なサイズのパターンの組み合わせで表し、画像の一部の領域に付加されている追跡パターンから上記の情報を判別可能なように或る周期で画像に繰り返し付加されるパターン)の形成や濃度調整用のパッチの形成に応じて使用色材量の予測値を補正するようにしてもよい。これにより、使用色材量の予測値の精度が更に向上する。
また、使用色材量の予測値に基づく定着温度制御は、図7に示したように、定着処理中の各時刻における溶融定着対象のトナー量に応じて、定着処理中の各時刻における定着器の目標温度を事前に決定し、各時刻における定着器の温度がその時刻における目標温度に一致するように制御するものに限られるものでなく、使用色材量の予測値に応じて定着器の加熱量を増減させる制御を適用するようにしてもよい。
具体的には、例えば定着処理中の各時刻における溶融定着対象のトナー量が図12(A)に示すように推移する場合、図12(B)に示すように、定着器の加熱量を、用紙の温度上昇や用紙からの熱の放散で消費される熱量に相当する必要最小加熱量と、溶融定着対象のトナー量の最大値に対応する最大加熱量と、の間で、溶融定着対象のトナー量の変化に応じて(例えば溶融定着対象のトナー量に比例するように)変化させる。なお、図14(B)に示す加熱量のパターンでは、ヒータによる加熱による温度変化が定着器の表面に及ぶ迄の時間差を考慮すると共に、用紙の或る部分が定着器表面に接触するときには、前記或る部分に付着している溶融定着対象のトナー量に応じた加熱が完了しているように、定着処理が開始される(用紙が定着器に接触する)タイミングよりも予め設定した時間だけ前のタイミングで定着器の加熱を開始している。これにより、定着器の表面は図12(C)に示す加熱量のパターンで加熱され、定着温度は図12(D)に示す変化を示すことになり、定着処理に要する消費電力量が削減される。
更に、上記ではC,M,Y,K各色の画像データが色材量計数部44又は色材量計数部58に画像単位で順に入力され(いわゆる面順次)、使用色材量の予測値の演算をC,M,Y,K各色毎に順に行う態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、C,M,Y,K各色の濃度値が色材量計数部44又は色材量計数部58に画素単位で順に入力される(いわゆる点順次)態様であっても、色材量計数部44又は色材量計数部58を、C,M,Y,K各色毎の使用色材量の予測値の演算を並行して行う構成とすることで適用可能である。
また、上記では画像形成部として、色材としてトナーを用い電子写真方式により画像を形成する構成の画像形成部32を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像形成部が、例えばインクジェット方式等の他の画像形成方式で画像を形成する構成である場合にも適用可能である。
また、上記では本発明に係る画像処理プログラムの一例である印刷制御プログラムが装置制御部12の記憶部18に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係る画像処理プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。